119 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
『西遊草』
著者:清河八郎(山形県=出羽国東田川郡清川村出身の幕末尊攘派志士。剣は北辰一刀流)
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e1/Kiyokawahatiro.jpg およそ天下を遊覧せんと思ふもの、まづ土地の模様、人情の薄厚をしらざるべからず。
関東は剛直にして人を憐み、上方は柔弱にして人をあざむく。
故に関東にあそぶものは、心を淡楽にいたし、ものにうたがひをいれざるべし。
上方にいたるものは、万事繁密にいたし、手あらきのありて落所のなきよふ心得べき也。
関東のうちにても江戸は尤も清潔の所ゆへ、心やすかるべく、上方は京辺より播州辺迄尤も心をゆるすべからず。
吾数度天下を歩みてこころ見るに、播州路は名所多くして、遠国のものの必ず来る土地なれば、人情尤も軽薄にして、
ただ一遍のあしらひにて、人をあざむく事をびただし。
(岩波文庫)
120 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2012/11/25(日) 23:00:49.43 ID:ztLV+bIR
『西遊草』
著者:清河八郎(山形県=出羽国東田川郡清川村出身の幕末尊攘派志士。剣は北辰一刀流)
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e1/Kiyokawahatiro.jpg 京師・大坂あたりの芸子どもは誠にとるにたらぬ下手ものばかりにて、見るにたらぬなれども、田谷村連は外の気合をしらぬ故、
唯国元の事にのみ比しならぶるゆへ、至て上手の様に思われけれども、江戸の積にすれば、素人よりも面白からで、越後新潟の足もとも及ばぬなり。
一体上方は気の緩きところゆへ、歌舞ともに張りあひのぬけたる風にて、殊に未熟の様に思わるなれども、田舎よりはじめて来るものは、
いまだ目のきかぬ事ゆへ、時によると彼らの為に惑さるる事ままある也。
吾等などは関東、新潟辺にて修練のもののみ見聞きするゆへ、上方の歌舞妓は却て酒興の邪魔に思わる。
(岩波文庫)
121 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2012/12/02(日) 01:12:47.39 ID:gxuDSkpb