「ちょっとぉ、まだなの? おかず冷めちゃうわよ」
「はいはーい」
慌てて返事をして大急ぎで服を着る。こんなタイミングで母に部屋に入られたら一大事だ。
で、どうしよう、これ。捨てるのもあれだし。
抜き取ったばかりのチューブは一面にねっとりした液体で覆われて、ほわんと雌の匂いすら漂ってくる。とりあえずそれを小さなタオルでくるみ、カーディガンのポケットに押しこんだ。
足早に下に降りて、洗面所にはいる。手を洗うついでにチューブも洗ってしまうつもりだ。
タオルから取り出そうとして触れた途端、びっくりして取り落とした。
温かい。
生暖かいチューブの温度が、それが胎内にあったと告げる。さっきまであたしがえっちな遊びをしていたと。
恥ずかしい。いたたまれない。
ふと目の前の鏡を見た。頬を赤く染め困惑した表情の自分と、目が合った。