選択肢を選んで1000レス目でED 3

このエントリーをはてなブックマークに追加
86713
@学校に戻る

携帯をポケットに入れ、とりあえず傘を持って玄関を飛び出した。
一緒に出てきたチハルに傘を渡して、私も急いで傘をさす。
「どこにいくの?」
「……一郎くん達もいるし、学校へ行こうか」
「うん。行こう愛菜ちゃん」
私とチハルは思いつくまま、学校に向って走りだした。

ハァ、ハァ、ハァ…

私は息を切らせて、走り続ける。
最初は私がチハルを引っ張っていたけれど、いつの間にかチハルに引っ張られるように走っていた。
走っているせいで、足元どころか制服もずぶ濡れになってしまった。

(にしても、周防さんの言っていたことって……本当なのかな)
わからない。けど、せっかく得た力を使ってはいけないなら、きっと一郎くんなら最初から言ってくれるはずだ。

目の前に学校が迫ったところで、私は人影を発見する。
校門前で傘をさし、立っている影には見覚えがあった。
「修二くん!!」
「……愛菜、ちゃん?」
「大変なの。冬馬先輩や周防さんが襲われて!」
「うん。わかってる」
修二くんはこの状況もわかっているのか、驚いた様子も無い。見ることのできる鏡は、さすが心強い。

「一郎くんと一緒に助けてあげて。私が力を使っちゃ駄目だって周防さんがいうの。逃げろって……」
「………」
「一郎くんはどこ? どうすればいいか聞かなきゃ」
「………………」
私の言うことは聞こえているはずなのに、修二くんは何も言わない。
その時、チハルが私の前に庇うように立った。

「この人、よくないかんじがするよ」
「どうしたの? 修二くんとは何度も会っているじゃない」
「なんだか、ドロってする」
「……ハハハッ。やっぱり兄貴に頼るんだね、愛菜ちゃんは」
傘が邪魔して顔までわからなかったけれど、笑っていても口調は暗く沈んでいた。非難するような、棘すら感じる。

「修二くん。どうしたの?」
「鏡だって、偽物より本物の方がいいに決まってるよね……」
「偽物って、なんのこと?」
「愛菜ちゃん、この人にちかづいちゃダメだよ!」
「この精霊……うるさいな。邪魔だから、黙っててよ」

修二くんがチハルの腕に触った瞬間、大きかったチハルが小さなぬいぐるみに戻ってしまった。
「チハル?」
呆然と、地面に落ちた濡れたチハルを抱き上げる。
突然の出来事に、頭が混乱する。

@「修二くん、一体どうしたの?」
A「修二くん! なぜこんなことをするの!?」
B「修二……くん?」