◇松下、1300億円でデジタル家電向けLSI工場
松下電器産業は1300億円を投じ、システムLSI(大規模集積回路)の新工場を富山県魚津市に建設する。
2005年秋の量産開始を目指し、最先端の微細加工技術を活用して次世代のデジタル家電向けの基幹部品を
生産する。一度の設備投資としては松下でも過去最大規模。世界的な成長が見込めるデジタル家電への集中
投資を加速する。
新工場は年明けにも、携帯電話などに使う金属酸化膜半導体(MOS)などを生産している魚津工場の隣接地に
着工する。延べ床面積は約5万平方メートル。直径300ミリの大口径シリコンウエハーを使い生産効率を高める。
薄型デジタルテレビやDVD(デジタル多用途ディスク)レコーダー、携帯電話といったデジタル家電向けの
システムLSIを、300ミリウエハー換算で最大月間1万枚生産するとみられる。
加工する回路の線幅は90ナノ(ナノは10億分の一)メートルという超微細加工プロセスを導入し、次の世代で
ある65ナノメートルにも対応できるようにする。最先端の微細加工ラインとすることで、小型化・高機能化する
次世代デジタル家電の性能の要求にこたえる。
松下は2001年、900億円を投じて新井工場(新潟県新井市)にLSIの微細加工の新棟を建設した。130ナノメートル
線幅の加工ができるラインで、デジタルテレビやDVDレコーダー、携帯電話向けにフル稼働となっている。次世代の
デジタル家電については、魚津を基幹部品の最先端工場に位置づけて布石を打つ。
松下は昨年、事業領域を14に再編、モーターなど採算性の低い事業の整理統合と海外移転を進めて
きた。松下電工の子会社化を決めたことでグループの事業構造改革にメドがついたと判断、成長戦略
に軸足を移す。システムLSIをデジタル家電を支えるキーデバイス(中核部品)とみて、大規模投資に
踏み切ることにした。