―――卒業式。
今日であやねはこの制服を脱ぐ。
ピンとは目も合わせてない。でも視線だけは感じる。
ぱっと顔を上げるとピンが呼んでいた。
どうしようかと悩みながらもピンの傍に近寄る。
「今日で卒業だな」
「うん」
「まだまだだが、一歩ガキから成長したな」
(そのガキに脱がすだなんだと発言した教師のセリフかこら)
「で、何?」
「携帯教えろ。んで今日これからクラスのやつらとの集まり終わったら家に来い」
「何するつもり?」
「もう一段階大人に近づくのもオツじゃねーか?ニシシ」
何処までエロオヤジだと思いながらも、首はコクリと縦に落ちた。
そこから先はたぶんずっとうわの空だった。
気づいたら私はピンの家まで走っていて、体当たりするようにピンの体の中に入った。
「おせーよ」
「遅くないわよ。ちゃんと一次会しか出ないで急いできたわよ。メイクなおしたかったのに」
「お前厚塗りだからはげたくらいが丁度いいんじゃねーか」
「殺すわよ?」
二人で抱き合って付く悪態は今までにない甘さが広がる。
「私って馬鹿よね」
「あ?」
「こんな最悪な男…しかも担任に惚れて卒業式からあんたの腕の中に入る事しか考えられなくて…」
一次会で切り上げて髪も顔もキレイに整えるのも忘れてあんたに体当たりして…
かっこ悪…
あやねのつぶやきに、ピンの腕の力が一層増した気がした。
「ところで…あんた部屋キレイにしてあるでしょうね…」
「あ〜…ぼちぼち?」
「なんで疑問形なのよ」
「うるせーよ。つか離れろ。ここは玄関だ。アホ」
「じゃああんた放しなさいよ。馬鹿力で抱きしめてるのは何処のバカよ」
「口の減らねぇ女だな」
「口の減らない男ね」
その口は…塞いでしまえばいいんじゃない?
弄りあうように唇を押し付けて、あやねのぽってりとした唇に舌を這わせる。
残っていたグロスを舐めとって、そのまま口内へと進む。
体は宙に浮いてキスをしながら広くないピンの部屋の奥へと進む。
「まだ…制服…」
そう言えば、はっとピンは唇を外してあやねの体を畳の上へと置いた。
「風呂入れ」
「え?」
「それ脱いでこい」
「制服?そんなにこれ嫌なの?」
「お前は今日で脱ぐからいいだろうけどなぁ、俺はずっとそれ見てんだぞ?犯罪者にでもなった気分で勃つもんも勃たねえ!」
言われたとおりにしようかと悩みながら、あやねの顔にニンマリと嫌な顔が浮かぶ。
「ふーん、じゃあ制服見るたんびに思い出しちゃう?」
ふわっとブレザーを脱いで、緩くつけられていたリボンをポトンと落とす。
「お、お前、や、やめろ!」
「こうやって脱いでいく私を思い浮かべちゃう?」
靴下をスルリスルリと脱いでぽいっとその辺に放る。
そしてスカートのホックに手をかけた。
「こうやってスカートが落ちる瞬間や…」
「こうやってワイシャツのボタンをどうやって外していたのか…」
思い出してくれる?
あやねの意地の悪いストリップが続くかと思えば、シャツもすべて脱いで下着だけになったあやねをピンは押し倒した。
「いた…」
「てめぇ…よくもやってくれやがったな…」
「ピン、顔真っ赤」
「赤くねぇ!ガキのストリップなんざ…見たって…」
「その割には反応してると思うけど?」
するっとピンの局部を触れば、ピンの体はびくっと跳ねる。
それを確認して嫌な笑みをますます深くする。
「こ、この…痴女!魔女!淫乱糞女!」
「あんた…そこまで言う?」
クックックと喉で笑うあやねに、反撃とばかりにピンもニヤリと笑う。
「一足飛びに大人にしてやらぁ」
ピンの大きな手と太い指があやねの体をツーっと這う。
その刺激にピクンと動いて小さめの吐息が溢れた。
後ろを向くように言われピンに背を向けるとピンの舌が腰から背中へどんどんと登ってくる。
ブラジャーのホックに当たると、そこに歯をかけ、プツリとはずす。
「野獣のくせに器用じゃん」
「うるせ…」
ブラジャーはあやねの放漫な胸を隠すのを止め、重力に逆らうこともせず堕ちていく。
後ろから抱き締められると、完全に支配されたように感じて、あやねはまた吐息を漏らした。
そのまま後ろから手を伸ばされ、胸の突起をきゅっと掴む。
声を上げる間もなくピンはあやねの首筋にキスをした。
「ん…」
「お前、ここスゲー良い匂いだな」
「そう?」
「…たまらん」
「おやじ」
髪をかき上げてウナジにから耳の下、顎、鎖骨、匂いを嗅がれながら愛撫される。
「変態みたい」
「おお、今気づいたか」
「あんたね…」
それが教師の台詞と言いたかったのに最後まで言えなかった。
ピンの指が知らず知らずにあやねの局部に達していたのに気付かなかったあやねは急にそこを撫でられてビクンと跳ねたからだ。
パンツの横からそっと入ってきた太い指は、少しだけ湿ったそこを撫で、出てきた蜜を絡め取ってそのうえにある突起を弾く。
「ピン!」
今まで、呼ぶと感情が抑えられないからと呼べなかった名前を狂ったように呼ぶ。
呼んで呼んで呼んで、善がる。
腰が熱い、頬っぺたが熱い、お腹が熱い。
冷たいところを探して手を伸ばす。
一番冷たかったのはピンの頬っぺただった。
頬っぺたを挟んで、顔を覗き込む。そして名前を呼ぶ。
「〜〜〜〜〜!畜生!狂いそうだ!」
こいつのこんな顔を俺は知らない。いつだってひょうひょうとしていて、いつだって大人びていて、こんなに縋るような眼を向けられた事など一度もない。
辛抱出来ずパンツをずり下げて指を蜜壺に突っ込む。
一瞬あやねが悲鳴を上げた。
その声がたまらなくて、ピンはあやねの胸にしゃぶりつく。
あやねはそんなピンの頭を抱き込んで、全身で答える。
二人とも外では決して見せない余裕のなさ。
それが二人をとても興奮させた。
いつからかわからないけど、私には持て余す感情が確かに存在していて、
いつからかわからんが、俺らしくなくする感情を持て余して、
結果、二人の体は重なって今こんなにも熱く溶け合っている。
「ピン…もう、いい…」
体と共にでかい手と太く長い指。
それが今、自分の中に入って自分を乱す。
胸をしゃぶり、指を動かす。
もっともっとその声を聞きたくて、もっともっと乱れた姿を見たくてどうにかなってしまうんじゃないかという程、膣に入った指を動かす
だんだんと中がわなめいてきた。
ピンは愛撫していた胸から指の入っている部分の上にある敏感な突起を口に含んだ。
「ああ!んもういい!いいから!ピン!ピン!〜〜〜ダッメ!」
瞬間ビクンビクンビクンと体が三回ほど痙攣するとあやねの体から力がくたりと抜けた。
「いったな。いったよな!よし!」
「何が…よし…よ…バカ」
「気持ち良かっただろ?俺様のテクでイカねぇ女はいない!やはり俺天才!」
「デリカシーってもん知ってる?」
「あ?」
「何でもない」
他の女と比べてんじゃねーよ。という心の声に気付かないピンはいそいそとコンドームを用意している。
ふつふつと怒りのボルテージを上げたあやねは小さい声で反撃する。
「まぁ私も久しぶりだからすぐイッただけじゃない?」
「あああ!?」
即座にその言葉に反応するピン。
「確かにアンタも上手かもね」
あやねはそこまで言うとポスっとピンの匂いのする枕に顔を埋めた。
(言い過ぎた…かな…)
ピンが他の女の話なんかを持ち出さなかったら絶対言わない台詞。
ピンの馬鹿…涙が浮かびそうになるあやねを前にピンは悪魔のような顔でコンドームをつけていた。
うつ伏せになっていたあやねの尻をぐっと持ち上げると、もう一度そこをぺろりと嬲る。
「ん…は!」
うつ伏せになっていてわからないがどうやらピンの舌がまたしても自分のそこを刺激している感覚がわかったあやねは「何て格好させるの
よ!」と悪態をつきながら翻弄される。
しばし舌が動きまわっていたかと思えばピタリと止み、その変わりに何とも言えない質量のものが自分のそこに押し当てられたのがわかる
「ちょ…ピン!まさかこのまま…!?」
「黙れ!俺様を怒らせた罰だ!」
何でよアンタが悪いんでしょ!そう思うも口からは何も出てこない。
変わりに出てくるのは苦しさを耐えた声だけ。
「ピン!私、久しぶりだからゆっくり…」
「久しぶりとか言うんじゃねー!このまま入れんぞ!テメェ他の男なんかと比べたりしやがったら殺すからな!」
めちゃくちゃ。
ズン!と入り込んだ指とは比べ物にならない太さと熱さ。
あやねの体が弓なりに撓る。
瞬間ぱさっと髪が舞い上がり、先ほどまで愛撫していたうなじがちらりと見える。
「いや!ピン!ちょっと!」
「いやってなんだくそ!」
「違う!そうじゃなくて!ピン!ピン!ピン!」
あやねは枕を必死に掴みながら、ピンの名前を呼び続けた。
やっとその声が届いたのか、ピンの動きが少しゆっくりになる。
「お願いだからアンタの顔見せて――。馬鹿で俺様でどうしようもないけど、私の大好きなアンタの顔見せて」
こんな事言うのは屈辱的だったがそれでも背に腹は代えられない。
あやねが必死に言うと、ピンはあやねのそこに自分を突き刺したまま、あやねの体を反転させた。
向かい合うようになると、あやねはまたそっとピンの頬っぺたを手で挟む。
「さっきの言葉は…アンタのせい」
「あああ!?お前喧嘩売ってんのか!?」
「違う!アンタが「俺様のテクでイカねぇ女はいない!」とかって言ったから」
「だからなんだよ」
「アンタ私が元彼とか昔の事持ち出したから怒ったんでしょ?それと同じよ」
「…そんな事言ったか?俺?」
「言った!…でも、私もひどい事言ったから…ごめん」
「…悪い」
「あのね。今思うんだけど…私、本当に今日感じてる。比べてるとかじゃなくて、ずっと欲しくてたまんなかったから…相手がアンタだか
ら滅茶苦茶感じてる。他の奴がどうこうじゃなくて…アンタだから…ピンだからたまんないの」
覚えておいて。じゃ続きしていいわよ。
「…テメェは本当に悪魔だ。いや「ど悪魔」だ」
我慢しねぇぞ。まじで足腰立たなくてしてやっからな。
ピンはそっとそのままあやねを後に倒すと、あやねの前髪を手ですくった。
律動はどんどん速くなり、どんどん余裕がなくなっていく。
「畜生!えらいのに捕まった!」
「あ!ん!はぁ!ん〜!」
「テメェマジ…くそ!くっ!」
「ピン!ピン!ピン!」
「んああ〜!」
「…くっ!」
負けた…あやねの耳元でピンは一言呟いた。
今まで貰った愛の囁きのどの言葉より輝いていて、そして心に響いた。
好きだ
愛してるだ
君しかいらないだ
何て陳腐だったんだろ。
俺様のピンから貰った最上級の愛の言葉。
あやねはいつもとがったピンの髪をぐしゃぐしゃにしてその言葉に答える。
もう絶対はなしてやんない。
達した脱力感と、あやねの言葉にピンの体から力が抜ける。
重い〜!下にいたあやねはバタバタしながらも幸せそうに微笑んでいた。