囲碁棋譜保存スレ・第5局

このエントリーをはてなブックマークに追加
117名無し名人
(;FF[3]GM[1]AP[PocketGoban Ver 0.998]
SZ[19]PB[高尾紳路]BR[八段]PW[張栩]WR[九段]
DT[2005-06-20,21]
PC[日本札幌]EV[第60期日本本因坊戦決勝戦第四局]RE[W+R]
SO[http://weiqi.sports.tom.com/qipu/200506/60jp-byf-f-4sgf.htm ]US[棋聖道場]KM[6.5]
C[兪斌九段解説 棋聖道場(兪斌)と記載
6/21 八重洲 柳時熏九段解説 記載なし
6/22 BSレドモンド解説少し。
6/25 BS囲碁ジャーナル石田芳夫九段解説(石田)と記載。

(兪斌)日本本因坊戦,張栩意外三連敗。本局張栩にとって,すでにない後が無い。]
;B[qd];W[pp];B[cd];W[cp];B[qn];W[pl]C[高尾八段は、白6ハサミを予想して布石を研究してきたと考えられる。
白6ハサミまでの布石を、張栩本因坊は良く打っている。

(兪斌)白6一間高挟み、是張栩好みの手法。]
;B[om]LB[on:][np:][rp:][qq:][rl:][nn:][kq:]C[黒7は珍しい。工夫した手。
良く打たれるのは、黒a跳び、白b、黒c、白d、黒e、白7コスミツケ、黒fノビ、白gまで。
しかし、張栩本因坊はこの布石で良く勝っている。
だから黒7と変えたとも考えられる。

(兪斌)黒7小ケイマ頗る新味あり,高尾紳路張栩の一間高挟みに焦点を合わせて準備有る所。]
;W[nq];B[pi];W[ol]LB[nk:]C[白10では、aのケイマも考えられた。
aに黒10からの出切りは無理。

(兪斌)白10以下続けて押し俗称“車の後推し”,勇気はとてもよい。]
;B[nm];W[nl];B[mm];W[ml];B[lm];W[ll];B[km]LB[jk:][im:][hk:][gm:][mj:]
C[ここで白aのケイマも考えられるが、
黒b跳び、白c、黒dになったとしてこのあと、
黒からe辺りに打たれると、黒から突き出しを見られ、白が薄い感じになる。
そこで、白はどんどん押して行くことにしたのだろう。]
;W[kl];LB[jl:][lq:]B[jm]
C[19で、aとハネは白19と切られ、
黒b詰めから実戦と同じように右下を極めたとして、
戦いになったときに、黒の長さが短く黒が苦しいと見たのだろう。]
;LB[ik:a][il:]W[jl]C[(石田)ここでaと外す手は考えられた。
20は黒にbとハネて来いという手。

(兪斌)特別是白20継続押し,仰天させる。白20普通aにケイマ。]
;B[il]LB[im:][eq:][lq:][rp:][nr:][or:][hk:]
C[黒21では、もう一本ノビを打ち、おそらく白b締り、実戦同様黒c、白d、黒e、白fの後、黒gケイマで打つことも考えられた。
実戦より、黒すっきりした姿。]
;W[im];B[lq];LB[qq:][rq:]W[rp]C[白24の守りは省けない。

(石田)黒24スベリ、白a受け、黒b這いでも苦しい。]
;B[nr];W[or]C[黒25と白26の交換は無駄のない利かし]
;B[io]LB[ik:a][in:b][hm:c]C[黒27は後退した感じ。
こう打つなら、先ほど述べたように黒22にノビて打つ方がすっきりしている。
実戦心理として、ノビは打ちにくいので21にハネたが、それなら気合は27でaにノビ。
その後、白bにノビられいやな変化があったのだろう。

(石田)白bに伸びさせない手。白cなら、黒aで戦う。

(兪斌)黒27小ケイマおもしろい,もしaに伸びなら,白将にbに伸びで黒は好型を見つけがたい。
黒27後,白もしc,黒次ぎa,黒はこのような苦悩の必要はない。]
;W[ik]C[(石田)黒が27と妥協したので、白も28と妥協した。

(兪斌)白28黒の意図を見破る]
118名無し名人:2005/06/25(土) 20:20:33 ID:aL4BQEkC
;B[hl];W[hk];B[hm]LB[pg:][od:][ng:][ld:][rg:][rl:][ec:]C[ここまでで正午休息,12:00継続

白の壁を活かすべくaの打ち込みが考えられるがスケールが小さい。
黒bと受けられ、白c跳びにまた黒dと受けられ、後にeやfのスベリが残っているので、地として小さい。
それで実戦は、白gと掛かった。

(兪斌)至黒31まで形成十分独特の型,得失不明。]
;W[ec]LB[oc:][pf:][pg:][eq:]C[白28と黒27、白30と黒31の交換は白が働いている感じ。
白32でaのカカリは、黒bと受けられて打ち込みを無くす。
黒aに締まられても、実戦のようにcの打ち込みは残っている。

(石田)白32は、黒dのカカリを牽制した手。黒dなら、白aとカカリ白の壁があるので、上辺の幅が広い。]
;B[oc];W[eq]LB[pf:][df:]C[黒33で、34にカカルのも大きいところ。
しかし、そう打つと、白33カカリ、黒a受け、白b大斜で白模様が大きくなる。
黒はそれを避けた。]
;B[ic]LB[hd:][ef:][cg:][jd:]C[35で狭く挟むと、白b跳び、黒c受け、白d挟み返しになる。
35と三間に遠く挟んで、それを避けた。

(石田)白の壁があるので、遠く挟む感じ。]
;W[df]LB[ef:]C[黒が35と離れているので、白は36と大斜に行きたい。
a跳びでは緩い。]
;B[ed];W[dd];B[de];W[dc];B[ce];W[ee];B[fd];W[cc];LB[cf:a][ef:b][ch:c][gb:d][hd:e][eh:f]B[be]
C[黒45は、35に挟んだときの定石。

(石田)白の壁があるので、黒aと行く通常の定石でなく45を選んだ。

(兪斌)黒45是定石方案の一,もしaに這い,白b,黒c,白d,黒e,白f,此の定石白全局配置生き生きとしている。
この是張栩白36選択“大斜”のときの望みの図。]
;W[bc];B[ch]C[白46を打たせて、黒47と足早に開く形。]
;W[gb]LB[hd:][ef:]C[ここで定石は、黒aだが、白bツギで中央の白の壁が働く。
白bツギで、この白が逃げ出せば、黒は分断された二つの弱い石を抱えることになる。
そこで、b切りから忙しくいった。

(石田)ここで、aと受けてゆっくり打つのもあったと思う。白bに接がれても、黒番だから打てる。]
;B[ef]C[(石田)黒49から行ったのは定石のようなもの。]
;W[fe];B[gd];W[eg];B[ff];W[ge];B[he];W[gf];B[fg];W[fh]LB[hf:][dg:]C[58で白aは、黒58にノビられて一手で味を消される。
実戦は58と打って、3子を取られるが、白bツギの味があり、二手かかる。この打ち方が正しい。]
;B[gg];W[hf];B[gh];W[hd]LB[ie:][dg:][fi:][ld:][ig:][kd:]C[白62はおかしい。
aと当てるところだろう。
bツギの味があるので、黒c抱えくらい。
そこで、62抜きでも実戦より良い。
あるいは、dくらいに大きく攻めて、白の壁が働く。
白a当てに、黒62ツギなら、白eにカケツギで、上辺黒への攻め(fくらいか)と白bツギが見合い。
白打てる。aなら白の大斜は成功していたろう。]
;B[ie]LB[hc:a][gc:b][dh:c][cg:d][gi:e]
C[(兪斌)黒63選択棄子機敏,もしaに当り,白63,黒b,三子連絡可,ただ白c,黒d,白eの二段バネが厳しい,黒引き合わない。]
;W[if];B[jf];W[gc];B[fi]C[黒67となって、白は上辺3子を取ったが、取り方が小さい。ここでは黒が良いだろう。]
;W[id];B[je];W[jd];B[kd]C[(兪斌)黒三子捨てた後至71まで振り換り,黒は受け入れることができる。]
;W[pg]C[黒71ハネで、黒上辺は形がついている。
白72は、必死のところ。

(兪斌)白72打込み必然,唯このようにしてこそ勝負を争うことができる。]
119名無し名人:2005/06/25(土) 20:21:35 ID:aL4BQEkC
;B[ni];W[oe];B[jj];W[jk];B[qe]LB[ng:][pd:][pe:][md:]LB[nd:A][re:B]C[黒77は、白からの77ツケを嫌ったがどうだったか。
黒aと迫り、白77ツケに、黒b、白cツギを打たせ、右上白と中央白をじっくり攻める展開の方が良かったかも知れない。

(石田)ここで、黒は二つの石を繋がらせてはいけない。
黒77は力が入りすぎている感じがある。黒dくらいに上辺を受けているのもあったと思う。

(兪斌)黒77以下は全局の厚薄の見積もりを誤った,進攻失敗,是本局の敗因。
黒77応(こう打つべき(本譜が明らかに悪いとき、正しい手を示す))Aにコスミ,確保自身の連絡。
あるいは黒77は本型は応(こう打つべき(本譜が明らかに悪いとき、正しい手を示す))Bにコスミを打つべき。]
;W[lf];B[le];W[me]LB[jg:][md:][ig:][fc:][kg:][kf:][ke:][mf:]C[ここで、実戦は黒はaノビを打ったが、bと渡る方が良かった。
黒bは、控え室でも検討されていた。
そう打って、白aハネから封鎖されると困るが、それは成立しない。
白aハネには、黒c当てが利き、白d取り、黒e、白fに黒gとツギで、あとhの両当たりもあるので、白だめ。
白がaを打てないとすれば、実戦は黒は急がないところをaとノビた理屈。]
;B[jg]LB[nc:]C[黒81は、厚く好形だが、実戦は白aがあまりにも良く、黒が苦しくなった。
高尾八段は、一日目で疲れていたのではないか。
そこで、なんとなく厚い方に手が行ってしまったか。
ここで、しっかり白aツケへの対策を考えておくべき。白aと打たれてから考えるのでは遅い。]
;LB[ob:]W[nc]C[ここまでで初日打掛け
白82を打たれて、黒苦しい。
(注:個人的には、ここで黒aとじっと我慢でどうかという気がするが、利かされなんでしょう。
 しかし、実戦も白aの切り込み手筋が来て、白さばき形になってしまった。)]
;B[nb];W[mc]LB[od:][ld:][ke:][kc:]
C[黒はaのブツカリを利かせたいが、かまわず白b当てから黒c、白dと上辺を好形で渡られてしまう。]
;B[kc];W[ob]C[黒85の渡り防ぎに、白86が常用の手筋。

(兪斌)白86断り好手!]
;B[pb];W[pc]C[白88が当然ともいえるが、好手。

(石田)白86で単に88もあったと思う。]
;B[oa];W[od]C[白90まで、さばき形]
;LB[ob:a][qb:]B[qc]C[黒91はつらいが仕方が無い。
黒aツギは、白に91と出られる。
なおこの後、白劫抜きから、さらに隅をbと切り込めば、白が劫に勝つと隅に死が残る形になった。

(兪斌)黒77の位置不正であるために,黒91でaに接ぐ方法無し,十分苦痛。]
;W[ng]C[白92は形]
;LB[li:a][lj:]B[pf]C[黒93は筋で、急所だが・・・

(石田)93が悪かった。黒aかbに補っていれば、まだ先は長かった。

(兪斌)黒93ふたたび失誤!
93応(こう打つべき(本譜が明らかに悪いとき、正しい手を示す))aに跳びで白の伸びた一連の石に負担有り。]
;W[mi];B[mj]C[白94からの捌きが、張栩本因坊の強いところ。

(兪斌)白94ツケ強烈!黒の連絡かえって問題に成る。]
;W[li];B[lj];LB[ki:]W[kh]C[98も巧妙

(石田)柔らかい手。白aでは露骨すぎてうまく行かない。

BSレドモンド解説では、控え室でも気づかなかった妙手とか言っていた。]
;B[ki];W[jh];B[ih];W[ji];B[kj];W[nj]C[104切りが読み筋]
;LB[mg:][mh:]B[nh]C[ここまでで正午休息,12:00継続

(石田)普通はaだが、それだとまずい。
実戦のように、bとダメを詰めるのがうまい手。高尾八段はこの手を見ていなかったのではないか。]
120名無し名人:2005/06/25(土) 20:23:26 ID:aL4BQEkC
;LB[mg:][lh:][og:][nf:][ph:][ii:]W[mh]
C[(石田)黒a、白b、黒c、白d、黒eと右辺を治まるのはあるが、白fと打たれ黒5子を取りながら二つの石が繋がる。これは黒まずい。]
;B[ij]C[黒107と、5子を助けた。]
;W[og];B[oi];LB[qi:][qk:]W[qh]C[(石田)黒aと遮るのは、無理。
白bコスミで黒取られ。]
;LB[oj:][ok:][pj:][pk:][qj:][qk:]B[nk]C[111に白aの逃げ出しは、黒b、白c、黒d、白e、黒fと4子を捨てて中の白の大石を攻める。]
;W[qk]C[こんど、白aと逃げ出されると、まずいので黒は1子を取るしかない。]
;B[pj]C[(兪斌)至黒113,黒の連絡を無理強いした後に,白も連絡する,黒の攻撃失敗!]
;LB[ob:][qb:]W[rj]C[白114まで、白の弱い石二つが渡りで繋がり、右上黒が薄くなっている。
白aの劫取りから、bの劫を仕掛けられて負けると隅の黒があやしい。
黒苦しい。

(石田)白の二つの石が繋がり、黒さっぱり。
ここからは黒がだめ。]
;B[cn]C[黒115は、必死の頑張り。

(兪斌)幸いにも黒115と奪い取る最後の大場,局面まだ終わらず。]
;W[ci]C[白116は、張栩本因坊の得意のところ。]
;LB[dh:a][cl:]B[ck]C[優勢なら黒aなどと受けるところだが利かされ。白bと打たれまずい。
そこで117と逆から詰める。

(石田)形勢の悪い黒としては、複雑になるのは歓迎。但し、ここではすでに黒悪い。

(兪斌)黒117疑問手,
黒117応(こう打つべき(本譜が明らかに悪いとき、正しい手を示す))aに引き,
こうすれば白は多くの利きなし。]
;W[dk];B[cl];W[dh];B[cg];W[fj]LB[di:a]C[白122で筋に入っている

(兪斌)白122ツケ後,白aに接ぎ是先手であるために,黒は既に非常に好しの攻撃手段なし。]
;B[mg];W[lh];B[gj]C[(兪斌)黒125以下の強殺,是やむ無しの挙。いかなる譲歩も全て是必敗の局。]
;W[ei];B[eh];W[dg];B[bi];W[fh];B[ig];W[fc]
;B[eh];W[bh];B[cj];W[fh];B[di];W[dj];B[gk];W[ci];B[bg];W[bj]C[142の劫の形で、そば劫が多いので、しのぎが見えた形]
;B[di];W[gi];B[hj];W[ci];B[ah];W[dm];B[dl];W[el];B[em];LB[ek:][fm:][fk:][cm:][bk:][bm:]W[en]C[白152がまた巧妙
先に当てを打って、石の調子を求める

(石田)黒a、白b抜き、黒c接ぎで白を取れるが、白d、黒f、白gで右下が大きくなり、白勝ち。]
;B[fm];LB[di:][gm:]W[fl]C[(石田)ここで、白aに接げれば活き。
黒aに抜けば劫だが、白b当てからのそば劫が多く、しのぎ形。

C[(兪斌)至154まで劫で殺す形だが,白はそば劫非常に多いために,黒は既に敗局を呈す。]]
;B[di];W[gm];B[fn];W[gl];B[hn];W[ci];B[qi];W[ri];B[di];W[gn]
;B[fo];W[ci];B[rg];W[qg];B[di];W[go];B[fp];W[ci];B[rf];W[rh]
;B[di];W[gr];B[gq];W[ci];B[md];W[ne];B[di];W[hg];B[hh];W[ci]
;B[hr];W[di]C[白186劫ツギで、黒中央の大石に目が無い。]
;B[mb]C[黒187の連絡はやむなし]
;W[fr];B[rl];W[qm];B[rn];W[rm];B[mr];W[hq];B[sm];W[lb]C[白196ハネ出しで劫]
;B[lc];W[ob];B[pr];W[oc];B[kb];W[qb];B[rb];W[pa];B[hb];W[oo]
;B[pn];W[os];B[ra];W[pm];B[on];W[qq];B[ir];W[gp];B[bp];W[co]
;B[bo];W[cm]LB[bm:][dn:]C[W+R、
この後、黒aには白bで白抜きと左辺4子取り見合い。
黒bには、白aと出て、手になっている。
黒は投げ場を求めた形。

決勝戦第五局将に6月27、28日在日本埼玉進行,請うご注目TOM棋聖道場の大戦直播])
121名無し名人:2005/06/25(土) 20:27:40 ID:aL4BQEkC
>>117-120
本因坊戦第四局、棋聖道場と日本の解説をミックス。
これ以上の解説は、ハイパー検討室よりないだろう。
おっと、週刊碁にどう書かれるかな?(w