会議室にはクタとIBM開発責任者がいた。
「ゲーム機だけでなく、様々な機器に搭載できるCPUを
作ろう」。クタの気持ちは固まっていた。クタの意向と
あれば斎藤もそれに異論はなし。こうして開発は水面下に
進む。
東芝が提案したのは「Force System」。MIPSのR3000ぐらいの
シンプルなコアを大量に搭載、メインのCPUコアがこれを統合する
ものだ。IBMが提案したのはPower4を複数集積した構造だった。
これを説明したのがJim Kahle。2社の間には大きな隔たりが。
両社の案を吟味する中、東芝の1人が何気無い一言。
「メインコアを集積しない構成も有り得ますね」
Kahleの顔色が変わる。
「そんな事は我々が許さない」
メインコアを集積しないとなると、Powerの出る幕はなくなる。
JimにとってPowerは我が子同然。共同開発するメリットもなくなる。
両社のミーティングは継続され、00年夏、クタへの中間報告会が
行われる。
更に続く。