◆芸人小説◆

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松口祐樹(ハリガネロック【吉本興業】・ボケ担当)
大上邦博(       〃        ・ツッコミ担当)

増田英彦(ますだおかだ【松竹芸能】・ボケ担当)
岡田圭右(      〃         ・ツッコミ担当)

陣内智則【吉本興業】

ケンドーコバヤシ【吉本興業】

平井善之(アメリカザリガニ【松竹芸能】・ボケ担当)
柳原哲也(       〃         ・ツッコミ担当)

小木博明(おぎやはぎ【人力舎】・ボケ担当)
矢作兼(       〃      ・ツッコミ担当)

梶原雄太(キングコング【吉本興業】・ボケ担当)
西野亮廣(      〃        ・ツッコミ担当)
299286:02/08/28 18:08
>298
活字にすると(しなくても)、恥ずかしい題名で・・・・スマソ。
>299
楽しみにしてるYO!
がんがれ〜
301名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/28 19:57
ここで官能小説書いていいの?
302東京庭付き一戸建て:02/08/28 20:02
はやく見たいにょ
何でもいいから見たいにょ
303名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/28 20:03
>>301
男×男?
304東京庭付き一戸建て:02/08/28 20:04
男にゃのぉ??
いやんw
305301:02/08/28 20:06
>>303
男芸人×女(架空の人物)の一夜限りモノ・・・を書こう・・・かと・・・
書いてもいいと思うよ。
でも、そういうの嫌いな人もいるかもしれないから、
他と区別できるように名前欄に工夫を施した方がいいかも。
307名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/28 21:05
たまにファンサイトとかでドリーム小説あるけど、正直ひきます・・。
官能小説は、その芸人のファンの人もあんま見たくないと思うのですけど、
できることなら>>301さんがサイトを持っておられたりするんなら、
そちらに載せたほうがよいのではないでしょうか?
我侭でスマソ。
308予告ダケ ◆GjJ/ASsU :02/08/28 21:11
フジテレビで鉢合わせしたナイナイ岡村とキンコン梶原
そしてとある事故がおき、二人の心が入れ替わってしまった!
岡村の身体を持った梶原に「はねトび」「本能のハイキック」メンバーはツッコミを入れる事にためらう。
一方、梶原の身体を持った岡村は街でチンピラにからまれるように。

一時は優越感を覚えたものの、空虚感も増す梶原と生傷が絶えない岡村。
二人を元の身体に戻させようと矢部や西野達が勧めるが岡村と梶原は一触即発の状態・・・
果たして二人は元の身体に戻れるのか?
309名無しさん@お腹いっぱい。ちょこバト。:02/08/28 23:18
あの〜、推理編続けあぐねているのだが。
虻ちゃんは存命でいいか?

それと、当方割と簡単に行き詰まる可能性大なので、小説という形を取って
くださるなら続けてもらってOKです。
310名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/29 00:00
>308
あ、おもしろそう。
岡村と梶原、バトロワでも絡まなかったもんね。
でも予告だけなんだ(w
出来れば、sageでお願いしたい…。
313268:02/08/29 23:46
最初に謝っておきます…。
物凄く長いです…。
まだ、プロローグの段階なのに、洒落になりません…。
とにかく、今日中と言いましたので、うpします…。
314孤島の悪魔:02/08/29 23:50
【プロローグ】

9月某日。若手お笑い芸人陣内智則が、数人の男によって、「拉致」された。

大阪在住の陣内は、その日の朝早く、同期の芸人ケンドーコバヤシと共に、東京へと向かった。
東京のテレビ局で収録される深夜のクイズ番組に、小林と二人一組で出演するためだ。
小林との仕事は珍しい事ではなく、むしろ最近では、ほぼ毎日コンビの如く一緒だが、
それは関西限定の話であり、深夜とはいえ、全国番組にこの二人で出るのは初めての事だった。
陣内単独でも、オンバト以外での出演は、ほとんどないが、小林に至っては、
全国のお茶の間に顔を出した経験は、二度しかない。
自分から一緒に行こうやと申し出た小林が、自ら大幅な遅刻をしたり、
その為に駅の階段を息も絶え絶えに駆け上がったり、新幹線の中では、ヤの字風のオッサン達に、
「兄ちゃんら芸人やろ?何か面白い事してくれや」と声を掛けられたり、
そんな幾つかのプチトラブルはあったものの、無事に収録先のテレビ局へ到着した。


315孤島の悪魔:02/08/29 23:52
>>314の続き

 テレビ局の建物を見ただけで、緊張し始めた小林を笑い、さて、入ろうかとしたその時である。
突然数人の男達に囲まれ、車へと押し込まれた二人は、目隠しをされ、視覚の自由を奪われた。
走り出した車は、約2時間後、ようやく止まった。
ツンと鼻に痛い潮の香りと、聞こえてきた霧笛の音。
「ここからは、絶対に声を出すな」と男達に命じられ、渋々二人が頷くと、室内らしき所へ連行される。
そこは、T**市の港付近の貸し倉庫だった。
肩を押さえつけられ、座りこんだ陣内が、耳をそばだてると、鼻を啜る音、咳払いが聞こえた。
陣内から1メートルも離れていない所に、数人の人間がいるようだった。どうやら、先客らしい。
彼等も同じように「拉致」され、沈黙を強いられているのだろうか、お互いの存在に気づいているはずなのに、
誰一人口を開く事はない。
何とも言えない緊張感の中、突然、目隠し越しにも判る、強い光がその彼等に当てられた。
そして、ようやく天の声とも言うべき言葉が降った。
「それじゃあ、皆ー、目隠しを取ってもいいですよー」
316孤島の悪魔:02/08/29 23:54
陣内がどこかで聞いた声だと首を傾げながら、目隠しを外す。拓けた視界に入ったものは、こちらに向けられた
テレビカメラのレンズ。
照明の眩しさに思わず目を逸らすと、ぽかんと口を開けた、猿顔の青年と目が合った。彼は、陣内が良く知る人物だった。
いや、彼だけではなく、この部屋に「拉致」されてきた人間は全員、陣内にとって、深い浅いの差はあれど、
馴染みのある人物ばかりであった。

ハリガネロックの松口、大上。ますだおかだの増田(何故か岡田はいない)、アメリカザリガニ平井、柳原、
おぎやはぎの小木と矢作、そして、キングコングの西野、梶原。
陣内と小林を入れると、総勢11名の若手芸人達が、呆然とお互いの顔を見合わせている。
最初に叫んだのは、陣内だった。
「お前ら、こんな所でナニしてるねん!?」
「それはこっちの台詞や!お前が何で東京におるねん!?はよ帰って、司会の仕事でもしとけやっ!!」
「おぉ、ケンドーコバヤシだー。俺、生で見るの初めてだよ」
「久しぶりやなー、元気してたー?もしかして、M1以来?」
「あっ、はい、どうも」
317孤島の悪魔:02/08/29 23:55
>>316の続き

「和むなアホっ!!ナンやねんコレッ!!誰か説明せぇや!」
「うっさい、柳!!お前に耳元で叫ばれたら、耳から血が出るわっ!!」
「オッサンら、うるさすぎやー」
「「「「誰がオッサンや!」」」」
取りあえず、大声を出しておこうと、全員が一斉に叫んで誰が何を言ってるのか判らない状態になる。
「はいはいはいはい、皆さん、静かにしなさーい」
目隠しを取る事を許した先程の男が、太った声で手を叩き、全員の視線を集める。
そこに立っていたのは、タレントの松村邦洋、その人だった。
「何だよー、俺達をどうするつもりだよー」
「命だけは〜、お腹の子だけは〜」
もちろん、ここにいる全員が、半ば自主的にここまで来たのは明らかである。
彼等を連行した男達は、二人きりで、何の武器も持たずに、デジカメを構えていたのだから。
クイズ番組の仕事が嘘だったのだと、陣内も小林もすぐに気付いた。
ぶっちゃけ、連れてこられた車の中で缶コーヒーをご馳走になり、煙草も吸っていた。
318孤島の悪魔:02/08/29 23:57
>>317の続き

「皆に、ここに集まってもらったのは、他でもありません。
  えー、今日は皆さんにちょっと、殺し合いをしてもらいます」
  「今更、「バトルロイヤル」ネタ?」と芸人全員が心の中で突っ込んだ。
「皆さんにはー、これから無人島に行ってもらいます。
そこで、皆さんに「芸人として」殺し合いをしてもらいまーす」
「芸人として?」
「そうです。皆さんの武器は何ですか?「笑い」ですね?「笑い」でもって、
  相手を倒し、この中でどのコンビが一番面白いか、決めてもらいたいと思います」
 コンビ?と陣内と小林の顔が曇る。
「あのー、俺、ピン芸人なんですけど・・・・」と陣内が手を挙げると、
「陣内君は、小林君とコンビで戦ってもらいます」との返答。
  「えぇー」と不満そうな陣内に、「何やねん、陣内、その態度は!」と小林がエエ声で吠える。

319 :02/08/30 00:00
期待あげ
320孤島の悪魔:02/08/30 00:00
>>318の続き

「ルールは、皆でネタの見せ合いをし、笑いの量が一番少なかったコンビが負け。
負けたコンビは脱落、罰ゲームを受けてもらいます。
  その試合を最後に一組が残るまで、続けてもらいます。
そうして、最後に生き残るコンビが一等賞という、至って簡単なルールです」
確かに「簡単」なルールではあるが、勝ち残るのは、「簡単」な事ではない。
本当に、「芸人として」殺し合いになるかもしれない、そんなルールだ。
「一等賞を獲ったコンビはどうなるんです?賞金とか貰えるんですか?」と本気目で松口が聞く。
「一等賞のコンビには・・・・・・なんと、来年から始まる新番組のレギュラーです」
「おおー」とどよめきが上がる。
「それは、関西ローカルとかじゃなくて?」
「もちろん、全国放送です!」
 その答えに、一段と大きな歓声。
『全国区』という輝かしい言葉と、勝ち残れるかどうかという不安、何で無人島で?という疑問、
  様々な思いが渾然一体となって、彼等のテンションを押し上げる。
321 :02/08/30 00:02
322孤島の悪魔:02/08/30 00:03
>>320の続き

奇声を上げる者、突然笑い出す者、プロレス技を掛け出す者、ある者は脱ぎ出し、
ある者は、大声で歌いだした。
その狂乱は、カメラマンの「皆さん、もうテープないんで」との一言で、潮が引くように納まった。

 
 こうして、「若手芸人バトルロイヤル(仮)」のロケが、開始されたのだった。
323268:02/08/30 00:13
以上プロローグ終了です。
一マス目、空いてるところと空いてない所があって、…・゚・(ノД`)・゚・。なんでだろ?

明日か明後日には、早速「1」に進めたいのですが、
殺人事件とかいいつつ、しばらく人死にません…。伏線が…。
とりあえず、第一の殺人が行われたら、第二、第三と…といくので、
どうぞ、お待ちくださるとありがたく…。
書き手さんがんばれ
325名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/30 00:43
>323
わかりやすい文章で読みやすいです!
これから期待してますよ〜
326予告ダケ ◆GjJ/ASsU :02/08/30 00:54
ニッポン放送の一室にて。
「どういう事ですのん?」
ナイナイの岡村と矢部は訝しがった顔でディレクターを見た。
「上のほうが勝手に決定してしまった、という事っすか?」
「・・・すみません、ボクの力が至らなかったばかりに」
ディレクターは岡村と矢部に頭を下げた。
「もう、決まってしまったんですね。」
矢部が力なくつぶやいた。

ニッポン放送の新編成でオールナイトニッポンは三部制になり、ナイナイは22時スタートの「SUPER!」枠に行くというのだ。
それはナイナイの知らない所で勝手に決められてしまっていた。
「岡村さん、このままでええんですか?」
「ええわけ無いやろ。わしゃ戦うぞ」
「戦う?」
「決まってしもた事は仕方が無いけど、ANN木曜1部といえばナイナイのオールナイトと相場は決まってる。
わしらがやっている限り、木曜1部は誰にも渡さへん」
岡村と矢部、二人の目は何かしら決意を秘めていた。
327予告ダケ ◆GjJ/ASsU :02/08/30 01:00
>>325続き
暫く二人は黙り込んだ。
「一年で戻りましょうね、木曜1部に」
と矢部が言うと岡村は首を振り
「一年なんて長すぎるわ。半年や。これ以上はダメや」
と力強く言った。
「とにかく、絶対に木曜1部に戻るぞ。それまで戦い続ける」

決意を秘め、ナイナイのオールナイトは「SUPER!」枠に移動した。
それからすぐに彼等が元の枠(現「com」)に戻ってきたのは今更言うまでもない。

To Be Continued?
328名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/30 19:33
ヽ(`Д´)ノボッキアゲ
新しき書き手様達、うまいですなぁ…。期待してますyo!
その文章力を1_でいいから欲しいわ〜。
無茶苦茶間空きましたが、今からうpさせていただきます。
>>219
「それで、ここに投げ出されたというわけか…」
 話を聞き終えた老人は広大な景色の方を見ながら寂しそうに呟いた。
 陣内はその呟きを左耳から右耳へと聞き流した。ただ自分の頭を整理するのに必死だった。
起こり得るわけない超常現象。それが実際に自分の身に降りかかったという事実。
そして、またヤバイヤバイと言っているであろう、スタッフの人達。
 今頃どうしてるんかな。とにかくエライことなってるのは間違いないなぁ。消えた俺捜して慌ててるやろな。
客も入ってたし、それで俺がいきなり消えたから中止なんて。蒸発と思われかねんな。本気で、ヤバイなぁこの状況。
>>330
「…俺帰って仕事、仕事せな」
 陣内は老人に顔を向けて激しい口調で言った。
「さっきの話、信じられんでしょうけど。でもホンマの話なんです! 俺、どうやったら帰れるんですか!?」
「…その質問には答えられんな」
「何でですのん! 質問に答えるってさっき言うたやないですか!」
「ワシの答えられる範囲で。と言ったはずじゃが?」
 あ…。ぐうの音も出なかった。何や、俺は人の話すらろくに聞けん奴やったんか。情けないわ。
「しかし、お主の話を疑う気は無い」
>>331
へ?予想外の答えに陣内はまた目を見開いた。
「信じて…くれるんですか?」
「そうとしか思えんわい。ワシの育てた花壇にワザと寝ころぶ奴など怪物でもおらんからの」
 老人の目線の先を陣内も追った。それほど大きな花壇では無いが、自分の膝ぐらいの高さの柵の向こうに小振りの花が沢山咲いていた。
よく手入れされた花壇だ。ただ、花壇の真ん中あたりの花がちょうど人の形につぶれていたのがが少しかわいそうだった。
(俺があそこに寝てたっていうのはホンマの話らしいな)
「…すいませんでした」
「良いんじゃよ。お主のせいでは無い。それにそう簡単に花は死んだりせん」
 老人は声を上げて笑った。その笑い声は日本全国を世直しする旅にしょっちゅう出ているあの副将軍によく似ていた。
「…さっきの話しじゃがの。ワシはお主が元の世界に帰る方法を知らん。しかし、そういうことに詳しい奴ならよく知っておる」
「えっ!? それ、誰ですか!?どこにいるんですか!?」
 老人は景色を指さした。ちょうど北東。ここからではあまりよく見えないが、森の中にある小さな白い建物を指さした。
>>331
「あそこにはフレイという奴が住んでおる。そいつに会えばお前さんの力になってくれるじゃろ」
「ホンマですか!?そのフレイという人に会ったら俺帰れるんですか!?」
「あやつならお主が帰れる方法を知っとるはずじゃ」
 陣内の口が緩んだ。さすがにもう舞台は間に合わないかも知れないが、これで蒸発とは思われずに済みそうだ。
「良かった、俺帰れるんや…!あそこに行けば…!」
 無意識のうちに歩き出そうとしていた陣内のシャツの襟を老人がぐいっと掴んで引き寄せた。
「待たんかい。行くのは一向にかまわんが、そんな格好でうろついたら思いっきり怪しがられるぞ」
 舞台に上がる直前だったとはいえ、赤と白のストライプの半袖シャツにいつもの半ズボンという特に変わった服装ではない。
「…あの、僕の服そんなにおかしいですか?」
「おまえさんの住んでた場所では普通かも知れんが、こっちにはこっちの服装がある。ちょっと待っておれ」
 老人が家に戻るのを陣内も早足で追いかけた。
実は官能小説楽しみにしてた…スマソ
335ロボ二号:02/08/31 08:49
小説増えてきましたね。楽しいw
323>>岡田さんが何してるのか気になる・・・
プロローグだけでも面白いです!
続き心待ちにしています、頑張ってください。

こちらは話はあまり進まないのですが無駄に長いです。
行き当たりばったり、伏線なんかなにもありません。
うp。
336ロボ二号:02/08/31 08:54
>>294

はたから眺めればなんともユーモラスに見えるのだろう、
男四人が順々に積み重なっている格好というのは。
「最悪なんは俺や、はよどけやお前ら。」
三人の下敷きになった増田のこもった声が耳に届いた。
幸いというべきか、増田の下には柔らかい土や枯れ草がこんもりと積もっており、
それがクッションの役割を果たして落下の衝撃を緩和していた。
それぞれに文句を言いながら体勢を崩し、その場に寝転がると、
冷やりとした土の感触が肌に触れた。
「しんど・・。」
久々の全力疾走のせいで体力を使い果たし、動悸もおさまらないまま荒い息が口を出入りする。
「腰打ったし、体中痛いわ・・。」
「そのお前の腰は俺の足にあたっとるんや、こっちの方が痛いっちゅうねん。」
「しゃあないやんかー。」
しばらくして息切れがおさまり、上体を起こして上を見上げてみると、
四人の頭上には、まるで井戸のように深い穴が続いており、
その端は先ほど自分たちが走っていた草原に口をあけていた。
337ロボ二号:02/08/31 08:56
>>336

「よう助かったなぁ俺ら。けっこう深いで、この穴。」
岡田が服を掃いながら、誰ともなく感心したようにつぶやくと、
柳原もぼんやりと自分以外の三人を見回し、口を開いた。
「みんな、骨折もせずにせいぜい打撲程度ですんだんは儲けもんやな。」
「まぁ、さっきのからは逃げ切れたわけやし、結果オーライってことで・・。」
平井がそう口にした瞬間、増田が思い出したように声を荒げた。
「そうや!さっきのあの変な化けもんみたいなやつはなんやったんや!」
「何って・・・牛?」
追いかけられながらも眼に焼きついたモンスターの姿形は図鑑で見たバッファローに良く似ていた。
が、牛というには少々大きく、そしてなにより普通ならあるはずのない三つめの目玉が額に並んでいた。
338ロボ二号:02/08/31 08:57
>>337

「牛やないやろ、なんか・・・・化けもん?」
「化けもんて・・・奇形とかちゃうんかな、環境汚染物質で三つ目の牛とかできとるんちゃうの? 」
縋るような増田の言葉を平井はあっさりと否定する。
「ちゃいますよ、きっと。」
「じゃあ、なんやねんあれ。そもそもなんなんや、この状況は!なんでお前はそんな余裕やねん。」
どこか楽しそうな平井と、完璧にパニック状態の増田。
その中間の岡田と柳原は肩をすくめて顔を見合わせる。
「そういや平井、お前さっきなに言おうとしとったん?」
岡田は増田をなだめ、柳原は話題を変えようと相方に話を振る。
見事な突っ込み連係プレー。
そんな二人の気遣いも気に留めず、平井は興奮気味に話を始めた。
「ああ、そうやそうや、俺の話の続きなんですけど。」
339ロボ二号:02/08/31 09:02
あのねぇ、これはあれですわ。なにって、やから、今から説明する言うとるやん。
ちょっと黙っといてや。
ここはね、僕らの居た三次元とは別の空間なんですよ。
・・ちゃんと聞けや、真面目な話しとんねん。
なんかの本に書いてあったんですけど、時間が別々の空間がいっぱいあるんですよ。
マニアックいうな、濃い知識って言えや。
・・でね、過去現在未来、時間だけやなくて色んな世界、
僕らでいうところのSFの世界とか、ファンタジーの世界ですわ。
・・・アニメやないんやからって、ああいうのはそういう体験をした人たちが
それを創作物として発表したもんかもしれへんやんか。って、ちゃちゃ入れないでくださいよ。
340ロボ二号:02/08/31 09:03
>>339

・・・時間も世界も様々な空間があって、普段はその空間同士が交わることはないんですけど、
なんらかの拍子に、その世界の住人の力かもしれんし、自然の、空間のひずみみたいな。
まあ、なんかそういうもんの作用で空間同士をつなぐトンネルみたいなのができて、
そのトンネルを通って別の空間に移動することがあるんです。
僕らの世界で言うたら神隠しだとか、そういう呼び方をされてるもので。
瞬間移動っていう表現も間違ってないんですよ、
空間から空間へ・・・やから、柳、ドラゴンボールとかで考えぇよ。
ドラクエでもワープできるやん、時空の扉使って、
昔とか未来とかに。そうやって考えてくださいよ。
341ロボ二号:02/08/31 09:04
要するに、僕らは僕らが居た空間から、なんらかの力によってこの、
さっきのモンスターとかがおるここの空間に引き込まれたんです。
ここはどこかって・・知らんがなそこまで。
わかっとることはこれだけや。
あ、そういや多分あの光は空間がつながる瞬間の強い力によってもたらされたもんですわ、きっと。
・・・ああ、そうですねさっきのモンスターみたいなやつは、いっぱい居ると思いますよ。
俺ら以外にもあっちの世界から来とる奴居るんかどうかは分からんけど。

342ロボ二号:02/08/31 09:06
>>341

皆に肩を落とさせる締めくくりで講義を終らせた平井は満足そうに息を吐いた。
3人の表情は暗く、とくにSFなどに馴染みのない増田と岡田は平井の説明を
いまいちよく飲み込めないまま、はっきりと分かったことといえば。
『モンスターがまだまだ居るらしい。』
ということと
『ここは日本でもなければ地球でさえないらしい。』
という落ち込む以外にリアクションが取れないことだった。
343ロボ二号 :02/08/31 09:42
339〜341は平井一人語りです。
SFはよく分からないので支離滅裂ですが、つまりは>>245です。

いい加減進ませなければ・・。
だいぶ間があいたが、
>225

「・・・『君の席』、できなくなっちゃったねえ・・・」
突然、片桐が漏らした。
「・・・え?」
それは、虻川の言葉とはマジで何の脈絡もなかった。
そのため、一同は認識するのにえらく手間取ってしまったようである。
「『genico』も、だな」
相方の小林を除いては。

簡単に説明すると、
ラーメンズ・バナナマン・おぎやはぎで結成されたユニットが『君の席』、
ラーメンズ・バナナマンで結成されていたのが『genico』。

設楽が殺害された今、そのどれもが、完全な形を失ったということになる。

ポーカーフェイスといおうか、なんと言おうか、動揺を隠さないほかの面々とは
対照的に、ラーメンズは至極冷静・・・というか、いつもどおりだった。
>344

「1時間、経ってもーたな」
某バラエティでゲットしたと思しき腕時計を見やって、礼二がため息をつく。
「二人も死人が出たんだ。イベントは中止さね」
・・・上は小林の言葉だが、おまえはどこの出身じゃ、というツッコミが入ることは
なかった。
「じゃ、はじめようか」
灰皿にタバコを押し付けて、小林が言った。
その表情は、どこか楽しそうでもあった。
(続く。)

突発で思いついたので、かなり変だろうな、これ。
346 :02/08/31 18:02
さげ
347268:02/08/31 18:16

色々な種類の小説が増えてきて、賑やかになってきましたね。
自分も「孤島の悪魔」(今からでも、この題名変えたい…)の一章をうpしたいと思います。
またダラダラと長いんで、スミマセン…。

>>325,>>335
昨夜うpさせた後、すぐに恥ずかしさの余り逃亡したのですが、
こんな読み難いものを読んで頂いて、有難いです。

今、読み返してみても、自分が読み手だったら、絶対飛ばすなと…。
348孤島の悪魔:02/08/31 18:21
【第1章 子紫姫島】

「それじゃあ、頼んだわ。ホンマにゴメンな〜」
 陣内はそう言って携帯を切り、溜息を付いた。同時に、船体がグラリと揺れる。
 陣内達芸人11名と数人のスタッフを乗せたクルーザーが向かうのは、T市沖から約50km離れた絶海の孤島。
(もちろん、松村邦洋は乗っていない。彼の次の撮りは、優勝者が決まった時だろう)
 ある資産家(番組ディレクターの知人らしい)がバカンスの目的で所有するこの島に、
携帯の電波が届くはずもなく、一台だけ設置された電話の私事の使用は厳禁との事。
 負けたら退島だが、勝ち残れば、いつまで島に残る事になるかは判らない。
(スタッフによると、芸人達のスケジュールは五日間確保しているとの事)
 陣内は電波の届く間にと、その旨を家族や親しい知人に連絡した。 
 そして最後に、明日会う約束をしていた彼女に、謝罪と飼い猫の世話を頼む為、
電話を掛けたのだが、拗ねた彼女を宥めるのに一時間を費やした。
 前回のデートの約束も、急に入った仕事の為に潰れた。彼女が拗ねるのも無理はない。
349孤島の悪魔:02/08/31 18:26
>>348の続き

 足元をふらつかせながら、メインキャビンに戻ると、増田と松口、平井と矢作が
テーブルを囲んで集まっていた。
 灰皿には、数種類の煙草の吸殻が小高く積まれている。
 先程の倉庫での狂乱とは打って変わって、その場には、どんよりとした空気が漂っている。
 彼等のテンションの低さは、カメラが入ってない事が第一の理由なのだが、プラス、
スタッフから説明されたこの企画の詳しい内容・ルールが、彼等の気分を最悪なものにさせていた。
 ふと目を遣ったベンチシートには、大上と梶原が横たわっていた。
 船酔いして苦しげな梶原とは反対に、大上はイビキまでかいて、気持ちよさそうに眠っている。
 柳原と小木、西野の三人は、デッキに出ているようだ。
「コバはまだ吐いてるん?」と陣内が聞くと、
「さっき一瞬だけ戻ったんやけどな、またすぐにトイレに逆戻りや」と松口。
 最初は威勢が良かった小林だが、船に乗り込んで直ぐ、真っ青な顔になり、
トイレに篭って吐き続けている。

350孤島の悪魔:02/08/31 18:27
>>349の続き

 「そんなに乗り物に弱かったか?」と疑問に思い、小林を問い詰めると、
久しぶりの東京の仕事に緊張した小林は、「気付け」にと昨日夜遅くまで呑んでいたらしい。
 そのせいで、待ち合わせにも遅刻してきたと聞いて、
「まあ、自業自得やな」と陣内はそっけない。
「俺達小林さんと仕事した事ないから、ちゃんと挨拶しなくちゃいけないんですけどね」
と矢作と平井が顔を見合わせる。
 オンバトで面識のある自分とは違って、小林は他事務所の三組とは接点がない。
 聞くと、初対面に近いという。
「そういえば、気になってたんやけど、岡田、さんはどうしたん?」
 芸歴の差が微妙で、年上、その上交流もあまりない岡田に、
陣内は敬称をつけるべきかどうか、一瞬迷う。増田が顔をしかめ、松口が答える。
「腹を壊したんやと」
「腹を、壊す?」
「ADに「拉致」された車の中でな、突然、脂汗まで流して苦しみ出したらしいねん。
大病ちゃうかって、慌てて病院に運んで・・・・そしたら、ただの下痢やったんやて」
351孤島の悪魔:02/08/31 18:29
>>350の続き

「それじゃあ、後から岡田さんは来るん?」
「さっき連絡あって、まだちょっと衰弱してるけど、明日の夜にはスタッフと一緒に来れそうやって」
 島には芸人と設置カメラだけが残されるのだが、敗退したコンビに罰ゲームを与え、
彼らを連れ帰る為に、毎日夜の六時にスタッフがやってくる。
 増田の顔がますます渋る。
「俺だけで明日の夜まで勝ち残らなアカンねんで?かなわんわ〜。
漫才コンビやっちゅうだけで不利なのに、相方おらへんやなんて」
「まあ、後でネタにもなるし、エエんちゃうのー?」
 無責任な言葉を吐いた松口は、唇を歪めて笑った。
「うっれしそうやな〜」
「当たり前やん。これでライバルが一組減ったんやから」
 と松口は、コーヒーの缶を傾けた。彼は事務所を越えて増田と仲が良い。増田は、
「ナニ勝手に負けるて決めつけてんねん!一人でも勝つわ、ボケッ!!」
 と強気な事を言っておきながら、
「こういう企画は、岡田の方がエエんやけどな〜。あいつ、どこまで間が悪いねん」
 と相方をなじって溜息を付く。
352268:02/08/31 18:30
>>348>>322の続きです…。
スミマセン…。
353孤島の悪魔:02/08/31 18:35
>>351の続き

 笑わせなくてはならない相手は素人ではなく、同じ芸人。
 ある程度の「お笑いの法則」を知る彼等に、いつもやるようなネタは使い難い。
 持ち時間も1分と短く、どうしても一発芸的なものになる可能性が高い。
 見てる側を触ったりといった直接攻撃は禁止、
 しかも、ネタも放映する予定との事で、放送禁止用語はもちろん、下ネタも禁止。
(このルールを聞いた時に、悲鳴にも近い不満の声が上がった) 
 最初の「殺し合い」は島に着いて、開始の合図より1時間後。
(合図があるまでは、コンビ間のミーティングも許されていないので、
彼等はこんな風に悶々とダベっているのだ)
 その後は二時間ごとに、最後の一組が残るまで、朝の七時から夜の十一時まで、
延々と「殺し合い」は行われる。
 ネタを見せられる芸人側も、当然、必死で笑わないように我慢するだろうから、
「誰も笑わない」というドローを考えての配分である。
 笑ったか笑わないかという判断も、ネタを見る芸人間で行われるので、
そこでも相手を落としいれようと、苛烈で醜い争いが生じるのは必死だ。
354孤島の悪魔:02/08/31 18:39
>>353の続き

そこでも相手を落としいれようと、苛烈で醜い争いが生じるのは必死だ。
 まさしく「芸人殺し」な企画である。
「俺ら絶対優勝なんて出来ひん思うし、はよ負けて帰りたいですわー。
島にはテレビもゲームもパソコンもあらへん、あるんはラジオだけやとか言うし、
そんなもん、俺死んでしまいますわ。途中で帰ったら、その分オフになるんやろし」
 情けない事を堂々と言って突っ伏す後輩に、増田は苦笑した。
「平井〜。お前、それ柳が聞いたら、しばかれんど」
「俺も早く帰りたいよ。周りは全部関西の芸人さんで、俺達だけ同じ事務所の奴もいないし。
はっきり言って、肩身狭いしですよ」
 と本気かポーズか判り難い口調で矢作が言った。
 その後も、企画に対する不平不満、ダラダラとどうでもいい雑談をしていた陣内だが、
少し風に当たろうと、狭い階段を上がりデッキに出た。
 ドアを開けた途端に、強い風が吹いて、被っていた帽子が飛びそうになる。
「あー、陣内さん!えぇー所に来たわっ!」
 と、波の音に紛れない超音波声で柳原が叫んだ。

 
355孤島の悪魔:02/08/31 18:41
>>354の続き

「陣さん、写真撮って、写真!」と西野に携帯を渡される。
 携帯に付いたカメラの機能は、電波に関係なく使う事ができる。
 三人は、キャッキャ、キャッキャとはしゃぎながら、ポーズを取る。
 メンバーの中で最年少コンビであり、他の芸人と十歳近く離れた若い西野はともかく、
「あんたら幾つやねん」と陣内が聞くと、「こないだ30になりましたわ」「31です」と、しれっとした顔で答えられた。
 呆れながらも何ショットか撮ってやる。ふと、画面を見ると、
「西野、お前もうこれ、電池あんまないで?充電器持ってきてるん?」
「あー、そうやった!昨日充電すんの忘れとったんや!!どうしよ、向こう行っても、もう撮られへん!」
「写真なんか撮ってる暇ない思うで…。まあエエわ、俺もコバもカメラ付いとるヤツやし、
島で撮ったやつは、帰った時に送ったるわ」
「約束ですよ!・・・でもなー、コバさん変な写真ばっかり撮りはるからなー」と複雑な表情になる。
 後で聞くと、梶原はもちろん、平井、矢作もカメラ付きの携帯を持っているということだ。


356孤島の悪魔:02/08/31 18:43
>>355の続き

 小木が腕を組んで、感心したように言った。
「これ、イイよね。俺も買い換えようかな、写真が撮れるやつに」
「楽しいですよー。今ね、baseの芸人の間で、一言メッセージ添えてボケるのが流行ってるんですよ。
この機種は、動画も撮れますしね」
「ハイテクだよね〜・・・・でもさ、最近ネタやってる時に、これで写真撮る子いない?」
「あれ、あれ!腹立つよなぁ。ネタ中で写真撮るだけでもムカつくのに、
撮るたんびにピロ〜ン、ピロ〜ン鳴りよって!!」と柳原が叫んだ。本当に元気なオッサンである。
「音、消せないの?」
「盗撮防止で消せへんようになってるんやて」
「普通に歩いとる時に、声もかけんと勝手に撮って行くヤツもおるしな」
 と陣内も混じって、「迷惑なファン」談義が始まる。盛り上がってきた所で、
突然小木が「あっ」と呟いた。そして、
「あれが島なんじゃないの?」
 と遥か前方を指差した。
「えー、どれやねん?」「ほら、あれあれ」
 小木の指先には、青い空と海に挟まれ、確かに島らしき黒い点。
 
 
357孤島の悪魔:02/08/31 18:45
>>356の続き

 それが、彼らが目指す島、小紫姫(コシキ)島だった。


 陣内は、知る由もなかった。
 この美しい名の島が、恐ろしくも哀しい殺人劇の舞台となる事を。
 陣内の親しき者達が、この島で次々と命を落としていく事を。
 知る由もなく・・・・・・陣内は、手摺を掴んで身を乗り出し、島に向かって手を振った。

358286:02/08/31 18:56
訂正

>>348
【第1章 子紫姫島】 →【第一章 小紫姫島】

>>354
≪そこでも相手を落としいれようと、苛烈で醜い争いが生じるのは必死だ。≫

二重で書いてるので、削除してください…。




イキって題名なんて付けなければ(´・д・`)ヨカタヨ…
359名無しさん@お腹いっぱい。:02/08/31 20:18
>286
待ってたYO!
これからの展開にドキドキしてまつ・・・
360名無しさん@お腹いっぱい。 :02/08/31 23:30
ファンタジー、ミステリー、短編と色んな種類のものが読めるのはよいですね。
皆さんガンガレ。
361名無しさん@お腹いっぱい。 :02/09/01 00:03
>>334
こっそり手を挙げる。
362名無しさん@お腹いっぱい:02/09/01 12:32
ナイナイの小説の続ききぼん
新しい小説書きたいのだけども。だめですかぁ?
20代前半の西野さんと同じレベルではしゃぐ柳原さんと小木さん萌。
柳原さん、もう30ですか。

今回は下げます。
↑誤爆??
>363
他と区別できるようにしてくれれば大丈夫だと思うよ。
只今のこのスレの状況。

推理小説   書き手さん一人
孤島の悪魔  書き手さん一人
RPG    書き手さん三人(内村編の方途中脱退)
予告だけ   書き手さん一人

アラシさん騒ぎで去られた方二人

小説、書き手さん共に、これからまだまだ増える気配あり。
うやむやにならぬことを願う。
>>366
センキュゥ。
短編っぽくいこうかな。
368です。あげちゃいますた・・・
ごめなさ!
367下がってませんでした、申し訳ない。
【プロローグ】
  笑い―――嬉しさ、恥ずかしさ、おかしさなどから起こるモノ。人なら自然と起こるモノである。
 ただ。現代において腹を抱えて笑うなんて事、そうそうないのでは?あなたの日常を思い出して欲しい。今の日本に対する憤り。現代だからこその、ストレス。生活習慣病。環境破壊。やはり根本は不景気だからなのだろうか?
 だからこそ、あえてこの時代に。「笑い」ってヤツを提供したいから彼等はおもしろおかしくしようと頑張っている。漫才だって、コントだって、人を楽しませようと必死だ。それは若手芸人、そしてベテラン芸人だって同じ事なのだ。
人を笑わす事が仕事な彼らにも、彼らには彼らの生活がある、勿論のことなのだが。友情、恋愛、家族と、家庭と。そんな彼らの生活を覗いてみるとしよう。意外と私達とは変わりがないのかもしれない。それとも―――?
372とまと@いちご:02/09/01 21:27
此処初めて来ますた。
結構面白いんだね。
373名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/02 21:30
「孤島の悪魔」面白い!
もう夏も終わるし、そんなに気にしなくてもいいとオモワレ。>あげる事
バトロワスレの方も、最近はずっと上げてるけど大丈夫みたいだし…。
あんまりこのスレ知名度ないと思うから(あり過ぎても困るが)、
色んな人に見てもらって、色んな人が小説書いてくれると嬉しいなと思います。


などと、言いつつ下げるけど…。

375名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/04 15:57
落ちそうage
376ロボ二号:02/09/04 16:47
怒涛のような うpラッシュが止まりましたね。


377286:02/09/04 18:32
>>359>>364>>373
ありがとうございます。嬉しいです…。
ヘッポコ書き手ですが、何とか続けて行きたいと思います。
が、
シャレにならない設定ミスを犯し、ちょっと凹んでいます。
伏線張ってるとか言いながら、結構行き当たりバッタリなもんで…。
でも、明日か明後日には第二章うpしようと思ってます。

その時に、>>355辺りからの修正版も、お見苦しいですが、一緒にちょっとうpらせてくらはい…。
本当に、笑っちゃうようなミスをやっちゃったので…。

書き手の皆さん、頑張ってください。
378286:02/09/04 18:46
HNが286になったり268になったりしてて、すみません…。
286で行きます。

それと、やはりどうしても題名が恥ずかしいので、チョト変えたいです、ハイ。
upラッシュ、したいところだが、ラーメンズは比較的動かしやすいのだけど、
千原兄弟はよく知らないし、ほかの芸人も動かしにくい。

・・・つーか完全に行き詰まった。

誰か続けて・・・ってわけにも行かないよね・・・。
380名無しさん@お腹いっぱい :02/09/04 23:12
新たな書き手さん募集age!
381名無しさん@お腹いっぱい :02/09/04 23:15
>>379
そんなこと言わずに…頑張ってください…。
貴重な書き手さんが…。
>379
無理に全員動かすよりも誰か中心に書いた方が書きやすいかもしれませんね。
書きやすいやり方でいいんで、もし書けたら読ませてください。
無理して書く必要も無いと思いますよ。
383名無しさん@お腹いっぱい。ちょこバト。:02/09/05 10:02
え〜ん、381さんと382さん、
レスどうもです。
うれしいです〜。

のんびりになりますが、がんばってみますので〜。

落ちちゃ困るのでage。
384予告だけ ◆GjJ/ASsU :02/09/05 20:12
TBSのクイズ番組「天スペシャル」で松竹芸能若手軍団に惨敗した渡辺エンターテイメント若手軍団。
その後、とある番組で再びナベエンと松竹が合間見えることに。
「あいつらなんか、こうだ!」
ゴルゴ松本はどこからか持ってきた松茸をを生でかじり、ふたくち食べ切った。
「お前らも食えよ」を合図にナベエン若手軍団はその場にあった松茸を食べあさった。
ナベエン勢に闘志が湧き上がる。新たな戦いの火蓋は切って落とされた・・・はずだった。
番組収録直前、現場は騒然となった。優勝賞品となっていた筈の食べ物が現場からなくなったという。
「ま、まさか・・・その食べ物って・・・!?」
ナベエン若手軍団は騒然となった。そして次第に彼らの腹は怪しい鼓動を始めていく・・・
優勝賞品とは本当に松茸なのか?ゴルゴはどこへ消えた?そしてナベエン若手軍団の運命は!?
385予告だけ ◆GjJ/ASsU :02/09/05 20:15
トミーズ雅が番組でもらったと松茸百本を大阪に持ち帰ってきた。
それを見ていたbase芸人達は「ぼくらにも恵んでくださいよー」とねだる。
雅はしょうがないという表情で「しょうがないな」と言うとbase芸人達は喜んだ。
雅は一本の松茸を彼らの元に放り投げた。
「・・・こ、これだけですかぁ!?」
「お前らには一本で十分や!」
一本の松茸をめぐってbase芸人の壮絶な戦いが始まろうとしていた・・・
>>385 面白い!!期待あげ

「川島、一緒に遊ぼうや。」
田村は川島の肩に手を置いて、明るく話しかけた。
「触るな!無礼者が!」
川島は田村の手をすばやく払いのけ、憎悪のこもった目で睨み付けた。
田村の大きな体が机にぶつかり、机は派手な音をたてて倒れた。
「痛・・。」
小林はうずくまる田村に駆け寄り、何事もなかったかのように自分の椅子に座りなおして
窓の外を眺める川島を穏やかに叱った。
「なにもそんな、払いのけることないやろ、川島。
田村はお前が一人にしとるから誘ってくれたんやないか。」
川島はその声が聞こえないかのように、ぴくりとも視線を動かそうとしない。
「余計なお世話って言葉、知ってはりますか?」
川島は独り言のようにつぶやいた。
「邪魔なんですわ、皆さん。あんたらこの世界にいらんねん。ほんま、皆死んだらええのに。」
最後に口の端を上げて、川島は笑った。
「なんやと?ええ加減にせぇよ、川島。お前なぁ、いっつもそんなんで、頭おかしいんちゃうか?!」
浜本が川島の明らかな挑発に乗り、川島の胸倉を掴んで殴りかかろうとした瞬間、教室のドアが開いた。
「おー、何しとんねん、チャイム鳴ったで席付けや。」
「紳助先生・・・。」
「現代社会、始めるで。」
紳助は浜本と川島に一瞬視線を向けたが、すぐに興味をなくしたらしく、教科書を開き始めた。
川島は胸倉を掴んだままの浜本の手を離させて、襟を正し、鞄から授業の用意を取り出した。
「っそ、覚えとけや、川島。絶対にお前の考え方は変えたるからな。」
「ご心配なく、記憶力はいいほうなもので。」
浜本の捨て台詞にも、川島は極上の笑顔で答えた。

芸人が一つのクラスに居たら。ってスレ、結構面白かったのにな。
そんな感じ。
>387
(・∀・)イイ!
389仮”復帰”ヒマヂン ◆9eCHT9nc :02/09/05 22:50
ひょっとしてアラシ騒ぎで去った書き手のうちに入ってしまったんだろーか…(汗)
個人的な事情&軽く煮詰まった為しばらく放置しちまいますた。
…なまじ相手にした漏れも悪いけど
ヽ(;`д')ノ漏れが書きたかったのはこんなんちゃうねんウワァァァァァン!!!!(←本音)
出来ることなら
◇光とか闇とか分かれてない統一された世界
◇ジャッカルメンバーは登場せず
◇その代わり(?)途中から雨上がり決死隊が参戦
で過去世へ飛ぶあたりから書き直したい…無理かな今更…
>>389
いいと思いますよ。まだ遅くないです。
391ロボ二号:02/09/06 00:30
>>389
お帰りなさいませ。
ジャッカルメンバーを出してしまったのはARASHIさんですし、
ヒマヂンさんが最初に思われておられたように書き直してもいいと思います。

・・光と闇に分かれていない世界のほうが、自分としては書きやすいですし。
ではおかしくなる直前>>136の続きから書きましょうか。
最近来て『?』という方は>>111からスタートしてるのでそちらからご覧ください。


【中川家編R>>136の続き】
剛は、自分の存在を否定する原因となった絶望的な夢の事を礼二に話した。
『…夢占いの本見たらな、死ぬ夢いうのは
今の状況を打破して新しい自分に生まれ変わりたいって気持ちの現れなんやて…
よう当たっとると思わんか?』
今の状況を打破したい…夢に出る程ではないが、同じ事をうすうす感じていた礼二は返す言葉を失った。
しかし、このままでいいはずがない。
校長室の扉が開き、一人の小汚い男が室内の入ってきた。
「久しぶりだな、秋刀魚。」
よれた服にこじんまりした体、しかし、その男は濁った目でこの学校随一の権力者である秋刀魚を射抜いた。
「武理事長・・・いやー!ほんま、お久しぶりですー。
どうされはったんですか?もしかして学校売るとかいう話ちゃいまんのやろな、怖いわー。」
この学校の設立者である理事長、武の突然の訪問に驚きながらも秋刀魚はそそくさと武を校長室に通した。
「この前なぁ、田森に会ってきたんだよ。」
芋羊羹とと緑茶の並べられた机のまえのソファに座り、きょろきょろと室内を見渡しながら、武は秋刀魚にそう告げた。
「へー、田森会長に。って、ほんまに嫌ですわー。経営上手くいってますよ。
生徒達にも評判はバッチグー、ですわ。」
「ま、なんてこたぁないけどな。最近めっきり全国大会からはうちの生徒の姿がみえねぇ
って話じゃねぇか。」
秋刀魚のこめかみがぴくりと引きつる。
「いまは、PTAも煩くて、あんまきついことも出来ないんですよ。」
笑顔を作って、そろそろ、というジェスチャーをして秋刀魚は武を帰らせることにした。
「分かってるんだけどな、実質、学校のほうはお前にまかせっきりだからな。
俺もタモリもあんま生徒と絡むこともねぇしよ。頼んだぜ、秋刀魚校長。」
「分かりましたー。」
早く校長室から追い出すため、さんまはアクションつきで武を追い立てる。
「三枝も経営陣側だからな、怒ってんじゃねぇのか?」
武は校長室を出て行く間際にそう笑った。
「いらっしゃーい!もー、怖い怖い、あんま怖いこと言わんといてくださいよー。」
高いテンションと笑顔は武の後姿が見えなくなった瞬間、消えうせ、その顔には憤怒の表情が浮かんだ。
「っの死にぞこないがぁ!いつまで首つっこんどんねん!第一線でやっとらん奴がえっらそうに・・・。」
蹴り飛ばされたゴミ箱の中身が柔らかそうな毛並みの絨毯に散らばる。
秋刀魚は肩で息をしながら、校内の用務員室に直通する電話を取った。
『はい、用務員室の村上ですー、秋刀魚校長でっか?』
「おい、村上、人集めろや。」
相手が出るなり、秋刀魚は村上にそう言った。
『わし用務員でっせ、そんなんいわれましても・・。』
「秋刀魚校長からや、いうて集まらん奴は学校なんか追い出したるわ。」
『そんな無茶苦茶な。』
「五月蝿いねん、誰のおかげで仕事やっとれるんや、さっさと言うこと聞けや!」
文句をぼやく村上を一喝して、秋刀魚はグランドに面したカーテンを乱暴に曳き開けた。
「学校の頂点は俺や、目にものみさしたらぁ・・。」
秋刀魚は広大な校舎の中、グランドを走る生徒達を見下ろして引き笑いをこだまさせた。
「年寄りをせいぜい楽しませてくれよ、秋刀魚。」
校門を通り過ぎる際に武は振り返り、目を細めてつぶやいた。
なんちゃって。
続けてみたり、思いのほか長かったり。
無人島ミステリーの続きキボンヌ。
397鯖復活待ちだったヒマヂン ◆9eCHT9nc :02/09/07 02:02
>>392
本番まであと数10分。こんな沈んだ空気のまま出る訳にはいかない。
何とかして兄を励まさなければ…。
(実際は十数秒しか経っていないのだが)長い沈黙に耐えられず、必死で言葉を探す礼二を見て、剛は微笑みながら立ち上がった。
『礼二、もう大丈夫や。変な夢見たぐらいでヘコんどる場合ちゃうもんな。』
突然何もかも吹っ切れた様子の兄に礼二は戸惑っていた。
『に、兄ちゃん…無理すんなや。』
『礼二に夢の事話しただけでだいぶスッキリしたわ。おおきに。』
悪戯を仕掛けた子供のような笑みを浮かべ、剛は楽屋を後にした。
長いものは番号振ったほうがいいと思いますよ。
割り込みを避けることができるし、どこで終わるかわかりやすいので。

例:モナ板の場合
http://aa.2ch.net/test/read.cgi/mona/1023981689/119-131
399名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/07 16:47
あげもの、age.
400名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/07 17:02
>>356
サンクス!!
401名無しさん@お腹いっぱい:02/09/07 21:38
ここ、人少ないね。
402名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/08 20:58
落ちそうだからあげ!
403286:02/09/08 21:06
>>377
・・・・・思いきり嘘を吐いてしまいますた…。すいません。
余計なことは言うものではないです…。

開き直って、長文うpさせて頂きます…。

・・・ゴメンナサイ。
>>354
「陣さん、写真撮って、写真!」と西野に携帯を渡される。
 携帯に付いたカメラの機能は、電波に関係なく使う事ができる。
 三人は、キャッキャ、キャッキャとはしゃぎながら、ポーズを取る。
 メンバーの中で最年少コンビであり、他の芸人と十歳近く離れた若い西野はともかく、
「あんたら幾つやねん」と陣内が聞くと、「こないだ30になりましたわ」「31です」と、しれっとした顔で答えられた。
 呆れながらも何ショットか撮ってやる。ふと、画面を見ると、
「西野、お前もうこれ、電池あんまないで?充電器持ってきてるん?」
「あー、そうやった!昨日充電すんの忘れとったんや!!どうしよ、向こう行っても、もう撮られへん!」
「向こう行っても、撮る暇ない思うで。梶原も持ってるやろうから、貸してもらえばエエやん」
「陣さんも貸して下さいよ」
「オレのんもバッテリー残り少ないんや。コバも持っとるし、大上も最近買い換えた言うてたし、
あいつ等に借りればエエやん」
「ウチの相方もこーいうのん好きやから、最新のん持ってるわ、大上さんと同じ機種のヤツ。
あれ、スゴイんやで、完全防水やし、ゾウが踏んでも壊れへんらしいで!」
「象って・・・・・ホンマかいな」
 小木が腕を組んで、感心したように言った。
「最近、みんなカメラ付きのヤツ持ってるよねぇ。矢作も持ってるし、俺も買い換えようかなぁ」
「楽しいですよー。今ね、baseの芸人の間で、一言メッセージ添えてボケるのが流行ってるんですよ、動画も撮れますし」
「ハイテクだよね〜・・・・でもさ、最近ネタやってる時に、これで写真撮る子いない?」
「あれ、あれ!腹立つよなぁ。ネタ中で写真撮るだけでもムカつくのに、 撮るたんびにピロ〜ン、ピロ〜ン鳴りよって!!」と柳原が叫んだ。本当に元気なオッサンである。
「音、消せないの?」
「盗撮防止で消せへんようになってるんやて」
「普通に街歩いてる時に、声もかけんと勝手に撮って行くヤツもおるしな」
 と陣内も混じって、「迷惑なファン」談義が始まる。盛り上がってきた所で、
突然小木が「あっ」と呟いた。そして、
「あれが島なんじゃないの?」
 と遥か前方を指差した。
「えー、どれやねん?」「ほら、あれあれ」
 小木の指先には、青い空と海に挟まれ、確かに島らしき黒い点。
 それが、彼らが目指す島、小紫姫(コシキ)島だった。

陣内は、知る由もなかった。
 この美しい名の島が、恐ろしくも哀しい殺人劇の舞台となる事を。
 彼の親しき者達が、この島で次々と命を落としていく事を。
 知る由もなく・・・・・・陣内は、手摺を掴んで身を乗り出し、島に向かって手を振った。
406286:02/09/08 21:18
以上第一章訂正部分です…。
もう一つ訂正です。

>>354
 「俺ら絶対優勝なんて出来ひん思うし、はよ負けて帰りたいですわー。
 島にはテレビもゲームもパソコンもあらへん、あるんはラジオだけやとか言うし、
 そんなもん、俺死んでしまいますわ。途中で帰ったら、その分オフになるんやろし」
                      ↓
 「俺ら絶対優勝なんて出来ひん思うし、はよ負けて帰りたいですわー。
 島にはテレビもゲームもあらへん、あるんはラジオだけやとか言うし。
 電波届かへんから、チャットもインターネットもできひん…。
 そんなもん、俺死んでしまいますわ。途中で帰ったら、その分オフになるんやろし」


ノートパソコンを持ってる方がいるので、それは出来るけど、通信はできない、ということです…。
開き直って、第二章いきます。題名はあんまり変わってませんが、「孤島のオニ」にしました…。
>>405の続き

                    【第二章 紫の館】          
 
 島に唯一の小さな船着場に、船はゆっくりと乗り付けた。
 船から降り、約三時間の船の長旅に一息付く暇もなく、スタッフを先頭にして、上り坂の道を列になって歩かされる。
 憎らしいほどの快晴だった。陣内の背を汗が伝う。
 「アカン」それは隣を歩いていた増田の漏らした苦しげな一言である。
「どないしたん?」
「なんや、腹が痛くなってきたわ・・・・・・」
「アンタまで下痢かいな」
「ちゃうわ、ただの糞詰まりや・・・・ちょっ、先行くわ」
 切羽詰った顔で腹を押さえながらスタッフに追い付いた増田は、案内用のADを引き摺るようにして、坂道を駆け上がって行った。
「コンビ揃って、ウンが付いてるなぁ」と大上。寝起きと言えど、限度がある。陣内は「しょーもな」と声に出すのも面倒で、口だけ動かした。
 眼下には白い砂浜が広がっている。海面が光を跳ね返しキラキラと輝いていた。
 思わず見取れて足を止める陣内の横を、梶原が俯き加減に通り過ぎた。
 ようやく復調した梶原だったが、まだ足元がふらついている。よっぽど船に弱いらしい。 
 もう一人、船に呑まれた男・小林は、胃の中の物を全て吐き切り、すっきりしたのかその足取りは軽かった。
 歩きながら、アメザリ・おぎはぎの二組と挨拶を交わしている。最初はぎこちない二組との対面だったが、
しばらくすると、時折笑い声が上がるようになった。
 10分ほど歩いただろうか、ようやく坂を登り切る。そこには、若緑の木々に囲まれた、平たい建物が建っていた。
 島の名に因んでか、紫色の屋根、遠くから見ると白く、近くで見ると淡い紫に染まった壁。その名を紫苑荘という。
 ふと見ると、前を歩いていた平井が立ち止まり、呆然と紫苑荘を見つめていた。
「どうしたん?」と声を掛けると、降り返った平井は、たった今夢から覚めたような顔。
「あの・・・・・」と、口を開いたが、「いや、何でもないですわ」と目を逸らす。
「何や、今ごろ船酔いでもしたんか?顔色悪いで」

「いや、ホンマに何でもないんで・・・・スタッフが呼んでますわ、行きましょ」
「それならエエけど・・・・・」陣内は首を傾げながら後に続いた。
 両開きの扉を抜けると、玄関ホールが広がり、そこから左右に廊下が伸びている。右が東館に、左が西館に続いている。
 崖に面して建てられた紫苑荘は、上から見るとちょうど凹の形をしている。それだけでも変わっているが、
これだけの大きさで、一階建ての建物というのも珍しい。
 調度品も豪華絢爛で派手な物ではないが、品の良い、落ち着いた物が揃えられている。
名前といい、外観といい、内装といい、いかにも若い女が喜びそうな家である。
 至る所で先発組のスタッフが、慌しくセッティングを行っている。
 ADの案内で東館に通される。応接間、食堂を過ぎて広間に行き着いた。
 芸人達は、そこでスタッフに詳しい試合方法、カメラが設置されている場所、屋敷で入っては行けない部屋、
タイムテーブル等の説明・諸注意を受けた。
「皆さんの部屋は西館にあります。荷物をそこに置いて、待機していて下さい。準備が出来次第、お呼びしますんで」
というADの指示に従い、ぞろぞろと移動する。
 西館は、この企画の為に建てられたかのように、ちょうど6つの客室を持っていた。細い廊下を挟んで、三つずつツインの部屋が並んでいる。
 それぞれの部屋には、コンビ名の書かれた紙が貼ってあった。手書きの汚い字だった。
「楽屋じゃないんやから」陣内は思わず苦笑した。
 一番奥の凹の窪み側の部屋が、陣内と小林の部屋だった。
 貼られた紙には、ケンドーコバヤシ・陳内智則と書かれてあった。
 試合開始の合図が鳴らされたのは、夕日が昇る頃だった。
 それから暫くして、一隻の船が小紫姫島から去って行った。
 その船は、陣内達をこの島に運んだ船であり、島に来た全スタッフがその船には乗っていた。
 こうして、無人島・小紫姫島には、若手芸人11名だけが残された。

          *

 顔の筋肉を緊張させた同業者達が、睨む様に、あるいは何の感情も浮かんでないかのような目で、自分達のネタ(?)を見詰めている。
 全く受けなかったデビュー当時の2丁目の舞台、スーパーで丸い台に立たされてネタをした営業、それら並に「イヤ」な舞台だった。
 一試合目の結果は、誰一人笑わずで、ドロー。
 試合終了後、口を開く者はいなかった。
 この模様を放映されるのか、こんな事を何度も繰り返さねばならないのか、そもそもこの企画はウケルものなのか、
そんな怒りとも嘆きとも諦めともつかぬ重苦しい思いが、試合会場である広間の空気を満たす。
 誰とも目を合わせたくない。それは、そこにいる誰もが思っている事だったろう。
 それなのに、そんな彼等の気持ちを知らず、いやそれを見越してか、タイムテーブルには「全員でのご飯タイム」が組み込まれていた。
 しかも、その「ご飯」は乾パンを初めとした携帯食と水のみ。
 そんなオイシイ状況にも、食堂に集まった一同のリアクションは薄かった。カメラが設置されていることを知りながら、である。
 「最悪だよ、こんな企画を考えた奴」という矢作の呟きを、音声は拾えなかったかもしれない、「もっとデカイ声で言えよ」と他人任せに陣内は思った。
「何見てんのや、平井?」
 食事の手を止め、ぼんやりと天井の辺りを眺めている平井に、松口が問う。
「・・・・・・・・・いや、何でもないですわ」何か言いたげな顔で、平井は言った。
「何やねん、言いたい事があれば、はっきり言えや」
「いや・・・・・・・・正直、言わん方がエエ思いますんで・・・・・・」
 そういえば紫苑荘に入る前も様子がおかしかったな、と陣内は思い返す。
 柳原がカロリーメイトを頬張りながら、
「なんやお前、まさか、またなんかが見えるとか言うんやないやろな?」と笑った。
 平井が黙り込む。
「おい、まさか・・・・・・・・・ホンマにおるんか?」
 増田と柳原が目に見えて狼狽している。他事務所の人間は話が見えない。
「どうしたんや?見えるって何が見えるねん?」
「こいつ、昔から霊感あって・・・・・・幽霊とかが見えるんですわ」柳原が彼にしては低めの声で神妙に言う。
「マジで?おい、やめようや!俺、そういうのアカンねん」
「何っ!何がいるんですかっ!!」
「言うなよ、お前、そう言うことは言うなよっ!!」
 と、一気に騒然となる。平井は音を立ててため息を付いた。
「だから、言わん方がエエ言いましたやん・・・・別にはっきり見えてる訳ちゃうんで、何とも言えないんですけどね」
「どういうことやねん?」
 平井の霊感には波があって、はっきりと霊が見える時と、見えない時があるらしく、今は「見えない時」らしい。
「確かにはっきりとは見えないんですけどね、なんや、ひどくイヤーな感じがするんですよ。この島来た時から、変な感じしてたんですけど、
この家見た時、すっごい悪寒がしたんですわ。なんや、真っ黒なモヤみたいなんが、この家を覆ってるっちゅうか・・・・・」
「ちょお、もう勘弁して下さいよっ!」
 と梶原が泣き声で止める。にも関わらず、大上がぼんやりと言わなくてもいいことを言う。
「ああ、そうか、あの話ってこの島のことやったんやなぁ」
「何が?」ひきつった顔で松口が問う。
「この島の名前、コシキ島ってどっかで聞いた事があるな〜って思ってたんやけど、週刊誌の怪奇特集かなんかで読んだ事があったんやわ」
 聞かない方がいい、と陣内は直感的に思ったが、大上は話を続ける。

 
『日本海に浮かぶ小さな島に、一人の鬼が住んでいた。
 ある時、その島に人間が移り住んできて、その鬼を退治した。
 しかし、それから後、島の人間は原因不明の流行り病で次々と死んでいった。
 それは、鬼の呪いであった。死んでから後も、鬼はその島に住む人間を恨み続け、
 結局その小さな島は、誰も住まない無人島となった。
 そして、鬼と鬼の呪いで死んだ人間達の怨念で溢れたその島を、
 「死を呼ぶ鬼の島、呼死鬼(コシキ)島」と呼ぶようになった…』
「でもそんな話聞いたら、この島を買う奴なんぞ出てこぉへんやろ?やから、昭和に入って、「小さな紫の姫の島」っていう表記にしたんやって」
「あのな〜大上、盛り上げよー思っても、そういうしょもない嘘は付いたらアカンで〜」
 陣内は縋り付くように言ったが、「嘘やないって、ホンマやって」と大上は口を尖らせ答える。
    ガンッ
 突然、開けていた窓が大きな音を立てて閉まった。
「「「「「ギャー」」」」」
 悲鳴は輪唱のように食堂に響き渡った。
「風で閉まっただけだよ、あはは」と晴れやかに小木が笑う。
「アハハじゃねぇよ、お前は平気なのかよ?」
「幽霊なんているわけないじゃない」
「アカン、俺、ちょっと漏らしてしもたかもしれん」
「お前〜、いらん事を言うなや!」
 潤んだ目で小林が大上の首を締めにかかった。

 「ご飯タイム」の終わりを告げるベルがなり、陣内は思い足を引き摺るようにして、食堂を後にした。
「ホンマですか?ホンマにこの家に幽霊がおるんですか?」
「だから、はっきり見えへんから、霊かどうかもわからへんのやって・・・・・」
 真剣な顔で梶原が平井に詰め寄っている。
「大丈夫やって、どうせ俺達は見えへんのやし」と柳原。
「そういう問題やないわ」と陣内は思ったが、口には出さなかった。
 見ると、自分達の部屋を増田が開けようとしていた。
「そこ、俺達の部屋やで?」
「ああ・・・・・・・そうやったなぁ」と心ここにあらずの顔で向かいの部屋を振り返る。
「なんやアイツ、ぼんやりして・・・・エエ年して、怖がりすぎやで」
 笑いながら部屋のカギを開けようとした陣内の手は震えていた。
「陣内〜、お前もあんな与太話を本気にしとんのかぁ?」と小林が馬鹿にするように言った。
「そんな訳ないやん。大体「死を呼ぶ鬼の島」なんて出来すぎやわっ!」
 「なあ!」と二人は笑い合った。乾いた笑いだった。

 一時間後には、第二試合が始まる。
 陣内と小林のネタ作りは、必要以上の大声で行われた。
413286:02/09/08 21:56
>>407-412、以上で第二章終了です。
今回で第一の被害者が出る所まで持って行きたかったのですが、出来ませんでした。
殺人事件なのに人が死なない…。
次こそは必ず誰かがお亡くなりになりますので・・・。

「孤島の鬼」という有名なミステリーがあるので、この題名を付ける事を躊躇し、
そして、「孤島の悪魔」になったのですが、ちょっと余りに恥ずかしいので、こちらで・・・。
恥ずかしさはそんなに変わりませんが…。

>>398
参考にさせて頂きたいのですが、一体レスを幾つ食うかが判らないのです。
一レスに何文字書けるかが判らない、ちょうどいい所で文章を切りたいので…。
続き楽しみにしてます、頑張って下さい。
「陳内」に哀愁を感じますた…。
415名無しさん@お腹いっぱい :02/09/09 00:07
>>401
そうだねぇ…。
>286
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
待ってたyo!
次回も楽しみにしてまつ。
417名無しさん@お腹いっぱい:02/09/09 20:31
あげてみる。
418名無しさん@初心者:02/09/10 00:10
気がついたら続きうpされてた。
平井のキャラが好きだ。続きも期待。
頑張って下さいな。
私も何か書こうかなぁ。
いや、文才ないから止めておこう。

419ヒマヂン ◆9eCHT9nc :02/09/10 01:12
>>392
『スッキリしたって…、便所か俺は!』
ぬるいお茶を一口あおり、礼二は兄の後を追いかけた。

(さっきまであんな暗い顔して自分の存在を否定しおった奴がもう大丈夫な訳あらへん。絶対無理しとる。
今俺に背向けて歩きよるけど、絶対ヘコんだ顔してるで…!)

『兄ちゃん待って…』
やっとのことで剛に追いつき、肩をつかんでこちらを向かせた。
礼二の予想は大ハズレだった。
『何やビックリした…そういやお前今日前世占いしてもらえるって言うてたな。』
『あぁ。』
『それで他んとこは何しとったらええねん。』
バトロワスレに宣伝するのはやめましょうよ。
正直、最近のこのスレはそんな新しく書き込みやすい雰囲気でもないですし。
>>419 『何ってそんなもん…』
これだけ心配させておきながら、とても10年やってきたとは思えない事を
平気で聞いてくる剛に、礼二は多少イラつき始めていた。
とその時、
『お〜ぅ!中川家やないけ〜!』
発声練習でもしているかのような声量に驚いて振り返ると、
後方から宮迫博之(雨上がり決死隊)が駆け寄ってきた。
しかしその顔に笑顔はなく、かなり焦っているようだった。
『宮迫さん、どうかしたんスか?誰か探しとるみたいですけど…』
『あぁ…もうすぐ生本番や言うのに蛍原が便所行ったまんま消えおってん。』
『!?』
422ヒマヂン ◆9eCHT9nc :02/09/10 23:00
>>421
宮迫の言葉に先に反応したのは剛だった。
『ちょっと待って下さい。今、生本番て…』
『えーと、フォー何とか…のゲストで呼ばれたんや。つぅかもうヤバイねん、君らホンマに見てへんか?』
『すんません、見てないスわ…あの…僕らもその番組に今から出るんです。』
今度は礼二の言葉に宮迫が驚いていた。
『ええっ…いやぁ前世占いする以外何も知らされてへんから…』
『僕らもですよ。それでさっきからおかしいって兄貴が…なぁ。
とりあえず、一緒に探しましょ。』
『頼む。』
3人は蛍原の名を呼びながらスタジオへ歩いた。
423名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/11 04:47
age
424名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/11 20:18
「孤島のオニ」続き期待age
>>420
あまりにも人がいないんで・・・・( ´Д⊂ヽ ゴメソ
最近、向こうが盛り上がってるので羨ましかったの…。

ここ、新しい人が書き難い雰囲気なのか、そうか…。


426名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/13 13:18
下がっとる!
孤島のオニおもしろいです。
このメンツにおぎやはぎが入ってるのがいいですね。
続き期待あげ
427名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/14 01:45
あぶないage
今のところ「孤島の鬼」がこのスレのメインになりましたね。
只今のこのスレの状況。

孤島の鬼 (孤島の鬼書き手さん一人
RPG    (ヒマヂンさん一人

今後も確定しているのはこの方々のみですか。
ひそかにちょこバトさんの書かれる推理小説を楽しみとしていた身としては
今後また書いてくださるのかどうなのかどきどきしていますが。
・・・・それにしても随分と閑散としましたね、このスレ。
429名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/14 17:42
RPG全くわからない自分としては推理小説の登場は嬉しかった。
|o`)<ダレモイナイ…シンテンカイナラ イマノウチ

>>422
他の控室にもトイレにも、蛍原の姿はなかった。
『こんだけ探しても居てないのやから、もうスタジオ入ってるんと違います?』
『それしかないな…』
宮迫と礼二はまだ楽観的な様子で、スタジオへ向かう足を速めた。
『…?』
剛は遠くから何か聞こえたような気がしたが、特に気にせず二人に遅れないよう付いていった。

ようやく3人はVスタジオの前までたどり着いた。
時間的にはもう本番が始まっているはずなのに、どういうわけか「ON AIR」のランプは点いていない。
『どういう事やコレ…?』
431ヒマヂン ◆9eCHT9nc :02/09/14 23:55
>>430
『…考えても分かるわけないわ、入るで。』
宮迫がドアノブに手をかけた瞬間、
『UuaaEeee.....GyIiiii....』
地の底から湧いて来たかのような低いうなり声が聞こえてきた。
それは先ほど剛が聞いた声と同質のものだった。
『何やこの音…』
その直後、聞き覚えのある叫び声が3人の耳を貫いた。
『ヒャアーーーッ!!!!何やお前!!!宮迫ォーーーーッ!!』
『蛍原さんや!』
『何や分からんがヤバいんちゃうんか!行くで!』
宮迫を先頭に3人は勢い良くドアを蹴り開け、スタジオに駆け込んだ。
432名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/15 14:10
age
433名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/15 22:22
つづきキボンヌ!<推理小説
434情報通:02/09/15 22:37


鉄拳の素顔(左側の方ね)

http://ime.nu/zaremidoro.tripod.co.jp/takesi.jpg




435名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/16 09:23
age
436名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/16 17:28
det落ち阻止age
437名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/16 17:34
またまた突発、>345。

「あの、コバケン。はじめようかって、何を?」
タバコの煙を、ふう、と吐き出した岡田が、「まさかな・・・」とつぶやいたことに
誰か気づいただろうか。

「決まってんじゃない。
犯人、探しましょう。俺たちだけで」

――――はあ!?

増田と片桐以外の面子の声である。ずっと沈んでいた日村でさえ
顔を上げている。
「そこまでびっくりしなくても・・・」
とつぶやく片桐。どうやら、付き合いの長さで察してはいたらしい。

しかし、びっくりするのは道理といえば道理。
殺人事件そのものが自分たちとはそう縁のない話だと思っていた彼らだ。この上
自ら真相探求に乗り出すなどとは、思いもよらなかったに違いない。
「本気で言うてんの、小林さん」
ハリガネロックは一応ラーメンズよりキャリアも実年齢も上だが、
なぜか敬称つきである。
「俺はジョークは苦手でね」
コント作家がそれでいいのか?
「警察に任しとけばええやろ、そんなもん」
うざったそうな千原兄。めんどくさがりではないと思うのだが・・・。
「設楽さんが見つかってから、もう軽く30分は経過してますよ。なのに、何で
警察がこないんですか」
「そーいや伊東・・・やっけ?設楽さん見つけた時すっごい悲鳴あげとったけど、
集まったの俺らだけて、・・・どー言うこと?」
根が神経質(らしい)な松口の言葉からは、すでに余裕が消えていた。
438名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/16 17:38
>437
ここはテナントの入ったビルではなく、独立した劇場。
本来なら、イベントスタッフが右往左往していてもおかしくない時間。
それが、異様なまでに静まり返っているのは・・・・・・。

一同(一部除いてだが)がいやな予感にとらわれかけた、その時。

「戻るぞ。外に連絡つけんと」

大きな体をゆったり起こし、言うが早いか礼二が歩き出した。

その足取りは、いやに速い。後を追う者の足取りも、また然り。
いやな予感といおうか、見えない恐怖といおうか。
それは確実に、一同の心を蝕みつつあった・・・。
(続く・・・?)
439名無しさん@お腹いっぱい。ちょこバト。:02/09/16 17:40
下書きもしないで書くものではないですね。
かなりハズイっすわ・・・。

あ、名前変え忘れましたが、438もちょこバトですから。
440286:02/09/16 21:44
だ、誰もいない?
長文うpするなら今のうち、か?

すみません、第三章笑えるほど長いです。
切ろうと思ったのですが、今度こそ事件が起こると言ったんで…。
言い訳です、とにかく書いてしまったんでうpしちゃいます…。
441孤島のオニ:02/09/16 21:47
>>412の続き

                   【第三章 悪夢】

 二試合目。
 スタッフ御手製の白いビニールテープで床を区切っただけの、あえて「チャチ」な演出を施された舞台。
 そこは、その場に集まった若手芸人達にとって、すでに畏怖対象でしかなかった。
 くじ引きの結果、陣内・小林コンビはトップにお目見え。
 小林の提案で増田、松口狙いのプロレスネタ(陣内には何が面白いのかよく判らない)を持っていったが、
狙いの二人の表情は終始変わる事はなかった。
 ネタ見せ終了後、陣内は堂々とした足取りで舞台から降りてやった。
 開き直った者勝ち、そんな顔である。対して、小林は恥ずかしげに縮こまっている。
 そもそも、自分達は圧倒的に不利なのだと陣内は思った。
 他の奴らはコンビでネタも作りやすいだろうが、自分と小林は最近コンビのごとく一緒に仕事をしているとはいえ、ピン芸人同士。
しかも、その芸風は全く違う方向を向いている。
 その上、幽霊話で気もそぞろの中、出てくるアイデアは禁じられた下ネタばかり。そうだ、大体下ネタ禁止とはどういうことだ。
これはもうコバヤシ潰しとしか思ない・・・・・うんぬん。
 それなら一人でやってる増田は、ということになるが、下を見ずに上だけ見た結果、
他のコンビが聞いたら反論の嵐であろう被害妄想(言い訳)は尽きることがない。
 結局、最後まで誰一人笑う者おらずで試合終了。
 トリを飾ったアメリカザリガニが何とも言えない表情で舞台から降り、沈黙が流れた。
 最初の試合よりも疲れと眠気がプラスされ、さらに状況は悪くなっている。
 そこに、異変が起きた。
「ちょっといいですか」と西野が手を挙げた。
「なんや?」陣内の目は据わっていた。
「アメザリさんの時、大上さん、笑ってたと思うんですけど」
「へ?」突然の判定に、一同、虚を突かれて顔を上げた。
「笑ってへんよ」
 大上は和やかに応じたが、西野は挑むような目で言い返す。
442孤島のオニ:02/09/16 21:49
「笑ってたやないですか、オレ大上さんの隣やったんですよ。肩震えてたやないですか」
「クシャミでも止めよぉしとったんちゃう?」
 その後も、笑った、笑わないの応酬が続いた。
 判定者は自分達で、というルールはこういう事態を招く。
「笑ってましたって!ねぇ、笑ってましたよね、平井さんと柳原さんは、前から見てたんやから、判ったでしょ?」
 突然振られたアメザリの二人は、
「いや、オレは気付かへんかったけど・・・・・って言うか、そんな余裕なかったし、はっきり言って」「ボクもです」なあ、と顔を見合わせた。
「他に誰か見た奴おるんか?」小林が一同を見回して言った。
 これで、一組脱落者が出るのだから、嘘をついても良かったかもしれない。しかし、そこまでして相手を陥れ、揉め事を起こす元気もないのか、
手を挙げる者はいない。
「西野の他に誰も見てへんのやったら、判定不能ってことでどうやろ?」
「エエんちゃいますのん?」
 どうでも、と言いたげな平井を柳原が横目で睨んだ。勝利よりも、早く部屋に戻って休みたい、という欲望が強いようだ。
 次々と賛同者が出て、柳原も少し考えた末に同意する。
 大上は当然という顔で、松口はほっとした顔。
 西野はまだ納得いかないようだったが、「判りました」とボソリと答えた。
「じゃあ、二試合目もドローって事で・・・・・・・今日はお開きやな」
 増田の言葉で、全員が腰を上げる。
 広間のドアを閉め、さて、西館に帰ろうとしたその時である。
「・・・・・・絶対、セコイわ」
 唾でも吐く勢いで、西野が呟いた。陣内が宥めようと口を開くと、
「なんや西野、その態度はっ!!」
 廊下が震えるほどの怒声だった。声の主はなんとハリガネロックの枯れ木の方。
「こんなん先輩とか関係ないやないですかっ!」
「その態度がアカン言うてるねんっ!!」
「自分が嘘ついてるくせに、責任転嫁せんといて下さいよっ!」
「笑ってないゆうとるやろっ!!お前こそ嘘までついて、人を落としたいんかっ!」
「嘘なんてついてませんよっ!」
443孤島のオニ:02/09/16 21:56
 激しく互いを罵倒しあう二人。他の者は呆然と見詰める。
 こういう時は、近しい者、上の者が止めるのが筋というものだろうが、陣内、小林、相方である松口も動くともせずに、突っ立っている。
 あまりにも劇的な大上の豹変である。
 いつもはどちらかと言うと、前に出る松口の後ろでのんびり笑ってる感が強い大上が、
こんな風に感情モロ出しで後輩を怒る所など、付き合いの長い大上と同期の陣内も見た事がない。
 他の同期二人もそうなのだろう、ぽかんと口を開けている。
「大体、ずっとお前の事は気に食わんかったんや。なんや、収録の時もいっつもやる気ないし、ちょっとキャーキャー言われてるからって、
周りのモン嘗めとるちゃうんか?」
「なんやそれ、単なる八つ当たりやないですかっ!」
 梶原は二人の迫力に押されて、「やめろって、西野」と小声で言いながら、こちらをチラチラ見てくる。その視線にようやく三人は我に返る。
「エエ加減にせぇよ、お前ら!」
 小林が目で合図し、頷いた他事務所の者達は何も言わずに廊下を立ち去った。その場には吉本芸人6名が残される。
「止めんな、小林!大体、オレラは今まで後輩に甘すぎてん!!だからこいつがつけあがるんや!」
「勝手な事言わんといて下さいっ!オレだって、大上さんには言いたい事たくさんあるんですよ!
・・・・・大体、『あの事』だって大上さんのせいで・・・・・」
(あの事?)
 大上の顔が固まる。両手を握り締め、体が震えている。
「お前・・・・・・今とあの事は関係ないやろが、あれはオレのせいちゃうで!お前のせいやないか!」搾り出すような声だった。
「ナニ、人に押し付けてるんですか、アレはアンタのせいやないですかっ!」
「西野、お前っ!」
 大上が西野の胸倉を掴む。西野も引かずに睨み返す。
 小林と陣内が慌てて二人を引き離した。
「止めんといて下さいっ!これはオレラ二人の問題ですっ!!」
「二人とも何があったか知らんけど、取り敢えず落ち着けや!他のモンにも迷惑かけてるんやで」
 陣内の言葉に、大上がしばし黙り込む。
444孤島のオニ:02/09/16 21:59
「・・・・・・・・・判った、オレ達二人だけで話させてくれ」
「エエですよ、オレかてこんな気分のまま、ここにおられへん」
 大上は西野の背中を押しながら、ズカズカと廊下を渡り、東館の最奥の部屋のドアを開けた。
その部屋は、この屋敷の持ち主の家族の寝室。客室二つ分の広い部屋だった。
「おい、そこは使たらアカンてスタッフに・・・・・・」
「別に何も触らへん。広間と食堂はカメラ回ってるから、話せるのはこの部屋位しかないやろ」
 そう言って、分厚いドアを閉めた。
「オイ、ちょっと待てって」ノブを回しても扉は開かない。 
「・・・・・・・あいつら、カギかけよった」
「なんやねん、アイツら」「す、すいません」
「いや、梶原が謝る事やないけど・・・・・・」
「まあ、二人で話す言うてるし、ガキやないんやから、大丈夫やろ。・・・・・ここにいてもしゃあないし、オレラは戻ろうや」
 小林が場を納めるように言って、四人は歩き出した。
「オレ、あんなに怒った大上さん見たん初めてです…」
「いや、俺だってあんな大上は初めて見たわ、なあ・・・・」
「そう、やな」松口は衝撃が覚めやらぬのか、ぼんやりとしていた。
 あの二人の間で何が起こったのだろう。それは、仕事上のことかプライベートの事かはわからないが。
「あの事って何なんやろな?」小林に問うと、「さあなぁ」と返った。

 東館の角を曲がると、「あれ、もう終わったんですか?」という小木の声。
「いや、まあ、こっちは大丈夫や。スマンかったな・・・・それよりアンタら何してんの?」
「いや、なんか電話が変なんですよ。ツーともカーとも言わない」
 玄関ホールに置かれた、この家、いやこの島にただ一つの電話の受話器を片手に、
矢作が首をかしげていた。
「おいおい、マジで?」「もしかして、最初っから壊れてたとか?」
「でもオレ、スタッフが使ってたの見ましたよ」
「今、増田さんが平井を呼びに行ってくれてるんですけどね」平井は機械類が得意なのだそうだ。
445孤島のオニ:02/09/16 22:02
 陣内が番号をプッシュしてもなるほど、音はない。どんなに力を篭めても一緒だ。
 小木が試しに117を押してみたが、コール音も何の声も返らない。
「明日の天気予報知りたかったんだけどな〜」
「あれ、117って時報やなかったけ?」「えっ、天気予報じゃないの?」
「ピ・ピ・ピ〜やろ」「だって、テンキイイナでしょ?」「えっ、そうなん?」
 どうでもいい論争の中、平井を引き摺り増田と柳原がやって来た。平井はもう眠りについていたらしい。
 瞼を半分閉じながらも、電話をいじくり出した平井は、一通りの点検を終え、
「どっかにドライバーないですかね〜、プラスの」と言いながら電話台の引出しを開ける。
 小木が「オレ、持ってるよ」待ってて、と西館に消えた。しばらくして戻ってきた小木の手には万能ナイフ。
「あっ、これナイフとか缶切りとかなんや色々ついとるヤツやな」
 小木は眼鏡用のドライバーも爪切りも付いてるよ、とプラスドライバーを引き出す。
 受け取った平井は、電話本体のネジを外しにかかった。
「おい、勝手に解体してエエんかいな」
「ちゃんと元に戻しますよ〜」
 と開けた内部を調べ、直ぐに「あぁ〜、こりゃあきませんわ〜」と頓狂な声を出した。
「電話線の方かと思ったんですけど、中身がイカレてるんですわ。随分古い電話みたいやし、寿命でしょうね〜」
「直らへんのか?」「中の部品を代えんことには無理ですねぇ」
「じゃあ、電話は使えへんっちゅうことか・・・・・」
 それはすなわち、この島唯一の通信手段が断たれた事を意味する。
 電話は意図的に壊されたわけではなく、自然に故障したのだが、
「なんや、ホラー映画みたいな展開やな〜、絶海の孤島で助けも呼べへんで・・・・」 
「死を呼ぶ鬼が出るとか?」
「だから、その話はすんなってっ!!」
 まあ、緊急の用事があるわけでもなく、全員健康体の上、家の外に出ることはなく(というか出れず)、急病人も怪我人も出そうにないし・・・・・。
「明日来るスタッフに言ったらいいでしょ」と取り成すように平井が言った。
446孤島のオニ:02/09/16 22:04
 しかし、増田が一人「ホンマにアカンのか?」としつこい。
「増田さん、ボクの事信用してへんのですか〜」と電話を元に戻しながら平井がボヤイた。
「なんか連絡したい事があるん?」陣内が問うと、
「・・・・・いや、岡田がな・・・・・」と口篭もる。
「なんや、増田さん、相方が恋しいのん?」と柳原が茶化す。
「そうやねん、あいつのダミ声聞かんと寂しゅーて、てナンデやねん・・・・・・・明日にはちゃんと来れるか確認取りたかっただけや」
「そんな事言って、一人寝が寂しいんやろ?」
「ちゃうわ!・・・・・それより、もう休まへんか?明日も早いんやし」
 明日(もう「今日」になっていたが)は、朝5時に起きて、広間で「ラジオ体操」だ。もう笑う気力もない。
 職業柄、一般人が起床する時間が彼等の就寝時間であることは少なくない。陣内にとって、現在の時間はまだまだ活動時間である。
 しかし、早朝に大阪を出て、東京に着いたらすぐに車で拉致され、船に乗せられ。そんな約半日の長旅のせいか、ひどく眠かった。
三日間眠らずに仕事をこなした時並にダルイ。
 他の者もそうなのだろう、目をしぱしぱさせている。それは、度重なる心の傷も原因の一つかもしれなかったが。
 
 陣内は部屋に帰ると、タバコを数本とミネラルウォーターを飲んで、すぐにベッドに横になった。
 ミネラルウォーターは、夕食に支給された物の残りで、ペットボトルにも御丁寧に名前が書いてあった。
部屋の名札の字とは違っていたが、これまた癖のある汚い字である。幸いに、こちらは「陣内」と正しく記されていた。
 暗闇の中、取り留めない事が、浮かんでは消え、浮かんでは消える。
 ふと「あいつら大丈夫やろか」と大上達の事を思った。
 大上は船の中でアホ程寝てたし、西野は若いから少々無理しても平気か・・・・。
 それにしても、一体あの二人の間に何があったのだろう。接点があまり思いつかない。
 潮騒が流れる。その音に合わせて、ゆっくりと思考が止まっていく。
 隣では、小林がもう眠ってしまったようだ。寝息の中で、「ユーカリ」という少し苦しげなうめき声。妙な寝言である。
(お前は飢饉のパンダか)ふわりと思う。
 海に引き摺られる様にして、陣内は眠りに落ちた。
 夢ひとつ、見る事はなかった。

 
447孤島のオニ:02/09/16 22:09

                          *

 二日目の朝。
 起床のベルが鳴り、泥のように思い体を無理矢理起こして身支度を整えていると、
コンコンとドアをノックする音と共に「おはようございます、梶原です」
「どうしたんや?」
「あの、大上さんか西野、来てません・・・・・・よね」と部屋を見渡した。
「なんや、アイツら帰って来てへんの?」
「はい・・・・・・」いかにも困ったという顔で梶原が頷く。
 起きたら西野が戻った形跡がなく、ハリガネロックの部屋を訪ねると、大上も帰って来てないという。
「部屋のカギはちゃんと開けてたんですけど・・・・・」
「あの部屋で寝てるんちゃうんか?」小林が腹を掻きながら聞くと、
「いや、松口さんと何度もドアを叩いて呼んだんですけど、返事がないんですよ・・・・・」
「他の奴らの部屋には行ってみたん?」
 「いえ、まだ・・・」と言う梶原に、他のコンビにも聞いて見る事を命じて二人は連れ立って東館に向かった。「人騒がせな奴らやな〜」とぼやきながら。
 人騒がせな二人組が立て篭もった部屋の前では、
「おら、開けろ!起きろ!!大上、西野っ!!」
 松口が叫んでいた。殴り付けるようにドアを叩いていたが、しまいには蹴りを入れ始めた。
「おいおい、ドア壊れんで?」陣内が止めると、
「大丈夫や、このドア分厚いから!」と鋭い目。大分苛ついているようだ。無理もない。
 確かに客室のドアよりも分厚く頑丈そうなドアである。叩いても鈍い音しか返らない。もしかしたら、
「中に声届いてへんのちゃうん?」
「あー、そうかもしれへんなぁ」チッと松口が舌打ちをする。
「大体、中におるかどうかも判れへんやん」
「しゃーない、裏回ろうか」と小林が提案する。
「でも、裏は入ったらアカンてスタッフに・・・・・・」
 館の裏には非常に珍しい野生の花が群生していて、そこへの立ち入りは館の主からきつく禁じられているらしい。
「花を踏み潰さへんかったらエエんやろ?窓から中におるかどうか覗くだけやし」
 主人の部屋に入るは、電話は解体するは・・・・禁止事項は全く守られていない。玄関に向かう小林を「オレも行くわ」と追いかける。
 
448孤島のオニ:02/09/16 22:13
 外は夜のように暗かった。黒い空に日が昇る気配はない。
 玄関に備え付けてあった懐中電灯を小林が持って、二人は並んで歩いた。
 強い風に木々が嬲られている。「朝やから大丈夫や」陣内は呪文のように呟いた。
 打ち寄せる波の音が激しい。昨日の穏やかな海が嘘のようだ。
「雨、降りそうやな」と小林が空を見上げた。
 ちょうど島の北端に建てられた屋敷は、三角形に切り取ったような崖に囲まれている。三角形の頂点と館の中心はちょうど直線で結べる。
 花畑は崖に冠を被せる様に広がっていた。濃い潮の香の中、忍ぶように甘い香。
 やはり、というか当然と言うか、紫の花だった。強風の中、倒れることなく健気に揺れている。房が零れて小さな桜のような花が風に飛んでいる。
 崖縁から館の背中を抱くように紫の絨毯は隙間なく敷かれていた。
 部屋には、北に向かって大きな窓とテラスが付いていた。西館の客室に一つずつつある東側には東、西側には西に付いた窓はこの部屋にはないようだった。
 仕方なく、二人が花畑の際に沿って、部屋が見える位置まで移動していると、
「なんや、やっぱり部屋におるんやんか」
 部屋からうっすらと光が漏れていたのだ。
 ヒラヒラ揺れるカーテンに遮られ、中の様子は見えない。
「窓ちょっと開いてるやん、こんな風強いのに」
「おい、大上〜、西野〜、おるんやろ〜!」
 返事はない。もう一度呼ぼうと息を吸うと、
「陣内、あれ見ろ」と前を歩いていた小林が花畑の中央を照らした。
 そこには、無残にも花達を踏み潰した一組の足跡。足跡は、テラスから崖縁まで、一直線に伸びている。
 その先は空中。その下は海。崖の上から海面までの距離、約20メートル。
「なんや、これ」呆然と陣内は呟いた。
 小林が花畑に足を踏み入れた。陣内も続いた。紫の花が声なき悲鳴を上げる。
 胸の鼓動が速くなる。訳がわからない。
 テラスに上り、窓とカーテンを開け放つ。
 そこに、西野の姿はなかった。
 大上は床の上で、四肢を投げ出し仰向けに寝っ転がっていた。
 
449孤島のオニ:02/09/16 22:18
「大上?」
 返事はない。
 大上の傍らにはブロンズ製の置時計が無造作に転がっている。
 天使の細工がなされたいかにも高そうなその時計には、鮮やかな赤い液体がべったりと付いている。
 陣内には意味が全く判らなかった。
「・・・・・・・大上?」
 真っ赤に染まった大上の顔。大きく見開かれた、瞬き一つしない目。
 ツンと鼻につく生臭い匂い。潮の香、花の香。混ざり合い、部屋を満たしている。
 赤い水溜り。大上の頭から流れた・・・・・・・。
 喉の奥で蠢くものがあった。ぐらぐらと視界が歪む。
 ピクリとも動かない細い体を揺さぶる。抵抗なく揺れる体。手に伝わる冷たさ。
 冷たい、冷たい体。
「大上ーーーーーーーー!!」
 叫んだのは自分だったか、小林だったのか。
「どうしたんや、小林、陣内!おいっ、おいって!!」
 ドンドンと扉を叩く音、松口の叫び。何度も何度も繰り返される。
 それは海の底に沈んだように、遠く、歪んで聞こえた。
 ヒュッと強い風が吹いて、大上の体に紫の花がひらひら落ちた。

 陣内が信じていた現実はぱらぱらと崩れ落ちた。
 花が散るように、儚く。

 
450286:02/09/16 22:28
と、いうわけで、第三章>>441-449、終了しました。
やっと事件が始まりました。
この話、9月までに終わらせるつもりだったんですが…ムリポ…。

>>414>>416>>424>>426
ありがとうございます、嬉しいです。

>>428
あの…、メインというのはちょっと…。
無駄に長いんでスレを占めてるだけなんで、それは反省しております、はい…。
自分としては、ますおか・アメザリのRPGの続きが読みたいです。

推理小説、頑張って下さい。
自分のはミステリー風味のホラーのようなそうでないような、という話なんで、ジャンルは被ってない、はず。

館の説明とかウザくてスミマセン、見取り図みたいなのが載せられるといいんですけど…。
説明下手すぎて、部屋や花畑の配置がよく判らないと思います。…ゴメンナサイ。
 >>441-449イイ!!
ものすごく楽しみです。
他の書き手さんたちも頑張ってください。自分は読み専門なもんで・・・
ひそかにここが1番面白いよな・・・
452名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/17 23:04
>>441-449
面白い!!見ててすごくドキドキしました。
西野はどこへ行ったのか・・・・あぁ大上・・・・
453名無しさん@お腹いっぱい:02/09/18 16:26
age
454名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/18 17:56
(・∀・)イイ!(・∀・)イイ!(・∀・)イイ!
「孤島のオニ」面白い!
普通に物語として面白い!
最後までこれからもヒソーリと応援しております。
頑張ってください<書き手さん
455名無しさん@お腹いっぱい:02/09/18 20:16
「孤島のオニ」
とうとう最初の犠牲者が……。
さあみなさん、大上に合掌。

でも面白いです。
こういったパラレルものめっちゃ好きなので
こっそり応援してます。
西野と大上に何が……。
456名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/18 20:19
baseヲタしいないのか…?
457名無しさん@初心者:02/09/18 23:12
「孤島のオニ」待ってました。
続いて私も大上さんに合掌。南無。

ますます続きが気になります。
西野さんはどこ行ったんだ?
応援してますです。
孤島のオニ、おもしろいっすね。
大上さんが最初の犠牲者かー。合掌。
続き早く読みたいね。頑張ってください。
459名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/19 21:24
久しぶりに来てみたら続きが!
第4章も楽しみにしてます。
どうなるんだー!
460名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/20 23:35
age
461名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/21 21:32
もいっちょage
462ぁーち*ノ:02/09/21 21:48
もっかいage
463 :02/09/22 10:22
あの叫び声でアメザリや増田、スタッフがかけよってきた。
「なにがあったんですか?!」増田が聞く。小林はだまって大上を指差す。
「・・!」スタッフと3人はだまった。そしてスタッフは電話を探しに行った。
陣内は呆然としていた。
「くそーーー!!」相方の松口は悲しみと怒りで震えていた。

「・・・西野は?」
平井の言葉で陣内は我に戻った。
「ほんまや。どこいってん・・・」
「俺・・。探してきます!」梶原が急いでで西野を探しにいった。
「あいつが・・。あいつがやったんやろ!!西野が大上を殺したんや!!」
狂ったように松口は叫んだ。「おい・・。西野とは決定してへんやんけ」
「じゃあ、あいつはどこにいってん!!おらんやんけ!!」
松口が叫ぶ中、一つの声がした。「西野自分の部屋に戻ってました!!」
ふりむくと、そこには走りながらくる梶原と、下を向きながら歩いてくる西野の姿。
「西野ーー!お前!!!」松口は西野の顔面はおもいっきり殴った。
「おい、西野とはまだ決まってへんのや。やめろ!」小林と陣内があわてて止める。
「・・・俺じゃない。」
「え?」
「・・・俺大上さん殺してません!!」
西野が震えながら言った。
「じゃあお前、大上とあの部屋でなにしててん?」松口が落ち着いたのか、冷静に西野に聞く。
「俺、あのあと朝の3:30ぐらいまで大上さんと話し合いしてたんです。
そしたら大上さんがお前なんかと話し合いしても意味がないって行って一人で裏のほう行ったんです。
俺は止めたんです。でもあの人聞かなくて・・・。」
西野は今にも泣きそうな顔で言った。
「・・・ほんまやねんな?」松口が真剣に西野に聞く。
「ほんまです!嘘ついてません!!」西野が涙を流しながら言う。
「・・・わかった。とりあえず西野、お前は部屋で休め。あとはスッタフにまかせ・・。」
と言おうとしたとたん、松口は倒れた。
「松口!!」陣内がかけよった。そして小林と梶原が松口のベットに松口を寝かした。
「とりあえず俺らも戻ろうか・・。」と、最悪なムードのまま、芸人達は部屋に戻った。
464 ◆a/9vEilE :02/09/22 15:45
test
『孤島のオニ』の書き手268です(前回また286になってました…)
>462は自分が誤爆りました、誠に申し訳ございません。

最初に断っておきますと>>463は自分が書いた物ではありません。

>>463
もしかしなくても、>>449の続きだとは思うのですが、
書き始める前に、ミステリー物の性質上(最初に犯人は決定済みで書いているので)、伏線やら何やらで、
一人で書き進める、ということで御了承を得ていたのですが…。

ちなみに、この島には(我ながら無茶な設定だと思いますが)、スタッフは居らず、唯一の電話も壊れております。
あと、これは自分の書き方が悪かったのですが、
テラスから崖縁までの足跡は行きのものだけで、帰りのものはありません。

と、いうわけで自分には>>463の続きはちょっと書けそうにありません。
これとは別に>>449の続きとして、268版の『孤島のオニ』を続けたいのですが、宜しいでしょうか?
HNも上記のトリップ付きのもので投稿しますので…。

>>451-452,>>454-455,>>457-459
レスの消費を防ごうと一レスに詰め込みすぎて、
見難いこと甚だしいものを読んで頂けるだけでも、
ありがたいのに…と感無量です。ありがとうございました。


あと、書き手の皆様戻ってきてくださいませ…お願いします…。
 続編だと思って見たら別の方の書いたものだとは。
勘違いだとしたら仕方ないですけど、
推理小説を複数の人間で書くのは無理が生じますからね。
見守っていきましょうよ。

でも463って、続編の名を騙った荒らしだった…ってことはないよね(w。
467名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/22 19:31
463が別の方だってことはすぐに分かりましたよ。

>>465
一人で書き進めて下さい。
楽しみに待ってます。
468 :02/09/22 19:40
463のものです。
最初に「書いてください」というものだけを呼んで続きを書いてしまいました。
孤島のオニさん、すいませんでした・・。
うん。463が別人だというのは最初の数行ですぐわかった。
なので268さん、これからも続き期待してますので頑張ってください。
470名無しさん@お腹いっぱい:02/09/23 18:57
age
471 :02/09/23 21:49
age
すいません、今パソの状態が悪くて、しばらくこれそうにありません…。
週末には来れるようにしますんで、すいません…。
473268:02/09/24 12:58
逝く前にもう一つ。

>>468
どうぞ、お気になさらずに。
リレー式の中、自分が無理言って一人で書き始めたものなんで…。
是非また何か書いてくださいませ。






>472
わかりました。
復活を待ってますね。
475名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/24 23:58
age
476名無しさん@腹へった。:02/09/25 21:11
age
久方ぶりのちょこバトです。

実はちょこバト、来月下旬までネットできなくなります。
というわけですから、推理は誰か受け継いでいただきたいんですけど。

今日明日のうちに少し上げるつもりですので、そのあとから、ということで
お願いします。
478名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/26 15:45
age
冷やかしで覗いてみたけど(スマン)孤島のオニさんおもろいね。
普通に続き気になって、そんで素直に次も読みたいって気になるし。
単なるロムのうちの一人だけどこっそり応援してっから頑張ってくんさい。
480名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/27 15:50
保守age
唐揚げ
食いたい
481名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/28 11:48
age
482名無しさん@腹へった。:02/09/28 13:07
age
483名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/29 02:54
続き禿げしく読みたいage
484名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/29 14:49
age
4852チャンネルで超有名:02/09/29 14:50
http://www.tigers-fan.com/~jko

http://www.tigers-fan.com/~tyk

ヌキヌキ部屋に直行
  コギャルとヌキヌキ
  全国地域別出会い
486 :02/09/30 15:57
あげ
487名無しさん@お腹いっぱい。:02/09/30 23:20
age
488268 ◆/TIxxEd. :02/10/01 14:57
268です。
また、言った事を守れませんでした…。申し訳ございません。
月末と言えば良かったと、激しく後悔しております。

「孤島のオニ」第四章をうpいたします。

あと、私の描写力のなさで、ちょっと判り難かった第三章の一部分
訂正も一緒に載せます。申し訳ありませんです…。
(本当は、細かい文章とかもっと訂正したいところがたくさんあるんですがキリないんで、これだけを)

もう一つ、館の見取り図を作ってみました。AA初心者な者でお見苦しいですが、お許し下さい。

第三章訂正、挿入部分は>>448の16行目位から後ろ3行目までです。
まずは、それから失礼します。
「おい、大上〜、西野〜、おるんやろ〜!」
 返事はない。もう一度呼ぼうと息を吸うと、
「陣内、あれ見ろ」と前を歩いていた小林が花畑の中央を指差した。
 そこには、無残にも花達を踏み潰した一組の足跡。足跡は、テラスから崖縁まで、何の躊躇も無く一直線に伸びている。
 足跡は、まるでその先もあると信じて踏み出して行ったように虚空で途切れている。
 崖の下は海。崖の上から海面まで、約20メートルほど。五、六階建てのビルの高さはあるだろうか。
「なんや、これ」陣内の背筋を何かが走った。
 小林が花畑に足を踏み入れた。陣内も続く。紫の花が声なき悲鳴を上げる。
 崖の突端で四つん這いになった小林が、崖の下を覗き込み、海上を照らした。
 陣内も小林と同じ格好になって、眼下を見る。塩混じりの向かい風が目と鼻に沁みる。
 そこには、垂直に近い崖を抉るように激しく打ち付ける波とその下に隠れるように幾つかの岩があるだけ。
 浮かんでいるはずのモノがない。
 立ち上がった二人は、テラスに向かって転げるように走り出した。
 心臓が波打つ。訳が判らない。混乱する頭に、
(そう言えば、オレラ高所恐怖症なのに、あんな高い所からよく下見れたよな)そんな呑気な感慨が浮かぶ。
  テラスに上った小林が、窓とカーテンを一気に開け放つ。
                  _
                 / \             
                /  : \            
               /     :  \           
    海        / 花     :  \       海  
            /         :   \         
           /      畑    :   \        
          /\┏━━┓__┏━━┓/\       
        /   ┃ 西 ┃   ┃ 東 ┃   \      
       /    ┃   ┃   ┃   ┃    \     
     /      ┃ 館 ┃   ┃ 館 ┃      \    
   /         ┃   ┗━━┛   ┃       \   
/         ┃            ┃        \  
/           ┗━━━━━━━━┛          \
                 玄  関                  




  恐らくズレたくってるとは思いますが…。
  ( : )が足跡です。
                  _
                 / \             
                /  : \            
               /     :  \           
    海        / 花     :  \       海  
            /         :   \         
           /      畑    :   \        
          /\┏━━┓__┏━━┓/\       
        /   ┃ 西 ┃   ┃ 東 ┃   \      
       /    ┃   ┃   ┃   ┃    \     
     /      ┃ 館 ┃   ┃ 館 ┃      \    
   /        ┃   ┗━━┛   ┃       \   
 /          ┃            ┃        \  
/           ┗━━━━━━━━┛          \
                 玄  関                  
                  
  
 再挑戦。
 スレの無駄遣いゴメンナサイ。
 これ失敗したら、諦めて第四章うpいきます。
 現場の雰囲気だけでも判っていただければ…。
  
492孤島のオニ ◆/TIxxEd. :02/10/01 15:27
>>449の続き。
                               【第四章 残された足跡】

 何時の間にか部屋のドアは開いていた。小林が開けたんだな、と陣内はぼんやりと思った。
「おお、うえ?」
 松口が不確かな発音で呟いた。
「大上!」
 相方に駆け寄り抱き起こした松口の手に、血が纏わり付く。松口は構わず細長い身体を揺さ振った。
「大上、おい、大上!」
 梶原が戸口であんぐりと口を開け、腰を抜かしている。そのリアクションは大袈裟すぎて、滑稽なくらいだ。
 その後ろを囲むように、「ラジオ体操」の為に広間に集まっていたのだろう、増田達他メンバーが五人が、思い思いの驚愕の表情を貼り付け、立ち竦んでいる。
 その中に西野の姿はなかった。そんな事は、陣内には判り切っていた。
「医者だ、医者呼ばないとっ」ようやく矢作が口を開いた。
「・・・・・・アカン、電話はっ!!」
 悲鳴のような増田の叫びに、玄関ホールに向かおうとした矢作の足が止まる。
 小紫姫島唯一の通信手段であるこの館の電話は、壊れてしまって使用不能なのだ。
「じゃあ、どうしたら・・・・・・」
 人が住む隣島まで30キロの距離はある。この島にはボートもない。この孤島から外部へ連絡する術はない。
「どうしたら、いいんだよ・・・・・・」矢作の言葉に応える者はいない。
 しかし、
(いまさら、医者、呼んでどうなるんや)
 白く霞む陣内の頭の中に響いたのは、彼自身の声だった。
 大上は、息をしていない。
 驚いたように大きく見開かれた目と口は、アロンアルファで塗り固めたように、一瞬たりと動かない。
(皆、ホンマは判ってるんやろ?大上は、もう・・・・・)
 それとも、ここにいる(ある)大上は、彼を精巧に模した人形、だとでもいうのか?
「大上、しっかりしろ、大上!!」
 唯ひとり、松口だけが、まるでそれが彼のただ一つの使命かのように、人形の身体を揺さ振っている。人形はされるがままにガクガクと揺れる。
「大上っ!!」
「松口、これ以上は、もう・・・・・・」堪り兼ねたように小林が松口の手を止めた。
 突然松口が立ち上がり、周りの人間を突き飛ばすようにして、廊下に躍り出た。
493孤島のオニ ◆/TIxxEd. :02/10/01 15:31
「どこ行くねん、松口っ」増田が呼び止める。
「医者連れてくるんやっ!!」松口は振り向かずに廊下を進む。
「連れて来るって・・・・・・」
「どうやって、この島出る気やねんっ!」
「泳ぐなりなんなりすればエエやないかっ!!」
「何言ってるねんっ、そんなん無理に決まってるやろっ!」松口の腕を掴んだが、強い力で振り払われる。
「邪魔するなやっ、早く、せんと大上がっ!」
「落ち着け、松口っ!!」
「大上、あんな、血、いっぱい、出て・・・・・・はやく、せんと、大上が・・・・・・」松口は宙を見た。虚ろな目だった。小林と増田が押さえ付けるが、逃れようと激しくもがく。
「放せっ!!」
「松口、頼むからっ!」泣き出しそうな顔で増田が叫んだ。
「こんな、こんなアホな事ありえへん、絶対に、ありえへんのや・・・・・・」
 松口は白いシャツを着ていた。赤い模様は大上の血。
「大上は!!」
 これ以上見ていられなかった。だから、陣内は叫んだ。
 しかし、その先が続かない。喉を締め付けられたように、その言葉が言えなかった。ブワリと涙が溢れた。それでも、陣内は言わなければならなかった。
「大上は、死んだんやっ!!」
 シンとその場に静寂が降りた。
 松口はひどくゆっくりと振り返った。「嘘や・・・・・・」呟いて少し口の端を上げた。
「嘘やァァァァァァァァァァ!」
 体中の全ての力を出し尽くすような絶叫、だった。そのまま力尽きたように壁に寄り掛かり、ずるずると崩れ落ちる。
「嘘や、こんなん、嘘や・・・・・・」
 松口はうわ言のように呟きながら、耳を塞ぐように頭を抱え、泣きじゃくった。
    ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ
 「ラジオ体操」開始を知らせるベルがけたたましく鳴り響いた。

 この音が、惨劇の終わりではなく始まりを告げていたのだと、陣内は後に知る事となる。    
 幕はまだ、上がったばかり。
 
 

494孤島のオニ ◆/TIxxEd. :02/10/01 15:33
                              *

 開け放たれたままだった窓を閉めると、無遠慮に部屋を吹き荒れていた風が止んだ。
「火サスとかの見過ぎかもしれませんけど」と前置きして、
「やっぱり、警察が来るまで、この部屋はこのまんまにしといた方がいいんですかね?」と遠慮がちに平井が言った。
 「鑑識が来るまで、現場の物には触れないで下さい」というヤツである。
「そう、やな」陣内は曖昧に返事をした。どうでもいいことのような気がしていた。
 事故死であるはずがない。もちろん病死でもない。大上は人の手によって殺されたのだ。
 警察が調べずとも誰の目にも明らかだ。凶器は床に転がっていた置き時計。死因は撲殺。額から右側頭部にかけて何度も殴られて。
 そして、この残忍な殺人を犯した犯人の名前は・・・・・・・・。
 柳原が痛ましげに眉を寄せ、こう言った。
「スタッフが来るのは10時間以上先なんや。それから警察が来るまでまた待たなあかんやろ?
それまでずっと、このまんまにしとくのは可哀相や」床の上は冷たいやろうし、と大上を見る。
 結局柳原の意見が採用され、大上はこの部屋のベッドに横たえられた。ベッドは客室の物よりも高価そうだったが大きくはない、死後硬直した身体が少しはみ出たてしまった。
 増田が顔に良く糊の効いた水色のハンカチを被せる。
 啜り泣きが洩れた。大上に向かって、手を合せている者、黙祷する者もいた。
 陣内はどれも相応しくないような気がして、だけど何が相応しいのかも判らずに、呆けた顔で突っ立ている。
 枕元にいるのは松口だった。その後ろには小林が付き添うように立っている。松口は相方をただじっと見詰めていた。
 松口はもう泣いていなかった。手を洗い、服を着替え、少し落ち着いたようだったが、消え入りそうな背中に、陣内はかける言葉もない。
 これは本当に現実なのだろうか。目に映る光景が全て淀んで見える。陣内は自分が哀しいのかどうかも判らない。頬を滑る涙が自分のものかさえも。
「何で、こんな酷い事を・・・・・・」矢作のそんな独り言が聞こえた。その言葉が向かう相手は一人しかいない。梶原がビクリと肩を揺らす。


 
495孤島のオニ ◆/TIxxEd. :02/10/01 15:39
 増田が後ろを向いて言った。
「・・・・・俺達は、何があったんかさっぱりワカラヘンのや。一体、この部屋で何があったんか・・・・・・教えてくれへんか?」
 気遣うように松口の顔を窺うと、「俺は、平気や、話してくれ」と掠れた声が返った。


 「降ってきたみたいですね」平井が呟いた。見ると、大粒の水滴が窓を濡らしていた。
 家族部屋に全員が座れる椅子はないし、これからする話は血に塗れた部屋の中、死者の前でするものではない、ということで彼等は一旦食堂に移動する事になった。
 テーブルを囲んだ面々は、一様に魂が抜けたような顔をしている。
 小林が彼等が見た一部始終を話し出した。陣内も時折注釈を入れたが、恐らくあまり役に立っていない。
 思考が濁って上手く文章が組み立てられない陣内とは反対に、小林は淡々と説明を続ける。
 大上と西野が結局一度も自室に戻って来なかった事、あの部屋のドアは鍵が掛かって入れなかった事、花畑の中に残された一組の足跡の事、
その足跡はテラスから崖縁に向かい、帰りのものはなかったという事、そして、それ以外の足跡は無かったという事、そして、崖の下には何も浮かんでなかったという事・・・・・・。
「それじゃあ、西野が大上を殺して、そのまま崖から飛び降りて自殺したってこと、か?」
 「殺」という言葉言い淀みながら、増田が誰に聞くともなく言った。
「そんなっ!!」
 梶原が立ち上がった。彼は先程からずっと小刻みに震えている。
「そんなのっ、まだ決まったワケやないでしょうっ!?崖の下に、西野のシ、シタイはなかったんやからっ」
「もうどこかに流されてしまったのかもしれないね」
 小木が遠い所を見るように目を細めた。無情な言葉だったが、正解だろうと陣内は思う。荒れた海は、60kg程度の物体なら、易々と遠くに運んでしまっただろう。
「・・・・・・第一、アイツが大上さんを殺しただなんて、・・・・・・・そりゃあ、昨日の夜喧嘩してたけど、そんな、だからって、大上さん殺して・・・・・・しかも、自殺だなんて・・・・・・」
「でも、足跡が」と柳原が口を開くと、「それは!」と引きつった声が止めた。
「崖っぷちまで行って・・・・・・それから後ろ向きにテラスに戻ったら・・・・・・」
496孤島のオニ ◆/TIxxEd. :02/10/01 15:43
「何でそんな無意味な事をしなくちゃいけないの?それにもしそうだったとしても、西野君はどこに行ったの?部屋から忍者のように消えたとでも?」と小木。
「それは・・・・・・」口篭もる梶原に、矢作が言った。
「まあ、足跡は置いとくとしても、西野が生きてて犯人じゃないんだったら、何で俺達の前に出てこないんだよ?」
「それは、大上さんを殺したヤツが、どこかに閉じ込めて・・・・・」自分で言ってて、無理があると判っているのだろう、どんどん声が小さくなっていた。
「この島にはこの家しか建物はないんだぞ?どこに監禁する場所があるんだよ」
「でも、島の全部を見たワケやないし、洞窟とか、あるかもしれないやないですか」
「・・・・・・で、そいつが俺達の中にいるって言いたいんか?」
「そうは、言ってないですけど・・・・・・」俯く梶原に、
「言ってるようなモンや、この島には俺達以外の人間はいないんやで?」
 と柳原が説き伏せるように言った。
「大体、オレラの中で大上を殺す動機を持ってる奴なんていないやろ?」
 梶原は「そんなことないですっ!」と叫んだ。
「そう、例えば、陣さんが、大上さんと昔、タレの事で揉めたって聞いた事あるしっ!」
「は?」突然矛先を向けられた陣内は、驚いて目を見張った。六年も前の事である。そんな遺恨はとうの昔にキレイさっぱり消えている。風の噂だろうが、良く知っていたものだ。
「柳原さんだって、大上さんに貸したお金が返って来ないってボヤイてたし・・・・・・」
「貸した言うても、二万程度やで?」
「それに、矢作さんも、この前オレラと一緒の番組に出た時、西野の悪口言ってたやないですか、だから西野に罪を被せようとして・・・・・」
「お前、それ本気で言ってるの?」
 柳原も矢作もうろたえた様子はない。「クダラナイ」と言いたげた。
 その後も梶原は次々と他メンバーの「動機」をこじつけていく。それは本当に些細な理由で、ほとんど言い掛かりだ。誰も相手にしていない様だった。
 梶原は最後に松口を見た。目が泳いでいる。
「コ、コンビだからって、松口さんも例外やないですっ!いや、コンビだからこそ大上さんを、殺すほど憎く思う事があったかもしれないじゃっ・・・・・・」
 小林がダンとテーブルを叩いた。
497孤島のオニ ◆/TIxxEd. :02/10/01 15:47
「エエ加減にせぇ、梶原っ!!」小林は椅子を蹴倒す勢いで立ち上がった。
「俺を疑いたきゃ好きにしろっ、他の誰を疑ってもイイわっ!でも、それは松口に対して言う事やないやろっ!」
 梶原は怯えて後退る。当人である松口が「気にしへん」と呟くように言って、小林は怒りの形相のままドカリと腰を下ろす。
 きごちなく顔を逸らせた梶原に、「あのさ」と小木。
「大体、昨日の夜からあの部屋のドアには鍵が掛かってたんだろ?ドア以外にはテラスしか出口はないし、そのテラスから続いていた足跡は、崖っぷちに向かってたヤツだけ。
つまりは他にあの部屋に俺達の中で・・・・・・もしこの島に俺達以外の奴がいたとしても・・・・・・入る事が出来たヤツはいないって事じゃないの?」
「大上さん達がドアを開けたかもしれないじゃですか・・・・・・」
「そうだとしても、出て行く時はどうしたんだよ。陣内さん達が中から開けるまでドアは閉まってたんだろ?あの部屋の鍵なんて、スタッフも渡されてないって聞いたぜ」畳み掛けるように矢作が追撃する。
「鍵穴にピンかなんか差し込んで・・・・・・」
「はっ、そんな特殊技術持ってたら、芸人なんかやってないって」矢作の声には苛立ちが混じっていた。場の空気がどんどん荒んでいく。
「昨日、陣内さん達二試合目が終わった後、西館に帰る時に、食堂の明かり消しました?」突然平井が脈絡のない事を言い出した。
「・・・・・・いや、大上達が通るときに、暗かったら危ないと思って、消さなかった」陣内が答えると、
「だったら、ここに設置されたカメラに映ってるんやないですか?もしもあの二人以外の誰かがあの部屋に入ったんなら」
 東館の各部屋に行くには、必ずこの食堂を通らなければならないのだ。
「それ、今すぐ見れるんか?」
「いや、すぐには無理で・・・・・・いや、見れるかな?」
 デジカメも補助で設置してるみたいですわ、と椅子に昇ってカメラを取り外した。
「おい、そこまでせんでもエエやろ、俺達は警察じゃないんやで?」たしなめるように増田が言ったが、
「警察が来るまで半日以上かかるんだろ?それまでずっとコイツに犯人扱いされちゃたまんねぇよ」矢作が不機嫌そうに言った。
「そうやな、はっきりさせといた方がエエかもしれへん」

498孤島のオニ ◆/TIxxEd. :02/10/01 15:49
 陣内も頷いた。この時、陣内は僅かにだが「もしかしたら」と思っていたのだ。陣内だとて、後輩である西野が大上を殺したなど信じたいわけではない。
「ちょっと待って下さい、巻き戻してますから・・・・陣内さん達が東館を出たのは25時位ですよね、じゃあその辺から始めますよ」
 デジカメの小さな画面に、大上達が立て篭もったのを見届け、西館に向かいぞろぞろと食堂を通る陣内達が映った。食堂が無人になって、停止したように同じ絵が続く。
画面はそのまま何の変化もなく進み、朝、二人を呼びに来た松口と梶原が映った所で、平井はストップボタンを押した。
「誰も通ってないみたいですね」
「・・・・・・東館の他の窓から入って・・・・・・」梶原は涙声だった。
 食堂と家族部屋の間には東に広間、西に食堂と繋がって厨房、食料庫がある。しかし、広間の窓には鉄の格子が付いてるし、厨房と食料庫の窓は人が通れる大きさではない。
 実に冷静に小木が説明した。
 食堂を見渡して、梶原はか細い声で言った。
「皆、西野が大上を殺したと思ってるんですね?」
(それ以外に何があるんや・・・・・・)
 陣内が顔を上げると梶原と目が合った。次の瞬間、幼さを残した梶原の顔がさっと青褪める。
 しまった、と陣内はようやく思った。何か言おうと口を開く前に、梶原は食堂を飛び出した。
「俺が行くわ」とその後を追い掛けたのは増田だった。
「・・・・・なんか、俺達、梶原を苛めたみたいになっちゃたな・・・・・・」
 眼鏡を外して矢作が溜息を吐いた。
 気怠い沈黙の中、松口がポツリと言った。
「死体も見てへんのに、西野が死んだなんて、信じられないに決まってるわ」
 テーブルの一点を見詰めながら、静かな声は続く。
「オレかて、大上のあんな姿を見ても、まだ信じられへんのに」と自嘲するように唇を歪めた。
 その言葉に、他の六人が気まずげに顔を伏せる。
499孤島のオニ ◆/TIxxEd. :02/10/01 15:50
(そうや、その通りや、それなのにオレは・・・・・)
 腰を上げた陣内に、
「止めとけ、今オレラが梶原と話しても逆上させるだけやで。「俺は西野を信じてる」なんて気休め言ってもしゃあないやろ、・・・・・・アイツだってホンマは判ってるんやから」
「でも、コバ」
「頭冷やさなあかんのはオレラや・・・・・・。相方が自分達の先輩殺して、自殺したなんて、そんなん耐えられへん、信じたくないわ、
誰かのせいにしていわ。それをあんな風に追い詰めたらアカンわ・・・・・」 
 小林は苦虫を噛み潰したような顔で重い溜息を吐いた。梶原への配慮がなかった自分の行為を悔やんでいるのだろう。
 事実を受け入れられずに梶原はパニックに陥っていた。そんな弱った子供を寄ってたかって踏み付けにしていたようなものである。誰一人、浦島太郎になってやらず。
「別に梶原君を責めるつもりはなかったんだけど、結果的にそうなっちゃったよね・・・・・・」と小木。
「梶原が悪いわけやないのに」と柳原も肩を落とした。
 異常な状況に全員が精神不安定になっている。そんな中、怒り・苛立ち・不安が全部梶原に向かったのかもしれない。
 いや、それだけではない。
 陣内は思った。「大上を殺した西野の相方」もしかしたら、そんな風に梶原の事を見てしまったかもしれない。気付かぬ内に、梶原の事まで恨んでしまったかもしれない。
 最後に梶原は陣内を見た。近しい先輩である自分に助けを求めるように。そして、そんな彼の目に憎しみの色を見付けて、大きなショックを受けたに違いない。
(アイツの辛さを判ってやらんと・・・・・)梶原が見せた絶望の表情を思い出して、胸が痛んだ。
 増田は一人で食堂に戻ってきた。
「梶原、自分の部屋にカギ掛けて閉じ篭もってしもうたで・・・・・・」
 陣内は唇を噛み締めた。力を込めたが痛みは感じなかった。
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\                     
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\テラス/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; \                             
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;┏━━━━━━━━━━┓;;;;;;;;;; \                
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;┃   家族部屋      ┃;;;;;;;    \               
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;┃_____/____┃;;      \                          
      ┃食 料 |   |   . ┃        \      海         
.     (┃___..|   |広  ..┃)← 窓       \          
      ┃厨 房 /   \     ┃           \         
.     (┃_ _ |   | 間  ┃)           |        
      ┃     └―\――――┃           |           
   ,  (┃     食    堂   ┃)          |          
      ┃―――――/――――┃          |           
━━━━┛               ┃          |            
        応接ロビー       .┃)          |           
玄関ロビー               ,┃           |            
━━━━━━━━━∪∪━━━━┛           |          
_||_)                                           
玄 関                                         

======================================================
             
       ドア・・・・/    )、∪∪・・・・・窓
501268 ◆/TIxxEd. :02/10/01 17:50
以上で第四章終了です。なんか、どんどん長くなって…。申し訳ないです。

>500
また、AAズレまくりました…。
もうこれ以上スレ無駄に出来ないんで、訂正はやめておきます…。なんとなく、判って頂ければ…。
と、いいますかなんでずれるかよく判らなく…ゴメナサイ゚・(ノД`)・゚・
西館の見取り図もやろうかと思ってたんですが、なんかもうダメです。
一週間ほどAA教室のスレとか見てたんですが、それでもAAの仕組みが判りません、アフォです。

>>479
そう言って頂くと、書いたかいがあったと嬉しいです。
た、ただ、「孤島のオニ」というのは、題名であってHNではないのです。
紛らわしくて、すみません。

>>477
どなたか引き継いで下さる方がいますように…。
そして、ちょこバトさんのお帰りを待っております。


あと、
RPGを書いてらした方々、ロボ二号さん、ヒマヂンさん、お腹いっぱいなのらさん、、
予告ダケさん、「芸人が一つの学校に居たら」の書き手さん、他にもこのスレで依然書いてらした方は、
もうここにはいらっしゃらないのでしょうか?
単純に続きを読みたいというのもありますし、このスレの色々なものが読める、雑誌みたいな感じが好きだったし、
何より、自分のヤツがこのスレを占めてる状態は上手く言えないのですが、ちょっと、良くないのではないかと…。

単純に寂しいです。
あんまりこういう風に催促してはダメだとは思うのですが、もしまだご覧になっていたら、
皆さんの近況を知りたいな、と…。お忙しいとは思うのですが…。
502名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/01 18:32
>268
続き待ってました!!
本気でハラハラします。
状況とかがわかりやすくて読みやすいです。
これからも楽しみにしてます。頑張ってくださいね。
保守ageしようと思って来たら新作がヽ(´∀`)ノ
お疲れさんです。

>RPGを書いてらした方々、ロボ二号さん、ヒマヂンさん、
>お腹いっぱいなのらさん、、 予告ダケさん、
>「芸人が一つの学校に居たら」の書き手さん、
>他にもこのスレで依然書いてらした方

同感。無理にお願いするのはなんだけどやっぱ色んな話読みたいし寂しい。
勿論、無理だけはしないで欲しいけど、、、
504名無しさん@腹へった。:02/10/01 20:37
age
505ロボ二号:02/10/01 21:04
お久しぶりです。
私事で忙しかったり、バトロワスレの方にもちょこっと手を出していたりしまして、
こちらがほぼ途中放棄というような状態になってしまいました。
実はこのスレもロムっておりますので、>>286さんの書かれる孤島の鬼もしっかり読んでいます。
途中放棄は完全なる私情で、>>286さんのせいではないので気にしないでください。
手が空いたら戻ってくるかもしれません。
孤島の鬼、面白いです、>>286さん頑張ってください。
506名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/01 21:55
孤島のオニ続き
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!
本当におつかれさまです。
そして本当におもしろいです。
507名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/02 21:26
孤島のオニさんマジで面白いです。
どんどん話に引き込まれていくよ
508何でも推進委員:02/10/03 08:37
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\                     
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    .   ┃厨 房 /   \  .  ..┃        .    . \         
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  .  ,  (┃    食    堂  .. ┃)       .      |          
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        .  応接ロビー      .┃)          .   |           
玄関ロビー  .              ,┃              |            
━━━━━━━━━∪∪━━━━━┛              |          
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玄 関   


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   【ドア・・・・/    )、∪∪・・・・・窓】
509何でも推進委員:02/10/03 08:41
>孤島のオニ書き手さん
ズレているのを気にしてらっしゃった様なので
勝手ながら少し点々加えて貼ってみました。
点々だらけで、そしておせっかいスマソ。
じゃあこれからも頑張って。
510何でも推進委員:02/10/03 08:49
あ、言い忘れ。表示→文字のサイズは中に合わせてあります。
小やら大だと崩れますんで・・・。無駄なスレ使いスマソ。

では逝って来ます。
511 :02/10/03 14:54
age
512名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/03 23:58
厨の集まりだと思って今までこのスレ見たことなかったけど、
意外と(・∀・)イイ!ので吃驚した。
「孤島のオニ」の続き、禿げしく気になる。
513名無しさん@腹へった。:02/10/04 17:52
age
514 :02/10/04 20:18
「孤島のオニ」おもしろい! こんな上質な小説に出会えるとは思わなかった。
バトロワの方も好きだけど、こっちはいろいろなものが読めるのがうれしい
「孤島のオニ」面白いです。
暇な時にでも来てください。
待ってます。

516名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/05 22:48
続き待ちage
517268 ◆jM/TIxxEd. :02/10/05 23:46
>>505
レス有難うございます。
物凄く個人的なんですが、ロボ二号さんの松竹話が好きだったので、
また見られる事を楽しみにしております。
催促しておいて、レスが遅れてしまい、すいませんでした。

>>508-510
あ、ありがとうございます。
職人さんに手直しして頂けるなんて・゚・(ノД`)・゚・
自分が不甲斐ないばかりに御手を煩わせてしまった上、お礼も亀ですいません。
どうもありがとうございました。

>>502-503>>506-507>>512>>514-515
好きでやってる事ですが、そう言って頂けますと書いて良かったとしみじみ嬉しいです。

来週中には第五章うpします。
パソに長く触れない環境なものでして、今日はこのへんで逝きます…。







518 :02/10/06 05:03
>268 ◆jM/TIxxEd.
無理せずマイペースにがんがってください。

RPGの人は戻ってこないのかな〜
519名無しさん@腹へった。:02/10/06 18:24
age
520名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/07 16:41
色々読める雑誌みたいな雰囲気が好きだったし、
孤島の鬼にばっか期待しちゃ286さんも大変だと思う、
ので、前のRPGとか推理小説とか新たに参戦する書き手さんは居ないものか。

一人っきりでスレ持たしてるようなもんだから、
時間的にもきつくないかなー。
>>520
同意。
書き手さんがいないと
どうしても286さんに負担がかかる。

誰か気楽に書いてみて欲しい。
ロボ二号さんの松竹の小説好きだった。
522名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/07 23:24
age
523名無しさん@腹へった。:02/10/08 16:26
age
524名無しさん@腹へった。:02/10/08 22:54
age
525名無しさん@腹へった。:02/10/09 17:57
age
526名無しさん@お腹いっぱい。 :02/10/09 23:22
落ちる落ちる!
527名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/10 06:56
あぶないage
528名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/10 17:45
RPGで見てみたい芸人。
ラーメンズ・ハリガネロック・爆問

言ってみただけage
529名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/10 17:55
.hackっぽい何かできないかな・・・
530名無しさん@プッチンプリン:02/10/10 18:54
ageとこっと。
531名無しさん@プッチンプリン:02/10/10 23:32
age
続きがとても気になる。
532名無しさん@プッチンプリン:02/10/11 13:03
age
533名無しさん@プッチンプリン:02/10/11 18:10
age
534名無しさん@腹腹:02/10/11 19:03
age
535名無しさん@腹腹:02/10/12 10:31
age
536名無しさん@よしもと:02/10/12 13:36
age
537名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/12 13:40
RPGに参入しても宜しいですか?
538名無しさん@よしもと:02/10/12 15:05
ageageageageageageageageageageageageageageageageageageageageageageageage
ageageageageageageageageageageageageageageageageageageageagaegageageageageageagea
539名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/12 15:18
>537
どうぞ!歓迎します。
540名無しさん@よしもと:02/10/12 17:32
age
541名無しさん@よしもと:02/10/12 21:42
age
542268 ◆jM/TIxxEd. :02/10/12 22:42
>>520-521
お気遣い有難うございます。
前にも書きましたが好きでやってる事なんで、負担とは思わないんですが、
自分も色々なものを読みたいので、寂しいです。

>>537
心より、心よりお待ちしております。

「孤島のオニ」第五章、明日にはうpします。
どんどこ長くなって…申し訳ないです。
一応「来週中」というのは守れそうです…。
543名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/13 13:30
age
544aa:02/10/13 13:42
age
>>268 ◆jM/TIxxEd. :さん
「孤島のオニ」おもしろいです!第5章楽しみにしてます。
>>537さんのRPGにも期待してます。
546 :02/10/13 18:53
あげ。
547 :02/10/13 20:19
age
548_:02/10/13 22:48
age
549   :02/10/13 23:23
age
550   :02/10/13 23:35
めちゃ楽しみしてます!あと20分?たつまでには5章がみれるなんて!!
すばらしいぐらたのしみです!
551 :02/10/13 23:51
age
552 :02/10/14 00:08
今まで2chでここまでアドレナリンが出たことが漏れにあっただろうか……
553268 ◆jM/TIxxEd. :02/10/14 00:09
>>550
ワタクシ、ワタクシ、また嘘を吐いてしまいました…。
あと、あと、一時間の猶予を…。今、パソに打ち込んでますんで。
本当にゴメンナサイ。
554 :02/10/14 00:12
>>◆jM/TIxxEd.さん
あわてないでがんがって。

これがリアルタイムの快感かー。
わくわく。
そーそ、◆jM/TIxxEd.さんもこれから書こうとしてる人も今構想練ってる人も
変に焦らずマイペースに書き込んでくれればそれで嬉しい。
みなさん無理はせずに頑張ってくらさい。
556268 ◆jM/TIxxEd. :02/10/14 01:44
ぎゃふん。
三十分遅れ…。

待っていて下さった方、申し訳ございません。
とにかく、「孤島のオニ」第五章、うpします。
ちなみに、今回はまた、洒落にならない長さです。
>>499の続き 

                     【第五章 嵐、そして新たな供物】


 何かを思い出したように小木が顔を上げた。
「コーヒーでも煎れましょうか?」
「そんなもん、どこにあるねん」
「昨日、厨房を物色してたら棚に入ってたんですよ」
 この家には飲み物は水しかないと思っていた彼等には朗報だった。今日は朝から随分と冷え込んでいる。
「俺は、遠慮しとくわ」
 松口が、ゆらりと立ち上がった。
「もう、部屋に戻ってもエエやろ?」
 そう言って、歩き出した途端に前に傾いだ。隣に座っていた増田が支えようと差し出した手を「平気や」と遮って、よろよろと食堂を出て行った。
「一人に、しといてやろ・・・・・・」
 閉められたドアから目線を外し、小林が言った。残された面々は無言で頷く。小木が再び口を開いた。
「他の皆は飲みますか?・・・・・・それじゃあ、お湯沸かしますね」
 厨房に入って行った小木に「手伝うわ」と柳原が続いた。
「これから、どうします?」
 眼鏡を外しながら矢作が言った。陣内は眼鏡を外した矢作の顔を初めて見た。掛けてる方が若く見えるな、とぼんやり思う。
「どうしますって・・・・・・スタッフ達が来るんを待つしかないやろ」
 唸るような声で小林が答えた。
「漁船とか遊覧船が島の近くを通ったりしませんかねぇ」と平井。
「この近海で漁はやってへんらしいし、こんなに海が荒れてる日に観光や道楽で船出すアホはおらへんやろ」
「そうですよねぇ・・・・・・」
 自分で言ってて有り得ないと判っていたのだろう、増田の言葉にさして落胆した様子も無く、平井は椅子に凭れ掛かった。
 食堂にコーヒー特有の香気が漂って来て、瀟洒なコーヒーカップが配られた。
 色からして、随分濃いのだろうが、陣内の舌は麻痺したように、味を感知しない。ただ、その熱さが臓腑に染み入り、体が温まっていくのを感じる。
 全員が無言でコーヒーを啜る頭上を、本日三度目のベルが鳴り響いた。ベルは懸命に「お笑いBR」第四試合を知らせるが、芸人達が従う事はもうない。
 ベルの余韻の中、柳原が太い眉を顰めた。
「さっきから、ヤカマシイねん、この音」「止められないのか?」矢作が当然のように平井にふる。
「ニッパーがあれば、線切っちゃえるんですけどねぇ」
 平井は作り物のようなデカ鼻を擦りながら答えた。
「ニッパーなら、物置にあるで」増田が口を挟んだ。
「物置?そんなもん、この家にあったか?」
 首を傾げた陣内に、増田は苦笑したようだった。
「スタッフは陳列室、言うとったけど、あれはただの物置や。なんや使ってへん椅子やら机やらが置いとったし」
 そこに工具箱があるから、と増田は言った。
 陳列室なら、惨劇のあった東館、家族部屋とちょうど対に(面積は半分程だが)、陣コバ、ますおかの部屋の奥に位置している。しかし、
「陳列室も立ち入り禁止とちゃいましたっけ?」
「ちょっと覗いただけや。陳列室言うから、なんぞ高いモンでもあるんかと思ったら、絵が何枚か飾ってあっただけやし」
「でも、工具箱なんかあるんやったら、電話解体する時に教えてくれればよろしかったのに。小木のドライバー小さくて使い難かったんですよ」「しゃーないやん、寝る前に見たんやから」
「とにかく、それで止められるんだったら、次に鳴る前に止めといてよ」と小木。
「俺は便利屋かいな」とぼやきながらも、平井は了承した。
「おい、どないしてん?」
 小林の唐突な言葉に、その視線の先を見ると、両手でカップを握り締め、目を見開いたまま動きを止めた柳原。
「柳原?」と陣内が呼び掛けても反応はない。
 小木が顔の前で手をひらひらと揺らして、ようやく、
「あっ、えっ、あぁ・・・・・・」ぎくしゃくと動き出した。その唇は微かに震えている。
「大丈夫か、ヤナギ?」
 不安げに増田が問うと、柳原は一瞬だけ下を向いて、
「いや、ちょっと、考え事をしてただけです」と顔を上げた。「考え事?」
「なんだ、お前も平井みたいに霊が見えるとか言い出すのかと・・・・・・」
 矢作はそこで言葉を切って、「すいません、こんな時に」と首を垂れた。
 その意味する事が判っても、誰も何も言わなかった。
 小林がおもむろに煙草を銜えた。火は点けずに、腕を組み、目を閉じた。
 ガタガタと怯えたように窓が震えた。
 陣内は窓の外で繰り広げられる、風と木々の狂乱にしばし見入った。
「もしかして、台風が来てるんじゃないの?」
 カチャリとカップを置いて、小木は不吉な事を言う。
 その不安は全員の心にあったのだろう。言葉を返す者はいない。
 小林が応接間にあったポータブルラジオを持って来て、テーブルに置いた。
 ラジオの電源を入れると、ザアザアと雑音が溢れ出し、部屋の中にも嵐が生まれたようだった。
 スイッチを捻っても雑音ばかりで人の声は拾えない。小林は根気強くチューニングを続けた。
 と、聞こえて来た硬質な女の声。
「NHKのニュースみたいやな」「さすがは国営」
 増田が「次、気象予報やで」とボリュームを上げた。
「大型の台風22号は、更に勢力を強めながら、北北東に進行、午後4時には関東南部に上陸する模様です。中心気圧は965ヘクトパスカル、最大瞬間風速は40キロメートル・・・・・・」
 聞き手の感情に頓着するはずもなく、女性アナウンサーは規則正しく各地の警報状況を読み上げていく。
「関東直撃やって・・・・・・」
「なんか、戦後最大とか言ってるけど」「同じ事、去年も言ってたやん」
「ねぇ、これで迎えの船も来られないとか、そんな事は、ないよね」
 先程に輪をかけた小木の不吉な発言が、更なる沈黙を落とした。
「関東上陸するまで大分時間があるんやで。電話も繋がらへんし、予定変更して、船が出せる間にこっちに来てくれるやろう」
 もう今頃、こっちに向かってるかもしれへんで、と場を守り立てるように増田は語調を強めた。自分に言い聞かせたのかもしれない。
「そう、そうやな、うん」
 全員が蜘蛛の糸に群がるように、増田の意見に賛同した。


 午前10時半。重い腰を上げ、ようやく彼等は散会した。
 各々の部屋へ戻る流れの中、小林だけが反対方向の厨房に向かった。
「まだ、コーヒー飲むん?」
 ヤカンに火をかけていた小林に陣内が問うと、
「梶原にも、持っていってやろうと思ってな」
 小林は振り返らずに答えた。
「・・・・・それなら、砂糖もようさん入れなな、アイツ甘党やし」
「そうやな・・・・・」
「俺も一緒に行くわ」
 戸棚からカップとスプーンを取り出しながらそう言った陣内に、「ああ」と静かな返事が返った。
 二人は中廊下を並んで歩いた。
 つい数時間前、同じように二人で肩を並べて東館へと向かったのが遠い昔の出来事のようだ。
 梶原の、キングコングの部屋は、陣内達の部屋の二つ隣、西館の一番手前にあった。ドアを叩いても、応答はなかった。盆を持つ小林が、
「梶原、コーヒー飲まへんか?」
 盆にはカップとカロリーメイトチョコ味が載っている。陣内はもう一度ドアを叩いた。
「おるんやろ、梶原?」
 何度か繰り返して、諦めようかと手を降ろす。
「・・・・・・・・置いといて、下さい」
 か細い声が返った。陣内と小林はそっと視線を合せる。
「ドアの前に置いとくからな」盆を床に置いた小林は、「行くぞ」と陣内を促す。
「冷めないうちに、飲めよ」
 陣内は言い残して、自室へと戻った。

                         *

 ベッドに突っ伏していた陣内は、寝返りをうって壁の方を向いた。重い吐息。
 食堂を出てから、一時間が過ぎていた。
 館を訪れる者はいない。
 無為な時間は不安と焦燥となって、陣内の身の中を這い回り、澱となって沈んでいく。
「なんでやろ」
 隣のベッドから声が聞こえた。小林はベッドの縁に腰を掛け、煙草をふかしていた。
 陣内が「えっ」と声を出すと、独白だったようで、「いや・・・・・・」と口篭もった。
「言えよ」陣内は上体を起こした。
 小林は自身が吐き出した紫煙の行方をぼんやりと見詰めて、
「なんで、殺してしまったのかと、思ってな・・・・・・」
 陣内は想像する。取っ組み合う二人、カッとなった西野が手近にあった置時計で大上を殴りつける。きっと、
「魔がさした、んやろうなぁ」
 声に出してみた。 空々しい言葉だった。小林は何も言わない。
 陣内は両手を組んで、下を向いた。
「あん時、ちゃんと喧嘩を止めてればな・・・・・・」
 後悔の言葉が口から洩れた。こんな感慨は何の意味も無い、そんな事は判っていた。

「そう、やな・・・・・」
 胡乱な返事を返して、それきり小林は口を噤んだ。陣内は一人続けた。
「大体、入ったらアカン部屋だったら、鍵掛けとけば良かったんや」
 そうすれば、二人が閉じ篭もる事も無く、最悪の事態にはならなかっただろうに。八つ当たり、分かってる。
「なんで、なんで、こんな事になってしもうたんや!」
 何度と無く心の中で叫んだ台詞。これから幾度と無く叫ぶであろう台詞であった。悶えるように陣内は泣いた。
 酒を飲んでいたわけではない。素の状態で、いやそうでなくとも、それで、長年一緒に過ごした仲間を殺せるのか。「魔がさした」それだけで。
 あの事。そうだ、二人が言っていた「あの事」とは何なのだ。寝る前にも考えた。こんな事になろうとは思わずに。陣内が知らない二人の間のわだかまりが・・・・・・。
 陣内の思考はそこで中断された。

 悲鳴が聞こえたのだ。

「なんや、今の!」
 陣内が立ち上がった時には、小林がドアを開いて外に出ていた。次々と客室のドアが開き、館にいる全メンバーが廊下に揃う。
 悲鳴の主、小木は西館のL字型の廊下の角で、無闇に寿命を延ばされた老犬のように、四つん這いになって震えている。
「どうした!?」
 柳原が小木に駆け寄った。小木は「に」とだけ言って、両開きの窓を指差した。
「に、に、西野が、西野が、そこにっ!」
 引っくり返った声で小木は叫んだ。
「ニシ、ノ?」
 一瞬、陣内はその単語の意味を理解出来なかった。
「何言ってるねん!西野がいるワケないやろっ!」
「木か何かと見間違えたんじゃないか?」
 不恰好な姿で小木は喚いた。ふざけている様子はない。
「ホ、ホントだって、俺、見たんだからっ!確かに、窓の外に西野が、西野がいたんだよっ!」
「そんな、だって、西野は・・・・・・」
 平井が途切れ途切れに呟いた。食堂の会議でも西野の自殺は確定事項だったのだ。
 「幽霊」そんな言葉が陣内の脳裏をよぎった。それを読んだかのように、
「あ、あれは幽霊なんかじゃないっ!ちゃんと、生きて、西野が、窓の外に!」
 
 
 小林が小木が指差した窓を開ける、突風が家の中に吹き込んでくる。小林は窓枠に手を掛け、
「誰もおらへんやんけっ!」と叫んだ。
「お、俺が悲鳴を上げたら、驚いて逃げていったんだよっ!」
 崖から落ちて運良く助かったのか、それともあの足跡自体が何らかのトリックで作られたのか、それは判らないけれど・・・・・・。
「西野が、生きてる?」梶原が呆然と呟いた。
「どこ行ってん!西野はどこに逃げたんやっ!?」
 抜け殻のようだった松口は、息を吹き返したように小木に掴みかかった。目の下が腫れている。泣いていたのだろう。
「も、森の中に入って行った・・・・・・」
 館を出てすぐ南西に、島の面積の大部分を占める森林が広がっている。
 脱兎の如く梶原が駆け出した。玄関の扉が開け放たれる。
「梶原!ちょっと待てっ!」
 追い掛けて陣内が外に出ると、待ち兼ねていたように、雨は勢いを増した。
 梶原は相方の名を呼びながら、森へと入っていった。鬱蒼と生い茂る樹々に紛れ、その小さな背は、どんどん見えなくなっていく。
「松口っ!」
 梶原に気を奪われていた隙に、「どこや、出てこい、西野っ!」と喚きながら松口が別方向へと走り出した。
 小林がこちらを振り向き、早口で言った。
「陣内はそのまま梶原の方を追ってくれ、俺は松口を追い掛けるわ!」
「わかった!」
「何があるか判らん、エエか、一人で動いたらアカンで!」
 叫んだ小林は見失わない内にと、側にいた平井を従え、松口の後を追う。
 再び走り出した陣内に、「俺も行きますっ!」と矢作が並んだ。
 陣内が後を振り返ると、残りの三人は呆然と立ち竦んでいた。増田と柳原が未だに事態が飲み込めていないのか、惚けた顔でこちらを見ている。小木は泣き出しそうな顔をしていた。
「お前らは、三人で探してくれっ!」
 誰を、とは言わなかった。返答を待たずに、陣内は木立へ分け入った。


「梶原!おったら返事してくれ、梶原!!」
 答えはない。名も知らぬ樹々が嘲笑うように撓む。直立した幹は高く、陣内の頭上で枝葉が生き物のように蠢いていた。
 舗装された道はない。ぬかるんだ足場、日は射さず薄暗い。雨風は陣内達を敵とばかりに打ち付けてくる。


「ちょっとした、冒険ですね、これは」矢作は額を拭った。
 森に入ってから、小一時間は経っている。二人とも疲弊を隠せない。
(それにしても・・・・・・)
「西野、本当にこの森にいるんでしょうか?」陣内の心を見透かすように矢作が言った。不安そうな顔。
「・・・・・小木の、見間違いかもしれへんしな・・・・・」
 信じられなかった。西野の遺体を見ていないから、絶対に嘘だとも言えない。
 もし、本当に生きているのなら・・・・・・。もちろん喜びはある。だけど、それと同時に感じるこの恐怖と怒り。
 この森で、もし西野と遭遇したら、自分はどうするだろう・・・・・・。
「うわぁっ!」
 考え込んでいた陣内は、ずるっと足を滑らせた。尻餅をついて、そのまま斜面を落ちていく。
 陣内は夢中で木の幹にしがみつき、両足を踏ん張った。
(止まれっ!)緩い斜面にヤモリのようにへばりつく。止まった。
「大丈夫ですか、陣内さん!」
 器用に木を伝って矢作が降りて来る。
「大丈夫、ちょっと擦りむいただけや」立ち上がりながら、陣内は口に入った小石を唾と一緒に吐き出した。泥塗れの身体を、すぐに雨が洗い流す。
(洗濯いらずやな)陣内は心の中で苦笑した。
 幸い、手足と頬を擦り剥いた位で、動くのに支障はない。しかし、
(顔に、傷が・・・・・・)
 こんな時にテレビ映りなど気にした自分は職業病なのか、習性なのか。
「陣内、さん?」
 掠れた声が耳に入った。
「梶原、梶原かっ!」
 腰を落とし、陣内と矢作はそろそろと斜面を降りた。
 木にもたれた梶原が、驚いた顔でこちらを見ていた。
「梶原、捜したんやでっ!」
「陣内さん、矢作さんも・・・・・・」
 叫び続けていたのだろう、声がほとんど出ていない。
「西野は、見付かりましたか?」
「いや、まだ・・・・・・」

「それなら、はよ、捜さへんと・・・・・・」
 木から身を離した梶原は、一歩踏み出してよろめいた。
「おい、梶原、お前怪我してるのか?」
「ちょっと、躓いてしもて・・・・・・・」
 見ると、ズボンの右膝の部分が破れ、血が滲んでいる。相当痛むのだろう。少し足を動かす度に、顔を顰めている。
「俺の事はいいんです、それより西野を捜さんと・・・・・・」
「アホ、その足でこれ以上歩けへんやろっ!」
「これくらい、平気ですから!」と右足を引き摺って歩き出したが、すぐに「うっ」と唸ってその場にしゃがみ込んだ。
「無理やって、梶原!」「でもっ!」
 矢作が宥めるように、梶原に目線を合わせる。
「もうすぐスタッフも警察も来る。この島の地理も分からない俺達が下手に動くよりも、そいつらに任せた方がいいって」
 警察、と梶原は項垂れた。
「これ以上森の奥に入ったら、戻ってこれんようになるで」
 陣内と矢作に両脇を抱えられ、梶原はもう抵抗しなかった。どのみち、一人ではほとんど歩く事も出来ないのだ。
「矢作、お前屋敷に帰る道、わかるか?」
「それが、途中で判らなくなって・・・・・・」「俺もや・・・・・・」
 張り巡らされた木立の風景は、どこを歩いてもほとんど変わらず、方角さえも判らなくなってしまった。
「とりあえず、覚えてる所まで行きましょう」と矢作の指差した方向へと三人は動き出した。
 梶原はもう、涙も枯れ果ててしまったような虚ろな顔で、
「なんで、西野は逃げたんやろう・・・・・・」と力無く呟いた。
 「それは大上を殺したからや」陣内は口に出す事は出来なかった。


 どれくらい歩いただろう。森の迷路は何時果てるとも知れなかった。
 陣内の身体は冷え切っていた。カチカチと歯が音を立てる。それなのに、顔の辺りだけは火照っている。全身に痺れが走った。梶原の身体がやけに重く感じる。
 どうやら、熱を出してしまったらしい。
 陣内はすぐに熱を出す。その度に寝込んでいては仕事にならないので、休みを取ったりはしない。だが、慣れているとは言っても他の人が熱を出した時と同じように、辛い事には変わりない。出来る事なら、この場に座り込んでしまいたかった。




 しかし、歯を食い縛って痛みに耐えている傍らの梶原を見て、こいつを家に送るまではと気力を振り絞る。
 ふいに立ち止まった矢作が、目を細め、少し弾んだ声を出す。
「あれ、小林さんじゃないですか?」
 樹々の隙間から見えるのは、確かに小林の姿。
「ほんまや、コバ!」陣内が叫ぶと、
「陣内か!」小林がこちらに向かってきた。その後ろには松口と平井の姿があった。松口を見て、陣内はホッと息をつく。
「梶原、お前、怪我しとるんか?」
「平気です」
「全然平気とちゃうやろ。とにかく屋敷に戻りたいんやけど・・・・・・」
「俺達も戻ろうとしてた所です。風が強くなってきて、倒れてる木もあるし、このまま森の中にいるのは危険ですわ」
「でも、俺達、帰り道がわからなくなっちゃって・・・・・・」
「大丈夫や、俺のGショックで方角がわかるから」と小林が左腕を上げた。
「先月の給料で買ったばかりのもんが、こんな所で役に立つとはな」
 小林は自嘲するように笑い、「増田達は見ぃひんかったか?」と聞いた。陣内達が首を横に振ると、
「そうか、あいつ等も迷ってるかもしれへんからな。とりあえず、いっぺん館に戻って、帰って来てへんかったら、捜しに行かんと・・・・・・」
「西野はどうすんねん」
 地を這う声で松口が言った。
「だから、さっきも言ったやないですか。西野は森の奥の方に入ってしもうたかもしれへんのですよ。この広い森を、この嵐の中で、俺達だけで捜すのは無理ですって。こっちの身が危ない」
 大体、小木の見間違えって事もあるし、と平井は小声で付け足した。
「だから、そんなんどうでもエエから、俺だけでも捜しに行くって言ってるやん」
「勝手な真似は許さへんで、松口」小林が気色ばんだ。
 松口は陣内の方を向いて、肩を竦めた。
「こいつら、俺の邪魔ばかりするねん。大上を殺した奴を、この手で捕まえてやろうと思ったのに」
「松口!」小林は一喝した。
 梶原の身体が震えるのが伝わって来た。松口は梶原への配慮も忘れてしまっている。
 ふいと歩き出した松口の足取りはしっかりしていた。その場の誰よりも機敏なくらいだ。それが、そもそもおかしい。血の気のひいた顔の中で、鈍い光をたたえた瞳。
 陣内の肌がぞくりと粟立つ。
 相方の大上を、非現実的な展開で失い、松口の精神は崩壊寸前の所で、それでも何とか持ち堪えていた。少なくとも陣内はそう思っていた。
 しかし、「西野が生きている」、その事実を知って(信じて)、松口は完全に己を見失ってしまったようだ。
 「復讐」という名の炎は、松口の疲弊し切った精神を燃え立たせているようだが、同時に最後には自身を焼き尽くしてしまうのではないか。
 危うい。胸が塞がる。しかし、陣内は松口にどうしてやることもできない。
 もし、松口が西野を見つけていたら、どうなっていたか・・・・・・。
 陣内は己の想像を払い落とすように、首を振った。

 小林のナビゲートで一行は無事に「紫苑荘」へと辿り着いた。
 増田達三人は、まだ戻っていないようだった。
 梶原を椅子に座らせた陣内は、息を整えようと空気を吸い込んだ。同時に、強烈な吐き気と目眩に襲われる。
 小林が各々に指示を出していた。
「矢作は梶原の傷の手当て、平井は松口を見張っといてくれ。陣内は俺と一緒に、増田達を・・・・・・」
 あぁ、と荒い息の中、答える。返事ではなく、ただの吐息に聞こえたかもしれない。
「陣内、お前、もしかして、熱あるんちゃうか?」
「いけるで。いつもの事やし」
「アホ、連れて行っても足手纏いになるだけや。ここで大人しくまっとけ。俺一人で・・・・・・」
 バンっと玄関の扉が開いた。
 倒れ込むように、増田と小木が玄関に上がりこんできた。ずぶ濡れの二人は両腕に何かを抱えていた、それは・・・・・。
(柳原?)
 最初、柳原は眠っているのだと陣内は思った。
「ヤナギがっ」
 上擦った声で増田が叫ぶ。
 抱える二人が動く度に、振動で柳原の手がたゆとう。黒髪の隙間から見える、血溜。
 雨と血が混じって、ぴちゃりと床に落ちた。
「柳原っ!」
 小林と矢作が駆け寄って、柳原を応接間のソファーに横たえた。
「これは、どういうことや、何があってん!」
「ヤナギ、ヤナギっ!」
 増田は答えず、うわ言のように名を呼びながら、柳原に取り縋っている。
「だから、一体何があったんだよ!」矢作は、全身を弛緩させて床にへたりこんでいる小木の肩を掴んだ。
「俺達三人で、西野を捜して、森に、入ったんだ・・・・・そ、そしたら、柳原が「あそこに西野がいる」って走って行って・・・・・・」
 ぼろぼろと小木は涙を零した。
 揺れている。地面がぐらぐらと揺れていると陣内は思った。しかし、揺れているのは陣内自身だった。
「俺達、柳原を見失っちゃって・・・・・。そ、それで、柳原、見付けた時には、こんな姿に、なっちゃってて・・・・・・」
 周りの騒乱に反して、柳原の顔は穏やかだった。目を閉じ、うっすらと口を開き、蝋のように青褪めて。
 震える手で、柳原の脈をとっていた小林が、悲愴な顔で固まった。
「どうしたら、どうしたらエエんやろう、ヤナギ、ヤナギがっ!」
 増田は子供のように泣きじゃくりながら、必死で動かない身体を擦り続けている。失われていく体温を、なんとか取り戻そうと。
 一体、この茶番はなんなんだ。
 何時になったら、この馬鹿げた悪夢は醒めてくれるのか。
「ヤナギっ、目ぇ覚ましてくれ、ヤナギっ!」
 増田の叫び声が歪んで聞こえる。五感が緩やかに動きを止めていく。
「もう死んでますよ、柳原」
 抑揚のない、低音の声。
 振り返ると、柳原を囲んだ輪から少し離れた所に、無表情の平井が佇んでいた。
 グラリと陣内の身体が沈んでいく。世界が遠く離れていく。
 もう一度、平井は言った。

「死んでますよ」

 平井は笑ったようだった。


 その瞬間、陣内は意識を失った。


568268 ◆jM/TIxxEd. :02/10/14 03:15
>>557-567

以上で第五章終了です。
本編だけでとうとう、10レス使っちゃいました…。

今回は、本当にもう、お詫びの言葉もございません。
回線で首吊るくらいではすまされないチョンボです…。
と、言いますか何度嘘を重ねれば済むのでしょう…。
今後はこんな事がないように気をつけます。

>>545>>550>>552
本当に申し訳ありませんでした。
もし、今の時間までお待ち頂いたのでしたら、本当にごめんなさい。

>>554>>555
ありがとうございます。
とりあえず、このスレが終わるまでには終わらせないとさすがにヤヴァイと思ってますんで、
なんとかやっていきますです。
569 :02/10/14 03:29
やたー。
リアルタイムで読んじゃった。
面白くなってきた……
コバカコ(・∀・)イイ!
相当面白いね。
最後の平井が不気味で(・∀・)イイ!
続きも楽しみにしていますね。>268さん
すげえよこの話……。
面白い。

西野はいったいどうなったんだ。
柳がビクついた理由は…陳列室には一体何が。
冷静な平井がかえって悲しい。
相方に疑いがかけられている梶原ももっと悲しい。

柳原に合掌。

しかしコバって実際こういう場があっても、冷静に対処しそうだね。
陣内が死なない限り。カッコいいわ。
バトロワスレでヒナマスターズ氏の書いた話読んだ時並に面白い<孤島のオニ
がんがれ。
俺も平井の不気味な冷静さがすげー気になる。
コバはコバで、内心冷静じゃなくてもでも表に出さずに
どっしり構えてそうな感じがカコイイ。
574名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/14 23:51
うわー・・・すげー面白い。話の中にどんどん引き込まれてくよ。
平井の冷静さがなんだか恐いです。これからどうなるんだ!
みんなと同じ意見でごめん。
映像が頭に浮かんでくる。
すごい・・・の一言に尽きます。
頑張ってください。
576名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/15 00:20
久しぶりに来たら続きが…やばい、めっちゃおもろい。
書き手さん、良い物読ませてもらってありがとう!
577名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/15 19:10
age
578孤島のオニファン:02/10/15 20:51
age
579名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/16 06:45
age
580孤島のオニファン:02/10/16 16:44
孤島のオニの1章と2章ってないんですか?
もしあったら1章と2章キボーン。
 「孤島のオニ」イイ!!イイ!イイ!!
相方を失ってなお冷静な平井が不気味だけど悲しい・・・
一気に読んでしまった。保存の価値アリ!!
第6章も楽しみにしてます!!
>>568268さん
当方>>454ですけど全然大丈夫ですよ。小説おもしろかったです。

>>580
一章>>348 二章>>407
あとプロローグ>>314
583名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/16 23:19
自分も密かに「孤島のオニ」保存してまつ(w
マイペースでがんがってください<書き手さん
584孤島のオニファン:02/10/17 16:14
>>582
Thanks!
585名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/17 18:52
age
586 :02/10/18 00:31
あへ
587名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/19 00:30
age
588名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/19 15:07
age
589  age:02/10/19 19:24
age
590名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/19 23:03
268氏は次はいつ頃降臨なさるのだろう
591名無しさん@お腹いっぱい:02/10/19 23:06
age
592名無しさん@お腹いっぱい:02/10/19 23:09
めっちゃおもろい!
柳原ファンの私は涙。
593 :02/10/20 04:33
ヤナが何かに気づいたらしいシーンで「ああ、次はコイツか」と思って緊張感に震えた。
リアルで想像できるからよけい入り込んでしまう。
594age:02/10/20 18:15
age
595名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/20 19:38
あ〜、続きが楽しみだ!
596age:02/10/20 20:34
age
597あげ:02/10/21 11:53
あげ
598孤島のオニファン:02/10/21 22:54
あげ
599あげ:02/10/21 23:11
age
600名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/22 15:14
600!age
601孤島のオニファン:02/10/22 20:00
あげ
602あげ:02/10/22 22:58
あげ
603あげ:02/10/23 17:56
age
604名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/23 21:18
age
605(゜д゜):02/10/23 21:46
「コロモが居ない・・。」
久しぶりの休日。礼二はいつもより6時間近く遅く起きた。いや起こされたというべきか。
「あー・・あの猫か?」
せっかく今日は昼まで寝てようとおもったのに兄貴のよく分からない電話でたたき起こされて、
はっきり言って不機嫌だ。
「どうしよう・・コロモどこいっちゃったんだろ・・。」
「そんなんほっとけば帰ってくるやん。俺ニ度寝するから。んじゃ・・。」
「おっおい待てよ!一緒に探してくんないの?」
冗談じゃない。睡眠妨害された挙句一緒にっ探せってか?んなこた御免だ。
「猫ならまたふらっと帰ってくるっつーの・・」
そう言い終わらないうちに礼二は受話器をおろした。そしてそのまま、もうずいぶんと
引きっぱなしの布団にゴロンと寝転がった。この布団もかなりの年代物で、中の綿はぺちゃんこ
になってしまっている。薄い布団ごしに伝わるフローリングの冷たい床がなぜか寂しく感じた。
606(゜д゜):02/10/23 22:00
605ノツヅキ
「・・・。」
気になる・・。あんな猫なのに。毛がポワポワしていて、茶色くて。見た目天ぷらの衣みたいだったから
コロモ。礼二の家は妻が動物嫌いだった為、兄貴の剛が飼うことのなったのだ。まぁ・・彼女もいないし、
男一人暮らしじゃなにぶん寂しいだろうしということでだ。そんなこんなで兄貴にとっては家族みたいなモン・・
何だろうか?(でも俺は服に毛はつくわ壁ひっかくわであまり好きじゃなかった)そういや以前コロモが初めてトイレ
を覚えた時も兄貴は喜んで礼二に電話してきた。
「あ〜・・もう!」
気がつけばもう眠気はすっかり覚め、布団から跳ね起きると勢い良く部屋を飛び出していた。俺は猫というよりけっきょく兄貴
に振り回されてる俺が心配だっつーの・・。
        
607(゜д゜):02/10/23 22:14
606ノツヅキ
あー兄貴首吊ってねーかな。生きてっかな・・。そんな不気味な事(あの兄貴ならやりかけない。)
を頭に浮かべながら礼二は剛の家の近くの商店街まできていた。
「・・なんか買ってってやるか」
とりあえずおでん(剛の好物)とから揚げ(礼二の好物)を買っといた。
「おみやげはこれでいーか。」


にゃあ
・・・!
足から聞こえた声へ視線を落とすと・・
「コロモ?」
にゃあ もう一鳴きすると礼二のあしへ顔をすり付けて甘えた。
「お前が一番のお土産みたいだな・・。」
夕日が沈みかけ礼二の伸びた影がまた歩きだし、猫もついていった。
剛がおでんとコロモを引き換えにゲームソフトをとられるのはまた別のハナシ
608短編さん@:02/10/24 04:50
あえて人物の名前は書いてないです。某漫画のパロディ。やや猟奇ですのでご注意。


ゴトッ・・・鈍い音たのあと、長身の男は倒れた。

はぁっ、はぁっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、は

倒れた男は目をあけたまま動かない。
そばには凶器のカナヅチがころがっている。
それを見下ろすもう一人の男の荒い息づかいだけが響いた。

耳がキーンとなったように感じ、汗が吹き出て来る。

はっ、はっ、はっ、はっ、はぁっ、はぁ・・・

はぁーーーーーー・・・・男は座り、煙草をとりだした。
落ち着こうとしてるのだろうが、ライターの火をつけるのに
てこずり、呼吸もおかしい。
手が震え、あきらかに動揺していた。
はぁーーーーーー・・・・男は座り、煙草をとりだした。
落ち着こうとしてるのだろうが、ライターの火をつけるのに
てこずり、呼吸もおかしい。
手が震え、あきらかに動揺していた。


目を閉じて煙を吐きだしたあと、一度目を開け、確認した。
夢じゃない。
どす黒い血が異常にゆかに溜まりだしていた。
その血液の主は男はピクリとも動かない。



男は頭をかかえたままうずくまり、やがて笑いだした。
ふっふふっ・・くックッく・・ははっははは・・。
「へっざまあみやがれ」

男は死体を足蹴にした。
「ホレホレどうだグルグリしてやるぞ。」
「ン?何?バカ?ウスノロ? このまえそんな事言ってたな。・・・・えっ、おい」

「忘れた・・?また嘘言うんじゃないよ・・・」

「それと低能・・・・アホ、マヌケ・・・・・・かぶと虫・・・レーズン・・・あとは
玄米ぃーとかえのき小僧ーとか、なんて言いやがったな!何とかいいやがれ!」
叫びながら死体を蹴りつけた。
「おっとどこ行く気だ?
 ・・・よいしょ、しっかりしろよ。いくぜオラッ!」
男は死体をかかえ、壁にもたれかけさせた状態で何度もなぐりつけた。
「ちくしょうちくしょう!・・はっ、は・・・お前なんか死んだほうがいいんだ」
「ちくしょう・・・」
「ちくしょうちくしょう!・・はっ、は・・・お前なんか死んだほうがいいんだ」
「ちくしょう・・・」
そのときバランスを失った死体が倒れこんできた。
「わあっ!」
「びっくりさせやがってこのやろー!」
「おいっ!お前が悪いんだぞお前が」
襟元をつかんで顔を覗き込んだが返事は無い。当たり前だ、死んでいるのだから。
「おい・・・・」
我に返った男は呟いた
「なんとかしなくちゃ・・・この・・・死体・・・・」

いつの間にか眠っていたらしい。
ぼんやりと目を開けた男の目に死体が写った。
「うわっ・・・!なんてぇ顔だよ。脅かしやがる。
 きのうさんざん殴ったからなぁ・・・。はやいとこ始末しないと」
塩酸でとかそうかな・・・・焼くっていってもこの辺じゃ・・・
バラバラにして捨てようか・・・セメントで海にしずめようか・・・
「ああもうちくしょう・・・お前さえ・・お前さえっ・・・・!」
頭をかきむしり、罵倒し続けた。いつしか目には涙が溜まっていた。
時間が経つにつれ現実感が増してくる。
「俺が死んでも葬式には来ないって言ってたな・・・俺だって行かねぇよ。
お前の葬式に600人も来るかアホ。

613短編さん@長いよ:02/10/24 05:00
男は日用品店に行きノコギリ、ナタ、包丁などを買い込んだ。
いきさつを通行人が知るよしもないが、小心者なので周りがきになってしかたがない。

家に着き、死体を逆さ吊りにし、その下にバケツを置き、血抜きをした。
切りやすいように。
「人間の身体の中にあんなに血があるとは思わなかったな。
血がとまったことを確認し、男は決意した。
「ようし、やるか」

キーコキコキコッ

鉄の歯のすれる音が闇にこだます。
「くそう滑るな、まったく・・・」
包丁をスリコギに持ち替え作業をつづけた。
614短編さん@長いよ:02/10/24 05:02
「よう!元気か?」
振り返るとそこには同j事務所の先輩芸人が居た。
「お前も災難やなぁ。まだ見つかってないらしいやん?
男は答える
「ええ・・・ほんとどこ行ったんでしょうね」
「相方見つかるまで活動せぇへんのか?」
「いやー・・・・考え中ですわ。」
「そうかー・・・まぁ、あいつのことやから ひょっこり帰ってくるんちゃう?」
 小柄な男は続ける
「やっぱ二人で舞台立ってるところ又見たいしな
・・・あ、相方や。今から撮りあんねん、 なんかあったら連絡せぇよ。おお、じゃあな。」

見慣れた姿が遠ざかっていったあと、遅れて来た相方と合流した。
「なんや今の田村か?相方行方不明やってのに元気そぉやないか。
「あーなんかこないだより太って顔色も良かったしな。」
良いに匂いがしてきた。そろそろ米が炊けたのだろう。
しゅんしゅんとなべがふきこぼれる。

「さあてと・・・今夜は 手羽先にしようか、モモ焼きにしようか・・・」
 昨日のレバ刺しは駄目だったな・・・生だと吐くってことがわかった。

「このぶんでいくとあと2週間くらいだな・・・・飽きなければ」

男は冷蔵庫を空けた。そこには小さく分けられた相方がうまいことしきつめられていた。
「さて・・と玉子とじでおわりだなっ。」


おわり
616名無しさん@。@:02/10/24 21:56
>>615
あ、玄米のところで誰かわかった。猟奇やのうー・・・。
617名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/24 22:56
こわいなあ・・・
レス数表示正常化兼保守sage
619age:02/10/25 18:28
age
620孤島のオニファン:02/10/25 23:20
age。
そう言えば最近孤島のオニさん顔ださないなぁ。。。
621名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/25 23:24
執筆中ですかね?
待ってますのでマイペースで頑張ってくださいね。>268氏
622名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/26 01:40
今日始めてこのスレ来ました。
268さんイイ(・▽・)!!
一人こっそり漫画描こうかなと思案中…だめ?(w
がんがってくださいねー。
>622
漫画ってどういうやつ?
>>623
622じゃないけど
孤島のオニの漫画を描くって事じゃないの?
625名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/26 21:16
age
626孤島のオニファン:02/10/26 22:57
あげ。
268さん無理せずがんばってくださいね♪
627名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/26 23:25
>624
ほー。要は挿絵に近いものか。
ちょっと見てみたいかも。
628名無し:02/10/27 06:27
誰かギャグ系も書いてクレー!
629名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/27 10:51
age
630んぐぇ:02/10/27 12:33
あげ
631んぐぇ:02/10/27 22:22
あげ
632名無しさん@お腹いっぱい:02/10/28 18:02
age
633名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/28 20:51
age
634名無しさん@お腹いっぱい:02/10/28 22:33
ageage
635んぐぇ:02/10/28 23:17
あげげ
636名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/29 08:38
落ちちゃ困る!
age.
637名無しさん@お腹いっぱい。ちょこバト。:02/10/29 09:18
ちょこバト復活しましたが、「孤島の鬼」、展開が読めなくなってきましたね。
ほかの方が言ってらっしゃるように、平井さんの妙な落ち着きが不気味っすわ。
それに柳原さんがおびえてた(ようにちょこバトは取った)理由って
何なんでしょう。

ケンドーコバヤシさんて実はまったく知らないですけど、
ほんとにこんな人なのかと思った・・・。

さて、・・・推理誰も受け継いでくれんかったのかー!
ちょっと期待してたのに〜・・・。
638んぐぇ:02/10/29 12:41
age
639age:02/10/29 22:54
agege
すみません、ちょこバトってなんですか?
641 :02/10/30 01:29
>640
孤島のオニじゃない方の、千原とか出てる推理小説の書き手さん。
642んぐぇ:02/10/30 16:00
あげ!!!
643age:02/10/30 18:49
ageage
644268 ◆jM/TIxxEd. :02/10/30 20:12
お久しぶりです。色々あってこれませんでした…。すみません。
第六章、明日にはうp出来ると思います。

>>569-576>>581-583,>>592-593>>622
ありがとうございます。
今回、第六章うpが大幅に遅れまして、申し訳ありません。
そして、>>622さん、こっそりと言わずに自分も是非見てみたいのですが、
なにぶん、こんな場所なんで…。

>>605-607>>608-615
種類の違う二つの短編、楽しませて頂きました。
ほのぼのも猟奇も読めるのがここの(・∀・)イイ! ところ。

>>637
お帰り、お待ちしてました・゚・(ノД`)・゚・。
推理物の引継ぎはやっぱり難かったみたいで…。
ちょこバトさんの続きを楽しみにしています。




わー268さん、いらっさいー。
第6章楽しみでつ。当方アメザリファンだから続きが気になって気になって。
明日まで待てないyo!

わくわく〜
646名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/30 20:54
268さん、お疲れ様です。お待ちしておりました。
明日気になる続きがみれるんですね・・・

きっと今までずっとこのスレをageてきた方達は
この朗報を聞いて皆さん喜びますね。 私もしかり・・・
647名無しさん@お腹いっぱい。ちょこバト。:02/10/30 23:17
>646
ちょこバトも喜んでます。何しろ、ちょこバトのより面白いんだもん。

・・・さて。
覚えてらっしゃるかどうか、前回で陣内さんと設楽さんを殺害した犯人が
同一犯なのかという疑問がはじめて出てきました。
同一犯だとすると、連続殺人事件になりますね・・・。

はじめのほうで設定を少しおいてくださってますが、
陣内さんのダイイングメッセージの存在なんて完璧に忘却のかなたです。

・・・つーか、はじめから通しで読むと、矛盾点がちらほら・・・。
どうしたもんかなあ。
648名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/30 23:46
うれしいage
わーい孤島のオニ続き嬉しい(´∀`)
今まで保守ageしてた人にも乙かれ。
俺は他人任せで見てるだけだったので。
650age:02/10/31 18:31
age age
651 :02/10/31 18:32
http://now.at/meko
パスワード公開(エロ)
800万円分を公開らしい
毎日更新だな(^ω^)
652名無しさん@お腹いっぱい。:02/10/31 21:19
268さん御降臨期待あげ
はやくうpされないかなー。
653名無しさん:02/10/31 23:13
今日はもう来ないだろうか・・
654 :02/10/31 23:34
のんびり待ちます
655名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/01 00:19
日付かわっちゃった。
268さん来なかったね。(´・ω・`) ショボーン
656268 ◆jM/TIxxEd. :02/11/01 00:23
>>652-655
・・・・・・・・・・・誠に申し訳ないです。
ちょっと、もう自己嫌悪です。とにかく、第六章うpしちゃいます。
別にここでうpするのが義務なわけじゃないし、そんな気にせんでもいいと思うよ。
来るのも来ないのも小説書くのも読むのも全部個人の自由だし。
>>567の続き

                   【虜囚達の夕べ】


「うわぁっ!」
 叫んで目覚めた。打ち付ける心臓が痛い。目にはうっすらと涙が溜まっている。
「しっかりせぇ、陣内!」
 小林が心配そうにこちらを覗き込んでいる。陣内は自室のベッドの上にいた。
「・・・・・・・・・・・・柳原、は?」
 荒い息を整えながら、ひしゃげた声で陣内は尋ねた。
 小林は、「柳原がどうかしたんか?」とあっさりと応えた。
 平然とした小林の態度に、数秒、言葉を失った陣内は、「ナニ、言ってるねん!」と小林の腕を掴んだ。
「柳原が、あの後どうなったかって聞いてるんや!」
 陣内の怒声に、小林はワケワカランと言う顔で、
「お前こそ何言ってるねん、柳原はさっきの試合で負けて失格になったやろ」
「し、試合?」「なんや、お前、寝惚けとるんか?」
 小馬鹿にするように片眉を上げる小林。余裕の有る表情。切迫したものも、陰鬱な翳もない。いつも通りの小林。
 これは、もしかして・・・・・・。
「大上は、どうしてるん?」陣内は恐る恐る尋ねた。
「初日の試合で負けて、もう、おらへんわ」
 陣内の腕を振り解いて、小林が「覚えてへんのか?」といぶかしんだ。
 やはり、やはり。全部、夢だったのだ。大上も柳原も死んでなんかいない。ましてや、西野が殺したなどと。
 陣内は、突然、思い出した。二人は、ただ、「お笑い芸人バトル・ロワイヤル」の試合に負けただけなんだ。そうだ、そうだ、思い出した!
その事実が、あんな悪夢を見させたのだ。
「フ、フハ、ハハハ、そうか。夢か、なんや、全部、夢やったんか。そうやな、あんなアホな事があるワケがないんやっ!ハハハハハ」
 安堵の余り涙を流して爆笑する陣内に、小林は引き気味に、
「陣内、お前、とうとう頭がオカシクなったんか?」
「そんなワケないやろっ!ちょっと、ショーモナイ夢見てただけやねんっ!ほら、さっさとせんと、次の試合が始まるでっ!」
 意気揚々と立ち上がった陣内に、小林は呆れたように、「お前が寝てたからやんけ」と言った。
 スキップしかねない勢いで、陣内は中廊下を歩いた。先程まで高熱に浮かされていたはずなのに、どうやら、それすら夢だったらしい。身体が軽い。このまま空も飛べそうだ。
「せっかく、ここまで残ったんやから、最後まで残らんとな」
 残ったコンビは、ますだおかだ、おぎやはぎ、キングコング、そして自分達。
 拳を握り締めた陣内の背を、小林が小突いた。「お前、陣内、大切なモン忘れてるで」
 そう言って渡された・・・・・・・カナヅチ?
 どこにでもありそうな、何の変哲もない。違った所といえば、少し、赤黒いものがこびり付いているということ。
 夢の中で、死んでいた大上の傍らに転がっていた置時計にも、こんな風にベタリと付いていた…。
 片手でヌンチャクをまわしながら、小林は広間のドアを開けた。
 そこには、アリエナイ風景が広がっていた。
 森。梶原達を追い掛けて、入り込んだ、あの広間の扉の向こうに・・・・・・。
 「ひっ!」口を押さえて陣内は後じさった。
 粗大ゴミのように打ち捨てられた、二つの物体。
 血塗れの大上と柳原。大上の濁った目が、恨めしそうに、陣内を見詰める。
 同じ物を見ているはずなのに、小林は「何してるねん、行くで」と陣内をせっついた。
「ひ、ひあっ、ひあっ」
 呼吸困難に陥っている陣内の腕を「しゃーないな」と小林が引っ張って行く。
「あいつらは、西野が仕留めたんや。西野は強いからな。なるべく見付からんようにせんと」
「はっ、ひっ、い、い、い・・・・・・・」
「お前もしっかりせぇよ。松口達みたいに相方のミスで罰ゲーム受けたないからな」
 小林が言った瞬間に、足元にごろりごろりと二つの毬が転がって来た。
 松口と平井の、・・・・・・・・・・・・・・首・・・・・・・・・・・・・・・・。
「邪魔や」と小林が松口の首を蹴った。
「                                                 !」
 陣内の声なき絶叫に被さって、
ジリイリリリリリリリリリッリリリリリリリリリリリリリリリリリリ
 平井が取り外したはずのベルが、けたたましく鳴り響いた。鳴り終わるとほぼ同時に、
ぎゃああああああああああ!」と鳥を絞め殺したような醜い悲鳴が後方で上がる。恐らく、増田の声だろう。
 陣内のすぐ側に、西野は立っていた。増田の顔面に突き刺さったカマを無造作に抜き取る。鮮血がシャワーのように、惜しみなく飛び散った。
「アンタら、先輩のくせに、弱すぎるんですよ」
 西野は朗らかに笑って、手の甲に付いた増田の血を舐め取った。 


「うわぁっ!」
 叫んで目覚めた。打ち付ける心臓が痛い。目にはうっすらと涙が溜まっている。
「しっかりせぇ、陣内!」
 小林が心配そうにこちらを覗き込んでいる。陣内は自室のベッドの上にいた。
「・・・・・・・・・・・・柳原、は?」
 夢と同じようにひしゃげた声で陣内は尋ねた。小林は無言で首を横に振った。
「そうか・・・・・・」
 悪夢から醒めても悪夢は終わっていなかった。陣内は両手で顔を覆った。胸の間に汗が滑り落ちた。
 小林が「飲め」と差し出したペットボトルを受け取る。
「どんくらい、俺は気ぃ失ってたんや?」
「一時間も経ってへん。覚えてないんやろうが、ぶっ倒れた後、一回起きて、薬飲ませたら、また、すぐに眠ったんや」
「薬って、熱冷ましの?」喉を潤すと、少しだけ声が回復した。
「ああ。勝手にお前の鞄、漁らせてもらったで」
 一時間の間に、柳原をアメリカザリガニの部屋に運び入れ、梶原の手当ても済ませたと小林は言った。
 陣内が起き上がった拍子に額から落ちた濡れタオルを拾い上げた小林は、ドア近くの洗面所へ向かった。
「梶原の具合はどうなんや?」
「膝の傷は血も止まってるし、たいした事はないんやけど、転んだ拍子に足を捻ったらしくてな・・・・・・踝がかrなり腫れてるねん、靭帯を痛めたか・・・・・・・もしかしたら、骨をヤってしもうたか」
 バシャバシャとタオルを洗いながら、小林は応じた。
「手当て言うても、水で冷やす位しかできひんし、早く医者にみせんとアカン・・・・・」
 自室で休ませている梶原は、矢作が見てくれているそうだ。
 小林は、「ほれ」と絞ったタオルを陣内に放り投げた。冷んやりとした感触が、火照った身体に心地良い。
 汗ばんだ身体を拭く為に、Tシャツを捲り上げようとして、濡れていた服が全て着替えられていることに気付く。
「こんな時に、いらん世話かけてもうたな」神妙に陣内が言うと、
「ホンマや。お前のパンツまで代えてやったんやぞ」
 小林は心底嫌そうに顔を顰めた。そこは本音だろう。
「帰ったら、なんか奢るわ」「いらん。金くれ。百万くれ。持ってるんやろ」
「なんでやねん」陣内は苦笑した。
 しかし、すぐに緩めた頬を引き攣らせる元に戻した陣内は、組んだ両手に視線を落とした。
「柳原は・・・・・・事故って事はないんやろか?」
 足場の悪い場所で、陣内のように足を滑らせて、頭をぶつけてしまった。風で倒れた木が覆い被さって。そんなことは・・・・・・。
 小林は辛そうな顔でその問いを受けた。何も言わずとも、答えたようなものだ。
「小木が言うには、場所は斜面とかやなかったから、足を滑らせたりはせんやろう、ってことや。周りに倒れた木はなかったらしいし、ましてや、致命傷になるような位、デカイ木の枝が飛んできた様子もなかったんやと。それに・・・・・・」「なんや?」
「小木はその場から逃げる西野の姿を見たって言うねん」
「・・・・・・・それは、西野が柳原を殺したから、って事か?」
 卑怯な聞き方だ。陣内自身が「西野が殺した」と思っているのだから。だからこそ、あんなふざけた夢を見たのだろうから。
「他の奴等はそう思ってるみたいやな。柳原に追い詰められて、逃げようとしてやった事やろう・・・・・・てな」
「コバは?コバも西野が殺ったと思ってるんか?」
 小林は否定も肯定もせずに、考え込むように下を向き、「まだ、事故という可能性も捨て切れへん」と洩らした。
「増田からも詳しい事情を聞こうと思ってたんやけど、アイツ、何を言っても反応せぇへんで、柳原の側を離れへんくてな・・・・・・」「そうなんや・・・・・・」
 柳原に取り縋って泣き叫んでいた増田の姿を思い出す。
 同時に、脳裏を過ぎった微笑み。昏倒する瞬間に見た、平井の・・・・・・。
「平井は、なんであん時、笑ったんやろうか」
 口に出すと、小林は「なんやって?」と聞き返された。
「オレが倒れる直前に、アイツ、笑ってたやろ。「柳原、死んでますよ」って言うて」
「何言ってるねん、自分の相方が死んでんのに、笑う奴なんぞおらへんやろ。俺は見てへんぞ」
 まあ、確かに、平井は増田と違って、ずっと冷静だったけどな。と小林は付け加えた。
(そんなら。あれは・・・・・・・)
 熱が見せた錯覚、だったのだろうか。
 
 いや、きっとそうなのだろう。小林が言う通り、例えどんなに仲が良かろうが悪かろうが、自分の相方を失って、あんな笑みを浮かべられるはずがない。
 ひどく優しい笑みだったと、今になって陣内は思う。陣内は、「錯覚」だったと結論付けた。
 全身の汗を拭き終わり、立ち上がった陣内を、小林が押し止めた。
「まだ動くな。じっとしとけて」
「エエよ。寝たら大分調子が戻ったわ。こんくらいの熱はしょっちゅうやし、薬のんだら、すぐに下がるねん」
「また倒れても知らんぞ」
「大丈夫やって。梶原の様子も気になるし・・・・・・・それに、柳原の顔も見ておきたいんや」
(眠っても、イヤな夢しか見れへんみたいやしな)
 結局、小林は「勝手にせぇ」と折れ、部屋を出る陣内の後に続いた。


 その部屋は、外の世界と隔絶しているかのように、乾いた静寂に沈んでいた。
 冷たい床に座り込み、ベッドの上の柳原を見詰める増田は、陣内と小林が視界に入っていも、何の反応も示さなかった。
 触れば、はらはらと砂のように崩れ落ちてしまいそうだった・
 柳原の枕元に立った陣内は、顔に掛けられていたハンカチをそっと持ち上げた。
 柳原の顔は、眠るように穏やかで、今にも目覚めるのではないのかと陣内はふとそんなことを思った。
 しかし、もう二度と、目が開く事はない。もう二度と、この口が開く事はない。あの、鼓膜に響く甲高い声を聞く事は、もう二度とないのだ。
 鼻の奥が痺れて、瞼の熱さに目を閉じた。「どうぞ、安らかに」、そんな陳腐な言葉すら浮かばなかった。陣内はハンカチを戻して、涙を拭った。
 あまりに唐突な、理不尽な死がそこにあった。
 「じゃあな」増田に声を掛けて、二人は部屋を後にした。増田は陣内達が部屋に入ってから、身じろぎ一つしていないようだった。
 扉が閉まる直前に、増田の苦しげなうめき声が聞こえた。何か言葉を発したようだが、聞き取る事は出来なかった。
 部屋から出ると、キングコングの部屋の前に立つ、松口と小木の姿が目に入った。こちらに気付いた松口に、
「陣内、お前、もう動いても大丈夫なんか?」と声を掛けられ、陣内は頷いた。「どないしたん?」
「これ、梶原にと思ってな」
 と、松口は「サロンシップ」の箱を見せた。
「よう、こんなモン、持って来とったな」
「大上のや」
 陣内は息を止めた。まじまじと「サロンシップ」の箱を見る。「徳用」と赤い文字で書いてあった。
「あいつ、ちょっと前から、肩やら腰やらのコリがひどかったらしくてな。カバンにこれ入れてたんを、思い出してん」
 ホンマ、おじいちゃんやあるまいし、と松口は淡く笑った。
「そうか・・・・・・」陣内と小林も少し笑った。
「そんなら、俺達がアイツに渡しとくわ。ちょうど、様子見に行こうと思ってた所やし」
 恐らく、入り難くてまごついていたのだろう、と申し出る。「それじゃあ、頼むわ」と小林に箱を手渡した松口は、その場を立ち去ろうとしたが、
「西野は・・・・・・」と森の方へと目を遣った。
「どこに隠れてるんやろうなぁ・・・・・・」
 三人が顔を強ばらせると、松口がふっと表情を和らげた。
「心配せんでも、もう勝手にここを出て行ったりせぇへんわ」そして、囁くようにこう言った。
「俺が勝手な事せぇへんかったら、柳原は死なんですんだんやもんな」
 一気に何十歳も老けてしまったかのような松口の顔に、陣内は胸が塞いだ。。
「お前のせいやない。自分を責めんな」小林が強い口調で言った。沈黙が落ちる。
「あっ、そうだ」取り成すように小木が口を開いた。「俺もこれ、渡しといて欲しいんですけど」とズボンのポケットに右手を突っ込んだ。開いた掌には、二つの丸い錠剤。
 バファリンのような頭痛薬だと言う。小木は偏頭痛持ちらしい。
「間接痛とかにも効くって説明書にも書いてあったから、足の痛みを抑えるのに、何も飲まないよりマシかなと思って」
 もう、これだけしかないですけど、二錠で効くんで、と陣内の手に乗せた。


 部屋のドアを叩き、誰何の声に応えると、細く開いたドアの隙間から、矢作が身を滑らすように出て来た。後ろ手にドアを閉め、部屋と反対側の壁に背を預けた。その顔には濃い憔悴が刻まれている。
「どうか、したんか?」


「・・・・・・・アイツ」と矢作は声をひそめた。
「ちょっと、ヤバイかもしんねぇ」「ヤバイ?」
 矢作は頷き、折れ曲がった煙草を口に銜えた。
「アイツと話したら、判りますよ。・・・・・・向こうの世界に行っちゃったって感じで・・・・・・」
 こんな状況でマトモでいられるはずがないんですけどね。と矢作はシニカルな笑いを浮かべる。
「暴れたりはしません。静かなもんです。ただ、意味不明な事を、ずっと言ってて・・・・・・」
 矢作は深呼吸するように、大きく煙を吸った。
「・・・・・・正直、これ以上アイツと二人きりでいたら、こっちの神経がもたない」
 吐き出した紫煙に埋もれた矢作は、額に手を当て、目を伏せた。
「わかった、オレラが代わるわ」小林の言葉に、「いや、でも・・・・・・」と矢作は陣内を見た。
「エエって。こいつもなんや元気になったみたいやし。二人で付いとくから」
「・・・・・・それじゃあ、後、お願いします」
 頭を下げ、矢作は少しよろめきながら、その場を立ち去った。


 先に口を開いたのは、梶原だった。ベッドの縁に腰掛けて、水を張った洗面器に足を浸していた梶原は、部屋に入って来た陣内を見て、
「陣さん、もう起きても大丈夫なんですか?」と掠れた声で心配そうに言った。
「ああ。お前こそ、足の具合はどうや?」
「大分マシになりました・・・・・・」梶原は背中を丸めて俯いた。「すみません。陣さんが熱出したのって、俺のせいですね・・・・・・」
「い、いや。そんな事はないで」慌てて陣内は手を振った。小林が屈み込んだ。
「赤ん坊でもあるまいし、すぐ熱出す陣内が悪いねん・・・・・・まだ、痛むんやろ?痛み止めの薬、飲んどけ。あと、これ貼ったるから、足、出せ」
 小林は、梶原の足を乾いたタオルで拭き、湿布の袋を開けた。
「陣内、薬」「あ、ああ」陣内は、水を求めて部屋を見渡した。戸棚の上に、「梶原」と書かれた、中身を半分ほど残したペットボトルがあった。その隣に西野のペットボトルも転がっている。陣内は無意識にそれを見ないようにした。
 梶原は白い錠剤を無言で飲み干して、二人に礼を言った。
 矢作の思わせぶりな態度に、覚悟を決めて部屋に入った陣内は、随分と落ち着いている梶原の様子に、ほっと胸を撫で下ろした。
 
 その時だった。ガタガタっと窓が鳴り、三人が一斉に窓の方を見た。窓の端に細い木の枝がぶつかった。
「鬼です」
 何の熱も込めずに、梶原が呟いた。
「え?」
「この嵐は、鬼が呼んでいるんです」
 瞠目した二人に、梶原はゆっくりと振り向いた。
「昨日の夜、食堂で言ってたやないですか。この島には死を呼ぶ鬼がいるって」
「言うてたけど・・・・・・そんなん、ただの迷信やで」
 動揺する陣内に、梶原は諭すように続ける。
「迷信やないですよ。この嵐のせいで、柳原さんまで死んじゃったんですよ」
「な、ナニ言ってるねん、梶原、そんな、アホな事が」
「鬼が、俺達をこの島から出さないようにしてるんですよ。そうやって、皆、殺しちゃうんですよ」
 梶原の口角は上がっていた。鼻からフッ、フッと息を出し、肩が発作のように揺れている。
「お前、疲れとるんや。ちょっと、横になっとけ。迎えの船が来たら、起こしてやるから」
 小林は壊れ物を扱うように梶原の肩を押した。梶原は抵抗せずにベッドに横になった。
「迎えの船は来ませんよ。俺達は、この島から出られないんですよ。鬼の呪いなんですよ」
「梶原・・・・・・」
「大上さんも柳原さんも、鬼があの世に連れて行っちゃったんですよ」
 布団を掛けてやろうとした小林の手が止まった。
「鬼のせいなんですよ。悪いんは、鬼なんですよ。鬼が、二人を・・・・・・やから、アイツのせいやない・・・・・・」
 どんどん、声は小さくなり、最後の方は声になっていなかった。
 「相方が二人の人間を殺した」。梶原は全てを「鬼」の仕業にする事で、直面できない現実から逃れようとしている。
 矢作が音を上げるのも無理はない。静かに壊れて行く梶原は、痛々しくて見ていられない。
「俺達、皆、鬼に殺されてしまうんですよ」
「なに、言ってるねん、もうすぐスタッフ達が来るんやから、大丈夫や。もうすぐ、この島から出れるから」
 いつもは子供のように無邪気に輝いていた梶原の大きな瞳が、絶望に塗り潰されて、暗く淀んでいる。
「出れませんよ」
 その声は、厳かな響きすら持っていた。そう、まるで、予言のように。
 時計の針は四時を指そうとしていた。
 梶原は安らかな寝息をたて、眠っていた。二人は交わす言葉もなかった。
 コンコンと扉が叩かれ、平井が顔を覗かせた。
「小林さん、陣内さん、ちょっといいですか?」
 陣内は無意識に身を引いた事に気付いた。瞼には、あの時の微笑みが残っている。
「なんや?」「ラジオのニュースを聞いてたんですけどね・・・・・・」と平井は手招きして、二人を応接間へと導いた。
 応接間には、松口、小木、矢作がラジオを囲んで座っていた。
「梶原は?」「よう眠ってるよ」「あの薬、飲んだらすごく眠くなるんですよ」
「で、どないしてん」「ちょうどエエ、続報や」と松口がラジオを見た。
「本日午後二時頃、Y島沿岸で転覆したクルーザーの乗客10名のうち、1名が現在も行方不明のまま、懸命の創作が続けられています。この船は、F局のバラエティ番組の撮影の為に、Y島から約50km離れた無人島へと向かう途中で・・・・・・」
 ごくりと自分の喉が鳴ったのを陣内は感じた。
「行方不明者の氏名は、東京都に住む・・・・・・」
 聞き覚えがあった。この島に来る船の中で企画説明を行ったADが名乗った・・・・。
「・・・・・・これ、俺達を迎えに来ようとした船か?」
 陣内の問いに応える者はいなかった。「鬼の呪いですよ」耳の奥で梶原の声がした。
 いや、ここにいる全員が、なんとなく予感していたのではないか、外の嵐は止むどころか、一層力を付けて暴れ回っている。
 ニュースは欠航、欠便を伝えているが、関東地方の交通機関はほぼ全面ストップのようだ。戦後最大はダテではなかった。
「しばらく、迎えは来ない、っちゅう事か・・・・・・」
「ちくしょうっ!一体、どうなってるんだよ!」
 矢作が叫んで、猫脚のアンティークテーブルをダンっと叩いた。
「どうなっちゃてるんでしょうねぇ」
 呟いた平井が、細い煙を吐き出した。その声に、楽しげな響きを感じて、陣内は思わず平井の横顔を見据えた。
 思い込み、なのだろう。あの時、平井が笑ったように見えたから、それで・・・・・・。ほら、他の誰も気に留めた様子はないではないか。
(やけど、確かに・・・・・・・)
「停電するかもしれないね」と小木が肩を落とした。
「まぁ、やらなアカン事もないし、屋敷の中でじっとしとけば、もし電気が止まっても、特に困る事はないやろ。明かりは懐中電灯を使えばエエし。・・・・・お前等の部屋にもあったやろ」小林は一同を見渡した。
「明日の朝には、台風も通過して、天気もエエって言ってたやろ・・・・・・あと、半日や」
 あと、半日。たった12時間。・・・・・・その場の誰もが、そんな風に思うことなど出来なかった。


                                     *

 夜になろうとしていた。
 嵐の檻は、ますます強固になっていく。監獄の中で、芸人達は震えながら息を潜めるように、過ごしていた。
 陣内はペットボトルを呷った。これが酒だったらどんなに、と空しく想像する。
 小林が持って来たのだろうか、ペットボトルに名前はない。適当に持って来たのだろう。今更、自分のものに固執する必要もないが。
 小林は、一時間ほど前に出て行ったきり、戻ってこない。
 陣内は、三本目の煙草に火を点けた。
 遠くで雷が落ちたようだ。ゴロゴロゴロという落雷の音は、獣の唸り声のようにも聞こえる。
 「鬼の咆哮」。梶原ならそんな風に言うのだろうか。陣内は親指で瞼を押し、首を振った。
 妙な事ばかり考えてしまう、小林はどこに行ったのか。
「・・・・・・ねぇ・・・・・・」
 微かに、声が聞こえた。陣内は部屋を見渡すが、誰もいるはずがない。
 幻聴まで聞こえて来たかと、陣内は笑い出したくなった。もしかしたら、幽霊かもしれない。
 普段の陣内なら、悲鳴を上げて速効で部屋を飛び出るだろう。
 陣内は、「来るなら来いや」と心の中で、見えない何かにガンをつけた。何もかも、どうでもよくなっていた。
「・・・・・私の名前は・・・・・・」
 もう一度、聞こえた。幼い、舌足らずの声だった。
「・・・って言うの」
 ぱっと目の前が真っ白になって、炙り出しのように映像が浮かんで来た。
 5、6歳位の少女が口を開いた。
「あなたのお名前は?」
 先程から聞こえてくる声だった。少女と対しているのは、一人の少年だった。恥ずかしそうに俯いている。
「****」
 声変わり前の不安定な声で、少年はぼそぼそと答えた。名前を言ったのだろうが、くぐもっていて良く聞こえない。
 少女は愛らしく小首を傾げた。
「かくれんぼ、しようか?」
「う、うん」少年は頷いた。こちらは小学校高学年くらいだろうか?
 少女は花が開くように、嬉しそうに笑った。少年の方が随分と年上のはずだが、主導権は少女が握っているようだ。
「じゃあね、私が隠れるからね」
 そういって、とことこと走り出した。どうやら、紫苑荘の西館の廊下を渡っているようだ。髪に結んだリボンがひらひらと揺れている。少年は慌てて言った。
「こ、この家から出て行っちゃダメだよっ」
「わかってるよ〜。あっ、百まで数えないとダメだからね」
 少年は、壁に向かい、目を瞑った。
「い〜ち、にぃ〜い、さ〜ん・・・・・・」
「きゃっ!」
 少女の悲鳴に驚いて振り返ると、少女は「見ちゃダメ〜」とむくれ顔になった。懸命に背を伸ばし、ドアを開けようとして、つんのめってしまったらしい。少年は、ゴメンと言って、また目を閉じた。
 しばらくすると、がたごとっ頭上で音がした。きっと階段を昇って行ったのだろう。
 少年はくすぐったそうにクスクスと笑い、「ごじゅうし〜、ごじゅうご〜」と大声で数を数えた。
 

 映像はそこで終わった。陣内は目を開けた。
 煙草の火は点いたままで、灰もほとんど落ちていない。
 これが、白昼夢というやつか、と陣内は思った。
(いや、でも夜やから、違うんか?)
 不思議な夢だった。見た事もない少女と少年。いや、違う。陣内は少年の事を知っているような気がしていた。誰かに、似ているのか?
 舞台は紫苑荘。どこか真新しい感じの。しかし、この屋敷に階段などない。やはり、ただの夢・・・・・・。
 ガチャリと扉が開いた。陣内は夢に関する思考を止めた。
「遅かったやん」
 戻って来た小林に陣内が声を掛けると、小林は、
「ちょっと気になる事があってな」とベッドに腰を降ろし、煙草を取り出した。最後の一本だったようで、箱を片手で握り潰す。
「気になること?」
「大上のケイタイがないねん?」
「ケイタイ?」「西野とあの部屋に入る時には、大上のケツのポケットに入っとったはずやねん。それが、あの部屋のどこにもあらへんねん」
「コバの見間違いちゃうん?大上の部屋にあるんやろ」
「俺もそう思って、松口に言って、大上のカバンや部屋も見せてもらった。でも、どこにもないんや」
 陣内、新しい煙草に火を点けた。二本の紫煙が絡まって、部屋を泳ぐ。
「それにな、大上のあの妙なストラップ覚えとるやろ?寿司のミニチュアみたいなん。西野を怒鳴りながら、ケツの当たりでぶらぶら揺れてるの見たら、おかしくてな。だから、覚えてるねん」
 あの緊迫した状況で、よくそんなものを見ていたものだ、と陣内は感心した。
「それじゃあ、つまり・・・・・・大上のケイタイを西野が持って行ったって事か?」
 小林は答えず、瞑想するように目を閉じた。煙だけが二人の間を行き来する。
「灰、落ちるで」
 陣内が指摘すると、小林は「ああ・・・・・」とほとんどフィルターだけになった煙草を、緩慢な動作で灰皿に押し付けた。
「まだ、なんかあるんか?」
 長年の付き合いでの直感である。陣内の問いかけに、
「今はまだ、言える段階やない」低い声でそう言って、俯いた。
 陣内は苛立ちを感じた。いや、苛立ちというよりも焦燥。今、この話を聞かねばならない、という。
「言えや」睨み付けても、小林は顔を上げなかった。
「コバっ!」
「・・・・・・これは、あくまで、想像の話や。なんの確証もない」
 ようやく小林は口を開いた。陣内は無言で先を促す。
「いつもの、俺の妄想だと思って聞いてくれ。おかしいと思ったら、ツッコンでくれたらエエし」
 陣内は頷いた。火を消し、小林と向き合うように座り直す。
 しかし、小林は、ここに来ても、口に出すのを躊躇したようだった。陣内は辛抱強く待った。

「西野は、大上を殺してない」

 ようやく、小林は告げた。陣内の動きが止まった。
(なん、やって・・・・・・?)
「大上を殺した奴は、他におる・・・・・・この、屋敷の中に」
 鬼の咆哮が、また、聞こえた。
670268 ◆jM/TIxxEd. :02/11/01 01:17
以上で、第六章終わりです。
もう逝かなくてはならなくて、すいません、失礼します。
671名無し:02/11/01 01:19
面白い!!
この後どうなるんでしょう?
たのしみにしてます!!
672名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/01 01:19
リアル更新で読んだよ…268さん、乙!
リアルタイムで読んじゃった(・∀・)ドキドキワクワクハラハラ
陣内が起きた時のコバの「金くれ。百万。」に和みつつワラタyo
そしてすげーどきどきして面白いと思いました夢にみそうです。
お忙しい中おつかれさまでした。
相変わらず真意の汲めない平井も気になる。
あのコンビは普通に仲がいいコンビなのでその謎について色々想像できて
ますます楽しいやね。
675名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/01 12:48
おおドキドキしてしまいますなあ!
本当にお疲れさまです。
676弧島のオニファン:02/11/01 17:41
学校から帰ってきて2ちゃんにいったらなんと!第六章が!!
もう感激しました!今からよみます! 笑
読んでてドキドキするな。
話のペースがちょうど良くて(・∀・)イイ!ね。早すぎず、遅すぎず。
コバヲタの自分的には続きが禿げしく気になります。
マイペースでがんがれ〜>268氏
 すごい…、ドキドキが止まらない。
しかもコバカッコいい。
 松口もコバがいて救われた部分あったろうな。

「大上のケイタイ」確かに某雑誌で見かけたけど
笑えるストラップでしたもんね〜。
あそこに目をつける268さんの着眼点は見事です。

ご自分のペースで外野は気にせず書いて下さい。
679age:02/11/01 21:57
めちゃ感激age〜
680あげ:02/11/02 17:55
あげです
681弧島のオニファン:02/11/02 18:51
あげ
・・・アップせーへんくせに個人名つけんな、とかいわれそうですが、
「孤島のオニ ◆jM/TIxxEd」さん!
これぞ傑作ですね。
何か、読むのにすんごい集中力使うんですけど。それで読み終わったら、
おーきなため息ついてる自分がいる、と。


個人的にはおぎやはぎがどう動くのかが楽しみです。
テレビでは妙に落ち着き払ってて、不思議な余裕すら漂わせてる二人が
どうなるのか、それが楽しみなんですよ。

・・・岡田さん、登場できるんですか?
クルーザーも出せないほどの大時化じゃ、これませんやん・・・。
増田さんも相方がいればまだよかったかも知れないですね。
683名無しさん@お腹いっぱい:02/11/03 01:01
孤島のオニさん、超スゲー!
7章、期待してまってます。
あげ。
684名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/03 16:29
age
685弧島のオニファン:02/11/03 18:28
age
686名無しさん:02/11/03 19:02
あげます。
687弧島のオニファン:02/11/04 11:08
age
688名無しさん:02/11/04 13:18
あげ
689名無しさん:02/11/04 13:22
age
690名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/05 19:07
age
691孤島のオニ:02/11/05 19:27
あげ
692名無しさん:02/11/05 23:07
7章はいつ!?
693 :02/11/06 01:20
>692
いつでもいいよ。
過度な期待は表に出さないように。
待ちきれないならあなたも何か書いてくだちい。

孤島のオニはもしかして、そろそろ謎解きに入るのかな……
694名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/06 02:17
あげあげー
268さん待ちだけやったら面白くないなあ
何か書こうかな…(w
695孤島のオニ:02/11/06 16:06
あげ
696名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/07 10:24
下がりすぎage
昨日孤島のオニ読ませて戴きますた。
バトワロスレ全盛期並に熟読してしまいますた。
これからもボチボチがんばってください268氏。
697孤島のオニ:02/11/07 14:43
age!
698age:02/11/07 22:55
age
699名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/08 00:28
待ちのageレスばっかりじゃ面白くないなぁ、
どなたか小話でも一興やってみてくださいよ。
700素晴らしい!:02/11/08 06:39
孤島のオニ、もっすご面白い!
過去ログ引っ張り出して読ませて貰いました。
登場人物が個性的でキャラも雰囲気も掴んでいて、
読んでいて違和感ないです。
ケンコバと陣内の会話は、声聞こえそうですわ。
701孤島のオニファン:02/11/08 16:04
age
702名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/08 18:01
>>694
書け書け書け書け
703孤島のオニファン:02/11/08 18:03
age。。
それにしてもこーゆー芸人小説ってあんま検索しても出てこないもんやねー。。
なんかこーゆー、芸人小説あるHPってない??
704名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/08 18:36
前に「ベース芸人に出演させたい漫画、ドラマ」ってスレがあったやつ、
当てはめてるのギャグっぽくて面白かったから、
全芸人に範囲広げて話し付けてやってみたら面白いんじゃないかな。


705名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/08 19:06
>>704
あのスレ、一回冷やかしで覗いたことあったけど確かに面白いのもあった。
馬鹿馬鹿しいキャスティングが妙に嵌ってるのとかあったんだよな。時々だけど。
706 :02/11/08 19:20
>>703
そうか、ないのか……
私は好きなアーティストのファンサイトに結構イラストとか小説あったから
芸人でもそういうもんなのかと思ってた。
そういえば見かけたことないな。

>>694
勇者! 書いて書いて!
707名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/08 22:15
>>705
どんなのあった?
どうせ厨房の巣だと思って見てなかったんだけど。
>705,707
スマソ、漏れそのスレ見てた。

前の小説スレもたまに覗いてたんだけど
途中で終わってしまった鳩笛と@ななしさん@は帰ってきてくれないだろうか…
709名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/09 10:20
age
710孤島のオニファン:02/11/09 11:37
あげ
711名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/09 15:47
>>704
それちょっと書いてみたいんですが、いいですか?
712名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/09 20:00
>>704
それだったらリレー形式もありかもね。
オチ無しでも面白そうだもん
713名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/09 20:23
>>704
あんまり文章力とか関係なく
ネタっぽくやれそうだからいいんじゃないの。
714age:02/11/09 22:11
ageる
715名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/10 14:44
やろう!
716名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/10 23:52
あぶないage
何故、このスレはこんなにageだけするヤシが多いんだ?
スレは圧縮される時(最近は600直前のよう)に、書き込みがされてない時間が長いものからdat落ちする。
別に書き込みはageでもsageでもいい。下の方にあっても、書きこみがある限り、落ちる事はない。
あと、この板では、半日に一回の保守でも多いくらいだと。これは、異論があるかもしれんが。

説明下手なんで、わかりにくいかもしれんが、
つまりは、一日に四回も五回もageだけのレスは不要。
書きこみがあった一時間後に「あげ」だけしてるのも意味がない。
つうか、他のスレで例えばこんな事(>>684-691してたら、あげ嵐さんだと思われる罠
(下の方にあるんで、人目に触れる目的であげてるのもあるかもしれんが。

保守あげに関して勘違いして、スレを見る度にあげてる人がいるみたいなんで、
あまりにもレスが無駄に使われるのはどうかと…。
上の事を全部わかってて、それ以外の理由で「age」してたら、御節介スマソ。


>>713
そですね。リレー形式も突発もありで、それなら自分も参加できるかも。

718名無しさん@お腹いっぱい。ちょこバト。:02/11/11 09:43
時間がないのでアップできそうにない・・・。

しかし、
新しい書き手さんいないのかーい!?
寂しいんですけど〜!
719694:02/11/11 19:39
694でつ。
702タン706タン、思いつきカキコにレスありがd。
へたくそな文章で良ければ、お話書きたいです。今から書き始めるんでうpいつになるかわからないけど…
ちなみにアメザリ小説(ファンタジー?)を予定してまつ。つづくかどうか微妙なんで、出来たらリレー小説がいいなあ。

>>711
一人じゃ心細いので、ぜひぜひ書いてくだちい。

>>718
ちょこバトさんだ〜!!小説うp、気長に待ってまつ(w
720名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/11 22:19
みんな知っている漫画といえば
「ドラえもん」「サザエさん」「ルパン三世」辺り?

721名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/11 23:00
>>720ドラえもん、やりやすそう。

あのスレ結構マニアック(自分が知らないだけかもしれないが)なものもあったから、
キャラがはまってて面白ければなんでもいいんじゃない?
戦隊モノもあったような気がする。
722ネタスレンジャー:02/11/11 23:24
戦隊モノ、(・∀・)イイ!
>>719能書きはいいから書け書け書け書け
724 :02/11/12 01:27
>723
お前がな
725名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/12 06:56
戦隊ものもやりやすそうだぞ
726名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/12 21:40
お笑い戦隊 ○○レンジャー!

○○の所はなんでもいいかな。
吉本、松竹、base、など(事務所、グループ、番組名)
敵役考えるのも面白いかも。
727名無し:02/11/12 23:04
お笑い芸人 天然ジャー!

天然ボケの芸人5人が
突っ込み星人と戦うと言う話はどうでしょう?

書いて見たいですが無理ですか?
728にろはち ◆jM/TIxxEd. :02/11/12 23:08
ご無沙汰しております。「孤島のオニ」書き手のものです。
(今更、HNを変えました。数字名だと、他の方が>をつけられた時にかちゅ等で見ると、
一々リンクになってウザイという事に、今更、気付きまして…)

第六章なんですが、激しく誤字脱字、脱文、ワケワカラン文章のオンパレードで…。
ちょと前回は焦りすぎました。お見苦しいものを晒してしまい、申し訳ないです。
全部あぼ〜んしてしまいたい…。それも出来ないので、次回訂正を少し…。


感想下さる皆様、毎度、ありがとうございます。励みになります。
7章、近日うp出来ると思います。お待ち頂けますと、有難いです。
にろはちさん(笑)良い名前ですね。
7章楽しみです!!うp期待してます。
あ、でもご無理はなさらないで下さいね。
730名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/13 06:59
age
731age:02/11/13 18:04
>>728
がんばってくれ。毎回楽しく読んでいます。
732名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/13 18:40
戦隊モノの参考になれば。
http://ex2.2ch.net/test/r.i/base/1036060944/i
AAスレだがストーリーもなかなか。
733名無しさん:02/11/14 10:46
漏れはウェッサイ面子(歌手としてではなく)が好きだか、その面子メイン+吉本芸人の小説を書いても読んで
くれまつか?
734関西:02/11/14 12:45
http://www.h2.dion.ne.jp/~nakaju/christmas.htm
ある男のクリスマス。flash。
735名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/14 15:12
>>734
おもしろかった。
736名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/14 17:56
四次元ナイフか
737お笑い戦隊ワラウンジャーの悲劇@リレー小説:02/11/14 18:11
11月某日 東京某所
ここに集まった五名の芸人
キングコング西野 シャカ大熊 田上よしえ ますだおかだ増田 ホームチーム与座
芸歴・事務所がそれぞれ異なる芸人
彼らはここに集められた理由を知らなかった。

「いったいなんなんでしょうね。新しい番組でもするんでしょうか?」
一番芸歴の若いキングコング西野が切り出す
「さあね」
シャカ大熊が冷たく言い放つ
決まりが悪そうに西野は口を閉じた

無理もない。彼ら五人はほとんど共演経験もなく、
彼ら自身どう接しあえばいいのかわからなかったのだ。

「またせてすまなかったね」
低い声がしたかと思うと、扉が開き一人の初老の男が入ってきた。

「木村常務・・・?」
ますだおかだ増田が驚きの声をあげる。
738お笑い戦隊ワラウンジャーの悲劇@リレー小説:02/11/14 18:13
そう初老の男は吉本の元木村常務だったのだ。
「え?木村さんって吉本辞めんじゃなかったっけ?」
ホームチーム与座が隣に座っている大熊に尋ねる。
「そうニュースで見たけどね。」
田上よしえが口を挟む。

「みんなもお気づきのとおり、私は先日吉本を辞めた。それには理由があってね。」
木村は重い口をあけた
「理由?」
与座が疑問の声をあげる
「実は私は、新しい警察予備軍、お笑い戦隊ワラウンジャーを結成しようかと思ってる。」

「笑うんジャー?」
「新番組?」
「しようもな」
五人はそれぞれに驚きの言葉を発する
「静粛に!」
木村の声が響く
「活動内容は簡単だ。選ばれたお笑い芸人達に無償で世の中にはびこる悪と戦ってもらう。
その選ばれたお笑い芸人達が君たちなんだ」
再びざわつく室内

ドン
大きな音に驚き振り向くと、扉際に増田が立っていた。
739お笑い戦隊ワラウンジャーの悲劇@リレー小説:02/11/14 18:14
「ふざけんなや。俺はお笑いをやるためにこの世界にはいったんや。そんなしょうもないことやれるか!」
怒鳴り声を上げ、その場を立ち去ろうとした。
「別に無理にやることはない。その代わりこの世界を続けていくことは厳しいだろうがね」
「なんやと?」
「君の事務所、松竹芸能に圧力をかけて君を辞めさすことだって出来るんだよ?」
「やれるもんならやってみろやぁ!」
殴りかかろうとした増田を西野が止める
「増田さん、止めておいた方がいいですよ。本当にこの人権力ありますから」
西野の手を振り払い、増田は椅子にドカッとそっぽを向きつつ腰を掛けた。

沈黙が流れる室内
「まあ、そんなに固くならんと。 別に命に別状のあるようなことをさせるわけじゃない。
仕事にも影響が出ないように配慮するよ。」
そんな木村の言葉を聞いても、五人は黙ったままだ。
「じゃあ、仕事の役割でも発表しようか。まず、レッド」

レッドといえば、五人戦隊の中では一番目立つ役。
目立ちたがりやの芸人達はみんなこれになりたかった。
740お笑い戦隊ワラウンジャーの悲劇@リレー小説:02/11/14 18:14
「キングコング西野」
「お・俺?」
先輩芸人達の羨望の視線を感じつつ、衣装を受け取った。
「芸歴の若い西野にまとめる役なんて大きすぎませんか?」
大熊が木村に疑問を投げかける。
「いや、実はスポンサーの吉本興業からの強い推しがあってね。」
「結局権力かよ!?」
田上のツッコミを無視しつつ、木村常務は次を発表した。

「ブルー、シャカ大熊」
「ブルー?中途半端やな。」
「ブルーといえば、男前がなるのが昔からの基本。それで君が選ばれた。」
外見で判断されたことに憤りを感じつつも、大熊は衣装を受け取った。

「それでは次、イエロー、ますだおかだ増田」
「イエローって色物やないか・・・」
「イエローといえば、チビorデブがなると決まっている。君にぴったりだ。」
失礼な言葉を無視しつつ、衣装を受け取った。
741お笑い戦隊ワラウンジャーの悲劇@リレー小説:02/11/14 18:16
「次、ピンク 田上よしえ」
「やっぱり?」
「言わなくてもわかっているだろうが、女だからピンクだ」
「そんなの差別じゃんかよー。」
と言っても、強引にピンクの衣装を渡された。

「最後に、グリーン ホームチーム与座 実はグリーンは芸人の中で一番人気がなかったのだが、
与座君ならやってくれるだろう?」
木村の強引な言葉に、つい衣装を受け取ってしまった。

少々強引なやり方に疑問を感じつつも、五人は家路についた。

芸歴も事務所も、そして共演経験もほとんどない五人
そんな奴らが地球の平和を守れるのか?
戦え!ワラウンジャー
立ち上げれワラウンジャー!
芸人生命は君たちにかかっている!
742名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/14 18:40
もう書き込んでもいいのかな?
木村常務登場にワラタ、そして妙に真剣なそれぞれがツボでした。
ギャグっぽいの好きなんで面白かったです、パロディ良いなあ。
皆、後に続け!
>>734
ワラタ
ワラウンジャー良い!こんなん待ってました!一番オモロかった
745 :02/11/15 16:22
ワラウンジャー?しょーもな。
>754
皆、なんとか盛り上げようとしてるのにそういうこと言わない。
747 :02/11/15 20:43
>746
あなたも煽りにレスしない。
748 :02/11/15 21:51
>747
よく見てみろ!746は煽りにレスしてないぞ!
749名無しさん@お腹いっぱい。 :02/11/15 22:31
全員と共演経験がないのは西野だけのような気が。
でもおもしろいっす。
750747:02/11/16 00:03
>748
本当だ。予言キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!
ドキドキ

>>749
大熊と与座はじゃっかるってことは知っているけれど、他は?
マジでシリアスものよかはギャグ寄りがいいな。お笑い板なんだしね。
753名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/16 10:40
なんとなくage
754名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/16 11:21
>>751
オンバト(SP)じゃない?
755754:02/11/16 11:43
折角の754をこんなことに使ってしもた…

カチャ
  ;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
  \/| y |)


756名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/16 12:29
>>733
是非、お願いしたいです。
757名無しさん:02/11/16 19:19
756は煽りですか藁
758 :02/11/16 23:01
>755
丼米。
つながり的にはおもしろいぞ。746を見ると意味不明で。
759 :02/11/16 23:55
みんなお笑い芸人なんだから……w
760名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/17 10:34
小説書きたいけど文才がまるでないからな・・・
761 :02/11/17 11:49
>>760

いいじゃんvvかいちゃえvv
762―――☆:02/11/17 12:06
「西のっちー!!!」
―――俺はこの世界に入って本当にいいのだろうか。楽しいのだろうか。。
毎日毎日漫才をやってもちゃんとネタを聞いてるのはごく一部。あとはほとんどがいわゆる゛ミーハー"
俺はただダイスキなお笑いをやりたい。でもファンにとって俺達はいったいなんなのだろう。。
アイドルとでも思っているのだろうか。。
「・・・野・・西野!」
きがつくと隣には相方の梶原がいた。
「お前なにやってんねん。ネタあわせの途中でボーっとして。。」
「・・・まぁな。。」
「・・・お前最近なにやっても楽しくなさそうやな。いったい何があってん?」
「・・・別に・・。」
「・・・そうか。」
梶原はそれ以来何も言わなかった。
今日もbaseでのしごと。baseにいけばいつものようにマナーを守らないやつらがいる。
「西野っち!こっちむいてーー!!」
アイドルのように写真をとられる毎日。もうこんな生活にあきあきしていた。
漫才をやってるときは楽しい。そう、楽しかったはずなのに・・・。
「西・・・野・・・?」
はっとして気づくと俺は梶原の言えにいた。
手にもっていたのはナイフ。
俺はそのナイフで・・・自分の腕を指していた。
「西野!!!」梶原は同様している。
俺はなぜこんなことを・・・?
自分でもわからなかった。そう、あの日がくるまでは・・・。
763―――☆:02/11/17 12:31
俺は救急車に運ばれていた。いっしょに乗っていたのは相方の梶原だった。
梶原は今にもなきそうな顔で俺を見ていた。
俺は不思議と腕は痛くない。ただ、頭がボーっとしていた。

目がさめると俺は自分の部屋にいた。
太陽がまぶしい。もう朝だ。
「ん・・・」
ふとみると梶原がいた。
「・・西・・野?・・・西野!!!」
梶原は俺のボーっとした目をみていた。そして俺に背中をむけた。
「・・・なんで・・・こんな・・・。」
そのあとも梶原はブツブツとなにか言っていた。
「・・・俺もう帰るわ・・。」
そう言って黙って梶原は俺の部屋から出ていった。
そのときの梶原は・・・。泣いていた。
「・・・!っ・・」
痛みがなかったはずの腕に痛みが走った。
「俺・・・。左腕刺してたんや・・」
自分でもやっと何をしたのかがわかった。
「いったい・・どうしたんやろ・・俺・・。」
「チャラ〜」
携帯の着メロがなっていた。
メールが山のように入っていた。
「タイトル:大丈夫??
西野っちのファンです。けがしたのが腕でよかったね♪
西野っちのかっこいい顔にケガしたら大変だよ〜〜」

ガンッ!!!
俺は携帯を投げ捨てた。
「・・・もういやや・・・。」
「ピンポーン」
家のベルがなった。
764―――☆:02/11/17 12:58
ドアをあけるとロザンの宇治原がいた。
「宇治原・・・さん・・・」
「お前どうしてん?!携帯にメールしても返事は返さないし、電話してもでーへんし!!」
「あ・・・携帯・・・。」
「・・・。とりあえずあがらしてもらうから。。それと・・・」
「・・・?」
「その血がついてる服、はよきがえて。」


宇治原さんは俺の壊した携帯と、床についた血をみつめていた。
さっきから5分ほど・・・。ずっとそれを見ていた。
「西野・・・」
やっと口をあけたかとおもうと、俺の肩を持ってジーっと俺の目を見ていた。
「・・お前。仕事をやりたくないんか??」
「・・・え?」おもいもよらない言葉が俺の耳に入った。

765名無しさん:02/11/17 13:06
うわ〜めっちゃおもろいわ!!
がんばれ!!
766さすらいの名無し:02/11/17 15:49
チンポンのしつをあわらしているすばらしいさくひんだとおもいます
767―――☆:02/11/17 19:13
「どうやねん?やりたくないんやろ?」
宇治原さんは変わらず俺の目を見て冷静に話した。
「な、なんでそんなはず・・・」
あるわけない。そう思っていた。だがそのとき、

―――オレハシゴトガヤリタクナイ。

今俺の頭にこの言葉がよぎった。
そう。俺は毎日毎日キャーキャー言われることに飽きていた。
ファンがみんなミーハーに思えていた。
漫才をやっているはずなのにアイドル扱いされて・・・。
そんな仕事に飽き飽きしていた・・・。
腕をさしたのは・・・。
ツッコミができないようにするためなのだろうか??
ふと気づくと俺の顔は涙であふれていた。
「お前が仕事をやりたくなければやらなくてもいい。
でも、そのことでほかの人達に迷惑をかけることはゆるさへんからな。」
そういって宇治原さんは俺の部屋から冷たく出ていった。
「・・・っ・・・」
またうでに痛みが走った。だがその後、俺は異変に気づいた。
まずひとつはさっきから涙であふれて顔がぐちゃぐちゃになっていること。
もうひとつはさっきからいたんでいたのは・・・腕ではなく・・・心だったこと。

「・・・・。」
俺は一体どうしたらいいんだろう・・・。一体・・・どうしたら・・・。
俺はその場に倒れこみ頭をかかえて初めて声を出して泣いた。
768―――☆:02/11/17 20:28
「・・・え?お前、な、なに言ってるん・・?」
電話の向こうで相方の梶原が衰えていた。
「悪いけど・・・。そういうことやねん・・・。あ、ごめん。詳しいことは またあとでいうから・・・。うん、じゃ・・・」
そう言って俺は電話を切った。 そう、これでよかったんだ。これで・・・。

「・・・。」
「ん?梶?どうしたん??さっきまで酒のんですんごい勢いやたったのに。」
「・・・・。」
「どうしてん?せっかく仕事が2日OFFやってゆうから俺んち泊まらしたってんのに。」
「う、宇治原さ・・・」
「・・・?梶?」
「にし、西野が・・・。お、お、お笑い・・・やめるって・・・」
「・・・え?」
「・・・お、おれ・・・これから・・ど、どうしたら・・・」
「梶・・・。」

俺はマンションの近くの川原にいた。そしてこれからやる仕事について、ボーっと考えていた。
「西野。」 「あ・・・。宇治原さん・・・。」
「お前んち行ったのに、お前おらんかったからわざわざこの川原まで来たってんぞ。 ありがたく思えよ。」
「はぁ・・・。」
「ところで西野、明日のあのレポートの仕事のことやけど・・・」 「あ・・・。俺・・・その・・・。」
いずれこの人にも言わなければいけないことだ。でもなかなか言う勇気がでなかった。
「どうしてん??あ、そうや。お前最近めっちゃ人気あるなー。」
俺はその言葉にビクっとした。
「やっぱ顔がええやつはええなー。俺なんか目くぼんでるからぜんぜん人気でえへんわ。それに比べてお前ってすごいなー。」
「・・・なにがすごいんです?!」 「・・・。」
「顔がいいから人気がある?!それがすごい?! そんなん人気とはいいませんし、すごくもなんともない!! 俺はただ芸人なって、お笑いがやりたかったらこの世界に入ったんですよ?!」
「でも実際お前の顔が気に入ってファンになったやつらもおるな。」
「そんなやつら、ファンとはいいません!俺はそんな人らはファンとは認めませんよ!! 一体・・・なんなんですか??!
宇治原さんまで・・・そんな・・・」 俺は怒りにくるって、何を言っていいのかわからなかった。
「だから・・・仕事を辞めるんか?そんな理由で?」
769名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/17 22:41
にろはちさんのご降臨待ってます。
マイペースで良いので頑張ってください。
770―――☆:02/11/18 07:59
「そんな理由?!俺にとってはすごい重大なことなんですよ??!」
「そんなこと聞いてない。仕事を辞めるんか?って聞いてるねん。」
「辞めますよ!!もう、二度とお笑いなんかみたくない!!!」
「フーン。わかった。」
そう言って彼は冷たく川原から去っていった。
「・・・。かえろ。」

家についたことはついたが、なにをやればいいのかがわからない。
いつもなら・・・俺はどうしてたんだろう。
そうだ、いつもならネタを書いていたんだ。
クックッ、と笑いながらネタを・・・。
「くそ!!!」
もう俺はお笑いをやめたんだ、そう、そのはずなんだ・・・。
なのに頭の中ではお笑いのことばかり浮かんでくる。
「忘れろ、忘れろ!!」
そう言っても、忘れたいはずなのにお笑いのことが浮かんでくる。
       
          ピンポーン
771お役立ちサイトです。:02/11/18 08:43

凄いサイト見つけました

http://home9.highway.ne.jp/cym10262/
772名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/18 14:14
これって恋愛小説は禁止なんですか???
773―――☆:02/11/18 15:37
だれだろう。そう思って俺はドアを開けた。
「・・・梶・・・」
そこには俺の相方・・・いや、元相方の梶原が立っていた。
「西野・・・。」
梶原は今にも泣きそうな顔で俺を見ていた。
「・・・とりあえず入って」
そう言って俺は後ろを向こうとした。すると、
「西野!!!!」
俺が後ろを振り向くと梶原が必死に俺の腕をつかんでいた。
「い、いたいって・・・おい!!!はなせ!!!」
「・・・。」
そういて梶原はだまって俺の腕から手を離した。
「・・・なんやねん。」
ボソっと梶原がいった。
「・・・あ?」
「なんやねん!!!おまえ!!!」
「え・・・?」
774―――☆:02/11/18 15:46
「俺は・・・お前の・・なんやったん?」
梶原は泣いていた。泣きながら必死で喋っていた。
「俺は・・・お前の相方・・じゃなかったん・・・?俺は・・・お前を助けられへんの?」
「・・・・。」
「俺・・。お前が宇治原さんと川原で喋ってるの・・・見てた・・・。」
「!」
「だから・・すごいくやしかった・・・。」
「・・・なんで?」
「俺・・・お前の相方やのに・・・。なんでなんの役にも立たれへんねんやろーって・・・」
「梶・・・」
「俺・・・」
「もう言うな!!!」
「・・・え?」
「もう・・・いいから・・・。お前のせいじゃないねん・・・」
気づくと俺は泣いていた。あの日のように・・・。
「俺が悪いねん!!!俺がこんなに弱いから・・・悪いねん・・・。」
「西野・・・。人間・・・。誰でも弱くなるときはある・・・。
お前は弱くない。強い人間やで・・・?」
「じゃあ!!」
「え・・?」
「じゃあなんで・・・・。」
俺はこのあと続く言葉が出なかった。。
775名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/18 15:46
沈黙多いね
776名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/18 15:47
にろはちさん期待して待ってます!
頑張ってください!
777―――☆:02/11/18 16:10
「俺・・・俺・・・。」
「西野・・・。なんでも俺に言ってや・・?俺はお前の相方やし・・・。お前の将来の相方やねんで・・・?」
「梶・・・」

その日俺は梶原に俺の思いをすべて伝えた。
梶原は俺が言うことを真剣に聞いてくれ、真剣に相談にのってくれた。
俺は・・・こいつの相方でよかったと、また感じた。

11月某日 baseよしもとにて。
「どうも!キングコングです!イェイイェイ!!」

俺はまた仕事をやり。この仕事をやるたびに生きがいを感じている。
ルールを守らない人達もいるが、最近は客のほとんどは漫才をちゃんと聞いてくれている。
もちろん仕事でいやなこともあるが、いつもそばには相談ができる先輩や相方がいる。
「宇治原さん。」
「ん?どうしたんや??」
「ずっとお礼言うの忘れてましたけど・・・あのときはどうもありがとうございました!!」
「ん?なんのことや??俺はしらんぞ」
そう言って彼は笑って去っていった。
「・・あの人らしいわ。」

「西野!!もうすぐ出番やぞ!!」
「あ、わかった。すぐいくわ。」

これからもこのbaseよしもとはどうなっていくのだろう。
ミーハーのファンが増えていくのか、それとも減っていくのか・・・。
それはまだわからない。
でも、間違いなくルールを破らない、純粋に漫才がすきなファンが増えていけばいいとおもっているのは、
いうまでもないだろう。

終わり
778―――☆:02/11/18 16:11
ログ?の無駄使いしてすいませんでした。
んでこのレスまでもが無駄ですいません・・・。
779名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/18 17:12
>>772
好きにしろ!
でも面白くなかったら遠慮なく叩く
780 :02/11/18 17:21
>772
恋愛小説は荒れの元。気をつけたほうがいい。
781お笑い戦隊ワラウンジャーの悲劇@リレー小説 :02/11/18 17:59
増田は上半身裸になり、鏡を見ていた。

正直、増田は迷っていた。
木村の発言はお笑い芸人として屈辱的なものだった・・・。
しかし

増田は高校の頃プロレスに憧れ、柔道をやっていた。
はっきり言って強かった。
でもこの身長のせいでその夢を諦める事になってしまった。
本当はヒーローに憧れていた。
木村の言葉は増田の格闘家魂を揺さぶった。

「よし。」
何かを決意したように増田は腹筋を始めた
782B級作品:02/11/18 19:54
某テレビ局――中川家は先輩芸人の持つバライティー番組のゲストとして
出させてもらっていた。いい雰囲気での収録が進む。
礼二の得意のモノマネも笑いをとれトークもばっちしだ。
《しかし何やろ、この違和感》
礼二がふと隣を見ると兄の剛が心ここにあらずの状態で
いつも以上にトークに入ってくる様子を見せない。
《またや・・このドアホは。仕事何やと思ってんねん》
心の中で悪態をつくが最近、兄の剛の様子が何かオカシイことに
気付いている礼二は《もし、また・・》という考えが頭をかすめ、
あまり兄に強くあたれないでいた。
《あかん、俺はせめて集中せな》と礼二は仕事モードに入れなおす。
その時、突然先輩芸人が剛に話を振った。
それは前に出るタイプではない剛を気遣っての先輩の優しさなのだが
礼二は剛がとっさの振りへのアドリブに弱いことも知っていたし、
ましてや、さっきまで心ここにあらずだった兄貴は話の流れさえ
わかっていない可能性大だった。礼二はとっさに助け舟を出そうと
身をのり出した、まさにその時だった。
ガシャー―ーン!!
すさましい音とかるい振動でセットが一瞬揺れた。
礼二は中腰のまま動けなくなり、全員の視線が一点に集まる。
そこには天井にぶら下ってたはずの照明が無残な形で形でたたきつけられて
いた。シ―――ン・・静寂がスタジオを包み込む。
芸人も多いはずなのに派手なリアクションをとる者や
変に茶化す者は誰もいなかった。
783B級作品:02/11/18 19:57
スタッフが演者に駆け寄り
「皆さん、お怪我はありませんか?」と声をあげ怪我人がいないのを
確かめると「すいません。ひとまず控室のほうへ」と促され皆
各自の楽屋へと帰っていった。
[中川家様]と書かれた楽屋に戻ると礼二は
「ぶっそうやなぁ〜もぉ。怪我人おらんで良かったで」と体を伸ばしながら
言った。剛の返事はない・・それは別に珍しいことではない。
が、ふと礼二が剛の方を見やると剛の顔は真っ青だった。
「何や、どないしたんや!兄貴、顔真っ青やで・・気分悪いんか?」
と尋ねる。剛は煙草に火をつけながら「なんもない」と言ったが顔面蒼白で
ライターを持つ手は小刻みに震えていた。
「そんな状態で大丈夫なわけないやろ。まさか兄貴・・また・・」
言葉が続かない。
「ちゃう!そんなんと・・ちゃうねん。どうせ言うてもお前信じひん
やろし・・」そう言う剛は唇もかすかに痙攣していた。
「ゆえや」乱暴な言葉遣いだが優しい口調で兄を促す。「あのな・・さっきの
あれ・・俺のせいかもしれへん」
784B級作品:02/11/18 20:14
「・・?さっきのあれって照明の事故のことか?」
剛は聞き分けのいい子供のようにコクリと頷く。
「どういう事や?もっと詳しく言わな、それだけじゃあ
わからんやろ」
そんな礼二の言葉に剛は言う事を躊躇しているのか、
はたまたうまく言葉で表現できないのか口をモゴモゴさせる。
そんな兄を理解している礼二はテレビや舞台での彼とは異なり
あえて急かさず静かに兄の言葉を待つ。
どちらかと言うとイラチの礼二だったが兄に対しては
そういう待つという時間も必要だと感じていた。
《ほんま、どっちが兄かわからんで・・》
頑張ってる兄貴を見ながら心の中で苦笑した。
少しの沈黙の後、剛は重い口を開いた。
>>778
最初から最後までちゃんと読ませてもらいました。
お疲れさまです。 よろしければマタ書いてみてくださいね!

>>782
何だかおもしろくなりそうな気がします。
頑張ってください!
786B級作品:02/11/18 20:46
「俺なぁ・・超能力あるみたいやねん」
《はぁぁ?超能力ぅ!?何やねん、ここまで引っ張ってそのオチ。
なんか真面目になってた俺がアホみたいや(汗)》
礼二は怪訝そうな顔で兄、剛の顔を見つめる。
しかし剛の顔は今まで見たことないくらい真剣だ。
《あれ・・?ボケやったら言った後必ず自分でちょっと笑うし
嘘も演技も下手やから、いつも顔に出んのに変やな。いやでも超能力て!
何やねん、これ。どう処理したらええんや》
礼二は困惑の表情を見せる。
「信じてないやろ・・」剛は今までの動揺が嘘みたいに静かに言った。
礼二は戸惑いながら「じゃあ、あの照明は兄貴が超能力で落とした
言うんか?」「そうや」
787B級作品:02/11/18 21:03
《んなアホな・・そうや兄貴は疲れてるんや。M−1以来仕事の
量もグッと増えた。あれから一年たったといえども忙しくて
睡眠時間も少ない。突然起こった事故に気が動転して変な考えに
たどり着いても仕方ない。そうや、これや》
考えがまとまると礼二は「そうか、兄貴にそんなパワーあるとは
知らんかったわ。収録再開までまだ時間あるから体休めぇ〜や」と言った。
「お前、俺のこと信じてへんやろ!!どうせまた俺がおかしなったとでも
思っとるんやろ!」そう剛が叫んだ時だった机に置いてあったコップが
ふわりと宙に浮き、すごい速さで礼二の頬をかすめ壁に叩きつけられた。
パリン・・コップは音をたて粉々になった。
目の前で起こった事態を飲み込めない礼二はただただ呆然と立ち尽くす
ことしか出来なかった。
《なんや・・今のん》
788B級作品:02/11/18 21:46
「大丈夫か?怪我ないか?ごめんな・・俺・・コントロールでけへんねん」
何事もなかったかのように、ただ申し訳なさそうにそう言った。
そして呆然としている礼二を見て「でも今ので信じたやろ?」と続けた。
礼二は変な汗をかきながら「ど・どうゆうことやねん」と呟いた。
「俺、感情が高ぶったりパニックなったら力出てまうみたいやねん。
ほら、さっきもイキナリ振られてどうしたらええか分からんくなってもうて
テンパったらあれや・・」剛は苦しそうにうつむく「もしかしたら照明に
しろ、さっきのお前にしろ下手したら怪我人出てたかもしれへん、
俺・・人を傷つけてたかもしれへんねん!」そう言った剛の目は涙目だった
「この力に気付いたのは一ヶ月位前や。街でヤンキーに絡まれてな、
テンパってしもて・・そしたらヤンキーの着てた服がいきなりビリビリ
なってな。ヤンキーは恥かしそうに逃げてったから俺はなんか知らんけど
助かったー、ラッキーって思っとったんやけど、それを封切りに変なことが
次々起こってなぁ。俺をカメラ付携帯で撮っとった子の
携帯が煙吹きながら壊れたり、コロモの鼻から色とりどりのBB弾出てきたり、
オナラが薔薇の香りなったこともあったなぁ。でも俺が知らんだけで他にも
もっとあるはずや!まさか三十路超えてから不思議な力に
目覚めるなんて思ってもみんかったけど・・な」
剛は真っ直ぐ礼二を見据えた。

789名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/18 23:03
>>788
>コロモの鼻から色とりどりのBB弾出てきたり、
激しくワロタ
790名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/19 09:24
>突然起こった事故に気が動転して変な考えに
>たどり着いても仕方ない。そうや、これや

礼二の自己完結の早急さにワラタ。
本人こんな感じっぽい(w

楽しみにしておりますのでがんがってくだされ。
一応分からない人の為に。
コロモ=中川家の兄ちゃんの飼っている猫
です。おせっかいスマソ。
792短いプロローグ:02/11/19 14:12
俺はもう本当は仕事が嫌だった。
いつも忙しくて、彼女ともずっと一緒にいられないし、そして何より
こんなに頑張っているのにまだ俺達のことを見とめてくれない人たちがいる。
俺も東京へ行って仕事がしたい。全国の人に俺達のことを知ってもらいたい。
関西ローカルじゃないレギュラー番組が欲しい。
そんなことばかり考えていた。
相方の西野はというとネタを書き続ける一方で、西野なりに悩み事もあるようだ。
「生活習慣病」にかかっている。
今の暮らしに不満を持っていることにかわりない。
そう思いながら春が終わり、夏が終わり、秋が終わり、冬が終わり、
もう一度春がきた。
その春が過ぎる頃、俺は一人の少女に出逢った。
少女は俺に「生きること」と「命の大切さ」を教えてくれた。
793792:02/11/19 14:14
恋愛小説は怖いんで、普通のにします・・・。
これから、かいてもいいでしょうか???
どうぞ遠慮なく書いて下さい。楽しみにしてます〜。
795B級作品:02/11/19 19:12
788続き
その眼は兄らしからぬ迫力があり礼二はたじろぐ。
剛は「俺・・この世界やめた方がええんかもしれんな。
もともと、あんまり向いてる方やなかったし・・。
テンパるごとに何か起こっとったら仕事にならんし、
もし今回みたいなんが続いたらシャレならへんわ・・」と
自嘲ぎみに笑う。
「兄貴!じゃあ、俺らは・・中川家はどうなるんや!!」
「お前おもろいねんしコバや松口あたりと組んだらどうや?
売れるで、きっと。最悪ピンでもお前ならいける・・解散や」
そう寂しそうに言うと剛は荷物を持ち立ち上がる。
「今まで、ありがとうな」という言葉を残し中川剛は楽屋を
出て行った。
次の日も、また次の日も剛が帰ってくることはなかった・・
796B級作品:02/11/19 19:24
≫789、790
ありがとうございます。また続き書いたんで
つたない文章ですが、読んでください
≫791
解説ありがとうございます
すいません、説明不足で・・(-_-;)
797B級作品:02/11/19 21:05
一年後、中川礼二はピン芸人として活躍していた。
兄貴以外の人とコンビを組むなんて考えることも出来なかったし
兄が帰ってきた時また中川家としてやりたいと思っていたので
芸能界での位置はキープしておきたかったからだ。
兄兼相方の失踪はマスコミに騒ぎたれられ、いろんな噂が流れた。
しかし芸人仲間が励ましてくれたし先輩芸人も同情し支援してくれた
ので一人の仕事もさほど辛いものではなかった。
何より皆が知らない兄失踪の理由を知っている、という安心感もあった。
ただこの一年、兄貴から何の連絡もない・・兄貴は強い人間じゃないから
、もしかして自ら命を・・と不吉な考えが頭をかすめ、あわてて打ち消す。
《暗いこと考えてもしゃーない!今、俺が出来ることは兄貴を信じる事と
兄貴が帰ってきた時兄貴が入れるスペースを作っとくことだけや》
一息つくと礼二は出番のため舞台へとむかっていった。

ルミネでの出番を終えた礼二は千原Jrにつかまっていた。
「礼二はピンとしてもジャリの山下抜いたな」そう言うとJrは豪快に
笑う。その隣で山下が「なに言うてんねんな〜〜」とわめく。
礼二は兄弟コンビの先輩Jrとピンの先輩山下のやりとりを聞き
笑いながらもどこか、うわの空だった。話の途中だったが
「兄さんら、僕つぎ仕事あるんでお先に失礼します。お疲れ様でした」と
と足早に楽屋をでる。先輩の「おう、頑張れよ」という言葉も礼二の耳には
入らなかった。
ルミネを出たその時だった・・
「礼二!」
自分を呼ぶ声にバッと振り返る。
798B級作品:02/11/20 19:08
「なんや・・松口か・・」
「松口ちゃう!ユウキロックや!!」
「・・・。」
「それより礼二、お前まだ・・」
松口、いやユウキロックが何を言いたいのかわかるが礼二は何も
言わず、その場を去った。
「はぁ〜〜」大きなため息をついた後止まっていたタクシーに
乗り込む。行き先だけ告げると運転手とは会話する気にもなれず
黙って外を眺めていた。
流れゆく風景―――「・・・!!!すんません。ここで降ります」
運転手は怪訝そうな顔をしたが礼二はお金を渡し、お釣りももらわず
走り出した。
《はぁ、はぁ、はぁ。今、兄貴が・・ふぅ〜。ついに幻覚まで見え出し
たんか・・・》
「礼二?」
聞き覚えのある懐かしい声に礼二は体が固まって動くことが
できない。松・・ユウキロックとは明らかに違う声。
「兄貴!!」
礼二の目に小さな体と人懐っこい笑顔が飛び込んでくる。
目頭が熱くなるのがわかる。
《あかん!泣いてまう・・》
必死で涙を止めようとするが涙は滝のように礼二の目から流れる。
「礼二、泣くなやぁ」と困り果てた顔で剛が言う。
「泣いてへん!うぅ・・泣いてなんか・・ふうぅ・・俺が泣いたり
するかいな・・」
「スプリンクラーや」
「ホンマや、スプリンクラーや。アメリカの庭や・・
アホ!何言わしとんねん」
799B級作品:02/11/20 19:25
二人はこうして一年ぶりの再会を果たした。
目を真っ赤に腫らしながらも、やっと落ち着いた礼二は
「兄貴、チョーノーリョクは直ったんか?」と尋ねる
剛は首を横に振る。「じゃあ・・」礼二の表情が曇る。
「心配せんでええ。見ときや」と言うと道に置かれていた
スナックの立ち看板がフワリと浮きクルクルと回りだした。
礼二は開いた口が塞がらない。
「完全とまでいかへんけど、ある程度コントロールできるように
なったんや」と得意気に言った後「まぁ・・まる一年かかってもうた
けどな。でもそれでも早い方や、って褒められてんで」と恥かしそうに
笑う。「じゃあ・・俺らまた一緒に漫才できるんか?」
「まぁ、お前が嫌やなかったら」
「アホ!嫌なことあるか!!俺ら・・俺ら二人で中川家やろ!
し・・心配させて、このアホ兄貴!」

この後、中川家が超能力漫才で世間を騒がしたことは
言うまでもない・・・

 ☆めでたし☆めでたし☆
800短い話:02/11/20 21:41
「西野っちもう一回だけ!!!もう一回だけ頼むわ」
「もうええわ、もう何回しても一緒や」
「頼むわ、これ最後にしてもう一回だけ!!!」
「さっきもそれ言うとったやないか。」
「頼むって!!!なっ、これがほんまに最後や」
「…ほんならほんまにこれで最後やぞ?」
今日はオンバトの収録日だ。
久しぶりのオンバトで緊張しているせいか
俺と西野の波長が上手くかみ合わないでいた。
「これでオンエア勝ち取ったら7連勝や」
最近の西野はこれがクチグセだ。
西野はこの連勝記録をストップさせたくないのだ。
だからオチが決まらなかったり、トチったりするとものすごく怒る。
俺はもう5回連続同じ所で間違っていた。
西野の怒りのボルテージは頂点の少し手前ぐらいまできていた。
西野にとってお笑いは楽しいことなんだと思う。
でも最近の俺にとってはただの苦痛でしかない。
今日のオンバトだって本当は出たくなかった。
だから俺は何回も同じ所で間違ってたし、
西野は同じ所で間違っていたことではなく俺のやる気がないことを見抜いて
それに対して怒っていた。
801短い話:02/11/20 21:42
「次の挑戦者はキングコングです。」
アナウンサーの高山さんの機械的な紹介の中、俺等の漫才は始まった。
「こんにちは、キングコングですイェイイェイ」
「シャカリキ頑張ろう」
また今日も一緒のことをして、お客さんに笑わせる。
この日も連勝記録にストップをかけることはなく見事にオンエアを勝ち取った。
しかもオーバー500である。
今までに何度もオーバー500をだしたのにもかかわらず、その日の西野はものすごく機嫌が良かった。さっきまでとは大違いである。そんな西野を見るのも、嫌になるほど俺は疲れていた。
「梶!!!今からなんか食いに行くか?」
機嫌のいい西野が今にも踊り出しそうな声で言った。俺は断ることもできず
「えーよ、俺焼肉食いたい。」
そう言って、二人で久しぶりに焼肉屋へ行った。
焼肉を食べるのも西野と食事に行くことも久しぶりだった。そこで俺は西野と今までにないほど語り合った。仕事のこと、彼女のこと、先輩後輩関係のこと。
そして明日の仕事のことも忘れて二人で吐くまで飲んだ。
802短い話:02/11/20 21:43
次の日、、、

「あー、頭痛い〜〜。」
「おう、お前今起きたんか」
相変わらず酒に強い西野が朝ご飯を作っていた。
「あぁ、水一杯くれへんか?」
「ハイ」
「おおありがとう。んっ???お前人の家でなにしとんねん!?」
気づかない俺もバカだが、そんなことはお構いなしに西野が
「お前昨日酔いつぶれて俺がここまで送ったんやけど、もう終電行ってもうたし、お前は泊まってけ言うから泊まらせてもろたんや。覚えてないんか?」
「あー、そうか。で、なんで飯つくってんの?」
「えっ?腹減ったし」
そんな会話をしながら、俺は西野の作ったご飯を食べた。
西野の料理は主婦並に上手い。今日も仕事か…あんまり行きたくない。
でも、今更行きたくないからと言って休めるわけもないし西野が張り切っているのを見ると余計に仕事をしなければならないと感じた。
そんなこんなで二人で仕事に出かけようとしたその時、妙な腹痛が俺を襲った。
なんかキリキリ痛むし食中毒か昨日の酒の飲みすぎかのどちらかだと思った。
でもなんかおかしい。
baseについてもこの痛みはおさまらなかった。
むしろ時間が経つにつれて痛みも増して行った。
803短い話:02/11/20 21:44
もはや限界だと思った瞬間後ろから聞きなれた声がした。陣内さんと小林さんだ。
陣内さんが言った。
「おお梶原どないしたんや辛気臭い顔して」
「いやぁ、なんか今朝から腹の調子が悪くて…マジで痛いんですよ」
続いて小林さんが
「腹痛いんか?俺薬持っとるでやるわ」
「ありがとうございます。」
俺は多分薬で治るような腹痛ではないと思っていたが一応もらった。
次に陣内さんが
「相方はどないしたんや?」
あーそういや、西野がいない。さっきまでそこにいたのに。
「多分先行ってると思います。」
でも西野のことだからまたすぐにひょっこりと出てくるやろうなぁ、そう思った。
「そうか、じゃぁ気つけーや」
そう言って二人はどっかへ行ってしまった。
「さようならー」
そう言いながらも俺はもう立っているのもおかしいくらい腹が痛かった。
それから一瞬にして急に気が遠くなった。
「あーもう俺アカン。俺死んだわ…」
頭の中でこの言葉が繰り替えされる。隣で俺の名前を呼ぶ声が聞こえるけど返事もできなかった。

そして本当に真っ暗になった。
804名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/20 21:50
にろはちタンのご降臨待ってます。
              【第七章 迷宮に潜み】

「そんな、アホな……」
陣内のツッコミに、キれはなかった。小林は組んだ両手に視線を落とし、
「今からする話は全て俺の想像で、根拠はなんもない。……そんなモンで、他の奴等を混乱させたくないんや。これは、ここだけの話にしてくれるか?」
「・・・・・・わかった」
 小林は頷いた陣内をちろりと見て、低く囁いた。
「俺は、これ以上誰かが傷付くことも、誰かが死ぬ事もイヤなんや」
 その意味が、陣内にはわからなかった。尋ねようとして、
「西野が大上を殺したという事に、俺はずっとひっかかるモンを感じてたんや」と小林は話を切り出した。
「もちろん、感情的に納得いかんというのもある。しかしな、それだけやないんや。
誰が見ても、大上を殺したんは、西野以外はありえへんという状況。俺は逆にそこにひっかかったんや。
……あまりにも、出来過ぎやとな」
「出来過ぎ?」
「そうや。周囲を断崖絶壁に囲まれた屋敷。カメラが設置された食堂を通らなけらば入る事の出来ない部屋。その部屋に揉め事を起こして二人きりで閉じ篭もる。
 舞台・道具・シチュエーション。全部がまるで、西野が犯人と示す為に、つくられてるようやとな。
 でな、こう仮定してみた。もし、大上殺しが衝動的なモンやなくて、極めて念入りに立てられた、計画的殺人だとしたら。
 そしてその罪を西野に着せる為に仕組まれたもんやとしたら、どうなるか。
 オレラの中に最初から、この企画を知っていて、この屋敷が舞台やと知ってて、そんでこの屋敷の立地や構造もよく知る者、Xがいたとしたら……」
 エックス、と小林の発音は良かった。
「や、やけど昨日拉致されるまで、オレラはこんな企画があることなんて知らなかったんやで?もちろん、この屋敷が現場になるなんて、知るはずもないし……」
「偶然聞いたか、スタッフに知り合いでもおったとか、この屋敷の持ち主と縁のあるとか
 ……色々考えられるやろうけど、俺は三番目の理由やと思う、それも、ただの知り合いやなくて、相当関わりの深いヤツやとな」
「なんでそう思うんや?」
「それは説明していくウチにわかるわ」
 小林は一息つくように、鞄から取り出したセビンスターの封を切った。
「や、やけど、計画的なモンや言うけど、アイツラが喧嘩して二人きりであの部屋に閉じ篭もる事なんて、予想できひんかった事やないか?」
「そこや」
「……・どこや?」
「予想やなくて、確定やったんや。Xは、昨日の夜、二人が揉め事起して、二人きりであの部屋に閉じ篭る事を前もって知っとった。
何故なら、あのケンカが芝居だったからや。Xによって指示されたな」
「し、芝居?」
「あれが二人で示し合わせた芝居やったと考えたら、怒りを煽るように、妙に大上に絡んでいった西野の態度も、キャラに合わん大上のキれ方にも説明つくやろ?」
 確かに不自然だった点はそれで解消されるかもしれない。しかし……。
「ちょ、ちょっと待て。なんで、大上と西野がそのXの言う事に従わなアカンのや?」
「他のメンバーを騙すドッキリ企画、とでも言われたんやないか?ガチンコみたいな感じで、てな。
大上の豹変が衝撃過ぎたんやろうけど、冷静に見とったら、二人とも、そないに演技は上手くないし、絡みの少ない相手っちゅう事もあるやろうけど、微妙にギクシャクしとったんやで。
あん時、俺はこれは二人の芝居なんやないかとピンときたんや。この部屋に閉じ篭って、なんか企んどるんやなとな。やけど、まぁ、いっちょ騙されてやろうかと思ってツッコミはせんかった」
 まさかあんな結果になるとは想像も出来ひんかったしな、と小林は顎髭を擦る。
「ちょっと待ってくれよ。そんなら、なんではよ言ってくれへんかったんや?あれは、芝居やったかもしれんて」
「言うてどうなる?あくまで俺のカンやったし、芝居やったから言うて、西野が大上を殺してへんっちゅう証明にもならへんやろ?部屋ん中で、ホンマの悶着があった末に…ちゅう可能性もある。現に、俺はずっとそう思ってたんやからな」
 その通りなのだろうが、陣内は小林にも騙されたようで、釈然としなかった。しかし、今はそんな事は問題じゃないと思考を切り替える。
 もし、大上と西野が、Xとやらに騙されて、芝居を打ってあの部屋に閉じ篭り、その末に大上は殺害され、西野はその罪を着せられたのならば。それでは、大上と西野は自ら罠に落ちていったようなものではないか。
 いや、しかし……。
「大上を殺した奴は、どうやってあの部屋に入ったんや?コバも食堂のビデオ見たやろ?誰も通ってなかったやないか」
「それなんやけどなぁ・・・・」
 小林は眉根に皺を寄せて言い淀んだ。その隙を見計らうようにコンコンとドアがノックされる。 
 応じて小林がドアを開けると、平井が盆を持って立っていた。
「コーヒー煎れたんで、良かったら……ちゅうても、煎れたんは小木で、僕は配ってるだけなんですけどね」
礼を言って、カップを受け取った小林は、
「増田は、まだお前の部屋におるんか?」と聞いた。
「あぁ、増田さんならもう自分の部屋に戻ってますよ。皆さんに迷惑かけて悪かった、って言うてましたわ」
 陣内は立ち話を始めた二人の会話をよそに、小林が言おうとした先を考えていた。
 家族部屋に大上と西野以外の者は入っていない。それを証明したのはビデオカメラの映像だった。それを見て陣内も西野が大上を殺したと納得せざるを得なかったのだ。
 あの映像にトリックでもない限り、食堂を通ったものはいない。
(そうか、あの映像がトリックやったとしたら……)
「それでですね、僕、今晩、寝る所がないんですよね。いくらなんでも、死体の側で寝る気にはならへんし」
 死体。その表現に、陣内は嫌悪をおぼえる。
 自分の相方を突然失ったのは、つい数時間前の事なのだ。それを「死体」などと言える神経が信じられない。
(そうや、コイツなら……)閃きが陣内の脳天を貫いた。
 平井なら、ニセモノの映像をつくる事が出来たのではないか。平井の鞄にはノートパソコンが入っていた。
 小林が言うように、最初からこの屋敷に精通していたなら、事前に無人の食堂を撮っておくことも出来たはずだ。その映像と、昨日、食堂を通った自分達の映像をパソコンで編集した。編集のアラは、早送りすれば判らなくなったろう。
「梶原君まだ眠ってるみたいなんですけど、夜中起きちゃった時に不安やと思うし、あの足じゃあ思うように動けへんと思うんですよ。やから、僕、キングコングの部屋で寝ようかと思うんですけど・・・」
「そうしてくれると、助かるわ」 
 この家の電話も平井が壊したのではないのか?外に連絡がとれないように。「自然に壊れた」などと平井は言っていたが、そんな偶然がそうそうあるはずもない。
(平井が大上を殺した)
 その結論に陣内は一片の疑いも抱かず、戸口に立っていた小林をぐいと押し退けた。
「陣内?」小林の声を無視し、ただならぬ陣内の形相に唖然としている平井の襟首を掴み、引き寄せる。拍子に平井が脇に抱えていた盆が床に落ち、くるくると回った。
「ど、どないしたんです?」
 平井独特のぼやけた声が、陣内の怒りを増幅させる。
「お前が・・・・・・」
 血に塗れた大上の凄惨な顔。身を切るような松口の叫び。憑かれたような眼差しで、繰り言を続ける梶原の姿。
 忘れたくても忘れようもない光景は、全て目の前のこの男がつくったのだ。行くあてなく腹の中でとぐろを巻いていた憎悪が、身体の外に一斉に這い出して行く。
 衝動に逆らわず、陣内が振り上げた拳を、小林が掴んだ。
「ちょっと待ててっ!いきなりどうしたんや!?」
「止めんなっ!」「落ち着けて!」
 小林に羽交い締めにされたまま、陣内は喚いた。
「わかったんや、コイツなんや!コイツが全部、仕組んだ事なんやっ!コイツがっ!」
 「大上を殺した」そう続けようとして、
「陣内っ!」悲鳴のような小林の叫びが上がった。その視線の先を見て、言葉は発音する前に口の中に落ちる。
 何時の間にか、隣の部屋の扉は開いていた。松口は、廊下の真ん中に立っていた。
「陣内、お前、何を言おうとしてたんや?」
「何でもないんや、松口。どうも、こいつなんか勘違いしてるみたいでな」
 軽い調子で言った小林を無視して、松口は陣内をねめつけた。その瞳にゆらゆらと揺れる鈍い光。
 騒ぎを聞きつけたのだろう、ドアの隙間から矢作が不安気にこちらを窺っている。
「「大上」って言ったやろ。今、お前、「大上」って言うたやろ?平井が、大上になんかしたんか?」
 陣内を捕まえようと伸びてきた松口の手に怯んで後じさる。
「お、俺はナンにも・・・・」
 おどおどと平井が声を上げた。陣内は、「ナニ言ってるねん、お前が大上を殺したんやろっ」と喉元まで出掛かった言葉を押し留めた。
 それを松口に告げれば、どうなるか。
 森の中で松口に感じた恐れ。「もし、目の前に西野が現れたら、松口は西野を殺すかもしれない」
 大上を殺したのが目の前の平井だとわかったら、松口は必ず復讐を果たそうとするだろう。
 いや、そもそも、平井がXかもしれない、というのも自分の想像だけで、なんの証拠もないのだ。
 
 大上殺しに真犯人がいるということも、小林の想像でしかないのに。何の証拠もないただの妄想だと、小林は言っていたではないか。だから、誰にも話すなと。  
 胸に燻っていた火に冷水を掛けられたようだった。自分の不用意な発言で、松口を人殺しにしたかもしれないのだ。「もう、誰も死んで欲しくない」。ようやく小林の言葉を理解する事が出来た。
「言うてないよ、俺、大上の名前なんて出してないで」
 努めて穏やかに陣内は言った。疑わしげに松口は陣内を見返す。
「お前も小林も、なんか隠してるやろ」
「なんも隠してへんて」
「ホンマやねん、なんでもないんや。スマンな、騒がせてもうて」 
 松口は尚も偽りを嗅ぎ取ろうと二人を凝視し続け、陣内はその視線を真正面から受け止めた。
 数分、経っただろうか。「そうか」と力を抜いた松口は、「もう、寝るわ」と踵を返した。
 沈黙が流れる。矢作が困惑したように陣内達を見回して、口を開いた。
「一体、何があったっていうんです?」


「……陣内、お前な」
 部屋に戻った小林は、開口一番そう言った。
 綻びだらけの小林の誤魔化しに、平井は疑問も挟まず、謝罪もしない陣内に抗議もしなかった。矢作は、不審げな表情を隠さなかったが、深く追求する事はなかった。疲れているのだろう。
 陣内はお白州に座る罪人のように、ただ項垂れた。小林は、ふうっと溜め息を吐いて、
「まぁ、俺も、西野以外の奴が犯人かもしれん、って事を、自分一人の胸に閉まっておけへんで、お前に話したんやからな」
 小林は「俺も同罪や」と呟いたが、「それも、そうやな」などと言った陣内に、「前言撤回や」と苦笑した。
「で、なんでお前は平井がヤったと思ったんや?」
 陣内は少しどもりながら平井犯人説に至った経緯を話した。黙って聞き終えた小林は、ポンと煙草の灰を落として、「それは無理やろ」と言った。
「なんでやねん」
「考えてもみろや。確かに誰もおらへん食堂を編集は出来たかもしれへんけど、あの映像には今日の朝、大上と西野を迎えに行った松口と梶原も映ってたんやぞ。
 あの短時間でそこまで編集することは出来ひんかったやろ」
「……オレラが裏庭に出てた時に、他の奴等の目を盗んでやる事は出来たんちゃうか?」
「もし、そんな早業が出来たとしてもや、食堂に設置してる他のカメラに細工してる姿が映ったら、元も子もないんやで。
 それに、そんな映像の細工なんぞ、オレラを欺く事は出来ても、警察が見たらすぐにわかる事やしな」
 その通りだ。どうして、そんな簡単な事に気付かなかったのか。揺るぎ無い真実のように思えたのにと陣内は愕然とする。
 精神を病んだ者は、己の論理に何の疑いを持たず、ひどく短絡的に結論を出すという。自分自身で思っているよりもずっと、陣内の精神は疲弊していた。
 もしかすると、小林は自分がそんな状態に陥る事を避ける為に、こうして陣内に自分の考えを話すのかもしれない。
「じゃあ、お前はどう考えてんねん。ビデオを細工する以外に、あの部屋に行く方法を俺は思いつけへん」  
 それやけどな、と小林はまた言って、間を持たせた。
「正直、お前の推理よりも突飛すぎてな、……笑えるかもしれんぞ」
「もったいぶるなや」
「この屋敷には隠し通路があるんやないか」
 小林は淀みなく一息で言った。
「か、隠し通路ぉ?」
「食堂を通らんでもあの部屋に行く事が出来た秘密の通路。…・・ミステリ小説で、こんな禁じ手がトリックやったら、抗議殺到やろうけどな」
「そ、その通路はどこにあるねん」
「知らん」
「…………おい」
「やから、最初にこれは俺の妄想や言うたやないか」
「なんやそれ……」
 期待外れの回答に陣内は引っくり返りそうになる。道理で言い難そうにしていたはずだ。
 『隠し通路』とは、また随分と飛躍したものだと呆れながら、陣内は、小林の発想が間違っていないと訴える自分の意識を感じていた。
(そうや、食堂を通らなくても、あの部屋に行く事は出来るはずなんや)
 何故そんな事を思うのだろう。知っているはずなのに、それが何かわからない。脳の片隅がむず痒ゆく、そこに手が届ないもどかしさ。
「地下室でもあるんやないかと、あの部屋の付近を調べて回ったんやけどな……。まぁ、もし本当にそんなモンがあれば、そうそう簡単に見付かるワケはないな」
(地下室?地下室やないんや、この屋敷にあるんは……)しかし、その先は出て来ない。
「Xがこの屋敷の持ち主と深い関係のあるヤツや思うたんはこれが理由や。
 通路の存在を知ってたとしても、計画が成功して持ち主が警察に事情聴取された時に、通路の存在を教えず、自分を庇うとわかってないと出来ひんことや。屋敷の持ち主なら、カメラがどこに配置されるのかも事前に聞いてたはずやしな」
 出ない答えに見切りを付けて、陣内は問うた。
「この屋敷にそんな通路があったとしてや、そしたらナニか、西野やのうても、この屋敷にいる全員が大上を殺す事が出来たいう事か」
「そういう事になるな」


 ライターの火が灯る。陣内はゆっくりと煙を吸った。それに合せて気持ちが少し静まった。
 格好先行で入った煙草の道、ウマイと思ったことはあまりない。ましてや、熱が下がりきってない今の陣内の喉には、微かな痛みすらもたらす。
「コバは誰が怪しいと思ってるんや?」
「お前は誰が怪しいと思う?」と逆に尋ねられた。
 頭の中の用紙に、この屋敷にいる全メンバーの名前が記される。
「誰が大上を殺したか」まず、松口が真っ先に消え、続いて相方に嫌疑をかけられた梶原、西野を消して、忘れてたと自分と小林を消した。死んだ柳原も違うやろと消し、そこでペンが止まる。
「アカン、全然わからん。大体、動機もなんもわからんし、検討もつかへんわ」
「ひとつだけ、Xを絞り込む方法がある」と小林はようやく冷え切ったコーヒーに口をつけた。
「大上のケイタイが消えたことは言うたな?大上のケツポケットからケイタイを抜き取ったんが、Xやとしたら?」
「……Xはなんでそんなモンを持って行ったんや?」
「ケイタイは何の為に使う?」
「まずは、電話やろ。あとはメール、写真や動画……・」
 日進月歩の携帯電話の機能は、他にも山ほどあるのだろうが、陣内は基本的な機能だけ挙げた。
「で、ケイタイの便利で厄介なところはや、着信記録やメールや写真が消去せんとそのまま、ずっと残るいうことや」
「データーを消したかったから、大上のケイタイをパクッた言うんか?そこまではわかったわ。
 やけど、そこからどうして容疑者を絞る事に繋がるんや?……あっ、そうか、Xは大上のケイタイを持っとるヤツって事かっ!」
身を乗り出した陣内に、手を振り否定する。
「いや、恐らくもう処分してしもうたやろ」

 


「それならナンやねん」陣内は憮然とした表情で座り直した。
 小林は、「例えばや」と人差指を立てた。
「白ブリーフ一丁で競歩の練習をする陣内の姿を俺のケイタイで撮ったとする」
「そんな事せぇへんわっ!」
「例えばや言うとるやろ。お前はそれを他のヤツに見られたくない。ある日、俺はそのケイタイを楽屋の棚に置いて帰ってもうた。お前は、それを見付けた。さて、どうする?」
 心理テストのような問いかけに、陣内は即答する。
「割る」「それ以外で」「水に沈める」「なんで破壊する事しか思いつかへんねん」
「ゴミに出す」「おい、俺のケイタイなんやぞ!」
「勝手に操作して消去する……あっ」
 陣内は思わず声を洩らしてした。
「そうや、消してしまえばエエねん。それなのに、ソイツはそれをせずに現場から持っていってもうた。わざわざ証拠を手元に残すようなマネをな」
「なんでや、なんでそんな事をしたんや?」
「使い方がわからへんかったんやろうな」小林はあっさり言った。
「ケイタイのメーカーが違ったら、使い方もちゃうし、消したいんが写真やったら、写真付きのケイタイを持ってないヤツは、消し方もようワカラヘンやろうしな」
 陣内は、ある後輩芸人のワンエピソードを思い出した。
『電車の中でヤンキーの子に、ケイタイで勝手に写真撮られましてね、消すようにいったんですよ。相手は渋々消したみたいなんですけど、信じられなくて、「ホンマに消したんか?」って聞いたら、「消したわ、見ろや」ってケイタイを渡されて…。
でも俺、使い方、知らんし、「おう、消したみたいやな」って返したんですけどね……』
「相手に気兼ねせぇへんで、データを消すだけやったら、お前が言うた通り、壊すなり、水につけるなりすれば良かったんや。おあつらえ向きに、ちょっと庭に出れば海もあったしな。
やけど、それは出来ひんかったんや。何故なら大上のケイタイは……」
「『完全防水、象が踏んでも壊れない』、か」
 最新機種の売り文句が陣内の口をついて出た。
「そうや。海に沈めたとしても、発見された時に、見られたくないデータが残る。壊す事も出来ひんし、その場から持ち去るしかなかったんやろうな。」
「おい、そんなら、やっぱり俺が言うた通り、まだまだXは大上のケイタイを持ってるんちゃうんか?」
「持ってったんが今日の早朝やったとしても、半日以上の時間が経ってるんやで?そんだけ時間があったら、消去する事ぐらい出来るようになるやろ。今頃、海の藻屑やと思うで」
「そんなら、結局Xを絞る事なんて出来ひんやないか」
「お前は何を聞いとったんや。Xは大上のケイタイの使い方を知らんかったや。逆に言えば、使い方を知ってるヤツはXじゃないって事や」
 なるほど、と納得して同時に小林が言わんとすることを悟る。 
「平井は、Xじゃないって事か……」
 平井は大上のケイタイと同じものを持っていた。
(平井や、ないんか・・・・・・)
 少なからぬ衝撃を受ける。それなら、平井を見る度に感じるあの胸のざわめきは一体なんだというのだ。自分の思い込みでしかないのか。
「で、X候補者はどんだけ残った?」
 小林の問い掛けに物思いからかえった陣内は、矢作、小木、増田。三人の名前を挙げる。
「柳原の名前はなんで消したんや?」 
「え?せやけど、柳原は死んでもうたし……」
「それは、大上を殺してない理由にはならんぞ」
「どういうことや?」
「こんな風にも考えられる。Xによってどっかに監禁されとった西野が、そこから逃げ出して、自分達を陥れた人物に復讐した……」
「……柳原がXっちゅうことか?」
「そういう可能性もあるいう話や。柳原を殺したとしたのが西野やとしたら、追い掛けられたからいうて、簡単に殺してしまういうことはないと思うしな」
 柳原がまさか、口に出さなかったのは、他の三人の誰がXだと仮定しても信ることが出来なかったからだ。
 深い親交があるわけではないし、人柄を良く知るわけでもない。
 しかし、誰もが、人を殺し、その罪を他人に着せ、自分は平然と出来るような非道な人間にはとても思えなかった。彼等をこんな風に疑わねばならぬ事が辛い。
 立ち上がった小林は、銜え煙草のまま目を細めた。



 

                                  *

「小木なら食堂行く言うて出ていったきり、戻ってませんけど?」
 矢作は少し横になっていたようで、目を瞬かせながらそう言った。気付けばもう11時を過ぎている。
 今日一日色々な事がありすぎた。何も考えず眠ってしまいたいのは陣内も同じだ。
 小木が戻ったら、話があると伝えてくれと頼んで、隣の増田の部屋をノックをした。応答はない。ノブを回すと鍵がかかっていた。
 もう一度ドアを叩くと「ちょっと待っといてくれ」と微かな声が返り、タオルを首にかけた増田が顔を出した。髪から滴が垂れている。
「スマン、ちょっと顔洗ってたんや」
 と鼻を啜りながら増田は言った。今までずっと泣き伏していたのだろう、白の部分がない程に、真っ赤に充血した目は、まだ潤んでいる。増田は二人を部屋に招きながらら、
「で、何の用や?」
「柳原が殺された時の事なんやけどな……」
 増田の動きが止まった。陣内は増田がまた心を飛ばさないように増田に視線を合せ、  
「思い出したくないやろうけど、頼む、どんな状況やったんか教えてくれへんか。オレラには西野が柳原を殺したなんてどうしても思えへんのや。
 柳原に見付かった西野が一体、どんな様子やったか……」
「出来ひん」
 遮るように増田は言った。言い募ろうとした陣内に、
「…出来ひんねん、俺は、西野を見てへんから」
「見てへんって、どういう事や?」
「そのまんまの意味や。西野達を捜しに三人で森に入った後、俺は、二人とはぐれてしもうたんや」
「なんやと?」
「ヤナギと小木は突然いなくなってもうたんや。一人取り残された俺は、焦って二人の名を呼びながら森をさ迷った。しばらくして、小木の俺の名を呼ぶ声が聞こえて……声のした方に行ったら、ヤナギが、倒れとって……」
 光景が蘇ったのか、増田は耐え兼ねたようにタオルで顔を覆った。
「俺はヤナギが西野を追い掛けて行った事も小木に聞くまで知らんかったし、西野の姿も見てへんねん。やから、そん時の様子とか説明する事は出来ひんのや」
「そうやったんか……辛い事、思い出させてもて、スマンかったな」
 陣内は部屋を出ようと振り返る。小林は呆けたような顔で、立ち尽くしている。
 
「行くで」と腕を引っ張ると、ハッと顔を上げ、増田に向き直った。
「もう一つ聞きたいんやけどな、昨日の夜、部屋に戻った後で、なんか気付いた事はないか?声が聞こえたとか、物音がしたとか……」
 何言ってんねん、陣内が言おうとすると、「そういえば……」と増田は眉根を寄せた。
「夜中……たぶん、二時頃やったかな?寝掛けとったら、ガタゴトって物を倒すみたいな音が聞こえたんや。
夕食ん時、なんやこの屋敷にはなんかがおるとか言われて、ビビってたからな、すぐに布団引っ被って寝直したんやけど…・」 
「その音がどこらへんから聞こえたかわかるか?」
「向こうからや。壁の向こう、陳列室の方からやな」
816にろはち ◆jM/TIxxEd. :02/11/20 23:47
 遅くなってすみません。
 第七章、まだ続くのですがちょっともう逝かなくてはなりません…。
 明日また来ます。ほんとにごめんなさい。
乙です。>にろはちさん
松竹勢の雲行きの怪しさが気になって仕方ない&コバがこの上なく格好良いです。
明日も楽しみにしています。
やたー!!にろはちさん小説だー!!
乙ですー。明日もよろすくですー。
819age:02/11/21 17:34
age
820孤島のオニファン:02/11/21 18:02
age
あげま〜す。
822名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/21 21:40
わーい!にろはちさん登場だぁ。楽しみ楽しみ(^_^)v
孤島のオニの続きが気になる!
ところで今どれくらいの書き手さんが、ここには
存在してるんでしょうか?一時期減ってまたちょっとづつ
増えてきてますよね?違うのかな??
823名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/21 23:05
にろはちさん(・∀・)イイ!
今日も続きうpしに来てくださるのだろうか。楽しみだ。
ちなみにワラウンジャー、一人で書いてます。
誰か参加してくれよー
オチ考えてないんだよー
ここ最近動きのあった小説

孤島の鬼【書き手:にろはちさん】〔現在進行中〕
B級作品〔完結済〕
お笑い戦隊ワラウンジャー【書き手:現在一人。随時募集中】〔現在進行中〕
☆(キンコン西野話)〔完結済〕
短い話〔現在進行中〕

書き手が現れれば復活?
推理小説
RPG
「梶、俺地球を守るワラウンジャーやねん!」
西野のその言葉を聞いた瞬間、梶原は咥えていた煙草を床に落とした。
「新しいネタ?」
「ちゃうって、ほんまに俺は地球を守らなあかんねん。」
西野の目は真剣な眼差しだった。
本当に自分は『ワラウンジャー』なる、ダサい名称の地球を守るらしい戦士
なのだと思い込んでいるようであった。
梶原は、何か言いかけた口をつぐみ、複雑な心境を押し隠すように笑顔をみせ、
おどけた調子でなおも真剣な顔の相方の肩を叩いた。
「そうなんや、俺に出来ることあったらいうてや、協力するから。」
最近忙しかったもんな、仕事増えたし。厳しい意見もあるし、
俺みたいに弱音はけへんけど、こいつも無理しとったんかもしれんなぁ。
「おお、ありがとな。あ、心配すんなや?仕事は仕事でちゃんとするから。」
ふと出てしまった心配そうな表情を、西野はとてもポジティブに受け止めた。
疲れてんねや。今は俺がしっかりせな。
「西野・・・二人で、頑張ろうな。」
西野の手を取る梶原の目にはうっすらと涙が溜まってた。
「菅さん、西野のヤツ、最近変なことしてませんでしたか?」
「いっつも変やん。」
菅は読んでいる漫画から目を離さずに答えた。
「それはそうですけど、ネタとかじゃなく変わったこと言い出したり・・。」
「俺は何とかレンジャーやとか言ってた。」
梶原の話題に興味のなさそうに菓子の袋に手を伸ばす。
「それです!それで、菅さんは西野になんか言いましたか?」
「俺よりも宇治原のほうが精神学詳しいと思う、って言っといた。」
「それ聞いて、西野は?」
「本当や本当や、喚いてた。疲れてるんちゃうん?」
「そうみたいなんです。仕事には支障ないんですけど・・。」
「やったらええやん。心配やったら病院連れてったり。
鬱なるのとか、今はそんな珍しいことやないから。」
「鬱、ですか。本人は本気みたいやし・・どうしたらええねやろ。」
「そっとしといたり、下手に刺激したら余計悪なるから。」
真剣に考え込む梶原を横目に、菅は相変わらず面倒くさそうに漫画のページをめくった。


頑張れワラウンジャー!戦えワラウンジャー!
例え周囲の信用をなくそうとも!
>>815の続き

 ますだおかだの部屋を退出した小林は、もう帰ってるやろ、と再びおぎやはぎの部屋を訪ねようとした陣内の肩を掴み、「部屋に戻るぞ」と言った。
 ベッドに腰を降ろした陣内は、
「最後に増田に聞いてたんはなんやったんや?物音がどうとか言っとったけど」
「考えたい事がある。ちょっと、黙っといてくれ」
 昂ぶりを抑えているような、小林の低く掠れた声に、口を噤んだ。
(なんか、手掛かりを掴んだんか?)
 大人しく小林の言に従い、陣内は心の中で問う。
 増田の話の中で何か気にかかることでもあったのだろうか。
 西野の姿を見ていなかったという増田の話は、結局、何の参考にもならなかった、はずである。
 それとも、最後の質問が重要な事柄なのだろうか。夜中の二時ごろに、陳列室から聞こえてきた物音。
 陣内達の部屋も陳列室に面しているのだが、そんな物音には気付きもしなかった。深夜一時近くに眠りに落ちてから、一度も目覚める事はなかったのだ。
 陣内は、全く手を付けていなかったコーヒーに口をつけようとして、
「なんで、こんな簡単な事に気付かへんかったんや」 
 小林は拳で己の額を叩いていた。
「なんかわかったんか?」
「いいから着いて来い」と部屋を出て行く小林に慌てて追従する。
 行き先を問う前に小林は立ち止まった。
 西館・最奥の部屋、陳列室の扉を開けた小林は、陣内を引き入れて、すぐに閉めた。
 横に長い部屋には、子供の背丈程もある壷がひとつ、複製画らしき数枚の絵が壁に掛かっているが、後は机や椅子、ダンボールケース、大・中・小と高さの異なる棚が無造作に置かれている。
 増田の言っていた通り、この部屋は陳列室とは名ばかりで、単なる物置として使用されているようだ。
 小林は「これは、時間かかりそうやな……」と言って、おもむろに椅子を持ち上げ、呆気に取られている陣内を振り返り、
「ボケっと突っ立てへんで、オマエも探せ」
「探すてナニをや?」

「決まっとるやろ、秘密の通路や」
「なんや、この部屋にあるんか!?」
「……たぶんな」
 自信なさげな小林に、根拠を問おうと口を開く前に、
「西野は柳原を殺してないわ。柳原を殺した奴は、大上を殺した奴と同一人物やと思う」
 と小林は更に意表を突く事を、しかし今度ははっきりと言った。
「ホ、ホンマか!?」
「やから、全部、想像や言うてるやないか……そこの棚をこっちに運んでくれるか?こっち半分のモンを寄せて、空いた床を調べるから」
「あ、ああ」
 陣内は差された棚を抱えて、
「なんでや?なんで西野やなくて、Xの仕業やと思うんや?」
「今日の朝、食堂に集まった時に柳原の様子がおかしかったやろ」
「ああ、なんか考えごとしてたとか言っとったけど……」
「柳原のヤツ、完全に固まっとった。何かに気付いて衝撃を受けたんやろ。
 そのキッカケが俺達の話の中になんかあったはずやねん。あん時、俺達は何を話してたか覚えてるか?」
 あの時は・・・・・・そうだ、試合を知らせるベルが鳴り響いていた。
 そこから、ベルを止められないかという話になり、平井がその為にはニッパーがいるとか言って。
 それなら陳列室にあるわと言ったのは増田。彼は陳列室とは名ばかりの有り様を説明し…・・。
「柳原は、何かあん時、Xに都合の悪い事に気付いてもうたんやないか。だから、殺されてもうた。
 で、俺は柳原が知ってしもうた何かは、陳列室に繋がることやとふんだ」
「偶然、この部屋の秘密の通路を見付けてもうたとかか?」
 小林は床に這いつくばって、板の継ぎ目を調べながら、
「入り口がたまたま見付かるような場所にあったら、オレラの苦労はないやろ。
 俺は、もっと直接的に、Xが通路を使うんを見たと考えたんやけどな」
 好奇心に駆られて、陳列室のドアをそっと開ける柳原。
 中から洩れる光に思わず中を覗くと、一人の男が立ち入り禁止の部屋の中にいて……。
 何をしてるんやと首を傾げながらも、大事ではないと忘れていたが、大上の死と「陳列室」というキーワードでその光景を思い出す……。
 そして、一つの解答を導き出してしまった……。
「まあ、何に気付いたかまでは、正確にはワカランけど、この陳列室にはなんかあるんやないかと思う。
 物置き程度の部屋なら、立ち入り禁止にしたんもようわからんしな。
 それで、隣り部屋の増田なら、なんか気付いた事もあるんやないかと聞いてみたら、ドンピシャやったいうワケや。
 俺は前の日、ほとんど寝てへんで、爆睡してもうてたから、物音に気付く事は出来ひんかったけど、
 (「俺もや」と陣内が言った)増田が聞いた物音は、Xが通路を使う時に、うっかり立ててもた音やないかと想像してみた……んやけどなぁ」
 床の板を全て点検し終えた小林は、溜め息をついて、短髪を撫で上げた。
「それらしいモンはないみたいやな」
 それは、そうだろう。何故なら、
「この屋敷には地下室なんてないで」
 陣内は心の声を思わず口に出してしまった。
「秘密の通路なんてモンはないっちゅう事か?」
「いや、それはある……はずや」
「一体、何がある言うねん?」
 少し苛立ちを含んだ小林の問いかけに、陣内は目を逸らし、「いや、それは……」と口篭もった。
 自分でも、自分が何を知っているのかわからないのだ。
(なんや、なにがあるっちゅうねん!教えろや、オレ!!)脅すように自問する。
 ふいに、愛らしい、少女の微笑みがひらめいた。
 「かくれんぼ、しようか?」舌足らずな声。駆け出した小さな後ろ姿。
 鬼に見付からない為に、少女が向かった先は、西館の一番奥にある階段……。
「おい、陣内?」
 小林は、突然黙り込んだ陣内の顔を覗き込んだ。
「そう、か。この部屋は、昔は……」
 我知らず陣内は呟いていた。
 壁と同じくアイボリーの天井を見上げる。
 陣内は手近の机によじ登り、唖然としている小林を見下ろした。
「コバ、天井や!天井を調べるんやっ!この上には……」

 
 ちょうど東館のL字の角に差し掛かった所で陣内は息をついた。
 食堂を通らなくてもあの部屋に行ける「秘密の通路」はやはり存在していた。 
 継ぎ目のない天井を、手当たり次第に押したりひいたりずらしたりの末、中央付近の一角が、ギギッと上がり、入り口は出現した。
「陣内、お前なんで屋根裏に通路があることを知ってたんや?」
 まさか、「夢で見た」とも言えずに陣内は「カンや」と答えた。
 正方形で、小林だと少しつかえた程度の広さの入り口を発見した喜びがあるはずもなく、二人は身構えながら、無言で屋根裏の通路を、懐中電灯の明かりを頼りに進んだ。
 行き止まり、東館の最北の壁の近くに、取っ手があった。引いてみると、眼下には家族部屋が広がり、すぐ真下にみっちりと隙間無く本で埋められた段違いの書棚があった。
 ちょうど階段状に配置された家具に、「よう出来とるわ」と小林は天井に届きそうな作り付けの書棚を踏んだ。最後に大理石のテーブルをつたって床に降りた。
 陳列室が物置のように雑然と物が置かれていたのも、階段になる高さの違う三つの棚が、部屋の中で不自然に映らないようにする為だろうと小林は言った。
 陣内はごくりと唾を呑み込んだ。
「これで、西野以外の人間でも大上を殺害出来たことが証明できたワケやな……」
 もし小林が推理小説の探偵ならば、こんな風に自分の推理が立証出来たシーンでは、ニヤリと口の端を持ち上げ笑った事だろう。しかし、小林は、ひどく苦げな顔をしていた。
「なあ、コバ」
「なんや?」
「さっきお前、柳原を殺したんはXや言うてたやろ?やけど、それなら、西野はどうなるんや?
 なんで柳原から逃げてもうたり、倒れた柳原を助けもせぇへんかったんやろう……」
 大体、西野はどこにいるのか。今だ森の中を逃げ回っているのだろうか。
 もしそうであるのならば、最盛期であった夕方よりも落ち着いてきたとはいえ、嵐の脅威は過ぎ去っていないし、その上、暗闇と凍える程の寒さの中、西野は無事でいるのだろうか。
 小林は、大上の眠るベッドに目をやって、「出るか」と言って食堂の扉を開けた。
 小林は陣内の向かいに座った。眉間を親指で押さえて俯いた小林は、しばらく口を開かなかった。
「俺は、例え西野が殺人者やったとしても、生きとって欲しいと思った」
 唐突に小林はそう言った。
「その想いが、ひどく簡単な事を見落とさせてしまったたんや」
「どういう、意味や?」
「この屋敷を舞台にXがつくった脚本はこうや。
 言い争いからケンカになって、部屋に閉じ篭る二人。
 そして、口論の末にカッとなった西野が大上を殴り殺してしまった」
 相槌を打つように、陣内は頷いた。
「そして、ラストシーンはこうや。
 大上を殺した西野は、その罪の重さに耐えられず、崖から身を投げて自殺した。
 花畑に残る崖に向かって伸びる足跡までつくってな」
「ちょっと、いいか、気になってたんやけど、それはどんなトリックやったんやろう?」
「誰かが言っとったけど、一度つけた足跡を後ろ歩きに正確になぞれば足跡はつくれる。
 例え、それがつくれたとしても、部屋から消失でもせん限り、崖の向こう以外に西野の行く先を想像する事はできひんかった。
 やけど、あの通路の存在があれば、足跡だけつけて、部屋から脱出する事も出来たんや」
 小林は、ふと宙に目をやった。
「そして、芝居は全て成功したんや。
 俺もお前も……X以外の誰もが、その脚本を真実だと信じた。
 大上を殺した西野が自らの命を絶ったんやとな」
「そうやな……」
 陣内は少し俯いた。
「なのに、西野は生きていたという。なんでや?ここまで綿密に計画を立てていたXが、
 西野を監禁していたとして、どうしてそんなヘマを犯す?そして、監禁していた理由はなんや?
 監禁する意味はないけど、生きてたと俺達に信じ込ませる事で、得をすることはあった」
(信じ込ませる?信じ込ませるてどういうことや?だって西野は……)
 小林は唇を噛んで拳を握った。
「大上だけやなく、柳原を殺した犯人に仕立たてるんや。
 そうやなければ、せっかく「西野自殺」で完成していた脚本をわざわざ捨てる理由があらへん」
「そんな……」
「さっきも言った通り、今日の朝、柳原は知ってはならん事を知ってもうた。
 島を出る前に、殺してしまわなくてはならん。また西野がやった事だと信じさせればよい。Xはそう考えた。
 やけど、前もって練り込んだ脚本やない。急ごしらえでつくった脚本や。やから、当然、アラは出てくる。
 
 芝居を演じる役者が本人一人しかおらへんから、西野を目撃した人間が一人しかいない不自然さとかな」
 それは、どういう意味だと陣内は聞こうとするが、声が出なかった。
 小林は、ふっと一瞬、顔を伏せた。
「結論を言う。西野はもう、生きてはいない。
 恐らく、あの部屋に入ってすぐに、殺されたんやと思う。Xの手にかかってな。
 自殺したと思わせた人間を、生かしている必要性などない。その逆や。Xにとっては、死ぬ必要性しかない人間や。
 柳原の殺害は緊急手段みたいなもんや。夜の時点で、西野は生きていてはアカン人間やった」
「でも、西野は……」
 陣内は、抵抗するように言った。
「お前は西野を見たんか?」
「見てへんけど……やけど、柳原は西野を追い掛けて行ったいうて……」
「それをオレラに教えたんは誰や」
 小林は陣内の目を見据えて言った。
「小木や」
「西野が屋敷の中を覗いてる姿を見た言うたんは?」
「……小木や」
「西野を見た言うてるヤツは、小木しかおらへんのや」
 ……陣内、俺が言うてる意味がわかるな」
 「ああ」と頷きとも嘆きの声ともとれる溜め息のような音が陣内の口から零れた。
 小林は、とうとうその一言を告げた。

「そうや。小木が、Xなんや」
 
 小林の声は、今にも泣き出しそうに低く震えていた。
834にろはち ◆jM/TIxxEd. :02/11/22 03:54
以上で7章終了です。明日、ではなかったですね…すみません。

前の章から3週間もあいてしまい、
それにも関わらずお待ち下さった皆様、ありがとうございます。
7章、2章分のボリュームになっちゃって、こんな事なら分けりゃ良かったと…。


新しい小説がたくさんうpされてるみたいで、嬉しいです。今から読ませて頂きます(w




孤島のオニ、おもろすぎ。
完結楽しみに待っております。>にちはろ氏
はわわわー、すごいよ「孤島のオニ」!!
もうすぐ終わるのかな?ちょと寂しいかも。。。
本当に面白い!お疲れ様です、にろはちさんー。
837名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/22 11:54
・・・うそーん・・・。

この一言しか出てきません。
でも、そういえば・・・なんですよね。
まさかおぎやはぎがこんな形でスポット浴びるなんてねえ・・・
(何か文が変だ・・・)。
838名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/22 18:16
やっぱりおぎさんが犯人なんですか??
お疲れ様です♪
毎回楽しみにしております!!!
次の章も頑張って下さい!!
839B級作品:02/11/22 18:30
ガン!!
どさっ・・

ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・
床に真っ赤な血溜りができる
「あっ、ああ、あぁーーー〜〜!!!」
ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・
「どうしょう、どうしょう、どうしょう」

一時間前、田村 裕(23)は先輩である藤本 敏史(32)と会話
していた。
「藤本さん、マジで教えてくださいよ」
「アカン、アカン、絶対教えへんから。特にお前には死んでも教えへん」
「なんでですの〜」
最近、藤本の肌がきれいになったと聞きつけ肌に悩みを持つ田村は
その方法を聞こうと藤本につめよっていた。
「同じ悩みを持つ仲間やないですか」
その田村の言葉に藤本の眉がピクっと動き
「仲間ぁーー、俺とお前を一緒にすんな!座れ」という言葉から
始まり、藤本の田村をののしる言葉は延々50分近く続いている。
《そこまで言わなくてもええやないですか》言いたくても
藤本の剣幕に言葉が出ない。頭痛がする・・・
「お前なんて○○○(ピー)じゃ」
《○○○(ピー)?》
プチッ・・田村の中で何かが弾けた―――
「うっさいんじゃ!○○○(ピー)ちゃうわ!!!!」
田村は近くにあった灰皿で藤本の頭を何度も殴りつけたのだった・・

840B級作品:02/11/22 18:31
トゥルルルル・・トゥルルルル・・ガチャ
「・・はい」
いつも低い声がいつも以上に低く感じる。まぁ、そうだろう
俺かって相方の電話に声張ることないし、こいつの場合なおさらそうだろう。
「俺やけど・・」
「何?」
「ちょお大変やねん、今すぐ来てくれ!もぉ俺どうしていいか、わからへん」

20分後、相方 川島 明(23)が田村のもとを訪れる。
「何見ても驚かんといてくれ」
田村は川島に藤本の死体を見せる。
川島は微動だにせず、ただ冷ややかな目で藤本の死体を一瞥した後
「お前がやったん?」と問い、田村が頷くと「ふーん」と興味がなさそうに
つぶやいた。「どうしょう・・」と田村が言うと
「埋める?」と面倒くさそうに川島は言った。

田村裕は某山でひたすら穴を掘っていた。
《何でこんな事なってん・・》
ハァ、ハァ、ハァ、自分が殺した先輩を埋める穴を掘る――気が狂いそうだ。
川島は何してるんやろ・・と振り返ると、川島は藤本の死体で腹話術をして
遊んでいる。
ゾッと冷たいものが田村の背中を走りぬける。
パン!と頬を叩き気合を入れ、また黙々と穴を掘り出した。
841B級作品:02/11/22 18:35
「もぉ、ええやろ・・・。川島、藤本さん穴に運ぶの手伝って」
「そんなん二人がかりでせんでも、こうしたらええねん」と言うと
川島はケタケタ笑いながら藤本の死体を穴までコロコロと転がす。
田村は川島の「すごい寝返りや・・」という言葉を無視して
硬く冷たくなった藤本を埋めた。


842B級作品:02/11/22 18:36
すべてを終えた田村は奇妙な爽快感に襲われていた。
その時だった。「でっかい借りやで、くすくす、お前一生俺に、はむかえ
へんで。そりゃ、そうやんな。だってお前は人、しかも先輩殺してん
からなぁ。俺が警察に喋ったら、どうなるんやろなぁ」
川島は妖艶な笑顔を見せる。
「川島、お前・・」
「だって田村、○○○(ピー)やん」
田村はさっき藤本を埋めるために使った大きなスコップを強く握った。
ハァ、ハァ・・・
川島が後ろを向いた。
田村はスコップを大きく振り上げる。
そして川島の頭めがけて・・振り下ろした。
しかし無常にもスコップは空を切って地面に突き刺さる。

カチャっ

後頭部に硬いナニカがあたる。
「田村、俺に勝てると思ってんの?」
川島の低い声が静かに響く。
銃口はピタリと田村に向けられていた。
《あかん・・こいつには勝てない。アガナエナイ・・・》
静かに夜はふけていった――――

   ☆END☆


843名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/22 23:24
孤島のオニ、いよいよ終盤にさしかかってきましたね!
次の章あたりでだんだんと真髄が明らかになるのでしょうか。
楽しみにしてるので頑張ってくださいね<にろはち氏
844名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/24 10:00
age
845   :02/11/24 13:05
あげ
846名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/25 06:57
age
847短い話:02/11/25 21:53
気がついたら病室のベッドの上だった。ベッドの横に西野がいた。
西野が心配そうに、
「お前大丈夫か?調子悪いんやったらはよ言えや」
俺は盲腸で倒れたらしい。しかも西野の話によると俺はもう盲腸切り取った後らしい。
「ニ週間後には退院できるみたいやで」
「二週間?!?それまで仕事どないすんねん?!」
西野がゆっくりと答えた。
「お前が退院するまでは何とか俺一人で頑張るからお前ははよ治すことだけ考えや」
本当に申し訳なかった。この前、靭帯を痛めたときも西野が一人で頑張ってくれた。あの時は本当に西野には言葉にできないくらい迷惑をかけた。
なのにまた西野に迷惑を掛けるのかと思うと本当に申し訳ない気分だ。
でも、本当は仕事しないですむのだと思うとホっとしていた。
それから西野が着替えなどを持ってきてくれた。それで面会時間も終了し西野は帰って行った。
仕事のことなんか考えないでゆっくり眠るのは久しぶりだ。明日も明後日もこれから二週間も仕事をしないですむのだと思うと嬉しくてたまらなかった。
その日は色々あったので目を閉じるとすぐに眠れた。夢さえも見なかった。
848短い話:02/11/25 21:56
次の日、、、

俺が起きたのは11時。こんなにも寝坊をできたのは本当に久しぶりだ。
でもすることが何にもないことに今やっと気づいた。一面真っ白いものでうめつくされテレビも無くそばには花だけが置かれている。
俺はこの病室がとても気に入らない、直感でそう思った。とりあえずどこかに行こう、そう思ってドアを開けた瞬間、俺の病室の外にはたくさんの人がいた。そして俺を見つけて、
「あつ、でてきたで。」
「あーやっぱり入院しとるってほんまやったんや。」
「盲腸大丈夫ですか?」
入院しているのに…。まさに動物園のパンダ状態だ。
俺は嫌気がさして少し愛想笑いをしてからまた自分の病室に戻った。
それからしばらくして病室の外が静かになった。
俺は今しかないと思い外にでた。
とりあえずご近所さんの名前だけは覚えておこうと思い隣の病室の表札を見た。右隣が「日下部千晶」左隣が「長谷川和俊」それから、病院内を歩き回ってなんかおもしろそうなことを探した。
看護婦さんに見つかるとまた病室に逆戻りさせられるので俺は看護婦さんの目を盗んで病院内を探検した。
その時、ピアノの音が少し聞こえたので何ごとかと思いその音のするところへ行ってみた。
4階の小児科だ。そこには華奢な14,5くらいの少女がいてピアノを弾いていた。
格好からして結構長い間入院しているように見えた。少女のまわりには幼い子どもたちがたくさんいて子どもたちはその少女の演奏を聞いていた。
近くに行くと、少女が俺に気がついた。
「ごめんなさい。うるさかったですか?」
「いや、そんなんちゃうよ。ピアノ上手いなぁ思って。」
少女は嬉しそうに微笑んで小さな声でありがとうといった。
少女は子どもたちから「ちいちゃん」と呼ばれていたので俺も「ちいちゃん」と呼ぶことにした。
849短い話:02/11/25 21:57
ちいちゃんは子どもたちの人気者だった。いや子どもたちだけではなく、ほかの患者さんからもちいちゃんは人気者だった。
だから、小児科におかれているピアノは「ちいちゃんのピアノ」とまで言われていた。
ちいちゃんはピアノを弾くのがよほど好きなのかいつもピアノを弾いていた。
そしてちいちゃんがピアノを弾くとそこらへんで遊んでいる子どもはみんなピアノのまわりに行ってそれを聞いていた。俺もその中の一人だった。
今まで仕事のことで頭がいっぱいで最近では、こんなにゆっくりしたことはなかった。
俺は久しぶりにすっきりした気持ちになっていた。
それから俺は看護婦さんに見つかり自分の病室へ帰った。今になって気づいたことだが、隣の部屋の「日下部千晶」とはちいちゃんのことだった。
それから、病室でなにもすることがない俺にとって、小児科の子どもとちいちゃんは俺の良い話し相手になってくれた。
それからちいちゃんには病室が隣ということもあり、色々話を聞いてもらっていた。
ちいちゃんは聞き上手だ。いつもニコニコ笑って俺の話を聞いてくれた。
俺に妹がいればこんな感じなのかなと思った。
ちいちゃんはいつもいつもピアノを弾く。だけど弾く曲はなぜか悲しそうな(俺が勝手にそう思うのか?)曲が多い。
でも俺はそんな曲が好きだった。仕事で疲れたはずの俺の心も癒してくれる。
それにちいちゃんは俺がテレビに出たりするような有名人だからといってチヤホヤしない。一人の人として接してくれる。それが何より嬉しかった。
ちいちゃんには不思議な力があった。西野にも言えなかった仕事の悩みもちいちゃんには話していた。
「俺、もう仕事しーたないねん。」
「なんでですか?」
「なんか疲れてん。たまにボーっとしてると死にたいって思うときもあるし。」
「死んだらダメです!!!!!」
急にちいちゃんがムキになって俺に言った。いつもは穏やかなちいちゃんがこんなに怒るなんて、俺はビックリしていた。
「……死んだら全部終わりやないですか…。」
ちいちゃんの目に涙がたまっているのに気づいた。
そもそも盲腸で入院している俺が死ねるとは思えないがふとした一言でこんなにも人を傷つけるものなのかと思った。
その後、ちいちゃんは無言でその場から立ち去った。
850名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/26 20:59
age
851名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/27 17:59
age
おーいおーいにろはちたーん
焦るな、焦るな。
お楽しみはとっといたほうが良いのさ。
854名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/28 21:30
age
855名無しさん@からあげ食いたい:02/11/29 15:24
おーいおーいにろはちたーん


856名無しさん@お腹いっぱい。:02/11/29 21:43
がんばれにちはろたん〜。
857にろはち ◆jM/TIxxEd. :02/11/30 21:23
来ますた。

>>835-838>>843>>856
ありがとうございます。
正直、第六章から随分あいてしまってい、
待って頂けるか不安だったので読んで頂けてとても嬉しいです。


ただ今、第八章製作中です。
今回はいつもより早くうp出来そうでちょっと一安心です。
ラストスパートなんで一気にいけるといいなと思いつつ…。

858 :02/11/30 21:39
>857
7章で大展開だったんで、次楽しみにしてますね。

最近書き手さんが増えてきて読み手としてもうれしい限り。
正月休みにでも自分も何か書けたらいいなと思いつつ……
859名無しさん@からあげ食いたい:02/12/01 18:26
あげ
860名無しさん@お腹いっぱい:02/12/01 18:59
お笑い天然ジャーのアイデア
 司会もできツッコミも可能。ただコンタクト兼
メガネがないと何もできない。陣内智レンジャー(赤)
 彫刻のような筋肉が自慢。ロケ中でも眠れる野生児
天然・八木レンジャー(緑)
 眠れる森の美天然・井上レンジャー(青)
 玄米カレーと味噌汁。Love&ピース天然・
城野レンジャー(黄)
 ピンクの冷麦よりうどんが好きうどん人天然・
木部レンジャー(桃)
 なんてどうです?ただ思いつくかぎりのメンバー
ですが>727さん
861名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/01 19:55
陣内智レンジャーしかわからん…
皆さんbaseの方?

にろはちさん楽しみにしてます!
862名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/02 19:44
天然ジャー面白さそうだけど、そのメンバーで
収集がつくのか!???
863B級作品:02/12/02 20:08
≪最近、声が出にくくなることが、よーある。でも言うたら俺の声は
俺にとってもコンビにとっても最大の武器である事は間違いない。
相方には悪いけど漫才も俺の声がなければ魅力も半減やろ・・≫

「ふぅ〜〜〜」

アメリカザリガニ柳原哲也は大きなため息をついた。
自分の声が出なくなることを想像すると悪寒が走る。
柳原は自分の高音ボイスのツッコミのキレは若手の中でも
1,2を争うと自分でも思っている・・・その声がでなくなる―――
≪あかん、泣きそうや・・・≫
病院にはもう行った。が、原因不明のままウガイ薬だけ
渡されて≪もう持ってるっちゅーねん(怒)≫追い返された。

「あー・・〜〜ぁあ・・・ぁ。ケホケホ
 なんでゃ・ねん!・・・。」

ガチャっ

突然、相方平井が入ってくる。
「どうしたんや?柳原。ひとり言の声少しやけど外もれとったで」
「カンタ・・・」
柳原はとっさに目をそらす。
≪これは俺だけの問題ちゃうねん。言いたなくても言わなあかん・・
言うんやったら早い方がええな。M−1の事も考えなあかんし・・
M−1どうしょう声でんかったら、そうなったら腹話術漫才でも
せなしゃあななるなぁ。それとも今からテープに声吹き込んで
アフレコ漫才・・悪ないなぁ。あかんあかん!何考えてんねん、俺!
おっしゃ、言う言うぞ≫
決勝進出者も決定したことだし、
この小説スレでM-1優勝の仮定シナリオを誰か書きません?
・笑い飯
・テツandトモ
・フットボールアワー
・ハリガネロック
・ダイノジ
・アメリカザリガニ
・ますだおかだ
・おぎやはぎ
のそれぞれのコンビが優勝した場合っていうのを・・・。
イタイのは承知でそれぞれのオタに夢を。
865こんな感じで。:02/12/02 23:33
扉が開いた。
目の前に世界が広がった。

もう、なにも関係ない。

審査員が消えた。司会者もアナウンサーも女タレントも消えた。
短い階段をリズミカルに駆け下りる。妙にゆっくりと視界が流れた。
「     !」
自分達の名前がスローモーションで聞こえる。
客の歓声、センターマイク、相方。

さあ、扉は開いた。
あとは駆け上がるだけだ。

聖夜のホールで、笑い声と共に拍手が響いた。
「M-1グランプリ」
866名無しさん@からあげ食いたい:02/12/04 16:01
age
867名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/04 19:42
あげ
868B級作品:02/12/04 20:11
〉863
「あのな、話あんねん。」
「なんやねん?ガン○ムのことか?」
「大切な話やから、ちゃかさんとちゃんと聞いてくれ。」
柳原は平井の目を見て「俺、最近、声出にくかったり、ケホ
出えへん事あんねん。医者行ったけど・・・原因わからへんて・・・」と
言うと目をそらした。平井のリアクションを見るのが怖かったからだ。
しかし平井は笑いだした。何がそんなに面白いのかケタケタケタケタ
一人で笑っている。
柳原は信じられない思いで平井を見る。
≪何笑ってんねん、こいつ・・・≫
そして、そんな柳原の視線に気付いてか平井は笑いをこらえ
「いやいや、なんやエライ真剣な顔してるから何やろ思たら
そんなことかいな〜」と軽く受け流す。
柳原の中に今まで感じたことがないほどの怒りがこみ上げてくる。
ドン!!!と思いっきり机を叩き「何笑ってんねん!何がおかしいねん!!
そんな事って何やねん!!」と一気にまくしたてる。
大きい声を出したせいか喉の奥が熱い。
平井は「しゃあないなぁ」と言うと柳原に近づき柳原の首に腕をまわす。
「何すんねん!やめろ、ゴホっ、気色・・悪・い・・ゎ・・」
そこで柳原は意識を失った。
869名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/05 09:03
優勝を仮定して、ですか。

書きたいような、出方を見たいような。
870bloom:02/12/05 09:04
871864:02/12/05 14:34
まあ、吉本の策略だのやらせだの、と噂が溢れかえってる中
優勝とか敗者復活戦とか、筋書きを予想して楽しむのもいいかなと思いまして。
あとは単純に自分の好きなコンビがもし優勝したら・・・と夢を見てみたい気持ちもあり。
自分一人では、思い入れがないコンビは書けないし、
色んな人の予想を見てみたいなと。
>>869さんどうですか?
872名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/05 20:45
869です。

私なら、敗者復活で18KINかスピワゴが勝ち上がった、
という設定が見たいです。

結局人任せかい!というツッコミはご遠慮願いまーす。
873名無しさん@お腹いっぱい:02/12/06 18:22
>>872
激しく同意!
同じく人任せですが(汗)
874名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/08 01:56
あげてみよう
875名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/08 10:30
age
876age:02/12/08 19:28
にちはろさん、もうあとどれぐらいで来てくれるだろう。。
がんばってくだせぇ。
877名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/08 22:06
age
                【第八章 鬼の名前】
 
「だいぶ治まってきたみたいやな」
 後を歩いていた小林が、ちらりと窓を見て呟いた。夜が明ければ、嵐はこの島から過ぎ去るだろう。
 食堂を出る前に、小林は陣内に釘を刺した。
「何度も言うけど、証拠も何もない。机上の空論なんや。あの隠し通路で判った事は、誰でも西野を殺せたいう事だけや。やから、平井の時みたいに小木を殴り付けるような真似はするなよ。あくまで、話を聞くだけやねんから」
  頷きながらも、陣内の中に疑いはなかった。
 『Xが小木』。告げられた瞬間、陣内は裸眼にコンタクトを嵌めたような感覚を味わった。同時に、クリアになった視界の中で、二人の人物の残像が重なった。
 一人は小木。そしてもう一人は、幻の中、少女と遊んでいた俯きがちの少年。
  少年の言葉は標準語だった。眼鏡は掛けていなかったが、太い眉も、どこか茫洋とした表情も、
(あれは、小木やったんや……)
 そう考えれば、小木がこの屋敷の持ち主と知り合いだという小林の推理にも繋がる。
 屋根裏の通路が現実に出現した今、あの幻覚がただの白昼夢のはずかないと陣内は信じている。その確信は、一つの疑問を生む。
 真新しい紫苑荘は、新築だったのだろう。小木の年齢から考えて、15〜20年ほど前だ。
 少女は階段をのぼって屋根裏に上がっていた。人の目に触れないように隠された、あのような通路ではなかった。
改築したのか。それとも……
(大上と梶原を殺す為に、わざわざリフォームしたのか)
 総毛立つような恐怖を感じた。この優美な屋敷が、大上と西野への殺意を孕んで、二人をじっと待ち構えていたのだとしたら……。
 陣内にとって、二人は同じ釜の飯を食った、いわば身内のようなものだ。二人がそこまで他人に恨まれるような人間には到底思えなかった。何故、二人は殺されなければならなかったのか。陣内は想像もつかなかった。陣内は定まらぬ思考を止める。
(全ては、小木に聞けばわかるのだから)
 陣内は立ち止まった。扉に貼られた<おぎやはぎ>と書かれた紙を見据えた。
 ドアを叩く。沈黙。もう一度。
「小木、おらんのか?矢作?」
 数度のノックに応答はなく、ノブを捻ると鍵が掛かっていた。
(もう、寝てもうたんか?)
 
 部屋のカギは渡されていない。鍵を掛けて部屋の外にいるという事はない。再度のノックの為に握った陣内の拳を、小林が手で制し、ドアに耳を押し付ける。
「……窓が開いてるみたいやな」
 陣内もそれに倣うと、確かに部屋の中に吹き荒れる風の音が聞こえた。「ホンマや。やけど…・・」 
 もう眠っているのだとしても、この強風の中を窓を開けて寝る馬鹿はいない。陣内が首を捻ったその時……。
 渦巻く風の音に混じって引き攣った悲鳴が上がった。バッと二人は顔を見合わせた。
「今のは増田の声や!」
「おい、増田っ、そこにおるんか、増田っ!!」
 条件反射のように、陣内はノブをガチャガチャと揺らし、力の限りドアを叩いた。
(何故増田が、ここに?今の悲鳴はなんや?小木と矢作は何故応えない?別の部屋にいるのか?
 次々浮かんでくる疑問に、答えられるはずの人間の声は、ドアの向こうから返らない。
「隣りの部屋から出るぞっ!」
 <ますだおかだ>のドアノブに腕を伸ばした小林は、「ちぃっ」と舌を打った。「鍵がかかっとるっ」
 陣内はすぐに<アメリカザリガニ>の部屋に向かった。死者の眠りを妨げる事を気遣っている場合ではなかった。電灯のスイッチを入れると、
「ナニ騒いではるんです?」
 後ろから呑気な平井の声が掛かったが、振り向きもせずに、どかどかと部屋の奥へ足を進めた。
「ちょっと、陣内さん、小林さんも…・・」
 窓ガラスを開けようと手を掛けた陣内の腕が止まる。目に入ったものは、部屋の明かりに照らされ、地面に倒れた小柄な姿。
「増田っ!」「増田さんっ!?」
 窓から五、六歩離れた芝生をベッドに、身を胎児のように丸めた増田は、風雨に晒されながら、起き上がる気配はない。
 転げ落ちるように地面に降りた陣内は、増田の傍らに膝をついた。右頬から顎にかけて刻まれた真一文字の傷が目に入る。
 凶器とおぼしき物はすぐに見付かった。増田が倒れているすぐ側に、小型のナイフが泥に埋もれていたからだ。
 このナイフが、普通のナイフではない事を陣内は知っていた。大きな柄の中には、眼鏡用のドライバーまで入っている。それは小木の万能ナイフ。
(まさか、小木が、増田を……) 
 絶望に沈みかけた陣内の意識を、小林の声が掬い上げる。
「息してるっ、気絶してるだけや!!」
 
 ずぶ濡れの増田の身体を抱え起こすと、増田はううと唸り声を洩らした。
(生きているっ!) 陣内はパッと顔を輝せた。
「増田、しっかりせぇっ!増田っ!!」
「増田さんっ、聞こえますか、増田さんっ!?」
 うっすらと開いた両目が、見下ろす三人を捕らえ、色を失った唇が動いた。
「……大丈夫、や……」「小木か、小木にやられたんかっ!?」
 弱々しい頷きが返る。増田は頭を振りながら半身を起こした。
 大分意識がはっきりしてきたらしい増田は、頬の傷に顔を顰めながら、
「窓から外を見てたら、小木が窓から出て行くんが見えてな。窓から出て行くなんてオカシイ思て、追い掛けたんや。そしたら、いきなり切り付けてきて……よけようとしたらコけて頭打ってもうて……」 
 そこで気を失ってしまったのだと増田は言った。
「小木がどっちに行ったのか、わからんか?」
 増田は小さく首を振った。
「でも、なんで小木は増田さんを襲ったりなんか……」
 平井が困惑の表情を浮かべる。
 増田の悲鳴が聞こえたのは、陣内達が部屋を尋ねてからすぐだった。
(もしかして、小木は、オレラから逃げる為に……)
「とにかく、中に入るで。増田の傷の手当てもせんと……増田、立てるか?」
 増田に手を差し出した小林に、「そうですね」と立ち上がった平井は、明かりなき<おぎやはぎ>の部屋に目をやった。
「窓まで開いて、こんだけ近くで騒いどんのに、矢作さん、よう寝てられるなぁ」
 ぞくり、と陣内の背を悪寒が走った。
 胸に去来した想像に、(まさか)と否定しながらも、陣内は窓枠に両手を掛けた。
「陣内?」 小林の不審気な声は、陣内の耳には入らなかった。
(まさか、まさか、まさか、まさか、まさか……)
 パっと照明が灯り、陣内はベッドで眠る矢作を凝視した。
 胸元まで掛けられた布団に乱れた様子はなく、瞼も口も静かに閉じられている。
 ただ、ぐるぐると首に二重に巻かれた青紫の細い線が、目覚めない理由を語る。
 陣内は布団から小木の腕を出して、手首を取った。
「陣内?」近付いてきた小林に、陣内は短く答えた。
「死んでる」
「なっ!」 小林は陣内を押しのけて、ベッドの傍らに屈み込んだ。

「矢作が死んでるて……ホンマですかっ!?」
 窓から顔を覗かせた平井に、答える気力は陣内にはなかった。
 「死」に対する感覚が麻痺してしまったのだろうか。陣内の心は哀しみも怒りもわかず、ただ空虚だった。
「細い紐かなんかで、首を絞められたみたいやな……」
 矢作の腕をそっと布団の中に戻した小林は、室内を見渡して、「これは……」と手をのばした。
 小林の掌には、金の携帯電話がのっていた。陣内は、風にぷらぷらと揺れるストラップに思わず声を上げた。
「大上の、ケイタイや……」
「そこの棚の上にあったんや」小林は顎をしゃくった。 
 大上の携帯電話。大上と西野を殺した犯人が持っているだろうと小林が推理した……。
 閉じてあった携帯電話を開いた小林は、ギュッと眉を寄せた。
「遺書や」「遺書!?」
 題名の欄には、冗談のように「遺書」とあった。
『陳列室に入る陣内さんと小林さんを見ました。もう逃げる事は出来ないみたいです。
 俺が大上さんと西野君を殺した事がわかったら、どれほど矢作が苦しむかわかりません。
 だから、矢作を殺して俺も死ぬ事にしました』
 「だから」という接続詞からの発想の展開に、陣内は己の目を疑った。矢作が苦しまぬように殺したというのか、自分の相方を?
「これで文章は、終わってるみたいやな」 
「そんなっ!」
 四人の命を奪い、自らの命を絶つ経緯を、たったこれだけの文章で済ませてしまったというのか。謝罪の言葉も悔いる言葉も何一つ無く。
 陣内は小林の手からケイタイをひったくり、↓を連打する。
 しかし、画面にそれ以上の言葉が並ぶ事はなかった。
 と、その時……。
「うわあっ!!!」 窓の外で悲鳴が上がった。
「どうしたっ!?」
 増田は両目を一杯に開いて、外壁を背に身体を凍り付かせている。
「……小木、が……」
「小木っ!?小木がいるんかっ!?」
 魚のようにぱくぱくと口を開閉する増田に代わるように、平井が叫んだ。
「あ、あそこ、あそこにっ!」
 平井がまっすぐ指差した先には、植え込みと、その向こうには崖が広がっている。
「どこやっ!」 陣内が目を凝らすと、闇の中、木立の間に、ぼうっと浮かび上がった一人の男の後ろ姿。
 陣内は、彼が振り返らずともそれが誰だかわかった。
「小木っ!!」
 叫んだ陣内に答えるように、崖の縁に佇んで小木が、こちらを振り向いた。
 眼鏡の奥の瞳には、恐れも怯えの色もなく、凪のように穏やかな瞳で陣内を見返し、その足を縛り付けた。
 小木が背を向けた。陣内は、小木が次に取る行動を悟り、届くはずも無い腕を伸ばした。
「待て、小木っ!」
 一瞬だった。小木の姿は陣内の視界から掻き消えた。呪縛から解き放たれたように、陣内は崖縁に走った。
「小木ぃっ!!」
 絶叫は真っ黒い海に呑み込まれる。駆け寄ってきた小林が、
「なんや、何があったんや!?」
「コバ、お前、見てへんかったんかっ!小木がこっから飛び降りたんやっ!」
 絶句した小林は、本当に小木の姿を見ていなかったようだ。
 懐中電灯を携えた平井が、恐る恐る崖下を照らしたが、踊る波間に漂うものはなかった。
(こんな、幕切れ……・)
 身を起こした拍子によろめいた陣内は、へたりと座り込んだ。

                             *

 放心状態に陥っている増田を彼の自室に運んだ小林は、松口と梶原の様子を見てくると席を立った。
 タオルで頬の傷を押さえた増田は、ようやく落ち着いたのか、陣内と平井を見やって、
「一体、何があったゆうんや、俺にはもうサッパリわからへん……」
「矢作まで死んでもうて、小木は自殺なんて、俺にも、もう何がなんだか……」
 おどおどと答えた平井は、開いた扉に目を移した。
「どうでした?」
 小林は、ふっと息を吐いて顔を上げた。
「二人ともよう寝とる。真相を話さなアカンとは思うんやけど、揺さ振っても起きひんし、もう少し寝かせといてやろうと思うねん」
 松口も梶原も過酷な現実に戻りたくないのだろうか、ふと陣内はそんな事を思う。
「真相?真相てどういう事ですの?」
 小林は増田と平井に淡々と事の真相を話し出した。二人は驚愕を顔に貼り付け、小林の話を聞き入っている。
「それじゃあ、今までの事は小木が全部仕組んだ事で、逃げられないと知って矢作まで殺して、自殺してもうたゆう事ですか……」 
 小木の『遺書』を見終えた平井は、こめかみを押さえて唸った。
「信じ、られへん……」
 増田が掠れた呟きを洩らし項垂れた。沈黙が流れる。小林が口を開いた。
「増田、傷の具合はどうだ?」
「……ちょっと掠っただけから……もう血も止まったし」
 増田はタオルをどけて、生乾きの傷を見せた。
「頭もちょっとズキズキするけど、大した事あらへん。……それより、お前等、俺よりも松口達に付いててやった方がエエんちゃうか?何時起きるかわからへんし、そん時お前等がいてやった方がエエやろ」
「……そうやな」
 小林が頷き、平井も腰を上げた。
「じゃあ、僕も西野君トコに戻っときますわ」

 
 すぐに松口の許に向かおうとした小林を、陣内は自室へと引き入れ、
「これで、終わったんか?」
 小林は答えず目を伏せた。
「なあ、ナンも判ってへんねんで?小木がなんで大上と西野を殺したんか、ナンにも判ってへんのに……」
「それは、警察が調べてくれるやろ…小木は何も残さず死んでもうた。オレラはここまでや」
「そんな……」
 俯き掛けた陣内は、ハッと顔を上げた。
「ちゃうわ、コバ、何も残して無い事ないわ。これ、大上のケイタイっ!」
 松口に渡そうと持ってきた大上の携帯電話を見せる。
「このケイタイに何か残ってるかもしれんやんっ!」
 画面を切り替えながら興奮気味の声を出す陣内に、小林は何も言わなかった。
 陣内が手を止めたのは、動画のメニューだった。映した時間はちょうど大上と西野が部屋に閉じ篭った時刻……。
「これは……」
 震える指で再生する為のボタンを押す。
『大・成・功っ!』
 明るい声が部屋に響いた。バッと小林が振り返った。
(大上、西野……)
 二人とも、ロケ中のカメラに無理矢理映ろうとするチャラけた学生のように、両手でVサインをしている。
「と、いうわけで、僕らの芝居は大成功やったワケですけど」
「大成功ちゃうやん。大体、お前なぁ、いきなり打ち合わせとちゃう事すんなや。「あの事」てなんやねん、むっちゃビビったわ」
 アハハと笑って西野は、悪びれも無く、
「いや、なんかポロッと出ちゃって。オレラの間に皆が知らん確執があった!とかなったらオモロイかなて」
「ホンマ、しどろもどろで言葉出ぇへんかったから、バれんかとヒヤヒヤしたわ」
「でも、大上さん、アドリブ上手かったですよ」
 西野は画面に向かってこう言った、
「皆さん、騙しちゃってスミマセンねぇ。ドッキリだったんで、許して下さ〜い」
 手を振る西野がぴたりと止まる。後で自分達にみせる為にでも撮影したのだろう。映像はそこまでだった。陣内はもう一度再生する。
「アホや、アイツら……」
 芝居が成功した事を、ただ無邪気に喜ぶ二人。これから自分達の身に起こる事など全く想像も出来ずに。陣内はクシャリと顔を歪めた。
「ホンマに、アホや……」 
 陣内の頬を滑り落ちた涙が、ぱたぱたと音を立てて画面に落ちた。温度のない小さな機械を掌に握り締める。
 ぐいと涙を拭った陣内は、唇を噛み締めている小林に、
「でも、なんでやろう、これがコバの言ってた「見られたらマズイモン」やないんか?」
 この動画をみたら、二人のケンカが狂言であった事がすぐに判っていただろう。
「まさか、今までずっと使い方がわからへんかったちゅうわけでもないやろうし……なぁ、ナンデ小木はこのケイタイをずっと持ってたんやろう?気付かへんかったんやろうか、それとも他になんかがあって……なあ、コバはどう思う?」
「さあな」「さあなて、コバ!これが唯一の手掛かりやねんでっ!」
 小林の両腕を掴んで陣内は揺すった。
「もう、エエやろ陣内。小木は死んでもうたんや」
「やけど……」「今更、動機を知った所でどうなるモンでもあらへん」
 投げ捨てるような小林の口調に、更に言葉を重ねようとして、
「これ以上、何をする事があるねんっ!小木は死んでもうたんやっ!!」
 小林は陣内の腕を振り払い、叫んだ。
「もうたくさんやっ!矢作まで死んでもうた!俺が何もせぇへんかったら矢作は死なずにすんだかもしれへんっ!!
「そんなん、コバのせいやないやん、それに……」
「もうエエっ、もう十分やっ!!」 叫んだ小林は、壁に凭れ掛かり、顔を覆った。
「コバ……」 陣内は呆然と呟いた。
 惨劇の中、小林は混乱状態の陣内達を取りまとめ、西野の疑いを晴らそうと、常に冷静な判断を下していた。
 しかし、誰もが正気を失ってもおかしくない状況で、小林が一人平気だった訳ではない。
 小林の精神は、次々と平常心を失って行く周りの人間達の中で、
(思えば、一番近くにいた陣内自身が熱を出しぶっ倒れ、揉め事を起こしたりと小林に負担を掛け続けていたのだ)「自分がしっかりしなければ」と重荷を背負いながら、綱渡りするように持っていたのだ。それが、とうとう崩れてしまった。
 自分の行動が引き金で二人の人間が死んでしまった。どんなに否定しても、小林の悔恨は消えないだろう。陣内は気付き、瞠目した。
「スマン」
 小林が洩らした低く掠れた声に、陣内は緩くかぶりを振った。小林は陣内に視線を合せず、戸口に向かう。
「俺は、松口んトコ行くけど…・」
 お前は、と問われた陣内は、少しの逡巡の後、
「ここに残っとくわ」
 そうか、と呟いて小林は部屋から出て行った。


 ピピピピピと幾度と無く耳障りな音が鳴る。
 一人残された部屋で、陣内は唯一残った手掛かりを陣内は調べ続けている。
 小木の動機を知りたかった。知っても何一つ失ったものが戻る事はなく、何一つ納得する事が出来ない事もわかっている。それでも。
 大上、西野、柳原、そして矢作がその命を奪われなければならなかったのか。どんなに理不尽な理由でも知らなくてはならない、義務のように陣内は思っていた。
(このまんまじゃ、誰もうかばれへん……)
 百以上の着信、送信履歴に小木の名前はなかった。西野への受信、送信メールにも大した事は書かれていない。
 関係ないだろうなと思いつつも、写真のメモリを開ていき、とうとう日付は半年前まで遡った。画面に一人の女性が映し出され、次に進めようとした陣内の手が止まった。
(この子は……)
 ラヴェンダー色のシャツを着て、微笑んでいるセミロングの女性。年齢は22、3だろうか。ぱっちりと大きな黒目がちの瞳、少しだけ左に首を傾げる仕種を陣内は知っていた。
「まさか……」
 今時の子に珍しく染めていない髪は、幼い頃と同じように艶やかな黒髪だった。
(あの女の子や。小木と一緒に遊んでいた、あの女の子や)
 瞬間。視界が真っ白に染め上げらる。(また、あの幻覚や……)
 次に映ったのは、写真の女性だった。女性は小さな喫茶店の一角で、一人の男と向かい合っていた。
 コーヒーカップを置いて男は口を開く。 
「ユカちゃんの彼氏が芸人やったなんてなぁ」
 その声を、聞き間違えようもなかった。空に突き抜けるように通るハイトーンボイス
(柳原?柳原がなんで……)
「君の兄さんは知ってんの?」
 「いえ」と困ったように俯いた『ユカ』と呼ばれた女性に、柳原は「言わへん、言わへん。知ってて黙ってた言うて、俺が殺されるわ」と肩を竦めて、
「大体、あの人、君と俺が知り合いやゆう事も知らんのやから、こうして会ってる事を知っただけでも雷落ちそうや。妹に悪い虫、付いたぁ言うてなぁ」
 心底恐ろしげに眉を寄せた柳原に、ユカはくすくす笑った。
「まぁ、お兄さんに彼氏の事を話せへんのはしゃーないな……。あの人、芸人の彼氏なんぞ絶対に許しそうにないし」
「兄さんが芸人さんになってから、「芸人とだけは付き合うな」、って会う度に言われてます……」
「まあ、お兄さんの気持ちもわかるけど。正直、俺に妹がいたとして、芸人の彼氏なんぞを家に連れて来ても、家の敷居を跨ぐ事は断じて許さへんわ」
 想像したのか握りこぶしを固めた柳原に、ユカは小首を傾げた。
「同じ芸人さんなのに?」
「やから余計にやねんて!でも、ユカちゃんの彼氏は、松竹の奴ではないんやろ?」
 こくりとユカは頷いた。
「もしかして吉本の人?」「それは……」
 言葉を濁したユカに、柳原は「いやいや、無理して言わんでエエよ」と慌てたように手を振った。
「いや、でも、ユカちゃんの彼氏が松竹の人やなくて良かったよ。もしそうなら、あの人、妹を誑かしたようなヤツと一緒の会社になんておられへんっ!とか言い出して会社出て行きそうやから」
 まさかそんな、とユカは苦笑したが、「わからんで〜」と柳原はコーヒーを啜った。そして、少し目を上げる。
「エエ人、なんやろ?」「……はい」
 滑らかな頬を染めて小首を傾げたユカに、「一人身の前でノロケんなっ」と突っ込んで、柳原は柔らかく目を細めた。

 陣内の視界に部屋の景色が戻ってくる。喉に詰めていた息が白く吐き出された。
 再度の幻覚が、ただの幻だと陣内はもう思う事はなかった。
 小木と遊んでいたあの幻の少女が、柳原の知り合いだった。彼女は芸人の彼氏と芸人の兄を持っていたという。
 繋がっていく符号に陣内は身震いした。
「ユカ」と呼ばれたこの写真の女性が、小木の動機に何らかの関係がある。
(きっと、そうや)  考えを纏める間も惜しく、陣内は立ち上がった。
 平井は起きていた。足を組み、煙草をふかしながら、宙を見詰めている。梶原は相変わらず安らかな寝息を立てていた。
 ノックもせずにいきなりドアを開けた陣内に、平井はぱかんと口を開いた。
「ど、どないしましたん?」
「……平井、お前、妹おるか?」
 唐突な陣内の質問に、平井は面食らいながら、
「はぁ、一回り離れたのがいますけど。それが何か……」
 名前を聞くと、どう略してもユカにはなりそうもない名前だった。陣内は質問を変える。
「柳原の知り合いの女の子で「ユカ」って名前の子知らへんか?この写真の子やねんけど」
 平井は「あ、カワイイ」と呟いて、すぐに首を振った。
「昔はともかく、最近のアイツのプライベートな事はよう知らんのですわ」
「松竹の芸人の妹なんや。おらへんか?たぶんお前等よりも先輩か同期のヤツやと思うんやけど…・・」 
 平井は顎に手を当て、「木下さんの妹さんは俺とオナイやったし、谷口さんトコは…・・あぁ、あれは弟やったか
……岡田さんは一人っ子やろ、増田さんは天涯孤独の身ぃやし……」
「そうやったんか?」初耳だった。
「ええ。半年ほど前に男手一つで増田さん育てはったお父さんを亡くしはって」
 その後も平井は次々と陣内の知らないような松竹芸人の名前を次々と挙げて、ぶつぶつと呟いていたが、
「やっぱり、僕の知ってる限りでは、こんな妹がおる人はいてませんわ」
「そうか……」
「この子が、今回の事にナンカ関係があるんですか?」
「まあ、な……」 
 平井は新しい煙草に火を点けて、また宙を見詰めた。
「陣内さんは俺と同類なんですねぇ」
「……どういう意味や?」
「聞こえないはずのモンが聞こえたり、見えないはずのモンが見えたりしてるって事ですよ」
 平井は足を組み替え、陣内を見据えた。
「身に覚え、あるんでしょう?」
 その通りだった。この屋敷で見た二つの幻覚。しかし、と陣内は心の中で首を捻った。
 確かに何度が霊と呼ばれる物は見た事はある。楽屋で談笑中に霊と思しきものに憑かれて、身動きが取れなくなった事もあるが……。
「俺はそんな霊感が強いとかそういうんじゃないんやで?」
「きっとあれですわ、陣内さんは『波長があった』んでしょうね。やから、俺には陣内さんが見えてるモンは見えないし……」
「そんなら、お前には何が見えてるんや?」
「いやぁ、そんな大したモンは……」
 平井は何故か少し照れたように頭を掻いた。
 とにかく、平井は今回の事件に関係がない。それだけは確かなようだ。退出しようとした陣内を平井が呼び止める。
「僕も一つ質問があるんですけど」「なんや」
「サッカーって6人でするモンでしたよね」
「は?」「いや、僕、スポーツとか詳しゅうなくて。7人でしたっけ?」
「11人や……」
「えっ、そんなに多いんですか?」
 平井は細い目を見開いた。そして、それは困ったなぁと腕を組む。
「なんで、そんな事を聞くんや?」
「いや、相方がサッカーが好きやったんで……」
 全く答えになってなかった。問い詰めようとしたが、そんな事をしている場合ではないと踵を返す。
 ドアを閉める直前に、意味の判らぬこんな呟きが聞こえた。
「それじゃあ、全然、足りひんなぁ」
889にろはち ◆jM/TIxxEd. :02/12/09 02:13
>>878-888>>833の続きです。忘れてました…。

いつもよりはやくと言いながら、全くはやくなかったです、すみません。
で、もうちょい続きます。もう少しで終わりますので、見ていただけると嬉しいです。
このスレが終わるまでには、終えますので…。
乙です。
リアルタイムで見てますた。
ケンコバ崩れのあたりが切なくてドキがムネムネしますた。

そして
>名前を聞くと、どう略してもユカにはなりそうもない
で何故かワラいました。

続き楽しみにしてますんでがんがって下さい。
891 :02/12/09 03:43
乙です。

私は
>陣内は裸眼にコンタクトを嵌めたような感覚を味わった。
でいきなり笑いました。
えらい論理的な比喩やな〜(w

陣内がどんどんサイコメトラーに。
そして平井が相変わらずコワイよ〜(つд`)・゚・。

自分でも一応犯人と目してる人がいたので、「Xは小木」と聞いて
「うーんすっかり騙された。」と思ったわけですが。

次回も楽しみに、かつマターリ待ってます。
892名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/09 16:54
うわぁ〜
犯人がわかってもなおドキドキ…
毎度の事だけど本当に次が楽しみ。
どのくらいかかってもいいんで頑張ってください!>にろはちさん
893 事実は小説よりもオモロイで:02/12/09 17:12

文学板の有名コテハンが切腹をかけて短歌で決闘!
http://tmp.2ch.net/test/read.cgi/bakanews/1039065041/l50
894age:02/12/09 17:47
にちはろさん、乙カレ〜
めちゃめちゃはまりますわ〜。
これからも期待しています。
>このスレが終わるまでには、終えますので…。
プッチ欝。でももう、にろはち氏の中でお話は完結してるんですよね。
次スレで新シリーズ期待しちゃー駄目でしょうか…。
とにかくがんがってください。力の限り応援してまつ。
新作うp乙カレーっす

面白い、面白いですマジで。
そしてコバがカコイイ。
最後の方の平井のセリフが意味ありげですげー気になる、、、
897名無しさん@お腹いっぱい。676:02/12/10 15:09
だあー、真犯人わかったと思ったら、自ら・・ですか、小木さん。
しかもなぜ相方道連れにー!?
ケータイに残ってた西野さんと大上さんのやり取りが泣けた・・・。
おもろい!>にろはち氏
物語もいよいよ終盤で、ドキドキしてる反面、ほんのり寂しいです…。
次章も楽しみに待ってます。
899資源さん@お腹いっぱい:02/12/11 09:03
 かなりアフォな駄文のため酷だったら叩いてやってください。

題base的レボリューション(仮)

 すべてはここから始まった……
「$10もコンビそろって暴漢に襲われるなんて、ついてないな。」
陣内は気の毒そうに、見舞いのひよこ饅頭を差し出す。
「まぁ入院といっても、1日だけの検査入院やから明日からもう舞台に立てるで。」
いつもと変わらない笑顔で、それを受け取る白川。
「あんまり、無理せんといて下さいよ。」
陣内について来たレギュラー・松本が心配そうに言う。
「大丈夫やって、松ちゃん。襲われた事ネタに出来るぐらい元気になったるから。」
そう言い、白川は隣のベットに目をやる、そこには頭に包帯を巻いた浜本が昏々と眠っている。
「浜本さん。頭殴られたって・・・。」
「あぁ…。今は痛み止めの薬が効いてるからな。」

 その日の夜
 
 白川は明日に備え、寝ようと枕もとの電気に手を伸ばす。
そのときとなりで、昼間から眠り続けていた浜本の目が開いた。
「なんや今頃眼が覚めたんか。もう明日退院やで。」
「白川・・・俺・・・。」
「なんや、まだ傷が痛むんか?」
「俺・・・さっき眠っている時。未来を予知してもた。」
白川は心配そうに浜本の顔を覗き込み。
「お前、頭打たれておかしなったんちゃう?」
そんなことはお構いなしに、浜本は続ける。
[baseの未来を乗っ取ろうとしてる奴らがいる。」
「はぁ?ほんまに大丈夫か?先生呼ぼか?」
ナースコールに手をかける白川の手を押さえ。
「信じられんかも知れんけど、今その映像をお前の頭ん中に流すから・・。」
そう言い、浜本は白川の額に左手を添えた。
900資源さん@お腹いっぱい:02/12/11 12:01
次の瞬間、白川の脳裏に次のような光景が流れてきた。
「ここはbaseの前・・・。」
いつもは芸人のおっかけや通行人でごった返し、騒がしいはずのbaseに誰一人人がいない
「皆どこいったんや?」
ふと斜め上を見上げると、普段はないはずの位置に電線が走っている。
「なんやこれ・・・。baseの前にこんなに電線あったっけな?」
さらに真上を見て白川は息を呑んだ。そこには無数の電線に体を絡みつけられた
芸人たちが血を流し、吊るし上げられもがき苦しんでいる。
おもわず、眼を覆いたくなるような光景だった。
(なんだ、この映像は・・・!!)
「これが俺たちの未来だ。」
浜本の一言で白川は現実に引き戻された。
白川は信じたくなかった。しかし実際に見せ付けられては信じるしかない
白川はやっとの思いで、口を開いた。
「未来を変えることはできないのか?」
「出来ないことはない。が、未来すなわち運命に逆らうことだ。危険が生じる。
  仮に変えたとしても、もっと残酷な結果になるかもしれん。」
「それでも俺はbaseを救いたい・・・。」
そう口に出したとたん。白川の意識が飛んだ。
901名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/11 12:27
ここ久しぶりに見た。B級作品さんのファンです!
前の中川家の話の続編希望☆
902名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/11 15:56
資源さん、結構私、そういう系のお話好きですよ〜
がんばってくださいね!
903資源さん@お腹いっぱい:02/12/12 08:16
 
 次の日の午前

 「今日退院の日やけど、あいつらほんまに大丈夫かなー…。」
陣内は急ぎ足で病院に駆け込む。ところが病室の入り口に無数の人だかりが出来
中へ入ることができない。
陣内は近くを通りがかった、若い看護士をつかまえ聞いてみた。
「あの部屋の知り合いなんですけど、何かあったんですか?」
看護士は陣内の顔をまじまじと眺め、重い口を開く。
「左側のベットの方・・・。白川さんが何者かに銃で撃たれたんです。」
「なに!白川が!?どうなったんや?・・・。あといっしょにおった浜本は!?」
逃げるように行こうとする看護士を陣内はさらに引き止める。
「それが・・・。二人ともいなくなったんです。」
904資源さん@お腹いっぱい:02/12/12 08:54

 この日の前日、フットボールアワーの後藤は1年先輩の野性爆弾と、遅くまでバンドの打ち
合わせをし、居酒屋で一杯引っ掛けた後、共に家路へと向かっていた。
歩いている途中、これでは明日の朝のネタ合わせに遅れるなと思い。
相方の家に連絡しようとするが、携帯をbaseの楽屋に忘れてきた事に気づく。
「携帯、忘れてきてしもた。ちょっと、あっこの公園で電話してきます。」
後藤は千鳥足で、数m先の公園へと向かおうとする。
「後藤、そこまでいかんでも俺の携帯貸したるで。」
ふらふらの手で野性爆弾・川島は携帯を取り出す。
「いや。テレカあと一個で穴開きますし、使い切ったら募金できるし。
 けっこー長なりそうやから・・・。」
「じゃぁここで待っとくわ・・・。」
道路の段差に座り込む城野。
おう゛と小さく手を挙げ、あちこちに体をぶつけながらも電話ボックスに
たどり着く。扉に体を半分挟まれながら。
「えーと・・・あいつん家の番号なんやったかな・・・1・1・4って
 ちゃうやん!時報やんか(←違う)」
一人ボケツッコミをする後藤の背後では、無数の怪しい影がたたずんでいた。
905名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/13 21:21
age
906名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/13 21:48
900越えたねぇ。「このスレが終わるまでには」
ってにちはろたんは言ってたけど、大丈夫かなぁ?
907 :02/12/13 23:36
>906
まだ100あるがな
908B級作品:02/12/14 19:35
>901
ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!!
正直すごい不安やったんで・・・。
続中川家も考えてみます。
とりあえずアメザリ話終わらせたいと思います(中途半端なんで)
毎度毎度チープな内容でスイマセン<(_ _)>
909B級作品:02/12/14 20:51
868続き
気がつくと柳原は何か台のようなものの上に寝かされていた。
身動きが取れない。目をキョロキョロさせ、手術室のような場所だと
いうことだけわかった。
≪な・・なんや、何があってん。倒れて病院に運ばれたんか??≫
考えても答えは出ない。ただカチャカチャという金属音だけが
さっきから鳴り響いている。
「なんや、起きてもうたん?」聞き覚えのある声に目だけそちらに向けると
白衣姿の平井が立っている。
「おい!これ何やねん!!お前なにしてんねん」と言ったはずが
「ジージーガー・・ガーガピーー」という電子音に変わる。
「あかん、あかん。まだ直してる途中やねんから。
それよりお前の喉は消耗早いなぁ〜。見て見て、これ。
もうこんなに擦り切れてもうてんねん。まだ二ヶ月やのに」
目の前に擦り切れたネジが提示される。
≪なんや・・・これ・・・≫
柳原の喉のあたりを鼻歌まじりにカチャカチャいじっている平井は
「あとな〜お前のツッコミちょっと痛いねん。せやから手の弾力性と
やわらかさ10%増しにしといたから」と素の顔で言う。
「あぁーあとな、ご希望やったら声もあと2オクターブくらいやったら
高できるで。でも、それしてしてもーたらビックリ人間になってまうな。
人間ちゃうけど。でもお前が世界中で一番高い声の男とかで
ギネスブックとかのったら、また俺、影薄いとか言われるわ・・・
やっぱヤメ。」
≪何言ってんねん≫
ツッコもうとするが「ヒューガー・・Zz・ジー」虚しく電子音が響く
だけだ。「だから喋ったらあかんて!心配せんでも直してるから。
聞き分け悪いなぁ」
機械音に包まれながら柳原は電子の海へと落ちていった。
910B級作品:02/12/14 20:53
「柳原・・柳原!」
自分を呼ぶ声に意識を揺さぶられ柳原は目が覚めた。
「カン・・タ?」

【あかん、あかん。まだ直してる途中やねんから・・・】

≪はっ!!≫
白衣の平井が脳裏に浮かび、とっさに身構える。
そんな柳原を平井は不思議そうな顔で見ながら「どないしてんな?
急に寝だして、そんなに疲れてるんか?」と言った。
「へっ?寝た・・??」≪じゃあ今までのは夢?ハハッ・・そうや夢や。
あんなん、ありえへんもん。あ・・アホやなーーアホや、俺アホ≫
一人で百面相している柳原に「それより柳原、なんか言いかけて
なかったか?」と平井は尋ねる。
≪はっ!そうやった。≫
「平井さん!!俺!!声が!!!」
「うるさい、うるさい!声がどないてんな?」
「あれ?あーーーーあーーーー直ってるぅ!!直ってるぅーー!!!」
一人で騒ぐ柳原を平井は怪訝な顔で見た後「なんやねん」とつぶやき
荷物を持って楽屋から出て行った。
平井が出て行った後も柳原は一人でハシャギ続けた。
しかし一人で騒ぐ柳原の手は、なぜだかいつもより柔らかかった。

そして平井が小脇に抱えた荷物の中には【漫才戦闘用ロボ ヤナギハラZ
管理責任者:平井善之】と印刷された書類が入っていた.
☆END☆
B級作品さん、めっちゃ面白かったよ!
やっぱり平井さんはこういうキャラクターなのねん。
そして柳原はだまされ続ける…と(w
次スレいくかもしれないね。
913名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/15 22:59
age
914baseレボリューション:02/12/16 09:26
>902 マリガトウございまつ。

904の続き。

 「後藤、遅いなー。ボックスの中で寝てんのちゃう。」
「俺、様子見てくるで、くぅ〜ちゃんここで待っといて。」
そう言い、城野は暗い公園の中へと入っていった。

 後藤に続いて、様子を見に行った相方の帰りも遅く、さすがに不安に
なった川島も公園内へと入っていく。ところがそこには放心状態で地面に
ひざまずいた相方と、頭を割られ血にまみれた後藤が横たわっていた。
川島は驚きながらも、城野に近づく。
「これ、お前がやったんか?」
城野は泣きじゃくりながら、川島の脚にしがみつき
「ち・・違う・・・。なんか小さい黒い奴らが・・・。」
その時、右側から猛スピードでこっちに向かってくるバイクの音が聞こえてきた。
「ロッシー!危ない!!」
川島はしがみつく城野をつき離す。城野の体は3m前のベンチまで転がり
止まった。しかし相方は5m以上も飛ばされ、血と砂に汚れていた。
「くぅーちゃん!!!!」
その前をフルフェイスのバイクの男が走り去る。
城野は怒りと恐怖のあまり、体が振るえ動けなくなっていた。
相方の元へ駆け寄りたくても、体がケイレンし動けない自分を情けなく思う。
「くぅーちゃん・・・。」
その時、城野の額に何か触れるものがあった。
(落ち着いて・・・。静かに眼を閉じて・・・。)
そう、声が聞こえたかと思うと服だけを残し、城野の姿が消えてしまった。
 その前では赤い革のジャケットを着、左手をかざした男が立っていた。
 
915ななしさん:02/12/16 14:23
初めて来ましたが、すごい!の一言です
にろはちさんの小説、続きが楽しみです

860さんの天然レンジャーって、
赤:陣内
緑:サバンナ、八木
桃:ビッキーズ、木部
青:次長課長、井上
黄:?、城野
で、あってますか?
黄レンジャーの人の名前は聞いたことがないんで・・・
なんか面白そうだなぁと思ったんですが、誰か書きませんかねぇ?(自分は文才ないんで無理です
>915
城野はbaseにいる「野性爆弾」というコンビの片っぽね。
通称ロッシー。
ちなみに相方は川島のくーちゃん。
天然ジャーを言い出した727です。
860さん、アイデアありがとうございます。
多少メンバーは違いますが書いてみたのでとりあえず読んでみてください。
面白くなくてすいません・・・。

その日、baseよしもとで5組の芸人によるライブが行われていた。
メンバーは陣内智則、サバンナ、ビッキーズ、野生爆弾、麒麟。
ネタやトークなど1時間のライブは大爆笑のうちに終了した。
いつもと変わらないbaseよしもとの風景。
しかしそれが後少しで崩れ去ろうとは誰一人気付かなかった。

「はぁ〜、この写真めっちゃかわいいなぁ。」
陣内は自分が表紙になっているFCの会報を見てナルシスト的な発言をした。
すると横から「何ゆうてるんですか、陣ないさあわわわわ」と、途中で
何を言っているかわからないような言葉を野生爆弾、城野が発した。
「ロッシー何ゆうてるんかわからへんわ」と、陣内はいつもの調子で突っ込む。
二人が会話を交わしているのはbase吉本の楽屋。
テレビでもよく映っているあの大きな楽屋だ。
ここには二人以外にもさっき出番を終えたメンバー、暇つぶしに寝ているケンドーコバヤシ。
ネタの打ち合わせをしているガブンチョメンバーなど大勢の芸人で
溢れかえっていた。
陣内も城野も、ライブ後予定もないのでいつものように楽屋でだべっているのだ。
すると二人の会話を聞き、サバンナ八木が寄ってきて「次ぼくらが表紙なんですわ。
」と喋りかけてきた。
しかし陣内は「ああ、八木おったん?」と冷たく交わす。
「ちょっと、そんなこといわんといてくださいよ」八木はいつもの甲高い声で嘆く。
陣内は後輩には厳しく突っ込む。
一人コントでも映像やMDの声に激しく突っ込んでいる。
きっとコントの陣内しか知らない人は普段でも突っ込み役だと思っているだろう。
しかし普段の陣内はbase1と言ってもいいほどの天然ボケ芸人だ。
918860:02/12/17 08:38
>915さんあってますよ。彼が5人の中である意味、一番最強です<黄
 名無子さん面白いですよ。私も文才無いんで他力本願ですが。
適当にリメイクしてやってくだ菜。
917の続きです。
860さん、読んでくださってありがとうございます。


陣内の天然ボケは芸人の間だけでなく ファンの間でも有名だ。
バルサンを炊いた部屋でずっといた話やゴミ袋を猫と間違えるエピソードなどはもう
伝説の域に入っている。
最近ではラジオで同期のたむらけんじが飼っている犬を電子レンジでチンした話もしていた。
詳しく言うと、一時期たむらの犬を預かることになったそうだ。
しかしある拍子に犬に水をかけてしまい、その犬は振るえが止まらなくなっていた。
それを見て陣内は早く暖めないと!!!と思い何を思ったのか 電子レンジに犬を入れて暖めたという。
電子レンジはオーブントースターとは違い中から暖めていくので
表面の水が乾くどころか犬の体に異変が起こったであろう。
一応その犬は今も無事に生きているそうだが
犬を電子レンジに入れて暖めようなどと考える
奇怪な思考の持ち主はきっと陣内しかいない。
ここまできたら天然というより人としてアホだという気もするが。
そんな陣内が八木に向かって「あれ?茂雄はどこいったん?」と言った。
「ああ、あいつならさっき帰りましたけど。」
「そうか、折角メシでも食いに行こうと思ったのに。」
「じゃあぼくと一緒に行きましょうよ、陣内さん。」 「嫌や、八木と行ってもおもんない」
「何でそんなこと言うんですかー!」 八木は再び高い声で叫んだ。
そのやりとりを見てほくそえむ城野。
そんないつものノリで八木いじめをしている時だった。
突然入口のドアが”バン!”と鳴り誰かが駆け足でやってくる音がした。
その大きな音にビックリして楽屋にいたケンドーコバヤシ以外全員が振り向いた。
するとそこには息を切らしながらぜぇぜぇ言っている麒麟の田村が居た。
「どないしてん、田村。そんなにあせって。親父でも見つかったんか?」
と、陣内が田村に言うと
「た、大変です・・・。川島と・・・他の皆がとにかく大変なんです。」 「・・・・?」
920名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/17 21:40
続き気になる…
919の続きです・・・・。
しょーもなさすぎてすいません・・・。

田村の様子をみて、ちょっと様子がおかしいと思った陣内は
「わかったから、落ち着いて話してみいや」と田村に言った。
すると「実は・・・さっきライブが終わってから急に川島の様子がおかしくなって・・・
一人でブツブツ言いながらbaseを出て行ったんです。それで不審に思って後をつけていったら
あいつ、base前に居る女の子達にぼくらの写真を売ってたんですよーーーー!!!!!」
最後の方は叫ぶように強調して田村は言った。

「・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・なんや、そんなことか。」「もっとおもろいネタ持って来いや。」
呆れた顔で三人は田村に背を向けた。
しかし、近くにいたガブンチョの天津、木村が
「ちょっと待って下さいよ。baseが写真禁止になったのって
写真を高く売る奴がいるからでしょ?それを芸人がしてどうするんですか!!」
「・・・あ、そっか。」「頭いいな、木村。」陣内は素で言った。
「しかも川島だけじゃないんですよ!!!高橋さんや、須知さん・・・
川島さんまで一緒に写真売ってるんですよ!!」「ええ!?」
真っ先にそう叫んだのは八木と城野だった。
自分の相方がそんなことをしているなんて・・・信じられない気持ちと
ショックを隠せない気持ちで複雑な表情をしていた。
「とにかく皆さん一緒にとめてくださいよ!!ぼくが何を言うても全然聞いて
くれないんです!!!」
田村がそういうと、八木、城野は真っ先に楽屋をでた。
後に続いて田村、楽屋にいたメンバーも一緒になり出て行った。
それを見て陣内も、「俺もいこか、こんな時にこそ先輩の威厳を見せてやらんと・・・」
吸いかけの煙草を珈琲の缶に捨て、いざ立ち上がろうとしたその時だった。
突然がしっと右腕を捕まれた。
いったい誰が?と後ろを振り向くと、そこには今まで何があっても
微動すらせず爆睡していたケンドーコバヤシがいた。
922名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/18 15:05
>>919
すごいおもろいです!!すごい続ききになります!
923名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/19 16:59
あげ
924名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/19 19:41
age
うう〜、ちょこバトさんは、もうここきてないのかな
推理、>>438で止まってるのね。

死人が出たのにワクワク探偵ゴッコ気取るコバケンがらしくていいね。
つうかこんな感じのコントとかありそうで、舞台で演技してるのを想像してしまう。

一番好みな芸人揃いな話だから楽しみにしてるのですが…
たのむ、続き書いてください
926名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/20 18:56
age
927名無しさん@お腹いっぱい。ちょこバト。:02/12/20 21:41
皆様お久しぶり!ちょこバト見参!

>438
足取りも速く、控え室に戻ってきた一同。
やはり周囲に人影はなく、不気味なほど静まり返っていた。
控え室も同様である。誰もいなかったのだから、当然といえば当然であるが。
(やっぱ、おかしい)
思っても口には出さず、ひとまず、部屋を出たときと同じように散らばる一同。
「・・・2人やな」と、増田。
「3人でしょ」と片桐。
「・・・おい。兄貴は」「まだ帰ってきてないじゃん」「けどなあ」
死人と一緒にカウントすんな、と礼二が立ち上がりかけたところに、
「おい、なんか聞こえるぞ」
岡田が何かを聞きつけていた。
いっせいに静まり返る一同。
その耳に聞こえてきたのは・・・。

・・・モーター音?

「あ、俺のや」
はいはい、と大阪に限らず中年のオバハンよろしく、電話を探す礼二。
その姿に一同が軽く脱力したのは、いうまでもない。
「緊張したり気が抜けたり・・・気ぃ休まらんわ・・・」
松口が大仰に腰掛けると、パイプいすが派手に音を立てた。
それは、通話中の礼二を除いてみな同じ。
「だよね〜・・・」
床に座り込んだ片桐が、それを代弁したように思えた。

(ついてないなー・・・。泣かしたしライブ流れるし。
・・・仕留めそこなうし)
ひそかに、誰かが思っていた。
928名無しさん@お腹いっぱい。ちょこバト。:02/12/20 21:45
ふう、久しぶりにのっけてみました。
緊張するね、なぜか。
ちょこバトさん、復活おめでとうございます。
その次に私ですいません・・・。
だんだん訳が分からなくなってきてます・・・。


「コバ、今起きたんか。なんか大変なことになってるみたいなんや。
コバも来てくれるか?」
小林が掴んだ腕をゆっくりはらいのけながら陣内は小林に言った。
しかし小林は険しい表情を浮かべ「いいか、陣内。今からする話は全部ほんまの
ことやからな。疑わずにちゃんと聞けよ。」そう言った。
陣内は少し驚いた。今まであまり見たことない真剣な表情。
もしかしたらこの事件の手がかりを知っているかもしれない。
しょっちゅう嘘をついているコバだけど今回は嘘などつかないだろうと思い
陣内は話をきくことにした。
「わかった、ほんまの話なんやな。今回だけは信じてきくわ。」
「そうか、ありがとうな陣内。こんな俺を信じてくれて・・・。
ほないわせてもらうわ。」陣内は口の中にたまった唾を飲み込み、小林の口が
開くのを見守った。
しかし小林の口からでた言葉はとんでもないものだった。
「実は俺はbaseの平和を守る大王なんや。」
929の続きです。

・・・・・・・・・・・・。陣内は少し絶句した。
そして数秒後ちょっとキレ気味で
「・・・お前なぁ、こんな時にまでしょーもない嘘つくなよ!!」
陣内は顎を前に出しながら小林を叱った。しかし小林は
「嘘なんかやない!!ほんまの話やねん!!!言いか、よく聞け。
baseを作る時に俺はある人物から使命を受けたんや。
”baseがいつまでも平和である為に張った結界を守ってくれ”って言われてん。」
使命?結界???陣内は聞きなれない言葉を耳にしたせいで
余計に腹がたってきた。
「はぁ?なんかわけわからんわ。っていうかある人物って誰やねん??
新田さんか?それとも大木さんのことか!?」
「まぁ誰かは今言うことはできんのやけどな・・・お前もよく考えてみぃ。
この三年間、いろいろあったけど全て順調やったやろ?
最初客が入らんかったけど、皆が努力して手売りをしてたらいつのまにか
満員御礼になっとった。けど、人気がでた分芸人をアイドル視しているアホもでてきたわけや。
そしたら次はそいつらを排除するために出待ち禁止にしたわけや。
でもまだそれは解決はしとらんけど前よりはだいぶましになっとるやろ。
最近じゃ写真やチケットを売る奴らも取りしまっとる。
それもこれも全て俺が結界を守ってたおかげなんや。」
小林の言う言葉は、なぜか説得力がある。
だから陣内は嘘でもほいほい信じてしまうのだ。
こんな時間にすみません。
しかし会話ばかりですね・・・・。
930の続きです。

「そうやな・・・ここ三年間、いろいろあったけど大きな事故やトラブルもなかったし・・・。
その結界っていう人のおかげなんか?」
「結界は人やない!!まぁ小学生レベルの陣内でも分かるように言うと
バリアみたいなもんや。」
小林は陣内に小学生でも分かるように説明してあげた。
「世の中はいい事も悪い事もちょうどいいバランスを保ちながら過ごしているんや。
それは世界中のあらゆる所に結界っていうバリアが張り巡らされてるから
平和やねん。でも、その結界がある拍子で壊れたりすると天災や戦争が
起こるんや。ちなみに大阪やと環状線が結界になるんやけどな。」
陣内は小林の話をまじまじと聞いた後
「はぁー、なんかコバってすごいな。そんな難しいこともしっとるんや。
って事はここにもバリアが張ってあるってことなんやな。」
小林を尊敬のまなざしで見ながら言った。
「そうや、それを俺が今まで守っててん。・・・・ところが!その結界が今日
あるものの手によって壊されてもてん。それが原因でさっきみたいな事件が
おこったんや。」
陣内はコバヤシの話を80%ほど理解できたらしく
結界の意味も何となくだが分かってきた。
「そうか、そのせいで川島達がおかしくなったりしたんやな・・・。っていうか
その結界壊したやつって誰やねん。ほんま迷惑な奴やなぁ。」
そう陣内が言うと、小林は人差し指を陣内の顔めがけて指し
「お前やーーーーー!!!!!」
「・・・・・・え?」
932名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/22 00:37
にろはちタソのご降臨待ちage(でもマイペースにがんがって
933名無しさん@お腹いっぱい:02/12/22 14:22
にちはろたんが来る前にスレが1000越えしてしまったらと
ちょーっぴり心配になる今日この頃。
934名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/22 19:38
にろはちサン頑張って。
935名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/23 18:48
>>931

すごいおもろいです。がんばってください。
936名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/24 15:21
にろはちサン頑張って。
937名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/25 11:32
にろはちタソのご降臨待ちage
938名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/26 10:32
にろはちサーン
939名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/26 11:27
おーいおーいにろはちたーん
あのさ、そんなにマメに呼ぶ必要があるのか?
自分もにろはちさんの文は楽しみだけど…ご本人にプレッシャーを与えるだけでなく、
他にも色々書いてくれてる方々が書き込みづらくなるのでは。

仕切り厨スマソ。
ども。931の続きです。
面白いといってくださった方ありがとうございます。

陣内は小林に言われた意外な言葉にびっくりしながら
「お、俺?俺なんもしてへんって!」と言った。
しかし小林は「いーや、お前がやったんや。
よく思い出してみろ。お前さっきのライブで何か壊さんかったか?」
「え・・・?何か壊した・・・・?」陣内は頭の中で記憶をたどっていった。
「・・・・・・・・!あーーーーーっ!!!!!」
すると何か思い当たることがあったらしく大声で叫んだ。
そう、それはちょうど今から2時間ほど前の事だ。
陣内、サバンナ、ビッキーズ、野生爆弾、麒麟が出ていたライブでの事。
陣内がMCを務め、他の4組がネタを終えて最後にトークをしている最中に起こった。
その日のテーマは「小さな幸せ」ということで話していたのだがその中で
野生爆弾、川島が放送禁止レベルのとんでもない答えをフリップに描いていた。
野生爆弾川島はトークの度にとんでもない事を言って先輩芸人から
よく怒られている。しかしそれが芸人としての川島の売りなのだが。
今回も陣内が「こんなんファンダンゴで放送でけへんで!くーちゃん!?」
と、いつもの調子で怒りながらフリップをとりあげた。
周りからは笑い声が溢れかえって、周りにいる芸人達も大笑いしていた。
そして陣内はそのフリップを野生爆弾のロゴが貼ってある柱に立掛けようとした。
しかし、なかなか上手く置く事が出来ずに何回も立掛けようとしていた。
その姿がなんともおかしく客席からクスクスと笑い声が聞えてきた。
横で見ていたビッキーズの須知も「陣さん、それ無理ちゃいます?」と
陣内を止めようとしていたが、陣内も後には引けないらしくしつこく立掛けようとしていた。
すると、突然何を思ったのか野爆のロゴマークをベリっとひっぺがえし
そこにスケッチブックを立掛け残ったロゴマークを川島に「はい。」と渡した。
「えええ!!陣内さん!?」周りの芸人達も陣内の突拍子もない行動にビックリしていた。
しかしそんな周りの反応に気付きもせず陣内は
「あ、大丈夫、後で元に戻しておくから。」あまり気にしてない様子で答えた。

――――という出来事が今から二時間前に起こったのだ。
おぉっ、続きですね
陣コバ好きの自分からしてみれば、
にろはちさんのも名無子さんのも気になるんですよねw
野爆のロゴマークが結界のキーアイテムになってるんでしょうか?
続きが気になります。

>>940
同意、上げついでにってのはあると思うけど
そんなにしなくても良いのでは?と、
943名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/28 00:48
次スレの準備した方が良いですねー
944名無しさん@お腹いっぱい。:02/12/28 19:41
にろはちさんの分は残しとかないと・・・と
思うと話作っても書き込めないので、次スレ待ちーー
>942さん
続きを気にしてくださってありがとうございますー。
>944さん
もうすぐ950超えますよね?
やっぱり新スレに書き込んだほうがよいのでしょうか?

というかこれで一レス無駄にしてるかも・・・(ワラ
この板のhtml化の激遅っぷりはもう嫌ってほど思い知らされてるので
話の続きは新スレに移行してからをキボン。

ついでに、こっちのスレは必要最低限の保守書き込みのみでレスの無駄遣いを
しないようにしつつ1000まで残しておければいいよNE
俺はモロ規制に引っ掛かって無理なので新スレ立てるとしたら誰か優しい人お願い。
ついでに、誰か優しい人、にろはちたんの小説まとめうpしてほしい…
948名無しさん@お腹いっぱい:02/12/30 13:33
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1041222722/l50
新スレ立てました。
どうぞ、こちらへ・・・
949真実
    あるネット関連会社の社長は、「いずれにしても2ちゃんねるは
資金が底をつけば終わり。あまり知られていないことだが、
2ちゃんねる内部関係者によると今、大手通信会社系が調査費名目で資金提供している。
だが、それが止まれば続けてはいけないだろう」と証言する。
2ちゃんねるが判決によって力を失った場合、資金提供の打ち切りも予想される。
http://ascii24.com/news/reading/causebooks/2002/07/01/636911-000.html

 以下、別の記事のキャッシュ http://memo2ch.tripod.co.jp/article.html
 2ちゃんねるに近いあるインターネット関連会社の社長は、2ちゃんねるの幹部から得
た話として証言する。「2ちゃんねるは、運営者や幹部などがそれぞれ別々に会社を
作りカネの流れを見え難くしているが、実際の資金源は複数の大手通信会社系からの
調査費名目のカネ。月額で計約700万円と言い、年間にすれば1億円近く。額はともあ
れ、これは通信会社系的には、ぼう大なトラフィックを調査すると言う表向きの理由
が一応は立つ。自社系に都合の悪い書き込みがされた時に優先的に削除してもらうこ
とも期待している」と前置きし「通信会社系の削除の期待も含めて、2ちゃんねるは
総会屋と同じになっている」と言うのだ。
 その具体的な理由として社長は、こう話す。「2ちゃんねるはボランティアの削除人
が書き込みをチェックして、好ましくない書き込みを一所懸命削除している、という
ことになっているが、あれはウソ。削除人には給料が支払われ、その給料の原資と
なっているのが、まずいことを書き込まれた企業が削除要求とともに渡す裏金。これ
はまさに、総会屋の構図そのものだ。これまで裁判になっているのは金額で折り合え
なかったり、裏金を出さない強い態度の企業とだけだ」