難波登志子のような基地外投稿【ネタ専門】

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202北斎漫画 ◆XoZX4w02Ig
「男は質実剛健の精神で」
 楼妃 久世(主婦 43歳 埼玉県)

 我が家には中学1年の息子と小学4年の娘がいる。息子には毎日100円の、
娘には毎月1万円の小遣いを渡している。ところが最近、息子が小遣いの額
について文句を言うようになってきた。いまどき100円だけでは自動販売機で
ジュースすら買えないと言うのだ。ジュースが買えないならワインを買えば
いいと言って、その場は突っぱねたのだが、今度は年少である娘より自分の
小遣いが少ないのはおかしいと言ってきた。結局、いまの世の中では「年功
序列」という考え方は時代遅れであること、昔から「娘が3人いれば身上を
潰す」というように、娘には息子以上にお金をかける必要があることなどを
細かく説明しなければならなくなった。
 実のところ、息子への小遣いはいまの額でも多過ぎると考えている。男が
贅沢を覚えると、酒色に溺れてみたり、身の丈に合わない高級車を買ったり、
ギャンブルに狂ったりして、挙げ句は借金地獄に身を落とすなど、とかく碌
なことにならないものだ。
 だいたい、女性はエステ通いにしても海外旅行にしてもブランド品を買う
にしても、自分を磨くための散財なのだから、ある程度の贅沢は仕方ないが、
男の贅沢は何のためになるのかが理解できない。
 そんな矢先、夫が家族や会社にも内緒で副業をしていたことがわかった。
それだけではなく、昼食用に渡していた毎日500円ずつの小遣いも、昼食を
摂らずに浮かしていたようだ。夫はどうしても欲しいものがあって、お金
を貯めていたと釈明したが、まるで小学生のような言い分に呆れ返った。
 当然だが、副業の収入も浮いた小遣いの分も全て没収して、家計の足しに
させてもらった。昼食を摂らなくてもいいというなら、当分は小遣いを渡す
必要も無いだろうとは思ったが、そこは女性の情けで毎日200円ずつを渡す
ことにした。感謝と反省の念からだろう。夫は目に涙を浮かべ、拳を握り
しめながら体を震わせていた。
 将来、夫のような醜態を晒すことが無いように、息子には清貧と質実剛健
を旨とした教育をしてゆきたい。パチンコで2万円ほど擦った後、小洒落た
レストランで遅めのランチを頂きながら、そんなことを考えてみた春の午後
だった。