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212 【東電 77.1 %】
緊急地震速報…チャイムに苦心 「ゴジラ」検討も 産経新聞 5月1日(日)22時6分配信


チャランチャラン…。3月11日以降、テレビから頻繁に流れる緊急地震速報の警報音。
このチャイムは、NHKの依頼で伊福部達(とおる)・東京大名誉教授(高齢社会総合研究機構)が開発したものだ。
「どんな状況でも、誰の耳にも聞こえるように」と、福祉工学の立場から考え抜かれたノウハウが詰まっている。

伊福部さんは、聴覚障害者や高齢者にも聞きやすい音の研究で知られる。
NHKでは平成19年10月の緊急地震速報導入を前に、伊福部さんにチャイムの制作を依頼した。

「緊急性を感じさせつつ、不安感・不快感を与えない。騒音の下でもお年寄りや難聴者にも聞き取りやすい。
さらにどこかで聞いた音に似ていない−という条件を満たす必要があった」と伊福部さん。

メッセージ性を持たせるため、既存の音楽の一部を使いたかったという伊福部さんは、
耳慣れていて著作権処理も簡便な叔父・伊福部昭(あきら)(音楽家)の作品を調べ、
その代表作「ゴジラ」の使用も検討した。
しかし、「有名すぎてチャイムには向かなかった」。

選んだのは「シンフォニア・タプカーラ」というアイヌの踊り歌を題材にした楽曲の第3楽章。
人間が一番聞き取りやすい音域の5つの音を抜き出し、曲調やスピードを変え、さまざまに試行錯誤した約30曲を制作。
NHKの担当者と「ちょっとメロディーが出過ぎ」「これは怖すぎます」などと議論を重ね、5曲に絞り込んだ。

さらに老人、子供など30人を集めて騒音下で行った聞き取りテストなどを経て、最終的に残ったのが現在のチャイムだ。

3月11日以降、気象庁が出した緊急地震速報は、4月24日までに70回。
NHKには「家のチャイムの音と似ている。紛らわしい」などという声も寄せられているという。
伊福部さんは「こうしょっちゅう流れると、あの音が地震を連れてきているみたいで心苦しい。鳴らない日が続いてほしい」と話した。