>>289 続き
> 1 助詞の「を」は,「を」と書く。
> 例 本を読む 岩をも通す 失礼をばいたしました やむをえない
> いわんや……をや よせばよいものを てにをは
表音原則の例外である。
日本語には,敬語の接頭辞 /o-/ があり,当然「お−」と書かれる。この形式は文体によっては頻用される。
助詞の /o/ をもし「お」と書くと,それが出て来るたびに上の接頭辞と紛らわしく,文節の初頭が見えにくくなって,文章が大変読みづらい。
読み易くすることも,現代仮名遣いの目標の一つである。
>>293 続き
> 2 助詞の「は」は,「は」と書く。
> 例 今日は日曜です 山では雪が降りました
> あるいは または もしくは
> いずれは さては ついては ではさようなら とはいえ
> 惜しむらくは 恐らくは 願わくは
> これはこれは こんにちは こんばんは
> 悪天候もものかは
> 〔注意〕次のようなものは,この例にあたらないものとする。
> いまわの際 すわ一大事
> 雨も降るわ風も吹くわ 来るわ来るわ きれいだわ
>
> 3 助詞の「へ」は,「へ」と書く。
> 例 故郷へ帰る ……さんへ 母への便り 駅へは数分
表音原則の例外。
仮名表記史上,助詞 /wa/ /e/ が「わ」 「え」と書かれたことはほとんどなかっただろうが,仮名「わ」 「え」自体が文節の初頭以外の位置に現れなかったわけではない。
それに,現代仮名遣いは,/awanai/ /aeba/ では「会わない」 「会えば」と表音原則を貫いたのだから,/wa/ /e/ でも同様にすべきではなかったか。
この例外措置にはそれほど意味がない。