>John CastiのWould-Be Worlds(邦訳:複雑系による科学革命)という本の中
>で、生成文法と西洋音楽の構造の話題が出てくるにゃ。
その本は知りませんですた。機会を見て読んでみますにゃ。
最近かじりはじめたジャズ理論を見ると、目から鱗なことがよくあります。
音楽教育をちゃんと受けた人にとってはなんでもなかったり、「ちごてる」と
いうことがあるかもしれませんが、ちょっと書いてみます。
ハ長調、とかいうときのcodeとscaleは教会音楽が元になってるとのこと
ですが、codal movementの推進力になるdominant motion(V7 > I)って
universalっすよね。それって、V7がふくんでいる七度によって引き起こされる不協和音がtonicからみて一度+二度とすると、それが一度+三度をもつ
IとかIM7によって解消される。多分、どんな「個別音楽」でもdominant
motionによる「解消感」って重要で、それが理由かはわかんないすけど、
日本音階のpenta-tonicでも沖縄音階でもtonicから見て(長短)三度と五度は
はずしてないすよね。するとdominant motionとそれに関連するIII, Vは
普遍部分で、ジャズで多用されるII-Vというdominant motionのdivision
(たとえばEm7-5 > A7 > Dmなど)、ロックなどで使われるIV-Vのdivisionは
習得の際に選択される素性、しかもII-VのIIとIV-VのIVはsubstituion codeの
関係にあるので、minimalな選択肢対立が見かけ上大きな曲想の違いとなって
具現化される。ところでこれって言語でいえばsyntaxになるのか、semantics
になるのか、悩むところですが、うーん、生成文法だなー、とかなり厨な書き込みでした。
531 :
(´∀`):03/06/26 13:08
詳しいですにゃ、こさかなしゃん
キャスティの本にもそのようなことが書いてあるにゃ。一部そのまま引用すると……
「言語であれ何であれすべての現象は一組の規則が働いた結果だという大胆な主張に対して、チョムスキーは
一つの証拠を提供したのである。」
「...ほとんどすべての伝統的な西洋音楽の根底には少数の規則があるということが分かった。こうした規則に
は、12の基礎半音の着想や、長音階と短音階および五度音階の考えが含まれている。初めの音を変えたり、音
の列を逆にしたり鏡映ししたりして音の配列を変えることにより、1400年から1900年の間に作られたどんな
音楽作品でも、事実上、その根底にある構造を探ることができる。」
と述べた後に、その構造を打ち破る新しい作曲法としてシェーンベルクの現代音楽が取り上げられているにゃ。
かつてチョムスキーがインタビューで科学や芸術には遺伝的に決定された精神構造ゆえに限界がある、しかし
シェーンベルク以降の現代音楽はそれを超えるもののようであり、自分には受け入れられないものだ、と述べて
いたことが思い出されますにゃ。
あぼーん
test
キャスティの本、ますます面白そうですにゃ。
ちょうど、引用にあったような話、scaleを理解しようとした時に
'tetra code'というのが出て来て、そのintervalごとの組み合わせで
基本的なscaleができる、ということときっと関係があるんでしょう。
四つの音からなるtetra codeはMajor系とMinor系があって, intervalをH(alf)とW(hole)で表すと
=Major=
(1)W(2)W(3)H(4) (1)W(2)W(3)W(4)
=Minor=
(1)W(2)H(3)W(4) (1)H(2)W(3)W(4)
これをオクターブになるように半音(h)か全音(w)で繋ぐと
長調、短調の音をどれからはじめるかscaleの調整が構成されますにゃ。気付くのはWWWとWHWはsymmetricで、WWHとHWWはmirror-imageに
なっていますにゃ。
長調の各コードと対応するスケールをtetra-codeで表すと
IM7: WWH+w+WWH(ionian)
IIm7: WHW+w+WHW(dorian)
IIIm7: HWW+w+HWW(phrigyan)
IVM7: WWW+h+WWH(lydian)
V7: WWH+w+WHW(mixo-lydian)
VIm7: WHW+w+HWW(aeorian)
VIIm7-5: HWW+h+WWW(locrian)
ここでlydianとlocrian、ionianとphrygian、mixo-lydianとaeorianがmirror-imageになってますにゃ。
意外だと思ったのは、mixo-lydianがMajor系tetra codeと
Minor系tetra codeを全音で繋いだものだということ、
長音の最も足るもののように思えるionianが下降では(intervalと
いう観点では)Minor系のphrygian(これは上昇では不思議な響きを
持ちますにゃ)つまり上昇か下降かというdirectionality、または
上に重ねるというdirectionalityが重要なようですにゃ
(つづき)
すると上昇を[+dir]、下降を[-dir]とすると、長調の各コードに
対応するscaleは
[+dir] [-dir]
ionian phrigian
aeorian mixo-lydian
lydian locrian
dorian
となり、教会音階に含まれないsymmetricな音階として
HWW+w+WWH
WWH+w+HWW
というのが考えられ(名前は分かりませんにゃ)、それに
クロマチックとホールトーンスケールもsymmetricなものと
してくわえられますにゃ。
蛇足ですが、aeorian(natural minor)があまり整理されていないもの
として、後部tetra codeをハンガリー短のものにかえたのが
Yngwee様が好むharmonic minorになりますにゃ。
tetra code, directionalityといった少数のfactorの
組み合わせから調性の決定、codalな流れなどが決定されてるって
不思議です。もうちょっと勉強したらJackendoffの音楽の生成文法の
ことがわかるようになるにゃろか。
調子に乗って、いろいろ書いてしまいました。厨房です。
> かつてチョムスキーが
チョムスキーがそう言ってるんですか・・・実際、同僚にギターの
現代音楽をすすめられて聴きましたが、落としどころがどこなのか
わからなくて理解できませんですた。きっと12音階技法はそこで
伝統的調性を破壊してあらたな秩序を探しているとは思うのですが・・
でもプログレとかの変拍子とかscale outとかwhole toneでのソロが
気持ちいいのはなんでだろうー