・性体験のない男性でつくる「全国童貞連合」という会がある。メンバーは20〜30歳代を中心に現在約260人。ホームページには、〈黙っていたんじゃ女神は舞い降りてこないぞ。勇気を出して自分をアピールするのだ〉などと勇ましい言葉があふれている。
会長の渡部伸さん(33)。広告デザイナーという華やかな世界で仕事をしている。
人当たりもいい。だが、これまで一度も女性と付き合ったことがない。
8年前、一つ年下の相手に初めて交際を申し込んだが、あっけなくふられた。直後に、友人数人と会を発足させ、ネットで同士を募ってきた。「一人だと内気なのですが、仲間が集まるとちょっとは強くなれるんです」
年に1、2回懇親会を開く程度で特別な活動をしていないが、徐々に仲間が集まりだした。
「自分と同じ境遇の人がたくさんいることがわかりびっくりしました」毎月10人近くが入会する。
会の目標は童貞を卒業することで、毎月2、3人が退会していく。しかし、渡部さんは8年前の失恋から、新しい恋を一度もしていない。
男同士だとちゃんとしゃべれるのに、女性と2人きりになると、過剰に意識して、何も話せなくなってしまう。デートに誘うことなどもってのほか。「もし、自分の行きたい場所を、相手が嫌だったらと考えると、自分から何も言い出すことができなくなってしまうんです」
一方で、「恋愛をしなくていい」と開き直る人もいる。
東京・八王子の男性(55)もその一人。「恋愛も、竹馬や逆上がりと同じ。できたら楽しいかも しれないけど、できなくたって何も困らない」と話す。現在は、ネットでの株取引で生活をしている。
ルックスに自信がないからか、女性に交際を申し込んだことは一度もない。
女性と交際するため、服などに投資しても見返りは期待できない。割に合わない投資はしたく ないと考えている。
「いまの社会は恋愛資本主義。恋愛が、モノを売るための大きな要因になっている。だから、恋愛ができないとダメな男という風潮を社会がつくっている。でも、ぼくはだまされませんよ」
http://www.yomiuri.co.jp/feature/otokogokoro/fe_ot_07011601.htm?from=os1