HIV 01年の感染報告数は過去最高の621件 :2
偏見に満ち、ヒステリックになっている社会に、多くの政府が最初は、HIV感染者を見つけ出し
隔離するという対応策を講じる。
現に、外国人労働者、留学生、移住希望者に対してHIV抗体検査を義務づけ、陽性者の入国を
拒否している国は少なくない。
刑務所や病院が、HIV感染者を隔離するケースも多い。また、強制的に抗体検査を受けさせられ、
結果が陽性と出た場合には刑務所、収容所、病院などの施設に収容される、といったケースも数多く
報告されている。
キューバの事例は、こうした「検査と隔離」を徹底した場合の必然の結果を示している。
強制検査プログラムで抗体陽性と判定された人々は、通称「シダトリア」と呼ばれている
エイズ患者専用サナトリウムに送られる。
収容者は、当局の許可と監督官の「付き添い」がなければ、たまの週末に家族のもとへ
帰宅することも、商用で外出することもできなかった。
しかし、キューバでは、この強制隔離策によってHIVの拡大を阻止することができず、
サナトリウムが不足する事態となった。
HIVを封じ込める唯一の方法は、人々に安全な行動をとらせることだと気づいたキューバ政府は、
1993年5月の世界保健総会で、同年の6月をもって強制隔離をやめ、感染者にはサナトリウムでの
生活あるいは自宅からの通院治療のいずれかの選択を認める、と発表した。
これからも明らかのなように、HIV感染者・エイズ患者を隔離したり、未感染者と区別するのは
「まったく無意味」である。
それどころか、こうした隔離制度はHIVの拡大をかえって助長する恐れがある。
なぜなら、それが未感染者に自分は大丈夫なのだという間違った安心感を植えつけ、実際には
HIV感染者をひとり残らず確認する方法などないのに、抗体陽性者の烙印を押されなかった人は
それで安心し「行動様式」を変えることなどと考えもしなくなるからだ。