>>768 すみません。非常に重要な点ですので書かせてください。簡潔にします。
*e-so-o-san-nupuri
(o-san他動詞+2)で、SOVの語順なら
e(φ主語)-so(目的語)-(o-san他動詞+2 )-nupuri(N 本来的主語)となり
e-=-nupuri(山の頭) …@
田村辞典にはサタモさんからの聞き取りで、もちろんo「尻」としていますが
以下の用例があります。
petosanputu<pet(主語)-(o-san自動詞+1)-putu(N所属形、即ち⊂pet)
pet≒putu(川の口) …A
@とAを「違う」とみるか「同じ」とみるか? 難しい問題です。
∵ { pet(主語)-(o-san自動詞+1) →N} -put(N概念形)ではなく -putu(N所属形、即ち⊂pet)であるのは pet≒putu petosanputu<pet(主語)-(o-san自動詞+1)-putu(N所属形、即ち⊂pet) …A yuk(主語)-o-san(述語+1)-nay(N) ……B もし( )を使ってAとBを整合的に解釈するなら Aはpet≒putu Bはyuk≠nay ∴Bのo-san(述語+1)は(o-san他動詞+2)と同音異義に考えます。 一方、「自」動詞語幹の後項には「斜格(場所)」的要素が有標化すると 考えれば ABともに「斜格(場所)」であり、どちらのo-も同じものとなります。
まとめ 動詞「語幹」の動詞価を基準(括弧を使わない)とし、主格目的格以外を「斜格」とすると @ 「抱合」 (e-,o-)−O−V(+2) −N(本来的主語) (e-,o-)=N 他動詞主語を忌避 ⇒ o(φS)-so(O)-us(+2)-i(N本来的主語) A 「非抱合」 S−O−N(斜格) −(e-,o-)−V(+2) (e-,o-)は先行詞を受ける ⇒ menoko(S) ni(O) suma(斜格) e-kik(+2) ×A’ 「抱合」 S−O−(e-,o-)−V(+2) −N(斜格) 他動詞主語を忌避 ⇒ 他動詞主語を認めると、あたかも二重人格を肯定することになってしまうから。 B 「非抱合」 S−N(斜格) −(e-,o-)−V(+1) (e-,o-)は先行詞を受ける ⇒ kamuy-kotan(S) to-teksam(斜格) e-an(+1) C 「抱合」 S−(e-,o-)−V(+1) −N(斜格) ⇒ pet(S)-o-san(+1)-putu(斜格) ?D 「抱合」 (e-,o-)−S−V(+1) −N(斜格) ⇒ ? e(φ斜格)-so(S)-san(+1)-nupuri(N斜格) 忌避される他動詞主語でもなく且つCの「抱合」が可能なら認める必要性は少ないのか? とすると @〜Cから、動詞「語幹」に接頭する場合は「斜格」、それ以外は「主語」を標示するのか?
772 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/09/23(水) 21:52:54 ID:BYybBfZL
遠軽の丸瀬布(マウレセップ)の地名解 某掲示板の地名解 mar(現代朝鮮語の馬) se(男)p 山田先生も未解決ですが、あまりに酷いので、自分なりの試案を敢えて アイヌ語は母音の前進的同化(『アイヌ語に於ける母音調和』)が多いことから e-rimse⇒e-remseで maw(-1)-e(+1)-remse(+1)-p(-1)<maw(-1)-e(+1)-rimse(+1)-p(-1) 地形 互いに20度以上の角度で河川が合流し、且つ角度の総和が120度以内で 前方に障害となる丘陵などがある多少開けた土地の場合 ちょうど桶に水を三方から注いだように、河川谷を下る風(気流)が渦を巻く可能性があります。 語分析 次に、このe-は(+1)に接頭しているので、e-は「斜格」を標示することになります。 この点ku(S)=turi(O-1)-e(+1)-cipo(+1) (もちろんcip(-1)-o(+2)と分析できますが 徹頭徹尾、括弧を使わないという訳にはいきませんので、cipo(+1)とします。) この場合turiはe-cipo(+2 〜で漕ぐ)の目的語で、対格の抱合ですが、 先述の分析に従えば、e(+1)-cipo(+1)でe-は「斜格」を標示することになります。 そして「斜格」の場合、通常「意味」的には「場所」あるいは「道具」を示します。 とすると この場合、「斜格」の示す対象が、-i(場所) ではなく、-pとなっている点を重視すれば 「風が舞う処」ではなく、意味的には「風が舞うようにしむける地形」と考えます。 「子の川が並んで、三つある広い処」というのは、ある具体的な特定の「地点」ではなく、 むしろ「地勢」を、そう表現しているのかもしれません。
>>772 もし括弧を使わないとしたら、すなわちcipo(+1)としないなら
>>771 の@〜C以外の第三類型として
e-cipo(+2 〜で漕ぐ)のような(e-,o-)−N −V(+2)型の中間形態があります。
たとえば、o-maw-suye(+2) o-nis-poso(+2) o-pe-kus(+2)等
cf o-so-us-iは動詞語幹後項にNを取るので別類型
この場合、ちょうど@〜Cが2類型(@本来的主語、A〜C斜格)に分かれるように
「意味」上、A及びBに分類できます。⇒文脈(動作主らしさ)によって決まります。
A (e-,o-)(非主格)−N(a) −V(+2) Na…動作主、「主」、有意性のある場合
B (e-,o-)(主語)−N(b) −V(+2) Nb…受動者、「従」、有意性のない場合
すなわち
⇒ Naの場合、前項の(e-,o-)の標示する対象は「非主格」
⇒ Nbの場合、前項の(e-,o-)の標示する対象は「主格」
turi(竿)-e-cip(舟)-o(+2)
turi(従)、cip(主)から、-e-は「非主格」⇒意味上は「道具」
とすると
>>771 のDはどうなのか? 「地名」からはありそうな気がしますが
ただ、表記の問題から地名は決め手にはなりません。正直分からないです。
地名の話題 カムチャツカ半島西岸のボリシャヤ川の北には、あまり知られていないがutkaという川がある。 もちろん南イテリメン語の川がkaw/kauなのでkaで終わる河川名はイテリメン語の可能性があるが また、北千島、カムチャツカにある地名としてライシャシがある。 面白い事に、北海道のオホーツク海沿岸北部にはライシャシがあり、その近くには エサヌカ川[<e(その頭が)-san(浜の方に出ている)-utka(浅瀬)]がある。 妄想だが 地名の癖から考えると、北千島、カムチャツカアイヌの故地は北海道の太平洋側ではなく、 (南千島アイヌは北海道の太平洋側が故地?)北海道のオホーツク海沿岸かも? 丸瀬布の別解 mo(小さい方の)-ure(脚が)-sep(広がっている) 難点 oとuの混同はあるが、oと aの混同は少ない。 比喩でureを使うのであれば、一つの川が途中で幾筋にも分かれるような地形の方がベター ここは黒曜石を産出する白滝や大量の鮭が遡上する上川盆地へのルート上で深い谷が特徴
775 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/10/23(金) 10:26:59 ID:XC6IGfn0
>771 「動詞語幹に前置されていれば斜格マーカー、それ以外は主語」 というのは文法現象としてはありそうにないですね。やはり 「動詞語幹に前置されていれば動詞接辞、それ以外は名詞接辞」 ということではないでしょうか。 >774 utkaはロシア語だと考えていました。 アイヌ語という可能性もありますかね。判別は難しそうですが。
776 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/10/24(土) 17:20:34 ID:qw8vRtIs
u-or-unuに関して
otcike(1) oske itanki(2) uorunu hine 静内地方の伝承Vp242
kaparpe otcike(1) kaparpe itanki(2) uorunu hine 静内地方の伝承Wp244
kaparpe-otcike(1) kaparpe-itank(2)i uor(u)nu-ine 人々の物語p15
以上目的語は2つ
一方u-oro-unuの例
kapar-pe itanki(1) kapar-pe otcike(2) su(3) sanke(2動) hine huraye(2動) hine u-oro-unu(3動) hine
目的語は2つ、あるいは3つ
>>731 のu-(w)oro-roskiと同じような傾向がある
⇒⇒u-(w)or-roski同格で目的語1つ u-(w)oro-roski目的語2つの場合及び所属形
A…佐藤先生『他動詞が名詞の所属形を抱合している確実な例はないようである』
例外はtomouye、u-(w)oro-roski、u-oro-unu?等
ただし、例外はごく少ないので、Aはアイヌ語の語形成に於ける一般的傾向と考えられる。
B…e / oは名詞接辞で、名詞の所属形と意味的に同じ役割を果たしている
とすると
これはAのアイヌ語の語形成に於ける一般的傾向と抵触することになる。
そこで、これを回避すべく周接型(o-so-us-i)及び
>>773 の(e-,o-)−N −V(+2)型の中間形態を含めて、無理は承知で整合的に解釈した次第です。
勿論「動詞語幹に前置されていれば動詞接辞、それ以外は名詞接辞」が誤りと言うつもりはありません。
utkaに関して
もちろん鴨川の可能性はありますが
道東に於けるutkaはエサヌカ川、別当賀(pet-utka)を含めて河川全長が短く
下流に潟湖や河跡湖を伴うものが多いようです。
カムチャツカ半島西岸のutkaも、これに似ています。
丸瀬布に関して
この地名解は非常に難しいですが、湧別川下流には婦美(humi)札富美(sat-humi)と、地名では
極めて異例なhum(音)を構成要素とする河川名があること、北見峠は石北峠より標高が低く
偏西風が分水嶺を越え易いことから、そう考えました。
訂正 ×kaparpe-itank(2)i⇒○kaparpe-itanki(2) ×tomouye⇒○tomotuye 補足 utkaに関して、mukaは語源が不確かなため今のところ除外
補足
ku=turi-e-cip-o<ku=turi(-1竿)-e(+1)-cip(-1舟)-o(+2動詞語幹)に於ける
-e-の品詞分類
A…動詞語幹に接頭していないので名詞接辞
B…合成(複合)動詞cip-o(+1自動詞)の、取り得る動詞価を増やす目的語指示接辞
この場合-e-はAB両方の性質を有する。
>>776 の抵触を回避する為に、AよりBに近いものと考えます。
mukaに関して
Omanpeshkaunmat anipuntari eshimukko-anihitara chikupso-utur erututke
オマンペシカ媛はもろくちの銚子を胸まで持ち上げていて、酒席の間を斡旋した(知里訳)
eshimukko-anihitara=e-si-muk-ko-ani-hitara(胸まで持ち上げていて)
mukas=anよばいする(樺太)<muk(胸)-e(で)-as(立つ)=an
cfよばいする i(それの)-o(陰部)-kuyra(に忍び寄る)
以上からmukは合成語の中で「胸」「乳房」を表す。
そこで各辞典をみると
mu(+1自動詞) 塞がる つまる 田村辞典
mu(+1)−ke つまる 萱野辞典
mu(+1)−re ふさぐ 萱野辞典
同音異義語
mu(+2他動詞) 〜をよじ登る、はい上る
例kamuy nupuri an=mu turasi rikip ka a=koyaykus 静内地方の伝承X p25
一方久保寺辞典p161では
mu塞がる mu (v)木にのぼる
mu=muk (完全動詞)塞がっている
muk塞がる muk-ka塞がらす
muka(vi)上る、登る =mure
ムカ(muka) 水が湧く にじみ出る 上原熊次郎(江戸期)
以上かなり錯綜しています。
そこで私見ですが
アイヌ語の母音a, o,u,i,eのうち、o,u,i,eは自動詞語幹に接尾して他動詞化し得るのに対し
母音aは自動詞語幹に接尾して他動詞化する事はありません。『アイヌ語に於ける母音調和』
とすると
muk=mukaと考えることが可能です。
mukが化石化した用例で「乳房」を表すのであれば、自動詞は転成して名詞となり得
muk「乳房」は当然分泌物が出るので、ムカ(muka)「水が湧く、にじみ出る」と
同語の可能性があることになります。
以上から、もしかしたら次のように整理できるのかもしれません。
@mu(+1自動詞) 塞がる つまる 他動詞はmu-ke mu-re
久保寺辞典の muk-ka「塞がらす」 は誤り?
Amu(+2他動詞) 〜をよじ登る、はい上る 複他動詞形は無し?
久保寺辞典の mure(vi)「上る、登る」 は誤り?
Bmuk/ muka (+1自動詞) 「水が湧く、にじみ出る」
Cmuk/ muka (名詞) 「胸、乳房、分泌物」
これを地名に当て嵌めると
鵡川 Cmuk/ muka (名詞) 「分泌物」⇒水の湧き出る所
占冠 si−Bmuk/ muka (+1自動詞) 「水が湧く、にじみ出る」−p
無加 Cmuk/ muka (名詞) 「分泌物」⇒水(水銀)の湧き出る所
イトムカ i(目的格接辞)-tom(位置名詞)-o(+2)-muka(C名詞「分泌物」)
⇒⇒⇒⇒⇒o(+2他動詞)は「場所」を取るので、(川)の中で水(水銀)の湧き出る所
779 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/10/26(月) 02:54:50 ID:lMF0Z4mw
なるほど。 バチェラーがやはりmuka「to ooze outにじみ出る」の項でmu=muk=mukaという分析をしています。 知里も人間編でmukが合成語中で胸を指すと指摘しています。 「にじみ出る=乳房」というのは面白い可能性ですね。 それはそれとして、久保寺のmukka「塞がらす」はバチェラーにもありますし、 語構成としてあり得る形ではないでしょうか。
>>779 確かにそうですね 訂正します。
>>778 は
同音異義を極力回避し、かつmuk?(+1自動詞)「塞がる、つまる」の単独形を
要調査とした故の私見です。
muka (+1自動詞)と mu-kaではなく muk-ka(+2他動詞)「塞がらす」なら
動詞価も違いますし、語構成としては可能だと思います。
知里地名辞典でもmu=muk(+1自動詞) 塞がる、つまる としています。
まとめると、以下のとおり
@mu(+1自動詞) 塞がる つまる 他動詞はmu-ke mu-re
Amuk?(+1自動詞) 塞がる、つまる 他動詞はmuk-ka
cf mukemuke(+1自動詞) ぎっちりつまっている 中川千歳辞典
Bmu(+2他動詞) 〜をよじ登る、はい上る 複他動詞形は無し?
久保寺辞典の mure(vi)「上る、登る」 は誤り?
Cmuk/ muka (+1自動詞) 「水が湧く、にじみ出る」
Dmuk/ muka (名詞) 「胸、乳房、分泌物」
muxsireciwつまづく<muk-sir(地)-e(に)-ciw(突く)『北蝦夷古謡遺篇』 の例から
sir(地)をciw(突く)のは胸板ではなく凸の乳房しか考えられませんので
muk(名詞)=「乳房」で間違いないと思います。
とすると
沙流川の雅名si-sir-mukaは
(湧出づる)偉大なる大地の恵み(乳)(である沙流川)となります。
ちょうど聖書の中でカナンが「乳と蜜が流れる地」と呼ばれた事と似ています。
また
博学なNisurekkur氏の伝承では鵡川と沙流川アイヌのiwor争いの際の談判として
Shine metot e-we-turashp a-usamomare a-kor pet ne yakun
shine hapo uren toto e-shukup utar korachi anpe a-ne wa shir-an.
同じき水源の山へ 川伝ひに遡り行き 相並び合ふ 我等が川なれば
同じ慈母の 両つの乳房 もて育ちたる さながらの 我等にあらずや。(久保寺訳)
と鵡川と沙流川が「両つの乳房」に喩えられています。
知里分類辞典の当該箇所も、主語のOmanpeshkaunmat (大正2年ワカルパより採録)を
省略していなければ、もっと早くに気づいていたのかもしれません。
バチェラーの分析(英文)は正鵠を得ています。採録時期が明治と昭和ではかなり語彙が
縮小しているような気がします。
バチェラー辞典は、他辞典での推論の後にいわば「答え合わせ」的に使っています。
781 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/10/27(火) 06:10:23 ID:/4VeCbmu
>>780 共時的分析においては、「同音異義語を極力回避する」理由がよく分かりませんけどね。
「語源」というのは基本的にファンタジーだと思っておりますので。
で、si-sir-mukaについて、mukaを名詞とするのにはためらいますね。
sirに後続するなら動詞という可能性のほうが高い。
>>781 鵡川と平仄を合わせたまでで、おっしゃるとおりです。
「同音異義語を極力回避する」
端折り過ぎました(長くなってしまうので)。 以下、知里分類辞典、田村辞典から
A
@mux-cara(caru)食道 樺太鵜城 <muk(胸)-cara(口)
Amukcar(o)みぞおち 沙流 <muk(胸)-car(口)
Bmut-car-kam(熊の)喉肉 屈斜路 <muk(胸)-car(口)-kam(肉)
Cmukkamama(猫等が日向に)腹這いになっている美幌 <muk(胸)- kamama(かぶさっている)
Dmukkataoma自動詞 座って上体を前に倒す 沙流 <muk(胸)-ka(の上)-ta(に)-oma(位置する)
Emukramama 自動詞 中腰になっている 沙流 <muk(胸)-rama(を低くする)-ma(重複)
B
@mutcar(a) 喉(首) 美幌 屈斜路 <muk(塞がる)-car(口)
Amuxcara甲状骨上縁と舌骨間の窩 樺太白浦 <muk(塞がる)-cara(口)
Bpen-muxcara 甲状骨上縁と舌骨間の窩 樺太白浦 <pen(上方の)-muk(塞がる)-cara(口)
Cmukkot窒死する 金田一訳 金成マツーカラ集Tp126 〜anekonramu mukkot kane 〜
※mukkot 恐れる バチェラー辞典 〜kewtum oroke mukkot kane kotom an〜
Cmukkot(+1) <[muk(塞がる+1?)-kot(喉?)] →(動詞価?) 要検討
あるいはバチェラーの例から、Bのmuk(塞がる+1)ではなくAのmuk(胸)?
mukkot(+1)<muk(胸-1)-kot(+2)又は<muk(胸) -ot(名詞について自動詞化する他動詞語根)
C
mutcar-pone 鎖骨 美幌 <muk(?)-car(口)-pone(骨)
以上、Aはmuk(胸)、Bはmuk(塞がる)、Cはmuk(不明?)と分類できます。
このうちBBのpen-muxcaraはpen(上方の)となっているので
muk(胸)-cara(口)「食道、あるいはみぞおち」の可能性もあります。
Bの例よりAの例の方が多く、また同音異義で錯綜しています。
訂正 eが脱落してました <muk(胸-1)-ekot(+2) 補足 Bのmuk(塞がる+1)なら <muk(塞がる+1⇒動名詞−1) -ekot(+2) 自動詞抱合も可能か?
784 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/10/30(金) 20:25:11 ID:EmYzKx6G
鵡川muka=muk「乳房、分泌物、にじみ出る」の証明の続き
muk(塞がる+1)の単独の使用例として
☆etu-muk旭川 「鼻がつまる」
etu-mu 千歳
etu-esikari 屈斜路 <etu(鼻が)-esikari(つまる)
etu-isikari 樺太白浦<etu(鼻が)-isikari(つまる)
etu-esaxte 樺太鵜城<etu(鼻が)e(それに於いて)-saxte(乾かす)
enitatke 幌別<e(そこに、鼻に)-ni-tat-ke(棒がはさまったようになる)
enitaxke 樺太白浦鵜城真岡<e(鼻に)-ni-tax-ke(棒がはさまったようになる)
田村辞典 nupe kus puyehe mu wa ne nankor涙の穴がつまる
☆『蝦夷語』では「ムツ」「塞」の意味 嘉永3年 松浦武四郎 江戸期の文献に関しては調査中
mukの単独の用例がetuと伴に使用されているのは非常に興味深い
鼻がつまるのも鼻水がにじむのも、風邪の一連の症状であり、伴に粘膜の異常が原因だから
以上
>>782 で検討してきたように合成語のmukは「胸、乳房、分泌物」の意味が多い。
785 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/10/30(金) 20:34:54 ID:EmYzKx6G
一応合成語のmukと思われるのは(但し、mu(+1)⇒mu-keで厳密にはmukではない。) 例 mukemuke(+1) 互いに押し合いへし合いする ぎっちりつまっている 中川千歳方言辞典 一方 ツルニンジンのmuk{和名 蔓人参 『本草和名(延喜18年頃918年)』では止止岐(トトキ) 古来より美味な代表的山菜 生薬名は「羊乳」}も知里分類辞典によれば、別名tope-muk/top-mukで 茎や根を切るとべとつく白い乳汁のような液が出るのでtope-muk呼ばれたとあり 美幌では母乳の出ない時、煎じて飲み同時にその煎汁で乳房を冷やしたとある。 また、mukは合成語の中で「根」「地下茎」の意味で使われ、丸い物のころがる様の形容と しての例もある。 muk karkarse sikopayar (バアソブの)根がころがるのとそっくりだ とすると「ツルニンジン」や「地下茎」のmukは「胸、乳房、分泌物」のmukの転義と考えられる。 そこで otは、魚や鳥等の動物すなわち「動くもの」や 「液状のもの」(kem-ot やye-ot)に使われること(例 辺乙部pe-ot-pe 瑠橡(るろち)rur-ot-i)から 向別川(モコベツ、モコチ、ムクチ)は動かない植物の「ツルニンジン」ではなく、 (muk-ot-i)<muk(分泌物)-ot(他動詞語根)-i(名詞化接辞)とした方が妥当と考える。 また逆に-otが後接していることから、muk⇒「液状のもの」との推定も働きます。 Q.E.D. ホスト規制で携帯からです。長文の返事はできません。
目名大橋付近で向別川に合流しているメナブト川の異名が<mena(湧水地)-kot(窪地)-ruy(が多い)であるのも、この証左です。
787 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/10/31(土) 20:48:41 ID:aM5q8XKo
Dybowskiの千島アイヌ語の資料では eskariつまる etumu鼻風邪<etu(鼻)-mu(つまる?) muk pe汚い水<muk(にじみ出る?)-pe(水)で muk(+1にじみ出る)の単独形がある。 一雄武<o-muは『蝦夷語』のムツにもかかわらずヲム(松浦) ヲウム(上原)である。 雄武と同じくオホーツク海側の網走方言(安政2年生工藤)でも ム(mu) 塞がる、ムッカネ (mukkane) 円き<muk(乳房?)-kaneで mukではない。とすると mu(+1塞がる)の他動詞形がmukka、mu-re mu-keで muk(+1塞がる)は存在が疑われます。 どう思われますか?
muk「ふさがる」は久保寺とバチェラーにみえるだけですね。 そんな動詞は無いのかもしれませんね。
789 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/03(火) 12:24:16 ID:jAX8Muhk
阿蘇山、浅間山、那須岳、有珠山・・富士浅間神社 アソとは火山のことだから日本全国アイヌ人が住んでいたことが分かる。
790 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/04(水) 22:02:09 ID:TXUHJeft
鵡川(ムカハ)のアイヌ語地名の語源 muk/ muka 「水の湧き出る所」 占冠のアイヌ語地名の語源 si-muka-p 「真に水の湧き出る所」 無加川のアイヌ語地名の語源 muk/ muka 「水の湧き出る所」 イトムカ川のアイヌ語地名の語源 i-tom-o-muka 「その斜面の中程で水の湧き出る所」 向別川(ムコチ モコチ) のアイヌ語地名の語源 muk-ot-i 「湧水が多くある所」 まとめ mu 塞がる 自動詞 他動詞形mukka muke mure muk/ muka 水がしみ出る 自動詞 muk/ muka 胸、乳房、乳 名詞 mu 登る 他動詞 mukpa/mukke 隠れる 秘密である 自動詞 (ユーカラ集Vp231) 反意語sara
791 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/15(日) 17:07:20 ID:K6d67M6j
沙流川 シシリムカsisirmuka<si(偉大な)-sir(大地から)-muka(水の湧き出る所) mukの使用例 komukshirechiu<ko(+1)-muk(-1)-sir(-1)-e(+1)-ciw(+2) /aki korユーカラ集[p106 pirka menoko /mukereyeko<muk(-1)-e(+1)-reye(+1)-ko/yupnataraユーカラ集\p362 eshimukko/anihitara<e-si-muk-ko-ani-hitara金田一京助全集\p400 虎杖丸曲 以上ワカルパ ムシレチウmu(x)-sir-e-ciw ムシレチウ/ランケmu(x)-sir-e-ciw ムッシレチウmux-sir-e-ciw 金田一京助全集\p78 p83 p89 北蝦夷古謡遺篇 ラマンテ mukは表現が古雅なワカルパや樺太のハウキで多用される。 松浦武四郎の蝦夷語も前半の「支躰」の病名のところに「鼻塞」「イツムツ」とあり 後半の「態」の動詞の「塞」「ムツ」は「イツムツ」から解釈した可能性がある。 とするとDybowskiのmuk pe汚い水<muk(にじみ出る)-pe(水)から、muk/(+1)「にじみ出る」は 19世紀の前半には既にマイナスイメージとなり、廃れていたのではないだろうか? ot「存在動詞」に関して アイヌタイムズ編集責任者の浜田氏はotは単複関係なく「液体」をイメージしつつ使われるもの とかなり語義を限定しています。しかし以下の例から問題があります。 shinutapkaunmat/Ponmoshir kotan/eot <e(±0)-ot(+2)赴くruweneユーカラ集[p111ワカルパ Urarochi<urar-ot-i村名 霞村 ユーカラ集[p205 コタンピラ 1有生物+ ot ciray-ot知来乙cikap-otチカプオツ cep-otチェポツ supun-ot-pe宿野辺 ceppo-ot-iチヱツポヲチ cir-ot-(to)白人supun-ot-nayシブノツナイ 2有生物の一部(体液) + ot kem-ot ye-ot pe-ot-pe辺乙部 muk-ot-iムコチ向別川muka-ot-i?俣落? 3無生物+ ot rur-ot-i瑠橡(るろち) urar-ot-i霞村 以上から「存在動詞」otは知里説の「群在」、より正確に言えば動的複数を表すと思われます。 従って、浜田説は誤り、もちろん鵡川の地名解も誤りとなります。
792 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/15(日) 17:08:05 ID:K6d67M6j
「存在動詞」ot
A 有生物(主語)−ot(+2)−場所(目的語)
B 無生物(主語)−ot(+2)−場所(目的語)
※C 場所(主語)−ot(+2) −有生物(目的語)
※D 場所(主語)−ot(+2) −無生物(目的語)
otが「液体」をイメージしつつ使われるものではなく、動的複数を表すとしたら
o(+2)と比べて、※C※Dは出現頻度が劣るのではないでしょうか?
さらに
>>757 >>758 で検証したように
φ(S)+O+V(+2)+N≒O+V(+2)+Nで
X…佐藤先生によれば千歳方言辞典中O+V(+2)+N型で主語述語関係が認められるものは
amam-e-cikap等すべて神名、動植物名、役職名で合計10例のみ。
o-〜-i型では、本来ならNが必要。S+O+V(+2)+φ(N)の語形が許容されるのは
以下の例から「有生物」の場合で
省略 ※1 名詞 oysiru(-cep) 「産卵後の尾がバサバサになった鮭」
省略 ※2 名詞 opankaus<o-pan-kuwa-us-(kamuy) 「後足の長いクマ」
例外 ※3 名詞 omakirus 「エゾツユムシ」
※1〜※3は動物名、神名
Y…「無生物」の場合は、動詞語幹後項の「本来的」主語要素の有標化が義務的になる
とすると
この規則Yを「存在動詞」otに当て嵌めると
「無生物」が主語の場合は、目的語の「場所」の有標化が義務的になる。
Aの有生物(主語)−ot(+2)−場所(目的語) の場合にのみ例外が生じる可能性があります。
これを「動詞」の側から規定すると
Aのケースでは自動詞他動詞両形の人称変化が可能と言うことになります。
従来知られている自他両形の人称変化をする動詞roski やmatkosanuは
このAのケースに該当します。
アムシヨカタ<amso(先行詞)-ka(位置名詞)-ta/アマツコシヤヌa=matkosanu 『彰考館旧蔵
蝦夷チャランケ並浄瑠璃言』 佐藤先生はSapirダコタ語の自動詞におけるactive、inactiveの
区別と関連を有する可能性がある。とするが
inkar(+1)とnukar(+2)の違いで inkar(+1)が「場所」であるcise okariを目的語とできる
ように、「場所」はあらかじめ具体的に目に見えては存在せず、相対的な位置関係が発生して
はじめて認識できるように、目的語としての「場所」は他の目的語よりも独立性、具体性に
乏しいのが原因なのではないでしょうか?
現にa=matkosanuも位置名詞-kaを、先行詞をともなって、目的語としています。
まとめると
有生物が主語で、目的語が場所の場合に例外が生じ、
自他両形の人称変化をする動詞は、このケースに限られる。
793 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/16(月) 20:02:47 ID:SpDBnJo9
「存在動詞」otの補足 apa-ot-ki出入口に付けてある簀 puyar-or-ot-pe窓にに付けてある簀 簀はオニガヤkiをたくさん束ねてitesekaで編んだものであり どちらも出入または採光のため自在に動かなければ用を成さないもの 従って、「液体」をイメージしつつ使われるものなんかではなく、原義は『動的複数』でしょう。 roskiは頻出語で日常様々な使われ方をしますので一概には言えませんが 自動詞のroskiは奥田先生によれば主語が複数または人称接辞=anを接尾した場合が多いようです。 roskiの用例分析は極めて厄介です。 そこで、参考までに 『彰考館旧蔵蝦夷チャランケ並浄瑠璃言』には、他に自他両形の人称変化をする動詞として a=soyoterke<soy-o-terke 「家等の中から跳んで出る」がある 用例A用例B 田村辞典では rikunsuy kari(後置副詞) soyoterke=an inkar(+1)が「場所」であるcise okari(後置副詞)を目的語とできると同じように ここでも後置副詞が使われています。 cf sep pinay kari(後置副詞) kira(+1) 用例A カ子ポンカシヤ/ アシヤハウヌ/ タプヲロワ kane pon kasa /a=sapaunu / tap or wa 金の 小 笠を /私はかぶった /それから アシヨヨテレケ/ イクルカ子ケウゴシヤンバ a=soyoterke /「イクルカ子」佐藤先生は不明の為未記載私訳i=kurka ne kewkosanpa 私は飛び出した/私の上の方へ(私訳) ドスンと鳴った 用例B タフ子アンベ/ アエホマトウ /アシヨヨテレケ tap ne an pe /a=ehomatu /a=soyoterke こんなこと /私は驚いた /私は飛び出した ピシユンルルシヤマ/ リコテレケレ pis un rur sam /rikoterkere 浜の海の側 /飛ばせた 用例ABとも、a=soyoterkeの目的語と思われるものが見当たらない。 またotに関する@有生物 A有生物の一部である体液 B無生物 という分類の内 Aは身体の一部である頭、尻等の前述した「部分普通名詞」(位置名詞と似た機能をする)と もしかしたらパラレルの関係にあるのかもしれません。
794 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/16(月) 22:17:28 ID:SpDBnJo9
訂正 apa-ot-ki出入口に付けてある簀 誤puyar-or-ot-pe窓にに付けてある簀 正puyar-or-ot-pe窓に付けてある簀 ※D 場所(主語)−ot(+2) −無生物(目的語) の例
俣落のアイヌ語地名 muka-ot-i<muka(湧水(<乳汁)が)-ot(複数ある)-i(所) マタヲチ 松浦武四郎『志辺都誌』1858年『東西蝦夷山川地理取調図』1859年『東蝦夷日誌』1878年 マタオチ川 大日本帝国陸地測量部『5万分の1』1897年 上記以外の表記があれば、muk→mukaと言えるのだが。
まとめ 「存在他動詞」ot(+2) 原義は『動的複数』 A 有生物(主語)−ot(+2)−場所(目的語) ⇒ciray-ot知来乙cikap-otチカプオツ cep-otチェポツceppo-ot-iチヱツポヲチsupun-ot-nayシブノツナイ ⇒有生物の一部である体液の例 kem-ot ye-ot muk-ot-iムコチ向別川 B 無生物(主語)−ot(+2)−場所(目的語) ⇒rur-ot-i瑠橡(るろち) urar-ot-i霞村 ※C 場所(主語)−ot(+2) −有生物(目的語) ⇒kim-ot-pe山のケダモノ(狐) 知里分類辞典 北千島 rep-ot-pe海のケダモノ sakkimotpe shinnaishama<sak-kim-ot-pe sinnaysama夏狐の化け物 金田一京助全集\p375虎杖丸曲 但しWakarpaは「熊」とする ※D 場所(主語)−ot(+2) −無生物(目的語) ⇒apa-(or)-ot-ki puyar-or-ot-pe 「静的」であるo(+2)と比べて、※C、※Dの出現頻度は低い。 A…有生物(主語)−ot(+2)−場所(目的語) の場合に例外が生じる
797 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/18(水) 23:33:00 ID:9SDe/jlu
自他両形の人称変化をする動詞の例 自動詞のika(溢れる、越える+1)の他動詞としての使用例 a=yupihi i=tura wa ek orowa i=kucikare ruwe ne 千歳方言(中川) 私の兄が 私を連れて来て 私を崖から突き落としたのです。 i=kucikare < i(対格人称接辞)=kut(ひどい岩崖−1)-ika(〜を越える+2)-re(使役+1) 主語a=yupihi「私の兄」 意味上の主語i=「私」 このケースでも主語が有生物で、kutが目的語として「場所的※」に使われています。 ※ ちなみにciseは文法上「場所」ではありませんが、韻文中ではun ciseとなった場合 taが後続し、「場所」として扱われます。 これも、目的語としての「場所」は他の目的語よりも独立性、具体性に乏しい事の証左では ないでしょうか?
798 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/19(木) 23:36:35 ID:5urbBR7+
虻田 網走のアイヌ語地名解 Dybowski(北千島)にはapa「破る」apo「打つ」という語彙がある。 一方、田村辞典では sir(−1)-apa(+1)雨漏りする apa(屋根が)漏る 昔はtoy-cise(穴居)で、屋根はcise ne sirのように、「山」と表現されていた。 よってsir=大地→山→屋根となります。道東の本別(村崎)でも taan cise apa とすると sir-apa「雨漏りする」とはsir(大地が) -apa(破れる 裂ける)が原義と思われます。 一方aputki「魚や野菜を干すのに使う簀」で、田村辞典では<aput-ki(簀) このaput-kiは更に< apa(裂けた)-at(オヒョウ楡の樹皮)-ki(簀)と分析できるのでは? aputkiはオヒョウ楡の樹皮を剥いだものを、裂き、さらにそれをよってitesekaを作り、 ki(オニガヤ)を編んで完成します。 虻田付近の地名 「正保日本総図」(正保元年1644年) 「ウスシリ」有珠? 「津軽一統志」(寛文9年1669年) 「おこたらへ」 「元禄郷帳」(元禄10年1697年) 「べんべ」弁辺(豊浦)、「おこたらへ」、「うす」有珠 虻田の初出は「松前東西郷並に蝦夷地所付」(享保12年1722年) この間、有珠山の噴火(寛文3年1663年 明和6年1769年 文政5年1822年)があり 集落はA〜Cと移動した A「おこたらへ」(高砂貝塚、入江貝塚の間か?) 寛文3年1663年の有珠山の噴火が原因か? 虻田の初出 B「アブタ」(小有珠山から入江川を真っ直ぐ伸ばした辺り) 文政5年1822年の有珠山の噴火で移動し C「フレナイ」(西側の現在の洞爺付近) このうちAは常丹トコタンtu-kotanで「おこたらへ」<o-kotan-un-peと考えられる Bの「アブタ」は<apa(裂けた)-ota(砂浜)ではないだろうか? 理由 @otaは各地で「宇田」とも表記されるようにoとuは混同され易い A「裂けている」の意味のperkeを含む地名が存在する 知床のペレケperke-i エベレケe-perke等 Botaに自動詞が前接した例として 室蘭のporo-peker(明るい、清明な)-ota(砂浜) もしかしたら、寛文3年(1663年)の有珠山の噴火により、砂浜が地割れして川の流れが変化し 新たに虻田の集落が元禄10年(1697年)以降に成立したのかもしれない。 網走の地名解 「津軽一統志」(1669年) 「はは志り」 「元禄郷帳」(1697年) 「はばしり」 Dybowski(北千島)にはxetu「吐く」<atu「吐く」がある。 Dybowskiは以下のようにhを表記しない例が多い点も考慮すると、これは極めて異例 apu(姉妹Dybowski) ⇔habo(姉 鳥居龍蔵) opuni(起きるDybowski) ⇔ hobuni(起る 鳥居龍蔵) 従って、xはhではなく、語頭aの声門破裂音「‘」を表記したものと考えられる とすれば「津軽一統志」「元禄郷帳」の「はばしり」は語頭の声門破裂音「‘」を表記した ものであり、hapa-sirではなく、やはり ‘apa-sirと思われる。 以上から 網走のアイヌ語地名解は<‘apa(裂けた) -sir(大地)「裂けた大地」となる。 ここからは仮説ですが、apu海の氷、流氷(樺太 北海道) 八雲ではap apu parka 流氷が良い 流氷がくっついて板を敷いたようになる事 田村辞典 から、apu「流氷」とは海の氷が裂けて存在した状態であり、またaput-kiの例から 本来apa/apuで、原義が「裂ける 裂けたもの」である可能性も考えられる。 とすると 網走<‘apa(裂けた) -sir(大地)「裂けた(流氷の浮かぶ?)大地」となります。 どうでしょう?
799 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/20(金) 20:47:57 ID:RleTB+qI
虻田「アブタ」のアイヌ語地名解 <apa(裂けた)-ota(砂浜) 「裂けた砂浜」 網走のアイヌ語地名解 <‘apa(裂けた) -sir(大地)「裂けた(流氷の浮かぶ)地」 虻田の補足 『津軽一統志』、『寛文拾年狄蜂起集書』(則田安右衛門)によれば 「うす」30戸「おこたらへ」14〜15戸で、「うす」は大集落であり、その首長の 「つやしやいん」が西隣の「おこたらへ」をも支配していた。 さらに、『蝦夷商賈聞書』元文4年(1739)頃の 「アブタ」の産物として、干鮭、昆布、鯡数子、干カスベト申魚、イタラ貝ノカラ沢山ニ参ル 「臼」では、鯡数子、昆布、干鱈、膃肭臍、煎海鼠、イタラ貝ノカラ北国辺用之、秋生鮭 というように、虻田の初出が享保12年(1722年)とすると、上記産品の製造工程を考慮すると やはり、有珠山噴火による河川流路の変化があったものと考えざるを得ない。 前述の語頭の声門破裂音「‘」の補足 nonetu(唾を吐くDybowski) <non(唾−1)-eatu(吐く+2) から xetu(吐くDybowski)<atu(+1)あるいはeatu(+2) 「x」は、語頭の声門破裂音「‘」 Dybowskiがh音を表記しない例 語頭音a及び語頭音e arkitek(左手Dybowski)⇔ harikiteki(左手鳥居) arru(百合の一種Dybowski)⇔ haru(ウバ百合鳥居) ekay(白髪のDybowski) ⇔ hekay(年とった幌別) eciruruy<eciru-ruy(こっけいなDybowski) ⇔ hecire(遊ぶ樺太) 歯舞<ap(流氷)−oma−iを考えると、道東の語頭の声門破裂音「‘」は道西より明瞭 だったのかもしれません。 逆に明瞭であったが故に、道東ではh→「‘」→φ(脱落)が促進したのであろうか? apa/apuの補足 Dybowskiの別の箇所にはanapap打たれる<an=apa-p 参考apo 「打つ」 があります。 やはり「打つ」はapoではなく、apaだった可能性があります。 おそらく、o とuは混同され易いことから、apoはapuの聞き間違いだったのでは? とすると 仮説どおり本来apa/apuで、原義が「裂ける 裂けたもの」の可能性が大です。 これに関連してapte他動詞 危く思ふ、危惧される、自信なし 久保寺辞典 oar oar sem iki ambe chiante kotom e=apte=an ruwe a=eramanユーカラ集Up212 全く 全く とんだことに なるよう われ汝おぼつかないことを われはわかる これは、霊力では適わないが、太刀捌きでは勝っている主人公(我)のセリフなのですが 金田一訳ではなく、Dybowskiに従ってap(打つ破る+1)-te(+1)「打ち破る」でも 意味上問題ありません。現にバチェラーはapte Weak、Powerlessとしています。 もしこれが可能なら yay-apapu自動詞< yay(−1)-apapu(+2) あやまる わびを言う 田村辞典 eci=apapu私がお前達を、注意する 萱野辞典 inne kotan,kotan kurkash apatupatu 多くの村々の上(面)で大騒ぎになる 久保寺辞典 これらの動詞は、こう整理できるのではないでしょうか? apa/apu自動詞 「裂ける 破れる 漏る」 apa/apu名詞 「裂けたもの 流氷 海の氷」 他動詞形はapte 派生他動詞形? apapu? apatupatuは自動詞apa/apuの派生形?
800 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/20(金) 22:27:48 ID:RleTB+qI
あるいは金田一訳自体がバチェラー辞典のapte adj Weak、Powerlessを ただ他動詞化しただけで「直接」語彙を採集した訳ではないのかもしれません。 久保寺辞典の「危く思ふ」もe=apte=an ruwe a=eraman部分の翻訳かも? どうでしょう?ご意見お願い致します。
801 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/21(土) 01:13:54 ID:yHLLkVj6
ap-の古い状態に関する推定は面白いですね。 今後はアイヌ語研究も内的再構に向かうかもしれません。 今はまだ共時的記述で手一杯ですが、そろそろ。
802 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/21(土) 13:38:48 ID:1+vWhSBh
ありがとうございます。 mukと比べて apa/apuは樺太での証拠に乏しいので、まだ断定はできません。 虻田、網走の地名解に関しては、多分これで良いのだと思います。 一点だけ補足しますと、『蝦夷商賈聞書』の「アブタ」と「臼」の産品の違いとして 「干鮭」と「秋生鮭」がありますが、前者は産卵場まで溯上した脂肪分の抜けた鮭を素材とし 内臓を取り去って乾燥したもので、脂肪分の多い回遊中の鮭は、塩引き以外の保存には不適で 「干鮭」にはなりません(『松前蝦夷記』)。河川流路の変化があってから、ある程度の年月が 経ないかぎり、溯上量は少ないと考えられますので、寛文3年の噴火に原因を求めるのが 妥当と思われます。また初出を調べた訳ではありませんが、入江川の名称も、もしかしたら 旧虻田会所の番人あたりの命名なのかもしれません。
803 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/23(月) 17:55:48 ID:/2pYuaQr
アイヌ語の文字(蝦夷字体)はルーン、オスロ大学がまた発表。
804 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/24(火) 19:46:31 ID:rC+TQaoP
apa/apu/apの証拠が見つかりました。 『千島アイヌ』(鳥居龍蔵全集7)p74千島アイヌ「ラウレンチ」からの採集の「裸なる」Rut apuchi があります。これは(rutuh獣の皮(Steller))から<rus(皮、毛皮)-apu(+1破れる)-ci(複数接辞)と分析 でき、またDybowskiのrutapkur「裸の」も、<rus-ap-kurと分析が可能となります。 apu(流氷)は原義が「裂け目」で、サタモさんのapu pirka「流氷が良い(流氷がくっついて 板を敷いたようになる事)」は、従って「裂け目」が「治る」が本来の意味となります。 rup(溶ける→氷)とapu(裂けた→流氷)が似た原義になっているのには、「源郷」の点で困惑します。 これで「虻田」は、<apu(破れた、裂けた)-ota(砂浜)で確定です。 切替先生の『頻出アイヌ語地名の形態論的構造』p26(アイヌ語地名研究3に所載)の 主語(所属物)+自動詞+斜格語相当語(所属先)」例@putu-wen-nay Asuma-rupne-nayのうち、 Aを挙げるのは、「「頻出アイヌ語地名」には見当たらない「主語+自動詞」は」、有得ないとの先入観 で判断したものであり、p10のB「スマ・フレ・ナイ」suma-hure(+1)-nay(先生によると、 この形態に含まれるとする)と伴に、単なる「こじ付け」に過ぎないと考えます。 このうちABは、私見の主語+自動詞+斜格語相当語(場所)⇒名詞[N(−1)-V(+1)]+名詞(場所) 例pet-osan(+1)-putu(所属形)/petetok ta wakka oasin(+1) uske(形式名詞) 所属形≒形式名詞 の事例に過ぎず、また@は、その下位分類に過ぎないと考えます。詳しくは「言語板」参照 理由 p24の「主語+他動詞+目的語相当語」のうちの目的語相当語の位置を名詞的接尾辞が占めて いるもの。例としてPeteukopi「川の合流点」 <pet(川)-e(の先端 部分接頭辞)-u-ko(そろって)-hopi(〜を捨て去る)-i(ところ) 切替先生は以上のような分析をしています。 ちなみに動詞価計算はpet(−1)-e(部分接頭辞±0)-u(−1)-ko(+1)-hopi(+2)-i(−1)となります。 しかし A…これは先生が参考として挙げられている十勝本別の ni eukopi ka an pe「棒の先が分かれているもの(カワウソの首を抑えて捕らえる木の棒)」 「自動詞+助動詞句+主語相当辞」で、eukopi(+1)「先端が分かれる」となり、背馳する点 B…「別れる」方言辞典p71 ukohopi(自他不明?名寄) ukohopi(自他不明?宗谷) ekohopi(自他不明?沙流) eukoppa(自他不明?帯広) uhekopi(自他不明?八雲) このうち八雲のuhekopiは<u(−1)-he(±0)-k/hopi(+2)で、自動詞と分析できます。 C…『千島アイヌ』(鳥居龍蔵全集7)p65には「岐路」Euko biruとあり これは蝦夷語(神保、金澤)のRu uko hokiと同義であるとされていますので Euko biru<eukopi(+1)−ru(−1)と分析できます。 以上、A十勝本別B八雲C北千島の例から、eukopiは(+1)自動詞と考えるべきです。 とすると 切替先生の分析は間違いであり、Peteukopiは私見の「主語+自動詞+斜格語相当語(場所)」の例 となります。 切替先生の「主語(所属物)+自動詞+斜格語相当語(所属先)」は、ni eukopi ka an peの例から 私見の「主語+自動詞+斜格語相当語(場所)」の云わば「下位分類」に過ぎないと考えます。 もしこれが可能なら、p10の「ピ・ラン・ペツ」<pi(−1小石の)-ran(流れ落ちる+1)- pet(川) は あってもおかしくは無いという事になります。 地名に於ける「主語+自動詞+斜格語相当語(場所)」は、-putu(所属形)やuske(形式名詞)の後接の点 から、云わば名詞[N(−1)-V(+1)]+名詞(場所)であって、「自他両形の人称変化をする動詞」の例と いうよりも、むしろ縮約された「地名」に於ける特殊事象と考えます。 どうでしょう?これは「アイヌ語地名解釈」に於ける最重要論点ですので、御意見お願いします。 最後に しふちゃり(しひしゃり)⇔ホマリモイ→→sipe-ican(-i)? ⇔homa-an-moy? どちらも「卵」? 「しひしゃり」の織田さんの発音はsipicarで、n⇔rからhomar/ homa-an-moyとなるのか?
805 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/11/24(火) 21:16:01 ID:ix5on0PN
アイヌ語=北欧語
807 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/02/09(火) 20:05:53 ID:z5AQ9GbC
「存在他動詞」us(+2)
A意味は「存在」
@有生物(主語)−us(+2)−場所(目的語)
⇒kina-us-i
A無生物(主語)−us(+2)−場所(目的語)
⇒kike-us-pasuy
B意味は「所有」
B場所(主語)−us(+2) −有生物(目的語)
⇒kim-us-kina
C場所(主語)−us(+2) −無生物(目的語)
⇒kim-or-us-i (猟場)
kema-us-pe(シントコ)はAの「存在」、wakka-us-kamuyはBの「所有」
次に
‘e‘uk(/h)opi(+1静内十勝方言)/uhekopi(+1八雲方言)<‘u(−1)- ‘e (±0)-k(/h)opi(+2)に関して
「‘」は声門破裂音
C
peteukopi<pet(−1)-e(±0)-u(−1)-ko(+1)-hopi(+2)-i(−1)動詞価合計ゼロ
peteukopiusi<pet(−1)-e(±0)-u(−1)-ko(+1)-hopi(+2) 動詞価合計(+1)−usi(動詞接尾辞)
petukopi<pet(−1)-e(±0)-u(−1)-ko(+1)-hopi(+2)-i(−1)動詞価合計ゼロ
ru-ukopi<ru(−1)-uko(±0)-hopi(+2)-i(−1)動詞価合計ゼロ
ru-ukotpausi<ru(−1)-uko(±0)-hoppa(+2)動詞価合計(+1)−usi(動詞接尾辞)
知里地名辞典より適宜修正
D
tu-uwekopi-usi 「山の走り根がそこで左右に分かれている所」斜里郡内地名 著作集3p254
これを動詞価計算すると<tu(−1)-u(−1) -e(±0)-k/hopi(+2) 動詞価合計ゼロ−us(+2) -i(−1)
⇒AAの無生物(主語)−us(+2)−場所(目的語)
よって
Dの例から、動詞価合計(+1)−usi(動詞接尾辞)とする知里説よりも
‘e‘uk(/h)opi/‘u‘(h)ek(/h)opi(+1)と解釈するのが妥当なのでは?
最後に
@‘e‘uk(/h)opi(+1)と A‘u‘(h)ek(/h)opi(+1)の意味の違いに関して
@はCのようにpetやruを取るが、
>>771 >>778 及び上記ABで検討したように、
接辞の順序からすると
(本来の主語)+形式的主語(部分接頭辞±0)+目的語+他動詞語幹となり
意味は「 (川や道の) +〜の頭が+互いを+分かれさす」 となる可能性がある。
AはDの例からtuを取る?(要調査)
(本来の目的語)+主語+形式的目的(斜格)語(部分接頭辞±0)+他動詞語幹となり
意味は「 (山の走り根) +互いが+〜の頭を+分かれさす」 となる可能性がある。
強いて、両者の違いを探し出すとすれば、
@の川や道の場合、ことさら擬人化と解する必要はなく、事物それ自体の性質として
可変的でいわば動作の主体になり得るのに対し、
Aの尾根は不可変的で、動作の主体ではなく、いわば自然現象の客体で
ここでは、風雨による侵食によって形成される得る対象としての地形に過ぎない。
もしこれが一般化できるのなら、イテリメン語等のように、アイヌ語に於いても
接辞の順序が、一定の意味分化を担っているのではないか。 どうでしょう?
808 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/02/10(水) 04:18:19 ID:0H09bx34
809 :
私、和人側のアイヌ民族に関する知識の有識者 :2010/02/10(水) 04:22:24 ID:0H09bx34
810 :
私、和人側のアイヌ民族に関する知識の有識者 :2010/02/10(水) 04:25:52 ID:0H09bx34
アイヌ人もロシア人も、
イ・ジア も チェ・ジウの冬ソナの初めの頃は豚鼻です
∩ ∩
(`‥´)
野村幸代はアイヌの鼻。
研ナオコさんもアイヌ顔で豚鼻。
彼女の田舎は、江戸時代の鎖国状態でもロシアの船が座礁した伊豆の出身です。
北海道ならロシアの船はアイヌを運び放題ですよ。
江戸時代の鎖国の脆弱な地方に豚鼻とアイヌ顔がある。
アイヌ人は外来人種である(私、和人側のアイヌ民族に関する知識の有識者)。
アイヌ民族を、アイヌ民族の主張どうりに先住民族として税金を使用したことは、
憲法違反である。
人種的には先住民族の人種ではないアイヌ民族はロシア系のあたらいい渡来人であり、屯田兵がアイヌ人に北海道を占領されないように防衛に当たった歴史もある。
自称先住民族の宗教団体「アイヌ民族」に、税金を使用したことは、憲法でそれを禁止している「政教分離」に違反した、和人を侮辱した「朝鮮人と寸分変わらぬ和人の税金からの搾取行為」である。
● ロシアが北方領土を日本に返さない理由 Ver.2670-1114b
http://www.geocities.jp/orionseijin_cacacakah/gorira_type-b/yah_kamui/Bonnta/kanewo_kaeseyo_101113a.html / アイヌが和人から先住民を理由に騙し取った総額「数百億」円
811 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/02/10(水) 04:56:42 ID:DIgSICTr
先日NHK衛星で北欧トレッキング紀行「フィンランド」を見たのだが、 なんだかアイヌ語に似ていた。とくにフィンランドの民謡はアイヌの おばさんが踊りながら歌う歌に似ていたなあ。
812 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/06/30(水) 17:31:01 ID:JZc1nZhj
813 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/06/30(水) 17:55:17 ID:JZc1nZhj
富良野は、アイヌ語のフラヌイの転化だそうですが、 カムチャッカ半島などに見られる、『ヌイ』の付く地名も アイヌ語ですか? また、『カムチャッカ(カムチトカ)』もアイヌ語ですか?
814 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/06/30(水) 20:46:46 ID:ytAPRztj
ロシア語カムチャトカは、アイヌ語カムサッケの訛り。 アイヌ語・カムサッケ Kam sake ke カムは肉(ここでは鮭・鱒の魚肉)、サックは乾かす、ケは所。
815 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/07/05(月) 22:17:14 ID:1cvTBJI7
↑は、アイヌ語研究者に聞いたら、何の根拠もない、 ただ読み方が似ているだけとの事です。
816 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/07/07(水) 00:35:54 ID:2TvAi1gn
カムチャツカが鮭の乾かすところとか変だし、ウィキにも書いてあるけどカムチャツカは人名。 ぐうぜん紛らわしい名前の人が発見した。
保守
818 :
孫悟空と猪八戒のセックスで、アイヌ人誕生 :
2010/08/09(月) 22:20:49 ID:Cn9BRy8m