さて、続けます。が、論文をエディットしながらレポするとめんど くさいので論文の頭から順々にレポしていきますね(←ごめんなさ いですm(_ _)m)。で、チョムスキー系生成文法のボスというかグル といったらチョムスキーであるわけですが、チョムスキー自身文法 性にバリエーションがることを認めているんだということを報告し ています。2つほど例を紹介しますと、まずチョムスキーは conditions on transformationsで「どうもwhat did he wonder whether john saw?やwhat crimes did he wonder how they solved?をokとし ている人がいるようだが俺はoutだな(1973: 244)」と言っている わけですが、まず現実問題として島の効果にばらつきがあることを 示しています。また、チョムスキー(1973:239)は「俺も含めてい ろんな人がwho did you see john's picture of?よりwho did you see the pictures of?の方がよくて、who did you see picture of?の方がは るかにいいと認めているわけだが、そうなると文法性は3段階ある わな」と言ったりしています。と、こんなものを引用しながら、 ほら、文法性はグルのチョムスキーも認めているようにokかoutの バイナリーの問題じゃないだろ?と言うわけです。で、チョムス キーは暗に文法性の低いものはdouble violationでそこそこ悪いの はsingle violationだと言っていて、実際、それをシステム化した のがBarriersですが、H&Sはこう言うわけです。「そんなこといっ たって、最近のミニマリストなんかでもシンタクスにはカウンター はないはずだからviolationの数は数えられないよなー」と。だから、 文法性にグラデーションがあるにしてもチョムスキー系の生成文法 では説明できないぜ!と。一端送信します。
で、チョムスキーなんかは文法性は3段階(←good, marginal, bad) ほどあると認めちゃったわけですが、でも、実際はもっとあるよとい うわけです。たとえば、次のCNPC絡みの例ですと、下にいくほど 文法性が落ちるわけです。 (21) a. this is the paper that we really need to find someone who understands. b. this is the paper that we really need to find a linguist who understands. c. this is the paper that we really need to find the linguist who understands. d. this is the paper that we really need to find his advisor, who understands. e. this is the paper that we really need to find john, who understands. これ↑なんかはどうひっくり返ってもチョムスキー系生成文法では説明で きないぞと。で、過去にもこのようにCNPCをはじめwh島なんかで島の 効果が出ない例がたくさん出ているぞと。英語だけじゃなく他の言語でも たくさん報告されてるぞと。で、論文p373にあるような(25)ー(30) の例を出してきているわけです。と、こんな感じで「チョムスキー系生成文 法はこういった反証例を無視してきて何やってんの?」と挑発するわけです。 とりあえず送信します。
では続けます。語彙の選択で文法性というか容認可能性に差が見られるの は言語学では常識ですが、そういった例をH&Sは出してきています。 たとえば、次のような例ではaの例文の方がbの例文よりいいといったこと を指摘しています。 (37) a. which book did you see pictures of ? b. which book did you destroy pictures of? (38) a. who did you say that john believes you saw? b. who did you lisp that john believes you saw? で、同じような例を他の言語からももってきたりしているのですが、よう するにポイントは、状態動詞の方が行為動詞よりも文法性というか容認可 能性が上がるということです。で、H&Sは、上のaの例にせよbの例にせ よ統語構造は同じだからチョム系生成文法だと同じ文法性を示すはずだが 実際は違うと。でも、これまた私のつぶやきですが、上のaとbでは文法性 じゃなく容認可能性が違うだけなのでチョム系生成文法でも問題ないので はないかと。とりあえず送信します。
続けます。で、今見たように、動詞が違うだけで文法性というか容認可能 性が変わるわけですが、このように一ヶ所だけ変わるだけで文法性が変わ るものというと、時制が定か不定かといったものもあります。こんな↓よ くあるものです。 (40) a. this is a topic which john wondered whether to talk about. b. this is a topic which john wondered whether she talked about. で、こういったテンスのあるなしのケースや否定のあるなしといったweak islandは、ほとんど意味論的ならびプラグマティックに分析されていて チョム系生成文法が無能だということは今では常識だと。で、そんなこんな でチョム系生成文法ではいわゆる島の制約というのは対処できないと。で、 処理の負担(というかパーサーにかかる負荷)を意味論や談話的なものから 捉え直すことができればほとんどシンタクスの出る出番はないと。でも、 これは私のつぶやきですが、実際はパーシングを意味論や談話的なもので捉 え直すことはできてないからやはりFGDとチョム系生成文法は目糞鼻糞だ と。とりあえず送信します。
さて、ちょっと時間ができたので続けます。で、FGD分析で「うをっ!」 とちょっと思うところが出てきます。まず、フィラーとギャップの間にど んなものがあるかとか、フィラーとギャップの距離がどのくらいあるかが 文法性というか容認可能性に影響を与えるのは誰でも分かります。つまり、 たいていの人はフィラーとギャップの関係をどうしても探ってしまうので す。で、ここで、この論文の唯一のウリだと思うものが出されます。それ は、フィラーがどのような意味論的ならびに統語的な素性をもっているか によっても文法性が変わるというものです。まあ、一言で言うと、移動し た要素がどういったものかによって文法性が異なってくるというものです。 つまり、フィラーがどういったものかによって処理の負荷が変わってきて、 その結果文法性にばらつきが出てくると。で、それを示す例として次のよ うなものを挙げています。 (45) a. the diplomat contacted the dictator who the activist looking for more contributions encouraged to preserve natural habitats and resources. b. the diplomat contacted the ruthless military director who the activist looking for more contributions encouraged to preserve natural habitats and resources. ポイントは、aの方の関係代名詞の先行詞はthe dictatorで、bの方の関係 代名詞の先行詞はthe ruthless military directorで明らかにbの方がコテコテ しているのですが、実は、bの方が処理速度が速いというか処理の負担が 少ないのです。つまり、一見するとコテコテしている方が処理の負担がた くさんかかりそうだけど実はそうではないと。で、H&Sは何て言ってる かというと、意味的に豊かな情報を担うフィラーの方が処理の負担を軽減 させるというのです。正直「ん?」です。これは事実でありそれはその通 りだけど、なんで「意味的に豊かな情報を担うフィラーの方が処理の負担 を軽減させる」のかその説明は何ら与えられていないのです。その意味で はH&Sの「説明」というのは単なる論点のすり替えであり、チョム系生 成文法の問題を別の形で保存しているだけにすぎません。で、とりあえず 送信します。ちょっと中座じゃなく長座してきます。
Hauser, M.D., Chomsky, N. et Tecumseh Fitch, W. 2002 "The Faculty of Language: What Is It, Who Has It, and Haw Did It Evolve ?" in Science, n. 298 (22 nov. 2002), 1569-1579
>>281 Hi, 仇鱒. If that's what you think about grammar, let me suggest that you stop learning this stupid generative grammar immediately, and start studying real English. You know what I mean by real English? It's about daily conversations, like the ones native Americans do in their daily lives in situations such as homes, company offices, travelling, and telephones. That would be more fun, more helpful in making foreign friends, and more interesting.