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A後にすると言う
「お母さん! 私、まだお腹空いてないから後で食べるよー!」
部屋のドアを開けて、キッチンに向けて叫んだ。
すると階段を上る音がして、お母さんが私の部屋までやってきた。
「食欲がないの?」
「明日の事考えたら少し落ち着かなくて」
「あら、大丈夫?」
「平気だよ。それに文化祭のスケジュールで気になるところがあるし、確認してから食べようと思ってたんだ」
「そう? なら冷蔵庫に入れておくわね」
「うん。お願い」
お母さんが部屋から出て行ったのを確認して、私は鞄の中から放送委員のスケジュールを取り出す。
(午前中はほとんど放送室にカンヅメ状態だ……)
BGMの放送、プログラムや出店の案内、迷子などのお知らせ、先生の緊急呼び出し。
タイムスケジュールはびっしりと埋まっている。
きっと委員長の一郎くんなんて、一日中休む暇は無いだろう。
(午後一番はクラスの出し物の演劇。その後は隆と春樹くんを案内するんだよね)
鞄から出した小冊子、演劇の台本をパラパラとめくっていく。
私達のクラスに与えられた時間は準備も含めてたった45分間しかない。
通し稽古では、いつも10分ほどオーバーしていた。
(不安材料はいくつか残ったままだ。けど……)
巫女役の香織ちゃんは本当に綺麗で、舞台上でも華がある。
私の夢の中の巫女に変わらないくらいの、ハマリ役になった。
他の出演者、照明、大道具、小道具、衣装、私も参加している音響だって明日の為に頑張って準備してきたのだ。
(やれる事は、全部やったんだ。後は本番に賭けるしかないよ)
私は目を閉じて、成功を祈る。
演劇の後に隆と春樹くんと行動するにしても、どうせなら気分よく案内したい。
瞼の裏には、文化祭の賑わう様子が浮かんでくる。
ほどなくして少しずつ意識が沈み込み、体が重くなっていく。
これは不思議な夢を見る前ぶれに感覚が似ていた。
私の見た夢とは……
@帝と壱与の夢の続き
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