週刊新潮 2006年8月10日号P31〜33
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[特集]韓国「ワイセツ教団」の広告塔――
「少女漫画の女王」一条ゆかりは「現役信者」!
韓国人教祖が女性信者に性的暴行を繰り返し
ていたと、被害者らが告発に及んで大騒ぎ
となっているカルト教団『摂理』。有名大学の
学生らを中心に今も信者が2000人はいる
というこのワイセツ教団の広告塔は、数々の
ベストセラーを連発して「少女漫画の女王」
と呼ばれる一条ゆかり氏(56)だった。しかも、
現役信者だとの指摘まで飛び出して……。
日本では『摂理』と呼ばれるこのカルト教団は、1980年ごろ、鄭明析(61)なる韓国人が設立した
新興宗教団体だ。『JMS』あるいは『MS』とも称し、87年ごろから日本でも布教活動を開始。
またたく間に東大や京大、早稲田、慶応、青学など有名大学の学生らを勧誘し、現在では2000名ほどの
信者がいるとみられている。
その鄭明析教祖は、かつては世界基督教統一神霊協会、いわゆる統一教会の幹部として活動していた。
「『摂理』と統一教会は、いくつかの点で非常に酷似しています」
と、統一教会に詳しいジジャーナリストの有田芳生氏がこう指摘する。
「まず、スポーツや演劇などのサークルを装って勧誘する手法。そうやって最初に人間関係を築き、
その中から脈があるとみた学生に狙いを定めて教義を説く。また、教祖の性的暴行についても同じ。
初期の統一教会では、教祖である文鮮明が“血分けの儀式”と称して女性信者に性的暴行をしていたことが
問題になりましたが、摂埋も同じ。さらに教義内容も酷似してますし、合同結婚式も。要するに、
若い女性とのセックスが大好きな助平オヤジが、統一教会のシステムとテクニックを利用して
教祖を演じているだけです」
実際、この教祖サマは、すでに韓国で女性信者への度重なる性的暴行が社会問題化し、99年に国外逃亡。
その後、01年には強姦容疑などで指名手配を受け、一度は潜伏していた香港で逮捕されたものの、
保釈中にまた逃亡。目下、国際手配されているという、レッキとした犯罪容疑者なのだ。
その間、少なくとも国際手配を受ける02年までは密かにせっせと来日し、女子大生らを毒牙に
かけていたわけである。そうした性的暴行の被害者は、ざっと見積もっても100名は下ら ないという。
もっとも、そんな犯罪者を救世主と崇めるカルト教回に入信すること自体が、普通の感覚ならば
信じ難いこと。が、信者の脱会を支援している渡辺博弁護士によれば、
「カルトというのは、その実態を知らなければ誰でも引っかかるものです。狙われたら、
100人が100人とも入信してしまうのが カルトなんです」
と言うし、先の有田氏も指摘した通り、勧誘方法が実に巧妙で、例えば、
「2年半前、駒場キヤンパスで友達とサッカーをしていた時、男女二人組に声をかけられました。
可愛くてカッコいい男女で、お洒落な感じだし、友達になりやすいタイプだったんです。
で、自介らもサッカーやってるから、今度、サークルの集まりに来ないかって誘われまして。
じゃあ友達と一緒に行きますって言ったら、いや、君に来てほしいんだと。それで1週間後に行くと、
ほとんどが現役の東大生。中には卒業生でゴールドマン・サックスなど華やかな外資系に勤めてる先輩も
いました。そこで何だか仲良くくなっちゃって。それで集会所にもよく出入りするようになったら
、2力月後に突然、一緒に聖書を勉強しようって言われたんです」(東大工学部男子)
という具合に、当初はカルト教団の正体を徹底的に隠し通すのが常套手投。そして、友人としての
信頼関係を利用しつつ、徐々に教義を吹き込んでいく。
そんな過程で意外な有名人がいた場合、信用度と安心感が増し、さらに“有名人と知り合いになれる”と
いう心理が働くのは道理。いわゆる広告塔だが、このワイセツ教祖の場合、女流漫画家として超有名な
あの一条ゆかり氏が、まさにそれだったというのだ。
芸術祭で審査員も
一条ゆかり――。68年、集英社の第1回りぼん新人漫画賞に準入選し、本格デビュー。
以後、少女コミック誌「りぼん」を舞台に次々とヒット作を連発してきた。代表作は、富豪令嬢、
子息の高校生6人が中心のアクション・コメディ『有閑倶楽部』や、フランスの富豪令嬢と幼なじみとの
悲恋がテーマの『砂の城』など。前者の単行本は現在までに19巻出ており、各巻の初版発行部数は業界でも
異例の70万部前後。同シリーズだけで、すでに累計発行部数は軽く2000万部を突破しているという。
テレビドラマ化された作品も数多い。
「少女漫画家は芸術家と職人の2タイブいますが、彼女はまさに職人。読者のニーズに合わせた題材や
作風の漫画をコンスタントに描き続けられる。まさに少女漫画の女王です」(評論家の呉智英氏)
そんな一条氏の名前が『摂理』の広告塔として浮上したキッカケは、先月29日に前出の渡辺弁護士らが
開いた記者会見だった。
「会見内容は、教祖から性的暴行を受けた複放の元信者らが刑事告訴を検討しているという話でした。
さらに渡辺弁護士が、有名な少女慢画家と元Jリーガーらが広吉塔になっていたと明かしたんです」
(社会部記者)
直後から、ネット上ではその漫画家を特定する議論が噴出。複数の名前が挙がり、コトの性質上、
その広告塔たちの責任を問う厳しい意見まで飛び交う。そしてついに、一条ゆかり氏と断定する
書き込みまで登場したのである。
「ええ、我々が認識している広告塔とは、確かに一条ゆかり氏のことです」
と、脱会信者の支援活動をしている関係者がこう明かす。
「元信者たちの話を総合すると、彼女は00年ごろにはすでに信者になっており、部内の札拝施設に毎週、
熱心に通っていた。また、教団には“芸術祭”と呼ばれる発表会があります。勧誘手投としてダンスや
演劇、ゴスペルなどのサークルを隠れ蓑にしていますが、それらの発表会に学生を呼び込んで、新たに
勧誘するわけです。一条さんは01年2月の芸術祭で審査員を務めていたし、ゴスペルコンサートを
プロデユースしたこともある。元信者の中には、一条さんほどの著名人が入信しているのだから大丈夫と
思った、と述懐している人もいるんです」
しかも、一条氏の作品の中に、このカルト教団の教義を彷彿とさせるものまであると、こう続けるのだ。
「それは、ちょうど同じ時期に描かれていた『天使のツラノカワ』という漫画です。これほキリスト教の
用語が多用されている作品なのですが、描かれているのは明らかに『摂理』の世界観です。キリスト教の
素養のある人が読むと、これは正規のキリスト教の概念ではないとすぐに分かります。逆に、『摂理』の
教義や理念を知っていれば、たちまちこれが『摂理』の教えに基づいていることが分かるでしよう」
主人公は、牧師の娘で世間知らずのクリスチャン。彼女が周囲の男性らと巻きおこす恋愛騒動を、
コミカルに描き出した人気作品だ。コミックで全5巻。「一条さんは、とりわけ若い女性たちにとっては
絶大な人気を誇る漫画家。そんな彼女が信者だったら、女性たちにとってのインパクトは大きいでしょう。
しかも、教団があの作品を“これが私たちの教えだ”という形で利用していた可能性だってあります」
さらに、元信者らへの聞き取り取材を続けているジャーナリストが、こんな証言までするのだ。
「ある有力な支援者が、一条さんは現在も脱会しておらず、現役信者のままだと明言してました。
ただし、恐らく本人は否定するだろうとも」