>>555 だから、「大誤解」と書いたんだよ。
関係者が、よく分かっているはずなのに、気がつくと、ある誤解の渦に、ずるずる引きずり込まれる。
京都でも奈良でも、世界遺産に登録されている対象は、「文化財」であって、今の町並みだの何だのは、一切触れていない。
京都で指定を受けたのは、正確には、「古代都市である京都における、『複数の文化財群』」だ。奈良も同じ。
みんな、そんなことは分かっているはず。
ところが、この包括指定を基礎づける「古代都市」を、日本語訳で「古都」としたことが、これに裏口から混乱を仕掛ける。
ここで、日本語における古都の意味が、裏口から割り込んでしまうんだよ。
日本語では、「茫漠と広がる古代都市遺跡」それ自体は、多くの場合、「古都」とは呼ばないのだ。
古都とは、多くの場合、政庁としての古い歴史を持って、その伝統が、現在まで繋がる都市の属性を指す。
「現在の都市を見て、古代を連想させられるだけの都市であること」といっても良い。
だから、「町並みを保護できていたらなあ」あるいは「歴史地区ならいけたんじゃね?」という、
素朴な大誤解レスが、違和感なく書かれるようになる。
専門家は誤解しないだろ?と思いきや、気がつくと、この「古都の呪縛」に引きずり込まれている。
鎌倉の場合、「山は機能的城壁である」として、山の稜線ごと包括アピールするという戦術が、
「旧鎌倉なる古都をアピールする」という間違った話に、専門家ですら、自家中毒的に摩り替わっていった。