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(前略)
志田未来は、昨年のNHK記念ドラマ、「ハルとナツ」で、ナツ(仲間由紀恵)
の少女時代を演じていた。
ブラジル行きの船のステップで姉と別れ別れになる時の号泣「お姉ちゃん!」
と叫び続ける痛切な金切り声−の名演技は今も記憶に焼きついている。顔だち
が愛らしく、表情豊かで、親近感が湧くタイプだ。この子の笑顔を見ると、元気が
沸いてくる。ただ可愛いだけじゃなく、どこかに土臭いたくましさもあって、戦前・戦中
の貧しい時代を生き抜いた少女には、まさにピッタリのキャスティングだった。
「馬場ちゃん」こと永井杏は、NHKで放送中の大河ドラマ「功名が辻」でこれ
また仲間由紀恵の演じる千代の子役を演じた。
彼女には同局の夜ドラ「ニコニコ日記」という出世作がある。
顔の表情はあまり変わらないが、それがかえって、壁一枚隔てたところから
大人の世界を覗き見ているような、生々しい子供らしさを感じさせる。
「そいえば昔、近所にいたよなぁ、こういう子」と思わせるリアリティーが武器だ。
残る一人は福田麻由子。
私が初めて彼女を発見したのは、ドラマ「光とともに」主人公の少年を苛め
る女の子の役を好演した時だった。その後、「ラストプレゼント」というドラマで
天海祐希の娘役を演じて以来、彼女は自分にしか出来ない役柄を確立してし
まった。人知れぬ悲しみを心に抱えた、大人を信じることの出来ない女の子の
役だ。今クールの新ドラマ「白夜行」の第1話では、その魅力が2時間にわた
り、あますところなく発揮されていた。かぼそい体に宿る、年齢不相応に透徹
した精神性。それでいて、大人の女にはない、少女期特有の聖性のようなもの
すら漂わせていて、一挙手一投足に、息を呑むほどに惹きつけられた。
(後略)