土橋トイレの思い出

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11風の又三郎 @
昔話でございます。昭和も終わりに近い頃、まだエイズ何ぞという厄介な代物は影形もなく、
オケケの皆様も今よりずんと大らかに快楽を貪っておりましてございました。
新橋土橋交番地下にある其の発展便所は、上に住まうワケ知りのお巡りさんの暗黙の了解の下、
昼日中から夜遅くまで営業周りのリーマンや暇を持て余した学生、近隣の商店主たち、
また何年前に定年退職したのかと言う風体のご隠居さま方が
引きも切らずアンモニア臭の立ちこめる事務所(階下)に参集し、
<陰花植物>の狂い咲きを演じ競ってあらしゃいました。
交番の真下と言う立地条件も去ることながら、このシマ(ハッテンバ)を仕切るやり手ババアの便所名主さんが目を光らせておいでで、
プロなど性質の良くない連中は寄り付かず存外安心優良なハッテンバでございました。
12風の又三郎 A:2009/04/14(火) 16:09:28 ID:IfH4K2I10
其の日は、残暑の厳しい彼岸の走り口でございました。
狭い事務所に先客3名、ウチ2人は知った顔。当然新顔に目が行くアタクシ・・
日焼けした肌に白いタンクトップ、アナ開きパツパツのジーパン、小脇に抱えたセカンドポーチが妙に乙女な・・・
一見微妙な若造り。けれど実年齢は40前後の大年増だと見当をつけましてございます。
若造りは此方をチラ見しながら、タンクトップのビーチクを自ら弄り出した。明かに秋波を送っている。それにしてもデカイ乳首だ。大豆3個分はあるだろう。
感極まって臭い便所の中でタンクトップを脱ぎ捨てる。
2人の常連はもう居ない。行きがかり上若造りを1発抜いてやる役回り。
儘よ、目で合図されるままに個室に連れ込まれたアタクシ。
13風の又三郎 B:2009/04/14(火) 16:12:00 ID:IfH4K2I10
後ろ手に扉を閉めると若造りは荒い鼻息で 迫って来た。
「兄貴、ビーチクしゃぶってくれよ!咬んでくれよ!」
<ざけんじゃネーワよ。あんたの方がよっぽど兄貴じゃないのサ>などと言う不満は無理から飲み込み、
早速巨大乳首に吸い付くアタクシは知る限り手練手管を使って乳首責めに励みましてございます。
乳首モロ感の若造り、舐めても咬んでもツネクリあげても何をされても叫ぶわ啼くわ、手が付けられない狂乱振りであらしゃいます。
そんな狂乱がどれほど続きましたか、やがて 憑き物が落ちたように真顔に戻ってひと言。
「何かが違う」と、ほざき風のように其の場を発ち去りましてございます。
<一体 何が違うというのかえ?>呆気に取られたアタクシは、ガラスの迷路を独り彷徨う心持でございました。
14風の又三郎 C:2009/04/14(火) 16:15:40 ID:IfH4K2I10
そんな事があってトラウマになったアタクシは、土橋の事務所から足が遠のいておりました。
しかし、秋風が木枯らしに変わる頃ひょんな気紛れから久しぶりに交番の下へと足を運びましてございます。
薄暗かろうが換気が悪かろうが、古い便所特有のアンモニア臭が弱くなる是からが土橋便所のベストシーズン。
其の日も平日の昼日中だと言うのに、事務所に入りきらない客達が階段付近や交番の当たりにたむろする大そうな賑わいでございました。
個室の中から艶かしい喘ぎ声が漏れ聞こえて来る。おや、まあ、随分ハデに盛っておじゃるワ。扉の前に群がる常連達に混ざり、
ガード下のアップルインで売っている<エロカセットテープ>を聞いているようだわなどと思いつつ、しばし観賞を決め込むアタクシ。
「オヤジさん、もっとビーチクしゃぶってくれよ!咬んでくれよ!!」果てなく続く喘ぎ声の合間に、何処かで聞いたような声と台詞が混ざって響く!?
!間違いない、やっぱりアノ若造りの大年増だわ。と、直感した刹那 活舌鮮やかな張りある声で「何かが違う!」と一声叫び、勢いよく扉を開け放ち
大年増が颯爽と地上への階段を駆け上がって行きましてございます。
15風の又三郎 D:2009/04/14(火) 16:19:23 ID:IfH4K2I10
個室に独り残されたオヤジ。もとい便所名主の大中村の姐さんはワナワナと怒りに震えておじゃる。
「一体何が違うと言うの!?教えて」搾り出すように言ったきり、姐さんは独り世界に篭られましてございます。
ええ、其の怒りや戸惑いは道理でございますとも。各申すアタクシも何が違うのかさっぱり解りませんから・・
其の後もあちこちのハッテンバで時折見かけた大年増。新宿西口トイレや、上野駅13番ホームのトイレ 。
浅草東京倶楽部の最上階でも池袋日勝地下劇場の暗がりでも、何時でも何処でも何方様がお相手でも、
「何かが違う!」と言い残し風のように去って行かれましてございます。
アタクシはそんな大年増を、密かに「風の又三郎」と名付けましてございます。
アレから四半世紀以上の年月が過ぎた現在、70に手が届く年齢になっている筈の風の又三郎は、
今も風のように去っているのでございましょうか?