なぜ日本の男は欧米の女にもてないかpart9

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595名無しさん 〜君の性差〜
エリスロマイシンを代表とするマクロライド系抗生物質は、主にグラム陽性菌に対して抗菌力を持ち、
逆にグラム陰性菌には無効の事が多いため、βラクタム系の抗生物質と比較して抗菌スペクトルが狭く、
しかも耐性菌が多くなってしまっているため、抗生物質としての有用性は低くみられがちでした。
ところが最近では、本来の抗菌作用とは別の作用が存在することが明らかになり、俄然注目されるようになりました。
この件については後述します。
マクロライド系抗生物質の作用機序としては、「細菌の50Sリボゾームサブユニットと結合してタンパク合成を阻害する」ことによります。といっても、「何のこっちゃ?」ということになりますので、もう少し詳しく説明してみましょう。
596名無しさん 〜君の性差〜:04/05/02 02:02 ID:zvRo2wu/
細菌は増殖していく際に、遺伝情報をDNAからコピーして読み取りますが、このDNA上の情報をもとに細菌に必要な蛋白質を合成していきます。
タンパク質というのはアミノ酸が幾つも繋がった物質なのですが、このアミノ酸の配列順序によってそれぞれのタンパク質特有の作用を発現していくわけです。
あるものは酵素として、またあるものは構成成分として固有の役割を発揮し、生物にとって非常に重要な役割を担っています。

このタンパク質のアミノ酸配列を決めているのが、DNAの情報という事になるわけですが、
DNAの配列を読み取った上で、タンパク質を合成していく過程に不可欠なものの一つに、リボゾームと呼ばれる物質があります。
リボゾームはRNAとタンパク質からできた物質なのですが、一つのリボゾームは実は集合体で、さらに幾つかの区分に分けることができます。
これをサブユニットと読んでいますが、これらを区別するのに「沈降係数」という数字が用いられます。
これはリボゾームに一定の遠心力をかけた場合に、沈降していく速度を表わしたもので、Sという単位(スベドベリ単位)を用いて表わします。
細菌のリボゾームでは70Sのリボゾームが代表的なのですが(哺乳動物では80Sリボゾームが代表的)、
この70Sリボゾームは2つのサブユニットに分かれ、それぞれ30Sと50Sのリボゾームになります。
597名無しさん 〜君の性差〜:04/05/02 02:06 ID:zvRo2wu/
ここで先ほど書いたマクロライド系抗生物質の作用機序に戻ってみると、
「細菌の50Sリボゾームサブユニットと結合してタンパク合成を阻害する」という事も、
少しはピンときたかもしれません。
つまり細菌の増殖に必要なタンパク質合成過程を阻害することで、抗菌作用を示すということになります。
細菌と動物細胞とでは、リボゾームの大きさ、構成タンパクとRNAの割合、サブユニットへの解離条件が異なっているため、
このように細菌のリボゾームに結合してタンパク合成を阻害する薬物は、細菌に対する選択的な毒性を有することになるわけです。
βラクタム系の抗生物質では、細胞壁合成阻害が作用機序となっているため、
細胞壁を持たないマイコプラズマという微生物には効果を示さないのに対し、
マクロライド系抗生物質では効果を発揮します。
また特に組織移行性に優れるのも特徴の一つで、肺や肝臓への移行性が良好なため、
マイコプラズマ肺炎を筆頭に呼吸器系の疾患によく使われることが多い薬剤でもあります。
598名無しさん 〜君の性差〜:04/05/02 02:08 ID:zvRo2wu/
副作用は重篤なものが少ないのですが、抗生物質にはどうしてもつきものの副作用となってしまう偽膜性大腸炎があり、
腸内細菌叢の乱れによる下痢・腹痛などの症状には注意をはらう必要があるほか、
ペニシリン系抗生物質の項で取り上げた Stevens-Johnson 症候群、Lyell症候群、急性腎不全などの重篤な副作用も海外で報告されています。
ところで、マクロライド系抗生物質で注意したい大切な事に、他の薬物との相互作用に関する注意が多いという点があります。
これはエリスロマイシンを中心として、よく研究・報告されています。
さらにもう一つ、マクロライド系抗生物質の一部では、上述したような抗菌力とは異なる作用機序での有用性も指摘されています。
この2点について、以下に説明してみましょう。
599名無しさん 〜君の性差〜:04/05/02 02:11 ID:zvRo2wu/
(1)マクロライド系抗生物質の相互作用について

まず、ふだん私たちが薬を服用した時の事を考えて下さい。
例えば鎮痛薬を服用したとします。当然程度の差こそあれ鎮痛効果を発揮するわけですが、その効果はいつまでも持続するわけではありません。
「薬が切れてきた」という表現をするように、効果はだんだん無くなってきますね。
基本的に薬というのは生体にとって異物になるので、私たちの体の中ではこれを排泄しようとする働きが生まれてきます。
こうした異物は尿あるいは糞便として排泄されることになるわけですから、そのような形で排泄しやすいように薬物の性質を変えるとともに、
薬物の効果を失わせるというメカニズムが存在しています。
これを薬物代謝と呼んでいるのですが、この薬物代謝に作用する酵素、つまり薬物代謝酵素がいくつか知られています。
その中で最も重要なものに、「チトクロムP450」と呼ばれる一連の薬物代謝酵素群があり、
薬物代謝においては実に96%がこのチトクロムP450を介する代謝を受けるとの報告もあるほどです。
チトクロムP450(以下CYPと略します)というのは単一の酵素ではなく、幾つかのサブファミリーに分類されているのですが、
このうち「CYP3A4」というタイプの薬物代謝酵素を、マクロライド系抗生物質が阻害することが知られています。
600名無しさん 〜君の性差〜:04/05/02 02:15 ID:zvRo2wu/
ところでマクロライド系抗生物質では、その構造中に炭素原子(C)による環状構造を持っているのですが、
この環を構成する炭素の数により14〜16員環のものがあります。
代表的なマクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンや、比較的新しい薬のクラリスロマイシン(商品名クラリス、クラリシッド)、
ロキシスロマイシン(商品名ルリッド)が14員環構造を有しているのですが、
これら14員環構造を持つ薬剤において、特に薬物代謝酵素阻害作用が強いとされています。
もともと、これらのマクロライド系抗生物質自体が、「CYP3A4」で代謝を受ける薬物なのですが、
これらが代謝をうける際に「CYP3A4」との間で複合体を形成してしまい、なおかつその複合体形成反応が不可逆的であることから、
結果としてCYP3A4の作用を抑制してしまうという機序が、現在では明らかにされています。
…という事は、これらマクロライド系抗生物質と同じように、「CYP3A4」を介した代謝を受ける薬物の効力を増強してしまう、という事になるわけです。
601名無しさん 〜君の性差〜:04/05/02 02:18 ID:zvRo2wu/
実際の例を挙げれば、睡眠薬で有名なトリアゾラム(商品名ハルシオン)でも、
同じ「CYP3A4」による代謝を受ける薬物であるため、エリスロマイシンなどと併用することで、睡眠作用が増強されることが知られており、
併用には注意が必要になります。
同じようにエリスロマイシンと併用する場合に、薬物の作用が増強されることから併用禁忌、
つまり「併用してはならない」とされている薬剤に、抗アレルギー剤であるテルフェナジン(商品名トリルダン)とアステミゾール(商品名ヒスナマール)があります。
これらの薬剤と併用した場合には、薬物の作用が強く出過ぎてしまったことによる重篤な不整脈の発現が報告されており、
外国では死亡例まで報告されています。
他にも消化運動改善剤のシサプリド(商品名アセナリン、リサモール)という薬剤との併用で、同じような重篤な不整脈発現の報告もあります。
また先にも書きましたが、マクロライド系抗生物質は肺への移行性に優れていることから、
呼吸器系の感染症に用いられることが多い薬剤なので、気管支拡張剤であるテオフィリン(テオドールなど)と併用されるケースもよくあります。
テオフィリンは「CYP1A2」というタイプの酵素を介する薬物代謝を受けるのですが、
エリスロマイシンでは、このCYPに対して不活性な複合体を形成し、テオフィリンの代謝を抑制することがあります。
また、テオフィリンの方からもエリスロマイシンの血中濃度を低下させることがあるとの報告もあります。
このため注意が必要な併用パターンとなるのですが、実際の処方では、これらの薬剤を併用する場合にはテオフィリンの投与量を減らす事が多いものです。
しかしながらテオフィリンは薬剤の有効性を発揮する投与量と、中毒症状を発現してしまう投与量との差(これを安全域と呼びます)が小さい、
つまり微妙な投与量の管理が必要な薬剤でもあるため、投与量を減らしたといっても、依然として注意が必要となることに変わりはありません。
602名無しさん 〜君の性差〜:04/05/02 02:21 ID:zvRo2wu/
なお、ここで取り上げた薬剤の他にも、マクロライド系抗生物質との間で相互作用を起こすことが報告されています。
このため特に複数の診療科を受診されるような場合には、
現在服用中の薬剤に○○という薬剤があるという事を、主治医に伝えておくことが大切になります。