【選民意識】アンチザ・プラン9 PART.3【有名無実】
●●には自分の名前を入れてねw
ここは、プラン9の楽屋。
1週間続いた公演も今日で無事に終わり、みんなお疲れムード。
「失礼しま〜す」
彼女は 苗字 ●●。
プラン9とは長い付き合いで、公演での音響や照明担当として活躍している。
演出家である鈴木つかさと、とても仲がいい。
「お疲れさまでした!」
ゴエ:「 ●●さんもお疲れさま。」
「今回の音響のタイミングもバッチリやったでっ!」
鈴木が ●●に駆け寄って行き、さっきの照明の話が始めた。
「ホンマ今日の照明、めっちゃ綺麗やったわ〜」
「ありがとぉ御座います!」
「みんな、ちょお集まって。」
リーダーである久馬からの珍しい召集。
久馬:「次の公演の台本が出来てんけど、、」
灘儀:「どないしたんや?」
「ホンマの女役が欲しいねん」
久馬:「女装って形やのぉて、ホンモンの。」
台本渡すから、誰が合ってるか意見出してや?
プラン9全員、久馬が書いた台本をじっくり読む。
●●はというと、楽屋の掃除中。
〜30分後〜
ゴエ:「コレやったら、五十嵐さんがあってると思いますけどねぇ」
ギブ:「俺もそう思いますよ。」
久馬:「俺も最初はそう思てんけど、、」
「これ、 ●●やろ・・。」
灘儀がそう呟く。
そして、台詞をもう一度読み返す。
「俺も ●●や思いますよ。」
音響や照明場所を鉛筆でチェックしながらも台本を読む鈴木。
「やっぱ、そうか。。」
作者である久馬が、人物設定に迷うことは実に珍しい。
全員がまた台本を真剣に読み始めた。
「みんな、真剣やなぁ〜」
楽屋の掃除も終わり、ちょっと退屈な ●●。
「?!」
携帯のバイブがポケットの奥で鳴り出した。
「スイマセン。お邪魔しました〜」
全員反応なしで、ちょっと落ち込みながら楽屋を出る。
ゴエ:「そうですね・・・ ●●さんが合ってるかも。」
久馬:「何回も読んだらよぉ分かるやろ?」
「音響と照明場所、記し付けたんで見てもらえますか?」
椅子から立ち上がり、久馬の方に歩く鈴木。
「あ、 ●●ちゃんは?」
ギブソンが思い出したように、問いかけた。
久馬:「あれ?ホンマや・・おらん」
灘儀:「あいつもあいつで忙しいんやで。」
鈴木:「あとで俺、電話しときますわ」
あいつ、ホンマ喜ぶと思います。
鈴木は笑顔でそう付け加えた。
「出来たっ!!」
台本チェックが終わった。
いつの間にか部屋には、久馬と鈴木しか居なかった。
空気中は、タバコの煙でいっぱい。
部屋のドアを開け、新鮮な空気を入れる。
その風がとても心地よく感じる。
椅子の上でグゥーっと背伸びする久馬。
「んじゃ俺、 ●●んとこ行って来ますわぁ。」
さっきから電話してんのに出ぇへんし。。
「そか、ありがとう」
時計を見ると、もう8時。
「んじゃぁ、お疲れ様でした。」
支度し終わった鈴木は、そそくさと楽屋を出て行った。
〜留守番サービs
「何でアイツ電話出ぇへんねん?」
電話は出るためにあるんちゃうんかいっ?!
・・ホンマどぉしょう・・・・。
〜♪♪〜♪〜
携帯が鳴りだした。
「もしもし、 ●●か?」
「あ、ハイ。何回も電話してくださったみたいで・・」
何か、スイマセン;
「私に用事って何ですか??」
携帯を握る手が冷たい。
「いや、次の公演の事でちょっと。。」
すれ違ったカップルがめっちゃ楽しそう。
「鈴木さん、今何処に居てはるんですか??」
「今かぁ?お前ん家向かってるとこ。」
「えっ?!」耳の感覚がなくなってきた。
「うそ。」他愛のない会話。
「 ●●のアパートの前」
●●は小さなアパートで1人暮らし。8時っていっても、さすが冬の夜。この寒さは辛い。。
「えっ、」
部屋から ●●が出てきた。
んでもって、慌てて階段を駆け下りてくる。嫁入り前の娘が、そんな格好エェんか・・・
「なんやねん、その顔((笑」
ホンマめっちゃ心配そうな顔で、今にも泣き出しそうやった。
「いつからですか・・?」
「何がやねんな?」
「昔はそんな身勝手な人やなかった。。」
泣き出しそうやった顔が一瞬にして、笑顔に変わった。
「寒っ?!」
やっと落ち着いたか思たら、、
「ホンマお前は世話の焼ける奴やなぁ」
「それは、鈴木さんもですよ?」
そやな。
もしかしたら、お前の方が一枚上手かもしれんなぁ
「まぁエェですよ?入ってください」
「帰る気も更々ないし。」
「意地悪いですよ・・?」
自分でもそう思たわ。。でも、しゃあないやん俺のホンマの気持ちやもん。
「んで、ここでこの音使おかなぁって。」
ラスト1つの音響設定。
もうかれこれ相談して、1時間半になる。
「うん!エェと思いますよ。」
「おっしゃっ!やっと仕上がった♪」
ラストの『OK』を貰うのに、どれだけ粘って話し合ったか。。
「でも今日、いつもより早く仕上がったんとちゃいます??」
「俺もそう思うわ。しっかし腹減ったぁ」
●●が作ってくれた料理がテーブルの上に並んだ。
「・・悪いなぁ、そんなつもりやなかったんやけど。。」
「エェですよそんなん!私も丁度お腹空いてたし」
●●は『料理士免許』を持つほどの腕前。時々、公演終わったら差し入れを俺たちにくれた。
その時のコロッケの味がホンマ美味くて、その事言うたら、『また作ってきます!』って。
そん時の事覚えてたみたいで。。今思たら、ホンマ素直でエェ子やな・・・。
コロッケは前食べた味と全然変わってなかった。なんか、ホンマ懐かしい味
「次の公演めっちゃ楽しみですね!」
「・・・・。」
「どうしたんですか??」
そらぁ〜、悩むわ・・・お前が次の公演に、ヒロインとして舞台出る事を。。
どっから、繰り出せばエェんやろ・・・?俺は箸を置き、
「・・・ ●●、大事な話あんねん。」
「大事な話ですか?」
「ヒロインとして、舞台に出てもらう。」
●●は驚いてるようで、食べてたコロッケを皿の上に置いた。
「何でまた私なんですか・・・?」
「設定にあってるから。」
俺に向けられる ●●からの質問を、坦々と返していく。
「俺ら、プラン9全員からの指名や。是非お前に、 ●●にやってほしい。」
「分かりました、やらせて頂きます。。」
みなさんがそう仰ってくれるのなら・・・。そう ●●はあとを付け足した。
「そぉか!良かったわぁ〜」
これで説得出来ひんかったら、どんだけグチグチ言われるか・・。
「んじゃぁ、明後日からの練習やからヨロシク頼むでぇ〜♪」
俺は残っているコロッケをパックと口に入れる。
そのコロッケはさっきよりも美味くて、ホッと一息を付ける味やった。
「ホンマこのコロッケ美味いわぁ〜!」
「公演が済んだら、また差し入れとして作りますね?」
その時、俺はこう思った。
『今日のみたいに、俺だけのために作ってくれへんかなぁ』
「おはよぉ御座います!」
ちょっと、はよ来すぎたかも。。
現在、6時10分前。
集合時刻は、6時半。
「おはよぉ〜」
楽屋の奥の方から、誰かの声が聞こえた。
「ゴエさん、おはよぉ御座います!」
いつでも、ゴエさんはプラン9の誰よりも早く楽屋に着いてる。
そんなゴエさんを見習おうと頑張って、早く楽屋に行くが、いつもゴエさんに先を越されている。
「 ●●さん、ヒロイン役するん?」
「あ、ハイ!させて頂きます。。」
そう言い、頭を下げる。
ゴエさんは私の肩をポンと軽く叩いて、
『その元気あれば十分やでっ』
そう一言言ってくれた。
ずっと悩んでた私の気持ちから、スッと何かが消えてなくなって行くのが分かった。
「あ、ありがとぉ御座います」
何か、無性に照れる。。
ゴエさんに褒めてもらうの、慣れてないってカンジで。ゴエさんはまた、台本を読み始める。
「ゴエさんって、なんでそんな早起きなんですか?」
台本読みの邪魔にならへん程度に聞いてみる。
「 ●●に負けへんように。」
そう静かに言った。
「私に・・・?」
「それだけの事。」
「あはっ、あははは」
なんだか、笑えてきた。ゴエさんは驚いて、台本を読むのをやめた。
「何でそんなに笑うん?!」
ゴエさんも照れくさいのか、少し困った顔をした。
「す、スイマセン。でも、ホンマ可笑しくて、、」
私は笑う出すと一向に終わることがない。
それをゴエさんは勿論知ってて、困り果てていた。
「いやぁ、違うんですよ?私もゴエさんと同じ事考えてて」
ホンマ笑いが押さえ込まれへん
「よぉあるパターンってやつか。。」
「それにしても、思てること一緒って・・・!」
また、笑いだしてしまった。
「なに、朝から大笑いしとんねん。 ●●」