【左翼過激派】 フェミニストの正体 【文化大革命】

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123名無しさん 〜君の性差〜
(1/6)近代家族幻想から脱却を・東大大学院教授上野千鶴子氏に聞く――2004年女性家族(下)

女性と家族のあり方が大きく変わろうとしている。仕事観の変化が、家族観に転機を促しているようだ。
日本人が追い求めてきた「近代家族像」に疑問を抱いてきた東大大学院教授の上野千鶴子氏に、
現代の女性と家族の行方を聞いた。

――まず、上野さん自身が育った家庭環境はどうだったのか。

「私の母は専業主婦だった。医師の父は朝から晩まで病院にいるから、必ず3度の食事を作り、それに来客も多くて、
コマネズミのように家でよく働いていた。長男の嫁なので祖母も同居し、私には兄と弟がいた」

「モダニストの父は、クリスマスパーティーも開き、家族団らんの機会も多かった。食卓で『さあ一緒に団らんしよう。
今日は学校で何があったの』と子供たちを促す。小学生ながらこれは抑圧的で、うそっぽいなと感じた」

――でも、外からは理想的な家族と見られていたのでは。

「うちと似たような家族が近代家族として、その後、1960年代に日本中に広がった。そのころ恋愛結婚が見合い結婚を追い抜き、
女性が男性を選んで結婚する時代になった。両親も恋愛結婚。だが、夫婦仲はよくなかった。
でも母は、自分で選んだ結果の夫だから誰にも文句を言えない」

「娘の目から見ると、そんな母親の人生は、どう考えても割に合わないとしかいいようがなかった。
これが女の人生の標準コースなら、あほらしくてやってられないと思った」
124名無しさん 〜君の性差〜:04/01/08 23:19 ID:l3TWVZ2Q
70年代にきしみ

――夫婦愛で成り立つ幸せな近代家族は日本では実現しなかったのか。

「完成と同時に破たんしたといっていいだろう。70年代に入ってコインロッカーベイビー、金属バット殺人事件などの
家庭内暴力は、近代家族の関係が煮詰まったから起きたと思う」

「都市化が進む前、60年代以前の農村共同体では、家族に多くの他人の視線が入ってきた。
家族といってもスカスカの穴だらけの存在。少しでも問題があれば仲人や実家が介入した。
それが近代家族の大衆化とともに閉鎖性が高まっていく」

「女性たちに、『子どもが寝てから夫婦げんかをする家庭か』と聞いて、そうだと答えたら『あなたは不幸な近代人ですね』と
よく言う。こうした閉鎖性は、DV(夫からの暴力)にも通じることで、以前は歯止め役となる第三者の介入があったと思う。
かつて封建的な家制度は諸悪の根源と多くの人が主張して、戦後の家庭を理想視してきたが、
実は、その家庭は逃げるに逃げられない強制収容所になったのではないだろうか」

――では、どのようにすれば近代家族が崩壊しないで、踏みとどまれるのか。

「閉じた人間関係を外に開くこと。家事の外部サービス化が進んだが、最後まで残ったのは介護と育児。
それも介護保険で、他人の手が家族の中に入るのが当たり前になりつつある。介護の社会化が浸透し、
家族関係が外に開かれてきた。次は、全く同じ考えの下で育児の社会化を図るべきだと思う」

「保険による世代間の助け合いだと考えれば、介護も育児も同じこと。教育の社会化はとっくにできているのだから、
養育も同様に社会化すべきだ」

「昔なら地域に必ずいた少しおせっかいな『近所姑(きんじょじゅうと)』を制度化したのがファミリーサポートセンター。
頼りになるのは、遠くの親せきより近くの他人。支援を求める人とサービスを提供する人をつなぐシステム作りが重要だと思う。
ただし、無償ではなく責任と報酬の伴う労働にすることが大事だ」
125名無しさん 〜君の性差〜:04/01/08 23:21 ID:l3TWVZ2Q
増える単身世帯

――近代家族はプライバシーや個人主義を強調し、自己完結性を求めてきた。それでは成り立たないということか。

「他者に依存しないと生活できない赤ん坊や病人、老人、障害者らを抱えるのが家族。
その人たちのケアを家族だけで支えるのは難しい。ケアの負担が家族の中にしわ寄せされていては、
かえって親密性を損なう。依存の一部を社会化することで、家族は良好な関係を保てるだろう」

――その近代家族の典型、夫婦に二人の子どもという世帯は現実に減り続け、いまや全世帯の3分の1を割った。

「逆にどのような家族が増えているかに注目したい。夫婦だけの世帯と単身世帯。それに一人親と子の世帯。
これらを合わせると半数を超えた。なぜ多くなったのか。高齢化と離婚率の上昇が理由として挙げられるが、
両者は欧米諸国に比べて日本だけが突出しているわけではない」

「日本で顕著なのは非婚率の高さだ。はなから結婚しない人が多いこと。非婚者の増加が少子化につながっている」

――少子化につながる女性の合計特殊出生率の低下は、結婚年齢の上昇が大きな要因とよくいわれる。

「70年代に先進国を襲った性革命を日本が通過しているかが大きなポイントだと思う。
その指標は、離婚率と婚外出生率が上昇しているかどうかだ。北欧や米国では離婚は夫婦2組に1組の割合で多い。
婚外子は、北欧で2人に1人、米国でも3人に1人いる。結婚してもキャンセルし、またつくり直す。家族規範が流動的になった」

「だが日本では、離婚率が高くなっているとはいえ、欧米並みではない。婚外子も極めて少ない。
統計的にみれば、結婚制度が非常に安定的だ」

――生活のカジュアル化は欧米とひけをとらないはず。なぜ日本だけ結婚制度が流動化しないのか。

「男女差別が、仕事と家事の両方でまだ強いからだ。賃金の男女格差が大きく、それが家庭内の力関係に反映されて、
男女の役割を固定化させている。離婚率と女性の就業率は、米国のデータでは相関している。婚姻関係が流動的だと、
女性は仕事を手放さない」
126名無しさん 〜君の性差〜:04/01/08 23:23 ID:l3TWVZ2Q
収入源は複数へ

――変化の芽はないのか。

「女性に多い短時間労働者と正規労働者の賃金格差は、日本がずば抜けて大きい。
政府、企業それに労働組合が一体となって進めてきたからだ。
だが、終身雇用や年功序列、企業内組合など日本的雇用慣行の崩壊とともに変わっていくのは明らか」

「経済成長にも限界がある時代。男1人で家族全員は養えない。『持ち寄り家計』になっていかざるをえないだろう。
ダブルインカムどころか、家族皆がそれぞれ複数の事業から収入を得るマルチインカム。
いわば、小銭をかき集めれば、ゆとりが生まれる。そうなると、肩寄せ合って助け合うという家族の親密性は一段と高まるだろう」
(聞き手は編集委員 浅川澄一)

≪インタビューを終えて≫
合計特殊出生率の推移からみて、2、3年のうちに日本の総人口は減少に向かう。
少子化問題が本格的な政策課題に浮上し、育児の社会化の議論が活発になるだろう。
予測がつくのに、その時点にならないと真剣味を帯びないのは年金と同様だ。
その時、介護保険並みの育児保険が成立するだろうか。誰しもに親はいるが、子はどうか……。
上野氏は育児保険が家族を、家族としてつなぎ留める第二弾と言う。

育児の社会化が進まないと、親の働く権利の喪失につながる。父親の育児時間の確保も必要。
それには長時間労働や単身赴任の問題を解決しなければならない。こうした男の働き方の見直しと連動せざるをえない。
介護にもまして、家族のあり方そのものが問われる。

課題解決への暗い見通しが、若者に結婚や出産、育児にかかわりたくない気分を生んでいる。
解答への出発点は「やはり男女の賃金格差解消」という上野氏の考え通りだろう。
仕事や家庭を含め、あらゆる分野での男女の機会均等を保証する運動が欠かせない。
127名無しさん 〜君の性差〜:04/01/08 23:24 ID:l3TWVZ2Q

(うえの・ちづこ) 東京大学大学院人文社会系研究科教授。社会学・ジェンダー論研究者。1948年富山県生まれ。
京都大学大学院文学研究科博士課程修了。平安女学院短期大学講師などを経て93年東大助教授、95年から現職。
一貫して女性の視点から労働や家族、風俗などに切り込む、フェミニズムの代表的な理論家。
著作に「セクシー・ギャルの大研究」「家父長制と資本制」「スカートの下の劇場」「近代家族の成立と終焉」
「ナショナリズムとジェンダー」「家族を容れるハコ家族を超えるハコ」などがある。 [日本経済新聞]

http://smartwoman.nikkei.co.jp/news/kateiview2.cfm?genreCode=w2&pos=1