102 :
名無しって呼んでいいか?:
差し出されたプレゼントの中身を一目見て、ル−イは眉をしかめた。
「…この真っ赤な液体は何だ…」
背中に冷や汗が流れ、彼女はじりじりと後ずさる。やっぱり警戒されたなあ、と思いつつ。
「答えよ。この小瓶の中身の成分は何だ?」
壁際に追い詰められ、彼女は恐る恐る口を開いた。
「…び…媚薬です…」
「媚薬…だと?」
一般的に媚薬とは、性欲を催させる薬であり催淫薬である。
ル−イは一瞬耳を疑ったが、しばし考えた後、にやりと笑った。
「…そうか…そなた、そんなにもこのル−ドヴィッヒに焦がれておったのか…ふふ…」
邪悪かつ淫らな笑みを浮かべ、彼は彼女の腰を抱いた。
「きっ…きゃあああ!!」
「何を騒ぐ事がある。行くぞ」
「ど…何処へ?」
「科学研究部の私室だ。あそこなら邪魔は入らぬ」
「え…ええええっ!」
彼女を抱きかかえたままの姿勢で、ル−イは小瓶の蓋を開け、中身をくいっと飲み干す。
床に落ちた小瓶が割れ、カチャン!と小さな音を立てる。
彼は再び彼女を抱き上げ、潤んだ眼差しと上気した顔で囁いた。
「…私を誘惑した罪は重いぞ…覚悟しろ」
end