1 :
名無しさん:
2 :
名無しさん:2006/09/09(土) 22:33:38
共通用ローカルルール
・死亡した芸人の復活は不可
・あくまでネタスレです。まったりどうぞ
書き手用ローカルルール
・投下する前に過去ログ、まとめwiki(特に必読項目)に目を通す
・投下時に明記すること
どのレスの続きか(>>前回のレス番号)
文中で芸人が死亡、同盟を組む、他、重要な出来事があった場合
所持品、行動方針、現在位置、日付、時間帯、投下番号
・トリップ強制 付け方は名前欄に『#好きな言葉』
・書き手は一つの話に一人だが、以下の場合は引き継ぎ可
書き手自身が執筆中止を告げた場合
最終投下から3ヶ月以上経過した場合
・書いた話に不都合があった場合、番外編としても投下可
・2002年ver.の話を投下する場合は文章の最初でその旨明記する
・他、詳しくはまとめwiki参照
読み手用ローカルルール
・書き手に過度な期待、無理な注文をしないようにする
・コメント、感想、要望などはアンカーがついているといいかもしれません
・本スレで言いにくいことはしたらばのチラシで
3 :
名無しさん:2006/09/09(土) 22:34:26
◆iAsrIbcRAQさん、いますか?
4 :
名無しさん:2006/09/09(土) 22:34:54
5 :
名無しさん:2006/09/09(土) 22:35:02
6 :
1:2006/09/09(土) 22:35:55
危険な香りがしたので勝手に立てますた
不備があったらスマソ
7 :
名無しさん:2006/09/09(土) 22:36:52
8 :
名無しさん:2006/09/09(土) 22:36:56
9 :
980:2006/09/09(土) 22:37:10
立てました。大丈夫かな?
10 :
名無しさん:2006/09/09(土) 22:37:17
11 :
名無しさん:2006/09/09(土) 22:38:22
とりあえず、もう◆iAsrIbcRAQを責めるのは、やめようよ
352:名無しさん :2006/09/03(日) 22:42:47 [sage]
投下したければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
>>11 安心しろ。したらばで彼女の擁護がたくさん出てて
話はそのままになりそうだから。
\∧_ヘ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,,、,、,,, / \〇ノゝ∩ < 980とり合戦いくぞゴルァ!! ,,、,、,,,
/三√ ゚Д゚) / \____________ ,,、,、,,,
/三/| ゚U゚|\ ,,、,、,,, ,,、,、,,,
,,、,、,,, U (:::::::::::) ,,、,、,,, \ ぶーぶーぶー /
//三/|三|\ タリー
∪ ∪ (\_/)タリー タリー まだ早えよ〜
( ´Д) タリー タリー
/ つ (\_/) (\_/)ノ⌒ヽ、
(_(__つ⊂(´Д`⊂⌒`つ(´Д` )_人__) ))
16 :
980:2006/09/09(土) 22:41:12
何か不備があったらスマソ
625 :名無しさん :2006/09/09(土) 22:33:12
バトロワスレの980ですが無理でした。
ERROR:新このホストでは、しばらくスレッドが立てられません。
またの機会にどうぞ。。。
18 :
1:2006/09/09(土) 22:42:16
団長の話を書けば問題ないと?
22 :
7:2006/09/09(土) 22:45:06
>>17 勘違いとはいえ酷いことを言ってしまってすみませんでした。
23 :
990:2006/09/09(土) 22:46:40
勃てようとしたんですが、既に勃っていたので、私は勃てませんでした
24 :
7:2006/09/09(土) 22:48:58
>>23 そうですか。でも、あなたには謝りません。
25 :
980:2006/09/09(土) 22:49:39
以上で雑談は終了したいと思います
27 :
名無しさん:2006/09/09(土) 22:53:02
◆iAsrIbcRAQさん、いい加減荒らすのはやめて下さいね^^
29 :
名無しさん:2006/09/09(土) 23:00:02
◆iAsrIbcRAQ投下まだ〜??
以上で◆iAsrIbcRAQさんを茶化す書き込みは終了したいと思います
31 :
名無しさん:2006/09/09(土) 23:07:22
>>30 ◆iAsrIbcRAQキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
◆iAsrIbcRAQさん負けないで
本当にやめようよ。何時間この流れなんだよ。粘着すぎる。
書き手さん頑張ってください。
◆iAsrIbcRAQさんの話は結局どうなったの?無し?
ふーん。
え、決まってたの?
631 :名無しさん :2006/09/09(土) 22:46:07
あの時は無しになったのに今回はおkなのか
変なスレだ
632 :名無しさん :2006/09/09(土) 22:47:38
どのスレの事ですか?
633 :名無しさん :2006/09/09(土) 22:48:41
言わずもがな
634 :名無しさん :2006/09/09(土) 22:55:56
お笑いバトルロワイアル○レですよ
>>38 ◆iAsrIbcRAQがまとめで編集したものを削除したので決定
あらららら
すぐに消すことなかったのに
43 :
名無しさん:2006/09/09(土) 23:51:01
976:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/09(土) 22:18:28 [sage ]
止まったwww
999:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/09(土) 22:31:01 [sage ]
1000
止まったwww
45 :
名無しさん:2006/09/10(日) 00:19:11
885:◆iAsrIbcRAQ :2006/09/09(土) 21:09:35 [sage]
すみません・・・団長のことあまり詳しくないのに書いてしまって・・・。
りあるキッズの話、なかったことにしていいですかね。
もし今度書くときは、もっと勉強してから書きます。
混乱させてすみませんでした。
894:◆iAsrIbcRAQ :2006/09/09(土) 21:17:43 [sage]
はい、すみません。
よく訳もわかっていないのに引っ掻き回してすみませんでした。
無しにします。
900:◆iAsrIbcRAQ :2006/09/09(土) 21:21:21 [sage]
います。
多分無しにはできるはずです。
同時にりあるキッズの投下権も破棄します。
本当に申し訳ありませんでした。
923:◆iAsrIbcRAQ :2006/09/09(土) 21:34:59 [sage]
います、すみませんでした。スルーお願いします。
46 :
名無しさん:2006/09/10(日) 00:49:57
166: ◆iAsrIbcRAQ
06/09/09(土) 22:14:22
そうですね・・・
りあキは協力するようで協力しない、悪魔2人?みたいなかんじで・・・
裏切りもするし抜け駆けもする、そんなかんじで書こうかと思ってました。
それで融季のほうが「あいつ生意気やわぁ」とか言って勝手に藤森を攻撃・・・
(安田と藤森は仲いいみたいなんで)
んで結局安田を殺すのは融季にしようと思ってたんです。
そうそう、「なんてこったい!」で、また泣くとw
すいません遅ればせながら投下しようと思ったんですが、規制で書きこめませんでした…
また時間空けて投下します。したらば行かなくてすいません
450 :名無しさん :2006/09/08(金) 23:34:49
バトロワスレの人達って、あの程度の文章でほんとに上手いと思ってんの?
あれの何処が上手いのか全く解らない。
455 :名無しさん :2006/09/08(金) 23:41:52
>>450 「2ちゃんのネタスレに投下される文章」という前提で読んでるから
ハードル下がってんだろ
456 :名無しさん :2006/09/08(金) 23:42:31
常にあんなの考えてると思うとキモス
457 :名無しさん :2006/09/08(金) 23:44:16
>>450 前に他スレで絡まれた時、「もう萎えた」とか言い出す奴がいたから
機嫌を取っているんですよ
458 :名無しさん :2006/09/08(金) 23:46:18
もう萎えたバロスwwwww
460 :名無しさん :2006/09/08(金) 23:53:05
>>450 「全く書けない人からみたらあれも上手いうちに入るんだろう」と
自分に言い聞かせている
461 :名無しさん :2006/09/08(金) 23:56:07
>>450 つ社交辞令
みんな分かってて言ってんですから
462 :名無しさん :2006/09/09(土) 00:00:07
バトロワスレって何かと・・・w
乙です!って「!」つけないと突っ込まれてたねw
50 :
名無しさん:2006/09/10(日) 02:09:28
752:名無しさん :2006/09/08(金) 21:37:00 [sage]
>>751 ぁぅ、すいません予約されてなかったからチュート書いてしまいました・・・
あまり上手くないかもしれませんが続き頑張りますorz
779:名無しさん :2006/09/09(土) 02:20:24 [sage]
うーむ。長年のコアな麒麟ファンとしては違和感がある。
話の展開も向がああいう感じになっちゃってたりと 作風が浮いてる感ありのような。
今後に期待してます
874:名無しさん :2006/09/09(土) 20:58:57 [sage]
たとえ先輩でもこんなこと言うかしら
まあフィクションだけれども…
キャラ立たせたいんだろうけど
うーむ
51 :
名無しさん:2006/09/10(日) 02:21:43
405:名無しさん
06/09/10(日) 02:05:32
今気付いたんだけど「予約スレ」で団長死ぬこと公表してるね
これは文句言いにくいのでは?誰も触れなかったんだし
ただ、初心者さんだなってのは端々から伝わってくるんだよなぁ
ふいんきで察しろってのは難しかったのかもしれない
こんだけ騒がれて戻ってきても微妙だろうし、今回はスルーにして
次回からの対応として考えようよ
407:名無しさん
06/09/10(日) 02:14:31
ついさっき今回の騒動やっと読み終わったんだけど、
>>405が言ってる事を本スレでもどこでも誰も言ってない事にかなり驚いた
ただ死ぬったってどんな風に死ぬか予想つかないからしょうがないかもしれなかったけどさ
でもそろそろ落ち着いてもいい頃だと思う。平日になるまで無理かな・・・・
52 :
名無しさん:2006/09/10(日) 02:40:27
いちいち貼り付けなくていいですよ
あーなんか終わったなあ
もう駄目ぽ
やけに必死で荒らしてるね
禿同
書き手さん ガンバレ
応援してる人のほうが多いよ!
たぶん
荒らしアンチに負けないで
いや、逆だよ
負けずに書き手さんを励ましたいが、
荒らしを煽る事になるかなと思うと発言しにくい。
がんばれ
嵐なんかスルーすりゃいいだけ。
ここの住人はスルー出来ない奴が多いんだよ。
60 :
名無しさん:2006/09/10(日) 03:18:02
◆iAsrIbcRAQさん、いますか?
し
つ
こ
す
ぎ
厨
62 :
名無しさん:2006/09/10(日) 03:24:49
63 :
名無しさん:2006/09/10(日) 05:22:01
キンコメ高橋投下。
名前の分からない芸人の死体を数体見た。
やはり沸き上がる感情というものは、無いに等しく。
…今野は、うまくやっているだろうか。
きっと何だかんだで大丈夫なのだろうけれど。
そんなことを考えつつ森の中を歩いていると、『殺し合い』という状況には不釣合いな音楽が耳に入る。
時計を見て時間を確かめると、第一回の放送の時間だった。
『芸人の諸君、頑張って殺しあってるかな?』
――ビートたけし。俺達の担任である人の声。ええセンセイ。もう既に頑張って一人殺させていただきました。
『さて、これが最初の放送だ。これから今までに死んだ奴を発表していく。
最後に禁止エリアの発表もあるからな、ちゃんと聞いとけよ。』
彼はモニターで自分達の後輩が殺しあっているのを見て楽しんでいるのだろうか。
何とまぁ、悪趣味な。そう心の中で悪態をついた。
名簿と鉛筆を取り出し、周りに人がいないのを確かめて茂みに入り、木に寄り添ってしゃがみ込む。
次々と死亡者の名前が発表され、高橋は死んだ芸人の名前に斜線をつけた。
『…51番小沢一敬……』
「………そっか、死んだんだ、あのひと。」
高橋はふぅ、と溜息をつく。小沢とは仲良くさせてもらっていた。
彼らのラジオには今野と一緒に出演させていただいたこともあるし、
ライブや番組で数回共演したこともある。他の事務所では仲のいいほうだと、思う。
恐らく彼の性格からいって自殺だろう。
他人を殺すという事実を受け止められなかったのか―−。嗚呼何たる人の弱いこと。
「俺は、アンタみたいに簡単に死にません。」
斜線をつけながら呟く。
「せいぜい足掻いてやりますよ。」
斜線付けを終えて、高橋は勢い良く名簿から鉛筆を離した。
『禁止エリアは――…』
禁止エリアが発表され、地図と場所を照らし合わせる。
自分がいたところとは遠く、安心してふぅ、と溜息をついた。
『まぁまぁのペースだな。もっと気合入れて殺しあってくれ。期待してるぜ。』
たけしの声がプツリと止んだ。放送が終ったようだ。
だが、高橋は名簿をしまおうとはしなかった。じっと、『小沢一敬』の名前を眺めていた。
「…小沢さん、俺、死ぬの怖くないんですよ。」
「何でかな。でもね、人を殺すのも怖くない。寧ろ、楽しいと一瞬思った。」
「最悪でしょう?…貴方はきっと、相方に生きて欲しいから死んだんでしょうね。」
「…でもね、小沢さん。井戸田さんは、きっと今、放送を聞いて絶望している。」
「馬鹿ですね。貴方は。自分が思ってるより、貴方の死って結構他の芸人に影響与えるんですよ。…良い意味であれ、悪い意味であれ。」
もう一度鉛筆を握り、シャッと小沢の名前に斜線を加えた。
「俺だって、その一人なんだ。」
悲しい。心のどこかで望んでいた感情のはず。身体に、心に、ぽっかりと穴が開いたような。その感情。
でも、涙は不思議と流れなくて。もう既に、涙腺がおかしいのかもしれない。神経がおかしいのかもしれない。
…いや、もしかして、死体を直接見るまで信じることが出来ていないのかもしれない。
血を流して倒れている小沢さんを見るまでは。ただあてもなく森を歩いていたが、そろそろ目的を決めるべきだ。
「…彼の死体をさがす。」
目的は決まった。名簿と鉛筆をデイパックに入れて立ち上がる。
小沢の死体を見つけて花でもたむけてやろう。高橋は歩み始めた。
ぽっかりと開いた穴が埋まることが何よりも難しいということに、高橋はまだ気付いていない。
【キングオブコメディ 高橋 健一
所持品:煙草(開封済み)・ライター・眼鏡・使い捨てコンタクトレンズ(使用中)
FNブローニング・ハイパワー(12/13)・控え銃弾(39発)
シグ・ザウエル P230・九ミリショート(2/7)・控え銃弾(21発)
第一行動方針:襲ってきた奴は殺す
第二行動方針:小沢の死体をさがし、彼が本当に死んだか確かめる
基本行動方針:とりあえず頑張ってみる
最終行動方針:優勝 】
【現在位置:森】
【08/15 18:13】
【投下番号076】
以上です。
仕事が昼からなので早めに投下できてよかったです。
68 :
名無しさん:2006/09/10(日) 09:53:15
72 :
名無しさん:2006/09/10(日) 10:39:37
976:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/09(土) 22:18:28 [sage ]
止まったwww
999:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/09(土) 22:31:01 [sage ]
1000
>>70 いえ、学生ですが今日はバイト入ってるので…。
ではバイトいってきますノシ
学生って行っても小学生から大学生専門学生いろいろあるだろ
学生にすぐ噛み付くヤツうぜえ
とりあえず大学生以上であることを期待。
最初から仕事って言わないで、バイトって言えば良かったのに
逆に社会人が、こんなの書いてると思うと引く。
普段、こんな事ばっか考えて仕事してるのか、とか思ってしまう。
釣られんなよ馬鹿共
もう投下すんのやめたアホらし
これからりあるを書く人が居るなら、キャラはあのままにして欲しい。
前スレ
>>427-431 のつづき
島田が緩慢に視線を向けた先にいたのは、今時漫画でしか見ないようなふんわりとしたリーゼントの男。
とはいえその男も芸人であり、その顔には島田も見覚えがあった。
彼が相手の名前を記憶から引き出そうとするのとほぼ同時に、男は…佐田は片手で握った拳銃の銃口を島田の方へと向ける。
「えっと……君は………っ?!」
視界に入る金属質の物体の煌めきに、胃の痛みと共に島田の思考を覆っていたぼんやり感は瞬時に醒め、
ビクリとその薄い肩が震えた、瞬間。
銃口が火を噴き、大音量の低い破裂音とそれに続く小さく乾いた破裂音が殆ど同時に周囲に響き渡った。
「起きろー。赤岡、いー加減に起きろー。」
負傷とそれに伴う失血からの貧血で気を失ってからおよそ30分ほどの時が流れ、赤岡はそんな声と共に揺り起こされ、目を覚ました。
ゆっくりと瞼が開かれ、ぼやけた視界が定まって。
まず赤岡の視界に入ったのは、見慣れたまん丸くも柔和な先輩…イジリー岡田の顔だった。
そのぽっちゃりした体躯が迷彩色の兵士の装備で覆われていなかったら、あれ、僕もしかして稽古場で寝ちゃってました?
僕、怖い夢を見てたんですよ。プログラム…中学生がやる例のアレを芸人でやる事になったって内容で………
そんな会話が今にも始まってしまいそうだったけれど。
ここは日陰ではあるが明らかに屋外で、イジリーの肩からはライフルだろうか。大ぶりの銃が下げられていて。
今までの出来事が決して夢なんかではない事を、赤岡に告げている。
「イジリー…さん?」
何でここに? そしてその格好は?
思わず問いかけようとする赤岡の口をイジリーは指先で封じ、首を横に振った。
表情こそいつものように柔和だけれど、眼鏡の奥の目は笑っておらず真剣な光を湛えていて。その迫力に思わず赤岡は口を閉ざす。
「こっちにも色々あってね。詳しくは察して貰うしかないけど、さすがに長い時間君を休ませたりとかあんま露骨に贔屓できないんだ。」
でも少しは楽になっただろ? 告げられる声に、赤岡はこくりと頷いた。
そのまま右手を地面について身体を起こせば、確かに少しだけ…本当に心持ち、身体が軽くなったような気がして。
ふぅと一つ息を吐くと、傍らに置かれていたデイパックを肩に掛け、マイクスタンドをしっかりと握りしめた。
周囲を見渡せば、どうやら今まで赤岡は神社の裏手の物置と神社が作る物陰に横たえられていたらしい。
わずかな隙間の向こうに見える鳥居の下には、一人の兵士…多分赤岡を見つけ、呼び止めようとした兵士だろう…が佇んでいる。
さすがにそっちの方へ抜けるのは気が引け、この神社にたどり着いた時のように森の中を行こう、と決めて。
軽く会釈しながらイジリーの脇を通り、柵をまたいで越えた赤岡に、背後から声が掛けられた。
「…死ぬな、とは言わない。でも、良く考えて、悔いなくいきなさい。」
ここで振り向くのは相手の意に反する行為のような気がして、ただ立ち止まってイジリーに背を向けたまま赤岡はその言葉を受け止める。
あぁ、僕はこの人にずっと助けて貰ってばかりだ。プロの芸人としてデビューする前から、この期に及んでまで。
いや、この人だけではない。
ずっと多くの人に助けられてきた。それらに甘えていた部分も多かったかも知れない。
目に見えた結果は残せなかったけれど、それでもいつか、何とかして恩に報いたいと思っていた。
……それなのに、これか。
マイクスタンドを肩に担ぎ上げる赤岡の唇の端がつり上がり、自虐混じりの呼気がふっと漏れる。
「…はい。ありがとう御座いました。」
背後の相手にその声が届いたかどうかはわからない。
しかし赤岡はそう口にすると改めて鬱蒼と下草茂る森の中へと歩き出していき、間もなくイジリーからはその後ろ姿は見えなくなった。
眼鏡の奥の目を細め、赤岡の長身を最後まで見送って。イジリーは元の鳥居の下へと戻っていく。
「…僕も大概人の事言えませんが、随分と甘いですね。」
日なたという事もあってか、いや、それだけではないのだろうけども、足取りの重いイジリーに、一人佇んでいた兵士が告げた。
「ん…何の事かな。」
「別にこっちの脅威になるようなモノを持ってない以上、ずっと放って置いても良いのに、
今あえてあいつを叩き起こすってのは…今からスタート地点に戻れば、怪我しているあいつでも何とかNo.109…島田が
フィールドに出てくるのに間に合うから、でしょう?」
小さく笑ってとぼけようとするイジリーに、兵士は告げて肩を竦める。
「人には変な手助けをするなとか言っておきながら…あなたはそんなに死にたいんですか?」
「死にたくはないよ。でもね。」
兵士の問いかけに答え、一度言葉を切って。イジリーは空を見上げた。
頭上に広がる青は思わず泣きたくなるほどに澄みきっている。
これから地上は澱んだ赤に染まるかも知れないというのに、否応なく殺し合いに巻き込まれた芸人達も、
内心では殺し合いを止めさせたいのにも関わらず、殺し合いを推進する側に組み込まれ、見ている事しか
…いや、看取っていく事しかできない者達も、等しくその青で包み込もうとしているかのようで。
「僕にとって初舞台の時から見てきてるような連中はね、やっぱり何があってもみんな親戚の子みたいに愛しいモノなんだよ。」
「……………。」
兵士の耳に届くイジリーの声は何かを堪えているような響きを帯びているように思え、兵士は一瞬何かを口にしかけるけれど
結局無言のまま、彼はイジリーから視線を逸らした。
会話が途切れた瞬間から、周囲の森で、鳥居で、鳴く蝉の声が大きく聞こえてくるような錯覚を感じる。
ここで死に向かう蝉よりも先に死ぬ羽目になる芸人の事を思うと気が重くなるような気がして。
兵士はただ深く溜息をついた。
……まだ死ねない。死にたくない。
でも、他の芸人達を…世間に幅広く支持されている面々を殺してまで生き残る価値が自分達にあるとは、思えない。
そもそも誰かを殺すなどという真似が自分に…そしてこの武器でできるとは到底思えないけれど。
それでも。M-1でも所詮準決勝止まりという手垢の付いた無難なありきたりの漫才しかできない自分達を
少しでも信じ応援してくれた人達のためにも……そうだ、25日の長野での単独のチケットを買ってくれた人達のためにも、
やはり、まだ自分達は死んではいけないのだ。殺される訳にはいかないのだ。
ならばどうすればいい? 殺される前に殺す側に回るのか? 磯山のように? 回れるのか? 自分達に?
赤岡が一歩一歩を刻む毎にそのリズムに乗ってぐるぐると巡る思考。
悔いのないように良く考えろ、と尊敬すべき先輩は言った。
けれど、一人っきりではどうしても思考の流れが一定の物に定まってしまう気がしてならず、赤岡の歩みは自然と早くなる。
「……………。」
間違った選択に思考が凝り固まってしまう前に、あいつと…島田と合流しなければ。
他人と呼ぶには間柄が近すぎるけれど、それでも島田の感性と思考が少しは客観的に状況を判断する助けになる筈だから。
まだ完全に思うようにはならない身体に苛立ち、焦る気持ちを抑えながら、木々の間の道なき道を歩き続けてしばし。
赤岡は不意に開けた道に出た。
反射的に周囲を素早く見回し、他の芸人が居ない事を確認してから改めて辺りに目をやれば
遠くに学校の…未だ大勢の芸人が己の名を呼ばれる番を待たされている建物が見える。
時計の指す時刻は、島田が建物から追い出される時間…13:49をとっくに過ぎていて。
…急ごう。
口に出さずに赤岡が呟く、それに被さるように不意に虫の音をかき消すかのような破裂音が辺りに響き渡った。
「………っ!」
音と共に空気の揺れすら感じられるような錯覚を覚えながら、赤岡はバッと上半身を捻って音が上がった方を向く。
いつもここからの山田を殺したあの轟音と同じ響きに、ドクンと心臓が厭な音をたてる。
赤岡が身体を引きずるように音が聞こえた方向へ走り出すのに、根拠はそれだけで十分だった。
「…あんちゃん、運が良いね。」
ぽっちゃりとした一見温厚そうな顔の、佐田の唇の端が愉楽に歪む。
とはいえ、彼と3m余り離れた正面に立つ華奢な体躯の長身…島田に外傷はない。
骨張った血の気のない真っ青な顔で、目の前の男を見やっているばかり。
ただ、彼の背後にあった木の幹が大きくえぐれていて。佐田の持つ銃の破壊力をまざまざと見せつけていた。
「……………。」
銃声で互いに耳をやられたせいか、大声を張り上げる佐田の声は、島田には微かにしか届かない。
いや、島田の側の声を聞きたくないという想いも少しは作用しているだろうか。
「思ってたよりも反動があるか…やっぱりいきなり片手は無謀だったかなぁ。」
やっぱり試し撃ちは必要だったね。クスクスと笑いながら佐田は今度は両手で支えるようにして銃を構える。
―― S&W 40F SIGMA。
それはグロック17に酷似するフォルムを持ち、それが故にパクリだと告訴されもした、少々曰くありな銃。
アメリカの警察向けに開発されたそれは、闇市場で出回る常連であるトカレフやマカロフ辺りに比べて
佐田の手に収まると彼の不良めいた風体とも相まって違和感もあるかも知れないが。
結局それが何であれ、殺せればいいのだ。人を、己が勝ち残るための邪魔者を。
「今度は、外さない。」
「……………。」
高らかに宣言する佐田に対し、「何で」と問いかけようとする島田の言葉は声にならない。
言葉の代わりにただ空気を吐き出しただけと気づいて島田は思わず胸元で揺れる犬笛を握りしめた。
「何、助け呼んじゃうの?」
「……………。」
「助かるなぁ…そいつの事も、殺せるからね。」
暴走族の総長をしていたという経歴のお陰か、ただでさえ喧嘩の経験は人並み外れてある佐田の手にあるのは、銃。
目の前の骨と皮だけのような男など恐れるに足りない…そんな意識が彼の口をどこか饒舌にしていた。
91 :
名無しさん:2006/09/10(日) 11:56:21
つまんねー話投下すんなよ
しかし時に余裕は、慢心となる。
目前の島田の視線が、いつのまにか佐田やその手の中の銃ではなく佐田の背後をしっかりと捉えている事に、彼は気づかなかった。
間もなく銃声で一時的に低下していた佐田の聴力が背後で起こる草を踏み分け近づいてくるかさついた音を聞き取り、
反射的に彼が銃を構えたまま背後へ振り向いた、その時。
「………っ!」
そこには駆けつけてきた勢いそのままに、無表情のまま最上段からマイクスタンドの足場の部分を今まさに振り降ろさんとする
黒髪の長身の男…赤岡の姿があって。
再び佐田の拳銃の銃口が火を噴き、周囲に轟音が響き渡った。
踏み固められた道を走っている内に、赤岡に見えたのはリーゼントの男の背中とそいつと向き合っている島田の姿。
島田の顔色は悪く、表情も曇っているように見え、そしてその手に銃はない…そこまで確認できたと同時にマイクスタンドを握る右手に力が入った。
もしも懸念があるのなら、島田がこれから不意打ちを仕掛けようとする己の存在を相手にバラしてしまう事と
赤岡から見て背中しか見えないリーゼントの男が銃を持っていなかったらどうしようかという事。
しかし他の策を思い悩んでいる余裕はなかったし、それを成すための道具も手持ちにはない訳で。
これ以上あれこれ考えるのも面倒くさいと赤岡は己にGoサインを出していた。
「く……っ。」
男の振り向きざまに銃声が鳴り響くと同時に、赤岡は右頬から耳にかけてに熱された物を押し当てられたかのような
焼け付くような痛みを感じながら、マイクスタンドを自分から見て右上から左下へとコンパクトに振り抜く。
銃の引き金を引く事はできても、赤岡の無造作な攻撃を避ける余裕はさすがに佐田にはなかったようで、
スタンドの足場は発砲の反動で跳ね上がる佐田の両腕の下をくぐり、彼の左胸から腹部にかけての箇所をしたたかに打ち付けた。
一瞬呼吸が止まって動きも硬直する佐田の様子に、一歩身を引きながら赤岡が振り下ろしたスタンドを今度は振り下ろした時とは
違う軌道で跳ね上げれば、それは佐田の右腕に命中して鈍い衝撃は相手の手から拳銃を取り落とさせる。
素人の不意打ちにしては、良くできた方だろう。
しかし、やはり喧嘩素人らしいミスを赤岡は幾つか犯してしまっていた。
その一つは、173cmの佐田と183cmの赤岡という身長差的にも決して狙えなくもなかった頭部への攻撃を無意識のうちに躊躇し、外した事。
もう一つは佐田が取り落とした拳銃をすぐさま島田に拾いに行かせなかった事。
そしてもう一つは…これは決して赤岡だけの責任ではないのだけれど。
佐田が現状に対して思考や行動のスイッチを切り替える前に押し切るしかない。そう尚もマイクスタンドを振り回そうとする赤岡に。
「もういいよ、もう止めて!」
島田がそう声を張り上げたのだ。
「彼もちょっと混乱して訳わかんなくなってただけだよ! やっぱり暴力は良くないよ! 犬が好きな人に悪い人はいないんだから!」
そういえばこの男は…佐田はチワワを飼っていたはず。そんな記憶から引き出されたのだろう、余りにも状況にそぐわない
素っ頓狂かつ脳内お花畑全開な島田の主張に赤岡の動きがしばしの間、止まる。
その隙をついて佐田は赤岡に飛びかかって懐に潜り込むと赤岡の左腕を掴み、ハンカチで覆われた傷口の上からぐっと爪を立てていた。
「――………ぁぁっ!」
ようやく血が止まり、痛みも薄れ掛かってきていたばかりの傷口が無造作に再び開かれ、蹂躙される激痛に
赤岡の表情は大きく歪み、ポーカーフェイスは崩れる。
何とか右腕を動かしてマイクスタンドを佐田に当てようとする赤岡だったけれど、その右手首も難なく捕らえられて
握っていたマイクスタンドは地面へと落とされて。
「…その細っちょろい腕、両方とも関節ごとバキバキに壊しちゃるよ。」
ぼそりと告げる佐田のうっとりとした目に、赤岡は背筋を中心にして全身に血の代わりに冷たい何かが走るのを、感じた。
【号泣 赤岡 典明
所持品:MP3プレイヤー マイクスタンド
状態:貧血気味・左腕に裂傷(また傷が開いた)・右頬に軽い火傷
基本行動方針:生存優先・ひたすら身を潜める・襲われたなら反撃もやむなし
第一行動方針:助けてください。
最終行動方針:悔いのないようにするにはどうすればいいか思案中。】
【号泣 島田 秀平
所持品:犬笛
状態:貧血気味・胃が痛い
基本行動方針:生存優先・理由はどうあれ暴力イクナイ
最終行動方針:考える余裕がない】
【バットボーイズ 佐田 正樹
所持品:S&W 40F SIGMA (40s&W口径弾 48/50)
状態:胸部と右腕に軽い打撲
基本行動方針:殺せる時に殺す
最終行動方針:不明】
【現在位置:学校周辺】
【15日13:55ごろ】
【投下番号:77】
乙、つか助けてくださいバロンw
乙です!
いよいよ緊迫してきましたね。
島田さんはいい人ですね〜この状況でそんなことが言えるとは…
どうなるか楽しみです!
本気で言ってんの?
本気ですが何か?
博多弁が…
微妙…
U字工事の栃木訛りも滅茶苦茶だったよな
過疎ってるなぁオイ。
土日は投下しない方が賢い
そのとおーり
アタックktkr
皆、したらば廃棄スレ見れw
見てきたw ガッデムw
中田は本人がネ申なら書き手もネ申だな・・・。
痛い
中田のそんなに言うほど良かった?
オリラジヲタ?
オリラジヲタって最低だよな
オリラジの学歴自慢ばっかりだし
いうほどイケメンじゃないし
113 :
名無しさん:2006/09/11(月) 02:14:39
age
中田の話書いてる人は上手いと思うけどヲタがうざい
本人がネ申ってなに?
常に誰かしら叩いてる駄目な人ばかりですねw
116 :
名無しさん:2006/09/11(月) 07:03:37
叩きたければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
117 :
名無しさん:2006/09/11(月) 07:43:10
投下していい?
119 :
名無しさん:2006/09/11(月) 08:08:48
時間無いから、夜投下出来たらします
120 :
名無しさん:2006/09/11(月) 10:12:05
投下まだ〜??
皆忙しいんだよ。
俺は寝る
前スレ>>662-
>>667 プラン編投下です。
関西弁さえ怪しい作者ですので、変なところはしたらばで指摘して下さると今後の参考になりますので嬉しいです。
竹若がその倉庫に来たのは偶然であった。
最初は相方の木村が教室を出て行く際にこの校舎を出たところで待っとる、と言い残していたのに従って校舎の近くに居たのだ。
しかし、場所をきちんと指定していなかった為なのか木村と落ち合う事ができず、危険を承知で歩き回っていたらたまたまこの倉庫に着いた、というのが大体の経緯である。
もちろん、竹若は木村が実際に校舎のすぐ前で数十分間は待っていた事、しかし他の芸人に何度も見つかりそうになり、場所を少し移動してしまったこと、
その後本当に重岡に見つかってしまい追い掛け回されていたことなど知る由もない。
竹若は敵意を見せないように、相手を刺激しないようにという以上に当然の礼儀としてノックをしてから倉庫の中に入った。
すぐに視界に入ったのは棚の中を探していたらしい鈴木の姿。大袈裟なまでに相好を崩した鈴木の表情に竹若はねちっこく、塗らした真綿で首を締められるような感覚を覚える。鈴木とは旧知の中であり、仕事仲間である。
一番最初に出会えた人間としては幸運な部類に入るはずの相手であった。しかし、息苦しさを覚えるのはこの倉庫特有の暑さだけなのだろうか。
いえ、暑さだけです。
自分に語りかけて、無理矢理納得させる。釈然としないと訴えかける本能を隅に追いやった。
「竹若さんやないですか!」
ほら、彼はこんなにも手放しで喜んでくれているじゃないか。
鈴木は棚の中に突っ込んでいた手を引いて、降参したかのように手の平を見せ何も持っていないことを示す。
そして竹若に近寄ろうとして腰に差していたナイフの存在に思い当たって慌てて外して棚に置き、竹若に笑顔で近付いた。
身体が痺れたように硬直するのに、表情は一切強張っていないことを竹若は自覚すしている芸人としての経験は半端ではないのが幸いしたのだろう。
鈴木の頬の傷を指摘すると、ここ来る最中に木の葉っぱで傷つけてもうてアホですよね、とあっさり返された。
「良かったですわ。まさか竹若さんに会えるとは思わんくて」
「幸運だね」
自分に丸腰で近付いてきている相手を疑うのは失礼だと理性では分かっていても頭の中に鳴り響くこの警鐘は何なのだろう。何かを見落としているような違和感。
陸に打ち上げられた魚のように呼吸が苦しくなる。自分は中身は確認していないながらもデイパックを持っているのに対し、鈴木は丸腰であるにも関わらず。
竹若は肌に絡みつくようなじっとりとした汗を拭った。
一人で倉庫にやって来た竹若に鈴木は理由を尋ねる。竹若は木村よりも後に出てきた訳で、合流していないのが意外だったのだろう。
竹若は肩を落としながら、曖昧な約束しかしてなかったのが原因で落ち合えなかったことを伝えた。
「大丈夫ですって!木村さん慕われてますから殺す人なんか居りませんて」
親身になって竹若を励ます鈴木の顔を見つめる。語りかける瞳は壮大な夢を語る新人のように熱っぽく輝いていた。この瞳は何度も見た事がある。
それに才能や実力が伴わなかったとしても、この瞳をする芸人に心から悪いヤツはいない。竹若には耳の奥の警告音が段々小さくなっていくのがはっきりと分かった。
段々と蝉の声も耳に入って来る。
「でも良かったですわ。竹若さんも怪我なさそうやし」
「運が良かっただけだけどね」
誰も会わなかった、との竹若の言葉に、鈴木はそんなん有り得るんですか、と素直に疑問を返した。
確かに少なく見積もっても200人以上は参加していそうなゲームである。
最初に会うのが知り合いという以上に1時間以上歩いて誰にも会わない確率は低いのだ。
「強力な武器持ってはるのかと」
「まだ確認してないよ」
「ホンマですか!?」
今度こそ完全に想定外だったらしく間髪いれずに切り返された言葉に竹若が逆に驚く。
この反射神経にやっぱツッコミや、と妙に納得してしまった。
人には確固たる個性が存在するのだといつも彼らのユニットにはいつも認識させられている。
「死んでもうたらどないするんですか!」
「木村君が死んでないなら死なないよ」
人を傷つけてまで生き残りたくない。その信念は普段から竹若を見ている鈴木には痛い程察する事が出来てしまうものだったらしい。
無茶苦茶な理論であっても、鈴木は何も抗議の言葉を口に出そうとはしなかった。
「やっぱり校舎に戻る事にするよ。人を待つなら校舎の近くだね」
「やったら送りますよ」
暫く話していると、突然戻ると言い出した竹若の声が鈴木の鼓膜を揺さぶり脳内に電気信号を送る。
それと同時に鈴木の脳内で弾き出された思考は、竹若を守らなければ、というものであった。
バッファロー吾郎は鈴木が心の底から尊敬する希少な先輩であり、このバトルロワイヤルに芸人の代表として優勝するだけの資格があると、鈴木は思っていた。
だからこそ寝首を掻くつもりも何もなく、純粋に守らねばという気持ちが生まれたのだ。
そう、さっきまでの竹若とのやりとりに一つも演技は含まれていない。もし笑顔が張り付いたようなものならさすがに竹若も気付く。
鈴木は今まで自分がしてきたことに全く罪悪感を覚えていないから、笑っていられるのだ。
それが彼らに相応しい処遇だと思っているからで、そして彼のせいで死んでしまった芸人たちのことを忘れているのだ。
何故ならそれは彼らの実力が伴っていないのが原因であり、自分は多く見積もってもその後押しをしただけだと思っているから。
「プランで合流は?」
「ああ…確かにそんな時間ですわ」
デイパックに入っていた時計を見てみれば4時過ぎ。そろそろ合流の合図が来る頃だ。
ただ全員が集まり終えるまで合図は定期的に送り続ける予定ですしと付け加えたものの、鈴木の申し出を竹若は丁重に断った。
「2人居ったらもう1人囮にも出来るんですけど、そう言わはるんでしたら」
その代わり絶対死なんといて下さいよ、と笑顔で続ける鈴木に、竹若は自分が感じていた違和感の一端を掴めた気がした。
自分と違って他人の命も自分の命さえ軽視するような。その推測から成り立つ行く末を考えようとして、思考をシャットダウンした。
…まだ証拠も何も無いですし杞憂かもしれません。でも皆さん。もしかしたら今彼を止めないせいで犠牲になるとしたら申し訳ありません。
「また後で」
自分が生き残っているうちなら鈴木も生き残っているのだろう、との予感に従って別れの言葉を述べると、鈴木は嬉しそうに口の端をくいっと上げた。
この笑顔が全ての人に向けられているのなら良いのだけれど、と竹若は呟く。
「また後で!」
鈴木は竹若を見送ると、扉を閉めて頭上にあった木村の死体を眺めた。
竹若は入口から動かなかったので、多分気付いてはいないのだろうと推測する。
見つけていたらどんな展開になっていたかと思うと、鈴木は少しワクワクするのを感じた。
だが警戒されているのはさすがに察している。下心ないんやけどな、と呟くと鈴木は腕組みしてもう一度死体を見つめる。
「お前死んでもオーラないんやな…」
死者を侮辱する言葉を発しているにも関わらず、悪戯が成功したような笑みを浮かべると鈴木は棚の中から先程見つけ出した、片側が釘抜きになっているハンマーと、外していたナイフを持って、階段を上る。
手早くデイパックを背負い、マシンガンを肩からかけた。木村のデイパックの紐を利用してマシンガン用のストラップを作っておいたのだ。
右腰にはいつでも取り出せるようにナイフ、ハンマーはとりあえず左手に。
だがそれは自分は積極的に殺しに参加してますと言わんばかりの格好であり、鈴木は一度自らの体を苦笑しながら眺めると、
ハンマーをデイパックに入れ、マシンガンに近くにあった麻布を巻きつけた。もちろん発射に必要な部分は露出させているものの、印象は大分違うはずだと判断する。
急いで階段を降り、倉庫から出ると同時に駆け出す。日光が肌に容赦なく浴びせられるものの、新鮮な空気に鈴木は笑みを浮かべた。
重度の喫煙中毒者であってもおいしい空気はおいしい。
竹若には同行する事を拒まれたものの心配であるし、そもそも大体同じ方角に向かうのだ。
なら、と大体の見当をつけて小走りをすると、すぐに前方にそれらしき姿が見つけた。と、その近くにもう一つ気配がする。
斜め前方から竹若に近付こうとしている、隅田(アジアン)の姿であった。
アジアンとは賞レースで遭遇するようなことはあっても絡みは少ない。それよりも竹若に近付こうとしていることが鈴木には問題であった。
竹若さんに近づく、危害を加える、竹若さんは武器を持ってへん、隅田の武器によっては反撃できひん、死ぬ。
三段論法どころか不安症のように飛躍しすぎな面があるものの、最終結論が有り得ないとは言い切れないのが怖いところである。
だがさすがに鈴木も自らの突飛な発想に気づいたのか、もう一度ゆっくり考えることにした。
竹若さんに近づく、話し掛ける、一緒に歩く、女は狙われる、竹若さんも危ない、死ぬ。
…どちらにしろ竹若に近付かれることはデメリットしかない、と結論付けた鈴木は自分の手をじっと見つめた。
器用さはあるものの、腕力には欠けた身体。女性相手とはいえ、竹若に気づかれずに始末するのは困難である。
そう、竹若にデメリットを与えるかもしれない、それだけで彼の頭の中ではこのゲームからの削除が決められていたのだ。
銃は音がするし弾を使うのが勿体無い、ナイフは一撃では仕留められない可能性がある上、ツナギに血がかかってしまう可能性がある。
こんな奴のせいでこれから迷惑かかるのは嫌やし、と先程入手した武器をデイパックから取り出して使うことにした。
これをあの棚の中で選んだ自分の慧眼に自分で感服する。小道具選びなら芸人としては自分は相当な経験者であるのだ。
竹若に向けたものと笑顔は変わらず、天真爛漫と形容されるような顔を張り付けて、隅田に背後から近付く。
蝉の音と隅田自身鳴り響いているだろう心臓の音に掻き消されているのか、背後から忍び寄る影に気付くことはなく。
視覚も全て竹若にいってしまっているのだろうか。その頭に凶器が振り下ろされるその瞬間まで、隅田は鈴木の存在を知ることはなかった。
鈴木の手から伸びる、釘抜きの2本の棘が隅田の脳内にめり込んでいく。じわじわと頭皮に浸透する深紅の血によって、茶色い髪が赤く染められていった。
隅田は自分の死を知覚出来たのだろうかと、鈴木はふと気になり、すぐにどうでも良いことだと思いなおす。
目論み通り、返り血を浴びる事はなく殺害に成功する。さすが俺、と笑みを浮かべると左手で襟を掴んで自分にかからないようにしながら釘抜きを引っこ抜いた。
どさり、という音をたてて地面に隅田の身体が叩きつけられる。
棘によってせき止められていた血液が一気に解放の喜びを示すかのように勢いよく噴き出した。
木に付着した血液はアブラムシのようだと思い、そして鈴木はその夢のない喩えに苦笑してしまう。
竹若の姿は見える範囲には既になく、鈴木は酷く冷めた心を持て余していた。隅田を殺す前の使命感はあっけなく霧散してしまっている。
もう鈴木の周囲では相当数の人間が死んでいるのに、鈴木にはその死の現実感が希薄で。
腰を落として、思い切って隅田の頭からまだ染み出し続けている血を手に取り、頬に塗ってみた。
景色が何か変わることはなく、ただ不快感だけが増す。
ああそうや。人を殺して何もおもんないんや。やけど殺してやらんと生き残れん人もおる。
初めて自ら選んだ他人の死に、鈴木は自分の進むべき道が漸く見えた気がした。
久さんも灘儀さんも人、殺せん人やしな。
尊敬し、認めている人だけれども他人を殺せない人のために、自分が殺さなけらばならない、と冷静な判断から導き出された結論は、
その恩恵を受ける人たちに喜ばれなかったとしても、自分がやらねばならないものなのだと決心し、苦笑する。
もう久さんも大変な役はいっつも俺やんか。期待してくれとんのは分かっとるけど結構しんどいんやで?
申し訳なさそうに鈴木の台本を渡してくる久馬の姿が目裏に浮かんで、さっきとは違う笑みが零れた。
適材適所、しゃーないな、と一人ごちると、立ち上がって思い切り背伸びをする。
始まってまだ数時間であるにも関わらず身体の節々が痛い。まあ合流すれば見張り交代にすれば休めるやろ、と肩を揉みながら考えた。
青い空に、緑の木々。蝉の声に、鳥の飛ぶ姿。
その中に合流を知らせる合図が打ちあがったのはすぐのことであった。
【アジアン 隅田 美保 死亡】
【バッファロー吾郎 竹若元博
所持品:不明
第一行動方針:相方と合流
基本行動方針:人を傷付けない
最終行動方針:不明】
【ザ・プラン9 鈴木つかさ
所持品: MP5 9mmパラベラム(285/300) アーミーナイフ ハンマー 他不明
第一行動方針:メンバーと合流
基本行動方針:鈴木が認めている人を優勝させる為に、積極的に邪魔者排除
最終行動方針:メンバーの話し合いの結果によって】
【現在位置:倉庫付近】
【8/15 16:15】
【投下番号:78】
迫力不足のマーダーで申し訳ない。
133 :
名無しさん:2006/09/11(月) 12:01:32
ちょ('A`)
134 :
名無しさん:2006/09/11(月) 12:13:15
関西弁が…
135 :
名無しさん:2006/09/11(月) 12:29:37
前のほうがまだ面白かった
書き手さん、乙です!!
でも何て言うか下降気味な感じがしました。
乙華麗。
関西弁文句ある奴はしたらばで指摘してくれると嬉しいって書いてあるんだから
そっちで書いてやれ。
138 :
名無しさん:2006/09/11(月) 12:42:29
21:名無しさん
06/09/11(月) 08:21:09
本スレで投下予告してるのがこの前追い出された奴と同じ匂いがするんだが
sage進行って1にあるのにageてるし
22:名無しさん
06/09/11(月) 09:50:27
釣りだろう
23:名無しさん
06/09/11(月) 11:29:31
投下してきたら面白いなwww
やっぱり読む方も、書かれた芸人についての知識が無いと、あんまり面白くないね
140 :
名無しさん:2006/09/11(月) 12:45:16
書き手さん、荒らしなんかに負けないで下さい><
書き手さん、乙です☆
次に期待しています!!
142 :
名無しさん:2006/09/11(月) 14:40:33
隅田。・゚・(ノД`)・゚・。
143 :
名無しさん:2006/09/11(月) 15:07:47
('A`)
乙!!!!
書き手さん、乙!!
超乙!続きwktk
乙です。
プラン編大好きだ。
隅田。゚(゚*´Д⊂グスン
プラン編乙です
個人的にはなだぎ編が一番好きです。
隅田カワイソス
想像できてしまうからイヤだ
面白いんだけど、下降気味だよね
したらばの絡みスレに書き込みなよ
え?ここに書いたら駄目なの?
じゃあ、このスレは何の為にあるの?
簡単な感想は本スレ
長文の感想はしたらば感想スレ
辛口な感想はしたらば絡みスレ
158 :
名無しさん:2006/09/11(月) 19:15:11
何だ、その決まりはw
賛否両論があるのは当然だし、別に辛口だろうが何だろうが、ここに書いたっていいと思うんだけど。
>>157 あ、そーなんだ。
正直に感想書いただけなんだけど、辛口としてとられてしまったのか。
大勢の芸人が集まっている教室は人口密度が高く酷く不愉快だった。
外に出れば殺し合いが待っていることは知っているが、それでも外の空気を肺一杯に吸い込みたかった。
喫煙家であるインパルス板倉が言ってもくだらないと一蹴されるだけで終わってしまうだろうが。
幸いポケットには煙草とライターが入っている。
周囲の様子を観察していたら、煙草が無いために苛立ちを募らせている芸人もいるようだった。
不穏な空気から避けるように身を縮めた板倉は、硬く黒々とした髪を数回撫でて目つきを荒くした。
ただでさえ殺し屋と例えられる風貌だ。周囲にいた連中は皆、板倉と距離を置く。
しかし空気を察した板倉はすぐに顔を数回叩き、無表情に戻した。逆効果かもしれないが睨み続けるのは顔が疲れる。
不思議と焦りも恐怖も無かった。コント等で暗いネタを書き続けていたせいか、今回もそれの延長のように思われた。
それこそ、アメリカ好きって言ったじゃん、とコントのセリフを使う機会位にしか感じていなかった。
五十音順で名前が呼ばれていく。板倉はあ行であるため呼ばれるのが早い。
それはつまり、自分の状態を整えながら動いても大丈夫だということ。
予備知識から、デイパックには最低地図が入れられていることが分かる。
ならばまずどこか安全な場所を探すべきだ。
やるべきことを順序立てていくうちに、元々冷静だった頭が更に冷えていくのが分かる。
殺し屋はこのような気分で仕事を終えるのだろうかと、物騒な思考を張り巡らせた。すぐに頭を振って、再度行動をシュミレーションする。
途中、堤下の顔が浮かんだ。合流するべきかどうか。
他の芸人、特に仲のいいコンビはすぐに合流の意志を固めているようだった。
インパルスも極端に仲が悪いわけではなく、むしろ互いに好感触を持てる相手同士であった。
ふまえて板倉は首を振る。
このような特殊な状況下では大切な人に会わない方が良い。
どちらかが狂ってしまったら最悪の自体もありえるし、板倉も自分が狂わない自信はなかった。
むしろ、このように冷静に考えられてしまっている時点で、傾向はあるように思えた。
堤下に接触するか迷っている内に名前を呼ばれた。静かに立ち上がり、冷めきった表情で教室内を見渡す。
膝を抱えている者、睨みを聞かせているもの、人の種類は多々であった。
少し先で壁に持たれて座っている堤下を発見する。目の奥は何かを決意したかのような熱さがあった。
だから汗を掻くんだ、と板倉は苦く笑う。それを返事として捉えたのか、堤下は大きく頷いた。
誤解だ、頼む、俺に近づかないでくれ。告げる前に兵士に急かされ、小走りで入口に向かう。
投げられたデイパックを受け取り、衝撃で振り返る。教室内を見渡して、殺しても影響が無さそうな芸人を探す。
同じ事務所の芸人は多いが、それでも知らない顔ばかりだった。大丈夫だ。
廊下を抜けて外に出た。先程求めたはずの爽快な空気はなく、目に見えないにも関わらず血腥い臭いがした気がした。
板倉は再度頭を振り、デイパックを握りしめて走り出す。
出ていく時すぐに殺されるパターンが容易に予想出来たからだ。
林に入り、出来るだけ音を立てずに走った。自らを殺し屋と見立てて走り続けるが、息は切れるし足も疲れてくる。
ある程度進んで額の汗を拭った後、息と心臓の鼓動を整えるために歩いた。
ついでにデイパックを開けば、地図と鉛筆が真っ先に目に入る。取り出して地図を開いた。
地形を生かした戦法を立てなければなるまい。
街に入れば様々な道具を入手出来る、森にいれば人に会う確立は減る、遊園地には意味があるか?
考えはいずれ口に出てしまっており、ぶつぶつと呟く姿は亡霊に似た。
自らの姿に苦笑した板倉は、やはりこちら側の人間なのだと一人ごちる。
生き残ることに理由があるかは分からないが殺すことに意義はあるのだろう。
それが他の誰かを守ることに繋がるのならいいかもしれない。
世間一般的にはクールと言われている板倉だが、こういった状況で誰かの犠牲になれる位の優しさは持ち合わせていた。
否、それは優しさではないのかもしれないが。
地図に視線を固定したままでいた。場所による利点を鉛筆によって書き入れる。
一息ついて、デイパックに入れ直した。一番重要なことを確認していない。
政府もそれほど馬鹿ではないだろう。インパルスのコントを見ているなら、板倉がどのような性格であるかは知っているはず。
大方、その方が面白いからと言ってコントに登場した武器を渡していたりするのだろう。
板倉は笑う、自身に絶対の自信を持って。
デイパックを開いた。中にあるのは僅かばかりの食糧、ペットボトルに入った水、安物の方位磁石、時計、紙が数枚。
地図は既に確認したはずだ、首を傾げた板倉は数枚の紙を取り出す。政府の洒落に笑った。
芸人対象のために、全員に追加された支給品だろうか。
四枚のカードであった。地上波のコマーシャルで使われている、先を決めるカード。
どうする、俺? そういって自分をはげますためのカードである。
コマーシャルとは違い辛辣な選択肢が混ぜられていたが、芸人らしくていいかもしれない。
政府も面白いことをする、と板倉は笑い、デイパック探りを再開した。
僅かばかりの食糧、ペットボトルに入った水、安物の方位磁石、時計、名簿。
おかしい、小さすぎる武器で見当たらないのだろうか。仕方なく荷物の中身を外で出していく。
デイパックは空になった。ぺっちゃんこに潰れてしまった。
取り出し口を下にして数回振ってみても動きはない。首を傾げた板倉は地上に置かれた荷物を見渡す。
四枚のカードも例外なく。
そして気づいた。しかし認めたくはなくて目を逸らした。
落ち着かせるために独り言をはじめる。
「ない。それはさすがにない。いやいやいやおかしいでしょ」
もう一度荷物を確認する。
食糧、水、方位磁石、時計、名簿、筆記用具、これ以上見たくない。
デイパックの中を弄った、虚しく中を切る。
廃棄スレの小説に手を加えて投下するなよ
顔は青くなる。
「うそお!」
らしからぬ声を上げた。
並べられた四枚のカードを拾い上げて目の前で広げた。
嫌な予感は的中、縋るために一枚一枚項目を見ていく。
一枚目、隠れる。
「言われなくてもやるって」
二枚目、殺る。
「殺るっていっても武器これなのに?」
三枚目、死。
「誰か死ぬか!」
四枚目、ここで! 一発ギャグ。
言葉も出なかった。するべきことが分からなくなってしまい、とりあえず久しぶりに出した水道の真似をして、数秒間止まり。
「ガッデム!」
もう訳が分からなかった。
使ったこともないアメリカ被れな言葉が出てしまうほどに混乱していた。
アメリカ好きって言ったじゃん、以前使ったコント中でのセリフが頭で鳴り響いた。
へたり込む。今までしてきた決意が全て地面に流れ出てしまった。
ここまでの肩透かしを食らってしまえば人を殺す気力など湧かない。
顔を上げれば伸びる木の上に青い空が。
頭に見知った顔が浮かぶ。普段ならこういう立場は、浮かんだ人間が担当していたはずだ。
板倉は人間らしい怒りを顔に出した。浮かんだ人間は悪くないのに怒鳴る。
「ふざけんな堤下!」
同時に、死と書かれたカードを力いっぱい遠くへ投げた。
出発地点である学校の、モニタールームの中。
担任であるビートたけしは映像を見て楽しそうに笑っていた。
兵士である芸人が不穏そうに眺めているのも気にしていない。
「インパルス板倉か」
たけしが呟けば、兵士が小さく反応する。
「知ってるの?」
「先輩です」
吉本は上下関係がしっかりしている分、先輩後輩の絆が強い。
恐らく酷く歯がゆい思いでモニターを見ているのであろう。
簡単に推測したビートたけしは、すぐにモニターに視線を移す。独り言を装い始めた。
「最初の武器が外れだと狂う可能性は下がるんだよ」
引きつった唇を少し歪める。
「頭がいい奴は特にそうだ。で、そういうやつは案外、いいとこまでいったりすんだよな」
「いいとこ?」
兵士の声がした。聞いていたようだ。
たけしはゆっくり振り返り、唇を更に歪めて笑う。
「脱出だよ」
全てを乗り越えて来た芸人の表情だった。
あんまカッコ悪いことすんなよ
何この意味わかんない話
やめてくんない?
暇すぎ。
>>168 中田編の書き手がしたらばに投下した話。
元は絵板にあるイラストから。
カタカナが半角だったり、段落が違ったりと手を加えられている。
したらばでは面白かったのに 馬鹿が
172 :
名無しさん:2006/09/11(月) 21:24:49
改変したければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
173 :
名無しさん:2006/09/11(月) 21:29:00
976:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/09(土) 22:18:28 [sage ]
止まったwww
999:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/09(土) 22:31:01 [sage ]
1000
71:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/10(日) 10:20:49 [sage ]
>>67 乙!
171:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/11(月) 21:01:29 [sage ]
したらばでは面白かったのに 馬鹿が
174 :
名無しさん:2006/09/11(月) 21:31:36
投下しようと思いましたが、今の雰囲気では投下しづらいので、落ち着いた頃を見計らって投下しに来ます
あーあ。
数名の馬鹿がいるとこういうことになる。
素人が書いてんだよ?大きな心で楽しめばいいじゃん。
書き手さん頑張って。
こういう事って?
178 :
名無しさん:2006/09/11(月) 22:06:29
33 名前:名無しさん 投稿日: 2006/09/11(月) 21:53:17
>>29 プラン書き手です。仰るとおりもし廃棄スレに投下した場合にはどなたか添削、となると嬉しいです。
次の話は関西弁の部分だけ廃棄スレ、ということを試験的にやってみたいかも。
本公演などのネタは読んでも不自然でない程度にしておきますね。ごめんなさい。
下降気味なのは自覚してますが実力不足8割、次の展開を考えてが2割なので容赦して頂けると。
情けない言い訳になりますがDEATH NOTEのように毎週の展開を面白くする構築力やそれを表現する筆力は当然持ち合わせていないもので。
グロいですか?ただ実際に想像したら結構グロいのは分かりますけど、文面にしたらそれほど、と思ってしまって。
プラン編全体を含めて、お好きでない方はスレを長く占領してしまってすみませんでした。
馬鹿、馬鹿、うるせえな。
書き手さん、乙です!!
板倉(笑)
184 :
名無しさん:2006/09/11(月) 22:21:30
よっぽど暇なんだなw他にやることないのか
何にせよあれくらいならまだおちゃめな荒らしさん(笑)で済む
188 :
名無しさん:2006/09/11(月) 22:26:52
もう駄目ぽ
>>186 チラ裏のコピペ
本スレに書かないからチラ裏なのになw
このスレの事かどうかは分からんが
中田書き手が通りますよ
なんか大変なことになってますね
体裁でごまかしてるもんで、
改行とか変えられると文章の粗が目立って恥ずかしいですな
あんまノリで話投下しちゃいけないと思った一日でした
>>185ちょwwwwwwwお前それwwwwwwwwwwww
>>190 それっぽくコピぺするなよ
そろそろ避難したほうがいいかもわからんね
ガムじゃねえよ、ミノだよ。
>>190さん乙です!!
中田編、楽しみにしてます!!
したらばって何すか?
200 :
名無しさん:2006/09/11(月) 22:55:34
書き手さん、乙です!!
>>199 大きい葉っぱ。よくドアの近くの壁あたりにぶら下げてあって乾燥したしたらばはいい香りがする。
昔は魔よけに使ってたらしいよ
ボケたければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
203 :
名無しさん:2006/09/11(月) 23:00:24
ツマンネ
これ何にでも使えるよなー便利ー
206 :
名無しさん:2006/09/11(月) 23:13:31
他スレに迷惑かけるな馬鹿共
また馬鹿厨か。
>>162の最後の「1人ごちる」って、どういう意味?
>>208 お前もう少し読書しろ読書。
一人で呟くって意味だ。
どうしても気になったので勝手に栃木弁講座
「〜っていう→〜っつう」「歩いて→歩って」「良いでしょ?→良かんべー?」
「終わらせる→終わす」「イライラする→意地妬ける」「大丈夫→大事(だいじ)」
「疲れた→こわい」「後ろ→裏」etc..
ちなみに、「〜べ?」より「〜け?」の方が使用率高いんです。
例:×「大事だべ?」
○「大事け?」
ついにしたらばまでコピペするようになったか
よっぽどネタスレが嫌いなのか、それともただかまってほしいだけなのか
でも2chのチラ裏にまで貼り付けるのは迷惑になるからやめたらいいのにな
213 :
名無しさん:2006/09/12(火) 00:00:12
まさかとは思うけど◆iAsrIbcRAQさん?
都合の悪い書き込みはコピペしないんだな
ひとりごちる
の終止形は
ひとりごつ
ひとりごっつ
っていう番組はごっつええのごっつとかけていたわけです
217 :
名無しさん:2006/09/12(火) 05:36:25
>>199 したらば の検索結果のうち 日本語のページ 約 1,950,000 件中 1 - 10 件目 (0.03 秒)
218 :
名無しさん:2006/09/12(火) 05:43:55
_/__ / _/__ / |──| _|_|_ _|__ | \
/ / / / |──| | | .| __ |__
// ̄ヽ /⌒! // ̄ヽ /⌒! / ┬┬ . | | |
_ノ / \ノ _ノ / \ノ / |_ |__ | ―― __|
│ \ | \ | ー┼─ ヽ | \
. | | | | | ヽヽ / ___| | |
レ レ |_ノ や \ノ\ レ
| ___ / | ー┼‐ヽヽ / ー┼─ヽヽ─┼─ __
| / | | / / ー─ . ─┼─ / | \
| (___ /へ_ノ レ ノ /へ_ノ 、__ |_ノ |__ノ _ノ
7 | ー──ァ ー┼‐
▽ ̄| ̄ 、_ノ メ
(__
ラー小林の行動方針が怖い…
220 :
名無しさん:2006/09/12(火) 07:27:02
221 :
名無しさん:2006/09/12(火) 07:43:06
976:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/09(土) 22:18:28 [sage ]
止まったwww
999:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/09(土) 22:31:01 [sage ]
1000
71:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/10(日) 10:20:49 [sage ]
>>67 乙!
171:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/11(月) 21:01:29 [sage ]
したらばでは面白かったのに 馬鹿が
219:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/12(火) 07:26:32 [sage ]
ラー小林の行動方針が怖い…
222 :
名無しさん:2006/09/12(火) 09:20:57
書き手さん乙です!!
投下しづらい(´・ω・`)
224 :
名無しさん:2006/09/12(火) 10:37:40
書き手さん、乙です!!
225 :
名無しさん:2006/09/12(火) 11:14:35
226 :
名無しさん:2006/09/12(火) 11:50:04
暇人、乙です!!
228 :
名無しさん:2006/09/12(火) 12:07:57
投下する強者、求む!!
(´・ω・`)
どした?
(´・ω・`)
(´・ω・`)=3
(´;ω;`)
どんマイケル
(´・ω・`)
待ってるよ書き手さん!
237 :
名無しさん:2006/09/12(火) 16:53:18
名無しさん@お腹いっぱい。
何なんだこのスレは…
荒らしに構わない方がいい
やっぱり次スレからID出る板に行った方いいかもね
したらばのノリがキモイ
どこらへんが?
別にしたらばで馴れ合ってようがどうしようが、
面白い話が読めればそれでいい。
245 :
名無しさん:2006/09/12(火) 18:59:09
もう駄目ぽ
極度の馴れ合いなら気持ち悪いが、これくらいは普通だろ。
お笑い芸人板全体が殺伐としすぎ。
面白い話は、いつになったら読めるんだろうか
書き手降臨まで全員黙ればいいんじゃないか
了解wwww
そろそろ落ち着いたかな?
251 :
名無しさん:2006/09/13(水) 00:07:19
黙りたければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
いい加減そのコピペうざい
しかもそんなにうまくない
自分では面白いと思ってやってるんだろ。そっとしとけ。
前スレ900あたりからの続き
路地を曲がって、広い道に出る。
スクールゾーンに降り注ぐ日差しの強さに井戸田ははっと我に返った。
「…何言ってんだ俺!?」
慌てて来た道を戻ってみるが、既に今立の姿はない。
「だっつん……!!」
呆然と立ち尽くしていると遠くで銃声が数度轟き、咄嗟に身を竦める。
「マジでやってやがる」
誰が誰に向けて撃ったかなんて考えたくない。
それどころか、昨日まで共に笑い合った仲間が今は殺し合いを行っているなんて信じたくない。
こんな事をする為に芸人になったんじゃないのに。
自分以外にも、妻や子、家族とか大切な人が帰りを待ってる芸人も居るだろうに。
理不尽な運命に腹の底から怒りが沸き起こる。
やがてそれは、井戸田の喉を震わせながら一気に噴出した。
「やめろ―――――――――――!!!
みんなやめろおぉぉぉぉおおおおお――――――――!!!!!!」
芸人の中でも屈指の声量を誇る彼だが、その叫びが誰かに届く事はなく、
入道雲と焼けたアスファルトにただただ吸い込まれていくだけだった。
「…………………………畜生」
息の続く限り叫び、軽い酸欠でくらくらする頭で小さく悪態をつくと、井戸田は再び歩き始めた。
>>255続き
ようやく校舎が見えてきた。
昔からウォーキングをやっていたので歩く事には自信があったが、
ジリジリと照り付ける太陽は帽子もかぶらずに徘徊う者を容赦なく焦がし続けた。
あいつを捕まえたら少し休もう。きっと怒られるだろうから言い訳も用意しないと。
そんな事を考えながら学校の周りを見渡すが、目当ての人影はない。
それどころか、今でも続々と出発している芸人達の顔つきは
どれも多かれ少なかれ殺気や狂気が漂っているような気がして、目を合わせるのも躊躇われる。
茂みや植え込みに身を隠しながら、なるべく目立たないように小沢を捜す事にした。
やがて、少し離れた所に立つ一際大きな木の陰に
人らしきものが横たわっているのを見つける。
上半身は木の根元に隠れてよく見えないが、足先は脱力し切って倒れているのが遠目でも分かった。
「げ、何だあれ…まさか死んでんの?もう??」
興味を満たす為に少しだけ早く歩く。今の井戸田の体力ではこれが限界かに思われた。
しかし木に近付くにつれ、疲れも忘れて一気に駆け出した。
投げ出された足には見覚えがある。
あのラバーソール…
同じ靴を履いた別人である事、
又は退屈の余り寝ているだけである事、
せめて命が有る事を強く願いながら
井戸田は全速力で木に駆け寄り、太い幹の向こう側を覗き込んだ。
願いは何一つ叶わなかった。
【8/15 15:30頃】
257 :
名無しさん:2006/09/13(水) 01:07:06
乙!ついに出会ってしまった…!
乙!本当に乙!
ダブルブッキング黒田編。前スレ
>>558-561の続き
時折葉の隙間から差し込む木漏れ日の他には、全く光源のない薄暗い森。
その日も傾き、そろそろ一帯は完全に闇に包まれる。
黒田はその中を相変わらず黙々と歩き続けていた。
1回目の放送以来、戦いは少しずつ、しかし所々で起きていることが
黒田にも感じられるようになっていった。
遠くから、恐らく銃声であろう、空気を裂くような音や、
よく聞き取れはしないが、誰かが凄まじい声で叫んでいるのが微かに耳に入ってくる。
その度に先刻の放送を思い出し、黒田の動悸は激しくなった。
(あの先で、確実に誰かが誰かを殺しているんだ。人が、死んでいってるんだ)
そこにいるのが、仲の良い芸人だったら?相方だったら?
最悪の方向へ向かう思考と冷たい絶望感に耐えながら、硬い両足を必死に動かした。
思うように動かない全身に苛立ちすら覚えながら、
しかし目だけはしっかり見開いて、今目指す相方・川元の姿と
敵の姿は決して見過ごすまいとしていた。
薮を掻き分け、樹木を避けながら、しばらく歩き続けたその時。
不意に、微かながらも、ざっ、と草の鳴る音が聞こえた。黒田の足が止まる。
もう何度も聞いてきた、不自然な、明らかに人間が作り出した音だ。
息を潜め、耳を澄ませて音を懸命に聞き取った。
自分が進もうとしている先―前方に、明らかに誰かがいる。
そして、どうも同じ進行方向へゆっくりと移動しているようなのだ。
木や藪が多いために、音の主の姿を確認することはできない。
一歩足を踏み出したままの姿勢で、黒田は迷う。
音はすぐ近くから聞こえた。見えはしなくとも、もう数歩歩いた、すぐそこから。
自分から近付いて行った場合、今までのようにこっそり覗くことは難しいだろう。
途中で存在がばれて、待ち伏せされないとも限らない。
緊張が高まる。
このまま進むか、横に逸れてやり過ごすか、それとも迂回か…
考えられる可能性を全て頭の中で廻らせて、しかしどれが一番いい答えなのかは当然分からない。
黒田は意を決した。そのまま、自分が向いている方へと
歩を進めていった。先程よりもずっと静かに、慎重に。
その音を出したのが、相方であること、もしくはせめて話が通じる芸人である可能性に賭けた。
そうでない可能性の方が高いことは嫌でも分かる。
(このまま逃げても、どうしようもない。もう、思い切らないと…)
足音は、黒田と同じく慎重になっているのか、聞き取れないほど小さくなっていく。
しかし、着実に近くなっているのが分かる。
一体誰なのか。どういう行動を取るのか。運命の分かれ道だ。
目の前に行き当たった1本の木に、背中を預けた。
自分の身1つは、申し訳程度には隠すことができそうだ。
震える手で、敵だった場合に備え、小型の自動拳銃を握り、引き金に指を添えた。
その冷たさが、全身をも冷やしていくような感覚を覚える。
相手が自分の存在に気付いていないことを願いながら、
少しずつ木陰から顔を出して、横目でそこにいる人物の姿を伺った。
【ダブルブッキング 黒田俊幸】
所持品:自動拳銃(ワルサーPPK)
第一行動方針:川元を探す
基本行動方針:とにかく生き残る
最終行動方針:未定。川元次第
現在位置:森
【8/15 19:30】
同じ場面が続きますが一旦切り。
>>255-256 乙です。最後の一節が悲しい…
失礼、【投下番号:80】
さまぁ〜ず編、いきます。
足の下で枯れ葉がザカザカと音を立てている。大竹が教室を出てから、すでにかなりの時間が過ぎていた。
最初の数分は校舎から遠ざかるために林の中を走っていたが、体力を温存しようと途中で速度を落とし、今はゆっくりした足どりで歩いている。
徒歩とはいえ、ひたすら進みつづけたせいかさすがに息が切れ始め、近くを見回す。根元に人一人軽く入れそうな大きなうろのある木が立っていた。
あの中なら、誰かもし通ったとしてもそんなに目につかないだろう。そう考えて大竹は中をのぞきこんでみる。
うろの内縁を這うミミズと大きな蟻に一瞬「うおっ!」とおののいて後ずさったが、すぐ近くにあった細い枝を拾い上げて応戦した。
いつもなら逃げて別の場所を探すところだが、ここで逃げても虫のいない場所が見つかるとは思えない。
へっぴり腰の大竹with小枝 VS ミミズ&大蟻という非常に小さな闘いはかろうじて大竹の勝利に終り、勝者はうろに身体を滑り込ませる。
みごとに身体がスポリとはまり込んで、暢気にも大竹は少し笑った。
…ああ、前に動物園で見たぞ、こんなヤツ。丸くなってうろの中に入り込んでんだよな。
木の実とか食ってんの。ほっぺたに袋あるからよく見ると気持っち悪ぃの。もごもごいってっから。
この状況で動物園の小動物をふと思い出せるほど、彼の心は不思議と落ち着いている。
そら恐ろしいゲームのただ中にあってなお、大竹は自分の行動を客観して笑うだけの余裕があった。
教室で上田や淳たちの様子を観察したときも、三村と約束したときも、彼には訪れることのなかった恐怖、錯乱。
彼のかわいがってきた後輩、つぶやきシローを完全にとりこんでいたそれに大竹が侵されることはなかった。
現状が受け止められずにふわふわしている、というわけでもない。大竹は限りなく平常心に近く、冷静であった。
緩やかな日常に身を置いていたときは、小さな恐怖に対して敏感に反応し、過剰なまでに彼を守ってきた自己防衛本能。
普段の生活では彼をいささか臆病にしているそれが、今は大竹一樹にこの状況下における最良の精神状態をもたらしていた。
彼の防衛本能は今や、身近にあるささやかな恐怖よりも、はるかに大きな脅威に対して強く働いている。
自らの身の安全だけは、何が何でも死守。そのためには一番大きな脅威に対して最も正しい判断ができる状態でいなければならない。
大竹の本能は教室を飛び出す前に早くもそれを悟り、彼の心に小波ひとつ立てないよう支配していた。
うろの中に身体を落ち着けて見る森は、まだ昼だというのにうす暗い。
真夏の昼の太陽の力を持ってすら、この深い森にまばゆい光を届けることはむずかしいようだった。
木漏れ日をたよりにまわりを見回してみたが、どうやら自分以外の人間が付近にいる様子はない。
煙草でも吸うか、とふと思い立つ。上着のポケットをさぐっていると、目当てのそれより先に出てきたものがあった。
それは仕事用の、レンズの入っていない眼鏡。そういえば今朝、あとで度入りのものとかけ替えようと楽屋でここに入れたのだ。
あっても役に立ちゃしねえ、が…。何となく嬉しくなって、大竹は微笑んだ。眼鏡のつるを軽く撫でて、胸ポケットにしまう。
再捜索の結果、ジーンズのポケットから出てきた煙草の箱には、100円ライターしか入っていなかった。
どうやら中身がないのに気づかず入れっぱなしになっていたらしい。箱を捨てると、ライターだけをポケットに戻した。
大竹は膝にのせていたデイパックを、しっかりした手つきで開ける。
まず確認したのは、水と食料。次に脅威から身の安全を守るための武器をごそごそと探す。
デイパックに手を差し入れ、つかみ出したのは細長い筒やら何やらが巨大な輪ゴムでまとめられたもの。
…これ、武器って言うのか?
一番目立っていたのは様々な文字が書かれた長さ30cmほどの筒数本。家庭用の打揚花火だった。
輪ゴムを外して束の構成を確認してみれば、普通の花火はもちろん、ロケット花火にドラゴン花火、線香花火や爆竹まで出てくる始末。
どう見ても夏の夜を満喫するために用意された品としか思えない。もはや笑うしかなかった。
どうせ身を守る以外に武器を使う予定はないのだ、これはこれでいいのかもしれないと諦めの境地に至る。
大竹はそれぞれの花火の数を確認し、少しばかり考えた後、爆竹と火花の勢いがよさそうな手持ち花火を数本、上着のポケットに入れた。
寒がりだった彼が薄手の長袖のジャケットを羽織っていたことは、好都合と言えば好都合だったのだ。
上着のポケットから花火の細い柄がのぞいてどうも滑稽だったが、今はそれを気にしている場合ではない。
それから彼は地図と筆記具の鉛筆をとりだすと、島の地形を確認し、自分のいる場所に目星を付けようとした。
自分の目指しているあの細いポールらしきものは、ここまで近づいてよく見ると、スピーカーのようだ。地図上のそれにまず印を付けてみる。
校舎から出て、このスピーカーにむかって進んできた。ただ、途中で高い木に視界を閉ざされたので、少し回り道はしたかもしれない。
もう林は抜けたはずだから、自分はこの森の中にいる。歩いてきた時間を思えば校舎からはそれなりに離れているはずだ。
周囲に地図上の小屋とおぼしき建物は見えない。スピーカーは遠くに見える。ということは大体この辺り、と大竹は鉛筆で地図上に×をつけた。
さて他にやるべきことは、と考えて、大竹は三村と自分の時間差を知っておかなければならないと気づいた。
「めんどくせぇ…」とひとり言を小さく発しながら、デイパックの中の名簿をとりだし、膝の上に広げる。
縦に続く名前の羅列に目を走らせながら、左腕に時計を巻き付けた。
名簿によれば三村の番号は233番。自分が41番だから…ちょっと待て暗算できねえ、えーと233ー41…192か。
…こういうときアイツならすぐ計算できんのに。まあ言ってもしかたねーけど。
で、名前は確か1分間隔で読み上げると言ってたはずだ。そうすると俺と三村の時間差は3時間ちょっと。
多分教室を出てから40分か50分くらいは経ってる。だからあと2時間半弱で三村の出発時間だ。
大竹は計算結果に小さくうなずき、薄く三村の名前の下に線を引くと、次の計算を始める。
今度は上田と自分の時間差だ。上田が33番だから、41ー33=8。つまりは8分。
たったの8分だから、同じ方向に走っていれば会う可能性は結構ある。
もし淳と上田の落ちあう場所があのスピーカーでなかったとしても、だ。
それから名簿の名前を眺めて、有田の名前に目をとめる。この上田の相方はどうするだろうか?
大竹の勘は「有田なら上田を待って一緒に行動するはずだ」と訴えていたが、確証は持てない。
できれば、いやできる限りこの二人とコンタクトをとりたいと大竹は思った。
そのためにはあまりここで休んではいられない。8分の時間差を少しでもつめたほうがいいだろう。
そう考えた大竹が立ち上がる前にデイパックの口をしめようと指先をもちあげたその瞬間、彼の後方でガサッ、と何か音がした。
うろの中で、そっと音を立てずに身体をひねった彼が見たのは、あの番組で幾度も共演した、よく知る芸人の姿。
声をかけるべきか、否か。大竹の頭の中に様々な計算が去来する。一瞬の後、彼が選んだのは静観だった。
なぜなら彼の近くを通ったその男は、右手に銃を握りしめていたからだ。
ぶつぶつと何かわからない独り言を呟きながら、音を立てて土を踏みしめて歩くその男の姿に、大竹は唇を噛んだ。
そして男が大竹の進むのとは逆方向へと通りすぎるのを、静かに息を殺して、ただひどく苦い気持ちで待ったのだった。
十数分後、大竹は静かに身を起こし、そろりとあたりを見回した。
すでにだいぶ前にあの男は去っていたが、大事をとって長めに待機していたのだ。
ほっと一息ついたが、すぐに襲ってきたのはやりきれない思いだった。
投下番号は079で良かったかな
久々で忘れてた
「有吉…」
すっかり何かにとり憑かれてしまったように、拳銃を携えて幾分震えながら大股で歩いていた男を思う。
つい先日も、三村の家で一緒にロケをやったばかりだ。役割の都合上、風呂場でひとり、3時間も前から待機していた有吉。
顔中に施したおなじみのペイントと、体中の泡。あつらえたばかりの三村の家のマットにくるまって、めちゃくちゃにしていた。
内村さんと皆で大笑いしたな、三村はちょっと壊れてたけど。すげぇ楽しかったよ。
…なのに、もう、声すらかけてやれねぇ。
血走った眼をしていた。焦点が合っていなかった。ゲームに乗ったのかどうかはわからない、ひどく怯えていただけなのかもしれない。
そうだとしても、声をかければはずみでこちらに銃弾を撃ち込んでくる可能性があると気づいてしまえば、何もできることはなかった。
デイパックの口をしめて、肩にかける。再びスピーカーにむかって歩き出した大竹の胸にはどうしようもない虚しさだけが訪れていた。
一人でも多くの人間が笑えるエンディングを目指そうと誓ったのに、自分はよく知る芸人にすら話しかけるすべを持たない。
自らの手でできることの少なさに大竹は、砂を噛むような思いで歩みを進めつつ、足下の小石を遠くに蹴った。
森のむこうに頭を出している、白いスピーカーを睨みつける。深い緑の中で、それは際立って見えた。
できることは大して多くない、いや、ものすごく少ない。自分の両手に目を落とし、ちっちぇーな、と思う。
ゆっくりとおろした足の下で、パキリと小枝が折れた。大竹はひとり呟く。
「…めんどくせっ!」
それでも、足を止めることはしない。それが、大竹一樹の選んだ道だった。
【さまぁ〜ず 大竹一樹】
所持品:特選花火セット大(&輪ゴム)、ライターと伊達眼鏡(私物)
第一行動方針:三村を待つ
第二行動方針:可能なら上田とコンタクトをとる
基本行動方針:できるだけ生存
最終行動方針:プログラムの変更、離脱
現在位置:森の中
【有吉弘行】
所持品:銃(詳細不明)
第一行動方針:不明
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明
現在位置:森の中
【8/15 14:00】
【投下番号:081】
>>ミソオデン ◆g.iUPfSfiAさん
>>◆hfikNix9Dkさん
乙です。
279 :
272:2006/09/13(水) 01:47:44
>>269-277乙です!
途中すみませんでしたorz
さまーず好きなので続き楽しみですww
なんでこの人はチラ裏好きなの?
荒らされるの分かってるのに。
つか、荒らす奴が悪いんだけどね。
チラ裏がチラ裏じゃなくなったよね。
◆BIEhgLz7MI
◆iAsrIbcRAQ
誤解が無いように書いとく
昨日のはほとんどアンチがしたらばからコピペしたもの
空気読めなくて袋叩きにされた自称書き手の逆恨み
チラシならまとめにもあるのにね
最近のコピペは悪のりって分かるけど、
はじめにやっちゃったのは住人だよねー
夏休み以降、板全体が荒れてるね
自己顕示欲の強い住人が多いんじゃないの
バトロワのアンチって何?
バトロワの小説が嫌いな人の事?
それとも芸人アンチ?
パロロワに嫌悪感を持ってる人のことじゃね?
まあ、アンチよりも愉快犯の方が圧倒的に多いと思うが。
290 :
名無しさん:2006/09/13(水) 02:07:51
スピワどきどきする。イトダ かわいそうやの。
さまぁ〜ず
どうなるんだろ!
書き手さん乙です!
ありがとう!
292 :
名無しさん:2006/09/13(水) 06:30:15
半角!を使おうキャンペーン実施中
294 :
名無しさん:2006/09/13(水) 07:12:30
え、本気で言ってんの?
泣いたの!?
297 :
名無しさん:2006/09/13(水) 10:45:29
うん。マジでスピワ好きだから、
頭んなかで想像してたら目から塩っぱい汁が。。。
泣かないで。゚(゚*´Д⊂グスン
キモ
300 :
名無しさん:2006/09/13(水) 14:10:53
300
301 :
名無しさん:2006/09/13(水) 16:35:33
301
スピワ解散ドッキリ見た後にこれ読んだら…orz
泣かないで。゚(゚*´Д⊂グスン
304 :
名無しさん:2006/09/13(水) 20:44:02
保守
305 :
ヤン:2006/09/13(水) 22:45:30
ヤンだお(●´∀`●)
さまぁ〜ず編の挿入で、有吉編いきます。
「…13番、有吉弘行」
名前を呼ばれたのはかなり早かった。教室の壁際から前に出て、放り投げられたデイパックをよろけながら受けとる。
多分そうしなければいけないんだろうと思ったから、教室を出た。廊下を抜けて、気づいたら外に出ていて、今は歩いている。
それだけ。ただそれだけだ。足に絡み付く長い下草がうっとおしかった。森の木と土の匂いが乱暴に体に侵入してきて、ブルリと頭を振る。
彼はまだ事態をきちんと把握できていなかったし、把握しようとも努めていなかった。
ただ、これからこんな森のなかで野宿しなければならないのか、と少し憂鬱な気分にはなっている。
少しばかり昔のことを思い出して、苦いものを胸に、ふらふらと歩きつづけていた。
野宿の経験に関しては他のどの芸人にも負けない自信があるものの、進んでそれをする気になるほど活動的な性質ではない。
幾分無気力な部分のある有吉は、とにかくどこでもいいから今日、身体を休められる場所を探すこと以外考えていなかった。
本当はデイパックの中には地図があるのだから、それを見つけて付近の建物を探せば話は早かったのだが、そこまで頭は回らない。
自分の持ち物を確認する、という発想も彼にはなかった。肩に背負ったデイパックはまだ、有吉にとってただの黒い荷物でしかない。
ほとんど思考停止状態に近い彼は、何となく進路を選び、何となく前へ前へと進んでいた。
それでも特に命の危機がなかったのは、ひとえに彼の名字が「あ」で始まっていたおかげだ。
まだ多くの芸人は教室の中にいたし、外に出た芸人もほとんどが行動を開始していなかったからに過ぎない。
しかし、当てもなく歩いたにも関わらず、有吉がたどり着いたのは、彼の希望にほぼかなった場所。
それは建設中のホテルで、寝心地のいいベッドは残念ながらまだ入っていなかったものの、どうにか雨風はしのげそうな代物だった。
ありがたい話だ、と有吉はすぐさまホテルの中に入り込む。まだ大理石風のタイルを貼っている途中の床は一部がむき出しのコンクリートだ。
今日のような暑い日にはもってこいの冷たい建材に感謝しつつ、べたりと座り込んで伸びをした。
「どーすっかなあ…」
腰を落ち着ける場所を見つけて、有吉は初めてこの先のことを考えた。
殺し合いをしてもらいます、とか言ってた。プログラムのことは知ってる。だからきっとホントなんだろう。
ていうことは俺も殺されるかもしれないってことか…? うわ、嫌だなそれ。死にたくねー。
ここにずっと隠れてたら見つからないとかねーかな、俺あんまり目立たないし。
この期に及んで有吉は、現実問題としての「殺し合い」をきちんと理解するだけの精神状態に至っていなかった。
建物の中に潜伏しようとする輩など大勢いるはずで、彼のいる場所にはいつ誰がやってきてもおかしくはない。
それにも関わらず彼はホテルの入り口から大して離れてもおらず、すぐさま人目につくエントランスの床に座り込んでいた。
まさしく襲撃者にとっては格好の獲物と言わざるを得ない状態でぼんやりとしているのだから、危険きわまりない話だ。
だが、さすがに数分間ぼうっと座っている内に、多少の危機感が芽生えてきた彼は、そういえば荷物があったのだ、と思い出した。
先ほどまで投げ出していたデイパックを片手で引き寄せ、開けてみる。中からは食料やら地図やら色々な物が出てきた。
そうしている内に奥の方に何やら小箱が入っているのに気づき、引っぱり出して蓋を開けてみる。
その箱の中におさまっていたのは、一挺の武骨な拳銃だった。横には弾丸も添えられており、装填の仕方の解説書までついている。
「キューヨンシキ…拳銃?」
実際には「キュウジュウヨンシキ」と読むのが正解であったが、拳銃に関する知識が人並み程度の有吉には無理な話だ。
持ち上げて眺め、解説書に目を通してみる。どう見ても本物としか思えない。握った右手にかかる重量に、手首がきしんだ。
…俺は今、人を殺す道具を持ってる。
有吉の中で急激に、「殺し合い」という言葉が現実味を帯びて、はっきりとした輪郭を持ちはじめる。
背筋が冷たくなり、身体が震えはじめた。歯の根が合わない。これは本物の拳銃で、自分は殺し合いをさせられる。
こんなもので撃たれて死ぬかもしれないのだ。こんな鉛の玉で。彼は震える指先で弾丸をつまみ上げた。
ああ、とにかく、これは「殺し合い」なんだから、そうだ、誰かに殺される前に、まずこの拳銃を撃てるようにしなければ。
やたらにガチガチと鳴る自分の歯の音を耳障りに感じながら、有吉は解説書通りに弾を装填していく。
いつしか彼の手の中には、いつでも誰かを撃つことのできる、いつでも誰かの命を断つことのできる、そんな武器が握りしめられていた。
有吉の震える右手の人差し指は、すでにトリガーにかかっている。何かのはずみで思わず力が入れば、弾が撃ち出されるかもしれない。
すでに彼の頭の中は恐慌状態で、いつ襲ってくるかわからない見えない敵に対する怯えでいっぱいだった。
そんなおりに、このホテルにふらりと訪れた人物がいたことは、互いにとって不幸だったとしか言いようがない。
その男は、有吉よりも先に教室を出ていた。道中で腰をおろして色々と考えたあげく、地図を見てこのホテルを選んで歩いてきたのだ。
考えをめぐらせた結果が錯乱状態の有吉との鉢合わせに繋がったのだから、全くお粗末という他はない。
さらに悪いことに、それなりに冷静だったせいで男は早いうちにデイパックの中の自らの武器をも確認しており、それを手にしていた。
男が右手に握っていたのは大きめの鉈。ここまで歩いてくる途中に、草むらや低木の枝に道を阻まれてやむなく使用していたのだ。
似たような道を通った有吉は適当に素手でごまかしたのだから、使わずとも済むといえば済んだのだが、便利な刃物があれば使いたくなるのが人情。
人を傷つける目的で握っていたのではないにしろ、他人から武器を誇示しているかのように見られる可能性を鑑みなかったのは男にとって痛い失敗だった。
「あれ? ひょっとして…有吉か?」
このとき有吉に声をかけたのも完全な判断ミスではあったのだが、もはや後の祭り。
特徴のある声がエントランスに響いた。怯える有吉は、顔を上げてその声の正体を見る。小太りの丸い男。知った顔だ。
鉈を持ってホテルの入り口に立ったのは、キャイ〜ンの天野ひろゆきだった。
有吉は現れたのが顔見知りの人間であったことに一瞬安堵したが、その次の瞬間、天野の右手に握られた鉈に気づいて戦慄する。
あれは、武器だ。俺を殺すための。彼の脳裏に、自分の頭にふり下ろされる鉈の刃の、重い鉛色のひらめきが浮かんだ。
「…っ、来る、な!」
吃音気味に叫びながら有吉は銃をかまえた。咄嗟に銃口を向けたのは天野の左胸。しかしその手はがたがたと震えて、照準が合わない。
天野はそんな有吉におののきながらも、どうにか会話でやりすごそうと声をかける。
「ちょっ…おい、俺、何もしねーって!」
そこで鉈を手放していれば少しは有吉も落ち着いたかもしれないが、残念ながら天野はそこに思い至らなかった。
刃物を握りしめたままで、銃口を向けられた人間が習い性としてするポーズ、つまりは両腕を挙げる姿勢をしてみたものの、相手は銃を降ろそうとしない。
そのポーズは、鉈で頭を割られるイメージを勝手に浮かべてしまっていた有吉にとって、むしろ逆効果だった。
「…く、来んな、つってんだろ!」
そうもう一度叫んだはずみで、銃のトリガーにかけていた指にグッと力が入る。体中を襲っていた震えも、彼を後押ししてしまった。
それからその場に響いたのは、鼓膜のおかしくなるような破裂音。有吉が気づいたときには、弾丸は発射された後だった。
「ぅあっつ…!」
「…あ…?」
有吉は訳が分からないまま銃をかまえていた腕を降ろす。鉛玉は天野の顔をかすめて後方へと飛び去っていた。
伊達眼鏡の男の丸くふくらんだ左頬にひき攣れたような傷跡が残り、そこから血液がどくりと溢れ、流れ落ちる。
痛みよりも強烈な熱を頬に感じた天野は、指先でその傷に触れ、ぬるりと生暖かい液体の手触りにぞっとした。
怪我したという事実から目をそらしたい気持ちを無理に抑えて、傷に触れた指先をちらりと見れば、みごとに赤に染まっている。
そのどす黒い赤さに軽く目眩をおこしつつも、天野はどうにか正気をとり戻した。撃った有吉はまだ呆然と腕を降ろしたままだ。
天野はこれ以上の攻撃を受ける前に、と素早くホテルを後にした。持ったままだった鉈で枝を切り払いながら、猛スピードで逃げていく。
その後ろ姿をただ惚けたように見送ってから、有吉は数分前まで天野の立っていた場所に目をやった。
できたばかりの血痕が、大理石を模した趣味の悪い板の貼られた床にいくつか散っている。
あたりにはまだ微かに硝煙の匂いが漂い、彼の鼻先をくすぐっていく。
…撃った。俺は撃った。殺される前に撃ったんだ。
有吉は自分が敵を撃退したのだと思った。実のところ、天野に彼を傷つける意志はなかったのだが。
それでも、有吉の中でその思い込みはねじれた形でふくれあがった自信となり、彼の心境に大きな変化をもたらした。
殺されるかもしれない、とただただ怯えていた彼は今や、自分も殺す側にまわりうると気づいたのだ。
…そうだ、殺される前に殺してやればいい。
有吉の唇から笑いがこぼれる。ふ、ふ、と小さく吐息のように洩れていた笑いはいつしか、気味が悪いほどの高笑いに変わっていた。
呼吸困難になるほど笑って、有吉は立ち上がる。口が半分開いたままのデイパックを肩に背負って、大股で床を踏みしめた。
身体だけは未だ小刻みに震えたまま、彼は怪しげに何ごとか呟きながら、暗い森の中へと進んでいく。
有吉の進む先にあるものは決して幸せな結末ではなかったが、彼は自らの物語に結末が存在しているということすら知らずにいるのだろう。
南部九四式拳銃。彼のもとにやってきたその拳銃の別名を、“自殺拳銃”という。
有吉の道筋はその名に引きずられるように、たれこめる深い闇の中へと吸い込まれていった。
【有吉弘行】
所持品:南部九四式拳銃
第一行動方針:殺られる前に殺る
基本行動方針:殺られる前に殺る
最終行動方針:殺られる前に殺る
現在位置:森の中
【天野ひろゆき】
所持品:鉈
第一行動方針:とにかく有吉から逃亡
基本行動方針:確定していないが攻撃的ではない
最終行動方針:今のところ考え中
現在位置:森の中
【8/15 12:52】
【投下番号:82】
前スレ782の続き。ラーメンズです。
ペンの走る微かな音が小林の耳に届く。
彼の手から生まれるコントは何度も何度も推敲され、丸い小さな字が行を無視して紙上に躍った。
そろそろ暗闇で文字を書く行為に、目の奥がしびれるような痛みを訴え始める。
小林はコントを書く手をいったん止め、左手を前に軽く出す。
右手の人差し指をその上で一回転させると、左手から狐火のような炎が上がった。
その光は確かに彼の視界を助けた。闇に解けていた文字が、光の中で独立する。
しかし、
「熱!あっち!!」
小林が小さくそう叫んだかと思うと、あたりを丸く照らしていた光が一筋の煙を残して消える。
良く考えたら当たり前だ。本物の火が手のひらの上にあったら熱いに決まっている。
彼は昔からマジックが得意だった。実際何回かコントの中でマジックを使用したこともある。
昨日の彼はこのゲームの内容を全く知らなかったので、芸人仲間にマジックをせがまれるような場面もあるだろうと考え、
あらかじめ幾つかネタを仕込んでいたのである。
この火が出るマジックもその一つだった。公演のフライヤーを再現し、こう言ってやろうと思っていた。
「ぽつねんとたたずむ」
小林は今、実際口に出してみてひどい空しさを感じた。誰にも見せられマジックに意味などあるのか?
手品が魔法たる理由は、見る人が不思議に思うからだ。演じ手は全てをわかっているわけだから、何の不思議もあるはずがない。
手から火を出したって誰も見ない。ただのやけどする照明に過ぎない。
コントもそれと同じだと、小林は思う。
舞台は演者と観客がいて初めて成り立つものだ。誰かが演じ、他の人がそれを見なければ舞台は成立しない。
客と役者の距離の近さ―――小林が舞台を愛する理由はここにあった。
メモの文字は闇にぼやけてよく見えない。しかし、彼は使命感に燃えていた。自分が書かなければ。自分たちが演じなくては。
熱いスポットライト、笑顔の観客、片桐の怪演―――小林の頭の中に鮮やかに浮かぶ公演の情景。
それを常に心中で再生しながら、メモ帳に書きなぐった脚本を読み返しより自然な形に変えていく。
小林は夢中だった。少なくとも、ゲームのことを忘れていられるくらいには。
月は煌々として輝き、林は黙して語らない。虫の音が甘く耳に転がり、あたりは一層静かである。
(どうやら、魂を売る気とみえる)
先ほど耳に聞こえた声が、またささやくような調子で語りかける。
小林はその声を無視して推敲作業を淡々と続ける。
(あなたがそこまでやるとは思わなんだ)
慇懃な声が耳につく。さっき薦めたのはお前じゃないか。
(選んだのはあなたです)
心を見透かす言葉が耳朶を打つ。きっとこれは本当の声なんかじゃないんだろう。
今、小林のそばには誰もいないのだから。
先ほど書いたフレーズに勢い良く線を引く。
「魂なら10年前にとっくに売ってたよ」
低い声でつぶやき、メモを一枚めくる。前のページの筆圧で紙の表面が多少へこんでいるが、気にせずネタを書き続ける。
生暖かい風が吹いている。暗幕に穴を開けたような月夜の晩である。
【ラーメンズ 小林賢太郎
所持品:フェンシングの剣
第一行動方針:片桐を探す
基本行動方針:コントを書く
最終行動方針:舞台に戻るために、生き残る
現在位置:川辺】
【8/15 22:00〜23:00頃】
【投下番号83】
315 :
名無しさん:2006/09/14(木) 02:20:08
>>306-312 乙!行動方針がこええw
展開に緊張感があってスムーズに読めた。引き金を引くまでの過程の心理描写がうまい
マーダー化wktk
>>313-314 乙!こんなところまであのネタ仕込んでんのかw
情景描写がうまくて読んでいるときに頭の中で絵が浮かんだ。 小林の性格や特徴がすごくうまく使われてる気がする
これからどう動くのかwktk
317 :
名無しさん:2006/09/14(木) 06:18:48
イイヨイイヨー
>>306-312 乙!有吉のっちゃったのか… 確かに行動方針怖いww
>>313-314 乙!一度行動方針がコントの事だけになっててビビったけど、片桐の名前が出ててよかった。
皆さん描写が上手いなー。これからもwktk
下手ですけど、ロザン菅を投下します。
途中で終わってますが評判が良かったら書くかもしれません。
疲れた。
さっきからずっと森の中を目的も無く走っていた。
ほんまは嘘やと思ってた。
山田が死ぬまでは。
なんで、こんなゲームに参加しやなあかんねん。
今は、とりあえず生き延びることを考えとこ。
宇治原にも会えたらいいな。
いや、会うんや、絶対に。
足は棒のようになり思うようには動かなかった。
ここまで来れば大丈夫やろ。
はじめて、デイバックの中身を確認した。
地図、コンパス、食料、名簿が入ってあった。
ふ〜ん、こんもんなんや。
あんまりええもん、入ってないなぁ〜。
中身を探っていると、奥のほうから見慣れぬ黒い塊が出てきた。
これなんや、まさか、本物か。
不審に思い、恐る恐る銃の安全装置をはずし、標的を探した。
どっかに、ええもんおらへんかな。
おもちゃやから、人が死ぬわけないやん。
ちょうどいいところに、青空の須藤が通ってきた。
これはいいかも知れへん。
ゆっくり、相手に標準を合わせ、なおかつ相手に気づかれない様に
引き金を引いた。
空気を裂く、強烈な音が響いた。
それと同時に須藤がゆっくり倒れた。
本物やった。
撃たれた相手も驚いてるかも知れないが、撃った本人が一番驚いてた。
え〜〜〜〜〜。
ゴメンな須藤。生きてるか。
近寄ろうと思っていても恐怖で足が動かなかった。
須藤死んだんか。小さく声掛けても返事はしなかった。
遠くで見ても、否に死んでいることは明らかだった。
ゴメンなと思う自分と死んで当たり前やと思う自分が居る。
俺これからどうなるねん。
兎に角、宇治に会いたい。
俺、人殺してしまったどうしよ、宇治。
こんな感じですけど、いかがでしょうか。
文章下手ですみません。
設定無視な所あるかもしれませんがよかったら指摘してください。
322 :
名無しさん:2006/09/14(木) 08:11:39
323 :
名無しさん:2006/09/14(木) 08:13:26
イイヨイイヨー
325 :
名無しさん:2006/09/14(木) 08:25:54
326 :
名無しさん:2006/09/14(木) 10:04:17
('A`)
328 :
名無しさん:2006/09/14(木) 12:21:02
え、これって…
>>319-320 今まで見てきたバトロワ小説の中で一番糞がktkr
自演レスがうざいくらいに清々しいな
330 :
名無しさん:2006/09/14(木) 12:32:46
女ばっかり死んでるな
気にしすぎか?
したらばの廃棄スレからのコピペだろ?これも
別の人がロザン予約してたような
死んだ人カワイソス
これはもうID出る所に移動したほうがいいかもわからんね
>>319-320 こんなクソ文章で「評判良かったら続き書きます」とか言っちゃう
面の皮の厚さはある意味尊敬に値する
339 :
名無しさん:2006/09/14(木) 15:05:07
>>337 詳しくもなにも廃棄スレみりゃわかるじゃん
したらばって何処ですか?
>>340 おそらくそう。
しかも廃棄スレに投下した人は予約スレを見ていなかった
(既にロザンの予約入れてる人がいた)
>>319-320は無効になるだろう
345 :
名無しさん:2006/09/14(木) 21:25:54
>>345 残念だけど続きはないと思うよ。
正式にロザンを予約していた人が他にいるから。
この書き手さん、書き手登録してないし。
347 :
名無しさん:2006/09/14(木) 21:51:20
ガ━━━━━━(゚д゚;)━━━━━━━━ン
ダブルブッキング黒田編
>>263-266の続き
そこにあったのは、黒田にはもう見慣れすぎている、1人の芸人の後姿だった。
背が低くぽっちゃりしたその男、どう考えても見間違う筈はない。
(あれは、……磯…)
冷静さを失った頭の中で、目の前の光景と記憶の中の姿が重なる。
事務所の先輩芸人・江戸むらさきの磯山であった。
死んだ小沢と同様、今まで色々と世話になってきた、気心の知れた人間。
とてもいい人だということは当然知っている。
しかし、その背中から発せられている、奇妙な違和感のようなもの。
それが何となく察せられて、黒田はどうしても彼に声を掛けることができない。
ふと黒田は、その違和感の元となっていることの1つに気付いた。
磯山が手に携えている、1本の鋭いアイスピック。
(あれ、磯山さんの武器…?)
その腕を黒田は息を潜めて見つめた。
磯山は足音を立てずにじりじりと前へ進みながら、
ゆっくりと、アイスピックを握った手を上に上げていく。
(―誰かを、狙っているんだ)
はたとそれに気付いた黒田は、即座に目線をその横へ移した。
藪に隠れ、また仁王立ちになった磯山の影になり、はっきりとその姿は見えないが
その目線の先にいる、そして明らかにアイスピックの標的となっている人間は
身体を丸めて蹲っている、黒田の相方―川元に間違いなかった。
磯山に背を向け、微動だにしない川元。
アイスピックの先端が天を指す。血に濡れたそれが、ギラリと光を反射した。
瞬間、黒田は木陰から飛び出した。
スタートからずっと押し止めていた声を、あらん限り喉から吐き出す。
「ぶんちゃん!!」
一瞬の出来事だった。
黒田は、磯山の背後に飛び出すや否や、迷う事なくその背に銃口を向けた。
磯山は黒田の声に反応し、すぐに振り向こうとしたけれど、
それを許す事なく、指は引き金を引いた。
自分でも驚くほどに、一連の動作に全く躊躇はなかった。
空が割れるのではないかと思われるような、激しい音がした。
その衝撃で、撃った黒田自身、頭の中が真っ白になる。
我に返ると、先程まで前に立っていた男は
背を貫かれて、血を流し、目の前に倒れ伏していた。
更にその前に、驚愕と戸惑いの表情で佇んでいる、相方の川元。
「はあ、はあっ、はあっ…」
胸の前に構えた腕を、ゆっくりと下ろす。
額から流れる汗が、地面にぽたぽたと落ちる。
銃を握り締めた両手の震えが、段々と大きくなっていく。
(殺した…?俺が…人を …)
(…ずっと、仲良くしてきた、先輩を…俺が、…)
このゲームに放り込まれた当初よりも、小沢の死を知った時よりも、
その現実は黒田にとって、全く信じられないものとして存在した。
しかし、自分が引き金を絞った瞬間、空気伝いに、
磯山の身体が貫かれる手応えが感じられたのだ。
例え、決して信じたくなかったとしても。
現に、この事実が目の前にある。
「 …あ、…」
喉が嗄れ、声が出ない。
愕然と突っ立ったまま、手に持った拳銃と、血まみれの死体とを、交互に見比べた。
―自分を守るためなら、そして相方を守るためなら、
他の芸人を、例えそれが誰であろうと、
殺すことも厭わないと、歩き出す時に心に決めた筈だった。
そして、実際そうした。それができた。
しかし、ずっと無事を祈ってきた交流のある芸人を、
予期せぬところで自らの手に掛けてしまった罪悪感と哀しみ。
それらが怒涛のように、一気に黒田を襲った。
そして更に、人を殺すということ自体が、考えていた以上に
彼の心に恐怖と空虚感をもたらしたのだった。
【江戸むらさき 磯山良司 死亡】
【ダブルブッキング 黒田俊幸】
所持品:自動拳銃(ワルサーPPK)
第一行動方針:川元を探す(達成済)
基本行動方針:とにかく生き残る
最終行動方針:未定。川元次第
【ダブルブッキング 川元文太】
所持品:眼鏡(武器不明)
第一行動方針:不明
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明
【現在位置:森】
【8/15 19:40】
【投下番号:84】
353 :
名無しさん:2006/09/14(木) 22:57:01
356 :
名無しさん:2006/09/14(木) 23:08:09
え、磯山氏んだの!?
>>356 したらばで死亡確認とってあるから全く問題無いぞ。
>>357 別に驚いただけで文句つけてるわけじゃあないんだから絡むなよ
>>358 時間帯、ageていることから考えて荒らしの可能性が大だろ…
荒らしのことで頭いっぱいみたいですwww
ちょっと書き込んだだけで荒らし扱いかよ
誉める書き込み以外は、書いたら駄目なのか('A`)
362 :
名無しさん:2006/09/14(木) 23:31:34
>>361 そうみたいですよ
なので下手だろうが何だろうが、余計な事は言わずに、誉めてあげて下さい^^
せめてsageろよって話だろ?
364 :
名無しさん:2006/09/14(木) 23:34:18
sageればいいと思ってる馬鹿発見w
age、sageなんて大したことじゃねえだろ。
見るべきはレスの内容だろ。
752:名無しさん :2006/09/08(金) 21:37:00 [sage]
>>751 ぁぅ、すいません予約されてなかったからチュート書いてしまいました・・・
あまり上手くないかもしれませんが続き頑張りますorz
779:名無しさん :2006/09/09(土) 02:20:24 [sage]
うーむ。長年のコアな麒麟ファンとしては違和感がある。
話の展開も向がああいう感じになっちゃってたりと 作風が浮いてる感ありのような。
今後に期待してます
874:名無しさん :2006/09/09(土) 20:58:57 [sage]
たとえ先輩でもこんなこと言うかしら
まあフィクションだけれども…
キャラ立たせたいんだろうけど
うーむ
367 :
名無しさん:2006/09/14(木) 23:39:34
記念パピコ
血眼になって「敵」を探してる住人がいるようでw
乙も無しにあれだけの書き込みじゃあ
荒らしと思われても仕方がない。
もっと考えてから発言しろよ
話が投下されたら乙って言わなきゃいけないの?
大荒れした後のスレは大抵こうなるものさ
そして終焉へ
麒麟ファンの違和感ってどんなものなのか気になる。
麒麟って漫才しか見たことないから。キャラが違うとか?
>>366定期的に貼られてるけど何がしたいんだろう?
馬鹿がいるwww
あほがいるwww
クズがいるwww
池沼がいるwww
カリカリした住人に難癖つけられないよう
書き込みをする時は細心の注意を払いましょうw
>>374 麒麟の書き手さんかな?
自分はそこまで気にならないし、おもしろいと思った。
ただ、天津向出没後の行動が なんか違うかなと思ったかも。
田村は正義に燃えて、自分の身の危険を顧みず、何かを守ろうとしたり勇気ある行動をとるタイプ。頭に血が上りやすい。
川島はそんな田村を制御したりするタイプで、攻撃性は少ないと思う。
って感じ。
でも何年来の痛ヲタのこだわりとかはあんま気にしないでいいと思う。
医者ドラマも医者から見れば アホか、そんなわけないやろ、というとこがたくさんあるのと同じで
こういうのも詳しい人から見ればそりゃ、違うこともあるだろうし。
382 :
名無しさん:2006/09/15(金) 07:12:06
ぁぅ
383 :
名無しさん:2006/09/15(金) 10:03:15
言いたい事も言えないこんな世の中じゃ
('A`)
385 :
名無しさん:2006/09/15(金) 11:18:40
ぁぅ
流行語:ぁぅ
ぁぅ。うーむ。
ぁうーむ。
390 :
名無しさん:2006/09/15(金) 12:33:13
ぁぅーむ
ぁうーむ が あらわれた
392 :
名無しさん:2006/09/15(金) 12:44:28
ぁぅーむの攻撃
あらし は 5のダメージ をうけた
394 :
名無しさん:2006/09/15(金) 14:06:49
あらしの会心の一撃
ぁぅーむ には 攻撃が通じない!
ぁぅーむは呪文を唱えた
あらし は 16のダメージ をうけた
あらし は しんでしまった!
よっしゃ!
そしてこのスレの平和はまもられたのでした。めでたしめでたし。
何だー何だー
この流れ…ワロス
6時間掛かってやっと平和になったんだな
ぁぅ、長かった・・・長かったよ
404 :
名無しさん:2006/09/15(金) 18:18:50
キモ
自演きもい
自演自演うるせーよ
404 名無しさん 2006/09/15(金) 18:18:50
キモ
405 名無しさん sage 2006/09/15(金) 18:23:06
自演きもい
406 名無しさん sage 2006/09/15(金) 18:29:29
自演自演うるせーよ
これは酷い自演ですね
ソースは?
パペマペ編の書き手さんはまだいるのかな
続き楽しみにしてます
410 :
名無しさん:2006/09/15(金) 20:13:47
ぁぅーむ、ぉゃっょ
411 :
名無しさん:2006/09/15(金) 20:55:30
885:◆iAsrIbcRAQ :2006/09/09(土) 21:09:35 [sage]
すみません・・・団長のことあまり詳しくないのに書いてしまって・・・。
りあるキッズの話、なかったことにしていいですかね。
もし今度書くときは、もっと勉強してから書きます。
混乱させてすみませんでした。
894:◆iAsrIbcRAQ :2006/09/09(土) 21:17:43 [sage]
はい、すみません。
よく訳もわかっていないのに引っ掻き回してすみませんでした。
無しにします。
900:◆iAsrIbcRAQ :2006/09/09(土) 21:21:21 [sage]
います。
多分無しにはできるはずです。
同時にりあるキッズの投下権も破棄します。
本当に申し訳ありませんでした。
923:◆iAsrIbcRAQ :2006/09/09(土) 21:34:59 [sage]
います、すみませんでした。スルーお願いします。
>409
かえる<色々ありまして、うしのバカが、プロット練り直してます。
うし<…かえるくん、ひどいよ。
品川庄司編を待ち続けている自分ガイル
麒麟編も待ってますよー
りあるキッズと団長の話ってどーなった?
次長課長井上の末路が気になるw
>>415 仕切り直し
仕切り直しって?
「おそ松・・・カラ松〜・・・チョロ松、うーん、あと一人誰やったっけ?」
ソラシド本坊元児は、フラフラ歩きながらこんなどうでもいい事を考えていた。
彼にとって、これからどうやって生き延びるかという事は重要でなかった。
ただ、浮かびあったひとつの疑問を一生懸命考えているだけに過ぎなかった。
しかし、その疑問があまりにも馬鹿らしい事に彼は気づいていない。
周りを気にせず歩いていたら、右肩を勢いよくぶつけた。
ドサっ
落ちてきたのはもう動かなくなった蝉だった。
しゃがんでその体を見ると、周りに数体蝉の死体があった。
蝉の死体のひとつひとつ、形が違っていた。
綺麗なまま残っているもの。
羽が片方無いもの。
雨が降り注いだ為、崩れているもの。
踏まれてぺしゃんこになってしまったもの等。
普段まじまじと見る事のない蝉の死体を見て、しゃがんだまま本坊は考えていた。
「蝉はひとりで土に埋まって、ひとりで出て来て、ひとりで鳴いて、
ひとりで死んでいくんかなぁ。さびしいなぁ。
今落ちてる蝉みんな一緒に死ねたんやったら、みんな同じかたちで残ったのになぁ。」
しゃがんだまま悶々と考えていたら、視線の先に影が落ちた。
見上げると、本坊の後輩である芸人、天津 向の姿があった。
向は右手にサーベルを持ち、いつでも「殺れる」体勢にあった。
さっきの千鳥ノブの時は思わぬ邪魔が入ったが、今度こそ殺れる。
サーベルを振り下ろそうと思ったら、本坊の口が何か言いたげであった。
(何、命乞い?まぁ少し位聞いてあげてもいいですけど?)
余裕で口の端に笑みまで浮かべた向に、何を思ったのか本坊は嬉しそうに飛びついてきた。
「良かったぁ!向漫画詳しいから、おそ松くんの六つ子全部わかるやんな?」
「はぁ!?」
(何言ってんのこの人。僕サーベル持ってるんですけど。しかも血つきの。)
「あのなぁ、おそ松君の六つ子っておそ松、カラ松、じゅうし松、トド松、チョロ松・・・
あと一人誰やっけ?どーしても思い出せへんねんや!」
「・・・・・・・・」
先程とは一変、呆れた表情の向に本坊はまくしたてる。
「なー、向やったら知ってるやろ?気になって他の事考えられへんねんかぁ!」
(アホらし、こんな人さっさと殺そう。)
そう思った後、向は抑揚のない声で答えた。
「市松、ですよ。確か。」
「あーーー〜〜、市松ゆうんや!良かったぁ、ありがとう向!!」
本坊が小さく飛び上がってガッツポーズした直後である。
「え?」
向のサーベルが本坊の頚動脈を捕らえていた。
「もう、思い残す事ないでしょ?さいなら、本坊さん。」
その芝居がかった言葉の後、向はサーベルを動かす筈だった。
手を止めざるを得なかったのは、本坊の予定外のリアクションがあったからである。
向の言葉の後、本坊は恐怖に震えたのではなく、大声を張り上げて笑い出した。
それは恐怖による発狂の笑いではなく、純粋に喜びの笑いであった。
その本坊のリアクションに驚いて、向の右手は動きを止めてしまっていた。
だが、向が驚愕するのはこの後の本坊の言葉である。
「よかったぁ。向は殺す事出来るんやね。」
(?・・・何やそれ、どういう意味?)
「僕、みんな一緒に死ねたらええなぁって考えたんやんか。
でも僕のお化粧道具やったから殺せへんねん。
向の武器はみんないっぺんに殺せへんけど、脅しかけたら何とかなりそうやん?
それで適当な方法でみんな集めて、みんなで死ねたらさびしないやん?」
向の頭は混乱している。
(言ってる事ひとつもわからん。何もわからん。みんなで死ぬ?脅し?適当な方法って何?
ていうか、俺いつでもこの人殺せんのに、この人危機感とか無いんか??)
「・・・いや、無理でしょ。みんなそんなん聞く訳無いし。」
右手は動かないまま、向は返答する。
「じゃあ向はそれで生き残れる思てんの?」
「はい?」
視線が自分に向かった瞬間、向は本坊の瞳に宿った狂気を見逃さなかった。
「どうせお前そんなん使った事ないやん
それに血いっぱい付いたら使い物にならへんし
あとお前太ってるからすぐバテるやろ?
大体銃とか持ってる奴からしたら剣でもハリセンでも変わらへんし
遠くからバーンて撃たれたらもう終わり!はい死んだー!!
死んでもゲーム終わるまで片付けよらへんからハエとかウジ虫とか集るし
今夏やから絶対くっさいやんか!お前目ん玉とか脳みそとかぐちゃぐちゃで
内臓黄色とか緑とかになるけどそれでもええの?
一人さびしく腐ってってそれでええの?
やったら絶対みんなで死んだ方がさびしないやん!
さっき俺黙祷してご先祖さんに「もうすぐ行くかも」って挨拶してきたし!
みんなの分も挨拶したから大丈夫やって!!
なぁ何さっきから黙ってんの?
俺の言ってる事正しいやんな向!!?」
向の精神はサーベルを動かそうとしているが、右手は恐怖で震え出していた。
恐怖?何で俺が?ちょっとサーベルを横に動かせば目の前の男は死ぬんだぞ?
確かに、正常であれば、向が恐怖を感じる理由などない。
だが、目の前の男は正常ではない。
早口でまくしたてるその表情は、目を見開きながら口を限界まで広げている。
こけた頬も、何故かとめどなく溢れている涙も、高めに張り上げる声も、
言動、いや存在のすべてが異常としか言いようがなかった。
向は逃げ出した。本坊と共にいる事が耐えられなかった。
殺したかったが出来なかった。右手は本坊以外の方向にはどこにでも動かせた。
全速力で自分から離れる向を見送りながら、本坊はつぶやいた。
「あれ〜・・・?僕の説明わかりづらかったかなぁ?
・・・水口やったら、わかってくれるやんなぁ。」
【ソラシド 本坊 元児
所持品:コンビニコスメセット
基本行動方針:一緒に死んでくれる人を探す。
第一行動方針:相方捜索
第二行動方針:死に場所の捜索
最終行動方針:みんなで一緒に死ぬ】
【天津 向
所持品:サーベル
基本行動方針:殺せそうな人中心に殺す
第一行動方針:
第二行動方針:
最終行動方針:不明】
8/15 17:54
【投下番号:85】
ソラシド本坊編終わりです。
向の投下権は放棄したいんですが、基本行動方針決めちゃって良かったですか?
乙です!
本坊怖ぇーw
乙です!
向は何でそんなふうになってしまったのかを誰か書いていただけるといいなと思います。
登場が サーベル持って追っかける ってので
向は優しげだし
なんでこうなったのかなって思いました!
本坊は変人だけどかなり、相当、性格は良いと思うし
これからどうなるか楽しみです!
期待してます。
427 :
名無しさん:2006/09/16(土) 02:42:34
さまぁ〜ず三村編、いきます。
「…233番、三村勝和」
名前が呼ばれ、デイパックを渡されると三村はすぐに走り出した。
教室で待機する間中、彼は焦れていたのだ。とにかく早く大竹と合流したいという気持ちに突き動かされ、廊下を抜ける。
校庭を通り、門までたどり着いたところで三村の足がピタリと止まった。目の前の光景に背筋の凍る思いがする。
門の外に男が三人、倒れている。土にまみれ、固まった血液の薄汚い色。どう見ても生きているようには思えなかった。
一瞬、三村の脳裏に大竹の姿がよぎった。大竹が、あの中にいたら…? 三村の中の何かが、ぐらりと揺れる。
それでも彼は踏みとどまった。あれは大竹じゃない。大竹は絶対生きている。その根拠のない確信は、まだ確かに彼を支えていた。
必死で自分の精神を律して、その三つの骸に近づいていく。一瞬、足が震えた。その震えを無理矢理におさえこむ。
…一人、二人、三人。ゆっくりと確かめたその顔は全て、彼の相方のものではなかった。
だが、それは三村の心に何の喜びももたらしはしない。ただ、深い悲しみとやりきれない思いだけが彼を襲った。
一人目と二人目は、顔と名前を知っているものの、それほど関わりのない芸人たち。ひどい姿に胸の痛めた彼は、その亡骸に手をあわせる。
そして三人目の顔を見たとき、彼の目からツ、と涙がこぼれた。明るい金髪は赤褐色にべたりと硬く染まり、いつも笑みを浮かべていた小さな目は見開かれたままだ。
よく知っている人物だった。同じ番組で仕事もしてきたし、仲も良かった。本当に人のいい、愛すべき男だったのに。
「ウドちゃん…!」
悲しくて、悲しくてたまらなかった。大切な友人を失ってしまった、その喪失感で彼の胸には冷たい風が吹き荒れる。
銃弾で身体にたくさんの穴のあいた、見るも無惨な姿のウドに、三村の目からはとめどなく涙が流れ、とまらない。
彼はゆっくりとウドの顔に手を伸ばした。こびりついた泥を指先ではらい落とし、そっと目蓋に触れる。せめて開いたままの目を閉じてやりたかった。
それから静かに胸の前で手をあわせ、祈る。信じる神などいなかったが、他に何も自分の思いを整理する方法は思いつかなかった。
三村は風穴のあいた胸で、林の中を歩く。できるだけ大勢の芸人と生き残りたかった彼の思いは早くも粉々に砕かれつつあった。
自分は甘かったのかもしれない、と彼は思う。できるだけ大勢で生き残るなんて、そんなのは夢物語だったのかもしれないと。
あんな学校のすぐ近くで、三人もの人間が死ななければならなかったということは、誰かがすでにこのゲームに乗ったということに他ならない。
誰もが通らねばならないこんな場所で待ち伏せて、確実に死に至らしめるために引き金を引く人間がいたのだ。
そんな人間が現れるほどに、このゲームは狂気を呼ぶ。こんなものを果たして自分におしとどめることができるのだろうか。
あとからあとからわき出す疑念は、三村の心を蝕んでいく。だが、彼はまだ諦めようとはしなかった。
なぜなら、まだ彼の相方は生きているからだ。いや、まだ生きていると信じられたからだ。その希望は彼の足下をしっかりと照らしていた。
…大竹がいる限り、諦めない。
一歩一歩確実に進みながら、三村は誓った。それがどれほど愚かなことだとしても、自分は決して諦めない。
どれほど疑わしく、頼りなく、甘い理想だとしても、最後まで決して手放さない。頬に筋をつくる涙を、乱暴に拭った。
衣装のスニーカーのゴムの靴底が、長くのびた草を踏みしだく。その青臭い香りにむせ返りそうになりながら、彼は足を動かし続ける。
それから一時間以上がすぎ、三村はいつしか林から、深い森の中へと踏み込んでいた。
遠かった集合場所の白いポールはすでに、スピーカーであると識別できるまでになっている。確実に合流のときは近づいていた。
早足でここまで歩いてきた彼は、じわりと全身から吹き出す汗に閉口しつつ、荒い息を吐く。少し休憩が必要かもしれない。
そんなとき、目についたのは小さな小屋。入り口の木の扉が腐り落ちかけたその建物に、一瞬入るのを躊躇したものの、そろりと近づいた。
ゆっくりと音をたてないように扉を開けようとするが、錆びた蝶番は思いのほか派手な音を響かせる。
「うおわぁあ!」
「のわあああ!」
誰もいないとばかり思っていた小屋の中に、ひとりの男がいた。突然の物音に驚いた男は叫び声を上げ、その叫び声に驚いた三村も腰を抜かす。
「な、なんだ…三村さんじゃないっすか…」
「し…設楽かよ!」
…その小屋の中で、いわゆるウンチングスタイルでしゃがみ込んでいたのは、バナナマンの設楽統だった。
「もー、マジビビったじゃないっすか、いきなり開けないで下さいよ…」
「バッカ、お前こそアレだよ、こんなとこで何してんだよ」
「いや…見た通りですけど」
「…ウンコ?」
「違いますよ!いくら何でもこんな小屋の真ん中でケツ出してウンコって!」
「え、じゃあマジでお前何してんの?」
「や、だから、家捜しです」
「…家捜し?」
言われてみればしゃがんだ設楽の手は、小屋の真ん中に倒れた棚の引き出しにかかっている。
まわりにはすでに外に出された引き出しもいくつかあった。どうやらすべて開けて、中をあさろうとしていたらしい。
その特に役に立ちそうな物も見当たらない引き出しを見回していた三村だったが、何でそんなことをしようとしているのかわからず疑問を口に出す。
「…なんで家捜しなんかしてんの?」
「まあ、武器がですね、凄まじいハズレだったもんで…」
「ハズレって…お前、プログラムに乗る気じゃねーだろうな」
「冗談やめて下さいよ、そんな奴がこんな暢気な会話すると思います?」
「…しねぇな」
「でしょう」
「っていうか俺ら何でこんなとこでこんな会話してんだ…」
「…同感です」
自分たちのかわしていた会話の、びっくりするほどの緩さに気づいて二人で苦笑する。
いつ誰に襲われてもおかしくないところでこんな会話をかわしていること自体、ある意味そうとう恐ろしい話ではあった。
「設楽お前、武器何だったの?」
「あー、コレです」
「…」
「ほら、なるでしょ無言に!」
「コレ、車の鍵じゃねーの?」
「車の鍵ですよ、スズキのみたいですけど」
「…車どこにあんの?」
「…」
設楽は無言のまま遠い目をする。その中空を舞う視線に、三村は車がない状態でその鍵を貰うことの意味のなさを思って切なくなった。
車の鍵など、それを使って動かす車がどこにあるかすらわからないのでは何の役にも立たない。ほとんど丸腰と同じようなものだ。
何となくこの後輩が哀れになって肩をポンと叩く。叩かれた設楽もコクコクとうなずいて、無言の会話がかわされた。
「そう言えば、三村さんは何だったんすか?」
「へ?」
「だから、武器ですよ」
「…見てねぇわ」
「え、じゃあ確認しないと」
その設楽の言葉に押されるように、三村はデイパックをおろす。中の食料や水などを確かめてから、地図を引っぱり出した。
それをアロハの胸ポケットにつっこんで、後から出てきた時計を腕に巻いて、やっと袋の底にあるものに気づく。これが自分の武器だ、と三村は直感した。
「何だ、これ…?」
つかみ出してはみたものの、一目で何であるか判別できる類のものではない。彼はその物体をひっくり返したり、撫でたりしながら確かめた。
曲がった金属棒とゴムらしきものが折り畳まれており、別に直径1cm弱の、表面のざらついたパチンコ玉のようなものが多数つまっている袋がある。
折り畳まれたその物体を、自らの勘に従ってガチリ、と引っぱってみた。そうして組み立てられたのは、何とはなしに子供の遊びを思い出させる武器。
Y字型の金属の柄にゴムの紐がとりつけられたそれは、いわゆるスリングショットと呼ばれるゴム銃だった。
柄を握って、弾とともにゴムをいっぱいまで引いて、放す。そうすれば反動で弾が狙ったものに向けて飛んでいく、という仕組みだ。
備え付けの説明書を見れば話は早いのだが、三村はわざわざそれをするまでもなく、この武器の使い方を理解していた。
「あー、パチンコか…」
つまるところスリングショットは立派になったパチンコに過ぎないので、その感想は正しいと言えば正しい。
とはいえ、二股に分かれた木の両端にゴムを結んで石を飛ばす、あの少年の遊具とは威力と飛距離ともに格段の差があったのだが。
「いいっすねぇ、一応使えるじゃないっすか」
「まあな、でもそんな使うつもりもねぇけど」
幾度かそのゴムを引っぱってみて、雰囲気をつかんだところでもう一度三村はそれを折り畳んだ。
好んで履くゆとりのあるジーンズの尻のポケットは、その武器を収納するのにそれほど問題のない深さと大きさを持っている。
もう片方のポケットに弾の入った袋をしまい込むと、再び彼はデイパックの口をしめて肩に背負った。
「あれ、三村さんもう行くんすか?」
「おう、あいつ待たせてるし」
「あ、大竹さんと待ち合わせを?」
「うん、お前、日村は?」
「いや、実は学校近くで待ってたんですけど…戦闘がおっ始まりまして」
「マジかよ」
「ちょっとここに居続けるのはマズいと思って逃げてきたんです、戻ろうにもいつまた始まるかわからないし…」
「そっか…」
「ただ日村さんには、俺がいなかったら出て左に、って言ったんで」
「じゃあ、運がよければってとこか」
「まあ、こんなもん引いてるようじゃ俺の運もたかが知れてますけど」
そう言って設楽は指先で鍵をつまみ上げる。苦笑する後輩に、何となく三村も眉をハの字型にしてへにゃりと笑った。
そして、彼は少し考えた後、真面目な顔をして口を開く。その表情に引きずられたのか、設楽も少し顔を引き締めた。
「設楽、お前も来るか?」
「いいんすか?」
「ん、ただ大竹と会った後はあいつの判断に任せる」
「大竹さんがオッケーなら…ってことっすよね」
「おう」
「じゃあ、ご一緒させてもらっていいっすか?」
「よし、じゃあ行くか」
「あっソレはちょっと待って下さい、家捜しがまだ終ってないんで」
「…って、まだすんのかよ!」
思わずいつものツッコミがひとつ出たところで、仕方なく三村は設楽の家捜しの手伝いを始める。
結局出てきたのはガムテープとスズランテープ、小屋の端の水場の下にあったいつの物かわからない小麦粉の袋のみだった。
一応全てデイパックの中に入れる設楽に多少呆れつつ、急げよ、と後輩の尻を叩いて小屋を後にする。
この緊張感のない後輩との出会いのおかげで、ウドの死に沈んだ三村の心は少しだけ浮上しつつあった。
二人が大竹の待つはずの防災用スピーカーにたどり着くまでには、まだしばらくかかりそうだ。
【さまぁ〜ず 三村マサカズ】
所持品:スリングショット(190/190)、鍵とキーホルダー・煙草(開封済)・ライター(私物)
第一行動方針:大竹と合流する
基本行動方針:生存
最終行動方針:できるだけ大勢が生き残る方法を探す・大竹と一蓮托生
現在位置:森の中
【バナナマン 設楽統】
所持品:車の鍵(スズキ)、ガムテープ、スズランテープ、小麦粉
第一行動方針:とりあえず三村と同行動
基本行動方針:日村と合流したい・プログラムには乗らない
最終行動方針:日村と合流できたら考えるつもり
現在位置:森の中
【8/15 17:07】
【投下番号:086】
438 :
名無しさん:2006/09/16(土) 03:28:42
乙!!
>>428-436 乙です!
書き手さん違うがガムテープキタ━(゚∀゚)━!とか思ってしまったwww
443 :
名無しさん:2006/09/16(土) 09:20:17
乙!!!!!!!!!!
>>418-422 乙! 本坊怖ぇー!行動方針が特殊だw
内臓黄色とか緑とかって…リアル…
>>428-436 乙! 俺もガムテープに反応してしまった…
>>412 パペマペ放棄されちゃった!?とか思ってましたがよかったー。
続き待ってます。
446 :
名無しさん:2006/09/16(土) 10:15:49
>>428-436 設楽ktkr!
イメージ的にマーダー化すると思ってたので、
脱出組に入るとは予想してなかった
続き楽しみにしてます
449 :
名無しさん:2006/09/16(土) 11:27:19
設楽がマーダー化したら誘拐コントの人質みたいになりそうだなw
信用させて利用して最後にズドン。
設楽がなるとしたらステルスマーダーかな
日村に叱られそうだw
452 :
374:2006/09/16(土) 12:53:57
>>381 遅レスだけど、麒麟書き手さんではないよ。
丁寧に答えてくれてありがとう。分かりやすかった。
352:名無しさん :2006/09/03(日) 22:42:47 [sage]
投下したければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
ガムテープが重要アイテムになってる流れにワラタ
脱出組は何人位まで集まるんだろ
設楽三村イイ!
この組み合わせ、いいね。
設楽、なんかいいね!
描写がそれっぽくて面白かったです
456 :
名無しさん:2006/09/16(土) 14:53:04
そうか?
うん!
設楽×三村良いwwww
このまま三村と逢えないまま大竹が死ぬのも切なくてよさげ
>>85-93 のつづき
……どうしよう。
声に出さずに、島田は己に問いかけた。
彼の目の前には、取っ組み合う二人…佐田と彼に両手首を掴まれて、何とか抵抗しつつも着実に両肘の関節を決められつつある
相方、赤岡の姿がある。
多少優勢にあった赤岡が、こうも劣勢に追いやられるようになった切っ掛けは、間違いなく島田の発した言葉だろう。
もっとも、島田とすればそう叫びでもしない限り、そのまま佐田を撲殺してしまいそうな雰囲気を赤岡に感じ、
それを相方として阻止したかったというのもあったのだけれども。
ほら。いくら自衛のためといってもそれで誰かを傷つけ、ましてや殺してしまったら。
その人はゲームに乗っているのと変わりないじゃないか。
『…人の嫌がる事は、自分がされて嫌な事はやっちゃいけないんだよ。』
幼い頃から、親や先生やいろんな人からそう教えられてきた。出来うる限り、その教えは守ってきたつもりだった。
心身共に大きくなって芸人になってもそれは変わらず、なるべく人を傷つけない笑いをやってきた、自負だけはある。
そのため、なるべく平和理に…穏便にこの場をやり過ごすにはどうすればいいか、島田は考える。
一番島田にとって安全なのは、赤岡をここに残して一人走り去る事だろうけども、それは最初から除外する事として。
長考する余裕もないまま一つの考えに行き着いた島田は奥歯をかみしめ、その華奢な足で思い切り大地を蹴ると
目の前の赤岡の背中に肩口から渾身の体当たりを仕掛けた。
佐田にとって運が悪かったのは、組み合った際の手応えで赤岡の実力を把握し、いくらか甘く見ていた事と
目の前の赤岡の長身で視界の大半を覆われたせいで、その後ろの島田の動きが見えなかった事。
赤岡にとって運が悪かったのは、島田が何の合図もなく己の目の届かぬ背後で動いた事。
不意に背中に何かがぶつかる強い衝撃が走り、玉突き衝突の原理で赤岡の身体も前へと弾かれる。
とはいえ彼の両腕は佐田によって固定されているため、エネルギーはかろうじて自由になる赤岡の頭部を前方へと振り下ろさせて。
華奢な赤岡の手首を掴む己の手に妙な強い手応えを覚え、佐田がいったい何だと本能的に感じるのとほぼ同時に。
迫ってきた赤岡の顔面が佐田の頭部を打ち付けていた。
ガツッ
「なっ………」
赤岡の側に意図した物があったなら、殺気とまではいかずともその気配を佐田も肌で感じて対応する事も出来ただろう。
しかし結果的に頭突きになった赤岡の動きは佐田の理解を外れており、張りつめていたその集中力を削ぎ、
何よりも己が目の前のモヤシのような喧嘩素人にパチキを喰らったという事実に、佐田はただ愕然とする。
「……っつ。」
一方の赤岡も、本来なら額などの堅い場所で行うべき頭突きを顔面でやらかしたせいで、
左腕はもちろん鼻は痛いわ頬に触れたリーゼントのふんわり感は気持ち悪いわで表情は引きつったまま。
ただ。
「だからぁ、喧嘩は…暴力は駄目って言ってるだろぉっ!」
地面に落ちた赤岡のマイクスタンドを拾い上げながら再び高らかに発せられる、現実味の欠片もない島田の叫びに。
この状況が彼が発端になったのだろう事だけは、かろうじて理解できた。
「…だ、そーだ。」
両の手首を拘束する佐田の力が抜けている隙にその手を振り解き、間合いからも飛び退くようにして逃れ。
頭突きの際に痛めた鼻から流れ、早くも口元を伝っていこうとする生暖かい液体を手の甲でぬぐいながら赤岡は短く告げた。
人の背中に体当たりするのは暴力とは言わないのだろうか、というツッコミが脳裏をかすめるが、まぁ助かったので不問にする事にする。
そもそも島田が馬鹿な事を言い出さなければもっとスムーズに行ったかもしれないというのももう一つ脇にのけておく事にして。
この相手とこれ以上やり合うのは危険、とそのまま島田と目配せをしてなおも相手から離れようと後ずさる、けれど。
呆然とした目で二人を見ていた佐田を包む気配がその時不意に急変した。
「貴様ら………殺すぞ。」
発せられるのは、今までのどこか余裕のあったそれとは異なる、丸い柔和そうな顔立ちとは相容れようがない冷たい声。
バッドボーイズ、そして佐田のウリでもある経歴の、それによって裏打ちされたプライドを傷つけられた男の本気がそこにはある。
ちらりと佐田が地面に視線を落とす、そこにあるのは先ほど手から取り落とされた己の拳銃。
拳銃と自分らを素早く交互に見る佐田の目は、バスケットの試合でパスのルートを探る選手のそれに似ているように赤岡には思えた。
ディフェンス側は選手の動きはもちろんの事、その視線をも考慮してゴールを…自分達の命を守らなければならない。
故に、中学生時代、そのルックスとプレー、ついでに根暗な気質をクールと勘違いされた幸運から
ファンクラブが出来た事もあるというかつての名バスケットボールプレイヤーが下した判断は。
「……走るよ!」
そう赤岡が言い放ったのと同時に佐田は地面の拳銃を拾うべく動き出す。
島田の反論がないのを確認し、背中が無防備になるのは覚悟の上で赤岡は佐田に背を向け、二人は走り出した。
「待てやぁ!」
整備されていない足場の悪い道に広いストライドを刻みだす二人の背後で、佐田の怒声とともに破裂音が響き渡る。
ダァン
一発は外れ、木の幹をえぐり。
「…………っ!」
続いて二発目の破裂音が響いた時、赤岡と併走する島田の姿勢が大きく揺らいだ。
まさか、弾丸が命中してしまったのか?
島田や赤岡の常人よりも皮下脂肪が薄く細い身体は、当たり判定こそ厳しいが一発貰えば恐ろしく脆い。
不安が一気に募るけれど足を止める訳にもいかず、走りながら赤岡が傍らを見やれば、島田の肩から下がっていたデイパックの紐が
弾丸が近くを掠めた拍子に切れてしまっていたようで。島田は地面に落ちたデイパックを拾おうと、足を止めて振り向こうとしている。
けれど、振り向いた先には銃を構えながら追いかけてくる佐田の姿がある筈で。
「拾うな、放っておけ!」
「でも……」
「良いから!」
赤岡は足を弛め、島田の握るマイクスタンドの先端を掴んで、島田ごと引っ張った。
序盤も序盤であるここで水や食料を失うのは惜しいけれど、命を落としてしまったらそもそもの意味がない。
未練がましく躊躇する島田だったが、三発目の銃声が聞こえれば身を強張らせて赤岡に従い、再び走り出す。
命の危機に脳内麻薬が全開になったのか、痛みや貧血によるふらつきも何のその。
スタート地点の学校の門の前を二人は走り抜け、そのまま森の中に踏み込んでいく。
やがて進路を西から北へ変え、追跡者の気配がなくなり、走りがスタミナ切れからいつしか歩みに変わっても。
鼻や腕の手当の時間をも惜しみ、何かに背後から急かされるように二人は進み続けていた。
しかし、彼らはまだ知らない。
小賢しい喧嘩素人にプライドを傷つけられた上に逃げ切られ、苛立ちが頂点に達した佐田が。
標的をちょうど建物から出たばかりで目の前の状況にポカンとしていたインスタントジョンソンの杉山とはんぺんに切り替え、
続いてぞろぞろと建物から追い出された鈴木の面々をも狙撃して。
島田が先ほど不安な心を癒して貰った、そして天野への伝言を預かった、あのウド鈴木の命を奪っていた事を。
【号泣 赤岡 典明
所持品:MP3プレイヤー マイクスタンド
状態:貧血気味・左腕に裂傷・右頬に軽い火傷・顔面に打撲(&鼻血)
基本行動方針:生存優先・ひたすら身を潜める・襲われたなら反撃もやむなし
第一行動方針:安全そうな場所まで逃げ延びる
最終行動方針:悔いのないようにするにはどうすればいいか思案中】
【号泣 島田 秀平
所持品:犬笛 (デイパック紛失)
状態:貧血気味・胃が痛い
基本行動方針:生存優先・理由はどうあれ暴力イクナイ
第一行動方針:安全そうな場所まで逃げ延びる
最終行動方針:考える余裕がない】
【バットボーイズ 佐田 正樹
所持品:S&W 40F SIGMA (40S&W口径弾 45/50)
状態:胸部と右腕と頭部に軽い打撲・プライド崩壊
基本行動方針:殺せる時に殺す
最終行動方針:不明】
【現在位置:H-7・学校周辺】
【15日13:57ごろ】
乙!
乙です
そりゃ佐田暴走するな…
>>463 乙!書き手同士で話し連携するってこのスレの醍醐味だ
臨場感もあって続きwktk
今日は荒らしいなくて居心地いーね^^
禿同!!!!!!!!
>>459-463 号泣の二人が佐田暴走の理由を知ったときの反応が気になります
続きwktk
471 :
名無しさん:2006/09/16(土) 21:52:32
ぁぅーむ ありがとう
ぁぅーむしたければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
おい、あげるなよ
いい雰囲気なんだから
474 :
名無しさん:2006/09/16(土) 22:36:21
ぁぅぁぅ
ぁぅーむとは?
いずれも名無しさんが書き込んだ「ぁぅ」と「うーむ」が合体して出てきたモンスター。
じゅもんを唱えられることからある程度は強いことがわかる。でも攻撃力はたったの5。
「投下したければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ」
という言葉に反応して出現。あらしと日々戦い続けている。
あらしの体力は?
477 :
名無しさん:2006/09/17(日) 01:29:54
シラネ
478 :
名無しさん:2006/09/17(日) 03:16:59
(´・ω・`)
前スレ
>>595-604 続き 長いです
拝啓 小林賢太郎様。
こんにちは、トップリードの新妻です。
夕焼けで伸びる影が長くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。まだまだ夏
は本番ですので体調管理には十分気をつけていただきたいものです。
さて、お互いに不都合な状況に巻き込まれてしまいましたが、そちらの様子はどうで
すか。こちらでは空から人が降ってきました。飛び散った血の花火は全ての始まりの合
図だったのです。
夕焼けで染まった空が、穏やかに焦げていくように夜に飲み込まれていく。フライン
グスタートをした星が消えた時点で、頭の天辺が畏縮して嫌な予感はした。第六感に任
せて体を後ろに引いた新妻の判断は正しかった。ジェットコースターよりも高速で角度
も急な塊が、目の前に落ちて拡散したのである。
イカロスの末裔さながらだった。相違点は羽根が生えていない背中位で、空から落ち
てきた者としては例外ない風貌であった。不幸にも顔が潰れてしまっており、ある程度
の歳を取っていること位しか推測出来ない。体はあちこち不自然な方向に曲がっており、
潰れた顔の周囲には血液と歯が飛び散っていた。妙に黒々した髪と汗染みで背中が透け
たシャツが印象的だ。
死体観察など悪趣味以外の何物でもない。気づいた新妻は首を振り、どこか遠くを眺
めようとした。しかし結局は死体を見るはめになってしまう。好きでやっているわけで
はない、それしか出来ないのだ。情けないことに、腰が抜けて動けなくなってしまって
いた。
「嘘だろ」
誰にも伝わらない独り言は酷く震えていた。無意識のうちに出てきた言葉は、新妻自
身の唇が酷く渇いていることを気づかせた。舌で舐めてから数回息を吸う。ついでに、
つまっているせいで嗅覚を失っている鼻を撫でる。
女子高生のような座り方から胡座に正し、コンクリート上に両手を置いた。そのまま
力を入れても視界が少し高くなるだけだ。いよいよ逃げられないことを知り眉を寄せる。
「嘘だろ」
全く同じ言葉を繰り返した。背負ったデイパックを体の前に移動し、縋るように抱え
ても安堵は訪れない。返り血で汚れたお気に入りのジーンズを目の当たりにした上、支
給された武器はお世辞にも当たりとは言えなかったからだ。
プラスチックの軽い音が聞こえる。ため息をついた新妻がデイパックに手を入れる。
探りを入れるように数回手を動かした後、支給品である三つの立方体をコンクリート上
に並べた。乱雑な色使いをしていて整合性はない。どれもこれも未完成。
立方体を一つだけ手に取った。完成させるためには手先だけでなく、腕、肩、上半身
全体を上手く使う必要があることを知っている。皮肉にも新妻は立方体の愛好家であっ
た。立方体を完成させる手順は姿は惑星づくりに似る。
体が動作を覚えているため三つ完成させるまでに大した時間は使わない。しかし止め
るタイミングを失い、完成したものを壊して更に完成させる手順を何回も繰り返した。
もとより新妻はプログラム内での目的を持っていなかったため、費やす時間はいくらで
もあった。
立方体から温かみを帯びた朱色が消えて、冷たい人工的な色に変化する。首の後ろに
淡い痛みを覚えた新妻が顔を上げれば、あれだけ広く広がっていた夕焼けが闇に飲み込
まれてしまっている。確認出来る光は浮かぶ半月といくつかの星、点々と続く街路灯だ
けだ。影は頭上にある街路灯の光のおかげで短く伸びていた。
新妻は、夜になっていることにすら気づかなかった自身に対して笑う。立方体は手だ
けで動かして空を見続けた。雲は点在しているが特有の重さは無い。恐らく明日は晴れだ。
目線を下ろした先にあるのは遊園地に適わない暗闇だった。普段はお色直しをするは
ずである観覧車ですら、月明かりでぼんやり見えるだけだ。普通は綺麗だったはずなの
に、場に適わない未練を持った。紛らわすために規則的に続く街路灯を眺める。灯籠流
しに見えないこともない。
「綺麗だな」
最大限の妥協で呟いた。ついで、頭の奥底で疼いている恐怖を忘れるために子どもの
頃を思いだした。遊園地に連れていかれたときは眠い目をこすって夜のパレードを楽し
みにしていたものだ。幻影でも構わないからやってこないかと、遠くに目を凝らす。
夜の闇が揺らいだ。空想に浸った頭を振って現実に戻れば、はっきり人影が確認でき
る。向こうも新妻に気づいているらしく、だんだん影が大きくなってきていた。肩に担
いだ何かが酷く重々しく印象強い。
新妻はコンクリート上で転がっている立方体をデイパックに隠した。立ち上がって逃
げる選択肢は選ばない。遠くにいる相手に攻撃の意志が感じられなかった上、急に逃げ
たせいで銃などによる遠距離攻撃をされたら最悪だと判断したためだ。お世辞にも最善
策とは言えないが動くのですらおっくうになっていた。
右手をデイパックの中に入れて隠すようにする。三つの立方体や僅かばかりの食糧、
水が入ったペットボトルを触感だけで確かめる。目を瞑って呟いた。
「俺は銃を持っている」
新妻には丸腰で相手と戦う度胸はない。しかし周囲に賞賛される演技力は持ち合わせ
ていた。マインドコントロールで自身に錯覚を植えつける。コントで登場する誇張した
ような人格ではなく、危機を冷静かつ無感情に乗り越える強さを。
「俺は銃を持っている」
複数回呟いて目を開いた。誰だか確認可能な位に相手が近づいていた。新妻にとって
はよく見知った相手だったが、見たことがない表情をしていた。深夜にやっていたコン
ト番組で共演してプライベートでも遊んだ仲であるにも関わらず他人に思えた。
相手の肩に置かれたウォーハンマーは月夜の下で黒々しく光っている。黒い服は赤と
青で乱雑に汚れてしまっていた。どちらの色が血液か、などと空想めいた混乱を誘うほ
どにだ。さしずめルシファー? 中田は確か人であったはずなのに。
「あっちゃんが殺したの?」
強気の演技を続けるために新妻から話しかけた。人より艶やかな髪ですら揺れないよ
うに震えを隠しきった。デイパックに隠れた右手を少し引いて、銃を持っているような
素振りで、殺傷力を相手に見せつける。誤解だけで戦うしかなかった。
中田が肩からウォーハンマーを下ろす。鎚とコンクリートが重なり低い音を作った。
「裁いたのは俺だ」
肯定として汲み取って良い台詞回しだった。渇いた唇を舐めた新妻は、嫌な予感を持っ
て中田の表情を読み始める。コント時に時たま見せる雰囲気に似ていたが、いつもより
更に意識が飛んでしまっている。
はっきり眉を寄せた新妻は小さく唸った。異常とされる現状況でも、中田なら冷静に
事を運ぶと予想していた。しかしどうだ、目の前にいるのは政府の陰謀に取り込まれた
哀れな人間である。新妻の人生でもトップレベルに頭がいい部類に入る中田ですら。
隠した右掌で立方体を転がした。特殊な形をした銃であるという錯覚を再度自身に植
えつける。しかし中田はいくら新妻が銃を持っているアクションをしても動じない上、
人殺しに戸惑いもないようだった。新妻の意志は揺らぐ、死ぬ覚悟はなく、作り上げる
には時間が足りなすぎるからだ。
錯覚が濁った以上、頼るべきは演技力だけになった。決して体は震えさせず、座った
ままで目つきを正し、二人の頭上にある街路灯を直視する。
まぶしくはなかった。しかし、お互いを認識するには十分な光だった。周囲を局所的
に丸く照らす姿はスポットライトに似る。光を浴びている二人も非日常に体を置いてい
るせいか役者のようである。新妻は目を閉じて、頭の中で唱えた。
これはコントだ。失敗は許されない舞台でのテイク1。
「俺に歯向かうか?」
たっぷりの間を使った中田がようやく口を開いた。普段は保たれている敬語が消え失
せていた。新妻は答える前に銃を持っている素振りを演じる。隠れた手で立方体を握り
しめて答えた。
「その必要があるなら」
中田は心底楽しそうに笑う。顔を上げて月でも星でもない何かを眺めた後に新妻と目
線を合わせた。赤く汚れた手でウォーハンマーの柄を握りしめたまま、確かめるように
顔を前に突き出す。
「神に歯向かうか?」
共通点がない疑問は新妻を混乱させた。直感だけで答える。
「それは無理」
中田は少しだけ目を見開き、馬鹿にするように鼻先であしらう。
「興味深い矛盾ではある」
嫌な低音で呟いた。何も持っていない左手で小さく頭を抱えている。中田が笑ってい
ることに気づいたのは、くぐもった小さな声が届いてきたからだった。新妻の額に冷や
汗が流れる、中田が見ていない内にシャツで拭う。
「フィロソフィーはあるか」
視線がかち合わないままで中田が尋ねた。新妻は慌てて相手に集中して質問の答えを
探す。しかしどれだけ時間があっても見つかりそうになかった。使われた単語の意味が
分からなかったからである。
答えを間違えたらウォーハンマーの餌食だろう。直感で答えるにはリスクが高すぎる。
結局は血迷って正直に告げた。
「わからない」
「イデオロギーは?」
「わからない」
「典型的な」
中田が軽蔑を浮かべた。新妻はただ戸惑うのみだった。中田が知的な会話をしたがっ
ているのは悟っていたから、単語の意味を尋ねたらあっと言う間に潰されてしまうだろ
うことも分かっていた。
勉強不足を後悔した新妻は頭を掻き毟り、頭の奥深くにある知識を引っ張りだした。
中田は中田で耳を触りながら深く何かを考え込んでいるようだった。奇妙な静寂がステ
ージを支配する。
「ならば」
中田が口を開く。無表情のまま数秒の間を作ってから続けた。
「お前にとっての神は?」
ようやく新妻にも理解できる質問が来た。滑稽なことに、新妻の頭は喜びで満たされ
た。置いていかれた会話は不安しか持てない上に、自らが酷く低レベルに思えてしまう
からだ。
しかし喜びも束の間、頭を小さく抱えてしまう。そもそも神様についてなど改めて考
えることもなく、真面目に話し合った記憶も無い。
「神様って何?」
緊張を紛らわすために逆に尋ねることにした。核心をつけるかもしれないという淡い
期待もあった。
「世界を手にする絶対的な存在」
起死回生の質問は新妻の首を絞めるだけで終わった。返ってきた小難しい答えは混乱
を増大させる効果しか持たない。いよいよ万事休すかと頭を振る。
新妻の頭に哲学者の名前が浮かんだ。哲学者が述べた言葉も覚えていた。上手く行け
ば質問を煙に巻けるかもしれない。忘れていた演技を再開した新妻は笑って捲し立てる。
「この世は嘘で作られた世界。なにも信じてはいけない世界」
急な饒舌に驚いたのか、中田が小さく目を開いた。しかし新妻は相手の表情を見ない
ままで続ける。
「ドイツの哲学者、ロルド=へウェングが言ってたよ」
知らない知識を出されて苛立ったのか、中田は強く眉を寄せる。しかしこの件に関し
ては無知を恥じる必要は無い、知っているはずがないからだ。ロルド=へウェングは新
妻が、自らのホームページで作り上げた架空の哲学者なのだから。
知識は人並みでも空想は得意な方である新妻からすれば、相手がすんなり嘘を信じて
くれたことは不幸中の幸いだった。話を無理やり持ってくるよりは、話を作って話し続
ける方が簡単だ。急回転し始めた思考をまとめて捲し立てる。
「嘘で作られたものって何があるかな? 俺ら芸人にとってはコント。じゃあコントを
作る人って全員神様?」
しっかり顔を上げた新妻は中田の表情を読んだ。怒りとも喜びともつかない無表情に
心臓が震えた。何かを諦めたような、人以外を見るような目つきをしている。
「多神論者に用はない」
一言で言い捨てられた。ウォーハンマーの鎚が地上から離れる。新妻の呼吸が一瞬だ
け止まるが頭の回転は更にスピードを増す。演技に入りきっているせいか手段としての
逃亡を忘れてしまっている。
恐らく中田は数多くの神様がいることが気に入らないのだろう、だとしたら一人具体
的に神様を上げればいいのか、コントを作る人が神様だというならば新妻にとっての神
様とは、新妻にとって大きな価値を持つコント作家とは誰だ。
「ラーメンズの小林さん!」
振り上げられたウォーハンマーが止まった。空を向いた鎚が半月と重なっていた。中
田は流れのままウォーハンマーを肩に置く。酷く眉を寄せて不機嫌になっていたが、生
き長らえたことに変わりはない。
小さく間が空いた。新妻は、いつの間にか荒くなっていた息を整えながら、次にすべ
き行動を考えていた。これまでにないほど集中した頭が告げる。自らの発言を踏まえ、
プログラム内ですべきことが固まった。震えを隠す必要がなくなった。
ラーメンズの小林は現在何をしているか、恐らく極限状態の中でもコントを作り続け
ているのだろう。自らが神様と讃えた存在に会いに行くべきだ。
勝手に確信した新妻は小さく頷く。新妻自身にも、コントを作らねばならないという
強迫観念が生まれる。目的が無かった新妻に取っては大きな進化であり、恐怖の海を越
える舟になり得た。
演技は円滑になる。小林だったらこうしている、勝手な推測が新妻の背中を押す。考
える時間ですら惜しくなり、直感に全ての行動を任す。デイパックに入った右手で立方
体を掴み、一呼吸を置いてから中田の顔に向かって投げ付けた。中田が手でそれを振り
払っているうちに立ち上がって逃げ、られない。
「嘘だろ」
何回目か分からない台詞を吐き出した。新妻は致命的な忘れ物をしていた。それが立
方体の完成に集中したせいか、演技に集中したせいかは分からないが、コンクリート上
に座り込むはめになった原因を忘れていたのである。
考えだけでどれだけ吠えようとも体は正直だった。一度恐怖に震えた体が持ち直すに
は相当の時間を要する。結論は、腰が抜けたままで立ち上がれないということ。
恐怖の海には溺れたままだった。新妻は自らのふがいなさに思い切り眉を寄せ、火事
場の馬鹿力は無いことを知った。目的を見付けたにも関わらず立ち上がれない弱さは、
新妻から演技の気力ですら奪う。残ったのはコンクリートに座り込む情けない人間一人。
傍らで果てた死体と自らの姿を重ねた。この時に初めて新妻は死を意識した。両手を
だらりと落とし、自嘲すらせず涙目になり顔を上げる。
予想していた光景は無かった。振り落とされるはずだったウォーハンマーは地上で休
み、殺意の塊であるはずの中田は興味深そうな目をしていた。その視線の先には新妻が
投げ付けた立方体がある。
中田は立方体を拾い上げ、六面に綺麗に揃っていた色を乱雑に混ぜ合わせる。その慣
れた指先にデジャヴを持った新妻はやっと思いだす。新妻が立方体、ルービックキュー
ブに囚われるきっかけを与えたのは、他でも無い中田だった。
ルービックキューブが中田の手から離れ宙を浮いた。光に照らされて小さな影を作り、
新妻の手の上に着地する。目を点にした新妻は手もとを一瞥し、疑問を浮かべた顔を上
げた。中田は無表情のまま顎をしゃくる。新妻は、完成させろ、という言葉を受け取っ
ていた。音になっていないにも関わらずだ。
完成させるためには手先だけでなく、腕、肩、上半身全体を上手く使う必要があるこ
とを知っている。皮肉にも新妻は中田よりも早くルービックキューブを完成させる術を
身に付けていた。一度完成させてしまえば崩すことも禁止されてしまうのだろう。完成
させる手順は世界づくりに似た。
目の前にある中田の足も、未だに転がっている死体やガラスも新妻の目には入らない。
無意識のうちに作り出した自分だけしかいないという錯覚の中、演技ですら忘れて集中
した。完成の先に生存の保証があるか確認していないのに。
今までにない早さで六面の色を揃えた。高らかに誇示すれば、無表情だが興味深そう
にしている中田の顔が目に入る。プログラムの前、何かに集中しているときに同じ顔を
していた。気づいた新妻は一つの疑問を浮かべる。
中田は正気を失っているのではなく、隠しているのではないか。
「神とは?」
先程と同じ質問を繰り返された。新妻は息を吸い、はっきりした声で答える。
「ラーメンズの小林さん」
中田がはっきり笑った。いつもの表情が消えて壊れたような笑みに変わった。新妻の
前にウォーハンマーを打ちつけて、ステッキのように行く手を遮った。質疑応答が続く。
「真実を知るためにはどうすればいい?」
「小林さんに会いに行く」
「神を知るためには?」
「小林さんと話さないと」
一つだけ中田の笑い声が零れた。そのまま左手で頭を抱えて呟く。
「ソクラテスを兼ねるわけか」
酷く愉快そうだが小さな声だった。どこかで聞いた名前に首を傾げた新妻に対し、中
田は歯を見せず笑って尋ねた。
「自分が無知であると知るためには?」
新妻には答えられない質問である。尋ねられた時点で答えを得たと捉えることも出来
るが、自分がどれほどまでの知識を持っているかは計り知れない。ルービックキューブ
を握りしめ、無意識のまま答える。
「わからない」
「なら、俺について来い」
中田は全てを許す存在のように笑った。
拝啓 小林賢太郎様。
こんにちは、トップリードの新妻です。
夕焼けで伸びる影が長くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。まだまだ夏
は本番ですので体調管理には十分気をつけていただきたいものです。
さて、お互いに不都合な状況に巻き込まれてしまいましたが、そちらの様子はどうで
すか。こちらでは空から人が降ってきました。飛び散った血の花火は全ての始まりの合
図だったのです。
今では狂っているかいないか分からない中途半端な人に気に入られてしまい、自由な
行動は取れそうにありません。恐らく最期を迎える時まで行動を共にすることになるの
でしょう。最初はうんざりしてしまいましたが、今では運命だと思って受け入れていま
す。
貴方はこのような状況でもコントを書き続けているのでしょうか。恐らくそうでしょ
う、僕も貴方を見習ってコントを作りたいと思っています。幸いネタに困ることはあり
ません。同行者をモデルにするつもりです。
お互いのコントが完成した暁には、プログラム内で会えるといいですね。
【トップリード新妻・オリエンタルラジオ中田 合流】
【トップリード 新妻悠太】
所持品:ルービックキューブ3個
状態:良好
第一行動方針:中田をモデルにしたコントを書き上げる
基本行動方針:出来るだけコント作成に集中する
最終行動方針:ラーメンズ小林との接触
【オリエンタルラジオ 中田敦彦】
所持品:ウォーハンマー、ラドムVIS-wz1935(自動拳銃)
状態:良好
第一行動方針:新妻に無知の知を教える(ラーメンズ小林との接触)
第二行動方針:サディズムを追求する
基本行動方針:相手により変化、必要ならば裁く
最終行動方針:世界を手に入れる
【現在位置:D-3・遊園地内の展望タワーふもと】
【8/15 20:12】
【投下番号:088】
以上です。前回感想くださった方、有り難うございました
中田編ktkr!
新妻が横に付いたかーw
ストーリーテラーってこういう事か!
中田目線は難しいだろうからどうするのかと思ってたけど
誰かと一緒に行動するとは思わなかったw
続き楽しみにしてます
きたー!!!
ありがとう!ありがとう!
中田編キター!!!!!
眠気が一辺に吹っ飛んだよ
やっぱりキャラの使い方が巧いなぁ
小林との接触期待wwww
>>479-
>>492 激しく乙。小説読んでいて背筋に電流走るなんて久々だ…w
今後の展開で、相方(藤森・和賀)との接触・合流はあるんだろうか?
あー!続きが楽しみで仕方ない!!
のんびり待っているので、執筆頑張って下さい。
藤森との接触は激しく気になる
しかし書き手さんが別っぽいからなぁ
どうなるんだろうな
中田編の人は相変わらず上手いな
499 :
名無しさん:2006/09/17(日) 05:47:04
早起きは三文の得だなw
出かける前にいいもの読めたよ
中田編の書き手さん、乙!
>火事場の馬鹿力は無いことを知った
この文章、ぐっときた
中田はこの世界にユートピアでも作る気なんだろうか?
武者小路実篤の新しき村みたいに
藤森と接触した時、どうなるんだろな
中田編の書き手ってピコラーらしいから
藤森って相方を鼻から計算してなさそうだね
ピコラーって何?
>空から人が降ってきました
ラピュタみたいw
もっとも、こっちは死体だけど・・・ガクブル
これって水道橋博士だよね?
今回も面白かった!毎回楽しみにしてます
509 :
名無しさん:2006/09/17(日) 06:57:39
>>507 中田ヲタの総称。芸人板から追い出され、難民板に住んでる
中田をネ申として拝んでる狂信的な宗教集団
「さすがネ申」「ピコルー(拝む時の言葉。キリスト教のアーメンみたいなの)」
「切なくて涙が出る」等が合言葉。中田の小説を教典にしてる
夜な夜なミサを開いては、中田について語り合ってる
1000取り時にはいつも中田の詩を朗読してる。いつも1000をとるのはゲイだと噂される通称1000氏
最近は、もろたあああ!と張り切ってる割に毎度早漏なもろたあ君も頑張っている
近況は、中田の誕生日を指折り数えて心待ちにしている状況。一言で言うと基地外集団
何回か乗り込んでアンチ活動したが、教祖を貶されると顔を真っ赤にして噛み付いてくる。大漁
しかし、あまりの盲目殉教者ぶりに、自爆テロでも起こされると困るから今はヲチだけにしてる
>>507 504じゃないが、狂信的な中田信者の事。
藤森の事をあまり良い目で見てないらしい。
変人スレの過去ログとか見ればわかる。
中田書き手には悪いが、ここでは中田とっとと死んで欲しいと思うよ
ついにオリラジアンチに嗅ぎつけられたみたいだね・・・
中田書き手さんも藤森書き手さんも気にせず執筆頑張って下さい
続き楽しみにしてます
中田編心待ちにしてました。お疲れ様!!興奮しましたよ。
次回も期待してます!
中田編ktkr
新妻が付くとは思ってなかった!
いい意味で期待を裏切るってこういう事か
中田編乙でした
ラーメンズ小林の行く末が気になる…
516 :
名無しさん:2006/09/17(日) 10:13:11
つまらん
中田編乙です!
中田編乙!描写がもの凄いです。
逃げるチャンスなのに立てなかったシーンはゾッとした。
中田編ktkr!!乙!!
520 :
名無しさん:2006/09/17(日) 11:21:05
秋田
521 :
名無しさん:2006/09/17(日) 14:09:56
つまらん
中田編いいなぁ
次も楽しみだ
なんで小林?
よくわからん繋がりだな
新妻はラーメンズの大ファン。
豊かに生い茂る木々の緑と対照的に落ち葉に滴り落ちる血の赤が映える。
久馬はまたも木に登って、スコープで目の前にそびえ立つホテルを眺めていた。
高層階は角度の関係で全く見えないが、久馬の位置からはギリギリ2階の内部が見渡せる。死体のほかには窓も扉もなく、まさに建築途中。
死体の他には、と冷静に判断してしまった自分に久馬は苦笑した。スコープは迸る感情をも遮断してしまうのだろうか。
そして打ちっ放しのコンクリートは直接触れた体温を容赦なく奪うのだろうと推測した。
もし重傷になったとしてもここに運んでも休息は出来ないことを察すると、久馬はスコープから目を外し、
後方にあるはずの病院の方向を見やった。
元々は白かったであろう壁は雨水で薄汚れて一種廃墟のような面持ちを醸し出している。
辿りつけてもそのまま命を失う者、負傷者を狙って潜伏する殺人者…。
あそこは沢山の芸人の死地になるのだろうと心を痛めた。
目を瞑ってこれから、もしかしたらもう出ているかもしれない犠牲者を思って思考の海に沈む。
首を振って陰鬱な気分を振り払うと、胸ポケットからメガネを取り出して掛けてみた。
ふとホテルに視線を戻すと、3階の角部屋にちらっと人影が見えた気がする。
しばらくその場を動かずにその窓を見ていると、外を用心深く伺う人影が見えた。
灰色のスーツに青いネクタイ。更に付け加えるのであれば異様過ぎるほどに太すぎる太股。
「ゴエや・・・」
間違いない。幸運すぎる奇縁に、久馬は悪戯な神の存在を疑った。
「俺俺、俺やって。あ、オレオレ詐欺やないで?」
「・・・分かってますよ」
浅越が先程の失敗から学んで、陣取った3階角部屋。
しかしいきなり後ろから掛けられた声に、浅越が背筋の凍る思いをしながら急いで振り返る。
と、そこに居たのはプラン9のリーダーである久馬であった。
思い切り脱力して、構えていた吹き矢の筒を下ろす。汗と冷汗とが混じって背中に張り付くワイシャツの感触が気持ち悪い。
「何してるんですか」
浅越の目の前では、声をかけた側の久馬が降伏したかのようにライフルを右手で握り締めながら両手を上げていた。
ライフルを手に持っているにも拘らず、弱気なのかなんなのか。いやボケやろ突っ込まんとこ、と決心する。
「こっちの科白やで。何ビクビクしとん?」
「何でもないですよ・・・」
バトルロワイヤルの最中だというのに、いつも通り飄々とした雰囲気の久馬に溜息を吐いた。
「武器はライフルですか?」
「使ってへんけどな」
あっさり頷くと久馬はまるでそれが当然であるかのようにライフルを投げ渡す。浅越は銃口に鼻を近付けてみると確かに硝煙の臭いはない。
「どうやってここまで来たんですか?」
「普通に。相方に最期に会いたいしそこ退いてくれへんかー?て言うただけでほとんどの人が退いてくれたで」
「それだけ!?じゃあそのほとんどじゃない人たちに会ったときはどうしてたんですか?」
え?と惚けたあと、突然狂ったようぶ満面の笑みを浮かべて常軌を逸したかの如く目を爛々と輝かせ息を速くし、浅越に狙いを定めた。
演技と分かっていても迫力である。それどころか演技と分かっていなければ浅越でも逃げたくなる。
確かに、確かにそれなら無事にここまで辿り着けたのも分かるが。
「久馬さん狂ったって評判たちますよ…」
浅越の呆れたという雰囲気に、久馬はニヤリと笑いを浮かべた。ここではささやかな疑いが巡り巡って
どのように伝わるか分からないのに、と余裕そうな久馬に冷たい視線を送る。
「最初から話して分からん奴なんやからどんな評判たっとっても恐ないやろ」
「猫かぶる人もいると思いますけどね」
久馬は聞こえないかのように反論をさらりと流すと、それよりも、と窓際に立って外の一点を指し示した。
「あれは何や?」
久馬は窓の外にある死体を、スコープで見るまでもなく一瞥しただけで木部と分かったようだった。
話の流れ的に久馬は今気付いたのだろうが、えらくそれにしては落ち着いた雰囲気に、浅越は訝しがる。
だがその疑問を口に出す前に、久馬は話を続けた。
「最初から気にはなっとったんや。何でゴエは武器を2つ持っとるんやろうって。
しかも木部は…首が半分割れとる。勢いよく鋭くて重さのある刃物押し当てられたみたいにな。ちょうど…その斧みたいな武器や」
久馬が浅越を振り返ると、デイパックの上に無造作に置かれていたハンドアックスを指し示す。
メガネ越しの瞳が浅越に問い掛けている内容は一つだけだった。
オマエガ殺シタンカ?
冷たい怒りが身体の中に注ぎ込まれるような寒気を覚え、逆光で久馬の細かい表情が読み取れないことがその寒気を増大させる、
そう感じるのが適切なんだろうな、と浅越は頭の中で考えた。冷たい空気を醸し出す久馬を見慣れていないはずなのに、感情が全く揺さぶられない。
「僕は殺してません。ここの2階に死体があるんですが、その知らない芸人が殺しました。経緯は知りませんけど」
いつもの口調で浅越が告げると、元々柳谷を通じて交流のある2人である、そしてその死体の存在も久馬は知っていた。
そもそも疑っている訳でもなかったのかそうか、とだけ呟くと息を吐く。
「2階の死体はゴエが殺ったん?」
「はい」
否定をするつもりもない。久馬はそれ以上追及しなかったが、追及されても納得させられるだけの理由が浅越にはあった。
その結果彼の水と食料も奪っているが、それも浅越は責められる程のことではないと思っている。
そこまで考えて、浅越は草臥れたように笑った。
「全く罪悪感が湧かないんですよ。さっきの状況ならバトルロワイヤルの舞台じゃなくても正当防衛が成り立つから、って思ってしまって。狂っちゃってるんですかね」
人を殺す罪。その人の家庭を壊す罪。友人を失わせる罪。人一人の存在を失わせるだけで多くの罪が形成されていく。
だがその罪の一つですら、罪の意識を持たない罪。浅越はその全ての罪を背負っていた。
しかし。
「それは仕方ないんとちゃう?」
経緯も状況も死体が誰なのかも何も知らない久馬だが、それでも浅越の懺悔のような言葉を全て認めるかの如く即答する。
吐き捨てるような言葉に意外なほど温かみのある返答をされたのが想定外だったのか、浅越は落としていた視線を上げた。
「仕方ないで。狂っとるのは今日この日やし、この国全体や」
まるで許しを与えるかの如く浅越に微笑みかける。だが恥しくなったのかすぐに表情を戻すと久馬はまた窓の外を眺める。
浅越は胸につかえていた重石が少し軽くなったような感じがして、小さく胸のうちで久馬に一礼をした。
「鈴木、マシンガン持っとったで」
突然変えられた話題に一瞬ついていけなくなり、追いついたところでそのような話題を振った久馬に違和感を感じた。
いや、その前にもっと違和感を感じるべきところがある。
「何でそんなこと知ってるのに合流してないんですか」
「やってすぐに走っていってしもうたんやもん」
わざとらしく頬を膨らませる久馬に浅越はやれやれと座り込む。
いくら合流方法…狼煙を一番最後である柳谷にあげてもらうという古典的な方法だ、その上で合流地点を「狼煙の北300m地点」と伝えている…
があったとしても確実とはいえない以上、走っていったら追いかけるのが当然だろう、と伝えようとして諦めた。
体力のなさならプランの中でもダントツである。世話のかかるリーダーだと浅越が改めて確認すると、久馬は先程の話の続きを始めた。
「もし、鈴木が撃ってきたらどうするんや?やり返すん?それとも大人しく殺されるんか?」
「何でそんなこと聞くんですか?」
開始当初、一番悩んでいた事。メンバーには口が裂けてもいえないその悩みを見透かされたようで、浅越は小さく項垂れた。
「台本書いててん。最後にゴエと鈴木の直接対決入れたろうかと思っとってな」
「・・・どこまでネタ考えるの好きなんですか」
呆れた。今度こそ心底呆れた。そして久馬は題材に死を扱うことは全く抵抗がない人間ではあるが、ここまでとは。
「久馬さんだったらどうするんですか?」
溜息交じりで、少し動揺しているのがバレないように。
「大人しく殺されるんやないかな」
遠い目で。ほとんど同い年であるにも関わらず何処か年輪を感じさせるのは実質6年以上違う芸人経験の差なのだろうか。
それでお前はどないや、と語りかけてくるような目にかわせないな、と覚悟して考え始める。
・・・考えて、結論が出なかった。
「有り得ないですよ、どんな状況であろうと。鈴木さんが銃口向けてくるなんて」
質問から逃げる訳ではなく、そうとしか考えられない。浅越は確信を持っていた言葉だったが、久馬は緩く首を振った。
「分からんでそんなん。俺やって人見殺しにするんやからな」
奥に宿る深淵を見せられるような。深い哀しみと諦めを湛えた瞳が浅越を見つめている。
それまで知った事実、実際に目の前で起こった惨劇。それをぽつぽつと語る久馬に、漂う厭世的な雰囲気の正体が見えた気がした。
「久馬さんショック受けて暗くなってるだけじゃないですか。
岡さんを救えなかったから、自分のせいだと思って悩んでるだけじゃないですか。
鈴木さんが久馬さんを撃つなんてこと本当に有り得ると思ってるんですか!?」
今までの月日を侮辱されたように感じて、段々言葉にも熱が篭ってくる。
優しい人だというのは今までの付き合いで分かりすぎるほど分かっていたが、傷付き紛れに絆を馬鹿にされたような。
鈴木が久馬を尊敬しているのは傍目からも分かり易すぎるほどに分かり易いことだ。
相手が久馬でなければ滅多に出さない拳でも出したくなるような。
久馬もいつもと違う浅越の剣幕に言ってはいけないことを言ったと痛感したようだった。
「ゴメンやで。………うん。そうやな、そうやろな」
一人ごちて納得するような。その様子に浅越の怒りも少しずつ萎んでいく。
「…誰だって気が立ってるんですからボケも程々にして下さい」
この時はそう、思っていた。本当に、微塵も疑ってなどいなかった。
"Tomorrow never knows"後藤が歌い、灘儀が痛感した明日など分からない、という言葉はこの2人にとっても例外ではなかったのだ。
【ザ・プラン9 浅越ゴエ
所持品: 吹き矢(矢9/10) 救急セット
第一行動方針:プラン全員で合流
第二行動方針:そろそろ合流時間ちゃうかな?
基本行動方針:生存最優先
最終行動方針:考えないようにしている】
【ザ・プラン9 お〜い!久馬
所持品: M24ライフル 5.56ライフル弾(30/30) ネタ帳
第一行動方針:プラン全員で合流
第二行動方針:ネタ集め
基本行動方針:流されるままに
最終行動方針:バトルロワイヤルを題材にした脚本を書きあげる】
【現在位置:建設途中のオーシャンビューホテル】
【8/15 16:14】
【投下番号:89】
何でプラン9編の続き書いてるの?
?
浅越より岡のほうが後輩だから、「岡さん」と呼ぶことはないのでは?
マジで下降気味だね
538 :
名無しさん:2006/09/17(日) 17:30:53
つまらん
>>538 「まずい!もう一杯!」の青汁じいちゃんを思い出した
?
乙です!
542 :
名無しさん:2006/09/17(日) 18:01:29
おつ
前スレ
>>614-617の続き
歩き始めてかなり時間が経ったはずだが、木々が途切れる様子は一向にない。
目の前の草をバットで薙ぎ払いながら、大悟は森の中を進んでいた。
生まれ育った環境のおかげで野山を歩くのはそんなに苦ではないが、日もだいぶ傾いている。
森の中で夜を迎えるのだけは避けたかった。
あれから誰にも遭遇していない。
出発前に、ノブに「ここの近くで待っててくれ」と言ったのだが、一通り探しても見つけることはできなかった。
何者かに襲われて逃げ回っているのかもしれない。
もしそうならうまいこと逃げ切っていることを願うしかできなかった。
木々が途切れた。
短い草が一面に生えた平地が目の前に広がる。歩いていくと、砂場や池もあった。どうやらゴルフ場らしい。
しばらくして建物が見えた。
一晩過ごすいい場所を見つけた、と近づこうとして、ふと足を止める。
先客がいるのではないか。
参加する気のない芸人なら頼めば入れてもらえるかもしれない。
しかし、このゲームに乗った芸人だったら。
そのときは退散するまでだが、相手が銃や刃物を持っていたらとてもバットでは太刀打ちできない。うまく逃げ切れるかどうか。
(まあ、そん時はそん時じゃ)
あっさりと悩むのをやめ、大悟は建物に近づいていった。
あと数十mというところで、中で人影が動いたのが見えた。大悟はバットを握る手に少し力を込め、足を止めずに近づく。
その人影は一度見えなくなったかと思ったら、なんと戸を開けて外に出てきた。さすがに大悟も足を止める。
見覚えがあった。
「大悟さんですか?」
その声を聞いて、大悟の表情が明るくなった。
「功太やん」
探していた仲間の一人、親しい後輩と再会できた喜びで、大悟はバットを持った手を大きく振りながら駆け寄った。
中山功太が苦笑いを浮かべて出迎える。
「無事やったんですね。入ってください。……一人ですか?」
相方の事を聞いているのだろう。大悟は表情を少し曇らせる。
「まだ、会うてねえ」
功太は、そうですか、とだけ言って、大悟を招きいれた。
建物の中はロビーのようになっていて、立派な応接家具があった。
大悟はさっそく一人がけのソファに座る。今まで歩いていた分の疲れが一気に押し寄せてきたみたいで、大きく息をついた。
ずっと握ったままだったバットをディパックとともに横に置いて、ふと気づいた。
「お前、武器はどうしたん? 持っとらんでええんか?」
功太は何も持たないまま姿を見せた。いくら相手が親しい人間でも無用心過ぎないだろうか。
大悟が尋ねると、功太はまた苦笑いを浮かべた。
「武器言うても、入ってたのこれですからねえ」
そう言って、功太がディパックから取り出したのは、いつも大喜利で使うフリップ程の大きさのホワイトボードだった。黒、赤、青のマーカーのキャップにはご丁寧にマグネットとフェルトもついている。
それを見た大悟も、功太と同じ表情になる。
「こらあ、ちいとつらいなあ」
「どないせえっちゅうんですかね」
「弾除けには、ならんか?」
「どうですかねえ」
功太は拳でホワイトボードを叩いてみる。薄い音がした。
「ネゴと合流したら、何か描いてもらいましょか」
「それ、ええなあ」
大悟は自分に負けないくらいきつい訛りでしゃべる、絵の上手い後輩を思い浮かべる。
無事なんだろうか。早く会いたい。
イイヨイイヨー
「出発前に、ちゃんと話しとくんやった」
ホワイトボードを戻しながら言った功太に、大悟は頷きを返した。
下手に動くと兵士に銃口を向けられるため、仲間の様子はちゃんと確認できなかった。それでも集合したいことくらいは伝えられたのではと思う。
「哲夫さんと俺、連続やったから、何か話しとけば待っててもらえたかもしれないんですよね」
「ああ、そうやったの。なんじゃあの人功太待っとらんかったんか」
「まあ、何も打ち合わせとかせんかったですしね。でも、出発前になんか西田さんに言うてたように見えたんですけど」
「ほんまか?」
合流したい旨を伝えたと考えてほぼ間違いないだろう。少し安心した。
「そういや、大悟さんも山里と名前近いですよね。あいつ待ってたりせんかったですか?」
功太が何気なく挙げた名前に、大悟は過剰に反応した。
懸命に表情を消そうとしているような大悟を、功太はいぶかしげに見る。
「……別れた」
「え?」
一瞬、言葉の意味がよくわからなかった。しかし、何か不穏なものを功太は感じた。
「どういうことですか?」と功太が訊こうと思ったそのとき、
不自然なほどに軽快な音が鳴り響いた。
その後、ビートたけしの声が聞こえてくる。これまでに死んだ者の名を発表する、と。
二人は黙ったままそれを聞いた。
一緒の舞台に立っていた芸人の名が何人も読み上げられたが、言葉を挟むこともできないまま、放送は終わった。
「もう、そんなに……」
死んだ、とは続けられなかった。
舞台や楽屋での元気な姿しか思い出せないのに、そう言ってしまうと彼らの死を受け入れてしまうことになりそうだった。
受け入れなけばならないのだろうけれど、功太にはまだ出来そうになかった。
「あいつ、ドッキリや言い出しよってな」
不意に大悟が話し出した。
何のことかと思ったが、すぐに放送前の話の続きだと功太は気付いた。
「なんや一人で騒ぎ出したら、リモコンみたいの向けられて、そしたら、隣の和田さんの首輪がピーピー言い出しよって」
唐突に出てきた和田の名前だが、功太はすぐにさっきの放送を思い出した。和田の名前も読み上げられていた。
大悟が抑揚のない声で話す。
「そんで、首輪、爆発した」
功太は思わず自分の首輪を両手で押さえていた。
「手元狂たやて。ふざけとるわ」
そう吐き捨て、大悟は目を閉じた。
その瞬間を思い出したのだと功太は感付いた。すでに親しい者の死を見ている大悟にかける言葉が見つからない。
「そんで、学校出てすぐ山里に声掛けられたけど、置いてきた」
そして少し顔を下げ、大悟は弱い声でつぶやいた。
「わしが止めてやりゃあよかったんかなあ」
そしたらわしの首が飛んどったかもしれんけどな。
引きつった笑みを浮かべてそう続けた大悟に、功太は絶望の気配を感じた。
「やめてください」
だから強い口調でそう言っていた。
「今更何言うても、もうどうにもなりませんやん。あいつも、もうわかってるんと違いますか」
無責任な物言いだとは思った。だが、和田の死のきっかけを作った山里も、その山里を見捨てた大悟も責める気にはなれなかった。
責めるべきは、このバトルロワイアルという異常な状況だ。
大悟にはこの状況に負けないで欲しい。功太はその願いのために言葉を選んだ。
「次あいつに会うたときにどうするか考えましょ。今日はもう、休んでください」
大悟は小さく頷くと、ソファに体を預けた。
「腹減ったのう」
微かに笑って大悟が言った。その表情を見て功太も安心から笑みがこぼれる。
「そうですね」
二人はそれぞれにディパックを引き寄せた。
さっきはああ言ったが、実際に会ったとき自分は山里を許せるのか。
功太自身まだ答えは出せなかった。
【千鳥大悟・中山功太 合流】
【千鳥 大悟
所持品:煙草 ライター 木製バット
第一行動方針:ノブと仲間を探す
基本行動方針:自分から攻撃はしない 襲われれば反撃
最終行動方針:できるだけ多くの仲間と生き残る】
【中山功太
所持品:ホワイトボード 専用マーカー(黒・赤・青)
第一行動方針:仲間を探す
基本行動方針:大悟についていく 戦いは極力避ける
最終行動方針:まだわからない】
【現在位置:D-7・ゴルフ場のクラブハウス】
【8/15 18:03】
【投下番号:090】
551 :
名無しさん:2006/09/17(日) 19:14:55
大悟ってどっち?
ワシには分からん、アホじゃけえ
>>551 泥棒っぽい方
地蔵みたいに影が薄いのがノブ
ハゲの方?
坊主頭の方
プラン編、大悟編乙!!
プラン編好きだな〜。
558 :
名無しさん:2006/09/17(日) 20:11:32
541 名前:名無しさん 投稿日: 2006/09/17(日) 19:59:23
私も就活だし書いてるの終わったら放棄しようかな・・・
1年後もスレ残ってるかもしれないし。放棄して他の人が続けてくれるならそれでも嬉しいし
格好良く死んでくれればもうどうでもいいや
559 :
名無しさん:2006/09/17(日) 20:12:07
つまらん
投下ラッシュうれしい
けど自分の話の進まなさに焦る…
>>558 こんな調子で次々飽きて、また企画倒れになるんだろうな
私も就活だし書いてるの終わったら放棄しようかな・・・
1年後もスレ残ってるかもしれないし。放棄して他の人が続けてくれるならそれでも嬉しいし
格好良く死んでくれればもうどうでもいいや
コウタン (^ω^*)
功太は芸風的に狂いそうなタイプだけど
落ち着いてるのが良い意味で意外。
続きが楽しみだ。
どうでもいいって('A`)
同人小説なんてそんなもんだろ
書きたいところ、美味しいところだけちょっとつまんであとはポイ
ヒドス
また荒れるのか(´・ω・`)
あーあ
いちいち気にしてちゃ進まないぞ
書き手さんガンガレー
>>571 頑張れっつっても、今あれこれ言われてる奴はもうどうでもいいと思ってんだろw
まあ別に金貰ってるわけじゃなし嫌になったらやめりゃいいとは思うけどさあ、
>>558みたいな言い方だと、就職活動で仕方なく投下断念した人まで
あんまり良くないイメージ付いちゃうよな。
あれ、偽善者っぽかったかな、スマソ
>>574フォローありがとう。言葉が足りなくてすまんかった
遅くなりましたが、パペマペ投下します。
短いうえ、前々スレの何番か忘れちゃって、申し訳ないorz
とんだ遠回りをしてしまった。
ようやく辿り着いた、集落。
家々の並ぶそのエリアに着いたパペットマペットは、疲れと、そして安堵から、大きく息をついた。
少し身を屈めて息をついたものだから、左手にはめたかえるのマペットと、目が合った。
そのマペットの目に陽光が反射すると共に、けたけたと、頭の中でかえるくんが笑い出す。
「ばかだね、ばかだね。コンパスの北と南を間違えちゃうなんて」と。
そう。遠回りの原因は、それだ。
パペットマペット自身は冷静でいるつもりだったが、頭のどこかでは冷静さを欠いていたらしく、コンパスの北と南を間違えて認識したまま歩いていたのだ。
何とか途中で間違いに気がついて、正しい方角に進むことができたが…あのまま進んでいたら島の端まで歩いていたかもしれない。
しかし、これ以上の遠回りだとかハプニングだとかはないだろう。…ない筈だ。
家の中にいれば、プログラムに乗り気な芸人に襲われても、壁だとかドアで攻撃を防ぐことができる。
家具の陰や押入れに隠れて、相手に見つからずにやり過ごすこともできる。
もし相手に見つかって、襲われても…一般家庭にはあるだろう、包丁やハサミやカッターなどを使って応戦することもできる。
それに、食料と水も調達できるだろう。
これは重要だ。
どんなに強い武器があっても、食料と水がなければ、最後の一人になる前に飢え死にしてしまうのだから。
パペットマペットは、ゆっくりと、家の一つに近づいた。
先客がいるかもしれないという不安?
当然、感じてるさ。
だからほら、左手に草刈鎌を持って、万が一のために備えてあるだろ?
それが、かえるくんの声なのか、うしくんの声なのか、自分の声なのか…彼にはわからなかった。
そして、右手で握ったドアノブが冷たいか熱いかも、うしのマペットに阻まれてよくわからなかった。
唯一わかったのは、開いたドアの、軋んだ音だけだった。
【パペットマペット
所持品:マペット2体(うし、かえる)、草刈鎌
基本行動方針:生き残る。ただし、積極的なプログラムへの参加はしない。襲われたら反撃をし、後は隠れたり威嚇のみ。
第一行動方針:民家に隠れる。
最終行動方針:生き残る。
現在位置:I-6 民家の前】
投下番号:90
投下番号ミスった…90じゃなくて91です。
580 :
名無しさん:2006/09/17(日) 21:39:04
お前の書く話つまらんよ
乙です。
待ってましたよ。
パペマペ編乙です!
続きがほんと気になる
パペマペ編待ってました!
他の芸人と絡むとどうなるか気になるw
夜中に会ったら怖いよなーパペマペ
>>577-578 乙!パペマペはただでさえ書くのが難しいのに上手く設定を活かしていてすげえ
周りは気にせず自分のペースで書いてって下さい
586 :
名無しさん:2006/09/17(日) 22:04:41
つまらん
587 :
名無しさん:2006/09/17(日) 22:23:14
ぁぅーむ、助けて〜。
みんなageないでね
589 :
名無しさん:2006/09/17(日) 22:34:29
パペットマペット編が1番糞
うしくんとかえるくんはパペットじゃないの?
591 :
名無しさん:2006/09/17(日) 22:45:09
パペマペ編ってアンチがつくほどの人気ですげえなあ
あたしも好きです、ガンバレー
sageてね
ぁぅーむ が あらわれた
パペマペ編つまらん
おまいらはどのシリーズが好きよ
俺はさまぁ〜ずとラーメンズとオリラジ藤森
>>595 何気にパペマペ編
マペットの使い方がイイと思う
そして中田編
あの場面に水道橋博士を持ってくるセンスがツボ
597 :
名無しさん:2006/09/17(日) 23:19:04
中田編とパペマペ編が非常につまらないです
中田、ラーメンズ、パペマペ、号泣編かな
さまぁ〜ずら脱出組にも期待
菊地の行く末が気になるんだが誰か本格的に拾ってくれんか
600
どれもいいけど、1番はプラン編かな。
5人もいるのに上手くキャラ書き分け出来てるし。
オリラジ藤森はすごくリアルに感じた
大泣きした後にケロッと作戦立てて、
笑顔で訪問者迎えたと思ったら躊躇なく殺しやがったw
それが藤森っぽくてうすら怖いww
>>602 藤森のことは良く知らないが、その辺り今時の若者っぽいなあと思ったw
実は河本編を待ち続けている
とりあえず今いちばん待ち遠しいのは井戸田編
女芸人があまり出てないね
書く人いないのか
607 :
名無しさん:2006/09/17(日) 23:45:03
きもい
女が書いてるんだから女は活躍しないんじゃね?
森三中を書きたいが自分ガイル
芸人書き途中だから取りかかれないけど
2002年版ではクワオハのどっちかがレイプされたりとかあったけどな
じゃね?って気持ち悪い
放棄された芸人の話の続き、誰か書いてくれないかな〜
放棄されてる芸人わりと多いな
使用表みるとよく分かる
じゃね?って気持ち悪い
中田編書いてる人はこなれた感じがするな
安定感があって読みやすい
ただ俺はオリラジに関する知識がほとんどないので
どんどん中田のイメージがおかしくなってきているw
617 :
名無しさん:2006/09/18(月) 00:40:14
中田のやつ書いてる奴ってピコラー?
新妻のHPまでチェックしてるのにはびっくりした
新妻って誰ですか?
中田編の人は資料探しが好きなんだろ
ソクラテスのくだりとか
トップリード?初めて聞いた
コウタとダイゴ、それっぽくてよかった!
続き楽しみ。
書き手さん乙です!
ソクラテスのくだりくらいは別に調べんでも書ける範囲の知識だと思うが
>>313-314の続き
虫の声が涼しげに真夏の夜空に響く。
数時間の浅い眠りのあと、片桐は今立と見張りを交代していた。
沢山の夢が浮かんだが、全て乳児期の記憶のように彼方に飛び去ってしまっていた。
寝不足で痛む頭を振り、片桐は大きくあくびをする。いっそこのまま寝てしまおうか。どうせ死にはしないさ。
そこまで考えて、寝ている間に殺されるかもしれない状況にあることをやっと彼は思い出す。
夜寝たら、必ず次の朝には目覚める。それが当たり前だと思っていた。
その当前が、今は全く当然ではなくなっている。片桐はか細い心臓を抱える病者の姿を思い浮かべた。
「俺、死ぬのかなぁ…」
声に出して見ても全く実感はわかない。
手首の脈を取ってみる。生きている。体は丈夫である。
頭は痛むけれど、ひどい疾患などもない。もじゃもじゃの髪の毛もただの個性であり、異常ではない。
今までは事故か生活習慣から来る突然死くらいしか、彼を脅かしていなかった。
まさか誰かに殺されて一生を終えるなんて、夢にも思っていなかった。
(もしも俺が死んだら)
片桐は冷たい土の中で蝉の幼虫のように眠る自分を想像する。
沢山の虫たちが彼の体をついばみ、排泄し、土に返していく。そして陶器よりも白い骨だけが土中に残る。
「えー…俺、ずっとこの島にいなきゃいけない訳?やだなぁ」
本土からどれだけ離れているのだろう。こんな島に未来永劫自分の骨がうずまっているのか。
この島と本土をつなぐものは海だけだ。
(海か)
海ならいいかもしれない。ちょうどこの頭も海草に似ている。
ふわふわと海の中を漂い、かわいいクマノミが自分の頭の中に巣をつくる。
お父さんとお母さんと小さな子供。それはちょうど彼の家族に似ていた。
「うん。海だ。海にしよう」
海ならば、子供がいつでも会いに来られる。自分は海に溶けて、海流に乗って世界を巡る。
太朗は海を見るたびに父親のことを思い出すことができる。妻もまた夫のことを思うことができる。
(再婚して…幸せになってほしいけどね)
今、彼女らはどんな気持ちなのだろう。息子は自分の死をいつ理解するだろう。
そして実家の両親や姉は、どのような顔をしてニュースを見るのだろう。
(あ、実家海なし県だ)
そんなどうでもいいことにまで神経が行ってしまうのは、きっと自分の死を実感しきれないからなのだろう。
人間が死を受け入れることは出来ない。出来ないから人は神にすがる。
「賢太郎、コントの神様は俺たちを助けてくれるの?」
片桐のつぶやきと、草を踏みしめる音が重なった。
ただの風だと思った。だが、確かに誰かがこちらに近づいてくる。さくさくと、草が規則的に踏みしめられる。
誰なんだろう?片桐の心臓が硬くなる。マーライオンでどうすればいいんだ?オーストラリアに連れて行ってくれ。
「……誰?」
悪い目を暗闇の中でじっと凝らす。暗い中、顔までは確認できない。
しかし特徴的なヘアスタイルが風に揺られ、それが相手の正体をあらわにする。
「やつい!」
一気に片桐の緊張が解ける。隣でうるさそうに寝返りを打つ今立をたたき起こして谷井の元に駆け寄る。
「おー、生きてた生きてた!良かった!」
「心配したんだぞ!いやー…良かった…」
相方だったり親友だったりする相手の生存に2人の心は躍った。
気づいても良かったかもしれない。やついの歩く速度が遅いことに。
同じ速度で駆け寄ってくるのが自然な反応であるだろうということを、喜びのあまり2人は失念していた。
暗闇、安堵。盲目になっても仕方ない状況ではある。
谷井の腕が動く。軽い破裂音とともに、片桐の体が不自然に跳ねるのを今立は見た。
「ピストルなら今でもポケットの中にあるから」
やついの口から軽い旋律の歌が流れる。ずっと昔にはやった、谷井が今でも好きだといっていた歌手の歌だ。
今立は何が起こったかわからなかった。しかし、暗中でも硝煙の煙の白さだけは浮き上がって見える。
「仁!おい、どうした!?」
体をゆすると、片桐が微かにうめき声を上げる。どうなっているのか、今立は頭が着いていかない。
谷井は無表情に片桐と今立を見下ろしている。口からは途切れ途切れに歌が流れる。
「髪を切るさ、バスルームで一人きり大暴れ」
東の空の藍色が少しずつ薄くなってくる。やかましい蝉たちが、競うように声を張り上げる。
黒一色の世界に、色が戻る。真っ黒の山に緑が、空に涼しい青色が。
海面から顔を出す太陽は、水面に金の道を作った。
目にしみる光に照らされて、今立は片桐の腹を染める血の赤さに愕然とする。
「ピストルなら今でもポケットの中にあるから」
次に銃口が突きつけられたのは今立だった。
【ラーメンズ 片桐仁
所持品:マーライオン
第一行動方針:賢太郎を探す
基本行動方針:賢太郎の言う事を聞く
最終行動方針:海で死ぬ
現在位置:広場】
【エレキコミック 今立進
所持品:スタンガン
第一行動方針:片桐の保護
基本行動方針:仲間を集めて協力する
最終行動方針:ゲームの終了
現在位置:広場】
【エレキコミック 谷井一郎
所持品:ピストル
第一行動方針:片桐、今立の殺害
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明
現在位置:広場】
【8/16 03:00〜04:00頃】
【投下番号92】
628 :
名無しさん:2006/09/18(月) 01:36:01
乙!!!!!!!!
629 :
名無しさん:2006/09/18(月) 01:38:12
トップリード知らない人が芸人板にいるんだなあ
ちょっと、じゃなくてかなりビックリ
ラーヲタウザス
マーダーやついは怖いぜ
まず顔が怖い
633 :
名無しさん:2006/09/18(月) 02:09:17
顔かい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
>>625-627 乙!
谷井…。
片桐はどうなったのか、今立はどうするのか。
続きがすごい気になる…!
>>632 暗闇にもじゃもじゃと影が浮かび
時折きらりと前歯が光る
こーえーw
636 :
名無しさん:2006/09/18(月) 02:22:17
初めて見させていただきました。
乙っ!すっごく面白かとです!
637 :
名無しさん:2006/09/18(月) 02:26:13
おっつー
どうして「sage進行」という言葉が理解できないのだろう
テンプレが読めないのかな
↑悪意ないと思うけど、sageてね。
片桐は小林賢太郎に会えないのかな…
カワイソス
>>509 >>510 ピコラーって何?と聞いた者です。
ありがd!
自分の好きな芸人スレしか見てないからわからなかった。
642 :
名無しさん:2006/09/18(月) 06:18:20
645 :
名無しさん:2006/09/18(月) 09:58:20
おつ!
646 :
名無しさん:2006/09/18(月) 10:16:36
586 名前:名無しさん 投稿日:2006/09/09(土) 21:14:38
折角、投下したのに叩かれたorz
あのスレもう駄目ぽ
649 :
名無しさん:2006/09/18(月) 12:10:06
ラーヲタウザス(´・ω・`)
エレカタってなに??エレキコミックとラーメンズ片桐なんとからしいんだけど
ラーメンズってコンビ??ならなんでエレカタなんてトリオみたいになってんの??
シラネ
653 :
名無しさん:2006/09/18(月) 12:37:00
>>652 釣られてるw
m9(^Д^)プギャー
(´・ω・`)
キンコメ高橋投下。
あたりはもう暗くなってきており、森の中は特に見えにくかった。
目的は見つけたし、今後のプランも決まってはいる。
小沢の死体を見つけたあとは鈴木を殺した人間を殺す。
そこまで決まっている、が。小沢の件も鈴木の件も、手がかり一つない。
このまま小沢の死体を探すのは酷く危険だ。
「(誰かまともな人に出会えたら、何処に死体があるのか知っているか聞いてみよう。
…まともでなかったら――殺してしまえば良い。)」
ニヤリと微笑む。高橋の精神は、人を一人殺したこともあってか高揚していた。
もう一人、殺したいなぁ。そう言わんばかりに肉が、骨が、高橋自身が。
誰かの、血を。求めていた。
高橋はピタリと足を止める。
――誰かの気配が、する。
神経が酷く研ぎ澄まされているためか、気配を感じることが出来た。
しかも背後からだ。殺気は感じられない。尾けられていた可能性が高い。
「(不覚)」
チッ、と小さく舌打をして、背後を睨む。
攻撃を仕掛けてこないということは、銃ではないということだろう。
歩行のスピードはそこまで速くない。狙おうと思えば狙える筈だ。
だとしたら、剣・ヌンチャクなどの中距離・接近戦用…。
もしくは補助ツール、はたまたハズレか。
とりあえずこの距離からの攻撃は不可能ということだ。
立ち止まっている今でも攻撃してこないし、近づいても来ない。
ハズレか補助ツールの線が濃厚になってきた。
デイパックのチャックを素早く開けて、武器を取り出そうと思って右手をいれようとした瞬間であった。
「止まって下さい。」
背後から声がした。聞き覚えのある声だが、思い出せない。
「両手をあげて。」
「…俺を狙っているんですかね。」
「いえ。僕の武器はハズレの部類なので。ちょっと聞きたいことがあるだけですよ。」
高橋は素直に両手をあげた。
この声の主は冷静だ。恐らく頭のいい人間だと思う。
攻撃を仕掛ければ勝てる自信はある、が。
無闇に人を殺したくない。そんな気持ちが心のどこかにまだ残っていたのだろう。
襲ってきたら殺せばいい、そういった結論に達したのだった。
(甘い考えだ、とビートたけしは言うのかもしれないが。)
高橋は口を開く。
「後ろを向いてもいいですか?念のため。」
「構いませんよ。ですが、背後から襲われるかもしれませんが、それでも?」
「大丈夫ですよ、その時はその時で。」
「…そうですか。ならどうぞ。」
クルリと声のするほうを向いた。
木の陰に隠れているのか、姿は見えない。
なかなか尾けるのが上手いな。小さく呟いた。
ガサリと音がして、茂みから足が出る。身長は低いようだ。
そこから出てきたのは、
「はじめまして。高橋健一君。」
石井 正則(アリtoキリギリス)であった。
彼に動揺した様子はなく、声色通り冷静で。ニッコリと微笑んで紳士的に挨拶をする余裕までもがあるようであった。
「…はじめまして。武器を見せてくださいませんか。」
高橋は警戒心を解かなかった。失礼だ、と捉えられる可能性はあるが仕方ない。
何せ殺し合いという状況下である。疑うなというほうが難しい。
「ええ。…疑い深いですね。」
この状況下、いい傾向ではありますが。石井は言う。
石井は頭の良い人間である。綿密に練られたコントは、何度も見た。勉強になった。
ハズレ武器と自分で言うくらいだ。襲われた際の手立ては何か考えているのだろう。念には念を。用心しておくに越したことはない。
高橋は両手をあげたまま、石井が武器を取り出すのを待っていた。
ああ、ありました。小さく言って、取り出したのは。割り箸で出来た小学生がよく遊ぶ鉄砲だった。
「これで…どうやって人を殺せばいいのか、教えて欲しいですね。」
「なるほど。では、何故俺を呼び止めたのですか?武器を奪うなら、呼び止める必要もないでしょう?聞きたいこととは、何ですか?」
その武器なら人を殺せるはずがないと、石井自身が言ったばかりだ。
「呼び止めた理由は聞きたいことがあるからです。武器を奪う気はありません。聞きたいこととは、僕の相方を知らないか、という事です。」
石井の相方。石塚。石塚義之。番号が近い上に、石井が先に呼ばれた筈だ。
何故合流できていないのだろうか?その疑問を高橋の表情から汲み取ったのか、石井は苦笑して口を開いた。
「合流する場所は決まっていたんですがね。小一時間待っても誰も来なかったので。」
「…いや、知りません。俺も質問させていいですか?」
「どうぞ?」
少し躊躇ったが、二、三深呼吸して、口を開く。
「小沢さんの…小沢一敬さんの、死体を見ていませんか?」
石井は少し目を見開いて、視線を逸らす。
唇をギュッとかんでいた。
「、見たんですね。何処に、いるか教えて下さい。お願いします。」
「…学校付近の茂みのなかで、恐らく彼の支給武器でしょう。刺身包丁を、胸につき立てて、ッ、亡くなっていました。」
「……有難うございました。では。また会えたらいいですね。」
本心ではない。出来れば会いたくは、ない。
高橋は逃げるようにして走り去った。
心のどこかで、皆そう簡単には死なないって思ってた。
母さんが自殺したときだってそうだ。
まだ、まだ大丈夫だって何処かで信じていた。
でもそんなことはない。
人は簡単に狂うし、簡単に死ぬ。
小沢さんや、鈴木さんみたいに。人は簡単に死ぬ。
ブルッと身を震わせた。今更ながら、人の脆さとこのゲームの残酷さを知る。
気配を察知するのはやめた。ただ、走るのに必死だった。
ガサリガサリと音を立てて森の中を走る。ただ、走る。
高橋自身らしくないことはわかっていた。でも彼の死をこの目で確かめたくて。
自分の足とは思えないほど、速く走れていた。
暫く進むと、彼の足らしきものがぼんやりと見える。
Gパン、靴。確かに両方彼のものだ。
急いで彼の顔であることを確かめるために、高橋は加速する。
茂みの中に入った。
そこに横たわっていたのは、高橋が探していたもので。
一番見つけたくは無かったものだった。
【キングオブコメディ 高橋 健一
所持品:煙草(開封済み)・ライター・眼鏡・使い捨てコンタクトレンズ(使用中)
FNブローニング・ハイパワー(12/13)・控え銃弾(39発)
シグ・ザウエル P230・九ミリショート(2/7)・控え銃弾(21発)
第一行動方針:襲ってきた奴は殺す
第二行動方針:小沢の死体をさがし、彼が本当に死んだか確かめる。
確かめたあとは鈴木を殺した人間を探して殺す。
基本行動方針:とりあえず頑張ってみる
最終行動方針:優勝 】
【現在位置:森】
【08/15 18:49】
【投下番号 093】
すいません、アリキリ石井のデータを忘れていました。
【アリtoキリギリス 石井 正則
所持品:割り箸鉄砲 その他不明
第一行動方針:相方を探す
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明】
660 :
名無しさん:2006/09/18(月) 14:21:01
つまらん
なんだか、ひどく眠い。
どうやら、周りにいる人達の声で目が覚めたようだが、まだ目を開けていないので、
今の僕がどういう状況の中にいるのかは、まるで分からない。
ただ、何故かは知らないが、今まで床に横たわって眠っていた…という事だけは、肌に伝わる
固い木のような感触で理解できた。
周りの声はなぜか、やたらとざわついている。
そして、聞き覚えのある声が多いと感じた。……芸人達…なのか?
そこまで考えて、大変な事に気付いた。たしか今日は、番組の収録じゃなかったか?
確か、『秋の改変期に合わせたネタ特番』だと聞いている。
まさか、寝過ごしたわけじゃ無いだろうな。
周りに他の芸人達がいる、ということは、少なくとも楽屋までは無事に辿り着いたという事だ。
僕が起きないからって騒いでる…なんて事はありえないよな。
いくら最近、睡眠時間が不規則とはいえ、さすがに起こされても気付かないはずは無いだろう。
しかもこんな騒ぎになるまで。
少しヒヤヒヤしたが、そのおかげで早めに頭は覚醒してきた。
とにかく今の現状を確認するため、なんとか目を開ける。
その目に映った光景は、予測通りの木製の床。後は……学校にあるような机や椅子。
そして、何人かの芸人達。
さっきまでの僕と同じように寝ている人もいれば、起きて何だか混乱しているような人もいる。
とりあえず、僕だけが寝過ごしたわけじゃないと確信できて良かった。
こんな若手のために、先輩達に迷惑をかけるわけにはいかない。
それにしても、おかしくないか?確か眠る前は皆、楽屋にいたはずなのに、今いる所は…教室?
記憶を辿ってみると、楽屋では僕より先に眠っていた人もけっこういた。
いや、僕が寝た後に目を覚ました人もいるだろうけど、眠ったままの状態の人達が、
こんなにたくさん違う場所に移動しているのは、どう考えてもおかしい。
一瞬、大掛かりなドッキリかとも思ったが、それにしては不自然な点が多すぎる。
一度にあんな大勢の芸人が眠るような状態なんて、人為的でないと作り出せない。
…という事は、使ったのはおそらく催眠ガスだ。
そんな物を使ったドッキリなんて、ちょっとテレビじゃ流し辛いんじゃないか?
…となると思いつくのは一つしか無い。いや、あれは中学生を対象としたものだから、
まさかとは思うけれど。
催眠ガス、大勢の人、教室という場所。そして…首に感じる違和感。
ここまで揃うと、そうとしか思えなくなってくる。
まだ上手く動かない体を無理やり起こして、周りの様子を眺めてみた。
さっきの体勢では見えなかった物が、いろいろ視界に飛び込んでくる。
例えば、芸人達の首で銀色に光る首輪とか、教卓の傍にいる兵士とか、大量のデイパックとか。
ああ、確定だな。直感だけどそう思った。まだ、『何で僕達なのか』という疑問は残るけど。
そんな事を考えていたら、教室のドアが開き、ビートたけしさんが入ってきた。
少し、心臓が苦しくなる。
普通の状態なら、この動悸は大物芸人に対する緊張のせいなんだろうけど、今は全く違う。
予測していた事が、直感抜きで確信に変わったからだ。
その後、たけしさんは皆の様子を無視して、話し出した。
いや、この場合は『先生』って呼んだ方がいいのかな。
話の内容はだいたい想像通りだった。
唯一の疑問についても説明してもらったが、第50回だから芸人で行うというのは、どうにも
納得できなかった。
じゃあ、100回だったらアーティストとか、150回だったら俳優とかで行うんだろうか。
そんな事したら、この国にとってもだいぶ経済損失になりそうなんだけど、もしかしたら
この『プログラム』を放送して、DVDや書籍を出せば、元が取れるくらいなのかな。
人の争う様子は、全くの部外者なら、けっこう楽しい物なのかもしれない。
もちろん、人によるだろうけど、そうで無くても人が頑張っている様子を見て、
まるでスポーツや、格闘技観戦の気分で見る人だっているだろう。
一般人を見ていてもそう感じるんだから、芸能人なら尚更だ。
昔から、このBR法という法律はよく知っている。
もともと政治・経済には関心がある方だったため、自分が中学を卒業した後もずっと、
ニュースはもちろん、いろんな裏情報までチェックしていた。
この法律が是か非かは、僕には断定できない。
何が正しいとか、何が間違いとか、この世の中に絶対的な答えなんて無い。
その時の状況にもよるだろうし。
ちなみに昨日の僕は、冷蔵庫の裏から奇妙な物音を感じて、BR法よりは、まずゴキブリの
いない世の中になってほしいと思っていた。
そのついでに、ゴキブリは生きたまま食べると死ぬらしい、というBR法とは全く関係無い
裏情報を思い出して、『誰か試す人いないかなぁ』なんて事まで考えていた。
僕自身は、ちょっと現実逃避して、その冷蔵庫を確かめようとすらしてないんだけど。
ちょっと例えが変だが、人ってけっこう、こういうもんだと思う。
同じ『死』でも、その対象が自分なのか、周囲の人間なのか、無関係の人間なのかによって、
感じる事は大幅に変わってくる。
多くの人が心の中で、このBR法に反抗している様子なのは、自分や関係者が関わる可能性が
あるからじゃないのか?反対活動をして殺された人のニュースを何度か見たが、その人達は
もし、このBR法が自分と全く関係ない人達がやるものでも、同じようにしたんだろうか?
一応法律として成立している以上、政府にも何かの考えはあるだろう。
独裁国家だから、その考えがまともな物かどうかは別にして。
とはいえ、今は自分達が当事者だから、そんな事は言ってられない。
人がもめているのを見るのは嫌いじゃないが、自分が絡んでると複雑な気分だ。
先生はきっと、監視カメラで皆の様子をチェックして楽しむつもりなんだろう。
大体想像はつく。まったくふざけやがって………
正直ちょっとだけ羨ましい、とか思ってしまった。
とはいえ、決して今、先生と同じ立場になりたいわけじゃない。
だって『プログラム』に参加させられているのが、僕と仲が良い人や、憧れている人だらけ
なんだから。第一、もしなりたくても、なれるもんじゃないし。
そう考えると、先生に対して無性に腹が立ってきた。
絶対に楽しませたくない。思惑通りには動いてやらない。
さて、そのためには、どういう風に行動するのがベストかな。
名前のあいうえお順で呼ばれるんだから、飛永との差はけっこうありそうだ。
今野さんとは割と近いかもしれないけど、たぶん合流は難しいだろう。
どこでいつ合流するか、伝える手段がなければ、たとえ10分程度の差でも、会える保障はない。
それに、自分の『本当にやりたい事』をする時、誰かがいると難しいかもしれないし。
最初から、誰かと合流するなんて考えない方がいい。
その時、ふと、昔書いたアンケートの事を思い出した。
その中には、メッセージという項目があり、そこに僕が書いた答えは、
『僕はブロークンキャラです。いろんな物をこわします。気をつけてください』
というものだった。
もしかしたら、この『プログラム』では、それが現実のものになるかもしれないな。
「45番、大水洋介」
そんな事を考えていたら、ちょうど名前が呼ばれた。
とりあえず、わざとゆっくりと立ち上がって、兵士の所に歩いて行き、ディパックを受け取った。
そして一言。
「それじゃあ行ってきます」
まったく緊張感の無い口調だった。たぶん、普段のコントの時以上に。
その様子に、目の前の兵士と、周りにいた数人の芸人が呆れているのが分かった。
これでいい。僕の狙い通りだ。
そう、僕はブロークンキャラだから。この際、ちょっと破壊してみようと思ったんだ。
その最初の対象は、この『プログラム』の緊張感なんだけど。
【ラバーガール 大水洋介】
所持品:未確認
第一行動方針:緊張感の無い行動を取る
基本行動方針:先生の思惑に、一番逆らえる事が何かを考える
最終行動方針:先生の思惑に、一番逆らえる事を実行する
【現在位置:校舎内】
【8/15 12:45】
NEXコーラウマー
671 :
670:2006/09/18(月) 14:37:08
誤爆 スマソ
誤爆したければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
676 :
名無しさん:2006/09/18(月) 14:42:10
たくさん投下されてウレシス
え?何で、いたずら?
686 :
名無しさん:2006/09/18(月) 15:46:04
いたずらはいやずら
>>683 したらばのコピペだよ
廃棄スレに意見もとめた人のを勝手にコピペしたみたい。
何?話が見えない
>>691 したらばの廃棄スレに書き手さんが投下する→他の書き手さんに感想をもらう
→荒らしがしたらばにやってくる→本スレにコピペして混乱を招く
で?
それがどーした?
だからー
>>661-667 は正式な書き手のものではなくて
荒らしが勝手に落としたものだってことだよ。
名前欄見なよ。
見分けつくでしょ。
荒らしが落としたものに乙とか書くなよ。
読み手がこんなのだから
荒らしが調子乗るんだよ
書き手はトリップつけることになってるんだよ。
本人だったらトリップ付けるだろ
すいません、トリップって何ですか?
まじ初心者多すぎ。何もわからないのに感想だけつけないように。
簡単に言うと
名前にこういうの→◆◇付いてる人だよ。
本人しか使えないし
正式に発行されたものなんだ。
だから、荒らしを助長しないためにも以下を厳守。
1、トリップのついたもの以外にはレスしない
2、sageろ
>>701 何マジレスしてんだよ
初心者に見せかけた荒らしだろ
何でお前が仕切るんだよ
だめだ ここ
まあまあ
ぁうーむ が あらわれた!
708 :
名無しさん:2006/09/18(月) 20:24:02
自治厨うざい
おめーがうざいよ
ageんな
710 :
名無しさん:2006/09/18(月) 20:42:51
だから上げてる奴に構うなって
711 :
名無しさん:2006/09/18(月) 20:46:37
712 :
名無しさん:2006/09/18(月) 20:50:49
上げてる奴は構わないで下さい
713 :
名無しさん:2006/09/18(月) 20:52:49
714 :
名無しさん:2006/09/18(月) 21:25:31
菊地さんもうすぐ死んじゃうのか?
周りの声なんて耳に入らないだろうから誰かと行動を共にはしないだろうけど、
もったいないとも思ってしまう。
もっと出てくるかと思ったけど、難しいのかな。
716 :
名無しさん:2006/09/18(月) 21:32:11
328 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/18(月) 21:31:23
バトロワスレはよく釣れるなあ
(´゚д゚`)
初心者はまずROMれ
話はそれからだ
722 :
名無しさん:2006/09/18(月) 22:52:12
(^ヮ^)はい!
(´・ω・`)
先生、初心者はROMすらわかんないです
ROMる、とは、書き込みしないで読み続けること
ぁぅーむって何すか?
分からなかったら調べようと言う気がまったく沸かないのが不思議だよ
ぁぅーむ は 正義の味方だよ。
ザコ敵だが
早く投下しないかな
ワクワク
笑い飯、投下します。
ぶつりという音を最後にスピーカーは何も言わなくなった。
気がつけばすっかり短くなってしまった煙草を座っている岩に押し付けて、笑い飯西田はため息をついた。
随分とまた、人が死んだなあ。
挙げられていた名前の中にはよく知った者も、親しかった者もいた。
西田ももういくつか死体を見ているため、殺し合いが始まっているのはわかっているつもりだが、その死体と彼らがうまく結び付けられない。
ふと、すぐそばで同じく岩に座っている哲夫が何かをつぶやいているのに気づいた。
どうやら般若心経らしい。名前の上がった芸人を弔うつもりなのだろう。
西田はそれに付き合って、死んだ者に黙祷を捧げた。
読経が止み、どちらからともなく煙草に火をつける。
「あいつら、誰かに殺されてもうたんかな」
哲夫が口を開いた。そちらに向けた顔をすぐに戻して、西田は答えた。
「たぶんな」
「死にたないて、思っとったんやろうな」
「そうやろな」
「なあ」
西田が再び哲夫に目線をやった。
「俺死にたないねん」
漫才のフリの時によくする表情と声で、哲夫が言った。
そのフリになんて返すんやったっけ。
西田の頭にそんな考えが一瞬浮かぶが、今はそんな状況ではないことを思い出す。
「そんなん、俺かて死にたないわ」
「せやろ。けど最後まで生きてられんのって一人やんか」
教室にいた時、あちこちで相談する声が聞こえていた。
ともに行動する仲間が欲しいと思うのは自然なことだ。
しかし、その仲間と最後まで勝ち残ることはできないのに、と西田は誰ともそんな話し合いをする気にはなれなかった。哲夫もそんな様子だったように思う。
だから、哲夫が出発の直前「西に行こう思うねん」と西田に告げたのは意外だった。
「西って何やねん」
結局、哲夫と同じく西を目指し、哲夫を見つけたとき、西田は開口一番こう言った。
見つけるのにかなりの時間がかかったため、その適当な伝言のことで文句を言いたかったのだが、
哲夫は「方角やん。北を向いたときの左側」などと屁理屈を言い出した。
「そんなん訊いてんちゃうわ! 合流したいんならもっと具体的に言えや」
「誰も合流したいなんて言うてへんやん。俺は行きたい方角言うただけやもん」
「そんなら『西に行こう思うてるけどお前は好きなほうに行ってええよ。合流したいわけやなくてただ行きたい方向言うときたかっただけです』て言えや」
「そんなん言う暇あるか、ボケ!」
と、一通り言い争った後、ディパックの中身を確認して互いの武器を馬鹿にし合い、そんな調子で歩いていたら森を抜けていた。
今は一緒にいるが、最終的に生き残るのは一人。少なくともどちらかは死ぬ。
哲夫に言われなくても、過去のプログラムの結果を見れば明らかなことだ。
「それでな、考えてんけど、」
そう哲夫が言い出したことはあまりに突拍子がなく、西田を絶句させた。
だが、話を聞いていくうちに、その考えに乗ってみようかをいう思いが生まれてきた。
自分がこの島でどうやっていけばよいのか、方向性を定める方法としては悪くない。
しばらく考えた末、西田は哲夫の提案に乗ることを告げた。
「よっしゃ」
煙草を押し消すと、二人はそれぞれディパックをあさりだした。
「ほんまにしょっぼいなー。そんなんで人刺せるかい」
「うっさいわ。お前のなんてただの文具やんけ」
「お前のやって文具やろ」
「俺のがましじゃ」
「俺のの方がましじゃ」
それぞれに武器を手にすると、おもむろに顔を見合わせた。
「正々堂々」
「恨みっこなしな」
二人ほぼ同時に立ち上がると、少しずつ距離を取っていく。
先程まで微塵もなかった緊張感が二人の間に漂いはじめていた。
ちょっと、やってみようや。殺し合い。
俺が襲い掛かるから、そしたらお前は反撃せえや。
お前が攻撃してきたら俺も反撃するから。
ほんまに死にたないんやったら、いつかは人を殺さなあかん時がくる。
少なくとも俺らのうちどっちかは死ななあかんのやろ?
どっちかがどっちかを殺すことになるかもしれへんやん。
いつかやるんなら、今やってもええんちゃうか。
お前が勝っても文句は言わん。いや、言うかなー、……まあ、なるべく言わんようにするわ。
なあ、死にたないんやろ? せやったら本気で戦って、生き残るほうを決めようや。
「「うらあ!!」」
雄叫びを上げ、二人は武器を振りかざして相手に飛び掛った。
【笑い飯 哲夫
所持品:ペーパーナイフ 煙草 ライター
基本行動方針:生存優先
第一行動方針:西田を倒す
最終行動方針:生き残りたい】
【笑い飯 西田幸治
所持品:千枚通し 煙草 ライター
基本行動方針:生存優先
第一行動方針:哲夫を倒す
最終行動方針:生き残りたい】
【現在位置:G-1・岩場近くの開けたところ】
【08/15 18:10】
【投下番号 094】
735 :
名無しさん:2006/09/19(火) 07:26:55
736 :
名無しさん:2006/09/19(火) 07:29:45
朝から投下乙
737 :
名無しさん:2006/09/19(火) 08:09:05
乙です!!!!!!!
738 :
名無しさん:2006/09/19(火) 10:03:05
乙wwwww
コンビ同士の対決いいなぁw
しかも笑い飯ってのがなんとも!
やつらが本気でやるのか、はたまたもみくちゃになるのか…つづき楽しみです!
740 :
名無しさん:2006/09/19(火) 12:07:34
イイヨイイヨー
741 :
名無しさん:2006/09/19(火) 13:08:34
乙です!
乙乙うるせーよ
チャプチャプうるせえよ
飯ファンだが
西田は逃げそうじゃないか?
受けて立つとはちょっと違和感
とりあえず半年ROMろう!
お前もな
お前もな
乙です
752 :
名無しさん:2006/09/19(火) 23:00:28
ラバーガール大水、投下します。
なんだか、ひどく眠い。
どうやら、周りにいる人達の声で目が覚めたようだが、まだ目を開けていないので、
今の僕がどういう状況の中にいるのかは、まるで分からない。
ただ、何故かは知らないが、今まで床に横たわって眠っていた…という事だけは、肌に伝わる
固い木のような感触で理解できた。
周りの声はなぜか、やたらとざわついている。
そして、聞き覚えのある声が多いと感じた。……芸人達…なのか?
そこまで考えて、大変な事に気付いた。たしか今日は、番組の収録じゃなかったか?
確か、『秋の改変期に合わせたネタ特番』だと聞いている。
まさか、寝過ごしたわけじゃ無いだろうな。
周りに他の芸人達がいる、ということは、少なくとも楽屋までは無事に辿り着いたという事だ。
僕が起きないからって騒いでる…なんて事はありえないよな。
いくら最近、睡眠時間が不規則とはいえ、さすがに起こされても気付かないはずは無いだろう。
しかもこんな騒ぎになるまで。
少しヒヤヒヤしたが、そのおかげで早めに頭は覚醒してきた。
とにかく今の現状を確認するため、なんとか目を開ける。
その目に映った光景は、予測通りの木製の床。後は……学校にあるような机や椅子。
そして、何人かの芸人達。
さっきまでの僕と同じように寝ている人もいれば、起きて何だか混乱しているような人もいる。
とりあえず、僕だけが寝過ごしたわけじゃないと確信できて良かった。
こんな若手のために、先輩達に迷惑をかけるわけにはいかない。
それにしても、おかしくないか?確か眠る前は皆、楽屋にいたはずなのに、今いる所は…教室?
記憶を辿ってみると、楽屋では僕より先に眠っていた人もけっこういた。
いや、僕が寝た後に目を覚ました人もいるだろうけど、眠ったままの状態の人達が、
こんなにたくさん違う場所に移動しているのは、どう考えてもおかしい。
一瞬、大掛かりなドッキリかとも思ったが、それにしては不自然な点が多すぎる。
一度にあんな大勢の芸人が眠るような状態なんて、人為的でないと作り出せない。
…という事は、使ったのはおそらく催眠ガスだ。
そんな物を使ったドッキリなんて、ちょっとテレビじゃ流し辛いんじゃないか?
…となると思いつくのは一つしか無い。いや、あれは中学生を対象としたものだから、
まさかとは思うけれど。
催眠ガス、大勢の人、教室という場所。そして…首に感じる違和感。
ここまで揃うと、そうとしか思えなくなってくる。
まだ上手く動かない体を無理やり起こして、周りの様子を眺めてみた。
さっきの体勢では見えなかった物が、いろいろ視界に飛び込んでくる。
例えば、芸人達の首で銀色に光る首輪とか、教卓の傍にいる兵士とか、大量のデイパックとか。
ああ、確定だな。直感だけどそう思った。まだ、『何で僕達なのか』という疑問は残るけど。
そんな事を考えていたら、教室のドアが開き、ビートたけしさんが入ってきた。
少し、心臓が苦しくなる。
普通の状態なら、この動悸は大物芸人に対する緊張のせいなんだろうけど、今は全く違う。
予測していた事が、直感抜きで確信に変わったからだ。
その後、たけしさんは皆の様子を無視して、話し出した。
いや、この場合は『先生』って呼んだ方がいいのかな。
話の内容はだいたい想像通りだった。
唯一の疑問についても説明してもらったが、第50回だから芸人で行うというのは、どうにも
納得できなかった。
じゃあ、100回だったらアーティストとか、150回だったら俳優とかで行うんだろうか。
そんな事したら、この国にとってもだいぶ経済損失になりそうなんだけど、もしかしたら
この『プログラム』を放送して、DVDや書籍を出せば、元が取れるくらいなのかな。
人の争う様子は、全くの部外者なら、けっこう楽しい物なのかもしれない。
もちろん、人によるだろうけど、そうで無くても人が頑張っている様子を見て、
まるでスポーツや、格闘技観戦の気分で見る人だっているだろう。
一般人を見ていてもそう感じるんだから、芸能人なら尚更だ。
昔から、このBR法という法律はよく知っている。
もともと政治・経済には関心がある方だったため、自分が中学を卒業した後もずっと、
ニュースはもちろん、いろんな裏情報までチェックしていた。
この法律が是か非かは、僕には断定できない。
何が正しいとか、何が間違いとか、この世の中に絶対的な答えなんて無い。
その時の状況にもよるだろうし。
ちなみに昨日の僕は、冷蔵庫の裏から奇妙な物音を感じて、BR法よりは、まずゴキブリの
いない世の中になってほしいと思っていた。
そのついでに、ゴキブリを生きたまま食べると死ぬらしい、というBR法とは全く関係無い
裏情報を思い出して、『誰か試す人いないかなぁ』なんて事まで考えていた。
僕自身は、ちょっと現実逃避して、その冷蔵庫を確かめようとすらしてないんだけど。
ちょっと例えが変だが、人ってけっこう、こういうもんだと思う。
同じ『死』でも、その対象が自分なのか、周囲の人間なのか、無関係の人間なのかによって、
感じる事は大幅に変わってくる。
多くの人が心の中で、このBR法に反抗している様子なのは、自分や関係者が関わる可能性が
あるからじゃないのか?反対活動をして殺された人のニュースを何度か見たが、その人達は
もし、このBR法が自分と全く関係ない人達がやるものでも、同じようにしたんだろうか?
一応法律として成立している以上、政府にも何かの考えはあるだろう。
独裁国家だから、その考えがまともな物かどうかは別にして。
とはいえ、今は自分達が当事者だから、そんな事は言ってられない。
人がもめているのを見るのは嫌いじゃないが、自分が絡んでると複雑な気分だ。
先生はきっと、監視カメラで皆の様子をチェックして楽しむつもりなんだろう。
大体想像はつく。まったくふざけやがって………
正直ちょっとだけ羨ましい、とか思ってしまった。
とはいえ、決して今、先生と同じ立場になりたいわけじゃない。
だって『プログラム』に参加させられているのが、僕と仲が良い人や、憧れている人だらけ
なんだから。第一、もしなりたくても、なれるもんじゃないし。
そう考えると、先生に対して無性に腹が立ってきた。
絶対に楽しませたくない。思惑通りには動いてやらない。
さて、そのためには、どういう風に行動するのがベストかな。
名前のあいうえお順で呼ばれるんだから、飛永との差はけっこうありそうだ。
今野さんとは割と近いかもしれないけど、たぶん合流は難しいだろう。
どこでいつ合流するか、伝える手段がなければ、たとえ10分程度の差でも、会える保障はない。
それに、自分の『本当にやりたい事』をする時、誰かがいると難しいかもしれないし。
最初から、誰かと合流するなんて考えない方がいい。
その時、ふと、昔書いたアンケートの事を思い出した。
その中には、メッセージという項目があり、そこに僕が書いた答えは、
『僕はブロークンキャラです。いろんな物をこわします。気をつけてください』
というものだった。
もしかしたら、この『プログラム』では、それが現実のものになるかもしれないな。
「45番、大水洋介」
そんな事を考えていたら、ちょうど名前が呼ばれた。
とりあえず、わざとゆっくりと立ち上がって、兵士の所に歩いて行き、ディパックを受け取った。
そして一言。
「それじゃあ行ってきます」
まったく緊張感の無い口調だった。たぶん、普段のコントの時以上に。
その様子に、目の前の兵士と、周りにいた数人の芸人が呆れているのが分かった。
これでいい。僕の狙い通りだ。
そう、僕はブロークンキャラだから。この際、ちょっと破壊してみようと思ったんだ。
その最初の対象は、この『プログラム』の緊張感なんだけど。
【ラバーガール 大水洋介】
所持品:未確認
第一行動方針:緊張感の無い行動を取る
基本行動方針:先生の思惑に、一番逆らえる事が何かを考える
最終行動方針:先生の思惑に、一番逆らえる事を実行する
【現在位置:校舎内】
【8/15 12:45】
【投下番号 095】
以上です。
ちなみに、したらばで書いたやつを、一文字だけ直して投稿しました。
一応こっちの方が分かりやすいかと思って。
どうでもいい事だけど、暇な人は、どこが変えてあるか探してみるのもいいかも。
答えはメル欄で。
狭い場所ほど安心感がある。そして、できれば室内がいい。
そう考える者は多いだろうと推測することは容易かったが、
やはり自ら少数派にはなれなかったのだろう、ランディーズ中川は民家に息を潜めていた。
「逃げるが、勝ち、やろ…」
カウンターキッチンの奥に座り込んだ中川は噴出す汗を拭いながら、些か自虐的に呟く。
殺し合いの競技において、真っ向勝負ではなくむしろ卑怯とも言える戦法をとっていることは自覚していた。
しかし、「誰にも会わなければ何も起こらない」それが中川の出した単純且つ明快な答えだ。
住宅街らしく民家が何件か建ち並んでいた中で、中川が適当に侵入したこの家は
外観こそ普通であったが中は相当荒れており、土足で入るのに躊躇の必要が全くなかった。
埃っぽい床は、壊された家具や用途不明の何かで足の踏み場もないほどになっていて、
リビングらしき場所にあるソファーは、刃物でボロボロに切り刻まれ中身が飛び出している。
さらに、壁にはいたる所に何かで殴ったような大きな穴が開いていて、
それと並ぶように窓やドアのガラスもその殆どが割られていた。まさに惨状だ。
しかし、その酷く荒んだ家は物が多いのと同時に隠れる場所も多く、
中川は人気を感じないのをいいことに玄関から一番遠くて、しかもすぐに逃げられる勝手口の横に陣取ったのだった。
太陽がカフェカーテンの付いた出窓から斜めに差し込んでくる。
中川は室内が徐々に暗くなって行くのを、ただただジッと見つめていた。
今は薄汚れ、木目調の扉も所々しか残っていないようなキッチンだったが、
よく見渡せば以前は人が住んでいたことを思わせる。
開きっぱなしの冷蔵庫には可愛らしい形のマグネットが3つ引っ付いているし、
壁のモザイクのタイルの崩れていない部分には不釣合いにカラフルなミトンがぶら下がっていた。
ふと、エプロンを付けた女性が、子供のために料理をする姿が思い浮かぶ。
それはやがて中川自身の妻の姿に形を変えた。産まれたばかりの子供の泣き声まで聞こえそうだ。
自分とそっくりなちょっと老けた顔が可愛くてたまらない自慢の息子。
しかし賑やかな明るい家庭の映像は、今となっては過去の思い出でしかなかった。
もう会えへんのか、中川はそう冷静に思い、同時に純粋な「悔しさ」を感じていた。
こうして隠れていてもきっと優勝できないことは分かっている。
それは分かっているのにどうにもできない自分は、ただここで無駄に足掻いてるだけのように思えた。
いつまで生きていられるかは分からないが、間違いなく最後の一人ではないと、中川はそう確信していたのだった。
不意に家族の顔が見たくなり、つい癖で携帯電話を探る。
しかし、パンツのポケットから出てきたのは、探し物よりもっと無機質な折りたたみ式のナイフだった。
林の茂みでこそこそとデイパックを広げた時に見つけ、とりあえずポケットに入れたものだ。
中川は自らの動作に苦笑し、ナイフを手のひらで転がす。
それは大きさのわりにずっしりと質感があり、手持ち無沙汰解消に丁度よかった。
少し投げ手のひらに戻す。少し投げ手のひらに戻す。少し投げ次は左手へ。
静かだった室内にパシッパシッという音が小さく響いていた。
その音も耳に馴染んだ頃、外から人の声のようなものが聞こえてきた。声、と言うより悲鳴か。
中川は一瞬硬直した後、自分には関係ないと暴走を始めた心臓を必死で宥める。
しかし徐々に近づいて来る、その今まで聞いたことのない、本当に切羽詰った悲鳴は心拍数を上げるのに十分だった。
そしてそれは窓のすぐ側で途切れた。
中川はナイフを右手で握りこみ、左手は心臓らへんを押さえながらカーテン越しに窓から外を覗いた。
何が起こっているのか確認したい、という素直な欲に任せた結果だったが、窓の外の光景を見て中川はすぐに目を疑った。
それは後輩が後輩に刃物を向けている姿だった。
「…向?」
思わず擦れた声が漏れる。
血の付いたサーベルを持ち、倒れこんでいる千鳥・ノブの前に立っているのは間違いなく天津・向だった。
状況が全く分からず中川は混乱する。
――これは、ボケでもコントでもなく現実なんか?あり得る事なんか?
しかし、そうしている間にも状況は進む。
ノブが命乞いをするように手を伸ばし、向がサーベルを振り上げた。
それを確認した瞬間に、中川は本能的に目を閉じ下を向く。
左手がシャツに皺を作り、すでに感覚のない右手はナイフに深く食い込み、細かく震えた。
――殺す
「やめろ!!」
覚悟とは違う声が辺りに響き、驚きいた中川は再び勢いよく顔を上げる。
まだノブは生きていた。
若干安堵したものの、少し離れた場所に声の主を発見し、三度中川は驚愕する。
そこには麒麟・川島と、銃を構えた麒麟・田村の姿があった。
より一層張り詰めた緊張感が、中川も含めた五人を包み込む。
しかし向は一瞬で分の悪さを認めたのだろう、悪態を吐きながらもそそくさと退散して行った。
ノブが麒麟二人と民家へ消えていくのをしっかりと見送り、中川は再び元の場所へ座り込んだ。
結果的には誰も死なずに終わったが、現実を目の当たりにし、まだ放心状態が続いていた。
教室で山田が撃たれた時も、校門で複数の死体を見た時も、
なぜかそこまでの恐怖は感じなかった中川だったが、今はっきりとその理由がわかった。
一番怖いのは「仲間の殺し合い」だ。
今まで向とノブの抗争なんて耳にしたこともないが、たった今向がノブに殺意を抱いていたのは事実だった。
そして、田村も間違いなく向を殺そうとしていたのだろう。
田村の目が躊躇していたのは、川島の制止があったからだ。
中川の頭の中では先ほどの光景が繰り返しリピートされ、その度に人への不信感が強くなっていく。
そんなはずはないという気持ちが徐々にかき消されていくのが自分でも分かった。
―ガシャッ
半分意識が飛んでいた中川だったが、はっきりと音は聞こえた。瞬時に息を潜め、耳を欹てる。
同じ室内に複数の気配を感じた瞬間、中川はデイパックを抱え、勝手口から外へ飛び出していた。
本来なら、複数で行動しているほうが冷静な場合が多いのだが、今の中川はそこまで頭が回らなかった。
とにかく人と関わるのは恐怖でしかなく、一人で隠れることが一番だと体が判断した結果だった。
元町に行くために通った道を逆走し、森に入った。
ただ闇雲に走るよりかは、まだ一度でも通った道の方が安心できる。
鬱蒼と茂る森は視界も悪く、狙いにくく狙われにくい。しかし、誰がどこにいるのか分からない恐怖がある。
セミの声が遠くから近くから響き、汗は溢れるように流れていた。
中川はとりあえず落ち着いて次はどこを目指すか地図を見て考えようと、狭い場所に座り込んだ。
デイパックを開けようとして、右手にまだナイフを握っていたことに気付く。
半ば自分に呆れながら意識して力を緩めると、ドクドクと血液が回り始めるのを感じた。
それでも指はなかなか自由に動かず、骨が軋むような感覚がある。
無理矢理に一度に全部広げると一気に痛みが来たが、どうにか自由に動くようになった。
ナイフを横に置き、手首を回したりピアノを弾くマネをしていたら感覚も元に戻ったようだ。
両手を前に突き出し、何やってんねん、と何気なく眺めてみるとノブの命乞いのポーズと被った。
「あ、麒麟か…」
向に命乞いしたのかと思っていたが、あれは麒麟に助けを求めたのか、と今更ながら理解する。
絶望の淵に立っていたノブには麒麟がヒーローに見えたのかもしれない。
「ヒーローって何やろうな」
あの場所で完全に傍観者だった中川には、田村も向を殺そうとしたことに変わりなかった。
正当防衛の正義は本当に正義なのか、そして襲ってくるやつは悪なのか、そんなに自分を守ることが正しいのか。
自分の手を見つめながら考え込んでいると、視界の端で森の緑が音を立てて揺れた。
突然目の前に現れた人物に驚愕し、中川は呼吸さえ忘れ、固まる。
「あ、あの…中川くん、だよね?ぼ、僕のことわかるかな?」
独特なイントネーションで近寄ってきたのは、つぶやきシロー(永塚 勤)だった。
中川は後悔した。
狭さに安心感を感じ、逃げ場のないところに座り込んでしまったことを。
それともう一つ、つぶやきの目が正常じゃないことに気付いてしまったことに。
「はい…、つぶやきさん、お久しぶりです」
本当は会ったことがあったか思い出せなかったが、できるだけ刺激しないように適当に返した。
その間にも、つぶやきは薄笑いを浮かべ、一歩ずつフラフラと揺れながら近づいてくる。
中川は後ろの木に背中がついているのは分かっていたが、まだ下がろうと必死だった。
手元を探るとさっき離したばかりのナイフが触り、すでに形の知ったそれを再びしっかりと握り込む。
「あ、あのね、死ぬのってやっぱりこ、怖いんだよね。こ、殺し合いとか良くないよね。ね?」
「は、はい」
「あん時、あん時、もっとあぁしとっけば、こんなとこいねかったのに!そうでしょ!?…帰る、もう…るよ…
それより、何で?何でおいて行ぐのぉ…?ねぇ何で…?何で?何でか、答えっ!」
つぶやきは落ち着かない様子で、感情をむき出しに中川に迫る。
独り言か本当に答えを求めているのか、それさえも定かではないつぶやきに中川は「殺意」とは違う恐怖を感じていた。
ここまで狂ってる人を見るのは初めてのことだった。心臓が自分でも分かるくらい深く動く。
「中川くん、中川くん今度はどこさ行ぐの?ずっと一緒に来てんだからちょっとは教えてよ…教えろよっ!」
つぶやきはしゃがみ込んで中川の両腕を掴み、かなりの力で中川を揺さぶったが、中川はその衝撃的な告白を聞き言葉がでない。
そう、つぶやきは学校を出てすぐに中川が林の中で地図を広げているところを目撃し、そこからずっと付けて来ていたのだった。
確固たる理由はなく、ただどうしたらいいのか分からずにいたところに、中川が偶然いたというだけだ。
民家まではこそこそと追いかけていたが、さすがに中に入ることはできず、
つぶやきは一人不安を抱え、家の周りをずっとうろついていた。
その時間がいけなかった。一人で状況を整理しようとすればするほど深みに嵌り、そこから抜け出せなくなっていく。
そんな時に中川が急いで裏口から走り去るのを見て「置いて行かれた」と判断し、ついに思考はオーバーヒートした。
「もう、…ろぅよ…、もう、…らせちゃえば…ぃいんじゃねぇの?」
小さい目を見開きながら、少し笑ったような強張った顔で、つぶやきは続ける。
中川はすでに聞き取れなくなっていたが、聞き返すこともできなかった。
「あ、…くね、いいもの持ってんの…、ほら…」
そう言うと、ゴソゴソと背中を探る。
中川はここでつぶやきが手ぶらなことに気がついた。デイパックさえ持っていない。
しかし、つぶやきが背中から出してきた薄茶色の円筒状の物を見ると再び目を見開いた。
「これとね…、ひ…」
――持ってない、持ってないんやろ!?
それは中川の願いだった。しかし中川の願いも空しく、つぶやきはポケットからライターを取り出した。
「っうぁああ!!」
中川は右手に握り締めていたナイフの刃を出し、勢いよくつぶやきの腹に向かって突き立てた。
衝撃でつぶやきが後ろへ尻餅をつく。中川は震える両手で何度もつぶやきに向かってナイフを下ろす。
「何でや!何でや!」
何度刺しても刺した感触がない。つぶやきの白いシャツも血で染まることはなかった。
背中で息をしながら、中川は改めてナイフを見た。15センチほどの刃は綺麗な光沢を放っていた。
しかし、刃先を押すとするすると柄の中に納まってしまう。それは、精巧にできた、ただのおもちゃだった。
急激に体の力が抜ける。いつの間にか前傾姿勢になっていた体が元の位置に戻るのと同時に、中川の手からおもちゃが落ちた。
大きな息を吐き視線を上げると、同じく放心状態のつぶやきと目が合った。
中川はこの状況になぜか笑いそうになっていた。自分のさっきまでの必死さは酷く滑稽だっただろうと。
そして、反射的に「自分の身を守る為に人を殺す」ことを選んだ自分の馬鹿力の発揮の仕方に。
「あ…うぁ、うっ…」
つぶやきはやっと意識が戻ったように泣き出した。
そして、震える手でライターに火を点け、持っていたダイナマイトに近づけた。
「もうっ、こっ、こんなっ…、おわ、終わらせるっ…」
中川はその様子を見ながら、やっぱり早かったな、と思っていた。
「さよーなら」
小さく呟いて、家族を想い小さく笑った。
と同時に、つぶやきの表情が変わり、そのままゆっくりと前に倒れ込んできた。
その背中には棒が刺さっており、その棒の向こうに人影が見えた。
それは間違いなく、中川にとってのヒーローの登場だった。
【ランディーズ 中川】
所持品:おもちゃのナイフ
第一行動方針:隠れる
基本行動方針:誰にも会いたくない
最終行動方針:特になし
【つぶやきシロー】
所持品:ダイナマイト ライター
第一行動方針:中川を尾行
基本行動方針:死にたい
最終行動方針:みんな死ねばいい
【現在位置:森の中 F-6】
【8/15 17:16】
【投下番号 96】
誰?ヒーロー誰?
気になる〜!
乙でした!
768 :
名無しさん:2006/09/20(水) 06:12:59
769 :
名無しさん:2006/09/20(水) 07:10:52
イイヨイイヨー
770 :
名無しさん:2006/09/20(水) 07:35:00
乙したければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
772 :
名無しさん:2006/09/20(水) 10:03:29
乙!!!!!!!!
773 :
名無しさん:2006/09/20(水) 11:21:53
乙です!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
乙乙うるせーよ
乙です
確かにヒーロー気になります!続き待ってます。
乙!
777 :
名無しさん:2006/09/20(水) 14:06:26
Z
Z!!!!!!!!
まだヒーローを誰にするか決めてないに10万円
エンタバトが復活した模様
何それ
784 :
名無しさん:2006/09/21(木) 12:13:05
\(^O^)/
785 :
名無しさん:2006/09/21(木) 15:26:40
ごめんsage忘れた
787 :
名無しさん:2006/09/21(木) 18:13:34
ごめん
788 :
名無しさん:2006/09/21(木) 22:27:38
Z
ほし
790 :
名無しさん:2006/09/22(金) 16:36:22
保守
791 :
名無しさん:2006/09/22(金) 20:51:18
64 名前:名無しさん 投稿日: 2006/09/22(金) 20:26:28
>>62 私は、自分の書きたいシーンまで書いたら、「他の書き手さんが、どう
書いてくれるか見てみたい」と言う理由でわざと解除する予定がある…
単純に、殺されるシーンを上手く描写できる自信がないのもあるけど。
「拾われそうにない」の判断基準ってどれくらいかな?
792 :
名無しさん:2006/09/22(金) 23:02:43
何すか?
泣いて泣いて泣き疲れた後に浮かんできたのは、反抗という言葉だった。
Are you a winner or a loser?
No,I don't wanna entry this program.OK?
柳谷の目前には未だ死体が倒れていた。
理由もなく殺される。まさか殺しあった訳ではないだろう。ならこの人たちも誰かの気紛れで殺されたんや、と思うと無性に腹立たしくなる。
和田の死を最後まで見つめる事の出来なかった柳谷自身が、その償いとして出来ることといえばその敵討ち。
敵討ち、なのであるが最初に出てきた言葉が"反抗"という時点で彼は既に己に出来ることの範囲内を見定めてしまっていたところに、脱出しようと考える人との埋めがたい溝があることは間違いない。
大の男が泣き喚く光景に気持ち悪がって声をかけようとしなかった兵士をまだ涙ぐんだ目でキっと見定めると、心を決めて校舎から走り出した。
「おい!ギブソン!」
と、その明日なき暴走を一瞬で止めたのは、メンバーである灘儀の声である。
「心配しとったんやで。お前より後の順番の奴が出てきとんのに出て来ぉへんから」
涙で腫らした目には触れずに、前を向き時たま薪を拾いながら穏やかに灘儀は話し掛けた。
ホンマに心配してはったんやな、ということは柳谷にも分かる。死体の中にはウド鈴木もいて、ということは灘儀はあの死体を見ているのだ。
であるにも関わらず、自分を長時間待ってくれていた、ということに灘儀の優しい気配りは分かるのだ。分かるのだが。
待ってくれはるだけの勇気があるんやったら、このバトルロワイヤルに参加せえへん人ら集めて待っとってくれはったなら、とも思うのだ。
実際校舎周りの危険エリアを抜ける間に灘儀のこれまでの動向を聞いてみたら、バッファロー吾郎の木村と会ったとも言っていた。
木村さんには竹若さん探す目的があったんやとしても…ともう考えていても詮無いことだと思って中断する。
柳谷が灘儀に和田の死を伝えた時は、そうか、と言って灘儀は眼鏡の奥を暗くした。だが、逆にそれ以上言うこともなかったようだ。
代わりに柳谷が和田の死で考えた自分の希望を伝える。が、それも一度じっと見つめられただけで、お前はそうしたいんか、と確認するように呟かれただけであった。
果てしなき反抗が灘儀の心に芽生える様子はなく、柳谷は落胆する。
信用できる人柄で、基礎体力に信頼も置ける。実は心の中では一番最初に協力者として名前を挙げていたのが灘儀だったのだ。
だがこの反応の悪さから柳谷は考え直しを迫られてしまい、小さく唇を噛んだ。
「この参加人数やったら校舎やって制圧出来ますって。銃も支給されとるんやろうし」
「兵士を皆殺しにするんか?」
自分でも苦し紛れに言ったのが分かった内容だったが、即座に睨みつけるような視線を返されて退かざるを得なくなる。
「あいつら、ウチの若手も混じっとったやろ。やったら、好きにやっとるんとちゃう気がする。それを、助かりたいからって殺すんか?
…たけしさんも、ホンマにやりたくてやってはるか分からんのに、殺すんか?」
忘れていた。灘儀は同期のバッファロー吾郎と同じくらい若手を大事にする人で、それ以上にビートたけしなんかはテレビで見ていた憧れの大先輩だ。
こんな状況であっても、相手のことを考えてしまう。灘儀の普段は良い部分ではあるが。
「…灘儀さんはLet It Beですか」
「せやな」
灘儀がいつもどこかからか入手してきて、柳谷にも聞かせてくれる洋楽の楽曲の数々。
その中で最もスタンダードともいえる楽曲。海外では非戦の旗印としても使われたらしいその曲の精神を。
灘儀は理解した上で了解したのだ。
もう反乱の協力は望めないと、諦めざるを得ないと思い知らされた
気まずい沈黙が流れて、柳谷は雰囲気を変えようと歩きながらデイパックを漁り始めた。…太い金属の筒のような感触がする。
「…グレネード!?」
突然素っ頓狂な声を出す柳谷に灘儀も目を丸くして柳谷のデイパックを見つめた。
「マジでか!?ここでエエから開けてみ」
ああ、うんと情けない声を出して柳谷が急いでデイパックの封を解くと、本当にグレネードを発射するような筒が出てきた。
そして、弾。…弾?
「何やこれ」
柳谷が取り出したのは、パラシュートがへばり付いたような真っ黒い玉。間違っても流線型でも銀色でもないこの玉がグレネード弾だとは思えなかった。
灘儀と柳谷は2人で顔を見合わせると、もう一度大きな筒を見つめる。
「筒と弾。それは間違いないやろ?」
それ以外考えようもないのだが、それ以上考えようもない。どうしようもなくなり柳谷のデイパックを探ると、意外とすぐにその答えが見つかった。
"Illuminating"その見出しと共に、藁半紙のような薄い紙にシンプルな絵と英語で書かれた説明書が出てくる。
英語など洋楽の歌詞でなければ習ったこともなく。知恵を出し合い助け合いながらどうにか打ち上げるところまで持っていく頃にはすっかり額には汗が滲んでいた。
破裂音と共に青い空に打ちあがる白い閃光。告げるのは福音かそれとも崩壊への序章なのか。
突如出現した小さな太陽は輝きを残しながらも風をゆっくりと感じながら落下していく。
狼煙が合図と言っていたが、柳谷が会場から出てきて20〜30分後の時間帯にとは伝えてあるので分かるだろうと、北300m地点まで無言で歩き始めた。
未知の言語との格闘作業は2人の精神力を容赦なく奪っていたのだ。
お互い会話をする気力もない中、柳谷はこれからの行く末を考えていた。
そういえば毎年親権者が息子や娘のBR参加の同意をしなかったために殺された、という話をよく聞く。自分の妻は大丈夫だろうか。
いや、それよりも。
自分は灘儀のように優しくなれないし、それ以上にこのまま野垂れ死ぬのは受け入れられない。
生き残って信頼できる人たちに会って、と考えていると何人か先輩後輩の顔が浮かんだ。
初めてそして唯一会ったのが灘儀のため、その辺に関しては柳谷は楽観視していた。
しかし、生き残れるかについてはさすがに楽観は出来なかった。既に自分の耳で何度も銃声を聞いているのだ。覚悟を決めなアカンな、と念じる。
生き残る為になら、多少のことは非情に…。
そう決心しようと、ちゃんとしなければと思ったときに目の前に現れた人物は、ガリットチュウの熊谷岳大であった。
血走った目に振り乱した髪、泥でぬれた服。
右手に持った何かの石像もブルブルと震えており、すぐに暴れ出してもおかしくない雰囲気を漂わせていた。
まるで訳もわからず古代のコロッセウムに放り込まれたような。彼の目に映っているのは獅子かそれとも戦車なのか。
柳谷は逡巡していた。同じ吉本とはいえ馴染みの薄い、というより相方に隠れて印象の薄いこの芸人を・・・どうするべきか。
その逡巡を見透かしたように灘儀は柳谷の動きを手で制すと、話し合いを始めた。武器を取り出そうとしない灘儀に段々と熊谷も落ち着いてくる。
アカンやんか。もう一人の自分が話し掛けてきた。殺すんか話し合うんか全然決められんで。どこが決心や。
葛藤する柳谷を他所に灘儀の説得は功を奏したようで、熊谷の右手が少しずつ下がっていくのが見て取れた。
もし自分ひとりだったらと考えると血みどろの結末しか想像出来ない。
無力だと痛感して、俯いていた顔を上げると三秒前とは違う光景が目の前で繰り広げられる。
パンパンパン、と軽く陽気な破裂音が三発。
灘儀が受け止められずに熊谷の体が崩れ落ち、地に伏すまでも三秒。
「大丈夫でした?」
そしてゆらりと木の陰から現れた影は3人目のメンバーである鈴木のものであった。
いつもと同じおどけたような声。だが肩から掛けられた銃は確実に、今熊谷の命を奪おうとしている弾丸を発射したものだった。
血を吐きながら伏し、うわ言のように何かを呟いている熊谷には目をくれようともせず近づいてくる鈴木に、灘儀は顔を歪ませて熊谷に走り寄るのを隠そうともしなかった。
「何やっとんねん!撃つ必要なかったやろ!」
「何言うてはるんですか。2人とも危なかったやないですか」
「武器は下ろそうとしとったしそもそも石像…」
「あ、石。やっぱ危険やん」
鈴木は、灘儀の剣幕を気にする様子も無く痙攣する熊谷の横にしゃがむと後ろポケットに詰めてあった複数の礫を目ざとく見つけ、灘儀に見せつけた。
「これ投げられて腕で顔覆った瞬間にその像で・・・ほら危険やった」
噛み合わない会話に眉を顰め、満足げな鈴木を横目に説得はとりあえず後回しにしようと考えたのか、灘儀も座り込むと熊谷の口に顔を寄せた。
呟いていたのが相方の名前であったことに気づくと、腕を肩に回して熊谷を立たせようとする。
柳谷は慌て、鈴木は口の端を上げた。鈴木は灘儀を暢気な偽善者だとでも思っているのだろうか。
いやちゃうわ、と柳谷は自分を叱咤する。要は範囲の問題なのだと考え直した。
鈴木にとって重要なのは限られた人間だけであって、熊谷はその範疇から外れてしまっているのだろう。だから容赦せずに撃った。
それに対して灘儀は自分の関わる範囲全ての人間に優しさを与えている。
その2人の信念は多くの場面で対立してしまうであろう事が初っ端判明してしまったのだ。
どちらの信念に味方すべきか、と言われると柳谷は正直どちら側にも立てないと思った。しかしもし熊谷を簡単に殺傷できる武器があっとしたら、
自分が撃っていなかったとは確信出来なかった。
鈴木が持っているのは形状からしてサブマシンガン。だが鈴木は少ない弾数で確実に熊谷を仕留めている。
自分がマシンガンを持っていて今の状況なら乱射しないでいられたのか。
「位置からして肺傷ついてんのとちゃいます?やったら動かしてもうたらキッツイですよ」
そう言いながら灘儀が励ましながら熊谷を立たせようとするのをただ見上げるだけで、一向に手伝おうとしない。
柳谷は結局見てられなくなり、慌ててもう一方を支えようと脇に体を入れた瞬間、熊谷は多量の血を吐いて絶命した。柳谷の頬に、鮮血が付着する。
灘儀は無言で生気のない瞳をすると、下ろしてエエよ、と柳谷に喋りかけて自らも熊谷の腕を外して血に横たえさせた。
「鈴木、お前…」
「あ、あれゴエと久さんちゃいます?」
静謐な怒りを湛えた灘儀の矛先を変えるように鈴木は近付いてくる2つの影を指摘する。それは実際に残りのメンバー2人で。
しかし柳谷は合流できたと言う喜びを感じる余裕もなく、2人の間に生じている亀裂と別離への布石を悲観することにも頭が回らず、
ただ優しくも非情にもなりきれない我が身を嘆くだけだった。
Are you a murderer or a victim?
You can NEVER escape from this program.Don't you know?
人間にも、神様にも、運命にも。
見捨てられる事には、慣れているつもりだった。
慣れているつもりだったけれど――。
「……眩し……」
沈み掛けた太陽が、最後の足掻きのようにギラギラと輝いている。
森から出た途端横から照り付けてきた陽光に、山里は思わず目を細め、掠れた呟きを漏らした。
日差しから逃げるように、影になっている手近な木の根元に腰を下ろす。
追い駆けていた先輩の姿を見失い、当てもなく歩き始めてから、既に二時間余りが経っていた。
幾度か銃声らしきものを耳にはしたものの、運が良かったのか、
襲われる事もなくここまで来たが――
はっきり言って、ここから先の行動は考えていない。
数十メートル先には、地図にも描かれているアミューズメントパークの入り口らしき門が見えるが、
流石にそこに足を踏み入れる気にはならなかった。
木の幹にもたれ、深い溜息をつく。衣装のまま夏の野外に放り出され、
しかも全力疾走したあと歩き詰めだっただけあって、予想以上に暑さが身体にこたえていた。
上着はとっくに脱いでおり、首に巻いていたスカーフも外して、
代わりにシャツのボタンを第二まで閉めて裾を出している。
せめて私服に着替える時間ぐらいは欲しかった、と心の中でぼやいたあと、ふと現実逃避に走ろうとしている
自分の思考に気付いて、山里は微かに自嘲するような笑みを浮かべた。
本気で逃げられるとでも思ってるのか。
目を逸らすな。耳を塞ぐな。卑怯者――。
安易な逃避へ走ろうとする自分自身へ罵倒の言葉を叩き付けながら、それでも口元に浮かんだ笑みは消えない。
【ザ・プラン9 ヤナギブソン
所持品:照明弾(4/5) 他不明
第一行動方針:メンバーで打ち合わせ
基本行動方針:生存最優先
最終行動方針:メンバーの話し合いの結果によって】
【ザ・プラン9 鈴木つかさ
所持品: MP5 9mmパラベラム(285/300) アーミーナイフ ハンマー 他不明
第一行動方針:メンバーで打ち合わせ
基本行動方針:鈴木が認めている人を優勝させる為に、積極的に邪魔者排除
最終行動方針:メンバーの話し合いの結果によって】
【ザ・プラン9 なだぎ武
所持品:短刀(檜) ダイナマイト1本 他不明
状態:脇腹に軽傷
第一行動方針:メンバーで打ち合わせ
基本行動方針:人命救助(特に知り合い)
最終行動方針:不明】
【現在位置:E5の森の中】
【投下番号:97】
【ガリットチュウ 熊谷 岳大 死亡】
こんな風に、自己嫌悪と自己憐憫にどっぷりと浸かりながら過ごす時間には、慣れている。
それが酷く歪んだ自己愛の形である事には気付いていたが、それを正す事など、とうに諦めていた。
ぎりぎりと締め付けるような痛みが胸に蟠っている。
いっそ完全に開き直れる程の傲慢さが、自分にあったなら。
もしくは、自らの命を絶つ程の度胸があったなら。
こんな思いはしないで済んだのだろうか。
「――山ちゃん」
背後から聞こえた聞き馴染みのある声に、ぼんやりと思考を巡らせていた山里は慌てて顔を上げ、振り向く。
すぐ近くの木の幹に手を掛けて、見慣れた長身が立っていた。
なぜか酷く複雑な表情を浮かべている相手の顔を見ながら、山里は掠れた声を絞り出した。
「……しず、ちゃん?」
「そんなとこでボーっとしとったら格好の的やで?」
山崎は呆れたような表情になり、ゆっくりした足取りでこちらに歩み寄ってくる。
わたわたと木の根元から立ち上がったものの、返す言葉が思い浮かばなかった。
まさか、会えるとは思っていなかった。
「……私の勘も当たるもんやな」
独り言のように呟いたその一言が耳に届き、山里は目を見開いた。
勘違いかもしれないが、そういう言葉が出るという事は、もしかして。
「あの、さ……もしかして……俺の事、探してくれた?」
「……不満でもあるん?」
自分の横までやってきた山崎が、眉を剣呑な角度に吊り上げたのに気付いて、慌ててかぶりを振る。
「いや、不満とかそんなんじゃないけど……
校舎の周り探したけど居ないから、てっきり俺の事なんか見捨てて
どっか行っちゃったのかと思って……」
「……なら聞くけど、あんたは目の前にごろごろ死体が
転がってるような場所で待ってられるんか?」
「…………無理だね。うん、ごめん」
普段から低い声のトーンを更に一つ落とし、
じろりとこちらを睨む相方の視線に、
「二分ぐらいしずちゃんだったら待てるんじゃない?」
という言葉を必死で飲み込む。
「でもまぁ、こうして会えたわけだし」
彼女が、自分を探してくれていた。
気まずさはあるものの、その事実にほんの少しだけ、
胸に蟠る痛みが薄れていく。
「――見つかるとは思っとらんかったけどな」
だから、相方がぼそりと呟いたその言葉は、聞かなかった事にした。
「……しずちゃんは、これからどうするか決めてるの?」
「……まだ考えてるところ」
「そう……」
なんとなくお互いに視線を逸らして言葉を交わすが、
短い会話はすぐに途切れてしまい、沈黙がその場に降りた。
森に蝉の鳴き声だけが響く。
「……そうや。分かっとると思うけど」そうして数秒が経ったあと、山崎がふとこちらに視線を向けた。
「――baseメンバー、全員敵に回したと思っといた方がええで」
何気ない口調で相方が言い放った言葉に、一瞬息が詰まる。
相変わらず、オブラートに包むという事を全くしない物言いだ。
「……分かってるよ」
自分の行動が引き起こした惨劇の光景が、瞼に焼き付いて離れない。
仲の良かった先輩が自分に向けた、軽蔑と失望の交じった眼差しも。
もう一度、山里は自分に言い聞かせるように呟く。
「…………分かってる」
同じ舞台に立っていた先輩や後輩達の顔が、頭に浮かぶ。
事実を知れば、間接的にとはいえ仲間の命を奪った自分を、彼らは決して許しはしないだろう。
例えば、何かがあって今の時点でこのプログラムが停止され、
あの場所に集っていた芸人達の多くが、日常に戻ってこれたとしても。
自分はもうあそこには戻れない。
あんな風に信頼される事は、恐らく二度とない。
それは痛い程に分かっている。
「……でも……なら、なんでしずちゃんは俺の事、
わざわざ探してくれたの?」
ふと頭に浮かんてきた疑問を、口に出してみた。
だが、山崎は問いに答えるどころか
こちらを見ようともせず、沈む太陽を負い掛けるように、
じっと西を見つめている。諦めて視線を戻そうとした瞬間、相方が口を開いた。
「――――」
余りに小さい呟きだったのか、蝉の声に掻き消され、声は聞こえない。
けれど山里には、その唇が『ふくしゅう』と動いたように見えた。
――復讐?
ただの独り言か、それとも、もしかして自分の問いへの答えなのだろうか。
どちらにしろ物騒な言葉に、その意味を問おうとした瞬間、山崎がふとこちらに視線を向けた。
「……すごい夕焼けやな」
その言葉に、今まで眩しさから目を背けていた西の方向に目を向ける。
先程から気付いてはいたが、沈み掛けた太陽が、世界をべったりと一色に染め上げていた。
空も、木々も、建物も、目の前に居る相方の横顔も、何もかもを。
太陽と向き合い、改めて圧倒的なその色の力を思い知る。
真正面から見たそれはまるで、見る者の正気すら揺るがそうとするような、凄まじい夕焼けだった。
普通の人間とは少し違う色覚を持つ自分にも、
その色の美しさと空恐ろしさは、充分過ぎる程に伝わってくる。
気を抜いたら、その色に、呑み込まれてしまいそうな。
そして。
「――世界の終わりみたいや」
夕焼けに照らされながら、ぽつりとそう呟いた相方の横顔に、
凄絶としか言いようのない笑みが浮かんだように見えて――
山里は一瞬、不安のような恐怖のような、名状しがたい感情が浮かぶのを感じた。
けれど、戻る事は出来ない。
一度誰かの手に縋ってしまった脆弱な心は、それを失う事に耐え切れない。
もう後戻りは出来ない。
例え、その手の導く先に――生き残る為の道など存在しないとしても。
【南海キャンディーズ 山崎静代
所持品:不明
第一行動方針:不明(……復讐?)
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明
現在位置:D4・森の端】
【南海キャンディーズ 山里亮太
所持品:不明
第一行動方針:誰か頼りになりそうな人の仲間にしてもらう
基本行動方針:生存優先……の、はず
最終行動方針:不明
現在位置:D4・森の端】
808 :
名無しさん:2006/09/23(土) 00:18:51
待ってました!!
809 :
名無しさん:2006/09/23(土) 00:42:28
プランのは書き手さんが書いたもの。
南海は違う。
またオツとか反応しないでいいからね
南海おもしろいのに
したらばで書き手さんが書いたやつのコピペだもの
そりゃ面白いわ
そういえばトリップついてないね
プラン編の方、乙ですー
南海まだ本決まりじゃないの?面白いから続き書いて欲しい
815 :
名無しさん:2006/09/23(土) 01:09:34
なんで書き手さんでもないのにここに落とすのかね
暇すぎる
悪趣味
プラン編、乙!
いきなり対立って図式がおもしろかった
さまぁ〜ず編、行きます。
深い森を抜けた時、夏の午後の陽の光が大竹の目を刺した。眩しさにしばらく目を眇めて立ち止まる。痛いような日差しだった。
突然開けた視界に不安を感じて、森のはずれの大きな木の陰にもどる。そこにしゃがんで見つめる限り、この先の岩場にあるスピーカーの付近に人影はない。
自分が上田を追い抜いたのか、上田がどこかに隠れて淳を待っているのかは定かではないが、とにかくまだあのスピーカーの真下まで行く必要はなさそうだ。
直射日光の下で上田を待つ気にはとてもなれなかった。あの岩場では待っている間に隠れる場所もあまりない。
この木陰からならば、あの集合場所に誰か来たらすぐ気づくことができそうだし、丁度いいだろう。この場所でしばらく待つことを大竹は決めた。
いい加減歩き疲れて足が痛む、身体の疲弊もそうとうなものだ。考えてみれば朝、三村の車の中で食事をとって以来、何も口にしていない。
やっと空腹を思い出した彼は、デイパックの中の食料に手をつけるべきか否かについて考える。
さっき中を確認した時、それほど量があるようには思えなかった。先のことを考えると、夜が来るまでは我慢した方がいいかもしれない。
せめて水だけ一口飲もうと、ボトルをとり出す。持ち歩いた水はすでに生温かったが、久方ぶりのそれは彼の喉を潤した。
ボトルをしまった大竹は、もう一度名簿を引っぱり出すと、今度は淳の順番を確認する。145番ということは、自分と104分、離れているわけだ。
つまり淳がここを俺と同じ速度で目指すとして、1時間44分後に着くことになる。まあ同じ速度ってことはないから、1時間半から2時間後と考えるべきだろう。
もうしばらくここで待ってみて上田が出てこないようなら、淳が来る頃に腰を上げるつもりか、どこかで引っかかってるか、どちらかだ。
…いや、“無事でない”ということもありうるのだった。その考えに一瞬大竹は肝の冷える思いがしたものの、すぐさま打ち消す。
それは今、考えるべきことではないのだ。目の前にいる人間以外、生きているかどうか確認できない状況なのだから。
根拠などなくても、信じなければいけない。基本的に思考が沈みがちな彼にとってかなりの力を要する作業ではあったが、努めて前向きに考えた。
大竹は時計に目をやる。時刻は午後2時36分、ということはまっすぐ来ればせいぜい4時から4時半くらいまでの間に淳は着くということ。
まあつまるところ、1時間以上ここでただ待ってろ、ということになる。退屈と言えば退屈だったが、疲れた身には丁度いいのかもしれない。
眠らないよう気をつけなければ、と彼は胸の内で呟く。寝ている間に上田たちに合流されては、まるで意味がない。
大きな木の陰と、森のすそに生える長くのびた下草のおかげで、大竹の姿は幾分見えにくくなっている。
適当に居場所を決めた割に、それなりに具合のいいところに腰を落ち着けた彼は、小さく伸びをした。待つ時間というのはやけに長く感じるものだ。
デイパックの中に入っていた武器である花火の、種類ごとの本数を確かめたり、使い方を確認したりしながら暇をつぶす。
ありがたいことに彼のところにやって来たその武器は実に様々な種類と用途を持っていたので、気づけば1時間以上が過ぎていた。
花火に集中しつつも、いつもあのスピーカーに意識をむけ続けることは忘れずにいたが、まだどうやら目当ての人物が来る気配はない。
自らの武器のすべてを確認し終わった後、彼の神経は、さらなる精度と鋭敏さをもって周囲にむかい、網のごとく張り巡らされる。
その網を彼の目当ての魚がすりぬけるのはとても不可能であるかに見えた。しかし、誤って網にかかった海の猛者が悶えてそれを食い破り、大穴を開けることもある。
鋭い歯をもつ靭が、獰猛な尾で派手な音を立て、網を叩く。大竹の網に穴を開けたのは、死にものぐるいで走ってきたある男が、地面に倒れ込む音だった。
ド、と低く深い音とともに、わずかに地面が揺れたような気がした。振動は錯覚だったかもしれない。だが、大竹は人の習性として、音の方を振り返った。
森の地面に突っ伏した男は、下草と土を掻きむしって立ち上がろうとする。しかし、焦りからかうまく立ち上がることができずにいた。
その間にザザ、ザ、と音を立てて追手が近づいて来ている。後方の森の中でおこなわれる攻防戦に彼は戦慄した。
立ち上がろうとする男の顔が見える。知った顔だ。その目が大竹をとらえた。途端に潤み、何ごとかを伝えようと表情を持つ黒い瞳。
…何ごとか? そんなものは決まり切っていた。S.O.S.を目だけで発信されて戸惑ったものの、小さくうなずいて返答の代わりにする。
ここで無視をすれば、目の前でひとつ命が消えるかもしれないという事実を過不足なく理解した大竹だったが、どうするべきか迷う。
その逡巡の間にも捕食者たる追手は迫っており、被食者は彼のもとへと助けを求め、泣きながら這って寄ってくる。
まだ捕食者の姿は見えなかったが、足音は確実に近づいている。このままだと自分も被食者にされる可能性が高かった。
咄嗟に大竹は泣いている男の手を引き、自らの座っていた木の陰に連れ込む。小さくなってろ、と小声で言いおいた。
自分はそこから少し離れた場所に素早く移動して身を隠し、先ほどまで確かめていた武器の中から、いくつかを選んでとり出す。
ガサリ、という大きな音とともに追手の姿が目に入った。現れたのは、額の汗を拭いながら、感情のない目で地面を踏みつけて歩く女。
右手に握られた大きな戦斧が、木漏れ日を映して滲むように光った。その刃にこびりついた血液に、大竹は戦慄する。
「…大島…!」
森三中、大島美幸。その白く丸い面はほんの一握りの慈悲すらも見せず、気の立った猪のように荒い息で周囲を見回していた。
これはもはや、会話で何とかやり過ごせるような相手ではない。大竹は即座に判断を下し、ライターをとり出す。
とにかくあの斧を、女の手から離さなければ。武器がなければいくら身体の大きな大島といえど、男性たる大竹に勝機はあった。
大島が、一歩一歩近づいてくる。大竹の額につうっ、と汗が流れた。レンズ越しにその姿を伺っていたその時、少し離れた位置で、銃声があがる。
バァン…と余韻を残して響いたその音に、木陰で小さくなっていた男の、精神の糸がぷつりと切れた。
「…うあぁああああ!」
追手が近づいてくるプレッシャーに耐えかねたのだろう。涙、鼻水、涎、あらゆるもので顔中を汚しながら這って逃げようとしている。
大島の目は、その錯乱した男に釘付けになった。ぐいっ、と女の太い足が男のいる木陰へ踏み込もうとした、その刹那。
シュルル…、とネズミ花火が女の目の前を火を噴きながら舞い、思わず体勢を崩した大島は、ブン、と振り回した斧でそれを避けようとする。
斧が振り抜かれた次の瞬間、今度は爆竹が彼女の斧を握った右腕にむかって投げつけられた。バァン、バン、バ、パ、バ…!続けざまの炸裂音があたりを襲う。
右腕に当たった爆竹の熱と音に気を取られた大島の手の力は緩み、斧は体重をのせたその勢いのままに、スポリと彼女の手から抜けて明後日の方向に飛び去った。
はずみで大島はドシン、と尻餅をつき、状況がわからずに一瞬、呆然とする。形勢逆転。その隙を狙って大竹はロケット花火を数本、足下の土塊に挿した。
着火とともに、バリバリッ、と派手な音を立ててロケットが大島めがけて発射される。自分にむかって飛来する謎の物体に慌てた大島は必死で立ち上がった。
そのまま、飛びかかるロケットから逃げるように、森の中へと戻っていく。いつしかその姿は遠くなり、見えなくなっていた。
大島が去ったのを見届け、すぐに大竹は斧を探す。あんなものを誰かが拾ってまた攻撃してきたら洒落にならない。少し先で見つけたそれを拾い上げる。
自分が持ち歩くには随分と物騒な気がするが、使う気のある誰かに渡るのもまずい。考えた大竹が選んだのは、斧を隠すことだった。
戦斧をふり上げると、地面の土の柔らかそうな部分にむかって全力でふりおろし、刃をめり込ませる。上から力まかせに踏みつけ、埋め込んでいく。
体力を削ることになる馬鹿げた行為だとわかってはいたが、彼はやめない。何かに対する怒りをぶつけるように、ただひたすらに踏みつけた。
その怒りは少なくとも、襲って来た大島にむけたものではなかったし、無論助けを求めた男に対するものでもない。
言うなればそれは、この下らない命がけのゲームと、それをつくった国家と、それらをどうにもできない自分自身への怒りだった。
そんなどうにもならない気持ちを、誰かに聞かせて整理するために口にするような性質を持ち合わせていない彼のことだ。
この踏みつけるという行為によって、わずかでもその攻撃的な激しい感情を抑えようとしていたのかもしれない。
10分ほどの間、彼の怒りを無言で受け止めた凶器は、刃の部分を土の中に完全に埋められた。見えるのは太い木の柄と、刃の背の部分だけだ。
その上に近くに落ちていた葉や土を乱暴にのせて見えないようにすると、やっと少し気が済んで、大竹は荒く息をついた。
思い出したように彼は、自分が救った男の方を見やる。怯えた目でこちらを伺う顔は、涙やら何やらで濡れたところに付着した泥で真っ黒だった。
「…お前、無事?」
いまいち正しい声の掛け方とは思えなかったが、彼にしてみれば、そんな状態の男にどう声をかけるべきかわからなかったのだ。
尋ねられた男は、真っ黒な顔のまま、弱々しくうなずいた。その様がまるでコントに出てくるキャラクターのようで、大竹は少し笑う。
「顔ふけよ、真っ黒じゃねーか」
「あ、…ハイ」
やっと言葉を発したその気の弱い男は、片袖で顔を拭う。それから、まだ少し震える声で、感謝の言葉を口にした。
「…ホント、ありがとうございました、大竹さん」
「いーよ、気にすんな…それより川島お前、怪我とかねぇの?」
そう聞いたのは、大島の斧に付着していた血を思い出したからだ。聞かれて川島省吾――これが男の本名だった――は、左足の切り傷を見せて言う。
「ちょっと切られちゃって…」
土に汚れたその切り口に、大竹は眉をひそめる。確かにそれほど大きな傷ではなかったが、多少の治療が必要であろうことは明白だった。
まず何よりも傷口を清潔にする必要を感じて、川島に洗った方がいい、と勧める。しかし手持ちの水は飲用で、使うには惜しかった。
地図によれば、いくらか歩きさえすれば川にたどり着けそうではあったのだが、それは危険をともなう移動だ。
「お前、何か拭く物とか持ってない?せめて土、拭いとけよ」
「拭くもの…えーと」
そう言って川島がとり出したのは、綺麗にたたまれたハンカチだった。何とも状況に似合わない一品。しかし育ちのいい男には似合いと言えば似合いだ。
川島はそのハンカチで傷口付近の土を丁寧に拭きとると、別の面が当たるように綺麗に折り返して、傷口にそれをしばりつけた。
その一連の動作に、何となく“いいとこ育ち”の匂いを嗅ぎとりつつ、大竹は左腕の時計に目をやる。
「…っ、しまった…!」
慌てて振り返った彼はスピーカーに目を向けたが、そこには誰の姿もない。彼は大島との戦闘中に響いた謎の銃声を思った。
聞こえたのは一発のみ。叫び声もなければ争いの気配もなかった。もしかすると空砲だったのではないだろうか。だとすれば、何かの合図かもしれない。
…あれはひょっとしたら合流の合図だったんじゃないのか? その疑惑がぷかりと浮かびあがり、大竹の思考の海にたゆたう。
実際にはその銃声は誤射によるものであり、彼の推測とは異なる。さらにもう一発理由の違う銃声が響いていたのだが、彼の耳には届かなかった。
彼自身が点火したロケット花火の激しい音につつみ隠されて大竹が聞き逃した二発めの銃声は、スピーカーのすぐ近くで撃ち鳴らされたものだ。
とはいえこの音が合図に近い働きをし、結局のところこの銃声とともに大竹がコンタクトをとることをのぞんだ相手が合流を果して去ったのは事実。
恐ろしい靭に食い殺されるのはどうにか避けたものの、鋭い歯が食い破った網の穴を、目当ての魚がすり抜けていった。
チクタクチクタクチクタクチクタク。時計の針は無情にも、午後4時34分49秒を指している。
【さまぁ〜ず 大竹一樹】
所持品:特選花火セット大(&輪ゴム)、ライターと伊達眼鏡(私物)
第一行動方針:三村を待つ
第二行動方針:可能なら上田とコンタクトをとる
基本行動方針:できるだけ生存
最終行動方針:プログラムの変更、離脱
現在位置:森のはずれ、防災用スピーカー付近
【劇団ひとり(川島省吾)】
所持品:不明、ハンカチ(私物)
第一行動方針:不明
基本行動方針:死にたくない
最終行動方針:考える余裕がない
現在位置:森のはずれ、防災用スピーカー付近
【森三中 大島美幸】
所持品:なし
第一行動方針:不明
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明
現在位置:森の中
【8/15 16:34】
【投下番号:99】
投下番号、99でよかったんでしょうか。ひょっとして98なのかな…。
ちょっとわかりませんが、とりあえず99にしておきます。
乙です!大島こーわいw
川島と大竹のコンビは意外だ
これからの展開wktk
>>459-462 の続き
どさりとデイパックを床に落とすように置けば、畳から積もった埃とかすかな砂が巻き上がる。
島の中央からやや北の辺りに存在する元町の外れにある、ずいぶん長い間人の出入りがなかったのだろうと容易にわかる
古い作りの一戸建ての縁側から和室に土足で上がり込んだ赤岡と島田は、力を合わせてその大半が朽ちてしまっている木の雨戸を
ガタゴト音を立てながら強引に閉めて何とか外から自分達の姿を隠せるようにすると、そこでようやく心底安堵したように息をついた。
…しかしまだ、ここで休む姿勢に入ってはいけない。
おぼつかない足取りで赤岡は和室の奥へと向かおうとするけれど、その腕を島田がぐっと掴み、彼の歩みを止めた。
「どこ行くんだよ。」
「家探し。身を守れそうな武器はともかく、少なくとも手当用の薬とお前の分の食料ぐらいは要るだろ?」
じんわりと赤く染まったハンカチが巻き付けられている左腕を島田の方へ軽く掲げ、赤岡は島田に答えるとその手を振り切ろうとする。
「そのぐらい、僕がやる。怪我人は少し休んでろよ。」
けれどその手を逆にしっかりと握り替えしながら島田は赤岡に告げた。
「……………。」
珍しくも自発的な発言に一瞬驚いたように島田を見やる赤岡だったが、ここは素直にその言葉に甘える事にした。
そうせざるを得ないぐらい、この学校から追い出されてからの2時間…いや、3時間あまりの出来事で彼は疲弊していたのだ。
のっけから磯山に襲われ、今泉に助けられ。
たどり着いた先の神社には兵士の格好をしたイジリー岡田がいて。
島田を捜しに戻ってくれば、佐田とやりはう羽目になり。
まだ全部の芸人が島にばらまかれる前で、これなのだから。最後のアンジャッシュの渡部が学校から足を踏み出す頃には
一体どんな事になってしまうのだろう。
家探しの旅にでる島田の後ろ姿を見送ると、大きくため息をついて、赤岡はデイパックの傍らに腰を下ろした。
そのままスーツが埃で白く汚れるのもかまわず、ゴロリと横になる。どうせすでに血や汗や土でえらい事になっているのだ。
これ以上汚れた所で知った事じゃない。
寝ころんだ事で視界に入る天井の木目模様にレトロ感を味わいながらも、赤岡はとりあえず自分達の状況を整理してみる事にする。
俺、赤岡。致命的ではないが、負傷有り。体調悪し。武器、ハズレ。
そして島田。負傷無し。体調やや悪そげ。武器、ハズレ。デイパック、無し。
「……………。」
何とまぁ、絶望的な事で。もう一度赤岡の口からため息が漏れ、途中でそれは欠伸に変化した。
…これで『悔いなく行け』だなんてイジリーさんも無茶な事を言うけども、悔いのないようにするにはどうすればいいのだろうか。
ホッとした事でかどんどん思考が緩やかになり、もしかしたら所々でウトウトしていたかも知れない頭で
何とか今後について考えようとしていると。赤岡の耳は不意にゴン、という鈍い音を拾い上げた。
視線を音のあがった方へ向ければ、欄間に額をぶつけたのか手で押さえながら蹲っている島田の姿があって。その足下にはいくつかの缶詰が転がっているようだった。
どうやら自分達の183cmの長身は、この純和風の家屋の設計に対して大きすぎるらしい。
「どうした?」
「…とりあえず水と食べ物探して台所行ってみたんだけど、電気ガス水道みんな使えないみたい。」
間延びした声で赤岡が呼びかければ、涙目になりながらの島田は、今しがた見てきた事を報告する。
「刃物…錆びてるのでも果物ナイフっぽいのでも、なかった?」
「……なかった。」
重ねての赤岡の問いかけに、島田は首を横に振って。とりあえず見つけてきたらしい表面がうっすらと錆びた缶詰を無造作に並べる。
コーンや桃、サクランボのシロップ漬けといった食事というには微妙なモノばかりではあるが、とりあえずはないよりはマシであろうか。
「次は薬関係探してくるから、顔とか腕とか飲み水で洗っといて。」
「……わかった。」
佐田に顔面で頭突きを喰らわせたときに鼻を痛めた関係で、鼻血こそずいぶん前に止まったモノの、
赤岡の顔の下半分は拭いきれなかった血でうっすら赤く染まっている。
それを洗い落とすためにもある程度の水が必要だったのだが、水道が駄目ならば、大切な飲み水を使う以外ないだろう。
ただでさえ島田のデイパックがないために、水は貴重品なのだけれども。
そう言い残して次の旅に出る島田を見送り、仕方ないと赤岡は身を起こすとデイパックを引き寄せて
僅かに中身の減っているペットボトルを取り出すと、手の平に水を受けて顔に擦りつけた。
歩くたびにギシギシ音を立てる廊下を抜けて、島田はリビングへと足を踏み入れた。
「……………。」
この家にも住人がいたのだという事を如実に伝える品々が、どうも己を泥棒と指さしているかのような錯覚をもたらしていて
この家探しが生き延びるために必要な行為とはいえ、あまり良い気分ではない。
薬箱を探して島田が棚の周辺に目をやれば、コーヒー豆の缶を再利用したのだろうペン立てに、ボールペンだの何だのと一緒に
段ボールを何枚も一緒に切ってしまえそうな大振りのカッターナイフが収まっているのが目に付いた。
「…僕は、何も見なかった。」
ペン立ての元に歩み寄ると、島田はそう呟いてカッターナイフを抜き出し、容易に手の届かないであろう棚の裏側に滑り込ませる。
「…僕は何も、見つけちゃいない。」
もう一度島田は抑揚のない声で呟き、ボールペンもペン立てから抜き出すと、同じように棚の裏側に隠すように流し込んだ。
台所の冷蔵庫の下や食器棚の裏側にも、同じように包丁やナイフ、フォークの類が散らかっている事を、赤岡は知らない。
「だってあいつに渡したら…必ず誰かを傷つけちゃうからね。」
唇の端をつり上げて微笑む島田に、自分がしている事がどういう意味を持っているのか、冷静に判断する余裕はなかった。
島田の脳裏に焼き付いているのは、佐田に対してマイクスタンドを振り下ろす赤岡の姿。
自衛の為と言いながら、誰かを傷つける事が出来る…つまりはゲームに乗りかかっている相方に、これ以上足を踏み外させたくないから。
今はとりあえず、薬箱を探すだけ。余計なモノは、何ひとつ見つけてなどいない。見つかりもしない。
やがて自分達でも着られそうなシャツ数枚と薬箱を抱えて和室に戻ってきた…そして再び欄間に額をしたたかにぶつけた…島田に
赤岡は何か身を守る為に使えそうなモノはあったかと問うたけれど。
島田は無言で首を横に振り、赤岡は素直にそれに納得したのだった。
【号泣 赤岡 典明
所持品:MP3プレイヤー マイクスタンド
状態:貧血気味・左腕に裂傷・右頬に軽い火傷・顔面に打撲
基本行動方針:生存優先・ひたすら身を潜める・襲われたなら反撃もやむなし
第一行動方針:安静にする
最終行動方針:悔いのないように行く】
【号泣 島田 秀平
所持品:犬笛 (デイパック紛失) 缶詰5個 薬箱 シャツ
状態:貧血気味・胃が痛い・精神的に不安定・額にごく軽い打撲
基本行動方針:生存優先・理由はどうあれ暴力イクナイ
第一行動方針:赤岡に人を傷つけさせない
最終行動方針:考える余裕がない】
【15:10ごろ】
【元町の外れの民家】
【投下番号:100?】
連続投下に便乗して、初投下させていただきます。
デイパックには懐中電灯が入っていた。辺りが暗くても殺し合えコノヤロー、ということだろうか。しかしながら非常に残念なことに、中に電池が入っていなかった。使えるかどうか確認してから袋ん中入れろよ。ふざけんじゃねぇぞ。
平成ノブシコブシ・徳井健太は林の中をただ歩いていた。幸いなことに、今のところ命を狙ってくるような人物と出くわしてはいなかったが、安心していられるのは時間の問題だと分かっていた。
一人じゃ駄目だ。誰かと一緒にいなければ。
頭の中で名簿を広げ、馴染みのある芸人を探した。
カリカさん……。バッドさん……。
ミルク……。アーム……。
ピース……。ラフコン……。
……吉村。
いや、ない。吉村はない。
どうしてこんなことに巻き込まれてしまったのだろう。徳井は思った。
他の参加芸人と比べると、自分たちは知名度がない方だと思う。「売れています」と言う自信はない。共に仕事をしている芸人仲間のほとんどは、今日も平和な日常を送っているのはずなのだ。
なのに、どうして俺が……。
しかし、いくら恨んでも現状は変わりはしなかった。自分が置かれた立場を理解しなければ仕方ないのだ。先決すべきは誰かと合流すること。
だが先程ざっと名を上げた芸人は、自分よりかなり前に出発した『あ』『か』行の芸人、自分よりかなり後から出発する『は』『ま』『や』行の芸人が多かった。何もコンタクトも取っていないのに、運よく出会える確立は低い。
そう、コンタクトといえば……。今、目に入れているハードコンタクトは付けっ放し、ということなのか? 今日に限って、プライベートではいつも掛けている眼鏡を持ってき忘れてしまったのだ。
現時点でこんなにも運に見放されている。それでも、どこかの女神さんは微笑んでくれるのだろうか。
あー、もう、面倒臭ぇ。
やがて徳井の脳はプログラムに関する一切の思考を遮断した。
いつかは死ぬのだ。寿命が早くきた、と思えばいい。
沢山いる芸人の中には、何とか生き抜こうと他人を始末する奴もいるだろう。万一誰一人そういう考えの奴がいなくとも、首にコレがある限りいつか死ぬらしい。
たとえ殺されなくても、与えられた食料の量を考えると長くて一週間だ。
なら、そのときが来るまでせめて楽しいことを考えよう。
そうだな、たとえば……。
こういう森林!ってした森林ってそう見たことないよね。
雑草とかそういう名前も知らない草木がぼおぼおしてると自然って感じがするね。
自然はやっぱ侵しちゃいけないものだよね。
神とか霊とか宿ってるし。もののけさんもいるだろうしね。
だとしたら、当然いるはずだよね、ヤックル。いるよね、絶対いるよね、ヤックル。
だからほら、そこの茂みがごそごそなってるでしょ?
あれ、ヤックルさんってなもんだ。
あー、でも俺、弓矢持ってねぇや。乗り回すのは無理かあ。
「あ、徳井さん?」
ほらほら出てきたヤックル! いや違う、あれヤックルじゃねぇ。角短ぇもん。カモシカ? いや、むしろただの鹿の方が近――
「やっぱり徳井さんだ!」
徳井を呼んだのはヤックルでもカモシカでもなく、バンビの絵のTシャツを着た人間だった。華奢な体、淡泊な顔つき。徳井の二年後輩にあたる、ミルククラウンの竹内健人である。
同じ東京吉本所属で芸歴も近く、しょっちゅう顔を合わせる人物。そして徳井と同じ『た』行。徳井より十数分前にこの地に踏み入れた芸人だ。
「一緒に行動しましょうよ。ずっと一人で不安だったんです」
「今までずっと? 」
「相方と待ち合わせしてたんです。だから体育館出てすぐ、そこまで走って行ったから、人のこと考えてる余裕なかったんです。でも、いくら探しても――」
「ジェントルはいなかった?」
「はい……」
こんな時でも相方のお世話か。運ないね、竹内も。
竹内の相方は『ジェントル』。本名は菊地正和。もう一時間半以上前に出発している。甘えたな性格のジェントルは、到底このプログラムに向いているとは思えない。
そんな彼が、相方と約束した場所にいなかった。ミルククラウンのコンビ仲は良い方だと思うし、いくらジェントルが竹内より交友関係が広いといえどこんな時に、相方との約束をすっぽかすとは考えにくい。
こりゃ、大変じゃない?
「いいよ。俺も誰かと組みたいと思ってたし。一緒にジェントル探そう」
「ありがとうございます!」
竹内は屈託ない笑顔で礼を言った。幸運の女神には笑ってもらえなさそうだが、後輩の笑顔なら見ることができた。運のない者同士が偶然出会えたのは、果たしてツイているのかいないのか。
とりあえず、こんな状況下でも笑顔を見ることはできるのだと、徳井は少しホッとした。
【平成ノブシコブシ 徳井健太】
所持品:懐中電灯(電池なし) コンタクト(使用中)
第一行動方針:竹内と共にジェントルを探す。
基本行動方針:とりあえずプログラムのことは考えたくない。
最終行動方針:未定。
【ミルククラウン 竹内健人】
所持品:不明
第一行動方針:徳井と共にジェントルを探す。
基本行動方針:不明。
最終行動方針:不明。
【現在位置:林(H-7)】
【8/15 14:48】
【投下番号:101】
以上です。これからよろしくお願いします。
乙!
838 :
名無しさん:2006/09/23(土) 07:22:43
乙!
840 :
名無しさん:2006/09/23(土) 07:50:02
Z!
>>817で投下番号98でいいんじゃないかと
南海の話はまだ本スレ投下準備中だったし
何はともあれ書き手乙
一人落としたら連続で落とされる図式にワラタ
842 :
名無しさん:2006/09/23(土) 09:15:16
つまらん
843 :
名無しさん:2006/09/23(土) 09:36:00
アホな関西人しか分からないネタ乙
844 :
名無しさん:2006/09/23(土) 11:52:35
つまらないです
乙!徳井らしさが出てるなw
846 :
名無しさん:2006/09/23(土) 12:31:56
徳井って誰?
847 :
名無しさん:2006/09/23(土) 13:07:36
最悪な書き手発見('A`)つまらなすぎるんですが。もしかして厨?
書き手乙!
次の投下番号は101?
849 :
名無しさん:2006/09/23(土) 17:48:13
850 :
名無しさん:2006/09/23(土) 18:29:26
つまらん
◆4hcHBs40RQさん、正直言って面白くないです
書き手さん乙!
◆4hcHBs40RQ下手杉
やはり土日に投下するもんじゃないみたいだな
もうちと書き溜めとこ
◆4hcHBs40RQが下手だっただけだとオモ
別に普通じゃん
面白かった
859 :
名無しさん:2006/09/23(土) 21:08:31
投下乙!
乙!徳井編普通に面白いと思ったよ
ダブルブッキング編
>>350-352の続き。
教室に芸人が集められ、全員にこのゲームの趣旨が告げられた時。
ダブルブッキング・川元は、表にこそ出さなかったが
他の芸人たちと同じように、恐れ、動転した。
こんな状況の中で、自分は一体どうすればいい?
少しも見当はつかず、ただ黙って取りとめもなく考える他なかった。
次々と会場から出て行く芸人たち。
ふと周囲を見やると、それぞれこっそりと言葉を掛けたり、
手紙を回すなどして、合流する約束を交わしているようであった。
誰かと一緒に、協力して出来る限り長く生き残ろうというのだろう。
川元は―そんな約束をする相手など、一切頭に出てこなかった。
命を守りあうほど気を許せる人間なんて、芸人の中ではおろか、この世に1人もいはしない。
川元には、そういう確信めいたものがあった。
守りたい者も、自分を守ってくれそうな者も―いない。
大体、仲が良いと言えるような芸人すら全くいないのだ。
誰かと合流することなど、できはしない。
…そしてどう考えても、単独行動で生き残っていられる可能性は低い。
そう思い至って、川元は出発前から既に自暴自棄の状態になっていた。
長年活動を共にした、相方の姿が頭を翳めないでもなかった。
しかし、自分と違って相方には幾らでも仲の良い芸人がいる。
今頃あの緊張感のない顔で、必死に他の人間とコンタクトを取りにかかっているだろう。
そう思うとどうしても癪で、遠くに座っていた彼の方を決して見ないまま、会場から出て歩き出したのだった。
目的も当ても何もありはしない。
ただできるだけ人のいないところへ。川元の足は、自然と森の方へ向いていた。
支給されたデイパックの中身も、地図さえも、一切見ないまま。
無気力に、足だけを動かし続ける。
もう2度と立つことはできない舞台、演じられないコントの台本、
会うことも叶わない相方、様々なことを思考の中で廻らせながら。
打ちひしがれ、ともすれば泣き出しそうになるのを懸命に堪えながら、
ひたすらに、道なき道を急いだ。
疲労を感じて座り込んだのは森の奥深く。
虫の鳴く音以外には、何も聞こえない空間。
―できればこのまま何事もなく、全てが終わって欲しいと思った。しかしそれは叶わない願いであろう。
いつか必ず誰かがやってきて、それが何であれ、絶対に川元にとっていいことにはならない。
精神がどんどん重苦しく、暗くなってゆく。
(このまま何も分からなくなって、錯乱して、狂ってしまえたら)
とすら、川元は思う。狂人となって、思考も何も失ってしまえたなら、
そうすれば何も分からないまま、ともすれば苦痛をも知らないまま、
誰かによって殺されることが出来るだろう。
しかし川元は、この状況でも完全に冷静さを失うことはできない。
狂人になってしまえるほど、自分を捨てることができないのだ。
「……」
膝を抱え、丸まるように座った。ちょうどスタート直後、相方の黒田がそうしていたように。
勿論彼には知る由もないことだったけれど。
(このままぼーっとしていれば、知らない内に誰かに殺されているかもしれない)
ネガティブな希望を抱いて、川元はそのままずっとそこにいた。
自分のことをも忘却し、出来る限り早く楽になれるように祈って。
しかし、状況が一変した時、
川元が見たのは、彼にとって余りにも予想外の光景であった。
【ダブルブッキング 川元文太】
所持品:眼鏡(武器不明)
第一行動方針:考えていない(楽になりたい)
基本行動方針:隠れている
最終行動方針:考えていない
【現在位置:E4の森】
【8/15 15:00頃】
【投下番号:101】
>>256続き
横たわっていたのは紛れも無く小沢だった。
胸の上で手を組み、涼しい木陰で眠っているようにも見えるが
その手は乾いた血に塗れ、シャツの胸元を中心に赤黒いグラデーションが拡がっている。
彼が心臓を貫かれて死に至ったのは一目で判った。
風も吹いていないのに体中の汗が引き、背中から顔面までぞわりと寒気が走る。
「…………どういう、こった………」
震える唇をこじ開けてやっと声を絞り出した時、自らの呼吸が浅く、早くなっているのに気付いた。
(やべえ、何だこれ…)
自分が学校を発ってから3時間余りの間に何が起きたのか。
呼吸を整え、落ち着いて彼の死の手掛かりを探ろうとするが、
次から次へと込み上げる混乱や悲しみや後悔に身も心も押し潰されそうになり、堪らずその場にくず折れた。
「………何勝手に死んでんだよ……」
ふと口をついて出た言葉とは裏腹に、小沢を責める気持ちは微塵もなかった。
自分がほんの30分、ここに留まっていれば死なせずに済んだかもしれなかったから。
一番失ってはいけない人を亡くしてしまった。
>>864続き
自分に比べて芸人の友達が多く、後輩からも慕われている彼なら
殺戮に手を染めないよう相手を説得する事も可能だっただろう。
その結果1人でも多く生き残れば、いつかこの異常な事態を打ち破り、みんなで元の生活に帰れる術が見つかるはず。
そう信じてまずは2人で安全に潜める場所と必要な物資を揃えておくつもりだった。
しかしその行動の結果、
目の前にあるのは相方の変わり果てた姿という最悪のオチ。
「クソっ…!」
何も言わずに逝った相棒より、理想ばかりを追って動いた自分の不注意を責めた。
「…考えが甘い…ってか…」
再び銃声が響く。
さっき路地で聞いた時よりも音がかなり近い。
しかし、井戸田はうなだれたまま逃げようとはしなかった。
「……やりたきゃやれよ、もう……」
小沢の死によってあらゆる望みを絶たれた今、悲惨な運命に立ち向かっていく気力は完全に失せていた。
文字通りの絶望。
こんな状態で最後まで生き残れるなんて到底思えない。
いつか死ぬのなら、今死んでも一緒だ。
誰でもいい、いっそこの場でブッ殺してくれ。
何者かに銃口を向けられているような気配を感じた井戸田は
小沢の手の上に自分の手を重ねて小さく呟くと、固く目をつむって体を貫かれる覚悟を決めた。
「…今、そっち行くから待ってろ…」
【井戸田潤(スピードワゴン)】
所持品:結婚指輪・ダーツの矢(20本)
第一行動方針:死にたい
基本行動方針:死にたいけど自分では無理だから誰か殺して
最終行動方針:小沢の所へ逝く
【現在位置:G5の森(学校付近)】
【8/15 15:48】
【投下番号102】
スピワ待ってました!
おつです☆
死にたいなんて言うなよな〜潤さん…
乙です
一気に井戸田の行動方針が変わったな
乙
870 :
名無しさん:2006/09/24(日) 08:30:01
乙
871 :
名無しさん:2006/09/24(日) 10:11:25
ミソオデン
872 :
名無しさん:2006/09/24(日) 12:10:58
ミソオデン乙
乙
ミソオデンZ
ミソオデンZvsぁぅーむ
ぁぅ
ぁぅーむ
ミソぁぅーむ
879 :
名無しさん:2006/09/25(月) 07:38:22
乙
880 :
名無しさん:2006/09/25(月) 09:14:28
乙
続き楽しみ
乙
>>753-757の続き
校舎を出てから約1時間半、大水は森の中を彷徨っていた。
あれから、もうどれ位経ったんだろう。時計が見れないから、時間の確認はできないな。
このディパック、開けない事にしたから。
まあ、色々と不都合は出てくるだろうけど、この際それはかまわないさ。
ほんの少しでも、この『プログラム』に乗っているような素振りは見せてやらない。
たいしたこと無いだろうけど、僕なりのささやかな反抗。
元々、生き残ろうとは思っていない。
可能性が低すぎるし、どうしても必死な姿を見せる事になってしまうから。
それだけは嫌だ。あの先生が楽しむ姿が目に浮かぶ。
僕としては、ちょっと先生の思惑に逆らうだけで良いんだ。そっちの方がきっと確実。
だから、そのために僕は、一つだけ自分にルールを課すことにした。
『先生から見て、完全に無気力・無感情に見える行動を取る』
これなら達成できる確率は高い。でも、食事とかできないのはキツイかな。
人と比べて、そんなにお腹が空く方では無いと思うんだけど。
何せいつもは、少しでも体重を増やそうと、満腹になっても無理やり何か詰め込んでいるから、
食べない辛さよりは、食べなきゃいけない辛さの方が良く知っている。
そこまでやっても体質のせいか、せいぜい現状維持止まりなんだけどね。
ただ、そのせいで普段食べない事には慣れてないけど。いったいどうなるんだろう。
しかも、僕の体は、かなり気まぐれ過ぎるのが厄介なところだ。
相当多くの水分を摂っても喉が渇く時もあれば、そんなに摂らなくても平気な時もあるし。
今日は平気な日だといいんだけどなぁ…
どうせ死ぬ気でいるにせよ、餓死はちょっと嫌かもしれない。
苦しみに耐えなきゃならない時間が長そうだし、この体は少し食事量を減らしただけで、
すぐに体重が落ちてしまう。
どうせなら、こっちの方でも気まぐれを起こしてくれればいいのに、確実に痩せる。
今更、体型の事なんてどうでもいいと言いたいところだけど、やっぱりあまりにも痩せ細った
姿で死ぬってのも何か嫌だな。いかにも悲惨な感じがして。
まあ、他に方法が無いんなら、そこは妥協するしか無いか。
とにかく僕の目標は、緊張感の無い行動を取る事。
そうすれば少なくとも、先生が見て楽しいとは思わないはずだから。
ふと近くにあった木の方を見ると、誰かの足が見えた。
明らかに倒れている。もう誰かが殺されたのか。
まあ、今までの『プログラム』の例から言って、別におかしくない時間なんだけど。
犯人は、まだこの近くにいるんだろうか。…だとしたら………
そんな考え事をしている内に、大水は無意識にその人の姿を見てしまった。
まるで、吸い寄せられるかの様に。
………小沢さんだ…!
そう認識した瞬間、一気に心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
でも、たぶん表情には出ていない。大丈夫だ。
心臓の鼓動なんて、監視カメラじゃ気付かないし、脈を計る首輪だって、そんな細かい事
分かるわけ無い。これは、生死を調べるだけの物だから。
後は位置を調べるとか、ルールによって爆発するくらいか。
いや、でもそれは表向きで、『盗聴機能が付いている』という噂を聞いた事があるな。
まあ、どうせ話し声ぐらいしか拾えないだろう。だとしたら、僕には全く関係無い。
今のところ、人と会話する予定も無いし、話すはめになったら…適当に誤魔化すから。
…とにかく、動揺している事がバレなきゃそれでいい。
また歩き出すことにしよう。なるべく、彼の方を気にしないようにして。
彼とは確か1ヶ月ほど前に会った。僕らが珍しくホリプロのライブに出演した時、楽屋で
優しく声を掛けてくれたなぁ…。どうやら舞台袖で見てくれていたらしい。
その後は、よく顔が似ているって言われてる事などを話して…
あの時はホントに嬉しかった。僕らみたいな、売れてない若手にも気を使ってくれて。
いい人だったのにな…。
いや、むしろいい人じゃ無かったら、あんな死に方はしない。
一瞬見ただけだったけど、あの体勢は自殺だと確信できた。
この『プログラム』は、いい人ほど死にやすい傾向がある。
もちろん、何の作戦も無く人を襲うような悪人だってそうなんだけど。
自殺とまでは行かなくても、お人好しな人だったら、誰かに騙されて不意打ちされる…なんて事も
考えられる。
その場で殺されるだけなら、まだマシな方か。
場合によっては、『自分達は助かる』と希望を持たされて、利用されまくったあげく裏切られて、
絶望のまま死んで行くケースだってある。そっちの方が相当最悪だ。
『プログラム』だけに関わらず、今の世の中は、人を信じない方が良いような気がする。
……なんだか寂しいけど、現実を見ると、どうにもそう思えてきてしまう。
さっきの自分は、本当に『完全に気にしていないふり』ができただろうか。
動揺して、急ぎ足になっていなかったかどうかは、少し不安だった。
もし、監視カメラの映像を見ることができるなら、それを確認できるのに。
いや、もしできたとしても、それはやりたくない。
ただでさえ、テレビに映る自分の姿は嫌いなのに、それどころか、
さっきの小沢さんの姿を、もう一度見るはめになってしまう。それは避けたい。
考えていたら、軽く吐き気がするのを感じた。やっぱり体は正直なんだな。
でも、平静を装う事だけなら得意分野だ。
できれば、心の中も完全にそうなってしまえば良いんだけど、こればっかりは中々難しい。
だれかが倒れていると確認した時点で、何も見ずにその場を立ち去ってしまえば良かったのに。
見たって、自分にとって、絶対に嫌な結果になると分かっていたはずなのに。
どうして目撃してしまったのか、何であの一瞬、視線を逸らせなかったのか。
もしかしたら、本能的に『怖いもの見たさ』で見てしまったのかもしれない。
だとしたら、まったく迷惑な本能だ。いや、それも自分の一部なんだけど。
どっちにせよ、それを抑えられなかった僕が悪かったんだ。
正直気を抜いていたな、と後悔した。次からはちゃんと警戒するようにしよう。
見てしまったのはともかくとして…彼の死自体については仕方の無い事だ。
だって、最初から分かりきってた事じゃないか。
この『プログラム』に参加した時点で、生き残れる確率なんて、あまりにも少ない。
だから、さっきの事はただ、それを確認したかどうかの違いだけだ。
ポジティブな解釈をすれば、彼は早い段階で、この『プログラム』から開放されたとも言える。
それに、自分の死に方を、自分自身で選択できたんだ。ある意味幸せじゃないか。
気持ちをなんとか紛らわせようとしているのが自覚できて、少し嫌気が差した。
もっと冷静な気持ちでいられると思ってたのにな。ちょっと甘かったか。
とにかく違う事を考えよう。これからの僕の行動も、もっと具体的に決めなきゃならないし。
自殺…かあ……そういう手もあるよなあ。
殺し合いを拒否するという点では、確かに先生の思惑には逆らっている。
僕が、それをするのかどうかは、また別の話ではあるけれど。
……選択肢の一つには入れておこうか。
【ラバーガール 大水洋介】
所持品:未確認
第一行動方針:小沢さんの事に関しては、早く割り切る様にする
基本行動方針:先生から見て、完全に無気力・無感情に見える行動を取る。
先生の思惑に、一番逆らえる事が何かを考える。
最終行動方針:先生の思惑に、一番逆らえる事を実行する。自殺もあり?
【現在位置:森】
【8/15 14:25】
【投下番号103】
890 :
名無しさん:2006/09/25(月) 17:57:57
乙
乙!!
893 :
名無しさん:2006/09/25(月) 21:17:24
乙です!
乙です!!
乙。
大水いいキャラですね。
ソラシド水口編です。
森の茂みの奥深く、水口は呆然と立っていた。
自分の足元の血痕。それを2,3歩辿れば男と女の死体。
女性の遺体は胸が真っ赤に染まっており、胸以外にもあちこち弾丸の掠めた痕があり、
男性の遺体は頭部を撃たれており、顔のパーツ幾つかが飛び散っていた。
「ぅ・・・ぅおぇえええっ!!!」
余りの凄惨な遺体の状況に、水口は吐き気を抑えられなかった。
吐いたら吐いたで、腐敗臭と嘔吐物の臭いが混ざって余計気持ち悪い。
水口は逃げ出したかった。目の前の異物から。
だが、彼は彼自身の決意に縛られ、逃げる事が出来なかった。
”亡くなった人に少しでもやさしくなれるように。 ”
その言葉を必死に自分に言い聞かせ、水口は遺体に歩み寄った。
男性の遺体は、正視に戸惑う程悲惨なものだった。
頭部が潰れているのに、首から下が綺麗なままなのが不快だった。
簡単に人は死ぬ、と改めて言われたようで。
隣の女性の表情を見ると、口も目も半開きのままだった。
涙の痕がまだ残っていて、右手を伸ばしたままだという事から、
死ぬ寸前まで助けを求めていたのだろう。
その顔は悲壮に満ちている。そう、あの時水口が埋めた猫の様に。
「この人、女の人やのに・・・」
女性の芸人も何組か参加している(させられている、の方が正しいか)。
水口の脳裏に浮かんだのが同期の女性コンビ、アジアンだった。
目の前の哀れな女性がもし、彼女達だったら---------?
水口はそれ以上考えるのが怖くなって、ひたすら土を掘る事にした。
考える暇を脳に与えない様に、疲れる事も忘れて水口は2つの深い穴を掘った。
「なむあみだぶつ・・・」
手を合わせて、棒読みで念仏を唱える。
そういえば、相方は寺の息子だったなと思い出した。
水口の相方、本坊の意味不明の明るさが今は懐かしかった。
「遺体を埋める」目的を達成した今、水口は強大な不安に襲われた。
一人でいる事が、今になってやっと怖くなってきたのだった。
変わっていく空の色が、余計に不安を煽る。
ゲーム開始から今まで、自分が接したのは死体だけだ。
そう思うと、汗ばんでいた身体に寒気が走った。
その寒気が嫌で、それを振り払う様に水口は走った。
ただやみくもに走るという事はかなりの危険行為なのだが、
そんな事を考える余裕は水口にはなかった。
「誰でもええ。誰でもええから一緒にいてくれ!」
そう思いながら走っていたら、前方の茂みの端に人の足が見えた。
もしかして、また死体?
立ち止まって見ると、それは曲げていた足をまっすぐに伸ばした。
生きてる!!
あの細長い足、茶色いズボン、もしかしてあれは--------
「本坊!?」
「水口・・・さん?」
「お前、石田!!?」
疲れて木にもたれかかっていた人物は、水口の後輩であるNONSTYLE石田 明だった。
転んだのだろうか、彼のトレードマークの白服上下は泥だらけだった。
「今の感じやと、本坊さんとは、まだ会えてはらへんのですね・・・?
水口さん一人ですか・・・?」
「うん、始まってからずっと一人や。」
「誰も、殺してませんよね・・・?」
「俺の武器これだけやもん、無理や。」
「そうすか・・・」
相当疲れているのか、石田はずっと肩を上下させている。
「お前の武器は?」
「何か、糞重いナイフっていうか、刀っていうか・・・
それずっと持ってきたから、肩はずれそうっすわ・・・」
「このバッグお前の?開けてもええ?」
「ええっすけど、マジ糞重いっすよ・・・」
「うわ重た・・・っ!!」
水口が取り出したのは一メートル程の長さのごちゃごちゃした鞘の付いた剣だった。
鞘にはグリップがついており、試しに押してみるとカシャンと刀身が抜けた。
「うわびっくりした!!!」
「一人で何騒いだはるんですか・・・」
「でもこれ結構当たりと違うか!?」
「でも、説明書英語のしかないからさっぱりっすわ・・・」
ほんまか、と言いつつデイパックの奥を探ると、右奥の内ポケットに
何枚かホチキスで閉じられた紙が入り込んでいた。
「お前ここに入ったあるやんけ!!」
「あーもう水口さんうるさいっすわぁ・・・」
石田は虚弱体質の体を酷使して不機嫌なのか、自分の武器であるというのに
どうでもいいといった感じである。
「うるさいってなんやねん・・・」
ぶつくさ言いながら、水口は説明書に視線を移した。
「何々、”この度は当社製品「オフェンスキープ」をお買い上げ頂いて、
まことにありがとうございます。この商品は・・・」
しばしの沈黙。
「石田!石田っ!!これ見て!!!」
「だからうるさいですって・・・」
「いいからこれ見ろって!!!」
石田は水口に言われるまま説明書を見た。
その説明書の文は迷彩服を着た可愛いキャラの吹き出しでこう記されていた。
”この度は当社製品「オフェンスキープ」をお買い上げ頂いて、まことにありがとうございます。
この商品は「攻勢維持」の名を持つ汎用強襲剣です!あらゆる戦況に対応できる様、
攻撃時のスイングバランスが徹底的に計算されています。鞘(シース)には麻酔銃とスタンガン内臓!
ちなみにスタンガンはモード選択可能です。刺突から防御までこれ1本でOK!!”
「・・・・・」
「めっちゃすごいやん、これ。」
それから二人は一緒に説明書を読みふけった。
「・・・麻酔銃とかスタンガンやったら殺さずに済むかもしれませんね。」
そう呟いたのは石田だった。
水口には希望の光が見えた。これがあれば、殺さずに済むし、殺されずに済むかも。
これで殺る気の奴を気絶させて、襲われている人を助けられる。
殺る気の奴だって、気絶して目ぇ覚ましたら馬鹿な事したって考えてやめるかもしれへん。
その時だった。
『芸人の諸君、頑張って殺しあってるかな?』
第一回目の放送だった。
石田は眉間に皺を寄せながら、デイパックの名簿を取り出しペンを持った。
水口は手を動かさず、ただ視線を泳がせていた。
死亡者の名前が読み上げられていく。
中には水口が最初に埋めた参加者、はんぺんの名前もあった。
水口も石田も沈鬱な気持ちで放送を聞いていた。
だが----------
『126番 隅田美保(アジアン)』
石田はその瞬間、水口を見た。
水口の顔は、石田の今まで見てきた顔の中で一番悲壮だった。
【ソラシド水口 NONSTYLE石田 合流】
【ソラシド 水口 靖一郎
所持品:スコップ、ガム
基本行動方針:遺体を発見時、埋葬し弔う。
第一行動方針:相方捜索
最終行動方針:未定
【NONSTYLE 石田 明
所持品:オフェンスキープ
基本行動方針:とりあえず病気にならない
第一行動方針:骨とか折らない
最終行動方針:健康でいたい
【現在位置:F-5の森】
【8/15 18:04】
【投下番号:104】
乙です
石田の行動方針w
乙です。
石田的にはゲルマニウムブレスとかチタンネックレスとかの方が良かったんだろなw
乙です!
弱々しい2人が出会ってやたら強力を持ってるのがwktk!
910 :
名無しさん:2006/09/26(火) 06:19:27
乙です!!!!
911 :
名無しさん:2006/09/26(火) 08:04:31
乙
乙です。
石田の行動方針に笑ってしまいましたw
913 :
名無しさん:2006/09/26(火) 09:32:29
もうちょっとメジャーな芸人の話を投下してくんないかな
2002年バージョンと比べて
メジャーの比率が圧倒的に少ないから困る
914 :
名無しさん:2006/09/26(火) 10:59:52
>>913 それなりに知名度のある若手は出てると思うけど
例えば誰よ?
915 :
名無しさん:2006/09/26(火) 11:32:05
>>913 エンタのほうにでもいけばいいじゃん。
別にそんなにマイナーじゃないしな。
916 :
名無しさん:2006/09/26(火) 12:22:46
ソラシドって誰っすか?
確かに知らない人多いな
最近オンバト見てないからだろうけど
>>913 出た、「俺が知ってる範囲の事だけが世界の常識」パターンw
>>918 いやいや
「メジャー」じゃない人が多いのは確かだろw
芸人ランク的に下位なのも多数
どの辺りから「メジャー」扱いになるんだろう
全国区の番組にレギュラー1本以上とか?
レギュラーなくてもゲストで呼ばれるんだったらメジャーじゃない?
逆にオンバトだけにコンスタントに出ても、
オンバト見ない人にとっては「誰?」ってなる
エンタ芸人はなー、視聴率いいし話題として知ってる人多そう
しかしながらここは芸人板だから、メジャーじゃなくても関係ないと思う
924 :
名無しさん:2006/09/26(火) 15:03:43
はいはい^^
知らない芸人の話に興味持って、実際にネタ見てみるのもアリかも。
926 :
名無しさん:2006/09/26(火) 16:42:43
キモ
ミソオデン乙!!!!!!!!
自分は知らない芸人のは飛ばして読んでる。名前しか知らない芸人も。
ラバーガールとか。
よくわからん…
知ってる芸人のだけでも楽しめるだろ
>>922 今回いる芸人だと、
青木さやか、浅草キッド、雨上がり、アンガールズ、アンジャッシュ、
アンタッチャブル、いつここ、インパ、江頭、おぎやはぎ、
オリラジ、カンニング、キャイーン、麒麟、キンコン等々、
お笑い知らない一般人でも知ってそうな人達のことでは
930 :
名無しさん:2006/09/26(火) 18:16:41
で?
>>913 まあ読むも読まないも自由だし、書き手さんを急かすなよ
したらばで名前が挙がってるペナルティ・ほっしゃん。&宮川大輔は
参加してたほうが盛り上がったかもね。
鳥肌実が参加しているのは、政府の策略だと思ってる自分w
誰か書かねーかなー鳥肌w
鳥肌か…
三島由紀夫的なアレしか想像できないw
>>934 くりぃむしちゅーも入れてあげてください…
鳥肌実とデブ肌実の共演を夢見ています
チャプチャプうるせえよ
次長課長河本投下します。時間軸も投下ペースもスローで申し訳ない。
以前波田について指摘してくれた方有難うございました。遅くなりましたが直しときます。
ざざ、と乾いた砂がコンクリートを擦る音。
小さな足音耳に感じながら辿り着いた病院の階段を登る。
建物に近付いている間は色々と今後について思考していた筈の脳も、何時の間にやら考える事を止めて気付いたら唯単調に己の足音を聞いていた。
二階に辿り着いた所で、河本は肩にかけたデイパックを提げ直した。
「………」
人気は無い。
明かりもついていない病院内は、廊下に面した部屋の扉を時折窓から差す薄ぼんやりとした光が照らす程度で、後は暗くどこかどんよりとした空気に支配されていた。
自分の足音のみが響く中で、散漫になった思考に釣られてか、それとも無人の様子のせいか、どこか注意力散漫に歩く。
知らず足音は少し大きくなっていた。
第二内科と書かれた部屋の前で足を止め、スライド式の扉を開く。
「……誰も居らん、」
なんとなく呟いた独り言はやけに大きく聞こえ、自分で一瞬ぎくりとしてから口を噤む。
窓の外からの音も無い。
人気の無い病院は不気味な位に静かだった。
草が擦れる音すら無い無機質な空間に滞っていた思考回路が再び動き出す。先程迄とは少し違った方向に、思考は働いた。
こんなに静かな空間で自分は一人で一体何をやっているのか。
つい数時間前はロケバスの中で、すぐ隣に座っていた相方とコントのネタなんて考えて呑気に笑っていたというのに。
「…あかん。」
首を軽く横へと振って、邪念振り払う様に室内を歩いた。
一瞬頭を過ぎった疑問符を忘れる様に自分へと言い聞かせながら、適当に使えそうな物を探す。
数時間前の情景が頭に浮かんだ。
何度かゆっくりと瞬きをして、意識して脳裏から消し去った。
「…あかんて。」
再度言い聞かす様に呟く。
己の指針に少しでも疑念を抱いてしまったら、もうそれ以上自分は生き残れない気がした。
つい数時間前迄は笑い合っていた相手だって。
静止画として岩尾の姿が頭に浮かぶ。
あかん、と再三呟き、河本は台車の上に乗っていた消毒液と包帯をデイパックの中へと詰め込んだ。
期待していたメスや抗生物質の類は見当たらない。内科やし、と今更部屋のチョイスを間違えた事に気付いたりした。
一通り室内を物色終え、診察台に腰掛ける。
すぐ横の本やB4用紙が何枚か放置されたデスク上を眺めていると、ふと万年筆とガムテープが目に止まった。
少し考えてから、それもデイパックに放り込む。何か使えるかもしれない。
その後天井を見上げて浅く息を吐いた。
あー、と再び散漫になり始めた脳裏を現す様な間の抜けた低音で呻く。
無音の状態は決して精神的に良くないと無意識に悟っていた。ふと気を抜くと考えすぎてしまう。
たかが数時間動いただけなのに全身が異常にだるかった。
暫くして少しだけ体が休まった気がして、河本はゆっくりと診察台から立ち上がった。
乾いた血液がぴりと小さく皮膚を引っ張る様な感触がして、脇腹が痛む。
喉の渇きを覚えて水道の水を少し飲んだ。
そういえば、と思い出し、ちらりと再びデスクへ視線を向けるが、計算機は見当たらなかった。
それから更に数分して河本は診察室を出る。
窓から差し込む光は先程よりも更に少し暗くなっていた。
相変わらず無言の廊下を、自分の足音だけが小さく響くのを聞きながら来た時と同じ道を戻っていく。
一度だけ時計を確認した。
開始から三時間が経とうとしていた。
後三時間で第一回目の放送がある筈。
(…決めんのはそれからや。)
六時間で参加者の何割が死ぬか。
状況を把握する迄は迂闊に動かない事にして、河本は取り合えずと入った時と同じ様に病院から足を踏み出した。
あと三時間。
身を隠していられる場所を目的地と定めて。
ふと頭の片隅に誰かの笑う声を聞いた気がして、右耳を軽く押さえた。
眉を顰めて、歩を進めながら首を傾げる。
乾いた血液がぱらりと幾らか、押さえた所から剥がれ落ちた。
【次長課長 河本】
所持品:デリンジャー 折り畳み式果物ナイフ×5 消毒液 包帯 ガムテープ 万年筆
第一行動方針:三時間身を隠す
基本行動方針:生き残り優先
最終行動方針:優勝狙い
【場所:病院】
【8/15 16:48】
【投下番号:105】
乙!
またガムテープ持ってかれたwww
ガムテープktkr
945 :
名無しさん:2006/09/27(水) 07:39:36
\(^O^)/
河本編乙!
ガムテ…
948 :
名無しさん:2006/09/27(水) 15:06:59
アッー!
乙!
951 :
名無しさん:2006/09/27(水) 17:26:34
乙です!!!!
953 :
名無しさん:2006/09/27(水) 22:21:45
アッー!
放棄多いな
そして「放棄」「破棄」「廃棄」をごっちゃにしてる奴も多いな
はじめまして、フットボールアワー後藤編投下します。
フットボールアワー後藤は森の中頭を抱えうずくまっていた。
「なんやねん殺し合いをしてもらうて」
全てドッキリだと、随分と手の込んだ悪戯だと、散々いい画がとれたからもう十分やないかと叫びたかった。
だが見せしめとして殺されたいつもここから山田の姿が後藤の記憶から離れない。
傷口からあふれ出す血液が凝固していく様、赤みを帯びていた肌が時間が経つにつれ色を失っていくその様さえも…
恐ろしいと思いながらもそれから目を離せなくて相方である岩尾の名前が呼ばれた事さえも気づかなかった。
自分の名前が呼ばれ乱暴に渡されたデイバックの中に実は「ドッキリ大成功」とか書かれた紙が入っているんだと
一縷の望みを託し森の中に逃げ込み中をひっくり返してみたが望んだものは出てこず草の上には
地図やらコンパスの類が広がっただけだった。
ただその中で異彩を放っていたのは一本のコンバットナイフ
鞘に納まってはいるもののそれは明らかに人を傷つけることのできる武器だった。
夢でも幻でもなく現実に自分がバトルロワイアルに巻き込まれている。
もう死んでしまった彼の芸を見ることも、声さえも聞くこともできない。
それが他人の手によって自分の目の前で行われた。
いつ自分がその死体の仲間入りするかわからない。
その事が後藤の脳内を恐怖で埋め尽くし彼をそこから一歩も動く事を許さなかった。
そんな後藤の耳になんの前触れもなくぱぁんという破裂音が響いた。
驚きながらも必死に声を漏らさぬよう両手で口を塞ぎ身を縮こませた。
その音は銃声のように聞こえ、すぐそばで殺し合いが行われているという危機感を後藤に募らせた。
暑さのせいの汗か、それとも自身の冷や汗か、それが頬を幾筋もつたい地面の上に落ちていく。
破裂音はその1回のみ。しばらく辺りは静まり返ったが夏の風物詩ともいえる蝉の鳴き声が再び響き渡りはじめた。
後藤にとってはそれは永遠に続くと思われた長い時間だった。
ようやく緊張のピークから脱したものの間近で銃声らしき音がした以上自分が現在いる場所も安全とはいえなくなり
その場から離れるため必死で後藤は先ほど自分がぶちまけた物をデイバッグの中に突っ込んでいった。
その時、偶然にも後藤の視界に参加者名簿に書かれた相方の名前がとびこんできた。
名簿の順からして丁度自分の1時間前に出発した岩尾は今どうしているだろうか。
山田の死体に目を奪われていた為教室を出る彼の姿を覚えていない。
「アイツ、探さな…」
一人だとどうしようもないが二人なら、到底岩尾が頼りがいのある奴だとは思わないが、
むしろ優柔不断でイライラするだけだろうが、ただ一人でうずくまっているよりはまだ道はあるはずだと。
未だに足は恐怖に支配され思うままに動かないが、それだけではなく長時間同じ格好をしていたせいで
痺れてしまったのもあったのかよろよろになりながら木にもたれかけ後藤はようやく立ち上がった。
「どこにおんねん岩尾…ま、どこにおってもあの特徴ある顔とうっすい頭でわかるけどな。」
募る恐怖を誤魔化すためにひとり言をつぶやき後藤は森の中を歩き出した。
「アイツの事や、『えー、これドッキリやなくマジもんなん?』とか言うてなっさけない顔してるんやろうな…
俺も人の事は言えへんけど、会ったらそんな素振り見せたらへんぞ」
そう、普段どおりの表情で、自分がビビっていた事を悟らせない為にパンパンと顔を叩き気合を入れた。
用心の為、茂みの中に隠れながら歩いていたが10分もしないうちに茂みが途切再び次の茂みを探すために辺りを見回した時だった。
唐突に倒れている人間の腕が見えた
誰?と思う間もなく後藤の体は無意識にそちらの方へ向かっていた。
ドサっという音を立てて後藤の肩からデイバッグが滑り落ちる。
「・・・・ウソやん」
目の前の光景が信じられずその言葉しか出てこない。
茂みの途切れた先倒れていたのは、後藤が探そうとしていた相方、岩尾だった。
即死だったのだろうか、目を閉じることもなく地面に力なく倒れ致命傷となったであろう傷口からでた血が地面に広がっていた。
「岩尾…寝てんのか?」
再び足がおぼつかなくなりながらゆっくり倒れている岩尾の元へやってくる。
「まさか、まさかやろー?くっさい芝居しくさって。岩尾、おいお前、ぜんっぜんヘタやん、お前が俺を騙そうやなんて、
100年早いんじゃ!なんやねん、今さら死んだフリなんかして、そんなんに今更俺は騙されへんぞ!
第一ブサイクな顔が今余計ブサイクになって…見るに耐えられへんわボケー!」
きっとこう言えば『もぉ、何でわかったんー?』やら『そこまで言う必要ないやん』とか言いながらゆっくり地面から起き上がる。
そう後藤は信じていた。
例え岩尾の様が先ほど教室で死んだ山田と全く同じような状況でも岩尾が起き上がれば
やはり山田も死んではおらずやはりドッキリだったのだと。
だが、そんな願いは届くはずもなく呼吸をしていれば上下するであろう胸も何もかもピクリともしない。
「ウソやろ、ウソや…」
そう呟く後藤の頬を再びつたうものがあった。
しかし今のそれは汗ではなく彼の目から流れでるものである。
後藤の指が恐る恐る倒れている岩尾に触れる。
その岩尾の体はまだ暖かく死後硬直も始まっておらず柔らく生きている時となんら変わらなかった。
だが間違いなくて全ての生命活動を停止している岩尾の骸は沈黙を保ったままそこに横たわっていた。
「こんなんウソや言うてくれ!頼むからや、岩尾動け、動けや!」
後藤が岩尾の体を揺する度傷口から血が流れ出す。
辺りには血の匂いに混じり仄かに硝煙の匂いが漂っている。
ふと後藤は思い立った。
つい先ほど自分の近くで聞こえた破裂音。
あれが紛れもなく銃声だったなら、それは岩尾の命を奪った音であった。
その音を聞いた時、自分は何をしていた?
歩いて10分もしない場所に自分はいて、恐怖のあまり一歩も動けないでいた。
岩尾が死んだ瞬間側にいたはずなのに何もできなかった。
むしろ、もっと自分が早く行動を起こしていれば岩尾と合流し、
行動を共にでき、そして、今この場所で岩尾が死んでいる事もなかった。
「あ…あぁ…うああああああああああっ!!!!!」
大声を出すという行為は他人に自分の存在を知らしめ身を危険に晒す事であることを忘れ
後藤は声の限り叫び岩尾の体に縋りついた。
怒り、悲しみ、悔やみ、憤り、恨みといったありとあらゆるマイナスの感情が
後藤の脳内と精神を支配し尽くしていった。
「…は、はははっ、ははははははは!!」
やがて後藤はゆっくり岩尾の骸から離れながらも笑い声をもらす。
その表情はつい先ほどまで恐怖に怯えきっていた男の顔ではなかった。
頬は変わらず涙で濡れているが目は血走り狂ったような笑みを浮かべている。
「安心せいや、絶対にお前の仇はとったるから…」
そういうと後藤は岩尾の両手を胸の上に組ませた。
続いて開いたままの目を閉じてやるために後藤が手を岩尾の瞼に乗せた時ふたたび後藤は笑い声をあげた。
「そうや、お前を撃った奴見つけたる…絶対に、絶対に許さへん」
後藤は先ほど落としたデイバッグの中からコンバットナイフを取り出し鞘から刀身を抜き出す。
そして閉じられていない岩尾の目にコンバットナイフを刺し両方の眼球を抉り出していく。
勝手がわからないのか時間がかかったもののナイフはその目的を遂げる事ができた。
「はははっ、そうやって側で見といてくれや…岩尾」
抉り取られたその眼球は血に塗れまるで後藤の手の上で血の涙を流しているようだった。
その涙が己の末路を嘆いたものなのか、相方の常軌を逸した行動を哀れんだものなのか、
その問いに答える事もできず二度と口を開かぬ岩尾と恍惚の表情で眼球を持った後藤の姿を
ただ夏の強い日差しだけが照らしていた。
【フットボールアワー 後藤】
所持品:コンバットナイフ、煙草、ライター 、眼球
第一行動方針:岩尾を撃った奴を探す
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明
【現在位置:森】
【8/15 15:27】
【投下番号:106】
今回はここまでです、つたない文章ですいません。
ちょ、後藤
どこにしまっておくつもりだそれ(((((;゚Д゚)))
後藤Koeeeeeee!!!!!
今回少し短いですが早朝から投下させて頂きます。
「嘘や・・・」
いつここの山田が撃たれた時も最初はまだドッキリかなにかだろうと思っていた。
全身穴だらけの山田から流れ出る大量の赤い血を見てもなお、ドッキリであることを信じて疑わなかった。
しかし彼を迎えたのはスタート地点に倒れている無数の死体、鼻に来る強烈な死の臭い。
死体から逃げるように森の中へと走り去り今に至る。
「嘘やって・・・」
森に入ってからの彼を迎えたのは発砲音。
幸い彼からは距離があるようだが、安心は出来そうに無い位置からである。
ふと彼は銃声の方へ顔を見やる、今この瞬間に誰かの命が消えていてもおかしくはない、むしろその可能性のほうが高いのだ。
そう考えると不安に駆られずにはいられなかった。
「嘘やないんか・・・」
これは本当に殺し合いをしているんだ。
いつ自分が死ぬかもしれない状況で、気付かないうちに死んでいるかもしれないんだ。
そしていつか忘れられていくんだ、プログラムで死んだ芸人の内の一人だという事すらも。
「嫌やっ・・・」
次に彼を迎えたのは誰かの自分の名を呼ぶ声。
その声に反応し「ビクッ!」っと体を震わせ、肩から荷物をずり落として腰を抜かす。
そして彼は自分の出した温かい液体に包まれて前のめりに倒れ込んだのだった・・・
―――彼の意識はそこで途切れた。
【FUJIWARA 藤本】
所持品:不明
第一行動方針:未定
基本行動方針:とにかく生きる
最終行動方針:未定
【現在位置:森の中(I-6)】
【8/15 16:08】
【投下番号:107】
以上です。投下ペース遅くてすみません
968 :
名無しさん:2006/09/28(木) 07:38:48
何これ
後藤が怖い
きもい
藤本は大丈夫なの?
973 :
名無しさん:2006/09/28(木) 12:05:57
何すか、これ
何か、したらばにキモスレ立ってる('A`)
975 :
名無しさん:2006/09/28(木) 12:24:27
したらばって何すか?
976 :
名無しさん:2006/09/28(木) 13:30:56
「芸能人なんて99パーセントの人間がプロデューサー・スポンサー・
事務所社長・パトロンなんてのと
日課のように寝まくって仕事もらってる。 」
・・・そう思えて仕方がない今日この頃。
「いつの時代のはなしだ」「そんな糞女と一緒にするな」「大きい事務所ではしない」「してるならもっといい仕事が・・・」
「さすがに18歳未満ではないだろ」「○○ちゃんだけは違うはずだ
977 :
名無しさん:2006/09/28(木) 16:40:51
アッー!
枕営業したければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
272 名前: 林檎 ◆CaDyhnCamY 投稿日: 2006/09/26(火) 19:22:39
相談なのですが、高橋が泣けない原因を病気にするのはアリですかね?
273 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/09/26(火) 20:01:08
>>272 何かかっこいいですね、その設定。
個人的には、後天的なもの(プログラム参加のせいで病気になった)とか
ならアリだと思います。
274 名前: 林檎 ◆CaDyhnCamY 投稿日: 2006/09/26(火) 21:20:08
彼は元々お母さんの自殺など諸々があって色々精神がおかしい(といったら語弊があるかもしれませんが)
ところがあるようなので、プログラムが重なって精神的な病気になったという設定にするつもりです。
275 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/09/26(火) 23:09:20
>>274 笑えない過去とリンクさせるのはどうだろう…
実在の人物使って殺し合いさせといてなんだけど
だからこそ、死を含めてしまわない方がいいと思う
あんまりにもリアル過ぎる気がするよ
高橋詳しくないからわかんないけど、母親の自殺は重要ポイント?
277 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/09/27(水) 00:19:12
>>274 >彼は元々お母さんの自殺など諸々があって色々精神がおかしい
なんてこと言うんだお前
漫画やアニメのキャラクターじゃないんですよ
279 名前: 林檎 ◆CaDyhnCamY 投稿日: 2006/09/27(水) 07:05:35
>>277 そうですね、何と言葉であらわしたらいいかわからなかったんです、すみません。
深くお詫び致します。
280 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/09/27(水) 10:17:19
>>275 もう書き手さん、いなくなっちゃったみたいだけど、一応一部分だけフォロー。
高橋は前に雑誌で、家族に対してコメントする企画で、「自殺をネタにして
すみません」みたいなこと言ってた。
本人がネタにしてるなら、笑えない過去かは微妙…かもしれない。
281 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/09/27(水) 19:35:28
>>280 お前、死にたくなるくらい辛い目に遭ったこと無いんだろうな
あったかい環境で育ったんだろうな
282 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/09/27(水) 19:49:29
>>281 いや、正直あるよ。本気で親とそういう会話したこともあるし、全然あったかい環境でも無い。今は普通かもしれないけど。
283 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/09/27(水) 20:21:46
もうやめようよこんな話。大体本人がネタにしてるからって
他人がそんな不謹慎なことをネタに小説書く免罪符になるわけないだろ。
この企画自体が相当不謹慎なものだけど、せめて芸人さんの
目にはいったときにフィクションとして笑い飛ばせるようなもの書いていこうよ。
正直これ高橋や事務所の目に入ったらスレがなくなっても
おかしくないくらい不謹慎だぞ。
284 名前: 281 投稿日: 2006/09/27(水) 21:07:12
>>282 感情的になってしまった、すまん
本気で向き合える親が居て良かったな
大切にしろよ
>>283 全て同意
書き手の皆さん、スレ汚しすみませんでした
290 名前: 282 投稿日: 2006/09/28(木) 00:01:48
>>284 ありがとう。こっちこそごめん。できるだけ大切にするよ。
自分は身内に自殺者がいるから、つい普通の事みたいに思ってしまったのかも。
似た境遇でも、人によって感じ方が全然違うことを、もっと意識するべきだった。
>>283 確かに、リアルすぎるのは、場合によっては不謹慎ですね。
本当に皆さんスレ汚しすみませんでした。
983 :
名無しさん:2006/09/28(木) 17:43:14
感想が貰えなくて落ち込む、という感覚があまりわからない。
ほめられてプレッシャーを感じる、という感覚も同じく。
自分は書くこと自体が楽しいから、自分が楽しんでやってることで
他人も楽しんでくれるならそいつぁめっけもんだと思うんだけどね。
感想をたくさん貰ったときはそりゃもちろん嬉しいけど、それよりも何よりも話をひとつ書き上げたときが一番嬉しい、
そういうノーテンキな書き手もいるぞー。
…とチラ裏やここを見ていてちょっと言いたくなった。
('A`)
感想が「乙!」だけなのもどうかと思う
感想書けないから「おおー」と思って終わってしまう
なので自分の時も大して気にしてないなぁ
毎回山場があるわけでもないしね
987 :
名無しさん:2006/09/28(木) 19:45:18
感想書きたければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ
776:名無しさん :2006/09/27(水) 21:24:24 [sage]
俺はもう二度とあのスレに行かない
あんなことを書いた奴が存在したスレには、絶対に行かない
あいつをフォローしていた人へ
俺は自分語りをする気はないし、そんなことしたって
人生やり直せないから書かないよ
あそこにも書いたけど、親御さん大切にしろ
796:名無しさん :2006/09/28(木) 00:07:47 [sage]
さすがに肉親の不幸(だよな?)をネタに持ってくるのは違うと思う
あんまり詳しくなかったからどこで釘刺したらいいか分からなかったんだ
どうやら本人の自覚が薄かったようだな
気が向いたらまた見に来ておくれ
989 :
名無しさん:2006/09/28(木) 22:41:53
書き手の皆さんお疲れ様です。
後藤さん発狂怖い・・・。
鳥肌はオリラジの中田と戦って欲しい
991 :
名無しさん:2006/09/28(木) 23:58:20
うんうん
はいはい
ペニス
ペニス
ペニス
ペニス
ペニス
ペニス
ペニス
うんこ
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。