旧字体・別字体について

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「同音の漢字による書きかえ」(昭31.7.5 国語審議会報告)ってありますよね。
http://nannohi.jp/word/kakikae1.html
http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/hyoki/kakikae.txt

あれは漢字の使用を當用漢字の表内に制限するための便法でしたが、
その中に、
 制馭(禦)→制御
て例が擧がってゐました。
ただ、戰前から「制御」って書き方はあって、略字でも誤用でもない。
「制御」と「制馭」は併用されてゐたのが實情です。
問題は、「制禦」。
これ、各種漢和字典を見たけど熟語として載ってないんですよ。
載ってるとすれば、制御の項に「制御(禦)」と附記されるだけで、
明らかに上記「書きかえ」以降に、それに基づいて附された註記でしかない。
「書きかえ」發表以前の古い漢和辭典には「制禦」は見當らないやうです。制御や制馭はあるのに。
同じ「書きかえ」中でも「防禦」はあります(逆に「防御」は古い字典には無い)。
「禦」は「ふせぐ」意ですから、防+禦は自然な熟語。
しかし「制禦」てのは不自然。少なくとも制御・制馭とは意味が異なってしまふ。
この「書きかえ」表の以前に「制禦」なんて用法、本當にあったんですかね?
たとひあったとしても誤字に近いんでは(洗滌をセンデキでなくセンジョウとよんだみたいな)。
「「同音の漢字による書きかえ」逆変換」なんてあるけど、
 →http://nnh.to/word/inverse-kakikae.html
制御→制禦に逆變換すれば本來の表記になるってもんではないみたいなんですよね。