もう生きていけません・・・・

おれは何をしてもだめな男だ。
夢もない。財産もない。恋愛信仰もない。妹もいない。
そんなおれの心の支えがカインの妹マリーウェザーだ。
少女マンガの中に理想的な兄妹関係、屋敷住まいの妄想をみる。
独りで泣く。独りで感動する。
おれはそれで寂しさを紛らわすことが今日までできていた。
親とも口を聞かない正月に入り、紅白にも興味がない。
そしておれはまた今日も少女マンガコーナにいき、立ち読みするのだ。
平凡な一日になるはずだった。

しかし、今日は違っていた。おれはいつも何気なくスルーしている「花とゆめ」本誌に目を向けてしまったのだ。
紅茶王子、フルーツバスケット、しゃにむにGO・・・なにもおかしなところはない・・・新刊情報を見るまでは・・・

「ゴッドチャイルド(8)
マリーをオスカーに託し、一人デライラの牙城に乗り込むカイン。ヴィクトリア女王の即位60年式典に沸くロンドンには、人々もすべての魔も集結してきていた。さまざまな謎が解けていくなか、アレクシスとジザベルにも驚愕の終焉が…。カインとリフの絆、そして命運は!?」

その瞬間、おれの心の支えは砕け散った。完結よりもマリーをオスカーに渡したことに絶望した。
ひとついっておく。おれはコミックスを買ったことがない。ゆえに自称、由貴信者などでは決してない。
おれは今、空港にいる。公衆LANとは便利なものだ。おれは旅にでる。
隠せるだけの少女マンガは盗んだ。イギリスはまだ寒いのだろうか・・