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@やっぱり私
この夢の中に黒い影がいるという事は、私自身が身の内に封じたこと考えるのが自然だ。
(だけど封印の記憶なんて……私には全く無いしな)
考える方向を変えてみても、こればっかりは情報不足で手に負えそうも無い。
今の私では、せいぜいあれこれと想像を巡らせることしか出来ないだろう。
(あ、そういえば……)
昨日、封印という言葉を使っていた人が居たのをふと思い出す。
それは放送室での修二くんの言葉だ。
『だから、へーきだって。愛菜ちゃんは心配症だなぁ。
俺達にこの目がある以上、主流派は手出しできないんだよ。
俺達が見つけなければ、封印を解くこと――』
この後、修二くんは一郎くんになぜか咎められていた。
という事は、二人は封印について情報を握っているはずなのだ。
(教えてくれるか分らないけど、聞いてみる価値はあるよね)
忘れていたお母さんとの思い出を含めて、私と『封印』には深い関わりがあるのは間違いない。
八方塞がりで何も出来なかった私に、少し光明が見えてきた。
お母さんとの約束とこの勾玉。二つが打開策になればいい。
冬馬先輩や双子から情報を聞き出すのは難しいだろう。
けれど今、私が考えていることを話せば、何らかの反応があるはずだ。
少しずつ意識が浮上していくのが分かる。
どうやら現実では朝を迎えたようだ。
陽の光に顔をしかめながら、私はゆっくり目を開ける。
そこに居たのは……
@お義母さん
A隆
Bチハル