砂の海のそこに眠る緑の大地、、、、。
1957年、レンネルはそうした問題の専門家であるチャールズ・ハプグッドと連絡を取った。ハプグ
ッドは王立地理学協会のメンバーでもあったのだ。ハプグッドによれば、現在のサハラ砂漠は紀
元前5500年には豊富な水があった。紀元前1万年ごろの最後の極移動の夜、数千年に
わたってサハラ砂漠は緑をなすのどかな大地であり、多くの湖があったのだ。当時のサハラ砂漠
の岩面彫刻の中には、家畜や牧夫を描いたものもある。
レンンエルとドーフィンの見解は、ハプグッドがポルトラーノの研究を通じて到達した結論と実にうまく一
致していた。もしも人間が紀元前5000年に外航船を作っていたとするなら、当時すで
に専門的な知識レベルを擁する文明があったということだ。その文明は、それ以外の高度
なテクノロジーの産物も容易に作ることができただろう。
さらにハプグッド自身もまた、純金の首飾りを見たことがあった―−エジプトではなく、メキシコ
で発見されたものだった。また、1956年にジョージタウンで行なわれたビリ・レイスの海図につ
いての番組に参加したアーリントン・マレリー大佐も驚くべき主張をしている。
マレリーはオハイオ州やヴァージニア州で多くの溶鉱炉跡を発掘したことがあるが、その結果、紀元前
4000年前から鉄の訓練技術が用いられていたことを確認したというのだ。のみならず、
古代エジプト人は驚くべき超高温を用いていたが、それは「原子爆弾の製作を可能にした
ものと同じプロセス」を用いて作り出されたものである。つまりマレリーによれば、科学者た
ちが20世紀においてようやく手にすることのできた新発見だと思っている核分裂のプロ
セスを、エジプト人は5000年前に使っていたというのだ。
だがハプグッドは、原子力に対しては懐疑的だった。彼はエクアドル沖に水没した謎の民族
の話を聞いたことがあったが、彼らの文明では光学が高度に発達しており、太陽光線を集
めるレンズやプリズムが作られていたという。
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,:2008/07/26(土) 20:56:25 ID:1+Woy44y
凹面鏡を使えば、太陽光線を集積させることができる――紀元前211年、アルキメデスは鏡を
使って、シュラクサイを包囲したローマのガレー船を焼いたという(ロバート・テンプルは、古代のレンズを
テーマとする「クリスタルの太陽」を書いた。それによれば、レンズは一般に知られる年だいよりも
はるか以前から存在していたという)。つまりハプグッドの考えでは、古代人は超高温の秘密
を知っていたのかもしれない――が、それは原子力ではなく、レンズをつかったものだった
という。
この興味深い話に対して、ボストン大学のファルーク・エル=バズ博士が面白い脚注を追加している。
エル=バズ博士はカイロの西方300マイル(約480キロ)の西エジプトの砂漠を旅して、その
奇怪な天然ピラミッドに魅了された。何十もの3角形の巨石が、平坦な砂漠の高原から突き出
しているのだ。これらの天然ピラミッドこそ、エジプトのピラミッドのヒントになったのではないか、と彼は思いついた。
西砂漠の風は、北すなわち地中海のほうから吹いてくる。ゆえに砂漠の砂は風によっても
たらされたのではない。それが岩石からできているとするなら、それは南から来たに違い
ない。では、どうやって? 河――つまり水によってに違いない。だが、この広大な乾燥
地帯のどこにそんな河があるというのか
さて、このエル=バズ博士はたまたま1967年から72年までの間、アポロ宇宙計画の月着陸
作戦の0指導に当たっていた。つまりNASAに相談するコネがあったのである。194
4年、彼は軌道を周回するスペースシャトルのレーダーを使って、この砂の海の底を観測した。
出来上がってきた写真を見て、彼は驚倒した。その地域一帯は、5000万年前に遡る網
状の河川に覆われており、中には幅20マイル(訳32キロ)に及ぶものもあったのだ。つま
りこの巨大な砂漠は、かつて緑をなす大地だったのである。
ローマ大学の地質学者フェクリ・ハッサンが干上がった湖床の周囲で行なった調査では、一万年前
から最後の氷河期の末期にまで遡る人間の住居跡が発見された。
当時、ここには年間を通じて豊富な降雨があった。2000年後(紀元前6000年ごろ)
には、降雨は夏だけになった。その3000年後、つまり、エジプトの王朝が現れたころ、
巨大旱魃が始まった――エル=バズによれば、それは太陽エネルギーの何らかの変動のため
だという。だが大ピラミッドが築かれた当時はギザの平原はまだ緑地だった。
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,:2008/07/26(土) 20:57:40 ID:1+Woy44y
現在の西砂漠にあった湖の周辺に住んでいた人々がどの程度の文明レベルに達していたのか、
もちろん不明だ。だが少なくともエジプト王朝の何千年も前に、文明を築く条件が整っ
ていたことは確かなのだ。彼らはストーンヘンジの数千年も前に、天文観測のために立石を建てて
いたかもしれない。このことは、ジョン・ウェストが「天空の蛇」(1979年)で提示した謎
を解く答えになるだろうか。つまりクフ王のエジプトの科学、医学、数学は、たかだか50
0年程度の文化ではありえないほどの高度なレベルに達していた、という謎だ。