1/27放送の「TRYあんぐる(名古屋テレビ)」で名古屋市営地下鉄の女性専用車両(以下、「女性車」と記す)に関する特集が放送された。
(→『』内は筆者コメント)
まず、街頭アンケートとインターネットによるアンケート結果を比較紹介。街頭結果では賛成優勢であるのに対し、ネット結果では反対優勢と結果が全く逆であることを紹介。
また、ネット結果での主な反対理由として「他の車両に乗りにくい」、「男女不平等である」と紹介。
次に、女性学専攻の大学教授(女性)が女性車についてコメント。内容は「女性を弱き者として隔離することになり、男女共同参画社会の理念に反する」とのこと。
→『女性学の観点では女性車は決して好ましいものではないという見解である。これまで女性のご都合主義で男女平等と女性優先が使い分けられてきただけに、
こうした見解が新たな展開を生むことを期待したい。』
(続く)
(続き)
今度は、教授が勤務する女子大の女学生達から痴漢被害の体験談を紹介。綴られた文面からは「毎日のように痴漢に遭う」、そして直接のインタビューでは「混雑していない
のに近づかれ股間を押し付けられたので、逃げた」、「後ろから抱きつかれた」等。また街頭での男性側への痴漢目撃に関するインタビューでは「注意したら犯人が逃げた」、
「痴漢かどうか区別するのが難しい」等。
そして、女性車の利用者へのインタビューでは「スカートを押さえなくてもいい(女子高生)」、「男性の目を気にする必要がない。(学生風)」と好評意見のみを紹介。
→『毎日のように痴漢に遭うというのなら、車内の男性はほとんど痴漢であるということになってしまう。それ以外の回答も、女性車の導入目的とその効果に対する女性側の
認識に隔たりがあるように見え、むしろ贅沢を求めているだけにも思える。』
(続く)
(続き)
一方、JR西日本での女性車の事例を紹介。痴漢被害が減少したという成果を紹介する反面、車内での化粧や携帯電話の使用、床への座り込み等女性客のマナーが
低下している現状も問題点として紹介。
→『車内でのマナー低下は女性車に限った話ではないが、女性車では特に顕著である。これは週刊誌の「女性自身」にも掲載されており、そこでは弁当を食べる等の飲み食いや
着替えをするなど女性の愚行が記されていた。また車内全体が香水の匂いで充満し気分が悪くなるなどの弊害も現れている。』
(続く)
(続き)
再び、大学教授に女性専用車両が痴漢被害の防止策になるかどうかを尋ねたが、「応急処置としての短期的な効果はある」と答えるにとどまり、「男女共快適に過ごせる
ものであることが大切」と締めくくった。
→『女性学にしては平等的で好感が持てる意見ではあるが、「男女共快適に過ごせる」という概念は人によって解釈が様々である。「男性にはこれだけ与えておけば
満足できる筈だ」といった押し付け理論であってはならない。』
(続く)
(続き)
そして再度先程の女学生達と男子学生に痴漢を無くすにはというインタビュー。回答は「声を上げるなど自分の身は自分で守ることが大切(男子)」、「飲酒運転でも効果が
出ているように、刑罰を重くすれば良い。(女子)」、「車内放送で痴漢注意のアナウンスをするだけでも変わってくるのでは(女子)」とのこと。
名古屋市交通局では、4月以降の利用状況も踏まえ本格導入を検討するという。
→『何でも刑罰を重くするのは短絡的な発想ではないだろうか。そもそも飲酒運転の場合は、アルコール濃度何パーセント以上などといったガイドラインが明確に規定され
ているため、罪の白黒の区別が明白である。しかし、痴漢犯罪の場合は立証が女性側の証言のみで一方的に決め付けられるため、刑罰を重くすればするほど、示談金目当ての
意図的な冤罪陥れが激増する可能性がある。つまり、冤罪が起き易い犯罪の刑罰はむやみに重くしてはならないという構図が自ずと成立することになる。』
(続く)
(続き)
→『今回の特集では、女性車と一般車との混雑度の違い等、女性車の運用に関する話題というよりはむしろ、概念的な女性車の是非と痴漢防止に対する有効性についての報道が
主体であった。女性側の意見を見る限りでは、痴漢防止のための救世主というよりはむしろ女性だけの空間を楽しむという要素が強く感じられる。痴漢などの性的被害に
関しては被害者が精神的に著しい後遺症を伴うなど誇張した得てして被害者意識が増幅され、それを盾にした極端な手段がとられてしまい易い。女性車もその一例と言えよう。
有効性の低い手段は形骸化し、副作用だけが残ることになる。
また、こうした主に女性が被害者となり易い問題について多くの女性は一方的に男性側の独自の問題としか考えていない。しかし、限られた社会空間の中で男女が関わり
合う以上、全ての問題は自分自身にも関係するという認識を女性は心得るべきである。母親による幼児虐待が母親個人の問題だけではないとするのと同様、痴漢や強姦等、
犯人を生み出す火種は女性側の意識にも深く関わっているということを社会に訴えていく必要がある。』