148 :
名無し象は鼻がウナギだ!:
小林芳規(徳島文理大学教授)は角筆で書かれた文献研究の第一人者
で、斜めから光を当てて文字を浮かび上がらせる装置を開発。日本や
韓国の文献を調べている。
「判比量残巻」(新羅の名僧元曉が書いた仏典「判比量論」の現存す
る唯一の写本)の調査は今年1月から始め、本文の「根」の字の右側行
間に角筆で「フリ」と書き込まれているのを見つけた。“フ”は部の
旁(つくり)部分だけを崩して書いたとみられ、日本最古とされてきた
9世紀初めのカタカナでも「へ(べ)」の音で使われている。現在の
韓国では部を「プ」と発音し、根は「プリ」と読むことから、根の読み
を朝鮮半島の言葉で記したのではないかという。
「判比量論残巻」は新羅で原典から書写された後、日本に伝来したと
され、8世紀前半の天平12(740)年には正倉院に収められていた
ことが、正倉院文書で知られている。他の部分に角筆で書かれた記号に
書写の墨が付着しており、角筆の書き込みは書写の直後と見られること
から、カタカナのルーツは従来の通説より60年以上古く、朝鮮半島よ
り始まった可能性が出てきた。小林教授は「たった一例だけなので即断
はできないが、カタカナの起源を考えるうえで貴重な発見」としている。
(京都新聞 4月3日 朝刊 )