松本 松本人志
題【大阪は笑いのメッカではない 笑いに閉鎖的なのである】
今回のテーマは、ズバリ、’大阪人よ、あんま図に乗るな!’である。
これはべつに大阪を避難しているわけではなく、オレが大阪人だからこそ、
大阪を愛しているからこそ言っているのだ。
大阪人としゃべっていると、よくこんな言葉が飛び出してくる。
「大阪は笑いのメッカだ」「大阪人が二人よれば漫才になる」。
いかん!いかん!非常にマズイ!オレに言わせれば、
君たちの笑いのレベルはそんなに高くない!
「大阪人は笑いに厳しい」
それもチョット違う!厳しいというより、
自分になじみ深い人でしか笑わないのだ。
この前の一万円ライブのときに感じたのだが、
東京の客(東京公演だからといって、すべて東京人だとは思わないが)
のほうが笑いに対して柔軟さがある。
逆に大阪は、《ボケる》→《ツッコむ》→《笑う》という固定観念が
非常に強く、ツッコミのない笑いはおもしろいと思っても
どこで笑っていいのか分からないようだ。
ハッキリ言って、大阪は笑いに対して閉鎖的である。
確かに大阪は笑いの番組がたくさんあるし、笑いの基礎のようなものは
できていると思うが、応用がきかないのだ。
一日も早く「笑いといえば大阪」というおごりを捨てないと、近い将来、
大阪はつまはじきもののお笑い鎖国になってしまう。
世の中にはいろんな笑いがあることに気づき、それを受け入れる
やわらか頭を持つべきなのだ。
大阪芸人にも図に乗ってる奴が多い。いま日本のお笑いは
チョットした大阪ブームらしい。確かに東京ローカルのバラエティー番組を
見ていても、大阪弁が氾濫している。大阪芸人はかなり増えた。
しかしそれもオレが思うに、あの漫才ブームの人たちや、ダウンタウンが
がんばって東京に道を作ったからである。《大阪芸人はおもしろい》という認識を
定着させたのは、我々の努力である。
それをわかっているのか、いないのか、中途ハンパな大阪芸人が
当たり前のような顔をして、どんどん東京に流れて来やがる。
我々の作った道路を鼻歌まじりで歩いていやがる・・・・・・。
そのうちバレるだろう、東京の番組に出ている大阪芸人のほとんどは、
ショーパブの兄ちゃんやお笑い同好会程度の奴らだということが。
今、受け入れられやすい状態だからこそ、慎重に吟味してもらいたい。
買い手がいるからといって、不良品ばかり流していると
オレらまで返品されかねない(それはないか)。
もう1度書いておこう、「大阪人よ、あんまり図に乗るな!」。
あなた方が思っているほど、大阪は笑いでリードしていない。
おもろい奴もいっぱいいるが、おもろない奴はもっといっぱいいる。
そして今、大阪芸人が重宝がられているのは、オレをふくむ
一部の人たちのがんばりがあったからだけである。
一に東京、二に東京、三、四がなくて五にそろそろ大阪あたりを
入れといてやろうか、である。
それさえわかっていてくれれば、オレはいつまでも大阪が好きでいられる。