背筋が寒くなる怖い話

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66名無しさん 〜君の性差〜
彼女はわたしが止めるのも聞かず、便器のフタを開きました。
その中には、女の人の顔だけが上を向いて入っていました。
まるでお面のようなその女の人は目だけを動かすと、立ちすくんでいる友人を見、
次にわたしを見ました。わたしと視線が合った途端、女の人はまた口をぱっくりと開き、
今度はハッキリと聞こえる甲高い声で笑い始めました。

はははははは…ははははははは…。

笑い声にあわせて、女の人の顔がゼンマイ仕掛けのように小刻みに震え、はみ出た黒髪が
ぞぞぞぞっ…っと便器の中に引き込まれました。顔を引きつらせた友人は、叩きつけるように
便器のフタを閉じました。そしてそのまま片手でフタを押さえ、もう片方の手で水洗のレバーをひねりました。
耳障りな笑い声が、水の流れる音と、無理矢理飲み込もうとする吸引音にかき消されました。
その後は無我夢中だったせいか、よく覚えていません。気が付くと、簡単な着替えと貴重品だけを持って、
私と友人は友人の部屋の前にいました。部屋に入った友人は、まず最初にトイレと浴槽のフタを開き、
「絶対に閉じないでね」と言いました。

翌日の早朝、嫌がる友人に頼み込んでもう一度付き添ってもらい、自分の部屋へ戻りました。
しかしそこにはもう何もありませんでした。それでも私はアパートを引き払い、実家に帰ることにしました。
通勤時間は長くなるなどと言っていられません。今でもお風呂に入るときは母か妹が入っているタイミングを
見計らって入るようにしています。トイレのフタは、家族に了解をもらって、ずっと外したままにしてあります。