>>89 肝炎検診受けて…きょうから「肝臓週間」
肝臓病の現状を広く知ってもらう「肝臓週間」が23日、始まった。
肝臓病というと酒の飲み過ぎを連想する人も多いが、実は原因のほとんどが肝炎ウイルスの感染。一度の検診で肝臓がんや肝硬変の兆候を見つけることも可能だが、
「受診者は1割に満たない」との指摘もある。
肝炎患者らでつくる東京肝臓友の会(天野秀雄事務局長)では、街頭活動などで早期受診の大切さを呼びかけている。
日本人が多く感染する肝炎ウイルスはB型とC型で、推定感染者数はそれぞれ150〜200万人。
特にC型は、自覚症状がないまま肝硬変や肝臓がんに進行することもある。主な感染源だった輸血の安全性が高まり、新規感染の危険性はほとんどないだけに、
埋もれている患者の早期発見と治療が対策のカギだ。
国は2002年から本格的なC型肝炎対策に乗り出し、検査体制の拡充に取り組んできた。目玉は40歳から5歳刻みに行う「節目検診」。
定期健康診断にウイルス検査を組み込み、効率的に患者を発見する目的だ。ところが、広島大大学院の吉澤浩司教授(疫学・疫病制御学)は
「検診はほとんど浸透していない」と指摘する。
検診普及の大きな障害は、企業の多くが消極的なこと。社員の感染が分かると、労務上の問題が生じるためとみられる。
厚生労働省によると、03年度の節目検診の受診率は約3割だが、調査対象は、自治体が実施する検診を受けたお年寄りや主婦が中心。
吉澤教授は「実際は1割に満たない」とみる。検診で発見した患者を専門病院に引き継ぐ体制も、うまく構築されていない。
東京大大学院の小俣政男教授(消化器内科)は「私が診た患者2000人のうち、他の医療機関で検診を受け、感染が分かった人はゼロだった」と話す。
昨年12月に新薬の「ペグインターフェロン」と抗ウイルス薬「リバビリン」の併用療法が保険適用となり、患者の経済的負担が軽減されるなど、制度面では充実してきた。
友の会の天野事務局長は、「早期受診と、専門施設での治療が不可欠」と訴えている。
(読売新聞)