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「私……今……何か言っていましたか?」
「………はい」
「一体、私は……何を………」
それ以上言葉が続かない。
そんな動揺を隠しきれない私を見て、冬馬先輩はゆっくりと口を開く。
「心配ありません。今の言葉は僕に投げかけられたものでしょう」
「冬馬先輩に?」
「はい」
「一体誰がって……私が先輩に言ったけど……」
自分が言った言葉なのに身に覚えが無い。
そう言ったら、冬馬先輩にヘンに思われてしまうだろうか。
「恐らく、あなたの口を借りて贖物(あがもの)を必ず引き渡すように釘を刺したのです」
「アガモノ?」
「はい。願って剣の力を獲たからには、それなりの代償を差し出さなくてはならない……実によくある話です」
私は……
@「願って剣の力を獲たって?」
A「私の口を借りてって…一体誰が言ったの?」
B「それよりも体はもう大丈夫ですか?」