その場に倒れこむ矢野。事態を飲みこめない斉藤は再び涙があふれた。
「あら、2人いっぺんに殺してもいいのねぇ。・・・・・・・・・・・覚悟しな。」
「・・・・・・斉藤!戦え!」
「え?!」
「戦うんや!早よ戦え!」
「うるさい!2人とも殺してやる・・・・・殺してやる・・・・・殺すのよ、絶対・・・・・」
青木の顔は例えようもないくらい恐ろしい顔つきをしていた。
斉藤は弓矢を拾った。 青木は斉藤の足に向かって散弾銃を打った。
――――――痛ッ!
左足に激痛が走った。しかし――“戦え” この言葉を忘れてはいない。
立ち向かう!今のオレは泣き虫じゃない!
ヒュッ トスッ
何かに刺さるような鈍い音がした。 ドサリ
「殺す・・・・殺すのよ・・・・絶対・・・・・に」
そう言い残して青木は倒れた。矢は青木の心臓に刺さったのだ。
斉藤は弓をゆっくりと手から離した。当たった――――――。
「斉藤!やったやん!当たったやん!」
斉藤は大慌てで矢野の元にかけよった。
「ぺぺ、肩・・・・大丈夫か?」
「なんとか平気や。・・・・・・ありがとうな・・・・・。オレ・・・・やっぱりお前に心配かけて・・・・」
斉藤はすべてわかった。矢野が隠し事をしていたのは青木に追われていて―――んで・・・・
――――ん?――――アホ!何が「心配かけたないねん」や。
「お前も、足大丈夫?」
「ん・・・・・」
2人はその場で休むことにした。
ただ、斉藤には「人を殺してしまった」という妙な感情が生まれていた。
【青木さやか 死亡】