>>38>>61 和歌の字余りは句中に母音連続がある場合のみといふ法則ですね。
但し、句中に「え」がある場合の字余りの例が見あたらないことについては、
ヤ行の「え」に比べてア行の「え」を用ゐる単語が少なすぎるため、
和歌中に出てくる「え」の大半がヤ行の「え」であり、
純粋な母音音節であるア行の「え」が用ゐられること自体が少ないために、
例が見あたらないと言はれてゐます。
これと同様のことが言へると思ひます。
ヤ行上二段動詞(「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」の3語のみ)もワ行下二段動詞(「植う」「飢う」「据う」の3語のみ)も極めて少ないため、
前者の未然・連用・命令形や後者の終止・連体・已然形による字余りの事例が見当たらないからと行って、
ア行とヤ行の「い」やア行とワ行の「う」に区別があったと断定することはできないでせう。