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770名無しさん@お腹いっぱい。
1兆円企業トヨタ ハンドルどう切る? 名古屋特派員・茂谷知己
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050206-00000003-san-bus_all

 トヨタが元気だ。三日発表した平成十六年四−十二月連結決算の結果から今期の
最終利益が二年連続で一兆円を超えるのは確実になった。二〇〇三年には中国での
生産を開始し、今年はロシアでの工場設立も発表する予定だ。全世界に五十一もの
生産拠点を持ち、昨年は六百七十二万台、ダイハツ工業と日野自動車を合わせれば
七百五十二万台の車を生み出している世界第二のグループである。トヨタが目指す
ものは何なのか、どこに行こうとしているのだろうか。
 トヨタは三つの顔を持つ。世界企業、日本企業、そして愛知県の“地場企業”である。
 世界企業としては昨年、自動車の最大の市場・米国で、二百万台を超える車を売った。
これはGMなどビッグ3と呼ばれる米国系企業以外では初めての快挙だ。海外での生産は
昨年、三百四万台と、国内生産台数にあと六十四万台に迫っている。近い将来、逆転する
可能性が高い。
 一月には、欧州自動車工業会に加入申請をしている。「お客さまのあるところトヨタ
あり」(張富士夫社長)という、市場のあるところで車を生産するという最近のトヨタ
の姿勢を具現したものだろう。欧州車を作るトヨタは欧州の会社である、という考えだ。
 日本企業としてのトヨタは、常に一、二の業績を残しているが、自動車メーカーの
トップであるという地位もまた揺るぎない。昨年の国内シェアは、過去最高の44・4%
を記録した。
また、年功序列、終身雇用など日本企業としてのいい面をいまだに残している。
 愛知県の地場企業としての顔は今年、いかんなく発揮される。
 十七日に開港する中部国際空港に他の株主三社とともに民間企業としては最大の
出資をしている。人も十人程度を派遣。トヨタ出身の平野幸久氏が社長になったのも、
中部財界の要請である。再来年にはJR名古屋駅前にトヨタ毎日ビルが完成、国際営業
部門のおよそ半分、二百人を名古屋に移す。海外出張の多い国際営業の社員の異動は、
空港の利用者増につながるはずだ。
 また、三月に開幕する「愛・地球博」(愛知万博)では、トヨタグループパビリオン
をつくり、無人の次世代交通システム車を会場に走らせるなど貢献している。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2005/09/23(金) 12:58:32 ID:f3xvKX7W
>>770『1兆円企業トヨタ ハンドルどう切る?』のつづき

《危機に向き合い飛躍》
 トヨタが小型乗用車「ヴィッツ」を六年ぶりに全面改良した。一日に東京と名古屋で
発表したが、その中からトヨタの考えが浮かび上がってくる。東京で張社長は「小型車
重視の傾向は続く。国によっては税制優遇や規制緩和の対象であり、世界的に重要な車に
なっていく。メーン車種の一つになるのではないか。高級小型車にトヨタが出ていくこと
も十分にありうる」と語った。先を読む戦略と、売れると見たら新たな市場をあえて作ろう
とするトヨタの戦略が見て取れる。
 同じ日、名古屋でも岩月一詞副社長らが記者会見で質問に答えた。デザインについて
聞かれ、「欧州のデザインセンターとの競作で決まりました。競合しあって、いいデザイン
を作ってくれました」と語っていた。もともとヴィッツは、ヨーロッパ名を「ヤリス」と
言っている。近い将来、新型ヴィッツが、新型ヤリスになるはずだから、フランスにある
同社のデザインセンターとの共同作業は当然だ。
 デザインも見違えるようになった。トヨタ車といえば、かつては判で押したような、
箱のような車が多かった。社員も「八十点主義の車」と呼んでいた。頑丈で力強く内装も
いいが、あまり特徴がない。だが、大量に作るので、スケールメリットが出て安くなる。
それで、多くの人が乗ってくれる。そういう印象の車を作っていた。
 石橋をたたいても渡らない、いかにも愛知の企業ともいわれた。しかし、「プリウス」
や「レクサス」のようにデザインに力を入れ、世界の目で車を考えられるようになって
きたといえよう。
 社風が劇的に変わったのは、奥田碩会長(日本経団連会長)の社長時代だ。「何も
変えないことが最も悪いこと」という言葉で社員に訴え、攻めの経営に転じた。
 トヨタは、エンジンと電気モーターを併用するハイブリッドに代表されるように
環境技術にも熱心だが、これもホンダに触発された奥田氏のリーダーシップによるところ
が大きい。愛知万博では、ガソリンを使わないハイブリッドのバスを走らせるが、環境問題
と石油エネルギーの枯渇の問題を見据えたものだ。
 そればかりかロシアでの工場建設は、ロシアのEU(欧州連合)参加の可能性もないとは
いえないと考えているフシもある。ある役員は「EUに入れば、関税などもぐっと下がる
はず」と語り、賃金の安いロシアでの生産が有利になるかもしれないという。
 トヨタは平成十四年に発表した「二〇一〇年グローバルビジョン」で、二〇一〇年代の
早期にグループのシェアを世界の15%にすることを目標に掲げた。奥田氏は昨年の経営
説明会で、二〇〇六年のグループの販売台数を八百五十万台とぶちあげた。二〇〇四年の
販売台数が七百五十二万台、販売は年間五十万台増を上回る勢いだから、十分、達成可能だ。
 トップのGMの昨年の販売台数が八百九十九万台だから、GMの販売台数がこのままだと、
射程圏内に到達することになる。そのころ、日本一から世界一になる瞬間がようやくやって
くる。
 飛躍するトヨタだが、役員のほとんどが、トヨタの「今そこにある危機」について質問
されると、それぞれが、とうとうと語る。また、そういう話題が出るのを喜ぶ。今のところ、
トヨタに死角はなさそうだ。
(産経新聞) - 2月6日2時27分更新