お笑いバトルロワイアル〜vol.3〜

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こんな空気の中、あえて続行してみるテスト。
>685つづき

有野の遺体は体温を失い、単なる冷えきった人形になってしまった。

加藤は有野の顔からアイスピックを抜き取ってやり、
鳥に啄ばまれないように茂みの中に遺体を運び終えた。
「クソが・・・」
気を失っていた時間を差し引けば、全てが終わるまでに5分もかかっていない。
生きている者の方が大事だ、と言ったものの、その大事なものはもういない。

俺は、何をすればいい・・・?
>769

喘息の発作で倒れたときに散らばったロケット砲の弾がそのままになっている。
武器は十分すぎるものがある。
生き残るために他の人間を殺せばいいのか?
でも生き残ったところでどうなる?
死体の山の上に築いた命にどれ程の価値がある?
俺は何のために生きればいい?

妻と生まれたばかりの我が子のことを想った。
そうだ、愛する家族のために生還しなければならない。
だが生還しても、血で汚れた手で我が子を抱いてやることができるだろうか?
他人の命を奪った身で、人を愛することが許されるのか?

この自問自答はいつまでたっても終わりそうにない。
その顔に狂犬と呼ばれた面影はなくなっていた。
771名無しさん@お腹いっぱい。:02/03/10 01:44
保全age
age
保守。
774名無しさん@お腹いっぱい。:02/03/14 18:44
作家の人達がんがれage
775名無しさん@お腹いっぱい。:02/03/14 18:47
    /∵∴∵∴\
   /∵∴∵∴∵∴\
  /∵∴ /\‖/ヽ|
  |∵/   ┰  ┰ |
  (6      、_|  |     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | \ 、、、、、、、、、〉   <俺が一番に決ってる。
   \   /二二//      \_________________
     \   丶丶/
776ヒマナスターズ:02/03/15 03:03
>>748の続き


豊本は茫然としていた。
目の前で倒れた影が、紛れもない自分の相方だと理解するまでに
かなりの時間を要した気がした。
「ト…ヨ……」
自分を呼ぶ掠れ声。それは今まで
何度となく左耳に飛び込んできていた声。
たった今床に崩れ落ちたのは他でもない、
いつも隣にいて、事あるごとに自分を容赦なく叩いていた男だった。
「……飯塚さん…」

「飯塚さん!!」
我に返り、しゃがみ込んで飯塚の頭を抱え上げた。
丸く赤い穴のあいた胸元を見て、豊本は青ざめた。

「……ごめんな…」
「え…?」
息も絶え絶えに、飯塚は豊本の顔を見上げて言った。
「俺、ずっと後悔してたんだ…混乱してお前を殺そうとしたこと」
「……」
豊本はサバイバルナイフを手に襲い掛かってきた飯塚の涙を思い出した。
777ヒマナスターズ:02/03/15 03:04
>>776の続き

あの涙は、てっきり見えない恐怖に対するものだと思っていた。
しかし今思うと、飯塚が一番猜疑心を抱いていたのは
もしかして飯塚自身に対してだったのかもしれない。
そんなことを考えている場合ではないのに、豊本の頭の片隅では
その時の光景が繰り返し回り続けていた。

「しっかりして下さい!」
膝の上に横たわらせた身体からは、確実に力が抜けていく。
げほっという苦しげな声が聞こえると同時に、
吐血が飯塚の服を赤く染めた。
「もう、やばいわ俺……」
「…何言ってんですか!」
必死に肩を揺らしても、飯塚の反応は遠くなるばかり。
薄く開いた眼は、自分の姿をしっかりと捕らえているとも思えなかった。
「単独……もう一回ぐらい、やりたかったな…」
徐々に弱くなっていく呼吸の音。
豊本は思わず声を張り上げた。


「……やりましょうよ!!」
そう言って、
浅黒い飯塚の手を力いっぱい握り締める。
778ヒマナスターズ:02/03/15 03:05
>>777の続き

「またどっかの劇場借りて、
脚本書いて、フライヤー作って、映像作って、稽古して…っ」
それ以上は続けられなかった。横隔膜が思い切り跳ねたのだ。
それでも、豊本は必死で堪えていた。
滲みそうになる涙をこらえていた。

 ここで泣いてしまったら、目の前の現実を受け入れることになる。
 今自分が言っていることがすべて、嘘になる。

血にまみれた飯塚の口の端が少し持ち上がり、
精一杯の微笑をつくった。
「………よかった…断られなくて」
程なくしてその意味を理解した豊本は、堪えきれずに泣き出した。
初めての単独ライブ、最終日のエンドトークで
「またやろうよ」と誘われ、冗談で返事を濁したことを
飯塚は心の底で密かに根にもっていたのだった。
779ヒマナスターズ:02/03/15 03:06
>>778の続き

こんなことになるなら、ちゃんと返事をしておけばよかった。
こんなことになるなら。

「いいづか…さん…っ」
呼びかけた先にある潤んだ瞳は、言葉にならない言葉を語っていた。


”最後の最後まで敬語かよ”


その瞼は間もなく閉じて、それきり二度と開くことはなかった。

780ヒマナスターズ:02/03/15 03:06
>>779の続き

「う…あああ───っ!!」
擦過音にはっとして豊本は振り向いた。
矢作がその場にへたり込んでいるのが見えた。

矢作は拳銃を使ったことがなかった。ましてや、それで人を殺したことも。
体中が痺れるような衝撃と予想以上の轟音にすっかり気が動転して
矢作は腰を抜かしていた。

あまりの態度の豹変振りに、小木は驚いて矢作を見た。
「…矢作…?」
「……し…死ね!死ね!死ねったら!」
矢作の怯えた目が鈍く光った。
一向に照準の合わない拳銃を握る手はカタカタと震え、
すっかり血の気が引いている。
まるで何かに急き立てられるように次々に発射される弾丸。
しかし、それらはどれも標的を大きく反れて
天井や壁に穴を空けるだけだった。

「…………」
小木の顔に憐れみの表情が浮かんだ。
それと同時に、小木はひとつの決意をした。
781ヒマナスターズ:02/03/15 03:07
>>780の続き

小木はゆっくりと矢作に近づいた。
錯乱し、引き金を引き続ける矢作。
「来るな!!来るなあああ!!!」
やみくもに放たれる銃弾のひとつが肩を貫き、
勢いよく血が噴き出す。
それでも小木はかまわず歩み寄った。

殺人ゲームという狂気じみた状況に追い詰められて、
弱さを露呈した矢作を誰が責められるだろう。
自分が平常心を保っていられたのは
奇跡的に仲間と出会うことができたからであって、
もしあのまま独りで森をさまよっていたら
自分も矢作のようになっていたかもしれないのだ。
小木の中にあったのは、矢作をひとりにしてしまったことへの罪悪感と
それを償うための小木なりの手段だった。

心は既に決まっていた。
なおも引き金を引こうとする筋張った手を包み込むように握り、


小木は矢作のからだを抱き締めた。
782ヒマナスターズ:02/03/15 03:07
>>781の続き

「…え…」
震える背中をさする暖かい腕。
「怖がんなくていいよ。俺はここにいるから」
そう言って矢作の肩口に顔を伏せ、小木は歌い始めた。

 When the night has come and the land is dark
 And the Moon is the only light we'll see

それはある持ちネタの中で使った曲だった。

「……」
跡がつくほど強く心を縛り付けていた糸がふっと切れた気がした。
矢作の眼から涙が滴り落ちた。
背中から浸透する体温に、
こわばった体がだんだん柔らかくなっていく。
息苦しさに時折声を詰まらせながらも
気がつくと矢作は歌の続きを口ずさんでいた。

 No I won't be afraid, no I won't be afraid
 Just as long as you stand, stand by me
 So, darling, darling...
783ヒマナスターズ:02/03/15 03:08
>>782の続き

コントの中で歌っていた歌を、
まさかこんな場面で再現することになるなんて。
ライブの舞台の上と、もはや煙の充満した空間の中。
二つの対比がどこかおかしくて、悲しくて、
矢作はとめどなく涙を流し続けた。


何を迷うことがあったんだろう。
信頼できる相方と仲間がいると解っていたはずなのに、
どこで歯車が狂ってしまったんだろうか。

心も体も傷つき荒んでしまった自分を責めると共に、矢作は
そんな自分を受け入れてくれた小木の優しさに激しく胸を打たれていた。
できるならこの相方とふたりで、もう一度舞台に立ちたい。
切実にそう思った。


「stand by me…」
歌が終わり、矢作は小さな声で言った。
「…小木」

「ありがとう」
それを聞いて小木は微笑を浮かべた。
行動に移る時がきた、と思った。
784ヒマナスターズ:02/03/15 03:09
>>783の続き

おもむろに、小木は握り締めた拳銃の握られた手を
そのまま矢作の側頭部に向けた。


「……あ…!?」
銃口を突きつけられ、目を白黒させる矢作の耳元で
静かに囁く声がする。
「アイラブ矢作、だもんな。」
その次の銃声はもう聞こえなかった。
小木の腕の中で、矢作は事切れた。
そして、矢作が動かなくなったことを確認した小木は
今度は自分の額に銃口を向けた。
気付いた豊本が止めようとしたが、遅かった。
785ヒマナスターズ:02/03/15 03:10
>>784の続き

二人は重なり合うようにして床に倒れた。
「ごめん、豊本」という微かな声が聞こえ、
そこら中の煤が一斉に舞った。


これが自分の出した結論。相方を救うただ一つの方法。
エゴイストでいい、どうしても殺したかった。
矢作を。
自分を。


薄れ行く小木の意識を、最後の思考の流動が過ぎ去っていった。


 『夜が垂れ込めあたりが暗くなって
  月の光だけが輝いていても
  僕はちっとも怖くなんか無いよ

  君がそばに寄り添ってくれるだけで
  強くなれるんだ だからダーリン
  いつもいつも僕の傍にいておくれ』

786ヒマナスターズ:02/03/15 03:11
>>785の続き

倒れた衝撃でも、奇跡的にズレないまま固定された小木の眼鏡が
一瞬、光った。まるで
豊本の背後に迫る火の手の存在を知らせるように。

「……っ!」
既に煙臭くなった腕で顔を拭い、豊本は走り出した。
目にしみる煙と込み上げる激情で涙が止まらない。
それでも、立ちはだかる白く形のない壁を掻き分けて
豊本はひたすら出口を探した。
その唇は、呪文のように独り言を言い続けていた。


”お笑いバトルロワイヤル”って何だろう。
お笑い芸人として参加したい。極限状態だって笑って迎えたい。
そう思っていたけれど、

飯塚さんも、
矢作さんも、
小木さんも、
みんな死んでしまった。

俺だけが生き残った。


──こんなの、笑えない。

787ヒマナスターズ:02/03/15 03:12
>>786の続き

追い立てられるようにして、扉にしがみつく。
外側から何らかによって固定され、開かないドアに業を煮やし
豊本は大きめの窓をこじ開けて外に飛び出した。
硬い地面に着地した瞬間、伝わった足の痛みに
自分が生きていることをふと実感しつつ、豊本はなおも走った。

嫌というほどまとわりついていた熱からやっとのことで背中を解放され、
荒らいだ息を整える。
澄んだ空気を思い切り吸いながら、
豊本は自分の言ったことばを反芻していた。


『いいですか?”負けないこと”イコール”戦わないこと”なんです。』


胸の中で、何かが揺らぎ始めているのを感じた。

(続く)
788ヒマナスターズ:02/03/15 03:13
【飯塚悟志(アルファルファ)
小木博明・矢作兼(おぎやはぎ) 死亡】
>>761糞文。

カロリーが足りない。
でも、考えることくらいは出来る。

何だか、吐き気がする。
しかし自分は、このままいつか死ぬ。
だから、体調が云々なんてどーでもいいのだ。
気持ち悪い。
気分が良くない。
この状態は辛い。
…治したい。
今、そんなことを思うなんて。
さっき、死ぬだとか言っていた奴の考えだろうか。
哀れ自分の『意思』というモノはまだまだのようである。

なんでだ。
辛いのは嫌か?
そんなことはない。
今まで、空腹を何のことなしに乗り越えてきていたじゃないか、自分。
俺は死ぬつもりなんだよ。このまま死ぬ気なんだよ。
>>789

消化する物が無くなり、仕事の無くなった胃液が、喉のあたりまで染みているのだろう。
コレが吐き気の原因だろう。口の中が苦い。
この島に来てから、自分の健康状態の基準はかなり変わった感じがする。変に丈夫になっていると思う。
でも今の自分は、かなり死に近いところにいる。
あと一歩踏み込めば、死ねるはず。そして一歩退けば、…生きることができる。多分。

そもそも自分は何故「死」を思うようになったのか。
大内は、虚ろな頭で考えた。

それは、単純に“生きててもしょうがない”と思ったからである。
何故、生きるのか。
何故、人を殺さなくてはいけないのか。
何故、笑顔で人を殺せるのか。
死んでしまったら、もう何もないのに。
笑うことも泣くことも怒ることも、人を笑わせることも。

おかしい。
大内は、自分の考えの矛盾に気付いた。
>>790

自分の死を望んでいながら、死を哀れみ、殺人を非難する。

結局自分は、あの状況で1人だけ取り残された事で弱気になっていたのである。
あるいは、自己中心的。
「……フ」
自嘲気味に、大内は笑った。
勿体無い。せっかく助かった命。
有効利用しないでどーする。
それに、俺にでもできることはあるはずだ。
「…腹」
…が減った。
たいして思い悩んだワケではないのだが、何となく吹っ切れた感じがした。
久しぶりに腰をあげる。足がフラフラした。
「腹減った…」
この非常なまでの空腹をどうにかしたい。
そう思って、洞穴を出た。久しぶりに。
歩く力はわずかながら残っているようである。
外は薄暗い。夜が近いのか。
生の空気が美味しかった(空腹は満たされないが)。
まさに「生きてるって素晴らしい」である。
「恥ず…」

大内は「無駄に死んではいけない」と思った。
792_:02/03/15 23:24
793 :02/03/15 23:28
まだ続いてたんだね、コレ。
おぎやはぎ感動しました。
795名無しさん@お腹いっぱい。:02/03/17 11:07
期待保守age
796名無しさん@お腹いっぱい。:02/03/20 01:52
期待保守age
797書いていいですか:02/03/21 03:06
こんな空気ですが松口・大上・陣内借ります。


>>738

「なぁ…どうする?」
「せやなぁ」
煙草を燻らしながら、大上、松口、陣内の3人はこの会話を何度も繰り返した。
小屋では、松口の煙草の煙に混じって、コバの血の香りが残る。
陣内はそれに極力目を向けないようにした。

その陣内の視線の先に小さな窓がある。
コバと、この小屋に来たとき何気なく、
扉から逃げられなくてもあの窓なら逃げれるな、と思った窓だ。
その窓に黒い人影が過った―気がした。

気のせいや。
気のせい―?
―気のせいであってくれ―

「陣内?」
大上が顔を覗かせた。
唇を振るわせながら陣内の見る視線の先の小窓を見る。また陣内に振り返る。
「何か、おったか」
松口が陣内に問う。
「気のせいやと思う」
陣内は即座に答える。しかし、それは陣内自身の願望に過ぎない。
798書いていいですか:02/03/21 03:10
>>797

目が疲れてるんかもしれん。
せや、俺、目悪いし。

そう思いこんだ瞬間に、次はゆっくりと移動するソレを見つけた。

「あかん!誰かおる!!」
先にそう言ったのは大上だった。
「アホか!デカイ声出すなやボケ!」
松口が小声で怒鳴る。

陣内は―唯、震えるだけだった。
コバが死んだときのことがフラッシュバックする。
その映像のコバヤシが、頭の中で自分に摩り替わる。
前向きに進もうと思ったのに、頭の中では切りかえられて無いようで。
大上の服の裾を少し、握った。

松口がドアの鍵をかける。
それとほぼ同時、ドンドンと強く扉を叩く音がした。

ドンドン、ドンドン。

名乗る気配も入ってくる気配も、今のところ、ない。

799書いていいですか:02/03/21 03:11
>>798
「あの窓から逃げよか」
大上が提案する。
幸い全員細身で、その窓から十分抜け出せそうだった。
「そやな。」
陣内が頷き、立ちあがった。大上も次いで立ちあがる。
ただ、松口だけは座り込んだままだった。
「松口、行くで」
大上はまた心配になった。しかし自分には逆らわずに今まで着いてきたのだ。
が、腕をひっぱっても松口は立とうとしない。

ドンドン。

音は一向に止まない。

ドンドン。

「信用できるやつかもわからんやん」

ドンドン。

「陣内先行け。俺、松口説得するから。」

「―嫌や!!」

陣内は自分の声に一瞬にしてどっと冷や汗をかいた。
自分の声は想像以上に大きかった。

『―陣内?』

ドアの向こうの人物が、そう応え、ドアを叩くのを止めた。
80085 ◆jy1WXWxQ :02/03/21 04:19
誰の目にも付かない、川の上流の大木に隠れた洞窟の奥。
レギュラーの松本はゲームが始まってからずっとここに、一人でいた。
バトルロワイヤルは、彼にとって他人事のようにしか感じられなかった。
他の芸人達の喧騒を遠くに感じながら、松本はただ一人
淡々と毎日を過ごしていた。
昼間は川で魚を採り、森を少し歩き、定期的に流される放送を聞き、
後は洞窟で眠る。

彼に与えられた武器は、万年筆とノートだった。
ゲームの始まった初日から、松本は日記をつけることが
日課になっていた。
80185 ◆jy1WXWxQ :02/03/21 04:20
>800
○月×日
今日からバトルロワイヤルが始まった。
初日なのに、放送で死んだ人たちの名前をたくさん聞いた。
他の人たちは、早速生き残るための戦いを始めたんだと思った。
皆状況に適応する力があってうらやましいな。
僕には他の人たちにできることがどうしてできないんだろう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○月×日
放送でガブンチョのメンバーがたくさん死んだのを知った。
悲しいのかな?よく分からない。
生き残ってるのは僕のほかには西川君と川島君と田村君だけだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○月×日
西川君と田村君も死んだらしい。
西川君。西川君。にしかわくんにしかわくんにしかわくん。
80285 ◆jy1WXWxQ :02/03/21 04:22
>801

○月×日
びっくりした。今日、森で川島君を見かけた。
すごく変わってたけど、あれは川島君だったと思う。
すごく痩せてて、服がぼろぼろで刀持ってて、顔は鬼みたいで
髪が逆立ってた。スーパーサイヤ人みたいだった。
血を吐いてた。声をかけたけど気付かずに行ってしまった。
追いかけるべきだったろうか?

松本は今日の分の日記を付け終わるとノートを閉じて、眠ろうとした。
横になって目を閉じると、既に死んだ相方の西川の顔が瞼の裏に
浮かんできて涙が流れる。
死ぬのは恐くなかった。ただいつまでこうしていなければならないのか。
終わりの見えないことが彼にとってはずっと恐怖だった。
803書いていいですか:02/03/21 18:04
>>798

その独特の低い声の主は。
「―竹若、さん?」
いち早く気付いたのは陣内自身だった。

「陣内!なぁ!どういうことやねん、あの―」
一拍置いた。
「…たむら」
声が小さくなった。
「他にもいっぱい見たで。徳井とか、フジワラもやし、河本も、宇治原も」
小屋の中の3人は、自分が悪いわけじゃないのに、押し黙ってしまう。
「竹若さん、とりあえず中、入りますか?」

「いや、ええわ」
804書いていいですか:02/03/21 18:05
>>803

思わぬ返答に3人は顔を見合わせる。

「何でですのん?」
「―ええから、裏や、裏行け」
「裏って、窓ですか?」
「そうや!はよ行け!はよ出ろ!」

竹若の只ならぬ雰囲気に、3人は順に窓から外に抜け出す。
と、同時に、新しい声がする。

「ここには誰もおらんかったんか?」

その声はバッファロー吾郎の木村であった。

「お前さぁ、ほんっまに信じられる人間探す気無いんか?
 誰がコバのこと殺したかなんか、わからへんやん。それを見境無く殺すやなんて」
竹若の説得するような声が聞こえる。
「死にたいんか」
木村が冷たく言い放つ。

木村が竹若を、多分武器か何かで脅してるようだった。

陣内は思った。あのコンビの仲の良さは偽りだったのだろうか、と。
805書いていいですか:02/03/21 18:07
>>804

「陣内、行こ」
大上が陣内に耳打ちした。
「竹若さん、見殺しにすんのか?」
「お前、竹若さんが俺らのためにしてくてとること無駄にする気か?」

コバのしてくれたこと。

陣内はそれを思い出し、また一瞬固まってしまう。
コバは自分を生かしてくれた。自分の命を犠牲にしても。
俺はその命を棒に振ることになっても、竹若さんのところに向かうべきか?
それとも自分を生かしてくれる人のため、命を落とすのを見届けるか?

「竹若さんとこ行くわ、俺。二人先行って」
「そんなん」
「気にすんなや」
「あかん陣内!」

大上が今までに無いぐらいの力で陣内を引っ張った。
大上の左手に握られていたのは、松口がどこからか手に入れた双眼鏡。

「おい、なん―」
806書いていいですか:02/03/21 18:08
>>805

「おい!そこ誰かおんのか!」
木村が叫んだ。
ああ、竹若の気持ちを無駄にしてしまった、と陣内は思う。
「木村、待て!陣内や、陣内!」
竹若が言う。
「陣内?!ここの小屋におったんちゃうんか、こいつ!コバ殺したんは」
「そんなんすると思うか?!ヘタレの陣内が!」

出来るだけの時間稼ぎをする竹若の声。
それが逃げろの合図。

「大上、何があったんや!」
松口が早く逃げようと言わんばかりに急く。
「ヤバイやつがおるわ―」
「はぁ?!」
「川島、川島がおる」

「おい、出てこいやコラ!先輩命令じゃ!」
木村が叫ぶ。

「俺、言うてくる!」

陣内は小屋の影から体を出し、扉の方に一目散に走っていく。
『陣内!』
ハリガネの二人は同時に叫び、陣内を捕まえようとしたが遅かった。
807書いていいですか:02/03/21 18:08
>>806

「木村さん竹若さん、川島がこっち向かってます!」
「関係無いわ」
木村は冷たく言い放つと、陣内の額に銃口を向けた。
「木村、お前はアホやわ」
「何言うてんねん、武器も無いクセに」
木村は発言主の竹若にツバを吐く。
そのとき木村の体が少しよじれ、銃口が少し、陣内からそれた。

「陣内目閉じろ!」

どん、と篭った音がした。

「まだ開けんな!」

パン、と乾いた音。

音が止み、ゆっくりと目を開けてみる。
そこには。

うつ伏せになった丸い背中に、赤い点が出来、赤い水が止めど無く流れる。
木村。
竹若の肩口からは大量に出血してはいるものの、命はあった。

「竹若さん、大丈夫ですか?!」
「俺はええねん、行け」
「そんなんできませんよ!」
「偽善はええ、今そんなんいらん、無礼講や」

「ウソやない!!」

陣内は大声で言った。
ウソはキライだ、ウソをつくなんてもう自分には絶対に出来ない。
808名無しさん:02/03/21 18:48
新スレ立てました。移転お願いします。
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1016703885/
809名無しさん@お腹いっぱい:02/03/25 09:48
過去ログ逝き阻止age
810三つ目が通る:02/03/27 11:28
(一応調べたんですが多田死んでたらごめんなさい)
(まだコバが殺される前の話)

COWCOW多田がやる気なく歩いていると前方に小屋が見えた。
小屋自体は夕陽に照らされて中に人が居るのかわからない。
ドアの前にはたむらが倒れていた。とりあえず窓越しに中をうかがう。
(陣内さんとコバさんや。あの人ら同期で合流できるなんて運エエなぁ。
よしは死んだって放送されたし2チョの2人も・・・土肥も・・・
他のフル大メンバーとかどうなってるんやろ・・・)
多田がそんな事を考えていると「ドンッ」という鈍い音がした。
この位置からはドアの方は見えないがたむらになにかがあったのだろうことは予想できた。
ドアの方をうかがいに行くとチュート福田がライフルを持っている姿が目に飛び込んできた。
しばらく何かを言い合っているようだったが何を言っているかは聞こえなかった。

そしてしばらくして銃声が鳴り響いた。
811三つ目が通る:02/03/27 11:38
ショックだった。目の前で人が殺された事が。
それが知っている人間同士だという事が。
今まで自分は幸運だったのかもしれない。
誰が殺される瞬間も見なかった。それ所か知ってる人間の死体さえ見なかった。
“よしが死んだ”この事実を知ってもそれ程ショックではなかった。
どこかで生きてる。そんな気がした。
自分は死と言うものを・・・バトルロワイヤルと言うものを・・・
完全に理解していなかったのだ。

よく東京に来て自殺したいとほのめかしていた自分をすごく恥ずかしく感じる。
僕は今まで「生きる」ってことをそんなに深く考えていなかった。
「死にたい」って言った時はげましてくれたよしや小堀、修士の分も生なあかん。
そうや。生きるんや。

そう思うと急に生きてることを感じた。
そして空腹でのどが渇いていることを思い出した。

とりあえず生きるために武器がひつようだ。武器を探しに行った後で
もう1度この小屋に戻って来よう。さすがにたむらさんも陣内さんも
その頃には居らんやろ。
812三つ目が通る:02/03/27 11:56
多田が銃とナイフ、トランシーバーを手に入れて戻ってくると
小屋の外にはまだたむらが居た。もう1夜明けて空も大分明るんできていた。
どうやら先ほど殺された小林を埋葬しているようだ。

陣内さんはどうしたんだろう?まさかたむらさんが・・・?
ありえない話ではない。半日前、人が殺されたばかりではないか。
それに何より自分が殺るきでいっぱいなのだ。とりあえず話しかけてみよう。

「たむらさん?」
「誰や?」
「多田です。COWCOWの」
「おぉ!」
「お一人ですか?」
「いや、陣内が今、小屋におるねん。あいつ、今はそっとしといてやったほうが
エエとおもて。」
「僕、いまのどからっからなんですよ。
小屋が見えたんで小屋には水あるやろとおもて来たんですけどそれじゃあ入らんほうが良いですかね?」
「いや、一緒に小屋までいこか。陣内もそろそろエエ頃やろ」
813三つ目が通る:02/03/27 12:02
小屋まで行ったが小屋の中の陣内はすでにいなくなっていた。
「っかしいなあ・・・。もしかしたらあいつ自殺する気ちゃうか?」
「自殺?」
「そーや。あいつのためにコバが死んだんや。そのせきにん感じて。アホやから。
あいつ。」
「どうします?探しに行きます?」
「あー、そーやな」

とりあえず多田ののどをうるおし外に出る。

陣内が山を下ったかもしれないという事で山道の下のほうを見ていると
ハリガネの2人がこっちに向かっているのが見えた。
(やばいなぁ。アホのたむら1人やったらいつでも片付けられるけど
ハリガネさんと合流されたらやばい。人数も増えるし、松口さんも大上さんも
結構鋭いから、殺意あるんばれるかもしれんしな)
814三つ目が通る:02/03/27 12:21
「福田が来よった!」反対側の路を見ていたたむらが叫んだ。
「福田がどうしたんですか?」白々しく聞いてみる。
「コバ殺したんあいつや。俺があいつ殺したる!」

ここでたむらと福田に格闘などされてはハリガネが来てしまうではないか。
それだけは阻止しなければ。

「福田を殺る気ぃなんですか?」
「あぁや(当たり前や)」(←興奮していて舌がまわってない)

しゃーない。たむらにはここで死んでもらうか。
多田は持っていたナイフでたむらを2度刺した。

「なんでや?なんで俺が殺されなあかんねん」
「しょーもないときに福田が来よるからや」
「ヴラァ」たむらが多田に襲いかかる。
多田はたむらのパンチを直でくらった。
あかん・・・逃げな。福田が来よる。

多田はたむらの足にナイフを刺すと藪の中に隠れた。
815三つ目が通る:02/03/27 12:36
そしてこのスレの>>46に続く。
>>810
多田&山田を書いていたものです。筆力不足のため途中で投げ出したのですが、
使っていただいてありがとう。
今後も私は書く予定はありませんので、よろしければ多田の動向は三つ目さんにお任せします。
いや・・・あのさ。
新スレの方に書いてくれよ
818三つ目が通る
>817
時間がずれすぎだからって思ったんだけど。