囲碁棋譜保存スレ・第7局

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72名無し名人
(;FF[3]GM[1]AP[PocketGoban Ver 0.999]
SZ[19]PB[山下敬吾]BR[九段]PW[河野臨]WR[七段]
DT[2005-12-20]
PC[日本徳島]EV[第31期日本天元戦決勝戦第五局]RE[W+4.5]
SO[http://weiqi.sports.tom.com/qipu/200512/31jp-ty-f-5sgf.htm 曹大元九段解説
http://www.nhk.or.jp/goshogi/journal/ BS囲碁・将棋ジャーナル 12月24日放送 解説者:羽根直樹,ゲスト:河野臨
週刊碁 2006.1.2・9号 記:六本木均]US[棋聖道場]KM[6.5]
C[曹大元九段解説、S囲碁・将棋ジャーナル、週刊碁の3つを合成]
;B[qd]C[(曹)本局是日本第31期天元戦挑戦戦五番勝負の決勝局,山下敬吾九段黒番対河野臨七段。
(BS河野)黒でも白でも良かった。
(後のやり取りを聞くと、事前に黒番白番両方の作戦を考えてきた様子。)]
;W[dc];B[dq];W[qq]C[(曹)黒1、3対隅小目の状態では,白4占据“三・三”是適当,符合棋理。
(BS河野)白4三々は、事前に考えてきた作戦]
;B[ce];W[ed];LB[oc:a][nc:b]B[kc]
C[(曹)黒7開き速度より快い,右上aあるいはb隅のシマリと実戦の手法との比較は,優劣判断は難しい。
(BS河野)黒7までは事前の予想どおり]
;LB[cn:a]W[do]C[(曹)白8では考えられるaに大ケイマカカリ,局面打ち散した後,黒7の位置明瞭適当でないのがわかる。]
;B[dl]C[(週刊碁)黒9の二間高ハサミは、山下得意の形だ。]
;W[gp]C[(BS河野)ここまで予定どおり]
;B[eo];W[en];B[fo];W[cq]C[(曹)白14隅のツケ是近年来出現の新手法。
(週刊碁)白14と単にツケるのは、比較的新しい手法で、]
;LB[fq:a][dr:b][dn:c][co:d][er:e]B[dp]
C[(曹)黒15ではaに跳び比較的普通,以下白b位ハネ,黒cの切り,白d下がり,黒それからeにカケツギを打つ……]
;W[cp];B[dn]C[(週刊碁)それに対して、黒15ブツカリから17と切るのも、山下の碁にある。河野は承知で打っている。]
;W[co](;LB[fn:A]B[cn]C[(曹)実戦黒15至19の直線手法はやれそうだ。
(週刊碁)続いて、変化図、黒19アテから21にツグのを予想していたという。
 待ち構える相手の気配を察知してか、山下は別の道をすすんだ。
 アテずに、黒19オサエが新工夫だったが、皮肉なことに、これが苦戦の始まりだった。
 局後、山下は、「黒19では、やはりAにアテるのでしたか」と悔やんでいた。]
;W[bn];B[bm];W[dr]C[(曹)白20、22先後の両ハネ深謀遠慮。]
;LB[fq:a]B[er]C[(曹)黒23正面応戦賢明さ不足。白20ハネ既に先に損のため,
黒23では完全に考えられるaに跳び。
(BS河野)感想戦で山下九段は、aだったかと言っていた。黒23と押さえると、一本道。]
;W[ep];B[eq];LB[cr:a][cm:b][gn:c]W[fp]
C[(曹)例えば白20ハネと黒21さえぎり交換がないなら,実戦至白26接ぎ時,黒27でaに当りを打ち白一子取り可。
而実戦黒27時例えば(本譜が正解で悪い方の変化のとき)依然としてaに取り白一子の場合,
白はbに当りを打った後,更にcにカケ,黒方石の形崩れる。]
;B[go];W[ho];B[fm];W[cr];B[hp];W[fr]C[(BS河野)黒23から白32まで一本道。]
;B[ip]C[(曹)左下隅至黒33伸びの折衝,白方の実利黒方の外勢よりやや優勢。
(週刊碁)実戦の黒33までは、白に不満がない。白28に切りが入っていて、この一子がうるさいのである。
 序盤で早くも。流れが河野に傾いた。]
;LB[mp:a][lp:B][kp:C][ef:D]W[df]C[(曹)白34絶好点,逃してはいけない。
(BS河野)白34では、a辺りも考えたが、着点がはっきりしなかった。
(週刊碁)白34カケには時間をかけた。
「下辺を続けて打つのもあって、迷いました」と河野。
 下辺を打つとすれば、たとえばどこですか?
「それがよくわからなくて、Bの二間がいいのか、Cの一間が良いのか」
 それで、黒Dに打たれるのも大きいので、白34にカケたのだという。]
;B[np];LB[pn:a]W[qn]C[(曹)白36とaに大ケイマせず,白方黒の大陣勢を怖がらないことの表明,非常に個性が有る。](
;LB[om:a]TL[0,0]BL[0]B[pm]C[(BS河野)黒37には、実戦のように打とうと思っていた。自信はあった。
 実戦進行で悪いとすると、aくらいの方が良かったかも。
(週刊碁)黒37の肩ツキは山下らしくカッコイイ!と思ったら、
局後開口一番、「悪かったですね」と山下が断じた後悔の言ってだったのだ。
 河野に感想を聞くと、「難しいですけど、変化図、黒37(a)の大ケイマが良いのでは」と言っていた。]
73名無し名人:2005/12/30(金) 13:46:38 ID:Hs0LQ8Sq
;W[pn];B[nm]C[(曹)黒37、39と模様を拡張するのは黒の唯一の道。
(週刊碁)黒37の肩ツキから39トビが、黒模様を拡大して好形に見えるが、じつは安普請だったようだ。]
;W[nn];B[mn];W[om];B[ol];W[on]C[(曹)白40至44機を利用し滲透。
(週刊碁)続く白40から42、44のワリツギが追求厳しく。黒の壁はグズグズとほころび、白の進入をうまく防げない。](
;LB[mm:a][mo:b]B[nl]C[(曹)黒45緩手,応(こう打つべき(本譜が明らかに悪いとき、正しい手を示す))aに接ぎ。
(BS河野)aツギなら、bにハネ出しから45に切る予定。(変化図1参照)
 山下さんは、感想で黒45ではaツギの予定だったが、予定変更と言っていた。
(週刊碁)山下は初め、変化図黒45(a)の方をツグ予定だったが・・・(変化図2参照)
(注:変化図1と2で少し違うが、判断はお任せします。)]
;W[mo]C[(週刊碁)白好調、河野がスパートをかける。白46ハネから下辺で威張ってゆく。]
;B[ln];W[mp]C[(曹)白46、48事のついでにその場にある物を失敬する,収獲小さくない。]
;B[mq]C[(曹)黒49ハネ,白下辺で地に成るのを嫌う,最初の着想と少し矛盾有り。]
;W[kp];B[lq];W[kq];B[lp];W[jo]C[(曹)白50至54と落ち着いて黒方の手段を処理した。]
;B[ko];W[hn];B[gm]C[(羽根)3子を取られるのも大きいから、黒57はやむをえないか。
(実戦がつらいので、3子を捨てる変化との比較を言ったもの)]
;LB[gr:a][ir:b][jr:c]W[jp]C[(羽根)味は悪いが白58で取れていますか。
aのツケ味を狙って、黒bと跳ぶ味があるが。
手にはならないか。
(BS河野)黒bには白cで。
(週刊碁)懸案の白28がの一子が最大限に働いて、黒31、33の二子を取り込んではうまい。
「良くなったと思いました」と形勢に自信を持った。]
;B[qm];W[jn]C[(曹)至60,白方ここに剣鋒を突き出し,又兼ねて黒31、332子を呑食した,白方見通しが明るい。
(週刊碁)白60ノビてアジがいい、右上に出来そうな黒模様をけん制して、いい感じのノビである。]
;B[pf]C[(週刊碁)山下は、ともかく右上の経営に向かう。
 ここでどういう考え方で行くのか。]
;W[rm];B[rl];LB[pl:a][pe:b][od:c]W[rn]C[(曹)白62、64堅実,ここ白は既にaの断点を狙う必要がなくなった。
(羽根)黒からここをハネ接がれると、切り味が出来て大変。白のハネツギは機敏。
(BS河野)感想で、山下さんは黒61でbにコスミだったと。黒61なら白62のハネツギが打ちやすい。
bなら少し迷うが、bでもおそらくハネツギを打った。
(羽根)cなら?
(BS河野)cならハネツギは打たない。]
;B[qk];W[no];B[lo];W[oc]C[(週刊碁)河野は、白68と深々と打ち込んでいった。]
;B[pc](;LB[ke:a][id:A]W[ld]C[(BS河野)白70でどこに打って良いか分からなかった。(変化図の隅ハネと迷ったらしい)
(羽根)白60が出ているので、aのボウシではかったるい。白68とドカンと行きたい感じ。
(週刊碁)河野に聞いてみた。白68でAボウシくらいでは不満ですか?
「Aの方に受けられて、そのあとが難しいのです」。
 実戦のように、ここで堂々と生きてしまえば、もう形勢はいいのでしょうね。
「そうですね」]
;B[lc];W[md];B[mc];W[od]C[(週刊碁)黒69コスミツケに対しても、白70肩ツキから74と立って、全部引き連れてシノぐつもりである。]
;B[ne];W[nd];B[je];W[of];B[og];W[ng]C[(週刊碁)黒75ノゾキから77と攻めるが、白78ツケコシから80の二段バネが手筋でサバキ形だ。]
;B[pg];W[kf];B[jf];W[kg];B[ke];W[le];B[nh];LB[pd:a]W[mg]C[(曹)白方68至88の定型,軽重緩急の要領を深く会得,
ただ黒地を破ったのみではなく,白方逆に六七目の実利得た,ここまでで,白方の優勢が明瞭になった。
(羽根)aあたりで隅の切りができるので、これ以上追求できない。
(実戦白90以下を参照。BS囲碁ジャーナルはここらあたりで終わってしまった。)
(週刊碁)白88まで、はっきり白がいい。]
;B[cg];W[pd];B[qb];W[pb];B[qc];W[hc]C[(曹)黒89と白94各見合い。]
;B[ib];W[hb];B[ic];W[pe];B[qe];LB[cd:A]W[mh]
C[(曹)白100以下,白方その厚い石の調子をもって,用心深く行動しまっすぐ終点に到着する,
大いに師小林光一の風有り。
(週刊碁)右上の白は、このまま放っておいても厳しく攻められる石ではない、
けれど河野は、白98から100とマゲ、安全第一の方針である。
 控え室では、白98でAコスミツケが盤上最大と言っていた。
 河野も「そうでしたね。それが正しいと思います」と認めたが、
 形勢を考えて、マギレのないように打ったのでしょう?
「はい。でもコスミツケがいいですね」]
74名無し名人:2005/12/30(金) 13:47:42 ID:Hs0LQ8Sq
;B[cc]C[(週刊碁)白が打たないから、黒は当然101から稼ぐ。]
;W[cd];B[bd];W[dd];B[bc];W[cf];B[bf];W[dg];B[dh];W[eh];B[di]C[(週刊碁)109、111とハネノビて、黒地がどんどん増えてゆく。
 控え室の予定が狂って、計算をし直すと意外に細かい。
 が、河野の頭脳は、依然として確かなリードを確信していた。]
;W[hd];B[nb];W[ni];B[oh];W[nj];B[pp];W[pq];B[oq];W[or];B[nr]
;W[pr];B[pj];W[ei];B[ej];W[ch];B[bg];W[de];B[be];W[bo];B[cl]
;W[fj];B[ek];W[ob];B[kr];W[jr];B[lr];W[js];B[qp];W[rp];B[li]
;W[mi];B[hf];W[id];B[jc];W[ih];B[lk];W[qa];B[cb];W[db];B[ge]
;W[gg];B[hg];W[hh];B[jm];W[il];B[ir];W[gr];B[gj];W[rb];B[rc]
;W[fk];B[gk];W[dj];B[ci];W[el];B[dk];W[fi];B[fl];W[hl];B[gl]
;W[qf];B[qg];W[rf];B[re];W[rg];B[rh](;LB[qh:a][rq:A]W[qo]
C[(週刊碁)白78で、a切りなら二目得をしそうだ。だが、河野は切らなかった。「読み切る時間がなくて」(変化図参照)
 何もしないのが勝利への近道と判断したのである。
 白78もアジがいい手である、打たないと、黒A切りから少し地が減る。]
;B[gi];W[gh];B[eg];W[fh];B[fd];W[fc];B[ff];W[ef];B[jg];W[jh]
;B[fe];W[fg];B[ki];W[ij];B[jk];W[hj];B[ha];W[ga];B[ia];W[fb]
;B[jl];W[op];B[oo];W[po];B[im];W[hm];B[oi];W[op];B[nq];W[na]
;B[ma];W[oa];B[mb];W[ra];B[sb];W[kh];B[sm];W[sn];B[sl];W[kj]
;B[lj];W[jj];B[kk];W[gn];B[fn];W[kn];B[km];W[mk];B[nk];W[mj]
;B[ml];W[oj];B[ok];W[gd];B[in];W[io];B[an];W[ao];B[am];W[ca]
;B[ba];W[da];B[os];W[ps];B[ns];W[ks];B[ls]C[W+4.5
(週刊碁)河野が冷静に勝利を確実にしていった。
 作って盤面二目、白の四目半勝ちである。
 後半は白優勢のまま、安定した勝ちっぷりだった。])(
;W[qh];B[qi];LB[ri:a]W[oi]C[(週刊碁)躊躇したわけは、黒179で180と居直られたときの対策だ。
 白aとカカエて、隅との攻め合いになるが、損することはなさそうに見える。
 だが、勝っているのに、相手に抵抗の可能性を与えることはない。]))(
;W[pb];LB[qb:A][pd:B]B[od]C[(BS)ここで、黒Aに白B当てを利かされるのはつらいので、黒71]
;W[qc];B[pd];W[rc];B[ob];LB[rd:A]W[qa]C[(BS)隅で生きるが、黒Aの押さえも利くし、実戦の進行を選んだと。]))(
;B[mm]C[(変化図1)]
;W[mo];B[no];LB[nk:a]W[nl]C[(BS河野)aのシチョウが悪く、白を取れない]
;B[ok];W[nk];B[oj];LB[ll:a][hn:b]W[lo]C[(BS河野)aの掛けが見えており、またbのノビも利く。
上を守れば、下がもたないだろう。])(
;B[mm]C[(変化図2)]
;W[mo];B[no];W[lo];B[lq];W[nl]
C[(週刊碁)山下は初め、黒45の方をツグ予定だったが、白46のハネ出しに、黒47切りが(白50まで)無理そうだ。
 この戦いは自信が持てない。で、実戦の黒45ツギから右上方面に黒模様の方向転換を図ったのである。]))(
;B[om];W[pl];B[oj]
C[(週刊碁)大盤解説の宮本九段が、「黒37から39に大きく行くのが山下さんらしいんじゃおまへんか」と指摘していた。]))(
;B[fn];W[em];B[dm];W[dr];B[er];W[ep];B[eq];W[fp];B[cr];W[br]
;B[ds];W[bs];B[gr];W[el]C[(週刊碁)「白32の押しで戦えると思っていました。その変化は用意していたのですが」(河野) ]))
75名無し名人:2005/12/30(金) 13:53:34 ID:Hs0LQ8Sq
>>72-74
天元戦第五局のご希望があったので、曹大元九段解説、S囲碁・将棋ジャーナル、週刊碁の3つを合成した。

http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gamestones/1132826720/159
天元戦総合スレッド(第31期〜)

囲碁ジャーナルとの2つの合成は、>>56-57で12/24(土) にやっていたけどね。
3つ合成すると、勉強になるね。良く分かる。

週刊碁には、若干著作権上問題があるが、発行からだいぶ経ったし買う人はもう買ったんだろう。
河野臨優勝のご祝儀と思って、ゆるしてたもれ。