アッシュ=ユニコーン設定について。
アッシュと英二の関係性に注目したのは、大手オンラインブックマーケットでバナナが「BL」と分類されていたところから。
自分は、何度読んでもこの作品のテーマにBLの要素があるのか読み取れなかった。
それで他の吉田秋生の作品をいったんひととおり読み、この作家はどういう趣向でどういう表現をする人なのかをまず理解する努力をした。
そして結果として、この人は「自分が描きたいこと」と「読者が読みたいもの」の温度差に非常に敏感で、
また、読者自体が非常に多種多様で、同じ作品を読んでも10人いれば10人受取り方や、面白いと思う、いわゆる「萌えポイント」が違うことを知っている人だと思った。
だからわざと思わせぶりな、作者からするとどうでもいいようなBL要素も含む「萌えポイント」を多数用意して散らかしておく。
そうすると、読者のほうで勝手に解釈して、勝手に萌えてくれる。
また、作者の気分でストーリーが歪んだり、登場人物の性格が急に変わったりすることのないように、キャラクターに相対する役割や概念を持たせ、
それを一貫することによって、整合性を保つという非常に普遍的で効率的な手法で作品を作っている姿勢が見受けられる。
でもこのあらかじめ用意された偽物の「萌えポイント」のおかげで混乱し、読み手が主観を変えて読めばよむほど内容がわからなく難解になってく。
わざわざ作者がそのようにしているので自分も好きなように解釈して好きなポイントで萌えればいいのだが、
自分が存外に思うBL要素を作者自身はどう消化しているのかを
検証しながら読んでみた。