>>300 続き
> 5 次のような語は,「ぢ」「づ」を用いて書く。
> (1)同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」
> 例 ちぢみ(縮) ちぢむ ちぢれる ちぢこまる
> つづみ(鼓) つづら つづく(続) つづめる(△約) つづる(*綴)
> 〔注意〕「いちじく」「いちじるしい」は,この例にあたらない。
> (2)二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」
> 例 はなぢ(鼻血) そえぢ(添乳) もらいぢち そこぢから(底力) ひぢりめん
> いれぢえ(入知恵) ちゃのみぢゃわん
> まぢか(間近) こぢんまり
> ちかぢか(近々) ちりぢり
> みかづき(三日月) たけづつ(竹筒) たづな(手綱) ともづな にいづま(新妻) けづめ ひづめ ひげづら
> おこづかい(小遣) あいそづかし わしづかみ こころづくし(心尽) てづくり(手作) こづつみ(小包) ことづて はこづめ(箱詰) はたらきづめ みちづれ(道連)
> かたづく こづく(小突) どくづく もとづく うらづける ゆきづまる ねばりづよい
> つねづね(常々) つくづく つれづれ
>>301 続き
> なお,次のような語については,現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの等として,それぞれ「じ」「ず」を用いて書くことを本則とし,「せかいぢゅう」「いなづま」のように「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。
> 例 せかいじゅう(世界中) いなずま(稲妻) かたず(固*唾)
> きずな(*絆) さかずき(杯) ときわず ほおずき
> みみずく うなずく おとずれる(訪) かしずく
> つまずく ぬかずく ひざまずく あせみずく
> くんずほぐれつ さしずめ でずっぱり なかんずく
> うでずく くろずくめ ひとりずつ ゆうずう(融通)
> 〔注意〕次のような語の中の「じ」「ず」は,漢字の音読みでもともと濁っているものであって,上記(1),(2)のいずれにもあたらず,「じ」「ず」を用いて書く。
> 例 じめん(地面) ぬのじ(布地) ずが(図画) りゃくず(略図)
/cizimi/ (縮),/tuzumi/ (鼓) を「ちじみ」 「つずみ」と書くのは珍妙で,見苦しいというのもよくわかる。
しかし,その見苦しさに耐えかねて「ちぢみ」 「つづみ」としてしまうと,/hanazi/ (鼻血),/mikazuki/ (三日月) は「はなぢ」 「みかづき」と書くべきだという,至極当然の要求が起こって来る。
いったんそれに応じると,表音原則の例外はどんどん増えていき,さらに,2 形態素の意識が残っているか否かという,決して一般的には判断できない泥沼へと嵌まる。
こうして,現代仮名遣いは,音韻 /z (j) V/ の表記に関してはゴタゴタになってしまった (V: 母音)。旧仮名派からは攻撃のされ放題である。
やはり,最初に「ちじみ」 「つずみ」を我慢してでも,現代日本語の文字体系から「ぢ」 「づ」を追放すべきではなかったか。