743 :
☆エルメス由実(よしざね)☆ ◆OTGGrwMHJk :
白い坂道が空まで続いていた
ゆらゆらかげろうが あの子を包む
誰も気づかず ただひとり
あの子は昇っていく
何もおそれない、そして舞い上がる
空に憧れて
空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲
高いあの窓で あの子は死ぬ前も
空を見ていたの 今はわからない
ほかの人には わからない
あまりにも若すぎたと ただ思うだけ
けれど しあわせ
空に憧れて
空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲
空に憧れて
空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲
744 :
☆エルメス由実(よしざね)☆ ◆OTGGrwMHJk :2006/09/28(木) 21:38:43 ID:ffpnNftn
もう会えない 彼女の最後の旅
サイレンに送られて遠ざかる
誰かが言った あまり美人じゃないと
ハンカチをかけられた白い顔を
高いビルの上からは 街じゅうが
みんな みんな みんな
ばからしかったの
ああ 束の間 彼女はツバメになった In Rainy Sky
なんて肌寒い午後でしょう
もう会えない 彼女は年をとらず
生きてゆく私には 綺麗だわ
哀しいリムジン 彼女の最後の旅
裏切った恋人のせいじゃない
薔薇のように 舗道に散った汚点【しみ】を
名も知らぬ掃除夫が洗っている
どんな言葉に託そうと 淋しさは
いつも いつも いつも
ひとの痛みなの
ああ 束の間 彼女はツバメになった In Rainy Sky
流れる記憶は走馬燈
もう会えない 彼女の最後の旅
サイレンに送られて遠ざかる
745 :
☆エルメス由実(よしざね)☆ ◆OTGGrwMHJk :2006/09/28(木) 21:40:26 ID:ffpnNftn
あたたかい朝もやが雨になる
眠った通りを響かせ
うつむいたランナーがあらわれる
おととしの夏休みあの人の
タイムをおどけて計った
彼は今かけているシーツの闇を
病気の名前は
Myelogenous Leukemia【ミエロジエーナス・ロイケミア】
図書館のいすはひどく冷たく
できるなら肩をよせ走りたい
雨に消えて
彼だけ知らないなぜみんなが気づかうか
もうすぐひとりでボートに乗るの
去ってゆくオレンヂのトランクス
やっぱりちがう人なのね
過ぎた日のまぼろしを見ていたの
できるなら肩をよせ走りたい
雨に消えて