>>72 朝鮮語で語頭の/r/が脱落するのは方言なんかじゃなく非常に根本的な特徴だよ。
朝鮮語の固有語では語頭に/r/がほとんど現れない。
これは日本語でも同じで、和語でラ行で始まる語はほとんどない。
さらに満州語、モンゴル語、ツングース語、トルコ語などもこの特徴を共有し、
これらの言語がアルタイ諸語と呼ばれる大きな理由の一つになっている。
日本語の場合、奈良時代から平安時代にかけて大量の漢語が流入した際、
語頭でもラ行を使って受け入れたので、語頭のラ行の忌避という法則が崩壊した。
このため、近代以降にも普通に語頭のラ行を使って外来語を受容した。
朝鮮語では、語頭の/r/の忌避がより徹底されており、
日本語と同様の時期に漢語を受容した際にも、語頭では/n/に交替させることが行われた。
さらに、中期朝鮮語(ハングル創製)以降になって、/ni/および/njV/(Vは母音)の場合に
/n/が脱落するという変化が起きた。これに/r/が交替した/n/も巻き込まれたため、
/ri/および/rjV/の場合には語頭で/r/が脱落するように見えるようになった。
近代以降、欧米からの外来語が入ってくる時代になってようやく語頭の/r/が使われるようになったが、
かなり新しい発音であるため、今でも老年層にはライターを/naitʰɔ/と発音する話者がいたりする。