節電の夏。がまん一色と思いきや、むしろ「歓迎」という人たちがいる。
去年まで冷房の利きすぎで体調を崩していた冷え症の女性たちだ。
昨年より1〜2度設定温度を上げた私鉄や公共施設は、「そういえば、今年は『寒い』という苦情が
ありませんね」。これまでが冷えすぎだったのかも?
学生時代から冷え症に悩んできた大阪市のケアマネジャーの女性(46)はこの夏、久しぶりに素足に
サンダル、半袖で出かけて外食を楽しんでいる。
去年までは、冷房の利いた会議室やレストランで寒さにふるえ、外出時は長手袋、靴下、長袖の上着を
手放せなかった。「エネルギーの無駄遣い。こんなに冷やす必要があるの?」と腹立たしい思いをしてきたが、
この夏は「本当に過ごしやすい」。27〜28度に保たれた電車内やレストランでは寒さを感じない。
7月1日から車両内の冷房の設定温度を2度上げて28度にした近畿日本鉄道は、例年なら苦情の半数を占める
「冷房車が寒すぎる」という女性客の声が激減した。
その分、「暑い」という苦情が増えるかと思いきや、意外にも昨年並み。「ホームや待合室の冷房は節電のため
オフにしているので、多少温度は高くても、冷房の利いた車両は涼しく感じるのでは」
ソース
asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/0731/OSK201107300188.html 【画像】
http://www.asahi.com/national/update/0731/images/OSK201107300197.jpg
節電の夏を迎えた日本で、職場の服装のカジュアル化が進んでいる。
スーツやネクタイから解放されて喜ぶ男性は多いが、極端なドレスコードの自由化・逸脱には
異論もあるようだ。現在の日本で「節電ビズ」「スーパークールビズ」は、どこまで許容されるのか。
■短パン出勤/のぞく胸毛/うっすらと乳首
「ダボダボのポロシャツを着た中年男性が増えた。『日曜日のお父さん』になってしまい、
女性の間で株を下げた人が相当います」
そう語るのは都市銀行の系列会社に勤めるA子さん(31)。
6月中旬、スーパークールビズに関する通達がグループ内に流れ、7月1日から実施された。
年配者とは対照的に、若手には今まで通りの人が多い。
「カジュアルのコーディネートを知っているだけに、パンツから靴、バッグまで新たにそろえるのが
面倒みたい」。どちらの世代も努力放棄だと思う。
外資系企業に勤めるB子さん(44)の職場は、外国人従業員が多いこともあり服装コードが
驚くほどユルい。「外国人女性はタンクトップやキャミソールで胸元全開。しかもジーパンにビーチサンダルで出社してくる」という。
自分の服装もかなりラフになっているが、許せないのが「男性の短パン」だ。
「出入りされている代理店の方ですが、5月からずっと短パン。完全に遊びに行く格好で、
社会の中で培われてきた“オン・オフ”の価値観が崩れている」
かつて夏でもストッキングだった女性も今では「生足(なまあし)」が当たり前。
時代の流れでマナーも変わると思うが、「やりたくてもやれなかったことも、誰かがやり出せば影響を受ける」。
ファッション評論家のドン小西さんは、「ファッションは人間の内面を映す鑑(かがみ)」と
語る。背広は軍服の延長。没個性だが、それを脱ぐ時、その人の本当のさまが露呈するという。
「短パンもポロシャツも結構。でも、自分がどう見られるかは仕事に反映するよ。
それを分かった上で自己責任でやりなさいと言いたい」。
自分の仕事や環境にどう影響するか、日本のお父さんたちにも考えてほしい。
「一人一人の実力が試されてるんだよ」
宝飾会社で働くC子さん(31)が我慢できないのは服装コードの緩みと共に見えてくる
「毛」の問題だ。
ノーネクタイのワイシャツから見える胸毛は以前から職場の女性の話題に。
半袖、ノーネクタイが当然になり「それ」を目にする機会は確実に増えた。
「毛深さには個人差がある。だからこそ見えないように気を使って欲しい」
公務員のD子さん(31)も「半袖から見えるわき毛は本当に嫌」と語る。
役所なので極端な服装は少ないが、下着着用率は下がった。
「シャツが薄く短くなるぶんせめて下着を」
さらに困りものなのがTシャツ。
色は白が最悪だ。男性の乳首が存在を主張し始めるからだ。
「うっすらとした存在感が生理的に嫌。生地の厚いポロシャツが最低ラインです」
これに体臭を加えた「3点セット」に悩む夏だ。
紳士服ディレクターの赤峰幸生さんは「肌や体の生々しさを出さないのがビジネスの作法。
それなのにスーパークールビズのお触れによって、たがが外れたのが今の状況」。
何でもありの風潮を危惧する。
「洋服のルーツを考え、世界基準にのっとることが必要。洋服=西洋服。
ヨーロッパの原則を踏まえた上で日本の気候に合わせるべきです」と赤峰さん。
仕事で何を着るかは相手があって決まる。同僚だけでなく、取引先の男性、女性、目上の人も
含まれる。仕事着は「外の人」に気をつかって選ぶもの。その試行錯誤こそがファッションの
本質なのかもしれない。
余計な一手間? いえいえ。世の中の女性たちが既に実行していることです。