ルール
■重要項目
・死んだキャラを生き返らせるのは禁止
・原則的に主催者を動かすのは禁止
・いきなり自殺させる等、それまでのストーリーを無視した行動をとらせるのは禁止
・致命的な矛盾があるものはNG
■マップ
http://www36.atwiki.jp/srpgbr/?plugin=ref&serial=1で固定。
マップは8*8の64エリア。
■支給品
参加者の武器防具は没収。
共通の支給品
〔地図、食料(二日分)、飲料水(ペットボトル二本)、時計、方位磁石、参加者名簿〕
と、アイテムがランダムに二つ支給される。
【ランダムアイテム関連】
武器とアイテムが一つずつ支給される。 著しくバランスを崩すようなものは禁止。
各キャラの最初の作者が支給品の説明を書くのが望ましい。
・意志を持つ武器について
自発的な行動は喋ることしかできない。
自力での行動、攻撃は不可。
装備することによる所持者への能力付加は、特に制限されない。
・生物について
単体攻撃のみで、『制限』に反さなければ良い。
■制限
特殊能力は全般的に消耗が激しくなる。弱い魔法も連発は相当消耗。
蘇生・即死・時間移動・遠距離瞬間移動・地形が変化するほどの大規模魔法(天変地異)は不可。
状態異常系魔法や技は効果、成功率の低下。
【首輪関連】
ゲーム開始前からプレイヤーは首輪が装着されている。
外そうとすると爆発。会場から一定以上はなれても爆発する。
二四時間の間に死亡キャラがいない場合、全員の首輪が爆発する。
【召喚関連】
一度に一体しか出せない。
一度能力を使ったら消える。
一度出したらしばらくは召喚できない。
【回復関連】
浅い傷・打撲→傷は直せるが血は戻らないし痛みもそう消えない
深い傷・骨折→回復魔法が得意ならなんとか塞いだり接合したりできるが完治はしない
千切れる・複雑骨折→直せない
状態異常回復魔法は制限なし。
【ゾンビ生成】
生成には数時間必要な上、一度に作って操れるのは一体だけ。
作ったゾンビが消滅するまで次のゾンビを生成できない。
ゾンビは、頭を潰すか聖なる能力で浄化すれば倒せる。
■初期装備
服(普段着)のみ。小道具無し。
義手など身体と一体化している物は可。
ただし、内蔵武器・能力などは全て没収&使用禁止。
■放送
放送内容は死亡者、禁止エリアの発表。
放送は一日二回、6:00、18:00に行う。
【禁止エリア】
侵入すると首輪が爆発して死亡する。
定時放送で連絡し、三箇所を指定する。指定されたエリアは放送の一時間後に禁止エリアとなる。
■作品投下
一度ID有りトリップ有りの状態で投下を宣言。その後、宣言時のトリップを用い、必ずsageで投稿。
トリップのないもの、宣言のない作品は無効となる。
また、SSの最後に以下のテンプレを書くこと。
【エリア/現在地/何日目・時刻】
【○○○@○○○○○】
[状態]:
[装備]:
[道具]:
[思考]:
例
【E-2/城内/一日目・未明】
【ビラク@紋章の謎】
[状態]:左腕に切り傷(処置済み)頭部に軽い打撲、永久ヘイスト、バサークの杖による混乱
[装備]:エクスカリバー@FFT
[道具]:拡声器、支給品一式
[思考]1:うほっ!いいおとこ
2:殺 ら な い か?
【ギュスタヴ@FFT 死亡】
【残り50人】
時間表記
未明:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
深夜:22〜24
ゲーム開始時刻は06:00
■参加者リスト
6/6【ファイアーエムブレム 暁の女神】
○アイク/○ミカヤ/○サナキ/○漆黒の騎士/○シノン/○ネサラ
6/6【ファイアーエムブレム 紋章の謎】
○マルス/○チキ/○シーダ/○オグマ/○ハーディン/○ナバール
6/6【サモンナイト3】
○アティ/○ベルフラウ/○アズリア/○ソノラ/○イスラ/○ビジュ
6/6【サモンナイト2】
○マグナ/○レシィ/○パッフェル/○ネスティ/○ルヴァイド/○アメル
7/7【ファイナルファンタジータクティクス】
○ラムザ/○アグリアス/○アルガス/○ムスタディオ/○ガフガリオン/○アルマ/○ウィーグラフ
6/6【魔界戦記ディスガイア】
○ラハール/○フロン/○中ボス/○エトナ/○ゴードン/○カーチス
7/7【ティアリングサーガ】
○リュナン/○ホームズ/○レンツェンハイマー/○ティーエ/○リチャード/○カトリ/○オイゲン
7/7【タクティクスオウガ】
○デニム/○カチュア/○タルタロス/○ヴァイス/○ハミルトン/○オリビア/○ニバス
【51名】
現在の参加者の状況は>1のwikiをご参照ください。
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〃 .| | ヽ
=liニニニニニニ>
ゝ | | ノ
∨
ゝ~"~<
,ロ=lノ==l∩
レヽゝ,、,,ノ / >1乙、天!!
/ ヾ
| l
ノ,、,、,、,、,、l
i_/、」
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ゝ~"~<
,ζノ=lノ=∩ うおわああ!
レ、d ゚ ロ゚ノ/
/ミミ彡ヾ)
|∪ l=l_|~ヽ
ノ___r~~~⊃ゝ
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彡
スレ立て乙です。
臨時投下スレの>225-234、修正はwikiにて行いますので、そのまま代理投下願います。
これは余談ですが、もし暁プレイ済みの方がいれだ没ネタスレの>17-22も見といてください。
本採用が厳しいのでそのパートだけ削りましたが、ネサラより黒いものが見れるかも知れません。
あ、今回のタイトル元ネタは蒼炎の軌跡のネサラのテーマ曲からです。
前回もオウガの空中庭園のBGMだったりします。
タルタロスの我慢の限界点(Limitation)突破なわりに、音楽は明るいからなあw
まあデニム達についてはむしろ大いに間違いたまえとしか…。
「これも俺が…。いや、俺達が生き延びる為の術だ。
アイク、悪く思うなよ。……と言っても無理な相談か。」
アイクにあの興奮気味のスクリミルもどきを押し付け、
黒翼を羽ばたかせて空高く舞い上がり――。
俺は吹き荒ぶ風の中で誰に問うでもなく、
謝罪の体すらなさぬ独り言を呟いていた。
俺はな、アイク。
たとえどのような事をしてでも生き延びて、ここを脱出しなければならないんだ。
――俺が守ってきた者達や、俺が愛する者達の為にな。
俺自身の負債を、決してあいつらに背負わせてはならない。
俺自身の不幸で、決してあいつらを悲しませてはならない。
背負うのは、俺一人で十分だ。
俺は、カラスの王だからな。
…だがなぁ?
俺が生還することであいつらが何一つ苦しむ必要がなくなるなら、
英雄だろうが殺人鬼だろうがとことん利用させてもらうし、
その為の邪魔者がいれば遠慮なく始末させてもらう。
そう。この場を脱出するためなら聖人君子の物真似もやってみせるし、
この殺し合いに乗りアシュナードもかくやの暴挙をなす事も辞さない。
もし俺がこんな所で死んでしまえば、その後のことは
あのくそ爺やリアーネ、そして俺達の子に全て背負わせてしまうことになる。
だからこそ、それ以外の物事についてはなりふり構っちゃいられないんだ。
――だからな、アイク。お前も俺を恨んでもらって一向に構わないんだぜ?
俺は無事G−5の住宅街上空に到達した。
ニンゲンのように地に縛られて周辺を練り歩くよりは、
こうしてラグズらしく空を駆けるほうがはるかに心地よい。
こうして上空を飛んでいるのは、無論効率上や身の安全上の理由もある。
だが、こうして風が体を撫でる肌触りを、自然と共にあるという確かな感覚を
感じていたいというラグズ的な理由のほうがはるかに勝っていた。
俺がニンゲン臭い生活を送ったところで、やはりラグズはラグズだってことか。
住宅街を低空飛行で一周して様子を確かめてから改めて化身を解き、
適当な住宅を一軒一軒観察を始める。
やはりというか、ニンゲンの影はおろかネズミ一匹見当たらなかった。
ヴォルマルフというニンゲンのおっさんは、ここを会場だと称していた。
そして「皆で仲良く殺し合いのゲームをやってもらおう」とも抜かしていたが。
だったら、その際に邪魔になりそうな住民などは
あらかじめ排除しておいたと普通は考えるだろう。
だが、それにしてはあまりにも不明な点が多すぎる。
特に気になったのは、町そのものにはほとんど傷らしい傷がないという点だ。
ラグズである俺ですら、これだけの規模の住宅街を作り上げるには、
それなりの人数と労力が必要となることぐらいは簡単に理解できる。
ここに住まうニンゲンを逃がさず全て始末するのだ。
万単位の大規模な軍でも用いなければ、それは不可能である。
当然、殲滅ともなればここにいたニンゲンどもにしたところで
叶わぬまでもそれなりの抵抗はするだろうし、
混乱状態になれば騒ぎに乗じたニンゲン同士の略奪や放火といった
事態も必然的に生じることになる。
そういった事態を全て未然に防がねば、
ここまで綺麗な無人の住宅街は作り出せないのだ。
だが、果たしてそのような事が可能なのだろうか?
それを実現するならば、この住宅街の全住民を
誰にも気づかれることなく短時間で始末して、
なおかつ死体や血痕すら完璧に隠ぺいする必要がある。
ニンゲンも、動物さえも問わず。
当然、それは現実的に考えれば絶対に不可能だ。
となれば、住宅街全体にあのニンゲンのおっさんがこの会場に飛ばしたような
大呪文でもかけて生物を無差別的にどこかに飛ばしてしまうしまうしかないが、
この住宅街にあのおっさんが準備した魔方陣の痕跡のようなものも特には見当たらなかった。
この上空からでは、あの魔方陣が存在すれば否応なく目立つはずなのに。
では、物理的手段でもなければ、魔法的手段でもない形で
この住宅街の住民を片づけたことになる。
こちらでは全く理解できない不可解かつ手に余る力――。
そんな芸当を成し遂げることができるのは、世界そのものを創造できるような存在。
そう、つまりは正の女神アスタルテか負の女神ユンヌ以外に想像がつかない。
つまりはそれらと同等の奇跡の力を持つ「何か」が主催にいるということか。
「……ったく、なんてものに気に入られちまったんだ。」
メダリオン握りしめた狂王の次は
世界を創造した正の女神で、
とどめの相手は、これかぁ?
……ったく、簡便してほしいぜ!
しかもこのとどめ、参加者としてアイクやミカヤ、皇帝陛下がいるのは当然としても、
参加者に「漆黒の騎士」なんて特別付録も追加されていやがる。
ああいう手に負えない怪物まで、容易く「正の使徒」がごとく蘇生させるなんてな。
…これも、そいつの「奇跡の力」の一端ってことか。
もしかすると、この町自体も、その奇跡の力によって無から創造されたのかもしれない。
それなら、この不自然極まる住宅街や、地図上の地政学を無視した城や村の配置も納得がいく。
だが、それらが意味するものは…。
俺は背筋に冷たいものが走るのを禁じえなかった。
身に置かれた状況は、ほぼ絶望的だと言ってもいい。
こりゃ本格的に逃げるのは不可能かもしれない。
だが、裏を返せばこうも考えられる。
あのおっさんはこの住宅街をこんな風にした何者かと違って、
魔法という生臭い手段に頼らねば俺達をこの会場に送り届けることはできなかった。
そして、この首輪がなければ俺達の行動を強制し、支配することさえもできない。
そして、あいつは“ゲーム”の進行役だとも語った。
ならば、そんな生臭い手段に頼らざるを得ない自らよりはるかに劣るはずの
現実的な中間管理職に“ゲーム”の進行を任せっきりにしなければならないのだ。
そこに、その主催とやらの奇跡の力にも限界はある。
――ならば、うまく出し抜くことはできるのではないか?
俺はとりあえず、そのように気分を切り替えることにした。
一通りの観察を終えると、俺は手頃な民家から真新しい円匙(シャベル)と鶴嘴を見つけ出し、
デイバッグ(マニュアルによるとそう呼ぶらしい)に詰め込んで再び飛翔した。
(このバッグ、大きさを無視して詰めることができるのは、支給品を確認した際に承知していた。
しかし、あの滑った触手…。「いろんなところをまさぐる」って一体何に使えってんだ?)
今度は、大鴉の姿に“化身せずに”、そのまま黒翼をはばたかせ空へと駆け上がる。
そう、既に日が傾いてきたからだ。
俺達鳥翼族は、闇夜じゃ視力を失う。
そんなままで、夜ニンゲンに見つかったら
ろくな抵抗もできやしない。
このように化身さえしなければ、
一応はニンゲンを少し超える程度の視力を保てるが、
戦闘力も大幅に減じてしまう。
さっきのスクリミルもどきのような手練相手では、
一度捕捉されれば逃げることも難しくなるだろう。
これからは、今まで以上に周囲に気を配る必要がある。
やれやれ、本物のカラスってのは相当夜目が効くんだがねぇ?
女神サマも、俺達を実に不便な身体に作ってくださったものだ。
心の中で愚痴りながら、俺はさっきの森の中に戻る前にもう一度周囲を見渡す。
真下を見ると、丁度俺が数分前にいた辺りを
男女三人連れが一列で大通りの端を歩いていた。
この姿での遠目でははっきりと断定できないが、
二人の体の線の細さや顔立ちから考えて、
女が二名、男が一名の編成のようだ。
背が高めの肌の白い女が、見たところリーダー格らしい。
周囲を警戒しながら歩いているようだが、
同じような服を着た内二人は見事に呼吸が合い、
最後の大男一人もそれなりにではあるが
彼女ら二人の死角をフォローしている。
その動きの良さや、地上においては付け入る隙がないことから、
彼ら全員が正規の軍隊で訓練を受け、
それもかなりの手練であるのはまず間違いない。
…だがな?まだ甘い。甘いんだよ、ニンゲン。
お前達は、空を飛ぶことができる種族がいるって事を忘れている。
俺は冷笑に口を歪ませたが、そこではた、と気づいた。
そう、素人なら上空を身落としてもそれは理解できる。
だが、あの者達の動きはどう見ても玄人のそれだ。
そんな手練三人が、あっさりと上空だけを見逃してしまう事が、
果たしてあり得るのだろうか?
普通に考えれば、それは絶対にありえない。
鳥翼族を常日頃から相手とするベグニオンの正規軍なら、
上空をまず第一に警戒する。
…もしかすると、だ。
あのリチャードって名前の興奮気味のニンゲンは、
俺達鳥翼族のラグズの事を邪神の使いか何かかと勘違いしていた。
そう。ラグズという存在自体を、あいつは全く知らなかったのだ。
そうなれば、だ。
今の三人組も、ラグズという存在を知らない可能性がある。
そうでなければ、上空のみを見逃すという玄人らしくない
失態を三人そろって犯すはずがない。
あるいは、三人が先にこちらに気づき、逆にこちらを捕らえようと
知らないフリをしている可能性もある。だが、その可能性も極めて低いだろう。
今はまだ夕暮れ時だ。まだ化身をしても多少は目が効く。
上空で鳥翼族が化身を行い、上空から急降下で心臓をえぐる速度は、ほとんど弓矢や投具のそれに近い。
それを目の前にして、全員が余所見などすればどうなるか、分からないわけではないだろう。
やはり、あいつらはラグズなど見たこともないような異邦の出身か、
女神が沈めたはずの別大陸からやってきたという可能性がある。
そもそも、あの大男の鎧はともかくとして、あの姉妹の衣装は見た事がない。
…やれやれ、死者を蘇生させたと思ったら、今度は異邦人か。
ずいぶんとまあこのゲームの主催者サマ側は手の込んだことで。
このゲームに乗るにしろ、主催を出し抜いて逃走するにしろ、
生き残るためには事前にできるだけ多くの情報は欲しい。
…そうなれば、腹は決まった。
あの石像と化したニンゲンのお嬢ちゃんを埋めるのは、後回しだ。
あいつらと、少し接触してみるか。
交渉次第で、あの石像も元に戻せるかもしれん。
正直、あのお嬢ちゃんの安否自体はどうでもいい。
だが、あのお嬢ちゃんのその知り合いが他の参加者の中にいれば、
恩を高値で売りつける絶好の機会ともなるだろう。
ニンゲンの格言にもこういうのがあったな?
――情けは人の為ならず、ってね。
俺は音を立てないように慎重に羽ばたくと、
上空からゆっくりと三人の後を追った。
◇ ◇
三人は町中を散策すると、やがてやや大き目の屋敷を目指し、そちらに入り込んだ。
俺は窓の外から三人の入った部屋を確認すると隣の部屋の窓から侵入し、
壁にへばり付いて聞き耳を立てた。
彼女らに接触する前に、まずは本人達がどういったものであるか見極める必要がある。
それに、万が一ということもある。
もし仮に三人ともがこのゲームに乗っており、
そしてしばらくの間共闘する約束をしているのであれば、
迂闊に接触すれば目も当てられない事態となる。
まずは見極めだ。
ラグズの五感は、化身せずとも人間のそれを凌駕する。
幸いにも壁は薄く、内容は俺の耳なら充分に聞き取れるものだった。
耳を澄ませば、食器を取り出す音や何かを咀嚼する音もはっきりと聞こえる。
どうやら、食事休憩をも兼ねての話し合いらしい。
『一応聞いておくけど、姉さんもオグマさんもこの殺し合いに乗る気はないんだよね?』
…女にして低すぎる声質と会話の内容から、あの最初に見かけた
リーダー格の線の細い“妹”は、どうやら“弟”だったらしい。
チッ、ニンゲンの顔ってやつは白鷺よりもはるかに紛らわしいときてる。
どうせならあの女男、ティバーンやカイネギスみたいに厳つくなりやがれってんだ。
心の中で悪態を付きながら、盗み聞きを再開する。
『アティやベルフラウ、ソノラは乗らないだろうな。特にアティは積極的に止めさせようとするに違いない。
ディエルゴが絡んでいるのであれば余計にだ。可能性があるとするなら、ビジュぐらいだが…。』
――ビンゴ。
ポケットにねじ込んであった、肖像画付きの参加者名簿をもう一度確認する。
先ほどのリチャードって奴の顔と名前や、
他の知り合いの顔もこれで完全に一致していた事から考えても、
あのニンゲンのお嬢ちゃんは“ソノラ”で間違いない。
どうやらあの三人、あのニンゲンのお嬢ちゃんと知り合いらしい。
話しの内容から察するに、三人ともゲームには乗っていないようだ。
ならば、今の所は接触する価値は十分にある。
よし、なら頃合いを見て当たってみるとするかね。
しばらく会話が続き、信用しても良い人物と、警戒すべき人物の会話が続く。
俺はその辺に置いてあった筆記用具を頂戴し、
挙がった名前の左隣に小さく◎、○、△、×のチェックを入れていく。
チェックが一通り終わった頃、急に会話が無くなった。
そしてしばらくしてから、筆記用具を走らせる独特の擦過音が聞こえる。
会話が聞こえないように、筆談に切り替えたらしい。
――まさか、気付かれたか?
こちらに侵入するときは気配を絶っていたし、物音は何一つ立てなかったはずだ。
この俺が、潜入においてニンゲンごときに遅れを取るとは思えないが…。
さて、どうする?
このままこの場に居続けるのは、どう考えても良くはならないだろう。
三人に俺の存在を気づかれ、警戒されてしまっているのなら、
この後この俺が強襲を受けるのは明白だ。
だが、これまでの会話の内容から考えて、
奴らは積極的にこのゲームに乗ることはない。
三人がこれ以上警戒心を強める前にこちらから乗り込めば、
会話や交渉に持ち込むことは十分可能なはずだ。
あのソノラってニンゲンのお嬢ちゃんの情報を持ちかければ、
あの三人も十分に食いつくだろう。
その場合、黒翼は背中に隠してしまった方がいい。
ラグズの情報は知らせない方がこちらに優位に働くだろうし、
下手に存在を知らせてあのリチャードってニンゲンの時の
二の舞になるのもまっぴら御免だ。
…さて、どちらを選択すべきかね?
俺が判断を決めかねていると、静寂の町に死者の名を告げる最初の鐘の音が鳴り響いた…。
【G-5・町・屋敷内/夕方】
【ネサラ@暁の女神】
[状態]:打撲(顔面に殴打痕)。
[装備]:あやしい触手@魔界戦記ディスガイア、ヒスイの腕輪@FFT
[道具]:支給品一式×2 清酒・龍殺し@サモンナイト2、筆記用具一式、
真新しい鶴嘴(ツルハシ)、大振りの円匙(シャベル)
[思考]1:ゲームを脱出する。その為なら一切の手段は選ばない。
2:イスラ達の会話の内容に興味。
3:ソノラの情報は、今の三人相手に利用できるかもしれない。
4:逃げるべきか、それともあえて踏み込むべきか…。
5:脱出が不可能だと判断した場合は、躊躇なく優勝を目指す。
[備考]:この舞台そのものが、ある種の『作りもの』ではないかと考えています。
そして、このゲームの主催者が女神アスタルテに匹敵する超越的存在であるが、
同時にその奇跡にも等しい力にも限界があるのではないかと踏んでいます。
このゲームにラグズの存在さえ知らない異邦人が数多くいることを確信しました。
ネサラはイスラ達が急に筆談に切り替えたことから、こちらに勘付いたと誤解しています。
ネサラの参加者名簿には顔写真(ネサラは肖像画と認識)が付いており、
イスラ達から盗み聞きした会話内容を参考に、名前の左隣にチェックを入れています。
チェック内容はそれぞれこうなっています。
アティが◎
マルス、シーダー、チキ、ベルフラウ、ソノラ、ミカヤ、サナキ、
イスラとオグマとアズリア(名を聞けなかったが、イスラと同じ姓で判断した)が○
アイク、漆黒の騎士、シノン、ナバールが△
ハーディン、ビジュが×
といった内訳です。
代理投下完了です。
色々と修正もあるのでしょうが、現時点での感想をば、
リチャードに続いてネサラの勘違いフラグが立ってますねw
下手すればこのままネサラもマーダーorステルスの仲間入りでしょうか。
色々なところをまさぐるなんて文字通りの意味しかないじゃないですかw
これで最後はアイクだけか。
ティバーン住職にはワラタ。
あれは反則だぁ〜。
前スレの活躍期待というより、不幸への期待なら…。
対主催は伐剣者二人と、マーダーならカチュアで。
Cー3エリアはむしろ郊外の五人衆が楽しそう。
エトナと中ボスが遭遇する上に、剣がらみで修羅場になる可能性が高いし。
アティ、シャルトスは近くにあるんだぞ…。
アイクはどこで止まってんだと思ったら午後か。
もうこのまま放送後まで持って行ってもいい気がするんだが駄目なのかな?
ネスティも午後止まりだけど問題なさそうだし・・・。
というか村組と城組が気になって仕方がない。どっちも中と外で大きな動きがありそうだし。
アイクは書き手的に難しいキャラクターなのかなあ…。
いや、むしろ簡単な部類だと思う。
腹黒だったり精神不安定だったりする奴らと比べてはるかにブレが少ないし。
まあ徒歩で手負いだから無理に動けないだろうし、そのまま放送後に飛んでもいい気がする。
今のところ予約0か…やっぱり書き手が少ないと寂しいな。
新スレも立って放送も投下されたし、これから書き手が増えるといいんだが…。
現在プロット持ってたりSS書いてる人ってどれくらいいるんだろ?
プロットなら塔で一つ、村中で2つ(うち一つは条件次第)城内で一つかな?
プロットは書いてるうちに180℃変わる場合もあるから絶対じゃないが。
なんにせよアイクが先か。
そういや火薬庫が出来つつあるのに、展開予想話とかがあんまりないね。
読み手は意外と多いのに。
展開予想は同時に書き手のプロットを潰しかねないから皆自重してるんじゃない?
それにそういう話は避難所ですることになってたはず。
読み手は結構いるのに書き手が少ないってのは少し問題だな。興味を持ったことを
きっかけに書き手にも回ってくれるとありがたいんだが…。誰か今執筆中って人はいるのかな?
wikiを更新。
その中で気付いたが、パッフェルさんマルスの死体に気付いてねぇー!
状況的にナバールの死体の近くにある筈なのに。
まあ少しの修正で大丈夫だろうけど。
【巨】アティ、パッフェル、カチュア、シーダ、アグリアス、(アルテマ)
【並】ティーエ、カトリ、アルマ
【貧】アズリア、アメル、ミカヤ
【無】ベルフラウ、サナキ、チキ、エトナ、フロン
>>30 RPGロワから出張乙。ついでに【無】にビーニャを追加よろ。
ところでさっき気がついたんだが、ネサラの拾った鶴橋ってありなの?
C-3の村の方は果物ナイフぐらいしか見つからなかったってあったのに、
こっちはそんな武器になりそうなものがあるのは大丈夫なの?
>>29 マルスが倒れているのって山付近だから草木に隠れて見えないと思うけど。
というか、あんまりガチガチに細かいところまでこだわると書き手が死ぬ。
ただでさえ話が進めば進むほどフラグが増えて矛盾をなくすのに苦労するんだから。
(例えばラノロワなんかは「フラグ増大+細かい時間の辻褄合わせ」で途中から殆どの人が書けなくなった)
取り敢えず、作品の修正終わり。
鶴嘴とシャベルについては、あえてそのままにしてあります。問題を感じるなら仰って下さい。
Cー3の村でもありましたが、現地調達品は基本的に主催用意の救済措置
程度に考えてますから、ある程度は有りと認識してます。
第一、鶴嘴なんて刃が無しで戦闘用でもないしバランスも悪い以上、
そうそう無茶ができる訳でもないですし。
まだ支給品の手斧に紐と物干し竿くくり付けて簡易ハルバードにした方がはるかに強いし。
支給品以下のものしか出せないなら、最低ランクだと吹き矢と辞書ですが、
これ以下のものって正直思い付かない。
というか、言われて初めて戦闘にも使えるって気が付いた。
ネサラじゃあるまいし、それぐらい想像しろ自分…。
なんか物凄い勢いでSSが更新されてるけど、あれって何やってるんだ?
>>34 先程完了。
次回登場話と、残り人数の追記のみです。
>>35 乙、何が起きたのかとびっくりしたよ。
自分も主に時系列順のページの編集をしました。コンテンツの使い方に苦戦しましたが、
ちゃんと編集できてると思います。
ところで、18時以降は第二放送後になると思うのですが、18時で放送直前のSSは
第一放送前の扱いでよろしいでしょうか?
あー、そこが問題だよなぁ。
いっそOP〜100話、101話〜200話みたいな区切りに直したほうがいいかもしれないね。
wikiの管理人です。
またまたトリの保存を忘れたorz
取りあえず今後はこのトリでwikiも一回全部統一しますわ…
区切りに関してなんですけど、元々はページの見栄えと容量の関係で
放送までで区切ろうと言う意見があったのでそうしていたんですが、
そのときはまさか放送後にその前の時間軸の話が投下されるとは想定していなかったんですね。
案としては第1回放送の投下番号を明確にせずに全ての放送前の話が投下された後に
間にねじ込む形にして綺麗に纏めるか。
100話区切りの形にするかですね。
けど前者はアイクが投下されるまで仮定という形になって、結局バランスが悪いので
やはり100話区切りの方がいいのかもしれませんが、どっちの方がいいですか?
>>35 編集多謝です。
駄目管理人で申し訳ないorz
>>38 自分も100話区切りの方が色々と都合も良いと思うので後者がいいです。
それと時系列順に関してなんですが、第一放送のSSは第二放送までの方に
移したほうが良いと思うのですがどうでしょうか?あくまで「第一放送まで」なので、
その中に第一放送が入ってしまうのはおかしいと思います。
ところで気になったのだが、参加キャラクターのアライメントってどうなっているだろ。
タクティクスオウガは皆すぐにわかるけど。
そもそもアライメントはTOの概念だから
他の作品のキャラに当て嵌めるのは難しいけど、
「L=善」、「C=悪」ではなく、
「L=社会秩序の為に個を捨てれる人」
「C=あくまで個を優先する人」
みたいな感じだと思う。
なので例としてディスガイア勢は
ラハール、エトナ、中ボスが問答無用でC。
フロンがL。
反対意見もあるだろうけどゴードンはC(100を救う為に1を犠牲にできないから)、
カーチスはL(上記の事が出来る)。
んでプリニーはN。
だと思う。
メガテン的なLaw-ChaosならLight-Darkがあるから分かりやすいんだけどなあ。
このロワのデニム、ヴァイス、タルタロスはLaw-Dark(Lawfulな社会を築く為には一切手段をいとわない)。
ゴードンやハミルトンはLaw-Light(秩序を好み善行や解放を目指す為)。カーチスは現在微妙(生前はLaw-Darkだが)。
プリニーはNeutral-Dark(無定見だが徹頭徹尾自己中心的で元々重罪人の為)。
ただ、アティ先生の解釈が苦しい…。Lightなのは間違いないのだが。
ところで、第一回放送までのフラグをしたらばで纏めておきました。
後でWikiに追加しますので足りない所や間違っている所があれば申請してください。
>>43 ベルフラウ、ソノラはLaw-Lightで、アズリアとイスラがLaw-Dark寄りかな?
(アズリアがLight寄りのDark、イスラがChaos寄りのLawが正確かもしれん。)
ビジュは問答無用でChaos-Darkだな。
そしてフラグまとめ乙。結構色々あるんだな。これがどれぐらい消化されるか楽しみだ。
ディエルゴの守護者の現在位置を不明にしておきました。OPや放送と同じ場所なので、
やはり統一したほうがいいかなと…。
そういや、マグナが登場話で持っていった小麦粉一袋と正体不明の数瓶って状態表にないけど、
これは書き忘れでいいな?本人がいれば意見聞きたいのだけど。
あとMADマダーw(チンチン
あれ……本当だ。すみません、書き忘れでした。
バッグにあるマグナの調達品は、
予備のワインボトル一つ、小麦粉の入った袋一つ、ビン数個(中身はジャムや薬)
です。
とりあえず自分のSSはすぐに書き足せますが、続きのマグナ登場SSの状態表も一括修正しても大丈夫でしょうか……?
>>46 むしろ私個人としてはお願いします。
小麦粉が
伏線になる場合もあるし、正体不明は後で化けることもありえますから。
ちょっと聞きたいんだけど、このロワって作中で「ゲーム」や「マーダー」って単語を
使っちゃ駄目だったりする?
今までのをざっと読んでてその二つの単語が殆ど出てきてないから気になった。
(殺し合いとか殺し合いに乗った人とか代わりの単語は出てきてる)
専用用語は興醒めするからできるだけ使わないかな。
「ゲーム」は進行役が使ってるからそれにあわせて、かな?
どっちかといえば、対主催はまずゲームとは
表現しないかな程度で避けてました。
マーダー連中も比較的真面目な奴が多いし。
マーダーって表現は基本知らないだろうから
使ってないですね。
真面目というか、頭のネジやら理性やら倫理感がトンだ奴等ばかりだがな。
しかし、アルマ以外今一つキャラが薄いなあ。もう少し暴走してもいいのだが。
参加者に無差別キャラがいないからね。ましてやSRPGの悪役とかって
積極的に動かないタイプが殆どだし、ある意味とてもSRPGのロワらしいと言えるかもしれない。
まあ今更何言っても仕方ないし、第二放送後に暴走してくれそうなのは何人かいるんだから
その方達に期待するとしようじゃないか。
それにしても、マーダーって表現が使えないのは少し痛いな。いちいち「殺し合いに乗った人物」
って表現してるとなんだか読みづらくなりそうで…。
殺人者とかでよくないか
台詞で言うなら「人殺し!」とかね。
表現を統一しなきゃいけないって訳じゃないし、
好きなように表現してみる事が良いんじゃない?
ただ、バトロワに対して参加者が詳しすぎる発言をするのだけは避けた方がいいと思う。
殺人鬼とか、まあいくらでも呼び方は探せばある、というかキャラの性格考えたら勝手に思い付く。
ジョーカーだと内通者とか裏切り者が妥当な線か。現時点ではまだ誰もいないけどね。
暴走と誤解ならガンガン撒き散らしたほうが面白い。
さて、リピーターは誰と誰にしようか…。
マグナの話しが全部終わってからだから少し先の話しにはなるが、幕間で主催側が増えるのは問題ないよね?
プロットはあるけど時間がないので、したらばにアイクのSSのネタしたらばの公開スレに投下しておきます。
繋ぎ内容で特にギミックもないから内容はそんなに難しくはないし、
アイクの投下待ちの方も多いでしょうから参考にはなるかと思います。あとは任せた!
>>56 あんまり主催側を増やしても脱出した時に収拾つかなくなりかねないけど、
程ほどになら大丈夫だと思う。まだライオン丸側の主催仲間が出てきてないしね。
つかマグナ組って結構重要なフラグ多いよな。魔剣に主催に負の女神とより取り見取りだ。
タルタロスに異常なまでの情報も渡るけどな。
危険対主催化の線も出てきた訳で。
これからどんどん差が開くだろうことが予想される。
ところで、某ロワでもあったがこのパロロワ見てるって事は何か好きな
原作が一つくらいはあるだろうが、皆はどの作品が一番好き?
一番長くやってるせいかTOが一番思い入れあるなぁ。
ストーリー分岐多いから何回やっても飽きない。
初めてクリアした作品ということでサモンナイト2かな。
護衛獣をどっちがバルレルにするかで姉ともめて、結局自分はハサハを選んだけど
これが当たりだったというね。ハサハかわいいよハサハ。
62とかぶるけどサモンナイト2。
一週目はマグナとレシィだったから更に倍。
FFT……というかアグ姐!!
でも、ラファとバリンテン大公の会話で
ムラッとしてしまった、俺orz
好きというより出来に不満な作品があるが、それは伏せておく。
それでもあえて書くのは、なんだかんだで好きなのかも知れないが。
松野作品であるFFTやTO、加賀作品の紋章はそれなりにやりこみましたし好きですヨと言っておく。
>>64 アティ「私が村で何をされているか、知っているくせにッ!」
デニム「僕が姉さんに何をされているか、知っているくせにッ!」
こうですねわかります。
後者は真面目にありそうなんだがw
68 :
助けて!名無しさん!:2008/11/11(火) 08:27:29 ID:bhwXIkYB
>>66 フロン「私が森で何をしたか、知っているくせにッ!」
ムス太「俺が森で何をされたか、知っているくせにッ!」
アルガス&レンツェン「俺たちが書き手に如何扱われているか、知っているくせにッ!」
も追加でヨロ。
ごめん、ageてしまった。
と言うか、本当は
バリンテン大公
「ククク…、殺せはしまい…。
何故、殺せないかわかるか?
それはおまえの身体が覚えているのだ…。
恐怖をな…。
だが、安心しろ…、
次第に恐怖が恐怖でなくなるよ。
クックックック。
こっちの台詞だったんだけどねw
FFTとTOはこの手のネタが割かし多い気がするわ。
>>68-69 堕天使フロン
「ククク…、殺せはしまい…。
何故、殺せないかわかるか?
それはおまえの身体が覚えているのだ…。
恐怖をな…。
だが、安心しろ…、
次第に恐怖が恐怖でなくなるよ。
クックックック。
」
こうで(ry
皆アイク待ちか。
それとも誰もいないのか?
>>71 自分はアイク待ちです。
そのほかのプロットはある程度出来始めているんですが、
連投は自粛中。
この調子で12月になりそうだったら、
連投でも構わずに何とかしてみようと思ってます。
自分はアイク待ちというより放送後のキャラ待ちかな。
動かせそうなキャラは皆死んだり自分が最後に動かしちゃったから、今は書けそうにない…。
こっちは時間ないからせっかくプロット作って任せたのに、誰も書かない…。
「僕にその手を汚せというのか」
>>75 「…わかっています。理想のためにこの手を汚しましょう」
というわけでそろそろ空きそうだからやってみますか。
全く話しは変わるけど、マグナってサモンナイト3番外編終了後だが、
エンドは誰エンドでも構わないんだよね?
召喚獣になつかれ、パッフェルさんにも愛されるけど、
また別にモーリンやルゥなどのペアエンドでも問題ないよね?
…マグナ、素晴らしい鬼畜になれる気がする。生き残ればだけど。
ところで質問だけど、サモンナイト世界に呼び出された時って
言葉は自動的に覚える設定がされているみたいだけど、
文字についても全く同じだと考えていいのかな?
サモンナイト1でアヤがなんの支障もなく読み書きをしていたから。
読めるけど書けないってのが正解。多分文字の上にうっすらと日本語が
表示されたりとかするんじゃないか?
アヤ様達誓約者は序盤でラミちゃんからかきかたの本を貰って
勉強をしようとするイベントがあるから、中盤以降は読み書きが可能になってるって話だった筈。
>>77 3番外編終了後の場合、カルマ、2番外編、護衛獣ED以外のどれかになるのは確か。
これら以外のEDなら3番外編に話が繋がっても問題ない筈だから、ここから選ぶことになる。
ところでレシィの参戦時期が護衛獣EDになってるけど、それがわかるような描写ってロワ内であったっけ?
>>30 ソノラを【並】に追加。
忘れてました。
>>79 ちゃんと見てないけど、状態票にあっただけのような…。
結局ベルフラウのイスラエンドという伏線は使えなかったね…。
まあ伸ばせない複線もあるさ。
しかし、書き込みはないけどWikiって毎日必ず誰かしら覗いているもんだね。
>>81 自分は管理人なのに覗かない日もあるんですけどね…
遅れましたが、100区切りのページありがとうございます。
取りあえず別枠として投下順のページにリンクさせとこうと思います。
そろそろ、あれなんで自重せずに
アズリア・イスラ・オグマ(ついでにネサラ)で予約します。
プロットに絡む、若しくは書いてるという方が居りましたら
そちらを優先していただいて構いませんので遠慮無くお願いします。
>>82 だめじゃんw
むしろお願いいたします。
そういえば、まだ誤解とか誤殺とかいう
どろどろした素敵な展開はあまりないですよね。
出会って合流して別れておしまい、みたいな。
>>83 リュナンのは一応誤殺?
これから起こりそうっていうと、
ソノラをニバスの仲間だと勘違いしてアイクが斬り殺してしまう……とか?
誤殺はリュナン、誤解はリチャードでそれぞれ一回ぐらいだし。
ソノラは可能性としては有りだが、石化した時の外見は一度確認しているからなぁ。
このロワ、物の見方を変えれば意外と脛に傷を持つキャラが多いから、
経歴や情報が中途半端に流れると、対主催もほとんどが極悪人になる。
アティとラムザなんかでさえ重罪人だし(アティは罪自体を上にもみ消されてるが)。
久々に覗きに来たが…まさかソノラ、まだ石のままなのか?w
まあつい最近っていっても投下されてから結構時間経ってるし、
解除された時間も放送後だから空気なことに変わりはないけどなw
うむ。作品書きかけだというのに、テンション上げるために
ステルス・アクションゲームをすると止まらなくなるから困る。
無双とかそういうのでなくて、ぎりぎりの殺るか殺られるかの
緊張感はこの手のゲームでないと味わえないからねえ。
そういう戦い方が参加者中で一番得意なのは実はヴァイスなのに、
今までなにやってんだろアイツはw
>>89 な、何故だ。俺がいる!w
俺がやってるのはMGS3だけど。
そういや、奇襲した事、一回しか(しかもフロン)無いなヴァイスw
6割くらいは出来ているんですけど、もう少しかかりそうです。
週末までには投下したいとは思ってます。
いや、決してガチでオセロットにぼこられたとかコブラ部隊を
スタミナキルできなくてコンテニューしまくってるとか、
そんな理由では断じてないです。仕事の関係です、信じて。
他にもステルスが極めて得意そうな面子を挙げておく。
神殿騎士ウィーグラフ → 北天騎士団十万人の包囲網からただ一人生き残る。しかも現役のテロリストとして暗殺や諜報活動に従事。
漆黒の騎士 → (転移の粉の助けはあれど)鷹の目を盗んで白鷺王女を誘拐。民家や森からの神出鬼没。
イスラ → 帝国軍の諜報課に所属。さらには無色の派閥の手先としての二重スパイの過去を持つ。
暗黒騎士ランスロット → 暗黒騎士団自体が闇の諜報活動の中核を担い、その現場でのトップ。
異端者ラムザ → イヴァリースで一級の異端者の烙印を押されながら、捕まることなく本編終了まで無事過ごす。
割合得意そうなのは省く。
一方、ゴードンと中ボスは致命的なまでににステルスに向いてないな。
>>91 パッフェルさん忘れてまっせ。元暗殺者。
……暁からフォルカが参加していたら、コンビ組ませてみたかったなw
>>92 フォルカだとまとも過ぎるので、むしろ緑風で。
サザ「…ミカヤは俺が守る。」
パッフェル「うーん。言うだけでしたら、誰にでも言えるんですけどねー。
心意気だけは買いますけど、さっきハーディンに散々痛め付けてましたし、
同業者の贔屓目から見ても、ちょっおとばかり難しいんじゃないでしょうかー?
以前誰かに言われた事はないですかー?!
『今のお前には任せられん。もっと強くなってからそういう事言え』って。」
サザ「ブワッ!!」
では半年ぶりかもしれませんが、62以降の各話まとめでも
適当に考えたので張っておきます。
もっと面白そうな題名があれば候補出して下さい。
(No.62以降の各話まとめ)
渡る世間はマーダー天国(聖騎士談)
放置プレイの邪神像?
三十六計逃げるにしかず
エロてんてー発狂&死亡フラグ?
かわいそうなレシィ
かわいそうなアルガス
マグナ空気嫁
裏目王ナバール…。
フロン、責任を取る。
空気四天王、ついに再起動
馬鹿山羊は踊る
男は拳で語り合え!
ライオン丸の考察
おじいさんの悪だくみ
死肉漁りのヒットマン
マグナと殿下逃げてー!
知らぬはソノラばかりなり。
腐臭に群がる五人の男女。
聖女アルテマの祈り
発酵姉の衝動
這い寄るカラス
思いっきり、予告してた期間を超えてしまったorz
とりあえずしたらばに投下しておきました。
問題がなければ明日に本投下したいと思います。
投下キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
いやずいぶんと待ち焦がれましたよ。
ネサラがさらに三割増し程腹黒くなってますねw
オグマを最大に警戒するイスラと不安げな姉という場面は
彼のまるで未来を予知したかのような会話から想定範囲内でしたが、
まさかネサラをああ動かすとは思いもよらなかったです。
一方でオグマの剣奴としての過去が出てきたのには、
一エムブレマーとしてニヤリとさせられましたが。
ともかくお疲れ様です。
あ、あと一つ言うならネサラはその気になれば服の奥に黒い翼は隠せますよ。
鎧や兜も平然と着込めますから。現に、前作蒼炎の終盤ではベオクの兵士に
変装してイズカをまんまと騙し白鷺王女(後の嫁)を奪還したこともありますから。
※ついでに白鷺王女さらったのはしっこく。
それでは本投下します。
タイトルちょっとだけ変更w
『――諸君、これから第一回目の放送を始める』
「―来たね。」
声に呼応するようにイスラは両脇のアズリアとオグマに目配せすると
ペンを握り締め、名簿と地図に眼を走らせる。
『まずは禁止エリアを発表する。 ――』
日が落ち、深まる闇夜の中に響き渡る男の声。
男は嘲る様に皆に注意を促している。
『精々、自分たちを楽しませろ』と。
「…チッ」
男の話す内容と、わざと抑揚も無く機械的に話す態度に苛立ちを覚え、
オグマは自然と舌打ちをしていた。
その気持ちは隣に控えていたアズリア、イスラも一緒なのであろう、
聞き漏らす事はできない放送の中でも彼に注意するものはいなかった。
だが、
『続いて、ゲーム開始からこれまでの死者の発表をする。
――アメル、オイゲン、シーダ、シノン、ティーエ、ナバール、ビジュ、ベルフラウ、マルス、ムスタディオ、リチャード
以上、11名。開始から12時間で約1/5の死者――なかなかだ。このペースでゲームに努めてもらいたい』
「馬鹿なっ!!」
オグマにとって予測できなかった。いや、したくなかった事実が突きつけられた。
覚悟はしていた筈だった。
たとえ誰が死のうとも動揺しまいと。
だが、それ自体が『誰も死ぬはずが無い』と心のどこかで高をくくっていただけであり、
ともすれば、その光景を想像したくなかっただけなのかもしれない。
彼の表情が青ざめている事に気づき、アズリアは如何声を掛けていいのか逡巡しているようであり、
イスラはその顔を曇らせた。
『失ったものは戻ってこない、と思っている者に一つ教えてやろう。ゲーム開始前に言ったことは覚えているな?
優勝者には望むままの褒賞が与えられる、と。それに例外はない――たとえ死した者を蘇らせることでも、だ』
そして、止めを刺すかのごとく予測通りの言葉がオグマに圧し掛かってくる。
見えていないはずのオグマの表情が絶望に歪んでいるのを楽しむかのように。
無情なる言葉は一見すれば救いのように聞こえる言葉を残し、終わりを告げた。
知らなければ救われたのかもしれない、だがオグマは知ってしまっている。
それは希望の振りをした絶望なのだと言う事を。
「オグマ―」
「仲間が死んだ、3人だ」
アズリアがオグマに何か声を掛けようとするよりも早く要点だけを伝える。
できるだけ冷静に変化を悟られる事のないように。
「その全てがあなたにとって、大事な人だったんですか?」
だが、オグマの変化を見過ごす事無くイスラは問いただす。
「イスラッ!」
弟の無情な言葉をアズリアは咎めようとしたが、
イスラに直ぐに制止された事と、その真剣な眼差しに気づき、口を閉ざすしかなかった。
「僕はあなたに尋ねました、『例え誰が死のうともこのゲームには乗らないのか?』と。
それを今のあなたに、もう一度、問います」
この質問は当然の事なのかもしれない。
非情な殺し合いの場に置いて、迷いを持つ者の存在は下手をすれば共に行動する者達の
生死にも関わる問題であり、
まして、心変わりを起こしたものに後ろから刺される事をイスラは懸念しているのである。
「……………………」
イスラの質問に対する答えは無言。
その反応を確かめるとイスラは先ほどまで広げていた地図と名簿をデイバッグにしまい、
アズリアに向き直り、
「行こう、姉さん。この人とはもう一緒に行動する事はできない」
そうとだけ簡潔に告げ、速やかに出口へと向かっていた。
「おい、イスラッ! クソッ!オグマ、お前も何か言ったらどうだ!」
一人で出口へと向かうイスラと、黙して何も語らないオグマの双方に苛立ちを覚え、
思わずアズリアはオグマを叱責する。
その叱責に反応し、オグマはやっと重い口を開いた。
「…手段を知らない訳ではない」
すでに扉へと手を掛けていたイスラはぴくりと反応し、動きを止めた。
「何のですか?」
体勢は変えぬまま、振り返りもせずにイスラは聞き返す。
「死者の蘇生の方法だ。……ただし、限定物だがな」
―オームの杖。
オグマが知る、死者蘇生の唯一つの方法。
だが、
「それが、この場所で死亡した者にも通用するか、自信が無いんですね?」
見透かしたようにイスラが告げる。
「あぁ、その通りだ。それに、それで生き返るのは一人だけだ」
否定する事も無く、オグマはその言葉を受け入れる。
そして、静かに、感情を押し殺した声でオグマは続けた。
「例え生き返らせることができなくても、仇は討つつもりだ。
殺し合いに乗るという形ではなく、あのヴォルマルフという男を倒す形でな」
その言葉を聞くと、イスラはオグマに向き直り、真っ直ぐに彼を見つめ、
「…信じて、いいんですね?」
一言だけ告げた。
「信じろとは言わない、俺に不審なものを感じたらお前が俺の首を落とせ」
腰に付けていたライトセイバーを手に取り、イスラの足元に放り投げる。
それを拾い上げたイスラは無言でオグマの首筋めがけ一閃した。
「……………………」
静寂の中、首筋に当てられたライトセイバーには眼もくれず、微動だにせずに見詰め合うイスラとオグマ。
暫くして「ふぅ」と溜息をついたイスラはそっと剣を下ろし、オグマに剣を投げ返す。
「良いでしょう、あなたを信じる事にします。でも、憶えていて下さい。
もし、あなたが僕や姉さんに裏切るような事があれば、僕が必ずあなたを殺すと」
「それで十分だ」
受け取った剣を始めと同じように腰に差し込みながら静かに返す。
その様子をただ眺めている事しかできなかったアズリアは安心したように近くの椅子に腰掛けた。
イスラは出口から机まで戻り、再度地図を広げている。
「禁止エリアも考慮して、今後の計画も練らなくてはいけない。
その後は暫く休憩しよう」
話し合う姉弟を傍らにオグマは一人、出口へと歩を進める。
「計画はお前たちに任せる、俺はそういったことに向いていない。
悪いが少しの間だけ一人にさせてもらう」
その言葉を聞いてイスラが顔を曇らせたが、
「構わない、行ってくれ。悪いが今度は異論を挟ませないぞ、イスラ」
アズリアに制止され、今度はイスラが引き下がる事になった。
「…すまない」
一言だけ謝罪の言葉を述べ、扉を開け、外に出る。
日が暮れてきたことにより、気温は下がり風が冷たく吹いている。
闇夜の中、オグマは思い出す。
自らの過去を。
―奴隷剣士として他人の享楽の為に無意味な殺し合いをさせられていた日々。
その地獄から逃れるべく反乱を起こした彼だがあっけなく鎮圧され、
大衆の前で見せしめとして処刑される筈だった。
様々な者から浴びせられる好奇と侮蔑の入り混じった視線。
その全てが彼の死を望んでいた。
ただ、一人を除いては。
処刑が執行される直前に一人の少女が飛び込み、彼の延命を願ったのだ。
そして彼は救われた、たった一人の少女『シーダ』によって。
その腕を買われた彼はそのまま彼女の父が治める国、タリス王国の傭兵団の
団長を務めるまでになった。
彼女に対する淡い感情は秘めたまま。
「オオォォォォッ!!!」
雄たけびと共にただがむしゃらに剣を振るう。
シーダを守る事ができなかった。
マルスを救う事もできなかった。
そんな己の無力を噛み締めながら。
息切れしながらも剣を収め、虚空を眺めながら呟く。
「…俺は、矢張り諦められない」
二人に語った誓いは嘘ではない。
ヴォルマルフは必ず倒す、これを変える気は毛頭無い。
しかし、二人には語っていない事がある。
シーダの存在は彼にとって、その命そのものだと言う事を。
「…待っていてくれ、必ず…」
シーダがオームの杖で生き返れたとしても彼女はそれを受け入れないだろう。
マルスの死を知り、オグマに彼と天秤に掛けられて生き返ったことを知れば彼女は嘆き悲しむ。
それでは意味が無い。
マルスとシーダ双方が蘇らなければならないのだ。
だから、
「必ず俺が奴らからその“方法”を手に入れる!」
これしか既に自分には残された選択肢は無い。
その結果、自分に何があろうとも彼女が幸せであるならば構わない。
ぱちぱちぱち、と不意に鳴り響く拍手の音。
オグマが振り返り見た先に、いつの間にか一人の男が立っている。
「お〜お〜、実に腹黒い発言をしてるな、あんた」
男はある程度、間合いは保ったまま笑っている。。
オグマが何も言わずに剣の柄に手を掛けようとしたとき、
「ちょっと待った。俺はあんたと戦う気はない。
第一、その気があったらこんな真似はしないで不意打ちしてる」
慌てて男は構えようとしたオグマを制止した。
「実はあんた達の会話はちょっと前から盗み聞きさせて貰ってた、
そん時にはあんたらにやる気があるんだったら俺も容赦はするつもりはなかったがね。
だが、あんたらはどうやらあの男を倒すつもりの様だし、
今のあんたの発言も興味深かったんでね。
なんなら俺も一枚噛ませてもらおうかと思ってるんだが…どうだい?」
男は値踏みするようにオグマを眺めながら、協力を申し出ている。
如何返答しようかオグマが考えていたときに男が付け加える。
「それと、さっきの二人に俺の存在を話すのは無しだ。
俺は馬鹿正直な奴と企み事が得意そうな奴とはあまり良い思い出がないんでね。
俺はあんたにだけ協力したいと思っている」
二人への相談はあっさりと否定されてしまった。
突然現れて協力を申し出てくる。
これほど何か裏の有りそうな発言はない。
だが、既に自分も蘇生の方法を奪い取ろうと思っていることを二人に黙っている点で
似たような身である事を思い出し、決断する。
「良いだろう、条件は何だ?」
「話が早い上に、理解も出来ていると見える」
わざとらしく大袈裟に両手を広げて男は喜びを表現する。
そのまま男は続ける。
「なぁに、条件は簡単だ。
俺はあんたに在る人物の安否確認をお願いしたい。
そいつはかなり腕の立つ奴な上にあんたらと同じように
このゲームをぶっ壊そうと思ってる。
きっと、あんたらの仲間になってくれると思うぜ。
それと見返りは俺が収集した情報を定期的にあんたに知らせる。
それでどうだ?」
一見すればメリットだけに聞こえる条件ではあるが、
自分の言葉を聞いた上で提案してくるものとしては生ぬるすぎる。
何かきっと裏がある事はオグマも理解していた。
しかし男のいう腕の立つ人物というのも気になるところである。
自分と並び立つほどの腕前を持っていたナバールですら先ほどの放送でその名を呼ばれていたのだ。
自分も油断できる状況ではない事も確かであり、目的の達成のためには腕の立つ仲間は
実際に必要不可欠である。
「いいだろう。それで次はどこで貴様と落ち合えばいい?」
既に自分はある程度の手段を選んでいる余裕はない。
少しでも可能性をあげるためには裏のある提案でも呑むしかないのである。
「…そうだな、次の放送の後にこの地図のF-2の位置にある森の中でどうだ?
此処ならあんたもすぐ上の城に行きたいとでもいえば妥当な理由になるだろうし、
俺も身を隠しながらなら、森の中のほうが目立ちにくいんでね」
「F-2だな、それで俺が捜せばいい人物の名を教えてくれ」
生憎とデイバックは二人の所に置いてきていた為、
頭の中で場所を反芻させて覚えさせながら、男の目的を尋ねる。
「アイクだ。それとまだ名乗ってなかったが俺はネサラだ。
あんたの名前はオグマだろ、さっきも言ったがちょっと話を聞かせてもらっていたんでね。
取りあえず、ちょっと前に此処から東に行った森でそれっぽい奴を見たんだが、
すぐに見失っちまった。今もそこにいるかは分からんが探してみたらどうだ?
あんたも俺も生き残る事ができたら暫く世話になる仲だ、よろしくな」
闇夜の中、警戒は続けているのかあくまで背を見せる事無くオグマから離れ、
彼には見ることの出来ない位置にいることを確認し、ネサラは考える。
―あの屋敷の中で突如オグマ達が筆談に切り替えたときは、
正直、冷や汗ものであったがその後の口論の様子からして俺に気づいたのではなく、
盗聴やらの可能性に考慮してのものだったのだろう。
暫くしてこのオグマと呼ばれていた男が一人で出てきた為、すぐに身を隠し尾行してみれば
この男から面白い言葉を聞くことが出来た。
オグマが言う“方法”が何の事を指しているのであれ、それをあの甘ちゃんな男女と
腹黒そうな弟に言わなかった時点でこいつも割り切っている人間だと理解できた。
多分、二人に言えば否定されるような事をこいつは企んでいる。
こういった腹に一物抱えた奴の方がこっちも利用しやすいってものだ。
先程の放送でアイクの名は呼ばれず、代わりにあのリチャードの名が呼ばれていた。
アイクが返り討ちにしたのか、それとも第三者が更に介入したのかは知らんが、
どちらにせよアイクが無傷の状態である事はあのリチャードの腕からして考え難い。
アイクには生きていてもらった方が、きっとこの場を掻き乱しまくってもらえるというものだ。
俺が生き延びるためにもそっちの方が都合が良い。
それにもし、第三者がいたのであれば人数的にも俺が確かめるよりも、
こっちに行ってもらった方が第三者を排除する意味でも有効だ。
悪いね、あんたがあの二人に言わない事があるように俺もあんたに言っていないことがある。
『俺は既に一度アイクに会ってる』ってな。
少しだけ含み笑いを浮かべ、ネサラはその場を去った。
一人、その場に取り残されていたオグマはゆっくりと歩を進めだす。
取りあえずは二人のいる屋敷に戻るため。
そして、彼女を取り戻すために。
【G-5・街道沿い・屋敷内/夜(19時)】
【オグマ@紋章の謎】
[状態]:健康
[装備]:ライトセイバー@魔界戦記ディスガイア
[道具]:万能薬@FFT
[思考]
1:主催者を倒し、死者蘇生の方法を手に入れる。
2:アズリアとイスラを守り、脱出・首輪解除の方法を探す。
3:ネサラの言うアイクの捜索。
4:放送後にF-2でネサラと落ち合う。
【アズリア@サモンナイト3】
[状態]:健康
[装備]:ハマーンの杖@紋章の謎
[道具]:傷薬@紋章の謎
[思考]
1:オグマとイスラと協力しこの状況から脱出するための手段、方法を探す。
2:サモナイト石を探し、ここがリインバウムであるかを確かめる。
3:自分やオグマの仲間達と合流したい。(放送の内容によって、接触には用心する)
備考:オグマとイスラの騒動により自分の考え(ディエルゴが島の中にいる可能性)を話すのを忘れてしまっています。
【イスラ@サモンナイト3】
[状態]:健康
[装備]:チェンソウ@サモンナイト2、メイメイの手紙@サモンナイト3
[道具]:支給品一式、筆記用具(日記帳とペン)
[思考]
1:ディエルゴは本当に主催側にいるのか…?
2:アズリアを守る。
3:サモナイト石を探し、ここがリインバウムであるかを確かめる。
4:対主催者or参加拒否者と協力する。(接触には知り合いであっても細心の注意を払う)
5:自分や仲間を害する者、ゲームに乗る者は躊躇せず殺す。
備考:オグマに対して軽い不信感を抱いています。
【ネサラ@暁の女神】
[状態]:打撲(顔面に殴打痕)。
[装備]:あやしい触手@魔界戦記ディスガイア、ヒスイの腕輪@FFT
[道具]:支給品一式×2 清酒・龍殺し@サモンナイト2、筆記用具一式、
真新しい鶴嘴(ツルハシ)、大振りの円匙(シャベル)
[思考]1:己の生存を最優先。ゲームを脱出する為なら、一切の手段は選ばない。
2:オグマを利用し、アイクの安否を確認する。
3:ソノラの情報は次の機会にでも。
4:オグマが生きていたら放送後にF-2の森で落ち合う。
5:脱出が不可能だと判断した場合は、躊躇なく優勝を目指す。
投下終了です。
オグマには(ほんのり)危険対主催くらいになってもらえたかなと思います。
更に合流場所が絶望フラグですしw
サモンナイト2か3をそろそろやってみようかと思ってるんですが
2が見当たらない…
3から挑戦してみますw
投下乙!
オグマかっこいいよオグマ
投下乙。まあオグマは予想通りだなw
ネサラも腹黒さがいい味だしててGJ!こういうキャラが欲しかったよな。
そして合流場所確認してみたけど…こりゃ確かに絶望フラグだwついた途端に発狂して
無差別マーダーになりそうな悪寒…合流時にゾディアックストーンが近くに来ない事を祈る。
ところでちょっと気になったんだが、放送前から脱出して対主催から蘇生技術奪うこと話してるのに、
今更一人で隠れて決心する必要ってあったのか?それとも、自分が死ぬ事になってもみたいなやつ?
>>107 蘇生技術がもしオームただ一つだけだったら?
つまりは今後どれだけ人が死のうとも、
たった一人しか蘇らせることはできない。
この後アティ先生が死のうと、イスラかアズリアが死のうと、
オグマはシーダただ一人を最優先させるわけだ。
誰が何と言おうとも。
>>108 なるほど、そういう意味か。
まあ冷静に考えればビジュとイスラが生き返った存在、つまり複数蘇生が可能である
ことに気付けば解決するんだが、親しい人物を3人も失ってるオグマが気付くのは難しいか。
とりあえず、彼らは先々の心配よりも今目の前に迫る危機(アル魔)を対処するべき。
奇襲にアルテマとかされたら目も当てられん。
この展開にはがっくりだな
それまでのフラグ全折りじゃん
オグマが大体どういう状態でいるかは今まで散々書かれてきたのにこれかよ
>>110 今までの展開ちゃんと読んでから言ってる?
読まずに物言うと恥?きますから気をつけて。
オグマの発狂マーダーフラグは、予めイスラが防いでいたから抑えられてる。
それ以外でオグマフラグが折られてはいない気がするんだが…。
強いて挙げるなら、アズリアのディエルゴフラグとネサラのソノラフラグぐらいじゃね?
ところで、アイクの話ってまだ誰か書いてるのか?もしプロット通りに進むとしたら、
ワープ先で戦ってるホームズ組や、城の外のラムザ達に関わってくるだろうから気になるぞ。
ぐはあ。
書きかけで更新止まっておりまする。他ロワじゃまず許されざる遅筆だな。
ワープ先がデニム城とすることもできるが、どうしたもんでしょ?
アイクが人のいる場所へと高速移動させる手段だろうから、
ワープ先はどっちでもいいんじゃない?戦闘してるホームズ城、
対主催の少ない北側のデニム城のどちらでも活躍は期待できると思う。
うまくいけば、しっこくとの再開もできるかもしれないから、俺としてはデニム城を希望するけど。
そういえばアイクって、今結構痛い傷負ってるんだよな。回復を優先する場合は、
ラムザのいるホームズ城の方がいいのか?
北東城にはパッフェルさんもいるぜ。
ホームズのいるところはキャラ多すぎて収集つかなくなりそうな気も……。
>>115 パッフェルさんは回復持ちじゃないからなあ…一応カレーキャンディあるけど
血糊を何とかしない限り使えないし。ホームズのとこが収拾つかなくなるってのは同意。
下手したら今の状態でも収拾つくかどうか…絶対城の中に入るだろあの面子。
あと次にキャラが多いのはやっぱ缶詰に群がる人達かな。
放送で絶望したり缶詰で悶絶したりとレシィが一番忙しくなるなw
ここだけの話し、皆SS書いていてどの辺りに一番気を配っている?
自分は以前、ロワ全体が安定化し過ぎているという話しがあったから、
なるべく不安定化と波乱の種を次々に仕込んでいくつもりなのだが。
次にどうなるか誰にも予測が出来ず、色んな想像を書き立てるのが
ロワの醍醐味だし。
キャラの移動とフラグ持ちキャラの扱いかな。
特に脱出フラグや全滅フラグ持ってるやつは扱いに特に気を配ってる。
どんな時でも全滅EDと生還EDのどちらのルートにも転がれるようにしたいなーなんて思う。
1、マーダーは比較的優遇(こればっかりは仕方ない)
2、キャラは固めない(SS書くのに把握が必要な作品数が少なくなるようにする)
3、これ以上思いつかない(現実は非情である)
マーダーが少なくて書きにくいんだよな。グレーばっかりで。
これは書き手さんのせいじゃなく選ばれたキャラがアレだったんで…
許されるならマーダー枠考え直したキャラ人選からやり直したい。
あとキャラ以外のマップギミック増やしすぎてややこしい印象。
今のところ本当にマーダーといえるのはアルマとニバス先生ぐらいだからな。
デニム兄弟はルカヴィあっても微妙なところだし、ガフガリオンやタルタロスも危険対主催に近い。
しっこくは一応戦いはするみたいだけど、マーダーって感じじゃないし…。
あとはアンデッド化したオリビア、戦う意志のあるしっこく、混乱中のリュナンに期待するしかないか。
ヴァイス?あいつはサラマンダー(笑)だろ?
ディスガイア勢が無差別マーダーに傾いてくれれば形勢逆転するんだけどなw
ラハールエトナは頭に血を昇らせるだけでいいから出来ないこともないけどw
フロンも思い込みを利用すればなんとかw
あとプリニーは絶対土壇場で裏切るww
イスラもアズリアがどうにかなればスタンス変更は楽だろうな。
レシィもゲーム内で「ご主人様を失うことに比べたらどんなことだってなんでもない」って断言してるしマグナ次第だな
ネスも自己犠牲が強い方だから…
逆にアティは考えられないけど
ロワ内で酷い目にあって笑うという感情しか出せなくなったアティは書いてみたいw両親殺害時に逆戻りっていう
レシィはアメルとネスティが消えて、ちょっと精神汚染してやれば
丁度いい奉仕マーダーになると思う。優勝すれば死者を生き返らせることができるからね。
イスラはアズリアが死ぬカルマルートでもそれほど変化がなかったから、
スタンスは変わらないと思う。というかアティ先生の暴走の方の火種になるかも。
こうなると、サモン勢で最後まで精神安定してそうなのはルヴァイドとイスラ、
それと参加者に知り合いのいない状態のソノラぐらいか。
暁は把握率低い割りに皆スタンスはあまり変わりそうにないな。
そういう意味では書きやすいが、反面代価が効くので殺されやすい。
ディスガイアは殿下とエトナぐらいか。カーチスは危険対主催化は
十分あり得るが、純粋マーダー化はまずないし。
オウガの面子は皆自己中心的なので対主催化があり得ないw
FFTはアルガスとガフガリオンか。立場が変わりやすいのは。
イスラは正義感強い奴じゃないからなー
元はアティでややひねくれた感じだから
消えたいとか自己犠牲強いんでなんとかならないかな
ただステルスマーダーがこのロワに欲しいだけだがw
実はイスラよりネスティのほうがマーダー化する可能性はある。
アメルとマグナをはじめとする自分の仲間さえいれば、あとはしったことではないのだし。
そしてルヴァイドとパッフェルさんを仕留めるのは気が進まないから、
誰かが殺してくれるのを待つ。そして結構しぶとく生き残ってやきもきするってとこか?
このロワのイスラってテイルズロワ1stのミトスに近いよな。主催が蘇生技術を持ってることが
確定してて、一度死んでる分生に執着がなくて動きやすいところではこっちが上だが(実力は別)。
他作品キャラもだが、サモンナイトキャラは特に蘇生に魅力感じそうなんだよな。
とりあえずイスラは主催が蘇生可能なことを広めまくってくれ。
イスラは広める事によるデメリットとリスクのほうが大きいと考えるから人は選ぶだろ?
レンツェン、アルガス、ガブガリオン、漆黒の騎士、ビジュ&中ボス&ニバス(参戦時期による)は、
明らかに主催による蘇生者だからなあ。
蘇生したと勘違いされそうなのは、ハーディンとウィーグラフか。意外と多いな。
ふと思ったが、このロワで童貞・処女率ってどのくらいだろう?
非童貞確定なのが中ボスとネサラとハミルトン。
処女確定がアティで非処女確定なのがパッフェルだけと…。
もしかして大半が未経験者?
35歳ゴードンは……w
実際どうなんだろう。
ゴードンは本編終了後小説版でジェニファーとの間に子供作っているから、
なんとか卒業してるかしてないかぐらい。
ニバスとカーチスも妻子持ちだから非童貞確定。
クリスマスにロワなんて誰も見ないだろうなあとか思いつつ。
このロワ、サンタの変装が似合いそうな面子がいないなあ。
カラーリングだけならアティてんてーだが、どちらかと言えばセクシーサンタ系になるし。
民家好きならしっこくがはまりそうだが、あんなサンタは子供がいやがる。
それでもフロンちゃんならきっとなんとかしてくれる
アルバイト的な意味でパッフェルさんがサンタコスを…まあアティ先生と被るけどさ。
後黒星イラストでマグナがサンタコスしてる。
今後の作品の参考とするために、シュールストレミングを一缶完食。
ウィーグラフと中ボスの気持ちが少し分かった気がする…。
まあ味「だけ」は悪くないから鼻さえ摘まめばまあイケるでしょ。変に喉は渇くが。
ただし、どぶ色の出汁を飲み下すのは流石に無理…。
どう考えても全支給品の中で最も把握が困難だからな
|┃三 /! _ ト、
|┃ ≡ ,r‐ '/l[[!ト、!:::\
|┃ ___ !l::::::!:.!:l,!:::!::::::::l _
|┃≡ /____ l !!:::::l:.l:::!::::!::::::::!| ,二二、
|┃ヽ___//::::::!| 'l|ト、ヽ:::::/:::::::;' ! !::::::::::::: 新年明けまして身の程を弁えよ!
____.|ミニニヽ:::::::::::l ,' )ヽニVニイ!r'´! !::::::::::::::::::
|┃:::::::::::ヽヽ:::::::! !ィr(:::ヽ::::::! !:::ノ:ヾ!:::! !::::::::::::::::::::
|┃:.:.:.:.:.:::::!|::〈/:.ヽミト、r‐'┴―‐く:∧ l:::::::::::::::::::: ガラッ
|┃:.:.:.:.:.:.:.:l|::/:ヽ:.:.:.:.:フ::::::::::ll___/:.:.:ヽ ヽ::::::::::::
ジョーカーとなって
しっこくを即退場させてやんよ
∧_∧
( ・ω・)=つ≡つ
(っ ≡つ=つ
/ ) ババババ
( / ̄∪
保守っとくか。
ところで無線機で誓約した召喚獣を暴走召喚させた場合、どれぐらいの威力になるんだろう…。
ルールとしては地形が変わるほどのものはNGってなってるけど、支給品によるものなら
問題なかったりするんだろうか?
ちゃんと整合性があり後始末もできるなら、地形変わってもいいと個人的には思うが。
ただし、あえて掟破りをして周囲を納得させられるだけのものは提示したほうがいい。
まあカルマ伐剣者orルカヴィ+暴走召喚+メダリオンor聖石などの暴走アイテムの
相乗効果ぐらいやるならいいんじゃない?大破壊するならそれなりの厳しい
条件付きで代償支払わないと。
取り敢えず、前例として山羊が火災を
起こしてる。
本人に何らかの影響を及ぼした場合か、
地形的なもの(吊り橋を落とす、燃えやすい物に火を点ける)なら
アリじゃないかと。
ふと思ったが、E−2の城周辺って
主人公3人(かつての主人公も含めれば4人)が
一堂に会している訳なんだよなあ。
しかも城内にもさらに主人公がいるし。
考えてみると、非常に豪華な顔ぶれだ。
うむ。誰もいないですね。
いるっちゃいるけど特にSS書いてるわけでも話題があるわけでもないので
書き込む内容に困ってる感じ。
避難所のパッフェルさんのプロットを引き継ぎつつちょっとアレンジしようかなとも
思ったけど、いまいちうまく書けなくて挫折したし…。
今誰か書いてる人いるんかな?
今はまだ何も書いてないわ。
俺もスレを見てない訳ではないよ、理由は同じ。
そろそろ混戦状態のどっちかを動かしたいとは思ってる。
言えないッ!(ビクビクッ
実は他ロワに浮気しているだなんてッ!!
俺、受験が終わったらSS書くんだ……。
>>149 いや、何をどうつっこめばよいのやら。
でもまあこのロワのキャラで電波さん、お花畑さんは何人いるかな?
アティ、アルガス、アルマ、ハーディン、フロン、リュナン、レンツェン…。
こんなものかな。意外と多いな。
でもどちらかといえば微弱〜中度の電波であって、
まだゆんゆんってほどでもないし。
アルガスw
電波ではないが、お花畑では確かにある。
一番最狂の電波姉が入ってないぞw
>>152 発酵姉はどっちかというと、電波というよりはヤンデレとか
人格障害とかそういう取扱危険物の類に含めたほうがいいかなと思ったから。
では戦闘力関係なしで、そういう性格的危険物を集めましょうか?
イスラ、カチュア、漆黒の騎士、タルタロス、デニム…。
なんだこっちも意外と多いな。殿下やエトナはただ物凄くわがままなだけで
別段性格が危なくはないからなぁ…。
ウィキ見たら更新なんて最近ほとんどしてないのに
結構な人数が来てびっくりした。これは近々動きがあるということか?
アルガス、サナキ、タルタロス、ホームズ、
マグナ、ラムザ、ラハール、リュナンを予約します。
ひさしぶりの予約来た!
まってました!
予約キタ-!!
158 :
◆imaTwclStk :2009/02/15(日) 20:34:28 ID:V/XjdUdB
現状、取りあえず前半パートのみ仮投下してます。
正直この展開は無いわ、又はふざけ過ぎだろと思われるかもしれませんので
遠慮無く仰ってください。
ぶっちゃけ、これの所為で中盤がなかなか書けないw
本投下は校正も含め来週までかかると思います。
投下乙彼さまです。
アルガス(笑)
うーん。
ある意味アルガスらしいっちゃアルガスらしいけど。
アルガスってここまでおバカさんだったかな?とも疑問に思う。
まず難点を上げるなら。
アルガスは阿呆とは言えまがりなりにもかつては名門貴族の出身です。
サナキの服装の高価そうな生地とか洗練された刺繍とか、
あとはその物腰を見るだけで「本来声掛けられないほど偉い人」
であることはほとんど反射的に気がつくはずです。
貴族であることに妄執さえ抱いているキャラクターですから。
本編でもベオルブ家への取り入り方は凄かったし。
サナキには媚と恩を売りつけといたほうが後々の事考えても上策と考えるでしょうから、
「何の考えもなしに人質にする」行動はとらないと思います。仮に人質にするにしても、
サナキ本人には「人質」と思わせないように上手く誘導しようとか
利用しようとか色々と姑息に考えるはずです(その策の出来はさておき)。
あと、ホームズはリュナンの事を丁重に扱いたいでしょうから
紐探し等の雑用はプリニーにやらせても、
縛ったりするのは自分でやろうと考えるでしょう。
なんだかんだいってホームズは面倒見がいいのと、
色々な面で雑なプリニーを信頼していないでしょうし。
>「何の考えもなしに人質にする」
あれ、リュナンに復讐するのが目的じゃないの?
「黒の公子、金の勇者」でそんな感じだったけど。
>>160 ご意見ありがとうございます。
正直にネタに走りすぎていたので描写が殆ど無かったですが
一応アルガスはサナキを人質にとってホームズにリュナンをボコらせるか、
若しくは自分で復讐しようっていう魂胆です。
これは「黒の公子、金の勇者」で詳しく描写されてたから要らないかなと思い
省いてました、すいませんorz
自分の中のイメージのアルガスって、そんなに偉いかどうかが分かる奴って云うより
相手の肩書きを聞いて、初めてそれに取り入ろうとするようなイメージがあるんですわ。
仮に「ベグニオン皇帝」って言うサナキの肩書きを聞いても、
「聞いたことも無いような小国のお姫様かよ。イラネ」ってなるような気がしたので
サナキにそんなに興味を抱いていない描写で書いていました、自分の世界の王族の事は人一倍理解してるでしょうし。
ただ、プリニーに関しては全くその通りですねw
ここら辺を含めて前半パートも訂正していきたいと思います。
すみません、どうしても聞きたいことがあります。
サモンナイトの召喚というものは素材とサモナイト石さえあれば
すぐに行えるものなんですか?
やったことが無いので、説明できる方お願いします。
召喚術の誓約が済んだサモナイト石ならそれだけで誰でも召喚できる。
誓約されていないただのサモナイト石から召喚するには、
誓約の儀式と召喚獣の真の名が必要。
だからサモンナイトの世界の召喚師じゃないと無理。
しかもどうやっても手順に時間が掛かるらしい。
えーと
わけわかめになったけど誓約の儀式を使ってサモナイト石と素材で、
召喚術の誓約からやろうとするとすぐは無理。けっこう時間が掛かる。
>>164-165 ありがとうございます。
参考にしてSSを訂正しようと思います。
ぶっちゃけ、すでに30kbを超えてて無駄に長くなっちゃってます…
文才の無さが恨めしいorz
ゲーム上だと1ターンだけどな。
サモンナイト2のマグナがやってる感じだと準備やら全部入れて五分位かな?
もしかすると、異世界の支給品や武器が召喚の具材になるかも。
ラストアルガスパートを除く完成部分をしたらばに投下してきました。
サモンナイトの設定に関して矛盾があると思いますので、
間違っている部分は指摘お願いします。
あぁ我ながら読みにくい文章だよ、全くorz
ラムザのラハールの呼び方は「ラハールさん」じゃ?
ラハールの状態は「重症」→「重傷」。
あと、タルタロスとアルガスの状態表があると良いかと。
しかしやっぱり大惨事かw
放送聞き逃したのが後々響きそう。
シーダとホームズの支給品(道具)がまだ不明だけど、戦闘に使えないようなものということは聖石なのかな。
うーん。オウガ外伝やりこんでたからすこし質問。
たしかオウガ外伝のドラゴン関連の装備は
それ一つだけでは竜と化せなかったはずです。
ドラゴン関連のアイテム四つがそろって、
初めてゲームだとせいぜいブレスが吐ける程度です。
そういう意味での「竜と化す」だったはずのような…。
ドラゴンアイズ一個だけだと、状態異常防御の便利な
アクセサリー程度にしか本来は機能しないはずです。
しかもアルフォンスはそれを知っているはずですから…。
もし手にしたドラゴンアイズが知っているものとやや違う、
主催者の趣味で魔改造されていると気づいているなら、
なんとなくアイテムに危険なものを感じて
「とりあえずリュナンで人体実験して、どれだけ酷い事になるか試してみる」
ぐらいにしかならないでしょうから、確信犯的な使用は矛盾します。
あと、銃は空でも弾丸を詰めれば誰にもすぐに使えますから、
単に返したりはしないと思います。
破壊するか、遠くに放り投げるなり没収するなりしないと危険です。
タルタロスは勿論、ジュウというカラクリをよく知ってますし。
(部下に三丁ほど仕入をやらせていたぐらいだから。)
あとは、前回のタルタロスの思考のメインは
「なるべくステルス状態を維持して邪魔者最低一人を何食わぬ顔で消す。」
その責任と罪はリュナンになりすけるって形でしたから、
あまりど派手な事はやりたがらないはずです。
ラハールかリュナンと二人きりでいるか、全員が自分の間合いにいて一息に
全員殺せるような位置関係(でなおかつ殺しても問題ない人物ばかり)なら、
逆に言うと確実に行動に移すでしょうが…。
彼の腕なら、不意打ちなら数秒あれば視界内の敵を皆殺しにできますし。
第一、タルタロス本人が破壊活動や暗殺のプロフェッショナルだから
目撃者を生存させるリスクを背負うのを極度にいやがる筈です。
一度殺意を見せたら、皆殺しにするまで執拗に動くものだと思いますが。
>>170 ドラゴンアイズに関しては設定的に取るか、システム的に取るかでしょう。
たとえば何回も描写されているラムザのジョブチェンジなんかは、システム的な内容。
ドラゴンアイズは敵として出てくる所持者がドラゴンなので、設定的には身に付けたら竜になるってことなんでしょう。
>>171 ああ、なるほど。
そう言われればそうとも取れるかも。
まあ一番警戒していたはずのユンヌの存在をど忘れてしていたり、
(こいつのおかげで苦労して殺気を消しているわけだから忘れる筈がない。)
皆殺しを決意した時に、まだ周りが警戒していないうちに
「数減らし」を先に行わなかったり、
ホームズにとどめを刺さずあえて話しかけたり
(話しかける暇があったら、合理的に一人でも多く敵を殺そうとしたり、
あるいは重体のホームズをあえて生かし餌か餌位に利用するだろうから。)
殺意を一度剥き出しにした割にはあっさりと退却したりなど
その人間性以外は超が付く一流のタルタロスにしては、
色々と杜撰な行動が多かったから。
これがヴァイスとかの二流マーダーなら納得するんだが。
あぁもう申し開きが出来ないほど完全に誤解してました。
マグナに警告する描写があったんで、
てっきりスナップドラゴン的な物と思い込んでましたorz
致命的過ぎる矛盾ですね。
一旦、今回の予約を破棄して練り直したいと思います。
しかし、意外と人いるのだな。なんだかんだいって。
書き手がいないだけか。
あ、そういえば忘れてましたけど。
魔剣を抜く資格を持つのは“抜剣者”です。
“伐剣者”は“抜剣者”の暴走状態を指すから、
ベルフラウが“伐剣者”なら大変な事になりますよ。
あと、マグナは3番外編で大人ベルフラウと出会っているから、
時間が動かないので老けない島の中のアティ先生や他のメンバーはともかく、
写真のベルフラウはガキだからそこにも違和感を普通感じるはずです。
>>175 島の時間は動かないじゃなくて
緩い=遅いはずだから時間は流れてる。
(DBの精神と時の部屋か程なのかは分からないが)
島の時間は外の世界の半分くらい?
外で二十年経った頃に島民は一桁〜10歳程度しか変化がなかったぽい。
あと抜剣者は島の境界線から引き出したマナの力で全く歳を取らない。
以前時計やライターで召喚できそうなものが幾つかあるという事で、
誰かリスト作ってくれていたがどこにあったっけ?
やっと規制解除……。
>>173 スナップドラゴンは、もともと
>>171のつもりで出しました。
ですので、そこの部分は無理に変更せずとも良いかと。
リストが見つからなかったので、とりあえず自分でも作ってみた。
「古き英知の術と我が声によって、
今ここに召喚の門を開かん…。
我が魔力に応えて異界より来たれ…。
新たなる誓約の名の下にマグナが命じる。
呼びかけに答えよ…、
異界の者よ!!」
支給品一式の着火道具や時計で入っていることが考えられるものと、
それぞれに対応するサモンナイト石で召喚できそうなもの。
超小型着火装置 フレイムナイト(黒)
白金の懐中時計 クロックラビィ(緑)
時の懐中時計 聖母プラーマ(紫) クロックラビィ(緑) サモンマテリアル(白)
目覚まし時計 サモンマテリアル(白)
異世界の腕時計 ベズソウ(黒)
ちなみにサモンナイト石の色によって召喚できる属性が決まっています。
黒=機属性
赤=鬼属性
紫=霊属性
緑=獣属性
白=無属性
ですから、赤色(鬼属性)のサモンナイト石で
無理やり機属性や霊属性の召喚を行うことは勿論出来ません。
リスト見つかったからこっちも投下しとく。
一応誓約の儀式で召喚できるのは召喚獣だけじゃなく、武具も召喚できるみたいなので、
それでアイテムが増えたら面白いかもしれない。
武具やアイテムが召喚された場合、使用したサモナイト石は消滅するみたい。
・超小型着火装置
機:フレイムナイト 鬼:グレンイズチ(着物)、火林刀(刀) 霊:ポワソ 獣:アニメ設定画23、サモナイトペン 無:メリケンサック(武具)
・異世界の時計
機:アーマーチャンプ 無:巨像の拳、メタルロッド(杖)
・白金の懐中時計
獣:クロックラビィ
・時の懐中時計
鬼:アニメ素材20 霊:聖母プラーマ 獣:クロックラビィ 無:サモンマテリアル
・目覚まし時計
機:錆びた剣(剣)無:サモンマテリアル
属性によって召喚できるものが複数あるのは、シリーズ内の同名アイテムによる誓約をまとめたから。
ちなみにアニメ設定画23はレシィの全体像、アニメ素材20は3OPのシーン8のイラスト。
サモナイトペンは召喚獣とのコミュニケーション用アイテム。使うと対象の召喚獣をお気に入りにでき、
お気に入り専用術を使ったり、召喚のコストを和らげる効果がある。
とりあえず、本来の構想の半分しか内容はないのですが
キリがいいので一つの作品として投下します。
勢い的にも今のほうがいいでしょうし。
――親父、俺はどうすればいい?
森の中で簡単な応急手当を施してからの事。
俺は適当な切り株に腰掛けながら、これまでの自らの行いの浅はかさを悔いていた。
傷口の消毒に使った透明の水筒の水を頭上から残らずぶちまけ、
戦闘の興奮等で茹できった頭を冷やしてみる。
流れる水が蒼い髪をしたたり、ゆっくりと頬を伝う。
一部が首筋を這い、襟から服の中にも少しだけ入り込むが、
このひんやりとした刺激がむしろ心地よい。
気分的な問題だが、少しはましに頭が働くようになった気がする。
ミストがこんな所を見れば、「またお兄ちゃんは服を水浸しにして!」
などととどやしつけてくるかもしれないが。
濡れた野良犬のように激しく首を左右に振り、滴る水滴を振り落とす。
あとはマントの裾で拭き落すと、俺はこれまでに取った行動を振り返ってみた。
◇ ◇
この会場に放り出されてから俺がなした行動といえば、だ。
レダの獅子王リチャードと名乗る態度の大きいベオクと出会い、
鴉王の情報を聞いてすぐさま森の中へと向かった。
その後、森の中で遭遇した鴉王と石化した少女についての会話を行ったが、
あいつに誤解で頭に血が上ったリチャードを押し付けられる破目に合う。
その挙句、リチャードとの戦闘に興じていた所をこの殺し合いに
乗った第三者達から襲撃を受け、負傷したあいつに逃がされて
今に至るというわけだ。
どこをどう分析しても、お世辞にも思慮深い人間が取る行動ではない。
回避しようと思えば、回避できた困難はいくつもあったはずだ。
リチャードとの遭遇時にすぐさま鴉王の元になど向わず、
情報交換を密に行いラグズの事を少しでも話しておけば、
森の中で誤解したあいつと戦闘にはならなかったかもしれない。
ネサラもあいつを俺に押し付けて逃げようとは考えなかっただろう。
そして戦闘状態に陥った時も、そのまま流されるままに戦闘に興じるより
防御に徹し説得を続けていれば、話し程度なら聞いたかもしれない
(ただし、それには少々困難を伴っていただろうが)。
そうすれば、俺達の争いの隙を突かれて漁夫の利を狙う
例の二人組に襲われるということもおそらく無かったであろう。
リチャードも、俺のせいで深手を負うことはなかったかもしれない。
振り返るほどに、実感する。
お世辞にも勇者や英雄などと呼ばれる存在の行為とは言い難い。
むしろ猪武者という表現が相応しいだろう。
『蒼炎の勇者』
今では、人は皆俺をそう呼ぶ。
これは、決して自ら望んだ名声ではない。
だが、人がそう呼ぶ期待には答えるだけの行動を取る義務はある。
かつての親父がそうであったように。
英雄という存在は、個人的な闘争本能のみに任せて戦いなどしないのだ。
それでは街のチンピラやごろつきといった、町のならず者達とそう変わるものではない。
俺の仲間の為、守るべきものの為、かけがえのない物を掴み取る。
仮にも『勇者』と呼ばれる存在なら、その為にのみ戦わねばならない。
『神騎将ガウェイン』と呼ばれた俺の親父も、まさしくそうだったのだから。
しかし、情けないものだ。
漆黒の騎士がこれまでの行動を知れば、俺の至らなさを嘲笑うかもしれない。
いや、むしろ弟弟子の凋落に失望のため息をつくかもしれないが。
――もし、ここに呼び出されたのが親父であれば、どう動いただろう?
呼び出されるも何も、親父は既に死んでいる。
他ならぬ、兄弟子である漆黒の騎士の手にかかって。
無論、漆黒の騎士のようにヴォルマルフに蘇らされて
この戦いに参加させられた可能性もゼロではなかっただろうが、
今ここに存在しない親父の事を考えても仕方がない。
だが、もし親父なら?
もし、俺ではなくここにいたのが親父だったなら?
無意味な事だと分かり切ってはいるが、それでも考えずにはいられない。
親父はまさに俺の生涯の目標であり、理想の具現であり、道標なのだから。
親父ならおそらくは…、いや、きっと俺よりも
もっとこの場を上手く立ちまわっていただろう。
あの会場にいた時にしたところで、親父なら俺のように
状況がよく飲めぬままこちらに放り出されるのではなく、
あのヴォルマルフとかいう殺人狂相手に一矢報いたかも知れない。
あるいは、会場内で混乱する者達を上手く纏め、
その場ではなにも出来なかったにせよ、
ゲームを破壊する布石ぐらいは打っていたかもしれない。
親父はまさに『神騎将ガウェイン』として、
あるいは『グレイル傭兵団長』として、
あの会場に呼び出された者達全ての未来を考え、
最善の行動を取ったであろう。
だが、俺は?
だが、俺はどうなのだ?
このゲームを破壊する為に、一体何を為したというのだ?
何一つ、何事も為してはいない。
何一つ、何事も為してはいないではないか?
ただ、時に流されるままに。
ただ、悪化する状況に流されているだけではないのか?
以前の戦乱の時も、まさしくそうであったように。
あれから時ばかり過ぎているというのに。
第一回放送とやらも近づき、日も暮れ出しているというのに。
最低でも複数はこの殺し合いに乗った者達が共闘を
組んでいる事態すら発生しているというのに。
俺がしたことと言えば、リチャードに誤解を与え、
鴉王に体よくあいつを押し付けられ、
ただ闘争本能のままに戦闘に興じ、
あまつさえ二人組の襲撃を受け逃走した。
ただ、それだけの事だ。
勇者として人を救うどころか、己の身さえ満足に護れてはいないではないか?
挙句、結果的にはこのゲームに貢献さえしている。
あまりにも、
あまりにもふがいない。
未熟を通り越して、それは低能・無能と罵られても仕方がないだろう。
何一つとっても、俺は親父には到底遠く及ばない。
現に、俺がなして来たことも親父が舗装した道をなぞり、
本来親父がなすべきはずだったことを代わりに為しただけのことなのだ。
所詮どこまで行こうとも、今の俺は親父の代理品でしかない。
第一、俺一人では何一つ満足にできやしないのだ。
死んだ親父の跡を継ぎ、グレイル傭兵団の団長となってからであっても。
副団長のティアマトと参謀のセネリオの働きがあって、初めて傭兵団は運営されていた。
あの二人の働きがなければ…、俺一人の力では…、
傭兵団など一日たりとも機能しなかったであろう。
現に、俺が団長に成り立てた頃は古参が二人も離反していたではないか?
俺一人の力など、所詮その程度なのだ。
今は違う、などとこのひどい有様では口が裂けても言えるものではない。
そう、だからこそ。
仲間が必要だ。この事態を切り抜けるには。
グレイル傭兵団のような、強い結束力のある集団が。
そうやって、俺は…、いや俺達は数々の困難を潜り抜け、
正の女神の裁きさえも退けたではないか?
この場にいる全ての者の為、テリウスの未来の為。
庇護すべき対象の事。そして倒すべき対象の事。
それらの有益な情報を見極める為にも仲間は必要となる。
さしあたっては、ヴォルマルフと口論を行っていたラムザという金髪の青年か、
ティアマトの娘のような容姿と年頃の赤毛の少女辺りが有力か。
彼らは主催と何らかの因縁にある以上、彼らがヴォルマルフらに
与するということはまずありえないだろう。
兎にも角にも仲間が必要だ。いつまでもうじうじと悩んでいる暇はない。
状況は少しずつ、だが確実に悪化しつつあるのだ。
かつての仲間達とも、いち早く遭遇したほうがいい。
ミカヤは危険を察知する能力があるため、そうそう不覚はとらないだろう。
だが、その能力も過信できるものではない。心を読む力があったとしても、
どうにもならないものはいくらでもあるのだから。
サナキは国を離れ、魔道書がなければ単なる少女にすぎない。
あの高慢な態度が、人の反感を買わなければよいのだが。
シノンは…、あいつは未だ俺を許していないのかもしれない。
俺がテリウスを、傭兵団を去ろうとした時の、
あいつの憤慨は今もなお鮮明に覚えている。
もし、あの時ティアマトの仲介がなければ、
あいつとは生命のやり取りを行っていただろう。
そして、今は残念な事に今傭兵団の者達はいない。
だが、元より俺は自分自身の意思で傭兵団を離れたのだ。
あいつを説得するのは、元より俺の義務であり責任なのだ。
鴉王については、一度問い質したほうがいいだろう。
リチャードの件といい、あの石化した少女の件といい、胡散臭い所が多すぎる。
何より厄介事を俺に押し付け、自分だけ逃走しようという姿勢が気に食わん。
ある意味、あいつらしいとも言えるが。
最大の問題は、蘇った漆黒の騎士だ。あいつについては…。
今のあいつが一体何を考え、どう行動するか。俺には全く想像できない。
―だが、しかし。
もし、あいつがこのゲームを不快と感じ、ヴォルマルフに反旗を翻しているなら?
もし、あいつがかつてそうであった「ベグニオン軍の総司令官」としての立場を再び取り、
サナキを庇護する側に立っているなら?
俺は一切の私情を捨て、あいつと手を組むべきなのだろうか?
ただし、それは大きな困難を伴う。
もしあいつがこのゲームを破壊する側に立っているなら
その力は確かにこの上なく心強いが、テリウスの皆が顔を合わせ辛いだろう。
何より、あいつが最後まで生き残り、テリウスに帰還した場合――。
テリウスの未来において様々な問題が発生する。
何より、あいつの正体を知る誰もが帰還を許容などしないだろう。
あいつは正体が露見すれば、テリウスに居場所など何処にも存在しない。
あいつと同一視される事を恐れ、ミカヤの言う“仲間達”でさえ共存を拒む。
その一方で、あいつを道具として利用しようと考えない国はないだろう。
一兵士として、指揮官として、そして一暗殺者として
あいつと五分で渡り合える存在などそうはいないのだ。
俺でさえ、もう一度戦って必ずあいつに勝てるという自信はない。
あれほど多岐に渡る才があり、なおかつ世界中の内情に精通していれば、
蘇ったと知られれば野に捨て置かれるなどありえない。
その存在は許されぬが、道具としてあいつは恐るべき価値を持つ。
テリウスのどの国もが、おそらくは庇護などを条件に接触を試みるだろう。
そうなった時、あいつが招聘を受け入れるか?それとも拒絶するか…。
あいつがテリウスに帰還した場合、そのどちらを選択するにせよ、
遠い将来においてあいつの意志に関わりなく
あいつが原因でテリウスに大乱が発生することになる。
かつて、あいつの主であるセフェランが、
俺の未来をそう予言した時のように。
本人の人間性やその意思に関わらず、
その大きすぎる存在自体がすでに厄災でしかないのだ。
なにより、俺自身もあいつにどのような顔をすればよいのかがわからない。
あいつは本来、死者であるべき存在なのだから。
あいつは本来、記憶の中でしか存在してはならない存在なのだから。
――あいつがもしこのゲームに乗っていれば、俺も気分も楽なのだが。
それなら俺も心おきなく全力であいつと戦い、打ち滅ぼす事が出来る。
あいつを利用するだけ利用して、用済みになれば消すなど、
到底俺の矜持が許せるものではないから。
「死した英雄だけが、良き英雄」か…。
セネリオの影響か?それとも、この俺自身の望みなのか?
たまに難しく考え事をすると、著しく悲観的で醒めた思考になる。
第一、親父はかつてあいつさえも弟子にしており、
さらにはあいつから畏敬の念さえも得ていたではないか?
もし、あいつがこのゲームの破壊に動いていた場合、
俺が親父と同じようにあいつを受け入れなくてどうするというのだ?
――たとえその先に待ち受ける運命が、数年前の、親父の時の繰り返しであったとしても。
…気が、滅入るな。
これ以上考えても仕方がない。
思考が悲観的になっていくだけだ。
行動で頭を切り替えよう。
思考を中断して、重い腰を上げる。
貧血のふらつくような感覚はすでに止まっていた。
頭が冷え過ぎて凍り付いた思考を元に戻す為に、
今度はもう一度汗をかき体を温め直すことにする。
俺は傷の消毒の為、H−7の城に疾走する事にした。
◇ ◇
道中何事もなく、俺はH−7の城門前に到達する。
周囲は薄暗い影が差し始め、日は半ば沈みつつあった。
しばらく走り込んでいたせいか、身体中から白い湯気が立ち上る。
背中に張り付いた汗が不快な感覚を与えるが、すぐに乾く事だろう。
城門は大きく開いていた。
やはりというか、城内に人の気配はなく、
警備兵はおろか牛馬さえも存在はない。
まるで、この城に再び正の女神の裁きが振り落ちたかのように。
だが、ここには石像さえも一切ない。
その存在の痕跡すら許さぬかのように、
生けるものの存在は一切発見できなかった。
だが、誰もいないはずなのに。
城中の通路には、等間隔に松明だけは赤々と灯されている。
来訪者を、その中に招き入れるかのように。
無論、明かりを灯す人間がいない以上、
そんなことは本来ありえないはずなのだが。
ともかく、原因を深く考えたところで仕方がない。
俺は城内の捜索を開始した。
これでいけるか?
中央にあるキープ(天守)は後回しに、まずは周辺にある兵の宿舎に立ち寄る。
俺の勘が正しければ、ここには必ず応急措置用の道具類があるはずだ。
テリウスでは杖魔法や魔法の調合薬による治療は当然のように存在するが、
だからといって、誰しもがそれらによる治療を受けられるわけではない。
杖魔法を行使する僧侶や賢者達は多忙を極める故、
直ぐに治療を受けられるとは限らないのだ。
その上、消耗する杖や調合薬自体が高額ゆえ
万人には行き渡らないという事情もある。
故に、後回しにされる一般兵士等はその長い待ち時間中に
失血等で力尽きぬよう正しく応急措置を取る必要があるし、
最悪、杖魔法や調合薬が尽きている場合は最後まで
自然治癒を待たねばならない場合もある。
その為、こういう一般兵の宿舎にはそういった道具が欠かせないのだ。
果たして、俺の勘は的中する。
兵舎の医務室の棚から、俺は真新しい包帯と縫合用の道具、
消毒液等の救急道具一式を発見した。
残念ながら治療の杖や調合薬までは見つからなかったが、
応急措置を取る分においては驚くほどに充実した内容であった。
置いてあった椅子に腰かけて傷口を再び消毒し、傷口の縫合を開始する。
飛び道具が体内に残らなかった事と、刀傷の縫合には慣れていたせいもあり、
応急措置はそう時間を取ることなく綺麗に終えることができた。
包帯を一人で巻き終え、最後に鎮痛剤として保存されていた
見覚えのある葉を口に放り込み、噛みしめる。
身体の調子を改めて確かめる。負傷や縫合による痛みも大部和らいできた。
これなら、行動に支障をきたすこともないだろう。
口に溜まっていた葉を捨て、捜索を再開する為に立ちあがるが、
そこで少し思いとどまる。
――リチャードの為にも使えるかも知れないな。
応急措置用の救急道具一式を箱ごと袋にねじ込んでおく。
あいつがまだ、生存していればいいのだが。
出会ってほとんど口も交わしてはいないのだが、
俺はあいつのことが気にかかりだしていた。
俺は、リチャードの事などほとんど知らない。
あれだけ喧嘩っ早く、誤解で人を殺しかける奴だ。
あいつは元いる国では悪人だったかもしれないし、
そもそも、「レダの獅子王」という自称も、
あいつの虚栄心から出た誇張や嘘かもしれない。
だが、あいつの槍には一切の嘘や穢れはなかった。
一度手合わせした身だ。それだけは理解できる。
その槍から感じられるものを考えれば、
あいつは信頼してもいい奴だろう。
欲望や悪意にどす黒く濁った者が、あのような冴えある
清々しい槍を扱えるはずがないから。
あの時の戦いは誤解による殺し合いであったが、
今度はヴォルマルフに強制された殺し合いではなく、
またあの鴉王に乗せられた誤解という形でもなく、
双方が望む形で存分に手合わせをしたいものだ。
第一、あいつには助けられた恩もある。
戦力になる、ならない以前に、
あいつには俺のまだ語り尽くしていないものもある。
あいつとは、もう一度語り合いたい。
あいつが何者であるか、俺が何者であるか。
言葉を、そして武を交え。
納得がいく形で、存分に語り合いたい。
そう、俺があいつの事を気にかけだした時。
あいつの安否を告げる…。いや、むしろ運命を嘲笑う内容の声が周囲に響いた。
――時刻は逢魔ヶ刻。
【H-7/城内の兵宿舎/一日目/夕方(放送直前)】
【アイク@暁の女神】
[状態]:全身にかすり傷・左肩にえぐれた刺し傷・右腕に切り傷(全て応急処置済み)
貧血(軽度)。
[装備]:エタルド@暁の女神
[道具]:支給品一式(アイテム不明)
[思考] 1:『蒼炎の勇者』として、この場で為すべきことを為す。
(テリウスの未来の為、仲間と合流しゲームを完全に破壊する)。
2:主催と因縁がありそうな者達(ラムザ・アティ)と合流し、協力者と情報を得たい。
3:肉…。いや、リチャードが先だ。あいつの為に予備の武器でも探しておきたいが。
4:漆黒の騎士に出会ったら?
5:今度ネサラに出会った場合は、詳しく事情を問い詰める。
6:あの石化した少女は余裕があれば対処する。
うむ。流石に数か月放置してたから反応さえないかorz
とりあえず、続けて二バス、ソノラ(リチャード)の三名で予約します。
乙です!これは珍しい鬱アイク。なんか悶々とするイメージがないから
新鮮な感じがするなあ…
そして予約もきた。ソノラ空気四天王脱退できるか…?
投下乙です。
そういえばマップ右下って全然人いないな……。
その分左上がカオスってるけどw
繋ぎ程度ですが、投下いたします。
身体を激情が駆け巡る。
オレの右足からは絶えず血が流れているというのに、抑えきれない憤怒が少なくなった血を沸かし、あの女をぶち殺せと叫ぶ。
それは正しく殺意だった。
もはや痛みも感じない。それほどまでに、オレは揺り動かされていた。
殺せ。あの女を殺せ。武器はどこにある? そこに転がっているだろう? お前を傷つけたナイフが!
頭の中で邪悪な声が囁く。
そうだ、武器はある。あの女はオレが当分動かないものと見ている。隙は……ある。
だが、と掻き消えそうになっていた理性が忠告する。
あの女は、相当な使い手だ。体裁きとナイフの投擲――それだけで、十分な武装したオレと互角だった。
そしてオレは、あの刀を奪われた。勝機がないとは限らないが、確率は低い。
――それでも、おめおめと逃げるわけにはいかねえッ。
あの女を犯し、地獄の苦痛を与え、発狂させてバラすまでは!
どこかオレとは違う、まるで悪魔の思考に塗り潰されながら、オレは復讐の一歩を踏み出した。
『――諸君、これから第一回目の放送を始める』
それは人の神経を逆撫でするような、無感情な声だった。
オレは踏み出した足を止めた。これは――そうか、ルール説明でヴォルマルフの野郎が言っていた放送か。
これを聞き逃せば、このゲームにおいて不利極まりない状況に置かれてしまう。
知らずに禁止エリアに踏み込めば、即ち死が待っている。死人の名と数を知らねば、現状でなすべき判断を見誤る。
……そう考えていると、オレは少し冷静を取り戻していた。
まずは、どこか家の中へ。それから、放送を聞きながら傷の手当て。そして、体力を回復するために休息。
焦っても待っているのは愚者の結末、つまりは死だ。そう、あの女を殺すのは今でなくとも良い。
あの女はどうやら黒甲冑の騎士と偉そうなオッサンのところへ行ったようだ。少なくとも無事では居られまい。
オレは万全の状態で、不全の状態の女を相手にすることができるのだ。
もし、あの女がその前に死んでたら?
そのときは、事切れている身体を引っ張り出して屍姦してやるとしよう。ああ、さすがにぐちゃぐちゃになってたら勘弁だけどな? ハハハッ。
……いや、まずは無駄な思考はやめよう。放送に集中すべきだ。
オレはデイパックから地図と参加者表を取り出し、痛みが徐々に戻ってきた足を引きずりながら最寄りの民家へ向かう。
『――B-4、E-4、F-8』
発せられた言葉を地図と照らし合わせる。今注意すべきは――B-4か。ここから北東へ行ってすぐのところだ。気をつけねばなるまい。
その後、ヴォルマルフのつまらない口上を聞き流しながら、オレは家の中へと踏み入った。
「あン?」
直後、オレはかすかな匂いを感じ取り眉をひそめた。空腹を刺激するようなこれは――テーブルに目を向け、正体を知ることができた。
それは殺し合い真っ最中の血生臭い場には似合わぬようなものだった。
オレはすぐに思い当たった。あの女と黒騎士はこの家から出てきた。そして時刻は夕方。
なるほど、あいつらは食事を取ろうとこんな手の込んだ料理を作ったのだろう。
ご苦労なこった。ちょうど腹も減っていたし、せいぜいオレが食ってやろう。毒は入ってないだろうしな。
『続いて、ゲーム開始からこれまでの死者の発表をする』
「クソッ」
オレはせっかちなあの野郎に悪態をつきながら、名簿を取り出した。
何か書くものを探していたら聞き逃してしまう。仕方がないが、こうなれば最終手段だ。
オレは床に座り、足の傷口に指を当てた。いまだ止まらぬ血が感触として伝わってくる。
『――アメル、オイゲン、シーダ、シノン、ティーエ、ナバール、ビジュ、ベルフラウ、マルス、ムスタディオ、リチャード』
呼ばれた名の横に血の印をつけてゆく。もうこの世にいない者の証だ。
早々に死したこの愚かどもに仲間入りせぬよう、これからよりいっそう慎重に進まねばなるまい。
必要な放送事項を聞き終え、オレは支給品をまとめる。その間にもヴォルマルフのくだらない煽りが続く。
デイパックを置き、オレは立ち上がると、警戒しながら外へ出た。
何か役立ちそうなものを拾っておくためだ。周囲にはナイフが散乱しているはず。
こんな状況だ。ナイフ一本でも黄金より価値がある。
血塗られたナイフを拾い上げていると、ヴォルマルフの放った一言が耳に残った。
――たとえ死した者を蘇らせることでも
オレは皮肉げに口を歪めた。ああ、あいつならできるんだろう。オレが“生き証人”なんだから。文字どおりのな。
お前の望む殺し合い、せいぜい盛り上げてやろう。ただしオレは引き立て役にはならん。みっともなく屍を晒すなんて、オレには役不足だ。
オレが成し遂げるのは――優勝だ。
待っていろ、オレをコケにした愚者どもッ! いつか必ず後悔させてやるッ!
【C-3/村:東端の民家/1日目・夜】
【ヴァイス@タクティクスオウガ】
[状態]:右の二の腕に裂傷(処置済み)、右足首に刺し傷、右腿に切り傷(軽傷)、貧血、
死神の甲冑による恐怖効果、および精気吸収による生気の欠如と活力及び耐久性の向上。
[装備]:死神の甲冑@TO、肉切り用のナイフ(3本)、漆黒の投げナイフ(4本セット:残り4本)
[道具]:支給品一式(もう一つのアイテムは不明)、栄養価の高い保存食(2食分)。麦酒ペットボトル2本分(移し変え済)
[思考]1:傷の処置を優先
2:殺せる場合は殺すが、無理はしない
3:アティたちに復讐
[備考]:
周辺に落ちていた、肉切り用のナイフ二本、漆黒の投げナイフ四本を回収しました。
投下完了。
ヴァイス……サラマンダー脱出できるだろうか。
>>196 そういえば、タイトルがないようですが入れ忘れでしょうか?
>>177 主人公は魔剣を手放しても
島の範囲くらいまでは呼べたりする
(デメリット:無理矢理呼ぶので使い終ったら過労で倒れる可能性が大)
>>202 ああ、すいません。タイトルは「翻弄の道」。
第一部6章、7章と第三部6章マップに
使われているBGMタイトルからです。
まあ偉大な親父というコンプレックスを抱え、
翻弄されるアイクというのを書きたかったと言うか。
英雄扱いされているアイクも、なんだかんだいって普通の人間だからね。
あれだげ愛着ある傭兵団を抜けたのも、周囲からの「親父の代用品」扱いが
苦痛で仕方なく、自分の事を知らない人間たちの中で、
自分探しをしたいと迷走している部分が部分があったかもしれません。
サラマンダーは、どうだろw
Cルートはどうしても命乞いをするヴァイスと冷淡なタルタロスしか
想像できないから。
>>203 ついでいうと、ウィスタリアスがシャルトスに
ダウングレードしている可能性があるから、
その時にいったん契約解除されている可能性がある。
そうだと幾ら呼んでも来てくれない。
まあディエルゴが並行世界からウィスタリアスとは別に
用意したかもしれんが、それなら来るかもしれんが。
普通に平行世界から用意したと考えた方がいいだろうな。
その方がダウングレードの話とかいちいち気にしなくてもいいだろうし…。
ただ、イスラの場合はまずキルスレスとの契約は切れているだろうから、
キルスレス(フォイアルディアも)を呼ぶことは不可能だと思う。
キルスレスとフォルアルディアは別物説は(抜剣者がアティ・ベルフラウ・イスラ以外にも複数いる台詞がある所為で)あったりするけど、ぶっちゃけサモンの魔剣の適格者が手にしたら、力がそれと同様かそれ以上のやつがいなかったらヤバイ(あくまで手にした話だが)
まあ主催がわざわざシャルトスを用意するってことは
ウィスタリアスがあっても呼べないように細工または制限している
可能性は高いけどな。
ウィスタリアスって先生の魔力を源にしている部分があるから、支給品のシャルトスに比べて
能力は高いが物凄く疲労するとか、持続時間が短いとか差別化すればいい気がしないでもない。
・・・まあ単にシャルトス持った漆黒とウィスタリアス先生のバトルとかが見たいだけだけど。
>>208 蒼炎の軌跡のオープニングにあった、アイクと漆黒の騎士との一騎討ちシーンを連想した。
そういえばシャルトスは適格者じゃなくても、
召喚術の強化程度の能力までなら使えたんだったか。
影の薄い召喚師が使ってたけど、制御しきれずに嵐がおきたらしい
他にサモナイトソードと言うのがあるけど、厨性能があると言われてるけど誰でも装備できる。(種類:1剣or短剣、2は短剣のみ)
ところで今気づいたのだが。
カーチスとアティ(と漆黒)がいた民家って、
たしか橋が見える位置にあったよね?
ということは、時間帯と位置的に橋を横断した
堅物メガネが最初に遭遇するのって…。
もしかしなくとも、ヘタレニンジャの可能性が高いか?
堅物メガネはどう転んでも死亡フラグなんだな
そう思うなら回避させればいいじゃない!
…正直ネスティがここまで追い詰められるとは誰が予想できたものか。
どうでもいいが、眼鏡ってネスティしかいなくね?
つかロワで魔導師キャラが一人旅状態ってホント死にやすいよな。
コラ
魔道士キャラだけど、マーダー補正で一人歩き余裕でしたなアルマ。
主人公キャラなのに、電波兄弟に絡まれてあっさり脱落したマルス。
ロワは本当に何が起こるかわからない。だからこそ面白い。
ところで、町の中の大まかなマップが欲しいと思うのは俺だけ?
アティと漆黒&ハーディンの位置関係や、覗き見してた幼女と紳士の現在位置とか詳しく知りたい。
よし、彼の汚名を躍如させてやろう
フフフ…。
>>217 作品からすると
漆黒組は村西側、馬鹿と幼女は東側の草原(森方面に進行中)だと思う。
>>219 d
ということは缶詰組が漆黒に、橋を右手に反時計回りに移動するであろう馬鹿組がメガネに
それぞれ気付く可能性があるってことか。どっちも面白そうだw
一つ質問。
漆黒の投げナイフって食らったら時々ブラインド状態になるけど、
あれは一時的に盲目になる魔法が掛かっているの?
それとも一時的に視神経を害する毒が塗られているの?
どっちで解釈すりゃいいですか?
毒だと効いてくるのに時間がかかるので、
アティとヴァイスが面白そうなことになりそうw
どちらかというと魔法効果ってほうが自然っぽいな。呪縛刀みたいに。
でも暗闇付加35%だから、効果発動しなかったってことでも大丈夫そうだ。
パッフェルさんがネスティを探してた筈だけど迷子になったか?
>>223 見当違いのお城をパッフェルおばさんは探している。
ところで、ひとつ矛盾発見。
ソノラの支給品って、カラスが全部漁ったあとだから空っぽのはずで、
しかも空のバッグって遠くに捨ててあるから普通気がつかないよね?
内容が致命的でないから、若干二バスとソノラのやり取りを
少し変えればいいだけですが、どうしたもんでしょ?
修正待つかな?
二バスがムスタディオかリチャードのバッグを中身と
リムファイアーごとプレゼントしたとか。
そうなると二バスの基本支給品が×2になりますが。
つーか、俺も状態表書き忘れてるじゃんorz
ソノラの部分を修正しておきました。
>>225 ムスタディオの荷物を本人の物として渡したと
若干の修正をしました。
無論、ソノラには内緒で内心馬鹿にしてるといった感じです。
回線変えた途端に規制に巻き込まれた……
携帯でWiki見たら
アルマの所持品のなかの
「アメルの首輪」を「アメルの首」と読み間違えたわw
アメルの首
輪
こんな感じで表示されてた
とりあえず、新作したらばに仮投下いたします。
本来はSSの最後に行動の理由と化種明かしを入れる予定でしたが、
それを入れるとさらに長くなるのと、
あえて入れない方が面白そうな気がしたので仮投下して評価待ちします。
まずい部分や疑問点があったりしたら遠慮なく教えてください。
では、『恍惚のソノラ(嘘)』仮投下完了です。
多分、長すぎるので多少の編集は入るでしょうが。
あったものがなくなっていたり、なかったものがいきなり出てきたり……。
正直よくわからないのですが、何か伏線でも張っているのでしょうか?
あとソノラの感情操作の必然性が薄いと思います。
ニバスを信じて守る仲間として動かしたいのなら、
計略・言動により信頼を築かせるだけで良い気がします。
それができるぐらいの巧みに騙すスキルをニバス自身持っていますし。
失敬。最後のレスを更新し忘れていました。
でもまだ疑問が。ニバスの「自分が持っていた槍」とは何でしょうか。
なかったものがいきなり出てきたり…。
漆黒の鎧(二バスの不明支給品)とムスタディオのクリスタルか。
やっぱり説明いるなー。まあ考えてはあるけど。
あるものがないっていうのは、何でしょ?
二バスは特に感情操作を行っているわけではありません。
言動で信頼を築こうとしているだけですが、
ソノラが恋愛感情抱きつつあるのは、
どちらかというとソノラ自身というよりは
首輪のろくでもない追加機能についての伏線かな?
一般人のアルマがやたら強くなってたり、
村組のマーダー達が情緒不安定だったりの。
他の参加者もその機能に振り回される恐れがあるということで。
具体的な首輪の機能は…。ここでいうべきかなぁ?
まあ想像付くだろうと思いますが。
二バスが持ってた槍は、言うまでもビーストキラー@暁の女神です。
白兵戦は素人の自分が持っているより、いっその事手駒に渡して
しまうほうが戦力強化につながると思いきった判断です。
あと、ヴォルケイトスの先端のほうは突き刺さってたムスタの死体から回収済みです。
あと、デスナイトは二バスの息子の時もそうですが、
顔色が完全に死人のものなので一目見てばれます。
兜被らせて置くなり何か措置を施さないとバレバレなので、
あえてそんなリスキーな事やっている理由とかも
やっぱり追加しておきますね。
ビーストキラーは短剣じゃ……?
ノォォォォォ!うわ、ずっと槍だと思ってたー。
つーかプレイしているのに忘れるなよ俺ッ?
うん、そりゃ修正ものだわな。
短剣なら技量なんて関係ないし、わざわざ渡す意味もない。
ヴォルケイトスの柄にくくりつけて短槍代わりにもできるが、
それだったらヴォルケイトスの先端だけ握らせた方が遥かに丈夫だし。
結構いろいろ詰め過ぎているし、ソノラの感情面の変化は斬り捨てて、
首輪の追加機能についての話しは次回に回そうかな?
チキは死闘の話でハーディンを見た筈なのに
知らないのはおかしくないか?
>>236 いや、わけがわからんのだが?
あるものがなかった、とか。チキは知らないとか。
具体的に教えてくれれば…。
アクセス規制くらった…
>>237 漆黒とハーディンの戦闘しているのを
レンツェルと見てたけどチキはハーディンの事を知らないと思ってた
(初登場のとき、FE紋章キャラの中にハーディンの名前が出てなかった)
けどよく読み返して見たらたら
チキはハーディンが戦闘してるの見て
知ってるぽい反応してるな。
>>238は一体何をいってるのか俺もわからない。
したらばの仮投下スレをちゃんとよんだ?
チキは全く関係無いのだか?
あと、どうでもいい事だがレンツェンだから。
>>238 ああ、唐突にこのタイミングで出てきたから、
てっきり自分の今書いてたと関連があるのかとばかり思ってた。
まあ首輪の追加機能については今回の仮投稿でほんの少しだけ
ソノラ主観と状態票で伏線引いてますが、今回はやっぱり削除します。
おそらく後に村組書くことになると思うから、その時に回そうかと。
では、修正が終わったのでスレに投下します。
これでも偉く長いので、前半部分でさるさるさん規制食らうかもしれませんが。
繋ぎでこの長さって実際どうだろ自分…。
えーっと…。まだ頭がボンヤリする。
上手く思い出せないなぁ。
あたしは、ソノラ。
うん。これは間違いないよね?
よしよし。ゆっくり思い出していこっと。
今から、ちょっと前になるのかな?
カイル一家に久し振りの大仕事が入ったって事で、
これでまた大砲が撃てるって大はしゃぎしてたんだけど。
仕事前に砲の手入れをしていた所で、急に目の前が暗くなって…。
気が付いたらあのヴォルマルフって名の金ぴかのオジサンが
「これから、殺し合いをしてもらう」ってワケわかんない事言ってきた。
ぶーぶー文句言おうしたら、先頭にいたものすごくでっかい人が、
あたしより先にあのおじさんにケンカしかけにいって。
それであのおじさんがぺちゃんこになるかと思ったら、
そのひとが逆にやられちゃって首がぼーんと飛んで…。
ビックリして腰が抜けちゃった間に、また変なところに飛ばされちゃったわけ。
で、問題はその後よ。その「殺し合い」の為だと思うけど、
大きな拳銃が渡されてたから、喜んでバッグから取り出して弾を装填して構えてみた時。
手からからじんわりと石になっちゃって、そのままビッシリ固まっちゃったの。
あの時はもうダメだなー、って思ったんだけど…。
ついさっき、二バスって人の良さそうなおじいさんに助けられ、
今はリチャードさんって薄気味の悪そうな人と三人でこの森の中にいる。
これで、まあ間違いないよね?
うー…。まだ頭がボンヤリする。大丈夫かな?
何か忘れているような気もするけど、ま、いっか。
忘れるってことは、大したことじゃなさそうだし。
「そうそう、あなたが眠っている間に『放送』というものがありました。
先ずはそこから整理しますか。」
それで、今はニバスさんがあたしにもわかるように
丁寧にお話しをしはじめたってことかな?
◇ ◇
ニバスさんとあたしは、焚き木を囲んで向かい合う。
やっぱり、この季節の夜にお腹出してるちょぉっと冷えるなぁ。
うー。でもガマン、ガマン。
あとでお腹下さなきゃいいけど…。
リチャードさんは、あたし達の会話中見張りをしてもらう事になった。
あたし達が話した内容は、後ほどニバスさんから伝えるみたい。
あんまり頭を使うムズかしいことは、全部こっちに任せるってことらしい。
でも、頭使うのはあたしのほうがもっとニガテなんだけど…。
それであたしがちょっと不満な顔をすると、
ニバスさんは優しくこう説明してくれた。
そもそもリチャードさんは呪いで口が利かないから、
無理言って筆談や手話をさせて参加してもらうより、
あとでまとまった内容を聞かせるほうがテンポが良いって。
ちょっと大変だな、リチャードさん…。
最初はちょっと気味が悪いって感じがしたけど、かわいそうに思えてきた。
あのままだと、ずっと普通に会話もできないってことか。
早く、呪いを解く方法でも見つかればいいのにな。
「では、治癒魔法をかけながらの会話で真に申し訳ないのですが、
時間は有効に活用したいので、その辺りはどうか容赦して頂きたい。
あの空間で彼が話していた“危険エリア”を申し上げます。
筆記用具をお貸しいたしますが、印を付ける準備はよろしいですか?」
ニバスさんは脇腹に掌を当てながら、あたしに顔を向けそう話しかけてくる。
ニバスさんの掌は、灯火のように仄かに輝いたままだ。
あたしはあわてて自分のバッグから地図を取り出し――――。
食料と水、地図、方位磁石、時計、参加者名簿っと…。
――なんだろ、この違和感。中身がちょっとだけ違うような…。
ま、気のせいだね。さぁて、チェックしていきますか?
――B-4、E-4、F-8
ん、よし。チェック終了ー。
今はG-5の森の中にいるってことだから、全部ここじゃないね。
でも、この禁止エリアの配置って、全部物凄くテキトーに見えるんだけど?
あのヴォルマルフっておじさん、一体何考えてんだろ…。
「…では、次に。聞き苦しい事ではございますが、死亡者の確認からいたしましょう。
参加者名簿と、心の準備はよろしいですか?」
あたしはこくこくとうなずき、参加者名簿を取り出す。
そう言えば、この名前の羅列した参加者名簿、初めて見る…。
ごくり、と緊張で自分の喉が鳴るのが嫌でも聞こえる。
こんなの聞きたくない。
でも、どうしても聞かなきゃならない。
その死亡者の中に、もし…。もしも、よ。
アニキやスカーレル、ヤードさんがいればどうしよう…。
そんなの、イヤ!
そんなの、認められない…。
絶対にイヤ!
あたしは下唇を強く噛み、その名前が読み上げられるのをじっと待つ。
「……以上です。これら十名の方々の中に、貴方の御知り合いはおられますか?」
ニバスさんは心持厳しい口調で、私にそう問いかける。
あたしは人差し指をその唇にあてて考えてみるが、
全部聞いたこともないような名前ばっかりだった。
それに、アニキ達カイル一家の名前は、そもそも名簿の中にはなかった。
アニキ達がこんな事に巻き込まれなくて…。ホント、良かった。
そう思うとほっとしたような…、さびしいような…。
思わず溜息が出るが、同時にちょっとだけ不安になる。
逆を言えば、アニキ達を頼る事も出来ないってことだから。
「んーと。ごめんなさい。
あたしの知り合いは一人もこっちには呼ばれてないみたい。」
あたしは、参加者名簿の名前をもう一度確認する。
やっぱり、知っている名前といえばアズリアぐらいだ。
でも別に知り合いって訳じゃないから、間違ってはいないよね?
その事だけはとりあえず黙っておく。
実は自分が海賊だから、軍人のあの人を避けているんだって言ったら、
メンドーな事になっちゃうかもしれないし。
「そうですか、それは不幸中の幸いだったですねぇ。
亡くなった方々については、お気の毒でしょうが。
…ともあれ、これで放送内容は以上です。お疲れ様でしたねぇ。」
ニバスさんはそういうと深い溜息を付き、ひどく落胆したような表情になる。
あたしに仲間が誰一人いないって事は、当然仲間を集めてここから脱出したり、
あのヴォルマルフっておじさんをぶっ飛ばすのが難しくなるから。
ニバスさん、期待はずれでごめんなさい…。
でも、そう言えばニバスさんにも知り合いがいるかもしれない。
「…ちょっと聞きづらいんだけど、ニバスさんのほうは?」
意を決して、聞いてみる。
「私ですか?私はそもそも独り身のようなものですからねぇ。
知り合いもいないわけではないのですが、いわゆる犬猿の仲ですからねぇ。」
でも、ニバスさんはいたって飄々とした態度でそう返答する。
あたしに心配かけないようにそう答えているかもしれないけど、
全然大丈夫そうだし、ここはニバスさんを信じてみるかな?
でもひどく紳士的で丁寧な方だと思ってたけど、
このニバスさんにもソリが合わないって人はいるんだ。
それは、ちょっと意外かも?
「…その人と、ケンカでもしちゃったの?」
「手短に申し上げるなら、相互不理解と立場上の行き違いでしょうかねぇ。
私としては無用な争い事は避けたいのですが、残念な事です。」
でも、こんな殺し合いの場で知らないあたしを助けた上に、
ここまで親切にしてくれる優しいお爺さんと仲が悪いなんて、
ちょっともったいないなーと思うな。
「よーし、じゃあ任せて!あたしがその人との仲を取り持ってあげる!
そんな人でも一緒にこんな所に呼ばれちゃったわけだし。
海ぞk…。ゴホン。同じ船に乗り合わせちゃった時は、
たとえ皆仲が悪くとも協力しあうのが海のルールだし!」
あたしはそう提案するが、ニバスさんはやんわりとそれを拒絶する。
でも、その時のニバスさんの顔は、少々険しいものになってた。
この優しそうな、好々爺の見本みたいニバスさんにも、
やっぱり人を恨んだり、憎んだりすることってあるのかな?
支援
248 :
助けて!名無しさん!:2009/03/04(水) 23:54:25 ID:obG3KVdR
「…ホントに、そのままでいいの?」
「ええ、構いませんよ。貴女のご厚意だけは有り難く頂戴いたしましょう。
このような殺伐とした場で、貴女のような元気ある方に出会えた事を、
大いなる神フィラーハに感謝せねばなりませんね。」
そういうと、ニバスさんは一転してにこやかに微笑む。
ホントに落ち着いた、謙虚そうな人だなー。
あたしには絶対マネできないなー、うんうん。
「んー。まあアニキにゃそれだけが取り柄みたいに言われているけどね。
でも、ありがと。」
このおじいさんに褒められると、それほど悪い気はしない。
あたしの父親がもし今も生きていたら、こんな感じになってたのかな?
あたしって、アニキはいるけど親父はずいぶん昔に失ってたから。
…案外、あたしってファザコンなのかもしんない…。
「でも、フィラーハって何?なんかものすごい召喚獣っぽいけど。」
ついつい、思っていたことが口をついてしまう。
「おや、人が悪い。フィラーハは子供でも知って…。
なるほど…、そうですね。これは失礼いたしました。
見た所、貴女はヴァレリアを遠く離れた異邦の方のようですね。
そしてその火薬の匂いが染み付いた出で立ちから察するに、生粋のガンナー。
ヴァレリアでは非常に珍しい『無神論者』、ということでしょうか?
ならば、信仰心を生来から持ち合わせぬのも不思議ではありませんね。」
…ヴァレリア?ムシンロンシャ?え、ええ?
何言っているのおじいさん?もしかして、どこか外国の人かな?
それも、ずっと遠くの地図にも載ってないような…。
「…なんかちょっと言っていることが難しいんだけど、ま、いっか。
住んでるとこの風習とかが、きっとぜんぜん違うんだろね。」
「そのようですね。あのリチャードさんも、おそらくは異邦の戦士なのでしょう。」
そういって、ニバスさんは目を瞑り、
額に片方の手を当てて考える仕草を取る。
もう片方の手は、やっぱり治療に専念したままだ。
この人について思い当たることを、二バスさんなりに考えているのだろう。
でも、この人の連れ合いの人は、ちょっと…。
「私、あの人…。」
「あの方が、どうかなされましたか?」
思わず、イヤそうな声が出てしまう。もう、気付かれちゃってるよね?
ニバスさんは考える仕草をやめ、こちらの警戒心を和らげるように、
満面の笑顔でこちらを振り向く。
「よければ、正直にリチャードさんについて思われる所を話してください。
貴女の言うように、これからは協力し合う仲間なンですから。
不安の種があれば、早めに取り除いておきたいンですよ。
幸い、リチャードさんは今席を外されておりますので。
では、ご遠慮なくどうぞッ。」
ニバスさんは笑って、私にその思っている事を言うように促す。
顔は微笑んでいる。邪気のない、子供のように純粋な笑顔で。
顔は微笑んでいる。まるで自慢の宝物の評価を聞きたがっているみたいに。
顔は微笑んでいる。でも何故か目だけはいやに鋭い。ちょっとだけこわいな…。
やっぱり、ここで知り合った仲間の事を悪く言われるのがイヤなのかな?
でも、ものすごく聞きたがっているようだから、やっぱり正直に答えるしかないよね。
「ちょっとだけ顔色が悪くって…。手がひんやりして…。
それに、ふいんきがちょっとだけこわいかな。
そういえば『呪いを掛けられた』って言ってたから、その影響かも?」
あたしは、思った事をそのまま全部口に出す。
リチャードさんが元々気難しい人なのかもしれないけど、
呪いの事と言い、全てあの人が悪いってわけじゃないからね…。
「なるほど。やはり少々顔色が悪く、体温も下がったままということですか。
特別に血色がよくなり、身体が暖かくなる薬湯を処方しておいたンですが…。
あまり効き目はなかったようですねぇ。」
ニバスさんは頷くと、他に少しでも変わった様子はなかったかどうか念入りに効いてくる。
あたし、召喚魔法っぽいの使ってるからニバスさんの事てっきり召喚師かと思ってたけど、
こう会話すると物凄く人体にも詳しいから、もしかするとお医者さんなのかもしれない。
そういえば、焚き木の上で何か色々と煮込んでいた跡があったけど、
あれってリチャードさんの為に用意した薬湯だったのか…。
…ホント。凄く思いやりのある、とっても良い人だ。
「よし!決めた!リチャードさんの呪いの事なら、私も手伝ってあげる!
これからは仲間同士、しっかり助け合わないとねっ!!」
あたしはそう答えると、ニバスさんは笑顔で大きく頷く。
リチャードさんの事でとても喜んでいるみたいだけど。
なにか、こうひっかかるような…。
ちょっと喜んでいる理由が、違うような気がする…。
『ふむ。我が子の時より、さらに…。』
とか満足そうな声が聞こえたような気もしたけど、
一体なんなんだろ…。
「ですが、このままでは色々と誤解を招きそうですね。
…リチャードさん。やはり兜をかぶりなさい。」
ニバスさんはそれを聞くと頷き、
彼は黙って、脇に抱えていた黒い兜をゆっくりと被る。
リチャードさんは、出会ったその時から漆黒の甲冑を身に纏っていた。
今までリチャードさん本人が気になって
鎧のほうはほとんど注目してなかったけど。
こうしてみると、鎧も負けず劣らずもの凄く怖そうね。
漆黒の鎧、漆黒の籠手、漆黒の具足…。
これに今漆黒の兜が加わり、全身が漆黒に覆い尽くされる。
そうなると、その周辺だけが黒く塗りつぶされたような…。
傍にいるだけで不安な気分になる。
この夜中でもなお一段と暗い、その艶やかな黒っていうのはすごく目立つ。
漆黒の鎧って、ちょっと怖い印象があるけど、
こう完成されてみると、また大部趣が変わるわね…。
でもこの鎧からにじみ出るような、
怖さとも違った独特の空気みたいなのはなんだろ?
ヤードさんが一度どこかから持ってきた魔剣みたいな、
こう選ばれた神秘的なふいんきを全身から感じちゃうな。
危なっかしいような、澄ましたような…。
軽々しくさわっちゃいけないような…。
うん。でもリチャードさんがこうしていると、
ちょっとだけ頼もしくて格好いいかも。
なにかダーク・ヒーローみたいで。
「うわあ…。こうやってみると、結構いかついわね…。」
「支給品の鎧のようですが、このほうが違和感は薄れるでしょう。」
二バスさんは、こうして武装した黒騎士となったリチャードさんを、
どこか立派になった我が子を見るような、懐かしむような、
愛おしむような満面の笑顔と視線で眺めていた。
あ、そういえば『我が子がどう』とか呟いてたっけ。
リチャードさんから、その人のことを思い出してるのかな?
確かに二バスさんぐらいの年なら、一人や二人子供がいても…。
ひょっとすると孫だって居てもおかしくない。
私みたいな娘も、もしかするといるのかな?
そんな取りとめもないことを考えていると、
二バスさんの方から話しかけてきた。
「ところで、異邦の方なら一つお聞きしたいのですが。」
「ん?どしたの、ニバスさん?」
「このクリスタルに、見覚えはありませんか?」
ニバスさんはそういうと、懐から白く淡い光を放つ、
四角錐の底辺が二つ重なっている水晶を取り出した。
どうやら道中で拾ったとの事らしいが、その光自体が只事ではない。
まるで生きているかのように、仄かに明滅を繰り返している。
「ごめんなさい。あたしにもちょっとよくわからないわ。
誓約済のサモンナイト石っぽくも見えたんだけどね?」
そう。この何かを封じたような輝きは、
誓約済のサモンナイト石にとてもよく似ている。
でも、これは違うものだ。それだけは理解できる。
召喚獣のような恐ろしいものではなく。
そう、例えるなら。
切ないような。
悲しいような。
何かを泣いて訴えかけてくるような。
そんな小さく儚げな、蛍灯のような。
これから消えゆく、仄かな輝き。
支援
「…サモンナイト石?それは一体、どのようなものでしょうか?」
ニバスさんは意外にもそう聞いてくる。…え?
ニバスさんって、召喚師じゃなかったの?
今脇腹に手を当てているのも、治療の召喚術か何かじゃなかったの?
それに、誓約の儀式やサモンナイト石の事なんて
リィンバウムじゃ誰だって知っていると思うけど。
それを全く知らないって、ゼッタイありえないわよ?
でも、冗談を言っているようにも思えないし…。
思わず、その疑問を口にしてしまう。
「いえ。残念ながらその事については寡聞にして存じ上げません。
…そうですね。もしよろしければ、サモンナイト石について、
貴方の知っている限りのことをお聞きしたいのですが。」
ニバスさんはいたって真面目な表情であたしに聞き返してくる。
…一体全体、どういう事なんだろ?
「んー。変なの。じゃあお話しするけど…。
ホントにあたしなんかの説明で大丈夫?」
ニバスさんは至って真剣に、あたしの顔を覗き込みこくりと頷く。
ほとんどヤードさんからの聞きかじりに近くなっちゃうんだけど…。
大丈夫かな?あたしなんかの素人のお話しで。
「ええ。少々、思うところがあるンですよ。
是非、貴女の口からお聞きしたいンです。
貴方からでなければ、意味がないンです。
どのようなわずかなことでも構いません。
…どうか、よろしくお願いいたしますよ。」
ニバスさんは珍しく、少し興奮気味にあたしに尋ねる。
ニバスさん、あたしを必要としてるんだ…。
そう思うと、ちょっぴりうれしい。
だったら、ぜひ答えてあげなきゃね!
「え…と。じゃあ、すこし長くなるけど始めるね?ニバスさん」
◇ ◇
二バスさんは、時に頷き、時には熱心に
聞き入りながらあたしにその先を促す。
そうしているうちに、あたしはリィンバウムの
召喚術について知っている限りの情報を話していた。
「…なるほど、そういう事ですか。
これまで勘違いしておりましたが、これで確信いたしました。
我々は異邦の者同士などではありません。」
話しを全て聞き終え、そしてニバスさんが開口一番に出た言葉はこうであった。
「…ん?っていうと…。」
「異世界の者同士、ということですね。
貴女の世界の言葉でたとえるなら、
“リィンバウム”と、“名もなき世界”のような。」
え?ええ?!それって、どういう事?
異世界、って一体、ナニ?
「私は確かに召喚術も嗜みますし、試みた事がないとはいえ、
知識として異世界の存在の召喚の事なら存じあげております。
ですが、リィンバウム、ロレイラル、シルターン、サプレス、メイトルパ…。
貴方の仰るような異世界の名を、私は寡聞にして存じ上げません。」
ニバスさんは口調こそ淡々としているが、
口元をほころばせ、目を爛々と輝かせて話しを続ける。
自分だけが世の中の真理を知った、
その嬉しさを隠しきれないような、
物凄く偉い発明者みたいな感じ。
そういえば、ヤードさんも召喚術で
何か気づいた時もあんな顔をするけど…。
学者さんって、みんなこういうものなのかな?
「では、私からも貴女にお聞きいたしましょう。
貴女は風神ハーネラ、炎神ゾショネル、水神グルーザ、大地バーサ、光神イシュタル、
暗黒神アスモデの六大神の名を、どれか一つでもご存じなのでしょうか?」
ニバスさんはちょっと良く分からない単語を並べる。
そして、さらにたたみかけてくる。
「そして何より、オウガバトルの物語を貴女はご存じですか?」
う…。ごめんなさい。なにがなんだかさっぱりわかんない。
あー、駄目だ。知恵熱起しちゃいそう。ぷすぷす…。
そんなあたしを見てとったのか、ニバスさんは優しく子供に話すように付け足す。
「実は今お話しした言葉は、私の暮らす世界では子供でも知っている神の名と、
それらが活躍したお伽噺の内容なのです。」
それで初めて納得する。
ニバスさんは、同じ世界の内容の人なら
誰でも知っている事をあえてあたしに聞き、
そして話しかけ、異世界の人間なのかどうかを確認していたんだ…。
「では、最後にソノラさん。今から私が話す内容をそのまま復唱してみてください。」
「ええ、いいけど?」
ニバスさんはそういうと、荘厳な雰囲気で口ずさむ。
「…ラボン・オリアス・ザン・フォン、デストニア・レラ・フィーナン。」
「『我が娘オリアスに永遠の愛を…。』って、いきなりどうしたの?」
ニバスさんがなにか試していることはなんとなく雰囲気でわかるけど、
それ以上に、そっちのの口ずさんだ内容に驚き、思わず尋ねてしまう。
…っていうか、おじいさんに娘がいたの?
「ええ。今では仲違いしてしまいましたがね。ちょうど貴女と同じ年頃の娘ですよ。」
ニバスんはあたしの独り言に、律儀にそう答えて微笑む。
あたし、もしかしてニバスさんの娘みたいに見てくれているのかな?
だったとしたら、ちょっとだけ嬉しい。
「まあ、それはさておき。」
「貴女のリィンバウムの召喚術における会話で確信いたしました。
私達はあのヴォルマルフという騎士に“召喚された”と思われます。
私の住まうヴァレリアは、貴女がたの言う言葉で当てはめると、
“名もなき世界”の中の一つ、と言ったところでしょうか?」
ニバスさんの推論は、尚も続く。
「異世界のものを“召喚する”魔法が存在する以上、
異世界のものに“召喚される”という事態が発生するのも考えれば当然の事です。
そのようにして、私達はあのヴォルマルフという騎士に
なんらかの基準によって選ばれ、この場に召喚されたと思われます。
そして先ほど、貴方達の世界の召喚術は
『召喚された存在に、自然と言葉がわかる力を同時に与える』と私に仰りました。
そうなれば、おそらくは貴女の世界の召喚術によって私達は召喚されたのでしょう。」
「実は先ほど私が口にした言語は“古代神聖語”と呼ばれる、
同じ世界でも研究者のみしか知り得ぬ言語。
異世界の住民同士の会話にも関わらず、日常会話はおろか、
そのような難解な言語すら通じる事実が先程の見解の根拠です。
私達はいわば、貴女達の世界で言うところの
“召喚獣”といったところなのでしょうね。」
「そして、召喚する術があるならば、その逆の術もまたあるはず。
そう。喩えるなら“送還術”とでも申し上げればよろしいのでしょうか?
あのヴォルマルフが素直に私達を送還してくれるとは思えませんから、
まずはその方法を我々の手で捜索する事を先決といたしましょう。
それを用いれば、おそらくはこの閉鎖された空間からの脱出も可能かもしれません。
貴方がたの世界の召喚術に詳しい人物をお探しするか、
または召喚術に関する手掛かりをこの会場から捜索するのがよいかもしれませんね。
いわゆる“はぐれ召喚獣”となる事は、この際覚悟して頂くしかありませんが。」
すごい…。
二バスさんの推論に、あたしでも思わず聞き入ってしまう。
その考察は適格なもので、凄く説得力がある。
あたしなんかの会話から、実にいろんなことを読み取っていく。
ここまで知識の豊富なおじいちゃんが傍にいれば、
今の状況も、もしかするとなんとかしてくれるかも?
「ヒューヒュー!すごいよ二バスさん!そこまで気が付くなんて!
二バスさんがいれば、あのヴォルマルフっておじさんから逃げ出すこともワケないかも!」
あたしは目を輝かせる。
二バスさん、『白馬の王子様』というにはすごく歳を取り過ぎているけど、
騎士を導く賢者様とか、そういう役割がピッタリきそうな人だな。うん。
じゃあ、リチャードさんはさしずめ『騎士様』って所かな?…ちょっと怖いけど。
支援
「…ですが、もし仮に上手く逃げられたとしても、
再び召喚されてしまえば同じ事の繰り返しです。
ならば、どうにかしてヴォルマルフ達を見つけ出し、
倒さねばならない事には事態は何も変わらぬでしょう。」
「ぶーぶー!折角光が見えたと思ったのにぃー?!」
…ま、そりゃそうよねぇ。あのヴォルマルフっておじさんが
一体何考えてるかさっぱりわかんないけど、
こんなところにまで呼び出して殺し合いをさせたい以上、
そうそう簡単に逃がしてくれるとは思えないからね。
そうなると、やっぱりあのおじさんをぶっ飛ばすしかないのか…。
「でも、まっかせといて!二バスさん。
銃さえあればどんなのが敵だろうとバンバン撃って、
そんでもってバンバンやっつけちゃうから!
もちろん、二バスさんを守った上でね。」
あたしは銃をくるくると回しながら、
ふぅと銃口に息を吹きかけて笑顔でそう答える。
二バスさんはそんなあたしの顔を見て微笑んだ。
「そうですか、それは私も一安心ですねぇ。」
ところで、申し訳ありませんが、そろそろ精神力が限界のようです。
貴女から聞いたことから考えられる事を少し整理したいのと、
休憩の為に少し仮眠を戴きたいのですが、よろしいですか?」
そう。見れば、二バスさんの眼にはクマが出来ており、
時折舟を漕ぎ、目をあけることもつらそうにしている。
脇腹の腫れこそ引いてはいるものの、
そちらを押さえていた掌にはもはや輝きはなく、
力なく垂れ下がっている…。
そう、見るからに二バスさんはぐったりとしていた。
そうだ、てっきり忘れてた…。
二バスさん。会話をしながら、ずっと治療を同時に行ってんだ。
どうやら、それでホントに疲れきっているらしい。
それでも、さっきまで無理して頑張ってたんだ。
あたしのために。そしてリチャードさんのために。
そんないい人のために、今度はあたしが頑張ってあげないとね。
カイル一家の掟にもあるからね。
『苦難を同じくした者には、敬意と友愛をもって接するべし 』って。
「…え、あ!うん。いーよ。二バスさん怪我人だし、しっかり見張っているからゆっくり休んでって!」
「では、貴女のご厚意に甘えて、そうさせて頂きます。仮眠中の事はよろしくお願いいたしますよ?」
二バスさんはそういうと、途端に眠気の限界が来たらしく
倒れこむようにその場で横になり、そのまま静かな眠りに付く。
でも、こんなところで長い間寝ちゃうと、風邪引いちゃうかもしれないわね。
ホントは近くの城か住宅街で睡眠取った方がいいんだけど…。
支給品に毛布ぐらいあってもよかったのになー。
ぶーぶー。
まー随分頑張ってたみたいだし、後で膝枕ぐらいはしてあげよっかな?
なぜか、この人といるとひどく落ち着く気がするし。
パパって、もし今もいたとしたらこんな感じだったのかもしれないな…。
それに、この場で見かけた、話しのできるたった一人の仲間だから。
あたしはそんな事を考えながら、銃の手入れと装弾の確認を始めた。
◇ ◇
疲労の限界に達した二バスは、そのまどろみの中で
ソノラが期待している事とは全く別次元の思考にあった。
“会場”からの脱出を行おうというつもりは、今の二バスには全く存在しない。
先ほどのソノラに話したように、たとえ脱出した所で
もう一度召喚されれば同じ事の繰り返しとなるのだから。
そして、この“会場”からの脱出を考えるならば
主催者達を手段を選ばず排除するしかないわけだが、
ニバスは彼らと無理に事を構えたいとは全く思わない。
このゲームの主催者達はこの巨大な会場を用意し、
数多ある世界から参加者と武器を揃え、
こうして殺し合いをさせるだけの力があるのだ。
そもそも、いかにあがいたところでこのゲームの参加者達風情に
容易く倒されるような矮小な存在ではないとニバスは推測している。
英雄的自殺行為に、ニバスは興味など全くない。
むしろ彼らと友好関係を築き、この“会場”を
自らの実験施設として譲り受けたいとさえ考えている位だ。
その際に、自分自身を含めた肉体が崩壊したはずの参加者達さえ蘇らせ、
異世界の存在を召喚する“この世界の魔法”も
いずれは手に入れてみたいという野心もある。
実験施設には、常に消費されるモルモットの補給が必要不可欠なのだから。
だが、それらは優勝者への褒美として要求すれば得られるであろう。
これについては、そう慌てる必要はない。
そう、二バスもまた死からの生還者であった。
過去の遺物によって人間を超越し、不死の力を手に入れたものの、
死者の宮殿最深部でデニム・モウンに倒され、その肉体は完全に崩壊したはずであった。
だが、その肉体は人間としての生を再び得、こうして“会場”に召喚されたのである。
自らの身をもって行われた奇跡を、ぜひとも解明したい。
二バスの脳内は、やはり屍術による不老不死の研究に取りつかれたままであった。
そして、一方でニバスはこれまでの実験成果を自慢したくもあった。
先ほど、ソノラにリチャードを挨拶させたのは、単にそれだけが理由である。
本来、アンデッドをわざわざ生者に見せつけて品評を行わせるなど自殺行為である。
過去にある程度成功した例である我が子デボルトの場合ですらも、
間近で見れば生者ではないと一目で露見するほどの酷い有様であった。
それならば、単に支給品の甲冑を着せた上で、ソノラに紹介すればよいだけの事。
だが、今回のリチャードは己が屍術の中では、我が子すら超える最高傑作であった。
精神の崩壊は相変わらずだが、肉体面においては細胞の崩壊は全くなく、
ある程度体温さえも存在し、一見して生者にすら見えるほどの出来であるがゆえ。
ここまで“リチャード”の完成度が高まった背景には、
屍術に必要な薬草の類がこの森の中で現地調達出来た事、
殺害したリチャードが極めて優れた肉体的能力を持っていた事、
また金髪の青年(ムスタディオ)という損傷部分の代価物も
傍にあったという数々の幸運に恵まれたこともあるが、
ニバスが金髪の青年に施した屍術の失敗から学んだ点も多かった。
そう。あの金髪の青年は、決して無駄にはならなかったのだ。
ニバスにとっては嬉しい誤算とも言える。
無論、リチャードがアンデッドであると気がつかれた場合は、
ソノラをやはり始末しなければならなかった。
だが、己の作品が至高の完成度を誇った時、
二バスの研究者としての欲望と探究心が、
第三者による客観的な品評を行わせずにはいられなかった。
そして、その評価は満点とは言えぬものの、
見事合格点と呼べるものであった。
その点は、ソノラにとっては幸運だったかもしれない。
そして、そのリチャードにはあの堅牢極まる鎧を与えたのだ。
もはや滅多な事では敗れはしまいだろう。
『女神の祝福を受けた鎧』
ニバスの支給品の説明書きにはこの黒い全身鎧の名はこう記されてた。
そして、後の機能説明にはこうも記されていた。
「大陸テリウスを創造した女神がその祝福を与えた黒き甲冑。
ベグニオン帝国総司令官ゼルギウスが帝国宰相セフェランの密命を帯び、
大陸を滅ぼさんとすべく暗躍した際に愛用していた全身防具。
女神の祝福により、あらゆる物理的攻撃・魔法攻撃を遮断する。」
この見るからに只ならぬ甲冑の存在を鞄の中から確認した際、
ニバスは早速自分での装備を試みていた。
だが、体格が全く合わない上に装備の重量で動きが大きく鈍ってしまい、
自らには使いこなせぬと装備を諦めていた余りある代物である。
sien
念のため金髪の青年(ムスタディオ)にも一度着せてはみたのだが、
結果は全く同じ有様であった。これに見合う体格がなければ、歩行する事すら厳しい。
如何に優れた鎧を手に入れようとも、身動きが取れなければそれは鋼鉄の棺桶も同然である。
そのため、新しくこの甲冑を着こなせる体格がある実験体が完成する時が来るまで、
鞄の中に長く眠らせていたものであった。
この中に収納している限りは、重量を感じさせないが故に。
それがリチャードという破格の肉体を今得て、ようやく日の目を見る時が来た。
その驚異的な防御力は、すでに検証を済ませてある。
疲れを知らぬ不死者に、あらゆる攻撃を防ぐ鎧。
ニバスはここに来て、最高の駒を得たと一人ほくそ笑んでいた。
もしこれで説明書に「漆黒の騎士」の名が一つでもあれば、
二バスはリチャードに“漆黒の騎士”を名乗らせていただろう。
だが幸か不幸か、その名は一切記されてはいなかったが。
最後に、あの金髪の青年の肉体を完全に破壊した時に光を宿した
クリスタルについては、後ほど詳しく研究する必要がありそうだ。
タイミングから考えれば、あの青年の魂がこのクリスタル
にでも宿ったとでもみるべきだろう。
ならばその肉体だけでなく、その魂もまた
今後有効利用できる機会があるかもしれない。
流石に自らを殺したものにはいくら話しかけようとも
何も語りかけることはないだろうが、その方法もゆっくりと考えればよい。
あの少女が言うには、この光る石は誓約済のサモンナイト石に似るとも言った。
ならば、この世界の召喚術を知れば、このクリスタルの内に秘める
この青年の魂を使役することもまた可能ではないだろうか?
石に召喚獣を封じて使役するのと、人間の魂を封じて使役する事に
違いなどほとんどないだろうから。
これまでの為に。
これからの為に。
調べるべき事、知るべき事は実に多い。
そして為すべき事は山ほどあるのだ。
――全ては、不老不死という夢の実現の為に。
ニバスはたとえ何度その身が滅びようとも人類の歪んだ夢を執拗に追い求める、
どこまでも貪欲なる知識の亡者であり、敬虔なる求道者でもあった。
【G-6/森/一日目/夜(放送後)】
【ニバス@タクティクスオウガ】
[状態]:肋骨骨折(魔法により応急措置済、行動には支障なし)、精神的疲労(極度)、仮眠中
※背中の打撲傷は完全に治療済です。
[装備]:ビーストキラー@暁の女神、ムスタディオのクリスタル(魂付)@FFT
[道具]:支給品一式×2、拡声機、光の結界@暁の女神
[思考]1:保身(現在は疲労回復)を最優先。
2:実験材料(死体)の確保。
3:最終的に優勝を狙い、この島を屍術の実験施設として貰い受ける。
4:研究の手掛かりになるかもしれない為、とりあえずはこの世界の召喚術について詳しく調べてみる。
5:金髪の青年(ムスタディオ)のクリスタルに興味。サモンナイト石の亜種ではないかと推測しています。
5:ソノラを手駒として扱うため、しばらくはできるだけ信頼を得られるよう振舞う。
6:ただし、ソノラには用済みになるか、本性に気づかれた時点で始末する。
[備考]:Nルート死者の宮殿最深部での死亡後からの参戦です。
サモンナイト世界についての情報を得ました。
上記の知識と異世界であっても言葉が通じる事や、
人物名簿がお互いに解読できることから、
参加者全員がサモンナイト世界の召喚術により呼び出され、
自動翻訳や読解の力が付与されているのではないかと推測しております。
首輪により何らかの能力制限が課せられていることを確信しました。
二バスはひとまずの所、ソノラに信頼を得られるよう振舞ってはいます。
考察については嘘偽りはありませんが、脱出については本音では塵ほども考えてません。
ただ静かなで気ままに実験が出来る施設と研究素体が豊富に手に入れる事が
出来れば後の事はどうでもよく、リィンバウムの召喚術も実験体確保の為の
便利な手段となるので出来れば欲しい程度です。
【ソノラ@サモンナイト3】
[状態]:健康
[装備]:リムファイアー(7発消費・残弾不明)
[道具]:支給品一式、弾丸(24/24、他の銃に利用可能かどうかは不明)
[思考]:1:ニバスさんは私が守る! でも、ちょっと責任重大だな…。
2:リチャードって、この人なんか嫌だな…。でも、可哀そうな人だし、仕方ないっか。
3:あれ?そういえば他にも何か持ってたような? …ま、いっか。
4:あ、二バスさん達を襲った人達の特徴、聞き忘れちゃった…。
[備考]:ソノラの基本支給品一式は、本来ムスタディオが所有していたものです。
ニバスが代わりに黙って用意したものですが、彼女はその事に全く気付いてません。
ヒスイの腕輪のことを完全に忘れてしまっております。
また、ソノラは二バスを完全に信頼しております。
【リチャード@TS】
[状態]:デスナイト
[装備]:折れたヴォルケイトスの先端、柄@TO
:女神の祝福を受けた鎧@FE蒼炎の軌跡
[道具]:空のザック
[思考]:ニバスを守り、他の参加者を殺す
【女神の祝福を受けた鎧@FE蒼炎の軌跡】
本来は漆黒の騎士が身に纏っている、威圧的な外観の黒い全身鎧。
世界を創造した女神の祝福を与えられているため、
あらゆる物理的攻撃、魔法攻撃を完全に遮断することができる。
これを傷つけられるものは同じく女神の祝福を受けた武器のみだが、
制限によりそれに匹敵する存在であればダメージは与えられる。
【暁の女神】から三年前のナドゥスの砦での戦いにおいて、その加護は失われたはずの代物。
あくまでも鎧が無敵であるだけで、装備者が無敵と化すわけではない点に注意。
※ニバスは支給品としてこの漆黒の騎士の甲冑を与えられましたが、
己やムスタディオの体格に合わない上に重量がありすぎて動きが鈍るため、
今まで(内包している間は重量を感じさせない)鞄の中に眠らせていました。
なお、この鎧の本来の持ち主の事に全く気付いておりません。
【デスナイト@タクティクスオウガ】
屍術師ニバスが不老不死を実現するために死体を改造して創った人工生命の実験体。
パワー、スピード、どれをとっても生前の能力をはるかに上回っている。
通常のアンデッドとは異なり、イクソシズム等の除霊手段は通用せず
物理的・魔法的手段で完全に肉体を破壊するしかない。
※ニバスはリチャードの死体をベースに、欠損部分は
ムスタディオの肉体を用いてデスナイトを創造しました。
【ムスタディオのクリスタル(魂付)@ファイナルファンタジータクティクス】
アンデッド化したムスタディオの肉体が完全に破壊されたことにより、
その彷徨える魂が彼の装飾品であるクリスタルに宿ったもの。
四角錐の底辺を二つ重ね合わせた形をしており、淡く輝いている。
原作通り、クリスタルを使用することで生前にムスタディオが
修得していた技能の幾許かを継承するか、傷を完全回復することが可能。
一度使用すれば封じられた魂とその輝きは完全に失われ、何の役にも立たない飾りへと戻る。
※なお、二バスはその使い方が分かっていないため、自分の首に掛けたままとなっています。
投下終了。
見ての通り、ニバス組が鬼強化されてます。
まあムスタのクリスタルだったり、いろいろと試していることは多いですが
繋ぎ内容にしてはやたらと長すぎる分量となりました。
でもまあ、マーダーの考察って、ある意味対主催の考察より楽しいかも。
投下乙
対女神の祝福を受けた鎧として
武器
エタルド、シャルトス、フォイアルディア、ダグザハンマー
魔法
スターティアラ
特殊
オウガブレード(ボディスナッチ)
ほかに力押しできそうなのは
イービルスピア+メダリオンor闇のオーブ、ルカヴィ化、万全状態のラハール
これくらいかな。
暴走召喚とかの防御無視はおk?
>>268 …どうなんだろうなぁw
鎧をすり抜けてしまなら大丈夫のような気もするが、
たとえ一億ダメージ叩き出しても、
神の加護でも得ているような武具や魔法でないと
その前に鎧で遮断されてしまうし。
もっともそんなダメージでるようなら鎧は無事でも
中の人間が衝撃でミンチになっているだろうが。
火災に巻き込んで中の人間だけを焼死、窒息死。
あるいは水場に付き落して溺死。
鎧は無事でも中身が激しくシェイクされそうな程の
建造物の倒壊に巻き込んだり高所から突き落としての圧死。
もっと単純に鎧の隙間から抉り抜くか、鎧の中に手を突っ込んで
召喚術なり魔法を使って中身だけ吹き飛ばすか。
まあ倒すにゃ一工夫が必要ですね。
しかし窒息死や溺死がない分この鎧アンデッドと実に相性いいな。
ニバスはクリスタルなんか持ち回したら
FFTキャラとミカヤに人を殺した事が気付かれるだろうな。
ソノラは今のままじゃ余命は持って10時間ぐらいだろうな…
TOキャラ今の所生き残り杉
それ言ったらディスガイアも全員無事だから。
一部除いて一人、二人だからこんなもんじゃない?
むしろ、紋章の謎組がもれなく死亡してもおかしくない状況なのに気づいたw
TOは一人除いてはマーダーてすごいなw
ある種原作通りだが
TO組で今死亡フラグが立っているのは、ヘタレとなんちゃってアンデッドぐらいだな。
電波姉弟はルカヴィのおかげで暫く安泰。聖騎士はやや空気チームと一緒に戦地から大きくはなれてる。
タルタロスと二バス先生は強力な盾があるから、戦闘しても死ぬ確率は低い。
・・・そろそろヘタレも休ませてあげてもいいんじゃないかなと思ってる。
>>273 むしろいかにみっともなく見苦しく「うらわば!」と消すかを色々と考え中。
まさにCルートヴァイスを体現してくれる末路ってないものかな…。
半端なものでは興ざめだろうし。
ヴァイスがズガンされたことを聞いたのは、
それから2日後のことだった…
他に死亡フラグたちそうな奴
アティ
漆黒とハーディンの戦闘に首を突っ込む
ソノラ
>>270の書いた通り
漆黒
アティが足手纏いになって命取りになる
リュナン
シーダを殺した事を黙っててを知られたら、傍迷惑なレベルじゃない争いが起きそう
マグナ・ラハール
タルタロスにマークされてる
>>276 ハーディン
メダリオン使って暴走したしっこくの第一犠牲者となる。
またはアティが無線を使ってカーチスを呼び出し、
ネスティとも合流して暗黒皇帝包囲網が完成する。
(ただし、これらは漆黒の騎士の死亡フラグにもつながる。)
パッフェル
地理的に助けがないままデニム組に遭遇する恐れが高い。
イスラ・アズリア・オグマ
このままオグマが森の捜索を進言してそれに乗ると、
疲れが癒えたころの二バス組と遭遇。
しかもリチャードを倒せる道具を何一つ持ってない…。
いいねえいいねえ。どんどん皆が不安定になってきたw
ところで、リチャードのスキルって大盾以外に何があったっけ?
あと専用装備もあったような気がするが、wikiにも載ってないし。
今更だけど「サモンナイト石」じゃなくて「サモナイト石」じゃないか?
280 :
◆j893VYBPfU :2009/03/08(日) 20:06:19 ID:0s2bi1+v
>>279 間違い確認したので、Wikiの本文訂正しておきました。
なんて几帳面な>◆j893VYBPfU氏
死亡フラグもいいけど、マーダーフラグもなにげにあるよな
アティ
ベルフラウが死亡した放送聞いて、さらに何も出来ずにしっこくが死んで激しい自己嫌悪になって抜剣覚醒(別ロワで魔剣なしで変身)
一人だけしか思いつかねぇOTL
>>281 とりあえずアティについてはそれ以外で面白い腹案あるけど、
実際に使うかもしれないから言わない。
あと、オグマを忘れてもらっては困る。
生き延びてネサラとの合流地点でシーダの墓とか見つけたりしたら…。
イスラも折角再会したアズリアが死に、オグマにも裏切られたら
人間不信にもなるだろうし、果たしてどうなることやら。
ネサラはネサラで、脱出が無理と判断したら即座にマーダー化するし。
あともういっちょ。
ネスティはなにげにマグナと芋天使等の自分を
取り巻く仲間がいれば後の人類はどうでもいい人間だし、
カーチスも誤解からの殺人を繰り返す恐れがある。
>>282 ほぼ名無しの墓なんて調べないと思う
つか、マーダー化したらイスラはメイメイの手紙の意味がなくなるよな
ムスタディオのクリスタルで首輪の解体技術を手に入る事はできるかな?
イスラの場合、主催から蘇生技術を奪うという目的があるから、
目的さえ果たせれば、過程でどれだけ仲間が死んでも気にしないと思う。
元々自分はいらない子だと思ってたから、他の参加者にどう思われようと気にしなさそうだし・・・。
ある意味いい感じに捨て駒になってくれるやつだよ。
なるほど。イスラ危険対主催化か。
それはそれで大いに有りだな。
チキやカトリ、サナキなどの立場が危うくなるが。
>>286 シャルトスかフォルアルディアがないうえに
主催者の戦力が未知数だから
そんな行動はしないと思う
(魔剣があるかどうかも知らない)
レス番間違えたOTL
正直SSとイラストどちらが欲しい。
SSに専念すればイラスト描く暇なんてねーし。
逆にイラストに専念すればSSなんて書いてられないし。
蘇生技術を奪うより優勝した時の願いで
手に入れる方が良さげだろうけど
主催者の性格を考えたら技術提供しないだろうな
(仲間or参加者を全員生き返らすのも同じ)
生き返らせるだけなら実はヴォルマルフでも簡単に出来る。
ただし、人間を辞めることになるのだが。
テイルズロワのせいか、主催者の褒美=バッドEDしか思い浮かばないから困る。
願いが叶ってハッピーエンドかと思いきや、実は夢魔の花が見せた幻だったとか。
>>292 レイム=メルギドスは正直ものだからイカサマなんかせずに
ちゃんと褒美だけなら与えてくれると思います。
もっとも、正直ものだからと言って善人というわけじゃないけどな。
>>293 正直者というか、本当の事しかしゃべらないんだよな。一応奸計と虚言を司ってるくせに。
でも勘違いさせるような発言をするから、
「願いを叶えると言ったのは、ヴォルマルフさんであって、私ではありません。
私はそう発言するように命令しただけですよ」
とか言うだろうな。
>>294 そうそう。そういう感じw
ヴォルマルフも似たようなことやらかしそうな香具師だから困る。
まあ蘇らせるといってもガレアノの屍術だったりとか
普通に願いを聞き届けるのではなく変なオチをつけることは必定だろうね。
ところで、レイムが探してた真実の歌ってなんなんだろう?
ちょっと聞きたいけど。
アル魔って、もしかして未だに名簿確認していなかったよね?
>>296 芋天使を殺す前からラムダがいることは確認したから
目を通してると思われる
その後は確認している話はない
放送の時にはまず確認するだろうな。
そしてそこで初めて他のイヴァリースの仲間とネスティの偽名に気づくと。
まあ顔写真入りじゃないと、ネイス=ネスティにはたどり着かないかもしれんが。
299 :
助けて!名無しさん!:2009/03/13(金) 15:22:51 ID:WgLnA9uF
>>297 どうでもいいがキャラの名前間違えるなよ…
同じ世界の人間が居たと分かっても
既に三人も殺して、帰り血浴びてるから
衣類が違ったり、血の匂いでFFT以外のキャラにも
ゲームに参加してる事を気付かれる可能性があるだろうな
おk。やはりそうなるわな。
では、アル魔と地球に優しくない百合カップル(フロン&アグリアス)で予約します。
>>292 そもそもロワは全員が強制的に参加させられ
「願いを叶えるやる」なんて言ってもろくな事が起きないし
散々目にあって生き残っても
仲間や親族が死んで鬱になるしかないし
リスクが高い割に脱出しても優勝しても見返りもない
まぁ…実写の原作どおりだがな…
残念だが、このロワのマーダーどもは人の死や殺しなど屁とも思わない連中ばかりだ。理由は皆別だが。
優勝したらさらにお得ということで。ガフじいさんやヴァイス、ニバスは生き返っただけで丸儲けみたいなものだし。
あ、すいません。
予約変更入ります。
アルマ、ヴォルマルフ、ディエルゴに変更です。
書きたいものが大幅に変わったから。
しかし、主催が話しをするのは初めてかも。
仮投下完了。
PCは規制で書き込み出来ないので、携帯から。
まだ題名はありません。
今回、ルールに手を突っ込んでいるので感想願います。
テスト
規制解除されたw
>>305 読んできましたが…主催者が動いたって点が
>>2のルールに
触れているのはあるんですが、実際に死亡者が少ないっていう問題もあるし、
個人的には有りなんじゃないですかね?
ただ、こればっかりはルール変更もあるので他の人の意見も聞かないと何とも言えないですね。
下手すると自重しない主催者の仲間入りですしw
まあ基本NGというのは分かった上での事ですが、人なかなか死なないし。
だからこんなギリギリの掟破りな荒業というか裏技はこれっきりにしたいです。
仮投稿作を読んできました。
自分は主催者が参加者にかなりアイテム渡さなかったり(ロワによって一定以上相手を殺した時のごほうびはあり)
首輪の制限を解除しなかったらいいと思います。
例:3主が暴走して、マーダーになってシャルトスを支給するとか?
仮投稿読んできました。
死亡者少ないって言われてますけど、半日で11人なら標準ではないでしょうか?
パロロワによくある大量虐殺シーンがないからそう感じるだけで、少なくはないと思います。
それと今までのSSを見ると、結構エリアの移動に時間が掛かるようですし、
あまりタイムリミットを早めても間に合わずに全員ボカンで終わってしまうのでは?
そもそも主催者の目的は負の採取なのだから、場の流れを速めるのは
かえって損してしまうのではないでしょうか。
原作のキュラーも、「戦いが長引く方が、我々にとって都合がいいのです」と言ってますし…
まあそういう意見を無しにしても、主催者側の会話の描写が少し欲しいなと思いました。
ヴォルマルフはディエルゴの情報を手に入れたとしても、レイム本人との顔合わせは初の筈ですし。
うーむ。
流石に少々キツいかなあ?
現実問題として12時間人死にのないロワってこれまでにまず存在しないし、
どちらかと言えば非協力的な参加者側(ようは対主催側)の混乱狙いなんだが…。
まあ上で上がってる支給品関連については、放送案考えていた頃から暖めていた服案があるが、
果たして日の目を見ることがあるかどうか…。
代償というか対価はもちろんあるのだが。
そうでなきゃバールのただで貰える支給品の意味ないし。
>>310 原作で負の採取はアルミネの森に張られてる結界を壊すためにやってた事だから
あまり関係ないような…
>>312 3番外編でのディエルゴも、核式の座に居座って島から魔力と負の感情を吸って
復活しようとしてたし、今回のロワでも完全復活+完全なるエルゴになろうとして
負の感情を採取してるんじゃね?
やつの参戦時期を考えると、番外編前でも後でも供給は必要っぽいし。
>>310 リミット12時間の最大の肝はアルマが若干触れているように「放送で安全を確認できない以上、
最悪、没交渉的な対主催グループや逃避者達は自分を信頼する仲間であっても半日の保身のため
足手まといは殺さざるを得なくなる」なんだが。
現在弱者二人抱えているルヴァイドやサナキかかえているホームズなんかまさにその状態に陥り兼ねない。
勿論、ある程度賢しい足手纏いはそれに気付くから仲間を完全には信用信出来なくなるし、
実際は保身の為に非道をなさない仲間であっても、心の平静を乱せば弱者は危機感を感じてグループを離脱しやすくなる。
アルマやヴァイスなんかでもそのおこぼれを狙って悠々と狩りを行えばいい。逆に足手纏いのない強者にぶつかる恐れもあるが。
さらには身の程を弁えて弱者が半日仲間を救うため自害をする恐れもある。
「目の前の仲間を救えない絶望、仲間殺しによる罪悪感、弱者の切り捨てられる怨念等の負の感情の高ぶり」は
レイムやヴォルマルフにとって極上のディナーたりえるし、仲間の呼び水にもなりえるがどうかな?
レイム=ディエルゴとヴォルマルフの会合はまあ時間掛ければもう少し掘り下げは出来る(というかむしろしたい)。
これで難色あるなら流石に取り下げるが。無理押し付けるのは不本意だし。
>>314 足手纏いのない強者にぶつかる恐れもある
アル魔とガフをじさんが正にこれだなwwww
んでバカツーと幼女も位置的に危険だな
>>314 なるほど。それなら主催側も益があるし、良展開が期待できるかも。
自分もこれでもう問題はないと思います。
まあジョーカーでもないのに主催との会話をしたり、質問したりと
若干アルマ贔屓が目立つかもしれませんが・・・。
まあアル魔贔屓なのは正直認めます。ただ面白くなるメリットの方が極めて大きいと思ったので。
本当はこのネタ、もう少しスマートにいきたかったのですが、今の自分じゃこれが限界です…。
ヴォルマルフやレイム=ディエルゴも干渉行為としてはギリギリで特例中の特例と判断しての事だから
こんな荒業は二度とやりませんし、やる意味もキャラクター的に一切ありえません。今後はアルマが何言おうとも無視で。
では、大筋において賛同は得られたと思いますので、若干の修正とレイム=ディエルゴと
ヴォルマルフの素敵な顔合わせを追加して近日中に再投下決定いたします。
多数のご意見、ご理解とご感想を頂きまことに有り難うございました。
>>317 まあ多少のアルマ贔屓は仕方ないと思います。
というかここで多少甘くみないと、近くにいる参加者が
アグリアス&フロン…死者の指輪の瘴気でフロンが危険人物と判断+服の血でアグ姐さんが怪しむ。
レヴィノス姉弟+オグマ…マーダーだと知られている。下手したら返り討ち。
ですからねw
それと今までどうしようかと悩んでいたのですが、一度予約入れたほうが身が入りそうな気がするので、
パッフェルさん予約します。まだ半分も書けてないんでかなり時間はかかりそうですが。
◆j893VYBPfU氏以外に書き手が来たw
自分もどうするか悩んでいましたが、
前回と同じホームズ、サナキ、アルガス、リュナン、ラハール、ラムザ、
タルタロス、マグナで予約します。
展開は全く変えていくので長くなると思いますが…
規制がまだ解けないため、修正スレに投下完了。
長くなったので前後編に分けました。前編は「愛こそすべて」、後編は「Trisection」となってます。
これで問題点や分かりづらい点があれば仰って下さい。後編はかなり伏線仕込んでますので。
気づいたところだけ報告を。
>ヴォルマルフのような全てを威圧する声とは、まるで対象的。
>それも、あのヴォルマルフとは極めて対象的なものが。
対照的の誤字
>「少し大目に見て1、6:00ということに最設定してはもらえぬのか?」
これは……?
>>322 加筆修正はみな終わり、
あとは感想を聞いてOKなら代理投下を依頼するだけ……。
そう思っていたのに。▼
ああ、やっぱりだ……。
誤字は相変わらずで読み直すと内容も抽象的だ。
そんな事だろうと思ったのだ……。▼
物事はいつも裏目に出る……。
私の人生と同じだ。
「対称的」は確か以前もやらかしましたね。
1、6:00は言うまでもなく16:00です。申し訳ない。
324 :
助けて!名無しさん!:2009/03/27(金) 21:50:03 ID:UvhehAmb
a
>>323 乙!これはかなりボリュームがありますね…。
前半のアルマパートも凄いですけど、後半の主催者パートの会話なんか
思わず何回も読み返してしまいました。レイムさんが進行役にヴォルマルフを選んだ理由とか
よく考えてるなあと思ったり、レイムさんをも手玉に取ろうとする強かさとか惚れてしまいそうになります…。
自分もとりあえず書き終えたので、避難所の投下スレに投下しました。
後半の部分は、プロットスレの方のをちょっとお借りしました。もう少し上手く書けないものかと
自分で思いますが、感想や指摘があればお願いします。
>>325 仮投降を読んできました。
以外と爆発で死なないものなんですね。
>>325 仮投稿お疲れ様です。
概ね問題ないですが、一ヶ所だけ指摘を。
爆弾直撃にしてはダメージが少し低いので、「罠を警戒して異音に気付き、
咄嗟にふせたからあの程度のダメージですんだ」でいいと思います。
罠は間違いなく殺傷目的だから直撃すると間違いなくミンチだろうから。
(特にクレイモアみたいなタイプの地雷だと。)
しかし、近くには今性欲をもて余すデニムと鬼女が…。どうなることやら。
あと、折角返事も頂いたのでしたらばの修正スレの代理投下(>117-134、146-155)どなたかお願いいたします。
>>325の仮投降を読みました。
他に爆発に気づいてそうな人
ネスティ
動いていなかったら電波姉弟より近い
しっこく・ハーディン
戦闘している位置によっては気づかない場合あり
アティ
しっこくに加勢しようとしてるから、やっぱり位置で気づかない可能性あり
ヴァイス
アティの後を追って気づくか?
今気づいてみたらCのエリアにキャラが固まりすぎてるな
>>327 指摘ありがとうございます。
パッフェルさんのダメージに関しては結構悩みました。
爆発の規模と彼女の身体能力・経験を比較して書いてみたのですが、少し描写が足りてませんでしたね。
後でその部分の描写の追加や多少の修正を入れた物を投下します。
>>328 そこに馬鹿2と幼女も入ると…本当に村に参加者固まりすぎだw
ここがこれからどうなるか気になります。
>>325氏の仮投稿を確認完了
感想
>>357氏の言ったように爆発のダメージがやや低い
Cー5の森は馬鹿山羊が燃やした筈なのに森が無事っぽい
進行方向上にパッフェルと電波姉弟が鉢合わせしそうなのに見事にスルー
>>328 ネスティはCー3の村に向ってる。(危険を察知すれば戻る可能性は有る)
ネスティはマーダーに挟み撃ち状態だな
ベルフラウの死体は同一エリアでも海岸側だからそこは何も燃えてないにしても、
地雷敷設後に大規模の森林火災があったから煙と焦げる臭いは流石に漂ってくるかな?
デニム達とパッフェルは進路上でかちあっても地形が森林の為、お互いに気が付かなかった可能性がある。
まあ爆発音には確実に気付くだろうが。
>>330 うーんここまで問題が見つかるとは…
考察だけじゃなあと思って後半パートも書いてみたんですが、
やっぱり欲張りすぎるのはよくないのかもしれませんねorz
というわけで、後半のベルフラウの死体発見からパッフェル気絶までのパートカットと、
それ以前の場面の多少の加筆修正を行って、修正スレに投下しようと思います。
沢山のご意見、本当にありがとうございました。
したらばの作品修正スレに修正版を投下しました。
これからは、考察以外の話も書けるようもっと努力していきたいと思います。
>>333 修正作投稿乙
えらくシンプルなSSになってしまったな…
>>330 眼鏡は危機察知しても、山羊デニムのネスティ〜センサー警戒して戻らないと思うぞ
今から修正スレの◆j893VYBPfU氏の代理を投下します。
『――諸君、これから第一回目の放送を始める』
あのヴォルマルフによる、放送と呼ばれるものが始まる。
その声は虚空から聞こえてくるようでもあり、
周囲から聞こえているようでもあり、
地中から聞こえてくるようでもあり、
この首輪から聞こえてくるように感じられる。
この“会場”全体に反響しているので、
どこから聞こえているか、耳を澄ませてもはっきりしない。
おそらくは、どの場所にいようとも等しい大きさで聞こえるような、
そんなからくりが仕掛けられているのかもしれない。
あいまいとしたような、つかみどころのない、
こちらを不安にさせるような、芝居がかった、そんな放送。
それも、あのヴォルマルフ達は狙っての事なのだろう。
その放送内容は禁止エリアの発表から始まり、続いて死者の発表に繋がる。
私はその内容にラムザ兄さんの名が含まれていないかどうか、必死に耳を研ぎ澄ます。
――このとき、初めて私は一つの事に気が付く。
あ。そういえば私、まだちゃんと名簿を確認していない…。
知らない人の名前なんて確認した所で仕方がないし、
誰がいても全部殺しちゃうから関係ないかと思ってたからだけど。
でも、今後はそんな事は言ってられない。
どんな小さななことでも知っておかなきゃ。
利用できるものは何だって利用しなきゃ、絶対勝ち残れないわ。
武器だって魔法だって頭だって口だって身体だって。
私は、ぜんぜんつよくないのだから。
騎士みたいに、お上品に戦ってなんかいられない。
第一、ダイスダーグ兄さんだって全然お上品じゃなかったからね。
そう考えれば、今までの勘と勢いに任せて動き、
それまで生き残れたのはものすごく幸運な事なんだって思う。
反省しなきゃ。
もっと考えて動かなきゃ。
もっと考えて殺さなきゃ。
それにしても、と私は思う。
あと何人いるのだろう?
あと何人殺さなきゃならないのだろう?
そう考えると、すごく疲れる。
あたしは深く溜息をつき、初めて名簿を見る。
ふと、ラムザ兄さんの仲間達の事を思い出す。
ムスタディオさんや、アグリアスさんなんかがいればいいのだけど。
あの人たちは物凄く単純で真面目な人達だし、簡単に私を信頼しそうだから。
ムスタディオさん達には、あの騎士剣を持った
金髪の男の人でも退治してもらおうかな?
でも、もし役に立ちそうになければ、その時は…。
うん。クリスタルだけは貰って上げるから。
足手まといなんかを抱えてしまうより、
私一人が強くなったほうが兄さんを守れるからね。
ムスタディオさん達も、そのほうが本望でしょう?
大事なラムザ兄さんの為に死ぬのなら。
私は、ラムザ兄さんの安否を祈りながら放送で呼ばれる名を聞き入る。
あの金髪の女の子が鞄に入れてあった、筆記用具を手にしながら。
◇ ◇
禁止エリアと呼ばれた地図のマス目と、死亡者の名前に
黒インクを付けた羽根筆で斜線を入れていく。
女性っぽい名前の響きを考えて、アメルを除いて私が殺した人は
シーダ、ベルフラウ、ティーエのうちどれか二人なんだろうなと推測する。
あの金髪の女の子の名前、殺す前にちゃんと聞いておけばよかったかな?
そうすれば、あの地雷ももっと上手く利用できたかもしれないのに。
…残念、失敗しちゃったわ。
あ、それとムスタディオさんもう死んじゃったんだ…。
使えない人ね。死ぬのは別に構わないんだけど、
貴方のクリスタルが誰かに奪われてるのが不安だわ。
ネイスって人は…、いないわね。
代わりに、ネスティって似た名前の人がいる。
名前を聞いた時、あの人少し考えながら話してたみたいだけど…。
やっぱり、あれって偽名だったんだ。
もしかすると、本当の名前ってこのネスティなのかも。
あとで見つけたら、おしおきついでに聞いておかなきゃ。
私はいろんな事を考えながら、黙って放送を聞きいる。
そして、ある意味想像通りの放送が最後にやってきた。
『失ったものは戻ってこない、と思っている者に一つ教えてやろう。ゲーム開始前に言ったことは覚えているな?
優勝者には望むままの褒賞が与えられる、と。それに例外はない――たとえ死した者を蘇らせることでも、だ』
――やっぱり、それは思ってた通りなのね?
私はかねてから想像していたことが的中し、微笑みを浮かべる。
ある種の諦めと、これからの期待。交差する正と負の感情。
そういう矛盾した気持ちが交じるっていうのは
これが多分最初で最後なんだろうなと思う。
そう。ラムザ兄さん達以外は決して知らない事。
あのヴォルマルフからして、そのディエルゴの力で生き返った身なのだ。
それは、私自身がかつて聖天使の器であり、
あのヴォルマルフが自分の生命をイケニエにして
聖天使の目を覚ませた事からした考えても明らか。
あいつが死んでいないってことは絶対にありっこない。
となれば、あいつのような恐ろしい怪物を全く怖がらず、
むしろ面白がって蘇らせてしまうような奴がいる。
それが、あいつが言っていた“ディエルゴ”なんだろう。
そういう意味では、あいつは嘘なんか付いていないって確信できる。
ディエルゴはそのついでで、あのラムザ兄さんが嫌ってたアルガスや
神殿騎士になったウィーグラフなんかも蘇らせたのだろう。
そんなあいつを簡単に蘇らせ、そして簡単に従わせてしまうような存在と
ここに呼び出された者達が何人力を合わせて戦っても、
絶対にかないっこないのはわかりきっている。
あのヴォルマルフにしたって、何度殺しても蘇ってくるわけなんだから。
だからこそ、私はこの殺し合いに乗ることにした。
ここにいる人達を殺して回る方が、遥かに簡単なんだから。
それに、第一ラムザ兄さんと他の人間の生命だなんて、
たとえ何万人、何億人あったって絶対に釣り合いっこない。
でも、ラムザ兄さんがそんな“どうでもいい人達”の為に、
命まで掛けて延々とあいつらと戦い続ける意味なんて、全くない。
そんなのに全く価値なんてない。でも、優しいラムザ兄さんは
“そんな人達”なんかを思いやり、懸命に戦い続けるのだろうけど。
何より大事なはずの、自分自身の生命を犠牲にしてまで。
それがラムザ兄さんの良い所であり、悪い所でもあるんだけどね。
でも、そんな事でラムザ兄さんが死んでしまえてば、全ては取り返しがつかない。
私にとっては、ラムザ兄さんだけがすべてなんだから。
あとは、いらない。
なにも、いらない。
そう。そして、先ほどの言葉が意味してること。
最悪、ラムザ兄さんが他の参加者に殺されたところで、
そのディエルゴにお願いをすればラムザ兄さんを
蘇らせる事も出来てしまうということである。
でも、それは勿論あのヴォルマルフの事。
あいつはラムザ兄さんの事を激しく嫌っているだろうから、
ラムザ兄さんを蘇らせるなんて願いをかければ、
どんな妨害をしてくるか分かったものじゃない。
だから、兄さんの生存は出来る限り優先しなきゃ。
私の優勝は、あくまでも最後の手段。
そして、その場合はあのヴォルマルフを押し退けて、
なんとかディエルゴと直接上手く交渉しなきゃならない。
その為に、どうやって話しをつけなきゃいけないか。
考えないと…。
考えないと…。
私は一つの推論を立てる。
もし直接ディエルゴとお話しをしたいなら、
相手にとって都合のいいお話を持ちかけてやればいい。
このゲームをどうにかして進めたがっているのは、
あのヴォルマルフやディエルゴだって同じはず。
だったら…。
あいつらは先ほどの“放送”とかいうので、
おそらくは全員の“参加者”に今の内容を伝えたのだろう。
でも、死んだ人達が誰であったり、優勝を判断する事などを正確に知るには、
どこかで全部を見ているか内通者がいなければ絶対にわかりっこない。
でも、内通者という考えには無理がある。この地図全域に散らばる必要があるんだから。
それに、この島には私達以外は、人はおろか動物の気配さえしない。
内通者がいないにしても、何者かがいるだなんて考えにくい。
だったら、あいつらはどうにかして、それ以外の手段を使って
どこかで見聞きしていなければいけないはず…。
そう。あの“放送”は、確かに首輪からも聞こえたのだ。
だったら――。
――そうだ!!
こっちから、首輪を通じてあいつらに話しかけることも可能かもしれない。
私の勘が正しければ、だけど。
次に私は、あいつらが食いついてくれる内容を一所懸命に考える。
ディエルゴが大喜びしそうな内容を必死に探そうとする。
そして、閃いた。これなら、あいつらも食いつくだろう。
これは私にとってもメリットがあり、
あいつらにとってもメリットがある。
この提案なら、直接聞いてくれるかもしれない。
もしこれが聞こえるなら、絶対に食いついてくるはず。
あとは、それを切り出すタイミングと、交渉次第だ。
これなら大丈夫よね。
がんばれ、アルマ。
私は意を決して、顔を虚空に上げ声を張り上げた。
「私から耳寄りな提案と、質問があるの。このゲームの主催者さん。」
返事はない。これは想像した通りだ。
たとえこちらの声が聞こえていた所で、
その情報を知らせるだなんてありえない。
返事をする事に意味がある場合でなければ、
返答などありえないのだから。
私はなおも続ける。
「このゲームでもっと早いペースで人が一杯死ぬには、
このゲームでもっと面白い形で人と人が疑い合い、
集まった筈の仲間達が殺し合わざるを得ないには、
こうすればとても素敵じゃないかなって、そういう提案…。
ええ。人はとてもとても浅ましくなると思うわ。
ヴォルマルフもさっきはとっても喜んでたから、
そうなると、もっと嬉しくなるんじゃないかしら?」
返事は相変わらずない。
だが、今の発言で周囲の気配が少し変じたような気がした。
何者に凝視されるような、様子を窺われるような、そんな感覚。
空気はにわかに重圧を帯び始め、まるで血のような
生暖かいぬめりさえ感じられるようになった。
「聞こえているでしょ?
興味もあるでしょ?
でも、無視するなら答えてあげない。
聞いてくれなきゃ意味もないから。
聞こえているかどうか、そっちの返事で確認をしたいの。
放送でも、なんでも構わないから。」
返事はない。
でも、明らかに空気は変じている。
そう。森の中で飢えた虎達に凝視されるような、
海中で頬白鮫に見つめられた時のような。
彼らの縄張りに踏みこんでしまったような。
人間の天敵である人食いの大型の獣がその生餌を
貪り尽くさんとする絶好の機を窺わうような、
背筋が凍りつくようなおぞましい視線を、
震えが来るほどにひしひしと感じる。
相手の唸り声や涎が滴る音さえ聞こえそうな、
血に興奮し今にも暴れそうな気配さえ感じそうな。
そのような、生命の危機に直接晒されているような感覚。
背筋に冷たく嫌な汗さえ流れ始める。
でも、気配がここまであからさまに変わるとなれば、
私の声を聞かせる事には成功したのかも知れない。
私はそのどこからか分からない戦慄の気配に、さらに尋ねる。
「……お願い、まずは私の声が聞こえているかどうか答えて。
この私が既に三人殺してるってことは、そっちも知っているんでしょ?
この私が貴方達にとって都合がよく、今後もこの殺し合いに
大きく貢献してくれる事くらいは想像つくでしょ?
それが今さら、貴方達を裏切るってことはありえないわ。
そんな大切な貢献者を、無意味に危険にさらしたくはないと思うけど。
そんな私が大声を出すっている危険まで冒して、
貴方達に有利になるかもって話しを持ちかけているの。
その意味を理解して?
そちらに、絶対に損はさせないから。」
私はディエルゴという存在が、どんな人物なのかは全く知らない。
でもあのヴォルマルフなら、“私”からの提案は興味を示すはずだ。
“私”がかつて何者と魂を共有していたか、それを知っているが故に。
だが、相変わらず返事はない。一分、二分…。しばらく返答を待つ。
もしかすると、本当は私の声などあいつらには聞こえてないのかもしれない。
あの放送というのも、一方的な何かなのかもしれない。
先ほどのその場に留まるだけで寿命が縮みそうな危険極まりない視線も、
やはり緊張の余りから来る錯覚からかもしれない。
やっぱり、私の勘違いだったのね…。
無駄に危険な事しちゃったかな?
私は諦めて嘆息しながら席を立ち、
この場を去ろうとした時。
――異変が、あった。
かすかな、異変が。
それは喜ぶべきともとれる
それは恐れるべきともとれる、
かすかな、男の声。
それが、私自身の首輪から聞こえた。
雑音混じりの、小さく、囁くような声で。
「要件を伺おう。ただし、聞くだけだが。」
――喰いついた!
それは想像した通りの、進行役のヴォルマルフの声であった。
でも、まず会話のテーブルにつかせることには成功した。
あとは、私のやり方次第だ。
うん、大丈夫。私なら、きっとうまくやれる。
あのラムザ兄さんの妹なのだから。
あの聖アジョラの生まれ変わりだったのだから。
見様見真似と聖アジョラの記憶の再現だけど、
言葉のやり取りには自信がある。
――そう、私は。
私は深呼吸をする。何故かは分からないが、奇妙な確信があった。
――ラムザ兄さんの為なら、神の子にだって、ペテン師にだってなれるわ。
私は嬉しさのあまり飛び上がりそうになる気持ちを懸命に堪える。
そして、出来る限り冷淡で怪訝な声を出し、ヴォルマルフを嘲笑う。
「……ヴォルマルフ?貴方は呼んでないわ。ひっこんで。
私はね。このゲームの主催者さんにお話をしたいの。そう言ったはずよ?
それにね。所詮ディエルゴの使い走りの貴方なんかに提案の内容を伝えたって、
どうせ隠して自分の手柄にしてしまうって分かり切ってるんだから。
貴方みたいなおじさんって、そうやって目上の人に尻尾振るのが大好きなんでしょ?
貴方のその神殿騎士団の団長様って地位も、そうやって手に入れたんじゃないのかしら?
ともかく、貴方じゃ全然お話しにならないの。
話しの分かりそうな、ディエルゴ様に直接代わってくださるかしら?」
私はこのゲームの主催者をこの舞台に引きずり出すため、
ことさらにヴォルマルフを挑発する。ありったけの侮蔑の感情を込めて。
一気にまくしたてるように、相手に話しの機会を与えない。
この場の主導権を、ヴォルマルフに捕まれてはならないのだ。
――今後こそ空気が、致命的な危険さを帯びたものに変わった。
もはや虎視眈眈と様子を窺うという生易しいレベルではない。
いつその牙をむかれようともおかしくはない、戦闘状態の…。
いや、これは戦闘ですらない。処刑、捕食、殺戮…。
一方的な惨劇の瞬間を窺う空気。
首輪越しに渦巻く、何かが膨れ上がる禍々しい気配を感じる。
それは延髄に巨大な氷柱を捻じ込まれたような、
それは身体中の毛穴という毛穴に針を差し込まれたような、
その心身を冷たく抉る研ぎ澄まされた冷たい殺意。
私はその殺意という名の氷剣に、軽く撫でられた。
体温は間違いなく数度は低下したと思う。
身体がその意志に反し、勝手な行動を開始する。
膝頭が小刻みに震え出し、立脚という行為を拒絶する。
いつの間にかカタカタと聞こえる耳障りな音は、
歯の音が噛み合わぬ音だと今更ながらに気付く。
ディエルゴを引き摺り出すために熟考した言葉までもが、
綺麗に雲散霧消する。
そう。人類の不倶戴天の天敵である
“あれ”に逆らうという意味を。
“あれ”を怒らせるという意味を。
人間という種が太古の昔にその血に刷り込まれた、
“あれ”に対する原始的恐怖を今にして思い出させられた。
“あれ”に人は逆らってはならないものだ。
“あれ”は人にとっては捕食者なのだから。
首輪など、元より関係がない。
――死ぬ。
動物が本能的に炎を恐れるかのように、人間は本能的に“あれ”を恐れる。
その本能が理性を侵食し、まっとうな勇気や機知を完全に食いつぶす。
状況を打開する策を練ることはおろか、平常の思考をすることさえままならない。
逃げることすらできない。元より逃げることなど叶わぬのだが。
「…舐めるなよ小娘。貴様を殺すなど容易いのだぞ。」
ヴォルマルフは静かに死刑宣告を行う。
これ以上の威嚇の言葉さえ無い。
人は真に激怒する際、多くを語らなくなる。
第一、強者ほど無駄には吠えぬものなのだ。
そして、一旦は処刑宣告を口にした以上、
それはただちに実行されるであろう。
それは強者であるが故に。
怒らせすぎた。やりすぎてしまった。
この場で主導権を握るには、相手に平静でいられては困るのだ。
本来、ディエルゴは私の言葉など直接聞く必要性はないのだから。
それを自覚されてしまっては困るのだから。
だからこそヴォルマルフを呼び出した時にはことさらに挑発し、
相手の失敗を誘いたかったのだが、ただ単に怒りしか買わなかったらしい。
そして、肝心のディエルゴに、私の声はどうやら届いていなかったらしい。
首から異常な熱気を感じる。
首がちりちりと、少しずつ肌が焦げる感覚がする。
首を掻き毟りたくなるような激痛を感じ首輪に手を当てるが
首輪を下手に触れると爆発するため、迂闊に触れる事も敵わない。
命乞いをすることも、身悶えすることさえも許されない。
一息に首輪を爆破しようとする様子はまるでない。
どうやら、ヴォルマルフはゆっくりと、
この私を嬲り殺そうとしているらしい。
私は臍を噛む。
もう、取り返しが付かない。
私は、失敗してしまったのだ。
私は、あのヴォルマルフに消されてしまう。
ラムザ兄さん、御免なさい。
私、もうこれまでみたい。
私に残された出来る事は、もはや祈ることのみ。
私は目を瞑り、その人生が終わる瞬間を静かに待つ。
――だが、その終わりの時はいつまで経とうとも来ることはなかった。
張りつめた気配が急変する。
首輪越しに感じていた圧倒的な冷たい殺意が動揺へ、
そしてやがて苛立ちから諦観へと変じた。
周囲の空気が目に見えて弛緩する。
首輪から感じた熱は、いつの間にかおさまっていた。
一体、何がヴォルマルフの周辺で起こったのだろうか?
たっぷり数分は待っての事。
あのヴォルマルフの厳めしい声とは対称的な、
優しげでよく透き通る声が聞こえる。
その綺麗な声色は、吟遊詩人だと言っても通用する位だろう。
「先ほどはヴォルマルフさんが失礼いたしました。愛らしいお嬢様。」
優雅で丁寧な声は、なおも続く。
「申し遅れました。私の名はディエルゴと申します。
ええ、貴方が期待するこの遊戯の主催を務めさせて頂いております。」
その者は、ディエルゴと名乗った。
そう。このゲームの主催者と呼ばれる存在だ。
助かった…。
ディエルゴがこの話しに乗ったと、こちらが喜ぶ余裕さえ無い。
私はただ、あのヴォルマルフの魔手から逃れた事に心から安堵する。
ディエルゴのその優しく囁き語りかけるような口調は、
まるで雛鳥を安心させる親鳥の囀りのような温もりと慈悲に包まれていた。
もちろん、ディエルゴという存在はこの殺し合いの主催者である。
この態度が偽物であり、本性はヴォルマルフに輪をかけて
おぞましい、おそらくは人外の存在であることはわかりきっている。
そう、だけど。
先ほどの心身を残らず凍て付かせるような殺意を向けられた後では、
この人になら少しだけなら心を許しても良いような錯覚さえ与える。
私は努めて穏やかに、そのディエルゴというものにまずは確認を取る。
「……貴方が本当にディエルゴだという、証明はできるの?」
首輪の向こう側で、くっくっと喉を鳴らすような気配を感じた。
それはこのディエルゴだろうか?
それとも、あのヴォルマルフだろうか?
ディエルゴを名乗るものは、私のその問いに気分を害することなく、
これ以上ないほどに優しい口調でその疑問に答える。
「ええ。貴女が知るあのヴォルマルフさんが、
貴女への殺意を抑えて私にこの場の席を譲った。
それだけでも充分証明となるのではないでしょうか?
ねえ、ヴォルマルフさん?」
ディエルゴは聞えよがしにヴォルマルフにそう確認し、
それに応じるような小さく鼻を鳴らすような音が遅れて聞こえた。
私、やっぱり殺されかけていたのだ…。
それを考えると改めて背筋が凍り付きそうになる。
それを助けてもらったんだ…。
私はこの者がそもそもの殺し合いの主催者であるにも関わらず、
この人の言う事を信じたくなってきた。
「では、信じるわ…。」
私は、相手が見えないにも関わらず、ディエルゴに頷く。
ディエルゴは逆に問う。
「では、早速で申し訳ないのですが、貴女のご提案をお聞きしたいですね。」
場を急かすような、ディエルゴの声。
でも先にそれに全て答えてしまえば、
ディエルゴはこちらの質問など一切答えない恐れがある。
こちらなど用済みとなってしまうが故に。
相手はこちらの言い分など一切聞く必要性はないだ。
そう。だからこそ、この場の主導権はこちらが握らなければならない。
全ては、ラムザ兄さんを生かす為に。
そうでなければ、今回の語りかけは何の意味もない。
「その前に質問があるのだけど、よろしいかしら?」
私は緊張を隠しながら、ディエルゴと名乗る存在に声をかける。
だが、ディエルゴの返答は予想だにしない冷たいものであった。
「…提案が先です。この場の主導権はこの私にあるのです。
一参加者風情がのぼせて貰っては困ります。
どうか、今の己の立場を勘違いをされないで頂きたい。」
これまでの優しい態度が嘘のように声が裏返る。態度が豹変する。
それは口調こそ丁寧なものの、その言葉は明確に人を圧する、異論を一切許さぬものがった。
私の意図など、最初から気付かれていた…。
私は血が滴るほどに、その下唇を噛み締める。
つまりは同足掻こうともこの者の問いに答えるだけでしかないのだ。
拒絶すれば、ただちにディエルゴは私を見限り、
その場でヴォルマルフの餌と化すことだろう。
だが、ディエルゴの声がさらに裏返り、元の優しい口調へと戻る。
「…と言いたいのですが。
貴女のご健闘をたたえて、たった一つだけなら質問に答えてあげても良いでしょう。
ただし、貴女が著しくゲームの優位に立てるような類のものでなければ、ですが。
特例中の特例を、主催者の権限で認めましょう。ただし、二度目はありませんよ。
…ふふっ、驚かれましたか?」
遠くから彼の笑顔が感じられるほど、それは慈愛に満ちたものであった。
そう。この優しい声は全て偽りだ。でも、その声に縋りたくなる。
信頼したくなってしまう。何度でも聞きたくなってしまう様な、
麻薬のような中毒性のある、まるで聖母か天使のような声。
ヴォルマルフのような全てを威圧する声とは、まるで対象的。
「…あ、ありがとう。
では、さっきヴォルマルフが“優勝の願いで死者の蘇生は可能”といったけど、
その蘇生は、ヴォルマルフ抜きで貴方が直接行ってくれないかしら?
そのことを、どうしても直接確認しておきたかったの。」
私は震える声を隠してディエルゴに問う。
そう。私が聞きたかったことはまさにそこなのだ。
ヴォルマルフもまた、死者を蘇生する力を持っている。
ただし、それはルカヴィの力を使うおぞましいものであるとラムザ兄さんから聞かされた。
ザルバック兄さんは、その力で一時の間化け物として蘇ったらしい。
ラムザ兄さんは、その時の事を悲しげに話していた…。
そう。あのヴォルマルフが、ラムザ兄さんを蘇らせるのをただ指を咥えて見てるなんて絶対に有り得ない。
ラムザ兄さんを蘇らせるとすれば、あいつの横槍で何か仕込んでくるに決まっている。
一方で、このゲームの主催者はヴォルマルフをも蘇らせるような存在なのだ。
そんなヴォルマルフですら手玉に取る存在が、ラムザ兄さんを脅威とは見做さないあろう。
そうであれば、死者蘇生の願いは最初からディエルゴに頼んだ方が絶対に良いし、
その話しをディエルゴに直接伝えておけば、ヴォルマルフの妨害もあらかじめ防げる。
「……なるほど。これはこれは。利発なお嬢さんだ。貴女のご心配ももっともです。」
私の問いに、ディエルゴは何かに気づいたように、しきりに感心していた。
もうとっくに私の考えなんて全部見抜かれているのかもしれない。
「答えて。…そして、私に約束して。
その願いはヴォルマルフではなく、貴方自身の手で叶えるって。
それだけの力がある貴方なら、その位訳ない事でしょ?」
私はどこかにいるディエルゴに、そう懇願するしかなかった。
「ええ、宜しいですよ。
もし貴女が優勝した暁には、ヴォルマルフさんではなく、
私自身の手でラムザ兄さんの蘇生をご約束いたしましょう。
その方が、貴女も最後までやる気が沸くというものですからね。
貴女も心の不安を取り除く事が出来て、良かったですね?」
ディエルゴはこれ以上なく優しい声色で囁く。
そう。聞く人の心を安心させるような、好意を抱かせるような声。
理性が強く警告を発しても、本能がその感情を抑えられて、あるいはとろかされてしまう。
あの声には、実際に魔力か何かが含まれているのかもしれない。
それも、あのヴォルマルフとは極めて対象的なものが。
「ありがとう。では、私も約束を守るわ。」
私は強く意を決して、ディエルゴに訴える。
これで保険はかける事が出来た。
そして、ゲームの本番はこれからだ。
これは、あいつらを満足させるだけのものではない。
この私にとっても、極めて重要な意味を持つ。
「たしか、『二十四時間の間に死亡者がいない場合、全員の首輪が爆発する。』って、
あの会場でヴォルマルフは言ったよね。」
「ええ。」
ディエルゴはその問いに嬉しげに肯定の意を示す。
その声は、心なしか好奇心に揺れている気がした。
「そのタイムリミットだけど、『最後の死者から十二時間の間に変更』っていうのはどうかしら?
貴方なら、この言葉が持つ意味がよくわかるかと思うけど。」
そう。これは単なる時間が短縮されるという意味だけではない。
放送は十二時間おきにやってくるのだ。そして、今から十二時間後という事は…。
「ク、ククク…。
なるほど、そういった提案ですか。素晴らしい。良く思いつきました。」
しばらくの間が空いてから、押さえようがない、低い笑い声が漏れる。
その向こう側でも、薄く笑うもう一つの気配を感じた気がした。
ディエルゴと、おそらくはヴォルマルフさえも私の意図を察したのだろう。
そう。これが意味することは大きいのだ。
他の参加者がどこかで隠れ潜んでいる場合、放送でその死者を確認するしかない。
二十四時間おきであれば、毎回の放送で死者があったことだけ知ることができれば、
そのまま時間の続く限りどこかで身を隠し続ければどうということはない。
そうなれば、安全策を取る者は皆引きこもってしまうことになる。
これでは、何のための殺し合いかがわからなくなる。
無論、今のままでもこの殺し合いに乗った者達の追跡から
身を隠しながらという条件付きではあるのだが。
そうなれば、積極的に働くのは少数の奉仕者のみ。
場の緊張感はなくなり、空気は弛緩することであろう。
そして奉仕者がいなくなれば、ゲームはいずれ破綻する。
だが、もしこのリミットが最後の死者から十二時間以内であれば?
そうなれば、放送直後から人が死んだ場合でない限り、
隠れながら放送を聞き安心を得る事はできないのだ。
そして、もし放送で死者の確認を取っていられない場合は?
そうなれば、どこかで知り合いの死体を発見しなければならない。
顔と名前を知らなければ、死体を発見した所であまり意味がない。
その死体は、以前の放送前に死んだ者かもしれないのだから。
さるさん喰らってしまいました・・・orz
今携帯からですが、以降の代理投下、誰かお願いします。
あるいは確実に半日の安心を得たいのなら?
敵味方問わず、無力な者を襲い死者を出すしかない。
敵味方問わずに、だ。
隠れていれば、いつ誰が死んだかも一切わからないのだから。
そう。自分の意思で歩いて確認するしかない。
そうなれば参加者同士の遭遇率は飛躍的に増し、戦闘は激化する。
確実な死者を製造する為に。
己が十二時間の保身の為に。
十二時間以内に新たな死体の発見が困難な場合は、最悪同士討ちさえも発生する。
それは仲間を信じるなどという馬鹿馬鹿しい考えを持つ連中には、多大な枷となる。
足手まといとなりかねないような負傷者や女子供は、いの一番に強者の生贄となる。
そして、それを恐れた弱者は、自分を守る存在であるはずの強者から逃げざるを得ない。
私のような貢献者は、そのこぼれ落ちた弱者をゆっくりと戴けばいいのだ。
そして最低一人殺した後なら、次の犠牲者は殺さぬ程度に傷つければいい。
身動きを取れなくしてから、丁度十一時間後に息の根を止めれば日和見も決め込むこともできる。
無論、死者の情報は他者には決して渡さない。
参加者同士の共食いを加速させる為に。
自らの労力を使わずに、他の参加者を減らすために。
そして放送を迎え予想以上に人間が死んでいたと判明した場合、
殺す必要性のなかった味方を殺してしまったと気づいた
“このゲームの反抗者”は大いに嘆き、その心を空洞化させるだろう。
腑抜けてしまった反抗者など、私にだって簡単に殺せる。
とはいえ、これは足手まといの存在しないた強者とも当たる可能性は増し、
私のような一般人が襲われてしまう可能性も飛躍的に増すのだが。
そう。諸刃の剣ではあるが、私がこの先生き残るには
この策を提案するのがむしろ望ましいように思えた。
この殺し合い、時間をかければかけるほど、
体力の全くない私は脱落する危険性が増すのだから。
「その提案、私から感謝したいくらい。ですが…、一つ問題があります。」
ディエルゴは私の提案に大いに満足した。喉を鳴らす音が首輪越しからも聞こえる。
だが、そこは自分のペース、と言わんばかりにディエルゴは私に釘を刺す。
「賢明なる貴女は御察しかもしれませんが、
このゲームのルールはヴォルマルフさんと協力して考えたものです。
ですから、彼を押し退けて私一人の独断での決定ともなれば、
ヴォルマルフさんの面子を潰してしまうことにもなります。
ましてや、貴女はヴォルマルフさんを少々刺激し過ぎましたからね。
そのまま通せば貴女が後にどういう目に合わされるか、想像に難くありませんね?
よって、少しの間彼と話し合ってみてから決めたいのです。
結果はすぐにでもお伝えいたしましょう。」
ディエルゴが私を値踏むような、面白がるような視線を肌で感じる。
無数の毒蛇に身体中を這い回られるような、
その二枚舌で身体中を舐め回されるような、
ヴォルマルフのような人食いの獣の如き殺意の視線とはまた別の、
不愉快さとおぞけをふんだんに帯びた、粘着的なおぞましい視線。
ぬらりとした感覚が今でも残るような、そんな錯覚さえ覚える。
これはまた違った意味で、こちらを不安にさせていく。
「では、どうかその時まで生き延びて下さい。何、そうお時間は取らせませんよ?
…貴方に聖アジョラの加護があらんことを、心よりお祈りしておりますよ。
ファーラム。」
ディエルゴは、そう言って会話を中断する。
会話は、一先ずは成功した。打つべき手は打った。
ディエルゴからの保証も取れた。
これでラムザ兄さんが万一死のうと、
何の憂いもなく蘇らせる事が出来る。
ヴォルマルフの妨害も一切なく。
この提案が通った場合、心の平静を失った者達はどんどん自滅していくことだろう。
それは私にとっても有り難いことであり、殺す手間が省けるという事。
私はただ、状況に翻弄される無力な小娘を装えばいい。
あとは愚かな騎士様達の手を汚させればいいのだ。
最後に笑うのは、この私。
よし。頑張らなくちゃ、ね?
待っててね、ラムザ兄さん。
私はディエルゴの返答を待つまでの間に、
最善の体調を整えるべく、活動を再開する。
聖魔法と白魔法を自らにかける事で体の疲れを癒し、
先ほど食べた飴と同じものと緑の包装紙の飴を開けて
纏めて口に放り込みバリバリと噛み砕く。
精神的な疲れがまとめて綺麗さっぱり取れたような、そんな気がする。
身体中の疲れも、少しはマシになってきたようだ。
頑張れ。アルマ。私なら、きっと上手くやれるわ。
私は強い決意を胸に、放送の結論を待ち続けた。
【F-5/森/1日目・夜(放送直後)】
【アルマ@FFT】
[状態]:健康、身体の疲労(小)、常軌を逸する狂気と信念、マバリア効果中(リレイズ&リジェネ&プロテス&シェル&ヘイスト)。
[装備]:手斧@紋章の謎 死霊の指輪@TO 希望のローブ@サモンナイト2
[道具]:支給品一式、食料一式×4、水×3人分、折れ曲がったレイピア@紋章の謎、ガストラフェテス@FFT、
ガストラフェテスの矢(残り2本)、アメルの首輪
筆記用具、竜玉石@タクティクスオウガ 、ヒーリングプラス @タクティクスオウガ
キャンディ詰め合わせ(袋つき)@サモンナイトシリーズ
(メロンキャンディ×1、パインキャンディ×1 モカキャンディ×1、ミルクキャンディ×1)
[思考] 1:利用できるものは何でも利用する(他者の犠牲は勿論の事、己のいかなる犠牲すら問わない)。
2:ラムザ兄さんが生きていることを確認したい。
3:ラムザ兄さんを優勝させるため、ゲームに乗る。
4:ラムザ兄さんが死んでしまった場合は、優勝を目指してディエルゴに蘇生を願う。
5:他の参加者に遭遇したら、対主催を装って利用し、時期がきたら殺す。
6:G-5の街に行って、何か役に立つものを手に入れたい(出来れば矢が欲しい)
7:アルガスやウィーグラフを発見すれば、殺害してクリスタルを回収したい。
(アグリアスは利用価値なしと判断したら殺害してクリスタルを奪う。)
代理代理投下終わりました。
>>355 代理の代理ありがとうございました。
さるさんから回復したので、後半パートの代理投下を開始します。
「――しかし、やってくれたものだな。」
苛立ちと歓喜、そして怒りと賞賛が混ざりあった
極めて形容しがたい混沌とした感情を抱きながら、
ヴォルマルフは正面の銀髪の青年の顔を見ようともせず、
俯きながらに呟いた。
そう。この男は唐突にこの管制室に現れたのだ。
アルマのこちら側に対する行き過ぎた非礼に対し、
その身の程を教えるべく応対しようとした矢先にである。
眼前の空間から、何の前触れもなく姿を現れた際には流石に度肝を抜かれたが、
その際に周囲の機械魔達が全て頭を垂れ隷属の意を示し、
またこの管制室全てが侵入者の訪問に対して歓迎の意を照明で表した時、
ヴォルマルフは即座に理解した。「この者こそがディエルゴである」と。
彼はアルマに対するいかなる“処置”も許さぬとばかり、
ヴォルマルフに対し警告を発しにきたのであった。
銀髪の青年は一見無防備にこちらに微笑みながら近づいてくる。
だが、纏い漂わせる瘴気はキュラーのそれとは格が違っていた。
そう。この者がディエルゴであるのは間違いない。
だが、なぜキュラーではなくディエルゴ自らがこちらに乗りこんできたのだ?
――この男、どういうつもりだ?
――どうして、今になって私の前に姿を現す?
ヴォルマルフはこの男が直接管制室に姿を現したその意図が読めず、強い警戒の念を抱いていた。
その心の機微を知ってか知らずか、銀髪の青年は飄々とした様子でヴォルマルフに返す。
「それはアルマさんに対してのことでしょうか?
それとも、この私に対してのことでしょうか?」
ヴォルマルフは薄く笑うだけで、何も答えない。
「…いかようにも取ってもらって結構だ。
それにしてもだ。そうか、貴様がディエルゴなのか。
こうして直接顔を合わせるのは初めてだったな?」
ヴォルマルフは不遜さを隠そうともせず、自らにとって大恩ある存在を
対等かそれ以下の存在にでも接するかのように振舞う。
「ええ。そうですね。
はじめまして。神殿騎士団団長、ヴォルマルフ・ティンジェルさん。
私の事は源罪のディエルゴ…、姦計と虚言の悪魔王メルギドス…、
あるいは吟遊詩人レイムのいずれで呼んでいただこうとも結構です。
先ほどのマグナ達の会話で、これ以上姿を隠す意味もなくなりましたからね。」
ヴォルマルフの不敬に対してもなんら感情を害することなく、
ディエルゴと呼ばれた銀髪の青年はさも愉しげに語りかける。
そもそも、ヴォルマルフには礼儀など最初から求めてなどいないが故に。
「彼女からの提案については、その態度から察する限り肯定ということでよろしいですね?」
「ああ、もちろんだとも。あれがもたらす今後の効果については計り知れないからな。
それについては、いちいち語るまでもあるまい?」
ヴォルマルフは目を瞑り、大きく頷くことによって肯定の意を示す。
ディエルゴは満足に微笑むと、
一転してその声色が高圧的に変じさせる。
その口調だけは決して荒げることなく。
それが、却って不気味さを際立たせていた。
「…ですが、ヴォルマルフさん?
貴方の先程の件ですが…。
貴方は二度越権行為を、いえ違反行為を行いました。
その理由についてお聞きしたい。
その返答いかんによっては、これまでの関係を完全に破棄いたします。
無論、その場合は貴方達全員の処分は当然として、
今あの会場にある貴方達が選んだ“女王蜂候補者達”も
全て廃棄処分とさせて頂きますが?」
お前の事など知ったことではないと言いたげな冷笑を浮かべていたヴォルマルフだが、
“女王蜂候補者達”、という言葉に初めて僅かに眉を寄せ、そして初めてその顔を前に向ける。
『そうそう、わかっておられるとは思いますが、くれぐれも参加者達に手出しはしないようにとのことです。
主催側はゲームに干渉しないのがルールですからね……ククククク。』
そう。キュラーが以前警告したように、参加者達には一切の干渉を
行わないのがディエルゴとの取り決めであった。
だがヴォルマルフは今禁じられた一般参加者との直接会話を行い、
そしてまた我を忘れ一般参加者の一人を始末せんと殺意を向けた。
それらは言うまでもなく重大な違反行為である。
ゲームの進行役は、あの会場にいる“内通者”相手でもない限り、
特別な便宜を図ることや、その場で始末する事は禁じられている。
――全てはこのゲームを円滑に進める為に。
進行役が私情に任せて不公平な行為を行えば、
ただちにこのゲームは破たんするが故に。
「私にとってそのような事態は実に不本意な事なのですが…。
そうでもしなければ、周囲に示しがつきませんからね?」
レイム=ディエルゴの双眸が、鋼を思わせる冷血さを帯びる。
周囲の機械魔達全てがその牙を剥き出しにし、主の号令を待つ。
多彩なセキュリティ・システム全てがヴォルマルフに銃口を向ける。
レイムの殺意は、先ほどのヴォルマルフがアルマに見せつけた殺意とは
根本的にその質量を隔てるもであった。
人間ならそれらの残滓に軽く当てられただけでも
ショック死しそうなほどの殺意の重圧を浴びながら、
ヴォルマルフは笑みさえ浮かべその警告に答えた。
「……戯れはよせ。ディエルゴ。
第一、その二つの問いの答えなら、すでに貴様自身が出しているのではないか?」
「……ほう。そう言われますと?」
ディエルゴの瞳に、若干の好奇の色が混ざる。
ディエルゴは当然、返答次第ではこの男とその仲間達を処分するつもりである。
それに対して、この男がどのような不様な命乞いを見せるのか?
あるいはどのようなちっぽけな反抗をみせるのか?
この絶体絶命の窮地の中で、男のまるで平静を崩さぬ余裕の態度から何かの切り札を予感し、
その最期のあがきを知りたいという興味と関心を抑えずにはいられなくなる。
「まず一つ。アルマと直接会話の件についてだが、その前に一つ聞いておこう。
貴様はなぜ“我々”のような存在をゲームの進行役に選んだのだ?
“我々”を凌駕する者たちなら、これだけ無数の世界があればいくらでも探せるはず。
あの超魔王バールのようにな。」
ヴォルマルフの自己陶酔とも自負とも言えぬ弁舌が始まる。
その声は明朗ながらも、口調はあくまでも淡々として抑揚というものがない。
しかしながら、聴衆を落ち着かせるには最適な口調で。
「だが、貴様はあえてこの我々を選んだ。
最強というわけでもなく、今のように逆らう危険性をも併せ持つ扱い辛い存在を。
それらの欠点を差し引いてでも、貴様らが我々に望まんとするところは何だ?」
ヴォルマルフはそこであえて一時の間沈黙を行う。
ディエルゴの反応を窺っているのだ。目の前の青年の殺意は、
もはや消え失せ、その代わりに興味と好奇の色彩に満ち溢れている。
「あえて我々を選んだ理由は、この私が元は人間であるからではないのか?、
最初から悪魔であり人間というものを理解できぬ貴様らなどより、
よほど人間どもの感情の機微を理解しうるからではなかったか?
脆弱な参加者どもの思惑を汲み取り、思うがままに操作しうる存在が
何よりも欲しかったのではないのか?」
ディエルゴは大きく頷き、楽しげに切り返す。
その声には掛け値なしの賞賛とその推論への同意、
そしてある種の侮蔑とがないまじっていた。
「“人は人でなくなって初めて、人のなんたるかを知る。”
――フフッ。どこの世界で聞いたかも忘れてしまいましたがね。
おそらくは元人間であった何者かがどこかで遺した未練の言葉です。
この私は人間の感情は知識としては分析が出来ようとも、
決して理解する事は出来ません。元より人ではありませんからね。
かつて人間だったころの悲憤や慟哭、憤怒や哀愁、絶望と欲望、
そういったものを抱いたことのある存在でなければ、
参加者の感情のヒダをくすぐり、負の感情を集積する事は難しいですからね。
その点、貴方のような“成り上がりもの”は、
進行役としてうってつけということなのです。
貴方は只の人間以上に、人間のなんたるかを理解できる存在ですからね。」
ヴォルマルフはその言葉に含まれた非礼に顔を顰めながらも、
努めて平静を装いながら言葉を続ける。
「そして、ただお前に与えられた命令を忠実にこなすだけなら、そこにいる機械魔どもでも充分だ。
あるいは、貴様の従える三匹の使い魔どもを進行役に据え、我々を助言者程度の立場に留めればいい。
それであってなお、我々をゲームの進行役という大役を任せた理由は何だ?」
ディエルゴの目が、大きく見開かれる。
歓喜と愉悦に。好奇と関心に。
「法(ルール)には何事も例外が存在する。
誰よりも法を守る側が、超法規的措置をとらざるを得ない例外も存在する。
だが、それをやりすぎてもならぬ。法破りこそ、バランス感覚が重要なのだ。
その無法と秩序とのバランスを取り、流動する現場において常に最適な状況判断が下せる存在。
全く融通の利かぬ機械魔どもでは到底為し得ぬ、非常事態において臨機応変に対処しうる存在。
それだけの器量を、貴様の従える三匹の使い魔風情に求めるには酷というものだ。
悪魔には、最初から法という概念など存在せぬが故にな。……奴らは常にやりすぎる。
だからこそ、そういった計算され尽くしたルール破りを生業とする、
法の下でのテロ行為と姦計のプロフェッショナル…。
すなわち、神殿騎士団でもある我々を貴様は欲した。違うか?」
そういってヴォルマルフは無言で笑う。嗤う。哂う。
その嘲りは一体誰に向けられたものか?その心は知る術もない。
――神殿騎士団。
ミュロンド・グレバトス教会の教皇フューネラルの身辺警護を司る名誉職である。
だが、その実際は教会の意に沿わぬものを異端者に仕立て上げて社会的に抹殺を行ったり、
邪魔な内部関係者の粛清であったりと、実に血生臭く救いのない行動が数多い。
かつて、ラムザ・ベオルブや元異端審問官のシモンに対して行ったように。
聖職者が聞いて呆れる、どころの騒ぎではない。存在自体が既に邪悪なのだ。
だが、グレバトス教会が巨大組織となった以上、これは必要悪とも言える。
人間は建前と綺麗事では決して立ち行かぬ醜い動物の集団であり、
自らの悪しき欲望を法を以て正当化する存在も実に多いのだから。
ならば、悪にはそれ以上の悪を、無法にはそれ以上の無法を以て処罰するしか道はない。
巨大な組織が活動を続ければ、必ずどこかに悪質な腫瘍が発生するが故に。
そして、それは全体に影響を及ぼす前に速やかに切除しなければならない。
善では人は裁けない。善では人は悔い改める事もないが故に。
そう、人の善性など教皇からして欠片も信じてはおらぬのだ。
教義における“神の子”聖アジョラが己の野心の為に全てを偽る、
性別さえも偽っていた救いようのないペテン師であったが故に。
だが、そのような現実世界の不浄は、決して民衆に悟られてはならぬだ。
それは神への信仰と言う名の、救い無き現実世界において
「最後の幻想(FanalFantasy)」を破壊される事に他ならないのだから。
どこまでも救いのない世界の真実を、醜い教団の現実を人に悟られてはならない。
そんな教会の表面を清潔に保ち、見栄えを保つため、
民衆の「最後の幻想(FanalFantasy)」を守るため、
神殿騎士団は歴史の陰で暗躍を続ける。
そして、時としては英雄の真似事さえも演じてみせる。
最初から存在しなかったお伽噺の伝説の英雄、“ゾディアック・ブレイブ”の新生として。
民衆に、最期まで醒めぬ夢を与え続ける為に。
そう。それは計算された選りすぐりのペテン師集団でもあった。
その実態は、隻眼の参加者の率いる暗黒騎士団に酷似してさえいる。
神殿騎士団とは、所詮そういった組織なのだ。
「此度の件については、アルマの提案がこちら側に間違いなく利する要素が多いと予想され、
なおかつ機密漏えい等のデメリットが極少とこの私が判断したから接触したまでの事。
結果は聞いての通り。あの提案は、間違いなく“我々”や貴様らに大きな利をもたらす。
――それでも、この私の判断能力に疑問を抱くかね?
私に臨機応変の対応を期待し、現場における法を超えた柔軟性を何よりも望み、
その為に“我々”を進行役に自ら任命しておきながら?」
ヴォルマルフは挑戦的にディエルゴを正面から見据え、胸に手を置く。
口元が大きく挑発を含んだ笑みに歪む。
「そして、今なんの落ち度無くこの私を疑うといういうことは、
同時に貴様の人を見る目も疑わざるを得なくなるということだ。
貴様ほどのものが、まさかとは思うがそのような思慮無き愚者を
このゲームの進行役という大役に選んだというわけではあるまい?」
慇懃無礼の極みのごとき発言である。
だがその見識、間違ってはいないのだ。
こういった言葉を弄んだ駆け引きに関しては、
ともすればこの男はこの私さえ凌駕するかもしれない。
ディエルゴはこの男の妄言とも屁理屈とも言えぬ言葉の曲芸に、
呆れながらも心より感心もしていた。
ある一定の事実の断片を意図的に編集して繋ぎ合わせ、
自らが望む方向へと誘導を行い、もっとも都合良い現実を作り上げる。
それを絶対不変の真実だと高らかに謳い上げ、反論を悪魔化して駆逐する。
かつて、ラムザを異端者に仕立てあげたように。
自らの違反行為への糾弾者さえもが、実はこの違反を最初から望んでいた
正当なる行為なのだと、この男は強弁する。糾弾者のプライドをくすぐりながら。
そしてこの論理への反論自体を、愚者の所業であるとあらかじめ封じる。
それは洗練された詭弁による、ある種の言葉の芸術でもあった。
この小憎らしいまでの姑息さは、元人間でなければ到底発想しえまい。
「なるほど、アルマへの干渉については納得いたしました。
ですが、アルマへの殺害未遂の件については…。これはどうなのですか?」
ディエルゴは愉悦の表情でヴォルマルフを見据える。
ヴォルマルフが詭弁で以て返答するなど百も承知。
だが、その詭弁の芸術を心行くまで味わいたいという気持ちが大きく勝った。
「では、それも分かりやすいように貴様に問おう。
先ほど貴様が私に見せた殺意、あれは本気のものであったか?」
そう。返答次第によっては、ディエルゴは彼らを始末するつもりであった。
だが、逆を言うならば最初から問答無用で殺すつもりも毛頭なかった。
それはヴォルマルフの反応を心より楽しむためでもあったのだが、
その殺意が本気のものではなかったのは事実である。
もしディエルゴが本気で殺意を抱いていたなら、
四の五の言わせず屁理屈など言わせる隙も与えず
目の前の不遜な成り上がりものを即座に肉塊に変えている。
ヴォルマルフもまた、アルマに対してはそうであったと暗に言いたいのだ。
ディエルゴに笑みが漏れる。その口が半月形にぱかりと裂ける。
心底楽しそうに、実に朗らかに、声を上げて笑う。嗤う。哂う。
だが、その瞳には全く喜色というものがない。
見るもの全てを戦慄させずにはいられぬ、まさに悪魔の笑み。
それは赤毛の参加者が宝物ほどに大切にする「笑顔」とは似て非なるもの。
いや、むしろその対極にある「笑顔」。
「……なるほど。あれはそういうことでしたか。
あれはあくまでアルマさんへの脅しに過ぎぬと。
この私はまんまと釣り出されてしまったと、そういうことですね?
大した役者ぶりですよ。よりにもよって、この私をも欺くとは。」
ディエルゴは素直に賛辞の言葉を述べる。
姦計と虚言を司る悪魔王をも欺く、このヴォルマルフという存在に。
だが、そこには殺意の残滓のようなものさえも含まれていた。
「しかし、この意図が理解できないようであればどうしたものかと、
そういう意味ではこの私も懸念はしたがね。」
この男の妄言、虚言の手本として見るならそれは非常に面白い。
こちらが手本としたいほどに、それはそれは見事な詭弁である。
だが、自らが謀られたとなると話しは別だ。
軽く殺意さえも抱きたくもなるものだ。
「フフフ、貴方は大変面白い人のようですね。
キュラーが大変に気に入った理由も、分かる気がいたします。
心の中の鬼と一つに融け合った人間とは、これほどまでに楽しい存在だとは。
貴方はただ職務に対し、私の意図を事前に察しその期待通りに動いたのみ、と。
そして全ては結果のみで語り、不手際が生じた際には責任を取る用意もある。
さらには、今回は私の誤解と勇み足であったと、そうおっしゃるのですね?
そこまで仰られるなら、この私も口の出しようがありません。
なるほど。貴方は理想的な管理職のようですね。」
――そう。理想的な管理職としての振る舞いである。その中に渦巻いているものは兎も角として。
「貴方のその舌と今回がもたらした結果に免じて、今回のみは不問といたしましょう。」
ディエルゴはヴォルマルフに微笑みかける。
「…ですが、この次はありませんよ?
そして、今後の非常事態による特例措置や働きかけについては、
全て私の事前承認を得ることを絶対条件とします。
連絡による遅延が原因のあらゆる損失に関しては、全て免責いたしますのでご安心を。
それは“内通者”との連絡においても同様です。
勿論、アドレメレクさんや今度現れるであろう貴方達のお仲間たちに対しても、
それは例外ではありませんよ。」
ディエルゴはヴォルマルフの独走を防ぐため、念入りに釘を指す。
己の暴走にディエルゴの名を使わせぬようにと、それは細かく注意を促す。
それはヴォルマルフに対して忠告を発すると言うより、
むしろ周囲の心無き機械魔に言い聞かせているようでもあった。
「では、先ほどのアルマさんの提案ですが、
午後7:00の禁止エリアの設定と同時に臨時放送を行うという形を取って下さい。
あの集会場で貴方が仰られた『その他進行に必要となったルール』としての、
追っての説明という形を取ればよろしいでしょう。
最後の死亡者の時間ですが、これだけは唐突なルール変更に対する
参加者への特例として特別に教えて差し上げてもよろしいでしょう。
たしか、午後のリチャードさんが最後の死者でしたね?」
ヴォルマルフは無言で頷き、さらに意見を付け足す。
「少し大目に見て、16:00ということに再設定してはもらえぬか?」
実の所、ヴォルマルフは秒単位で彼の生命反応停止時間を把握している。
だが、リミット変更についてどこまでの事が出来るのか、
それを主催者の口からあらかじめ確かめて起きたかったのだ。
主催者の能力とその限界を値踏みしておきたかったが故に。
「…どこまでの詳細さを伝えるかについては、貴方に一任いたします。
私はその裁定に合わせて差し上げましょう。
貴方の判断力を、私は何よりも信頼しておりますので。
その期待は、決して裏切らないで下さいね?」
その意図を知ってか知らずか、ディエルゴはひどく大雑把な返答をそのままに返す。
先ほどの質問については、あえてまともに答えてなどいない。
自分で考えろということなのだ。そしてその現場判断がディエルゴの意に沿わぬものであれば、
こちらに責任を取らせるつもりでいるとも、暗にそう警告しているのである。
「心得た。では、後は“こちら”に任せてくれ。」
「ええ。貴方がたがが“こちら”に忠実である限りはね。」
「では、早速だが“そちら”の取り決めに従い、アドラメレクや他の内通者への接触許可を戴きたい。
今回の変更の件も含めて、伝えておきたいことがあるからな。」
「分かりました。“そちら”の請願を一度認めましょう。ただし、与えるのは情報のみとしてください。
直接的な物的支援は一切を認めません。具体的な裁量は貴方に委ねましょう。」
ディエルゴはそういって、現れた時と同じように唐突にその姿を掻き消す。
言葉とは裏腹に信頼など欠片もない、詭弁と腹の探り合いによる極寒の会話はこれにて終了した。
あとはヴォルマルフがディエルゴに託された仕事を意に沿うようこなすのみである。
ヴォルマルフは、これまでにあった事柄から、思索を開始する。
――さて、あのタイミングでディエルゴが現れたということは、
この管制室の会話も全てその場で盗聴されているとでも考えておいた方が良い。
これは思わぬ収穫ではあったが、今後うかつな行動はとれぬと考えるべきだろう。
アドラメレクや“内通者”にはすぐにでも接触を行いたいのだが、
その会話内容の全てを知られては困るのだ。
ならば――。
懐に入れてあった聖石レオを見ながら、ヴォルマルフは考える。
――これを、使うしかあるまい?
あと1レスだったのに・・・さるさんにかかりました。
誰か代理投下引継お願いします。
ヴォルマルフは不敵に笑いながら、熟考する。
これからの放送内容と、アドラメレクを含めた“内通者”へ与えるべき情報を。
ディエルゴらに伝えるべき内容と、伝えるべきでない内容の選別を。
あの者達との関係も、感謝こそしてはいるが所詮は利用する者と利用されるものの関係でしかない。
実際の所、マグナという青年には何か記憶にブロックを掛けていたと思われる節がある。
その上で、こちらの敵であるラムザには一切そういった事前措置等は無かったのである。
それはとりもなおさず、こちらを使い捨ての道具としか見なしていないことを示している。
万が一ゲームが破たんした場合は参加者どもにこちらを始末させ、
トカゲの尻尾切りを行う気でいるのは間違いない。
あるいは、ディエルゴが求めるだけの充分な負の感情の集積が終わった場合は、
「蜚鳥尽きて良弓蔵せられ、狡兎死して走狗煮らる。」の運命となるであろう。
最後まで運命を共にすべき存在ではない。こちらが裏切りに合う前に離反しなければならない。
だが、その意図を奴らに悟られてしまってはどうにもならぬのだ。
事は慎重を要する。今はまだ雌伏が必要な時である。
そう。今はまだ、だ。長らく待ちわびた悲願だ。
あとほんの少し待つ程度の事など造作もない。
急いて事を焦り、すべてを水泡と帰してしまっては何の意味もないのだ。
仲間達の帰還のために。
器の育成と選出のために。
『すべては、我らが野望のために……――』
そう、今はまだ雌伏の時だ。
ヴォルマルフは己の心の中で、あの集会場で呟いた会話を繰り返した。
【備考】:レイム=源罪のディエルゴはヴォルマルフの過去について全て把握済であり、
それらを見込んだ上で彼をゲームの進行役として選出しました。
なお、今回のゲームの参加者の選定基準についてはヴォルマルフの思惑が
ある程度からんでおり、「女王蜂の選出」が彼らの目的となっております。
この管制室の情報が全て盗聴されていることをヴォルマルフは把握しました。
この会場には“内通者”が存在します(少なくとも、アルマ以外の存在です)。
【不明/1日目・夜(放送直後)】
【レイム・メルギトス@サモンナイト2】(【源罪のディエルゴ@サモンナイト3】)
【ヴォルマルフ・ティンジェル@FFT】
これで大丈夫かな……?
お、おお、おおおおおおおおおっ!!
Amen!Ameeeeeeeeenn!!
とまあどこかの神の力に酔う大司教のような感謝感激はさておき。
代理投下有り難うございます。
また色々とアレな作品な上にあまりにも長いのでてっきり嫌がられているのかと思ってました。
最後まで代理投下してくださった方々と、色々な意見を出し協力して下さった
読み手、書き手の全ての皆様に全身全霊の感謝を。
アレっと言うか、このロワは書き手が少ないから
打ち切りペースが強いように見える。
後は◆b1F.xBfpx2氏の作品待ちか。
済まんがこちらは規制で代理投下出来ない。
誰か代わりに頼む。
ん、◆b1F.xBfpx2氏も規制中なの?
それだったら代理投下しますけど、どうしましょう。
夕日に照らされ茜色に染まっていた空が、夜の帳を下ろそうとしている。
手に持ったツナサンドを頬張りながら、パッフェルは一人、北北西にある城へ向けて歩いていた。
走っていた疲労と、時間的な要因からくる空腹を満たす為の食べながらの移動だ。
本当ならどこか落ち着いた場所でゆっくり済ませたいところだが、時間と状況が許してくれない。
そもそもこんな殺し合いのゲームを行っているような場所で、ゆっくりと食事ができるような場所があるなら、教えて欲しいくらいだと彼女は思った。
いきなりだが、人という動物は、考える動物である。
考えるという事は、人にとって当たり前の行動であり、時間があればどんな場所や状況だろうと何かしら頭に思い浮かべている。
ましてやこのように、周囲に全く変化がなく、単調な作業をしている時などは、考え事をするのにうってつけの状況だ。
そして人であるパッフェルも、例に漏れず考え事をしていた。
内容は、アズリアの外見について…
(どうして彼女は、“年をとっていなかった”んでしょうか…?)
それは数時間前に彼女と再開した時から、気になっていた事だ。
以前先の傀儡戦争において、帝国方面へ向かった悪魔の軍勢との戦いで、彼女が帝国の将軍として大いに活躍したという話を聞いた事がある。
自分が島を出たのは、今から数十年以上前の事だ。もし彼女が今も帝国にいるのなら、それなりの年齢になっているはず。
なのに、彼女は昔の若い姿のままでいたのだ。しかも、当時の帝国軍の軍服のままで。
イスラのように蘇ったならともかく、そんなことはありえない。
(まさかイスラの言ったとおり、メイメイさんが絡んで……)
そう思ったが、即座に否定する。
確かに自分は彼女の術のおかげで若返ることになったが、それはあくまで結果であり偶発的なもので、意図的に若返る事などできない。
彼女自身、時の流れに干渉するような事は極端に避ける為、もし別に若返る術を知っていたとしても、それを使うことはないだろう。
それに仮にアズリアが若返っているとするなら、自分も若いままであることに何かしらの反応を示す筈だ。
というか、若返らせる事自体に意味があるのかわからない。
…考えられる仮説が一つある。正直ぶっとんだ考えだし、自分でもよくこんなことが思いついたなと感じるが、多分これが一番可能性が高い。
それは、実は彼女は若返っているわけではなく、過去のリインバウムから呼ばれている可能性。
思いついたきっかけは、イスラ達と話をした時。彼はオグマの剣を見て、様々な世界から参加者やアイテムが集められていると言った。
彼はその場では言わなかったが、これは主催者側であるヴォルマルフ達にも当てはまる筈。
ならば、異世界の中に時を越える術があってもおかしくはない。
しかしそうなると、先生やマグナも、自分とは別の時間から呼ばれている可能性もある。最悪自分の事を全く知らない場合も考えられる。
勿論、この説が100%合っているわけではないかもしれないが…。
(とりあえず先生はディエルゴを倒したと言っていたから、私が島を離れた後から呼ばれた事は間違いないでしょう。
ネスティさんは、イスラの話からして時代的に近いですが、私を知っているかどうか微妙ですね…。
まあ何にせよ、知っている人物といえど、接触する時は十分注意した方が良いということは確定ということで…)
そんな事を考えながら、残りのツナサンドを口に放り込む。これからは知り合いといえど、安心して接触できそうにない。
また不安要素が増えてしまったなと、軽く溜め息を吐いていると…
『――諸君、これから第一回目の放送を始める』
主催者側による、一回目の放送が始まった
放送が終わると、パッフェルは筆記用具やチェックの済ませた名簿などをバッグにしまう。
荷物を片付ける彼女の顔は、悔しさや悲しさといった感情に満ちていた。
「アメルさん……ベルフラウ……」
先ほどの放送で呼ばれた犠牲者の名を呟く。大切な仲間で、かけがえのない人達の名を…
お芋が大好きで、いつも美味しい芋料理を作ってくれるアメル。天使アルミネの生まれ変わりであり、
マグナやネスティとは前世からの縁で結ばれていて、自分にとって親友のような存在であり、同時に恋の好敵手でもあった彼女。
そんな彼女が、死んでしまった。
アティ先生の最初の生徒で、いつも高飛車な態度をとりながらも、島の学校の委員長としてスバル達を纏めていたベルフラウ。
成長して、立派な教師に、そして抜剣者として島を守る存在となった彼女。私を守るといってくれた彼女。
そんな彼女も、死んでしまった。
この殺し合いに参加している以上、絶対に無事であるという保証はどこにもない。
誰か死ぬ可能性だってあることぐらい、わかっていた筈だ。
だがわかっていたとしても、彼女等の死に悲しみを感じないわけではない。
もしかしたら、彼女達を助ける事ができたのかもしれない…そんな後悔の念が頭に浮かぶ。
しかし、それも意味のない想像でしかない事は理解している。
深呼吸をして、気持ちの整理をつける。今は悲しむよりもこれからの事を考えなければならない。
放送の最後でヴォルマルフは言っていた。『優勝者は褒章で死者を蘇らせることができる』と。
それは恐らく本当だろう。実際に自分は死んだはずのイスラに会ったのだ。
もし彼が過去から呼ばれたとするなら、病魔の呪いに侵されていた彼が、あそこまで健康でいられるだろうか…。
無色に与する以降から呼んだとしても、あそこまで簡単にアズリアと和解することができるわけがないのだから。
しかし蘇生が本当だとしても、主催者側が褒章を与える気があるのかを考えると、まずないだろう。
自分が主催の立場にいるとして、散々殺し合いをさせた相手に「では願いを叶えてやろう…」とあっさり生き返らせたらどうなるか…
殺された参加者達が黙っているはずがないことぐらい、容易に想像ができる。
それに主催達が蘇生技術を持っているのなら、彼らからそれを奪取してしまえばいい。
わざわざ優勝して褒章を貰うよりも、そっちの方がより確実だ。
それに、ディエルゴを名乗る存在について気になることがあった。
自分はディエルゴという存在を二つ知っている。
一つは、嘗てあの島に封じられていた過去の召喚師の負の思念から生まれた『ハイネルのディエルゴ』。
もう一つは、大悪魔メルギトスがばら撒いた源罪が、核式の座に根付いた『源罪のディエルゴ』。
前者は人間や世界を恨み、全てを破壊することだけを考えた破壊者。
後者は島の共界線と亡霊の残り香から魔力と負の思念を吸い上げ、復活を遂げようとしたメルギトスの種。
前者の場合ハイネルの目的からして、こんな事を催すくらいなら、とっとと世界を滅ぼす事を考えるはず。
後者の場合、元がメルギトスであること、源罪が負の感情で成長すること、そして“この情報を今完全に思い出したこと”から、辻褄が合う。
今まで源罪の事を忘れていたのは、情報が広がらないように、自分の記憶にブロックがかけられていたに違いない。
それがアメルとベルフラウの死をきっかけに解けたのだろう。
(となるとこの殺し合い自体、あまり長引かせると危険ですね…)
ディエルゴが源罪であるなら、この混沌渦巻く舞台は最高の肥料になる。
それを利用して復活、更に完全なエルゴになったりしたらもうお終いである。
それに、先ほどの放送を先生やマグナが聞いていたとしたら…混乱していて褒章の話を鵜呑みにしてしまっていたら…
彼らの純粋さ故に、優勝を考えることはないとは言えないのだから困る。
(まあそれが先生達の良い所なんですけど…)
そう心の中で少しだけ苦笑する。
となればすぐにでも出発しようと、パッフェルはバスケットを持って立ち上がる。
この間にもネスティ達が危険な目に遭っているかもしれないのだ。もう時間を浪費するわけにはいかない。
そう思い出発しようとしたその時…
「……この臭いは…」
風に運ばれてくる異臭に、僅かに眉を寄せる。
それは香ばしいというより、何かを焦がしたような…例えば、山ほどの薪を燃やしたような黒ずんだ臭い。
(もしや……火事?!)
臭いは自分の進む先、北から吹く風から運ばれてきている。ふと見上げると、薄い雲のような煙が北の空に漂っていた。
もしこの火災に、ネスティが関係しているとしたら……
(これはもう、城を探索なんて言ってられないかもしれません…)
事は一刻を争う事態。パッフェルは急いで煙の元へと駆け出した。
【C-5/平原/1日目・夜】
【パッフェル@サモンナイト2】
[状態]:健康、移動による疲労(小)
[装備]:弦除去済みエレキギター(フェンダー製ストラトキャスター)
[道具]:エレキギター弦x6、スタングレネードx5、血塗れのカレーキャンディ×1、支給品一式×2(食料を1食分消費)
支給品入れはバスケット&デイパック
[思考]1:火災があったと思われる現場へ行き、ネスティの探索及び手がかりの調査を行う
2:城の書斎を調べて休息を取り、C-3村へとネスティを探す
3:アティ・マグナを探す(その他の仲間含め、接触は慎重に行う)
4:見知らぬ人間と遭遇時、基本的には馴れ合うことは無い
[備考]:放送内容は全て把握。参加者名簿と地図にそれぞれ死者と禁止エリアの記入をしました。
参加者達は、それぞれ別々の世界・時間から集められていると考えています。
しかし、彼女自身はこの考察に半信半疑の状態です。
水や食料などすぐに使わないものはデイパックに一括して移しています。
代理投下ありがとうございました。
>>371-372 いや、別に規制されていたわけではないんですが、もう少しSSの感想を聞いてからの方が
いいかなと思いながらの意見待ちをしてました。
あと、自分の後にメイン対主催組+αの予約が入ってますよ。
それと、避難所の没ネタスレの方に、修正前のSSが貼られていたんですけど、
特に気にする必要はありませんかね?
>>376 指摘と言えば、Cー5の森が最低二時間以上は燃えてるか?
ルカヴィが燃やしたのが午後の14時〜16時頃で
パッフェルさんが火災があったのが気付いたのが夜の18時〜20時頃だから
長いこと森が燃えてる事になるかな?
>>377 森に火を放たれて何の処置も施されてない場合、結構長い時間燃え続けていると思います。
例え何かしらの処置がされて火事が鎮火しても、燃えた木々の焦げ臭さとかは残りますし、
火事が激しければ、煙の方も暫く空に残っている可能性もあると思いました。
まあパッフェルさんは、風に運ばれてきた焦げ臭さと夜空に漂う煙のようなもので
火事かもしれないと推測しただけなので、それほど問題にはならないかなと…。
まあ山火事の焦げ臭いのはしばらく残るでしょうねえ。
しかし、塔組は相変わらず動きがないな…。
Bー2のゴードンとミカヤはオリビアに構うから
塔からは出ないだろうけど
カーチスは放送を聞きながらかその後に
アティに通信機で連絡する可能性が高いと思う。
(彼女の安否兼心の支えの為?)
ヴォルマルフ側の内通者候補
本命:ニバス
対抗:タルタロス
次点:しっこく、ヴァイス
大穴:プリニー、アルガス
共通した問題点は、誰もが面従腹背が当然のキャラクターである事。
>>381 プリニーは既に内通者になってる感じが…
ただ、プリニーは道具だからなあ…いや、道具だからこそか
ディスガイアだとエトナが上下と立ち回りが上手くていいとこだけ持ってくキャラだけどな、プリニー使いも上手い
wikiのカウンターが凄い数になっている。
昨日が100で今日も80過ぎ…。
したらばの仮投下スレにEー2のメンバーの話があるけど
代理投稿していいのか?
>>385 あれは没作だから勘弁して…
予約していたE-2の没とは別パートなんですが
出だしは書いてるんだけど停滞中です、もう書いちゃってるよって
方が他にいたら気にせずに仰って貰って構いません。
E-2城とC-3カオス村は超展開必至だから、書き手としては大変だよなぁ…
人数も大勢だし、うまくばらけてくれないと続かないかもしれん。
村や城の中に、ディスガイアのアイテム界の移動ゲートみたいなのがあれば、
まだ使われてない施設とかにも飛ばせそうなのにな。
おk
ならばカオス村のアティ、ネイス、漆黒の騎士、ヴァイス、ハーディン、チキ、レンツェンを予約で。
むしろ塔組とか孤立している方が想像付かないので。
他人数予約キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
この人数を書くだけでもすごいと思うので、
描ききるのを頑張ってください!!
>>387 Eー2のメンバーは二人ぐらいは
現状にしびれてるだけだから
別に超展開なんていらないとおもうが
そういや気になっていたが、このロワを端的に象徴するような
個性的な対主催、またはマーダーって誰がまず第一に挙がる?
書かれている回数から考えると、デニムやイスラ、アルガス辺りになるだろうが。
マーダーはやっぱりアルマ、対主催はイスラかな。
マーダーはどいつもこいつも個性的だが、特にアルマはルール変更持ちかけたり
出会った女性を全員殺したりといろいろぶっ飛びすぎ。
逆に対主催は活躍する場面も少なく、敗北が続いてて全体的に影が薄い。
その中で、比較的まともに対主催してるのがイスラなので挙げてみた。
まあロワを象徴するという意味では、周りの状況に翻弄されてるアティ先生が、
このロワでの対主催の立位置を象徴していると言えるかもしれない。
ところで話は変わるけど、このロワ内でのリレイズの扱いってどうなってるんだ?
戦闘不能から自動的に復活の効果を持つけど、流石に何回も使わせるわけにはいかないだろと思う。
特にシャンタージュの永久リレイズやアルマのマバリアとか一度検討した方がいいんじゃないか?
ルールに合わせて書き手の判断で制限を調整すればいいと思う。
その制限に自信がないときは、したらばに投下して意見求めればいいだろうし。
というか、よっぽどパロロワ新参でない限りその辺の加減はわかってるんじゃない?
>>392 自分は致命傷となるようなダメージならそれだけを即座に治癒してくれるだけであって、
それ以外に受けていた傷は全快しないって形を取るかな?
もちろん流れた血も一切戻らないので、永久リレイズがあっても繰り返せば失血死さえあり得る。
勿論、四肢の切断などにも効果はなく、首が飛んだりミンチになったりと
肉体が完全に破壊されるような蘇生不可能なダメージには当然対応できない。
まあ死亡する程のダメージを受けたら時間をかけて身体の傷が癒えてゆき、
全快するまで行動不能で意識も戻らずといった形でもいい。
その場合は当然、首をはねられたりととどめ刺されるとおしまいになる。
レイズ系はあくまでも戦闘不能(HP0)の状態からの回復だからな
ゲーム本編でも死んだ奴は生き返らなかったよな>ガラフとかエアリスとかが
したらばにE-2組を投下しました。
上手い具合にばらけてくれればいいのですが…
取りあえず、アルマが頑張れば頑張るほどラムザにフラグが立つ様にしてみました。
タルタロスがあっさりしすぎかもしれませんが、虐殺以外ではこれしか出来なかったよorz
あと、個人的には永久リレイズはリジェネ(徐々に傷が回復)の強化版くらいの効果で
致命傷は不可でいいと思ってます。
>>396-397 おおおおお。投下、待ちわびていました。
いや、むしろその淡々とした調子がどこまでも理知的で
冷たい殺意を持つ隻眼のアル坊やらしかったのではないかと。
しかし、ブリュンヒルトの名がそこで出てきましたか…。
そしてマグナのマーダー化の兆しと、
妹への不信で不安定化しつつあるラムザ。
拘束されているが故に、今後の十二時間ルールの
生贄になりかねないアルガス。ともあれGJです。
ところで最後に質問。リュナンとシーダの支給品って
今城内に放置プレイでしたっけ?
あぁ、完全に忘れていたorz
取り敢えず放置プレイでw
支給品袋の行方はあとで加筆してもらうとして。
それ以外に問題なければ、このまま本スレに投下でいいかな?
しっこく然り、ガフ然り、タルタルソース然り、黒騎士はいい味出しているw
>よもすればディエルゴ側はヴォルマルフを捨て駒程度に考えているのかもしれない。
ともすれば、の誤字?
仮投下スレのFFTキャラはPS1版とPSP版が混ざってるな。
誤字と忘れていた状態表を修正したものを投下します。
日も暮れだし、徐々に夕闇が迫る中で僕達は城に向かう足を止める事無く、
マグナさんが話すことに耳を傾けていた。
彼が息をつき、話を終えた。
「…話は分かりましたが、俄かには信じがたい内容ですね」
マグナさんの話を聞いて、受けた第一印象は正直な所は信じ難いというものだった。
彼が言うにはラハールさんが持っている剣は魔剣と呼ばれ、
ヴォルマルフの裏に潜んでいると思われるディエルゴに対抗しうるものである事。
だが、それを扱う事ができるのは一握りの抜剣者と呼ばれる者だけで、
名簿を見る限りではアティ、ベルフラウの二人だけが彼の知る限りの抜剣者だという。
だけど、僕が困惑したのはこの事ではない。
彼が言うには、彼は僕達とは違う別世界の「リィンバウム」と呼ばれる世界の住人で、
その世界では僕の知っている召喚術とは別の召喚術が有り、
それは別世界の住人をリィンバウムに呼び出す事も可能なのだという。
その話を聞いた時、一人で困惑している僕を置いてラハールさんは以外にも平然としていて、
「面倒臭い術だな。 直接行け、直接」などと無茶な事を言っており、
アルフォンスと名乗った隻眼の男も何か思い当たる節があるのか黙り込んでいた。
異世界。
僕の中でも思い当たる節は…ある。
『ルカヴィ』…そもそも彼らはいったい何処から来たのか?
それは彼らとの決着をつけた後でも正直分からなかった。
もしかしたらあの悪魔達もその異世界から来た者達なのかもしれない。
けど、結局はこれは僕の憶測に過ぎないし、奴らの正体に繋がるものではないだろう。
もう一つ重要な事はマグナさんは今話してくれたことを先程まで忘れていたという。
なら何故、僕はヴォルマルフ達のことを何一つとして忘れていないのかということだ?
奴らの正体を記憶から封じれば、それだけで優位性を獲得できるものであるというのに…
ここから導き出せる仮定はヴォルマルフとディエルゴは協力関係にはあるが、
互いに信頼関係はないという事だろう。
よもすればディエルゴ側はヴォルマルフを捨て駒程度に考えているのかもしれない。
今までは正直な所は奴らへの対抗手段はなかったが、上手くすればこれを利用できるかもしれない。
「そうすると、僕達はマグナさん達の世界の召喚術でこの島に集められた…ということですか?」
僕の質問に話を終えたマグナさんが首を捻りつつ、考えている。
「う〜ん、だと思う…けど、俺もここまで大規模に異世界の人間を集めた召喚術なんて初めて聞くから
何か別な媒体も関わってるのかもしれない」
マグナさんにも分からない何か?
僕の頭の中で『聖石』が一瞬よぎったが、それまで黙り込んでいたアルフォンスが小さく呟いた言葉に打ち消された。
「『神聖剣』を奴らが?」
僕がその呟きを聞き逃さなかった事にアルフォンスが気づいたのか、ほんの一瞬だけ不快そうに眉を顰めたが
ゆっくりと話し出した。
「私の世界には天界と下界とがある。この二つは神が施した封印により通常での行き来は不可能だが、
唯一、天界の騎士が授けた剣『ブリュンヒルド』だけがこの封印を破る事ができた。
神の封印をも破る剣だ、異世界を繋げる媒介としては十分だろう」
僕と似た衣装のこの男もまた、どうやら僕とは別世界の人間だったという事か。
それにしてもこの男はそんな重大な事を何一つマグナさんには伝えていなかったらしい。
彼が驚き、アルフォンスに食って掛かっていく。
「何だよ! アルフォンスこそ、俺に失望しただの何だの言ってたのに隠し事してたんじゃないか
それなら、お前だって人の事言えないって訳だ」
どうも、マグナさんが怒っている理由というのが隠し事をされていた事よりも
この道中で小言を言われ続けていた事への意趣返しのように感じられるけど。
「落ち着け。 ブリュンヒルドはそれ自体はただの『鍵』にすぎん。
お前のような知識を持っているものならいざ知らず、
『門』を見つけなければ意味の無い物をすぐに連想できるか?」
マグナさんが考え込み、押し黙ってしまった。
多分、アルフォンスが説明した事に誤りは無いのだろう。
それでも、僕は彼が説明した話に何かの引っ掛かりを感じるのだけれど。
「何をグダグダとさっきからやっておるのだ! それよりも目的地が見えてきたぞ」
ラハールさんの声で我に返る。
確かに視界には既に城の形が見えてきている。
あの茶髪の青年、リュナンもここにたどり着いているのであろうか?
隣で邪気しか感じられないようなラハールさんの笑顔を見て、
本当の所は別な場所に逃げていてくれていた方がいい気がしてきた。
「いいですかラハールさん。 くれぐれも、く・れ・ぐ・れも勝手な事はされないでくださいね!
相手は混乱されている方です、不用意に刺激しないでくださいよ?」
無理やり振り向かせ、面と向かって厳しく注意しておく。
そんな僕に対して「分かっている」と妙ににやついた顔で返事を返すラハールさんに不安を覚える。
絶対に何か企んでいる顔だ。
アルフォンスにも注意は必要だけど、目下の問題はこっちだろうな。
僕は溜息をつきながら、城へと向かう。
異変にはその場にいた者、全員がすぐに気づいた。
「誰か…いますね、一人ではなく複数…」
僕の目配せにマグナさん達が黙って頷く。
城の中から聞こえる喧騒は明らかに何者かが争っている事を物語っている。
可能性としてはリュナンと誰かだろうか?
「皆さん、ここは慎ちょ……」
「おー、緊急事態だー、これは俺様の出番だなー」
………やっぱり守る気なんて無かった。
慎重に行こうと僕が言う前に、棒読みな台詞を言いながら、
傍をものすごい勢いでラハールさんが駆け抜けていってしまった。
ラハールさんを止めるために慌てて僕も後に続く。
一度、マグナさん達に振り返ったとき、アルフォンスがマグナさんに何かを聞いている姿が見えた。
その動きは気になる所だけれど、それを確かめている暇はない。
なぜならラハールさんは今にも城の内部へと突入しようとしているのだから。
「ワハハハ!! 俺様、参上!」
勢いよく城門を開け、ラハールさんが飛び込んでいく。
「しまった、間に合わなかった!」
罠を確かめている暇もない、中にいるのが予想通りの人物ならラハールさんは容赦無く襲い掛かってしまう。
急いで僕も中に飛び込む。
だけど、最初に目に見えた光景は予想とは別のものだった。
金髪の青年がラハールさんのマフラーを掴んで何か叫んでいたが、
舌打ちをすると彼はラハールさんを突き飛ばし、城の奥へと走っていく。
続いて突き飛ばされたラハールさんが怒って彼を追いかけようとしたが、それは僕がマフラーを引っ張って止めた。
「グェッ! く、首が絞まる… ゲホッ、ゲホッ! き、貴様何をする!」
「それはこっちの台詞です! ラハールさんこそ何をしているんです、最初に言った事を忘れたんですか!」
さすがにこの身勝手な行動には頭に来た。
真正面から思い切り睨み付けながら、彼を問いただす。
「ふん、約束など破るものだッ!」
悪びれもせず、あっさりと言いのけられた。
「…そうですか、それならこっちにも考えがあります」
僕の態度が変わった事にラハールさんが少しだけ警戒している。
「ふん、だったらどうするというのだ? なんならお前がさっきの奴の代わりに俺様と…」
「愛こそ全て!」
満面の笑顔で爽やかに言い切る。
僕の言葉を聞いたラハールさんの表情が見る見ると青褪め始めていく。
「…お、おいラムザ…」
「友情、努力、勝利!」
「ぐぁァアアアッ」
「ムスタディオをやっつけろ☆」
「ヌワァーーーーー」
「給料上げるッス!」
「「ん?」」
変な声がした方をラハールさんと同時に振り返る。
そこに、僕が着ている着ぐるみを一回り小さくしたような鳥と綺麗な身なりの少女が居た。
「君は…」
僕が少女に何者かを尋ねようかとした時にマグナさんが駆け込んできた。
「ご、ごめん、アルフォンスの奴に急に呼び止められたもんだから遅くなった…
って、そこにいるのはサナキか?」
マグナさんが驚いたように少女の名前を呼ぶ。
名前を呼ばれた少女の方がマグナさんの方に目を向ける。
「お主は…マグナ殿か?」
…サナキ?
思い出した、確かホームズという青年と一緒に行動している少女の事だ。
そうすると、さっきの金髪の青年がホームズか。
あまりに咄嗟の出来事過ぎて人物を確かめている暇もなかった。
なら、さっきの状況はどういうことだ?
マグナさんの話通りの人なら好戦的な人物ではない筈だけど?
「…ラハールさん。 説明してもらいましょうか?」
僕の隣で素知らぬ顔をしていたラハールさんにあくまで満面の笑みで説明を求める。
僕の態度で断ったらどんな結果が待っているのか理解したラハールさんが渋々話し出した。
「説明も何も、俺様がここに来たらさっきの奴とあの茶髪の奴が殴り合っておったのだ。
優しい俺様が金髪の奴に代わって茶髪の奴をボッコボコにしてやろうとしたら、
なぜか俺様が金髪の奴に止められて、その間に茶髪の奴は城の奥に逃げてしまっただけだ」
ホームズは交戦していた相手をわざわざ守った?
あのリュナンとホームズの間には何か関係があるのか?
「初対面でいきなりすいませんが、サナキ…さん?、でいいかな?
君と一緒にいたホームズさんとそこで戦っていたというリュナンには何か繋がりが?」
僕にいきなり話しかけられてサナキさん(ちゃんの方が良かったかな?)は
少し驚いていたようだけどすぐに我を取り戻して僕に答えてくれた。
「あれは…戦っていたのではなくホームズ殿がリュナン殿を止めようとしておったのじゃ。
リュナン殿は錯乱しておったようで友人であるホームズ殿のことも分からぬような状態だったようなのじゃ、
もう少しで止められるという時にそこのお主が割って入った所為でリュナン殿は…」
成る程、それでさっきの状況に繋がるという訳か。
それなら…
「ラハールさん、マグナさん僕達もすぐにリュナンの捜索に加わりましょう。
ホームズさんと面識のあるマグナさんには申し訳無いですが単独で、
ラハールさんは僕と一緒に行動してもらいます。
………エッ?」
慌ただしく動いていた所為で気がつくのが遅れてしまった。
あの男は、アルフォンスはどこだ?
「マグナさん、アルフォンスは何処へ?」
僕に言われてマグナさんも今気づいたのだろう辺りをキョロキョロと見回して首を捻っている。
「あ、あれ? そういえばあいつ遅いな、さっきは俺に『他に忘れている事は無いか?』
とか言ってわざわざ呼び止めてた癖に」
矢張り、こちらも目を離すべきではなかった。
こちらからの情報を全て入手したと判断したうえで僕らとの行動を止めたという事か。
正直、中々にしたたかな人物だと思う。
だけど、これで問題が出てきてしまった。
「参りましたね…下手をするとネスティさんが危険ですよ。
このままリュナンさんの捜索に入るよりも、
先にネスティさんの捜索に切り替えた方がいいのかも知れません」
そんな僕の態度にほぼ同時にマグナさんとサナキさんが抗議の声を上げる。
「そんな、アルフォンスが危ない奴だっていうのかよ!
そりゃ、あいつはいちいち厳しいし、ちょっと腹の立つような物言いするやつだけど
そんな奴じゃない筈だって! …多分」
「お主は先ほど邪魔をした上でホームズ殿達のことを見捨てるというのか!
確かにホームズ殿とリュナン殿は友人の筈じゃが、相手は今錯乱しておるのじゃぞ、
もしかしたら何かあってもおかしくは無いのじゃ!」
二人の抗議は確かに耳に痛い。
僕はあのアルフォンスという人物を知らない。
印象だけで言えば彼は危険人物だ、ダイスダーグ兄さんに通じる何かをあの男からは感じた。
だが、それも僕の印象なだけであって実際に彼が何かをした訳じゃない。
今こうやって身を隠したのだって僕達に愛想を尽かしただけで、あってそれ以上の理由は無いのかもしれない。
僕の部隊からだって、そういった人物は少なくともいたのだから。
それにサナキさんの言うとおりラハールさんの暴走を止められなかったのは
一緒にいた僕の責任だ。
最初から懸念はあったのに肝心な時にそれを止める事が出来なかった。
どうする?
僕はどうするべきなんだ?
「ワハハハ、こそこそしている鼠はっけーん!」
何で、この人はこんな時でも身勝手なんだろう。
絶対に反省していないんだろうな。
少し頭が痛くなったがラハールさんに目を向ける。
そこには腹這いの状態でラハールさんに踏みつけられ、
ついでに何故か、あの妙な鳥が傍で罵詈雑言を浴びせている
金髪の青年の姿。
「や、やめろ、俺から足を退けろ! このクソ鳥めッ、後で憶えてろよ!」
あれは、まさか!
「アルガスッ!」
「な、何だ、俺はお前らみたいな鳥に知り合いはいないぞ! って、まさかその声はラムザか!?」
ここで奴らの手先であるアルガスに遭遇するとは思いもよらなかった。
アルガスには聞きたいことが山ほどある。
ラハールさんの身勝手な行動ではあるが、結果的にはアルガスを捕える事ができたのだから
この行為も大目に見てあげないといけないな。
僕は着ぐるみのファスナーを上げて、上半身を出す。
「やっぱり、ラムザか! ふざけた格好をしやがって、貴族の誇りを完全に忘れちまったようだな」
もがきながらアルガスが僕を罵倒してくる。
「ルカヴィの手先へと落ちたお前には言われたくないなアルガス。
それに僕は貴族である事に誇りなんか感じちゃいない!」
僕の言葉を聞いたアルガスが不意にもがくのを止めて、僕をキョトンと見上げている。
「ルカヴィ? 御伽噺のアレか? 何を言ってるんだお前は?」
様子がおかしい。
僕を騙すつもりなのかもしれないが、アルガスのこの態度は何だ?
まるで本当に――
『――諸君、これから第一回目の放送を始める』
僕の考えを遮る様に奴の、ヴォルマルフの声が響いた。
これが奴が始めに言っていた例の放送か。
考える事や、やらなければいけない事は沢山あるけど、これを聞き逃す事は出来ない。
「マグナさん、サナキさん。 すみませんが一旦この放送を聞くことを優先させてもらいます。
時間が無い事は確かですが、これは僕達の生存にも関わる事ですので。
ラハールさん、その男をそのまま押さえててください!」
マグナさんは黙って頷き、サナキさんは訴える事はあったのだろうけど、
重要性を分かってくれたのだろうか引き下がってくれた。
ラハールさんはむしろ喜んでアルガスを踏みにじっている。
皆の了承を得た事で僕はヴォルマルフの声に耳を傾ける。
奴の抑揚の無い声が神経をさかなでてくるが、それ自体が奴の思惑の一つだろう。
どうすれば人を甚振る事が出来るのか、それは奴ら『ルカヴィ』の得意とする事なのだから。
最初に告げられた禁止区域。
ひとまず注意すべきなのはここから北東の位置のE-4か。
「ふん、いちいち癇に障る物言いをする奴だ」
奴が一呼吸置いた間にラハールさんが腹立たしそうにしている。
この人の場合は単にヴォルマルフの言葉を気に食わなかっただけなのかもしれないけど。
続いて奴が告げた犠牲者の名前を聞いて僕は唇を噛み締める。
ムスタディオ。
彼が既にこの殺し合いの犠牲になっていたなんて。
せめてこの殺し合いを終わらせ、ルカヴィとディエルゴに止めを刺す事を彼の魂に誓う。
そして、アグリアスさんやアルマが無事だった事に少しだけ安堵する。
最後に奴は嘲るように『報酬』について語り、放送を終えた。
周りの反応を確認する。
サナキさんは犠牲者の中に名前だけは知っていた人物がいたようだ。
ラハールさんはのほほんとしている。
「マグナさん?」
マグナさんの様子だけがおかしい。
犠牲者の名前を聞いた彼は呆然としている。
僕は少し前に彼から聞いた話を思い出した。
主催者打倒の鍵になるであろう人物。
その名前が先ほどの放送で呼ばれた事を。
かける言葉が見当たらない。
僕達にとっても希望の芽であったものが無情にも悪魔達によって刈り取られてしまった。
でも、少し事情が違ったらしい。
「嘘だろ…アメル達が死んだなんて! まだ一日も経ってないんだぜ?
何で、皆こんなに殺しあってるんだよ!
あいつ、死者だって蘇らせられるって言ってたけど、俺、どうしたら…」
取り乱し、僕の方を揺さぶりながらマグナさんが叫んでいる。
この人は……純粋だ。
多分、ここに来た間も彼はこの殺し合いに乗る人物がいないと信じていたのだろう。
でも、それは彼の親しい人物達の死によってあっさりと打ち砕かれてしまった。
「…落ち着いてください。 奴らの言う蘇生をそのままの意味で鵜呑みにしないでください。
奴らの力で生き返ったとしても、そこにいるのはあなたの知っている人物ではありません」
自分の言葉がマグナさんにとって、どれほど酷な事なのかは理解している。
それでも、取り乱した彼が奴らの甘言のままにこの殺し合いに乗ってしまうことの方が恐ろしい事なのだから。
それに、奴らの力で蘇らせられた人間の悲しさも。
マグナさんは力が抜けたようにへたり込んでしまった。
今となってはアルフォンスの捜索も困難になってしまった。
彼は僕達がこうしている間にも離れてしまっているのだから。
となればやるべきことは二つ。
「リュナンさんを僕も探しに行きます」
マグナさんを気遣っていたサナキさんが僕の方に期待を込めた眼で振り向いてくる。
「時間にして数分です、きっとまだ中に―」
「あいつなら、外に逃げちまったよ」
突然、背後から声をかけられた。
振り向いた先で金髪の青年、ホームズがこちらに向かって歩いてきていた。
彼はロビーに投げられていた自分の荷物を拾い上げるとサナキさんの方に向き直る。
「サナキ! お前はそいつらと一緒にいろ。
さっきの話は俺も聞こえてた、そいつらなら安全だ。
俺はリュナンの奴を追う」
それだけを言うと彼はそのまま出て行こうとする。
それをサナキさんが呼び止めている。
「お主は一人で行くと云うのか、リュナン殿は正気じゃない
死ぬかもしれんのじゃぞ!?」
「だからこそ、俺が行くんだろうが! あいつは俺が止めてやらなくちゃ駄目なんだ。
例え、俺が死んだってな」
彼の怒声がロビーに響く。
自分の命を賭けるほど、彼とリュナンとの絆が深いゆえの行為か。
でも、たんなる自殺行為を僕も黙って見過ごすわけには行かない。
「あなたの気持ちは分かりましたが、その行動は有効とはいえません。
サナキさんの言うとおり、命を粗末にしているだけです」
「お前らと一緒に行けって事か? 悪いがそこの小僧は信用出来ない。
それに、マグナだってへたり込んじまってる。
お前だって、そこの七三に何か聞かなきゃいけないんだろう?
それなら、俺一人の方が身軽で良い」
言動から短慮な人なのかと思っていたが、間違っていた。
荒れているようでもこの人は冷静な部分を保っている。
「だからといって、単独行動は危険すぎます」
駄目だ。
これでは堂々巡りだ、こんな言葉を続けたって彼は説得できない。
それは分かっているのに上手く言葉を選ぶことが出来ない。
僕自身が状況の変化に付いて行くので精一杯なのだから。
「悪いが、お前らといつまでもこうやっている暇はねぇんだ。
こうして面を合わせてるのだって、サナキに一言告げてから追いかけたかったからなんでな」
矢張り僕の説得は無意味だった。
彼は僕達に背を向けて一人で出て行こうとしている。
それを僕はどうすることも出来ない。
「俺が一緒に行くよ」
へたり込んでいたマグナさんが立ち上がり、ホームズさんを呼び止めた。
その顔からは迷いこそ感じられるものの気力は取り戻しているようだ。
「今でもアメル達が死んだなんて信じることは出来ない。
でも、そうやって俺が進むのを止めたらきっと俺はアメル達に怒られると思う。
それにこれ以上、誰かが死ぬかもしれないってことを見過ごすわけには行かないから」
ホームズさんは無言でマグナさんを見つめている。
彼は困ったように頭を掻くと僕の方に振り返った。
「悪いが、そういう事だ。 マグナは俺が借りていく。
お前にはサナキのことを頼む…あ〜、っとそういや名前聞いてなかったな」
マグナさんの表情が幾分か明るくなっていく。
この状況ではこの選択が一番正しいかもしれない。
「ラムザです。 分かりました彼女は僕が身命をとして守ります。
僕はこの男から聞きだす事がありますが、
その後は申し訳ありませんがネスティさんの捜索を優先させてもらいます」
僕の言葉の意図を察したのかホームズさんの表情が険しくなる。
「あいつの姿が見えねぇな、確かにあいつより先に会っとく方が良い、あいつは信用できねぇ。
分かった、俺は俺で動かさせてもらう。 お互い生きてりゃどっかで会えるだろうしな」
ホームズさんはマグナさんの背中を叩き、マグナさんをシャンとさせると
連れ立って外へと出て行った。
その背中をサナキさんが追いかけて、彼らに向かって叫んでいる。
「ここを出る時はお主達も一緒じゃ、誰一人として欠ける事は余が許さんからなッ!」
彼らはそれに振り返らずに手を振って応えている。
「ば〜か、ば〜かッス…ハッ、おいらを忘れてるッスよ〜!!」
ラハールさんと一緒にアルガスを虐めていたあの鳥も慌てて飛び出していった。
……あれはいったい何なんだろう?
「…さて、それじゃアルガス。 お前には聞きたいことがある。
正直に答えてもらおうか!」
ラハールさんに押さえつけられているアルガスは既に諦めたのか、うつ伏せの状態で頬杖をついている。
「ハッ! お前が俺に聞きたいことだと? 何だ、あの平民の妹を俺が殺した事か?」
「ふざけるなッ! ルカヴィに蘇らせられたお前なら、奴らの目的も何か知っている筈だ」
この男は僕をわざと刺激しようとしているのか?
ティータの事を持ち出されて僕はつい怒りを押さえ込めずに激しくアルガスを追及する。
「理由が分からないが、俺は確かにお前らにジークデン砦で殺されたよ。
あのときの感覚は忘れる事は出来るかよ!
だが、さっきからお前が言っているルカヴィってのは本気で何の事だよ?
俺がこうしてるのもそいつのおかげなのか?」
アルガスは何も知らないのか?
いや、知らされずにその復讐心だけを利用されている可能性も確かにある。
でも、それなら彼のこの態度は何なんだ?
「お前はランベリー城で奴らに魂を売って僕らに挑んできた。
それなのにルカヴィ達の事を知らない訳は無いだろう」
僕の言葉を聞いたアルガスの表情がどんどん呆けていく。
「ハァ? ランベリー城はエルムドア伯の領地だろ?
それと御伽噺の悪魔がどう繋がってんだよ?」
ふと、このアルガスの態度である疑念が僕の中で湧いて来る。
でも、それを認めるのははっきり言って無理だ。
時間を遡っているなんて有り得ない。
「お前が何も知らないのは分かった、悪いがお前はこの城に拘束させてもらう。
お前のような奴を放置しておくわけには行かない」
貴族主義者であるアルガスは平気でそれ以外の人の命を奪える人間だ。
彼はここの一室にででも閉じ込めておかなくては。
「ラムザと言ったか? お主、ちと顔が青褪めておるがどうかしたのか?」
何か縛るものを探そうとした僕の顔を心配そうにサナキさんが覗き込んでくる。
「いえ、ちょっと立て続けに事が起きたので疲れただけです。
アルガスを拘束次第にすぐに僕らも出発しますので、サナキさんも休んでいてください」
取りあえずは納得したのか彼女は傍のソファーに腰掛けた。
青褪めている、か。
僕の不安はいつの間にか表情に出ていたようだ。
もし、もしも本当に時間が遡っているとしたら、
アルマはいったいどの時点でのアルマなのかを考えてしまうなんて。
最早、たった一人の肉親を僕は一瞬でも「聖アジョラ」を名乗るルカヴィとして
転生してしまった時の事で疑ってしまった。
有り得ない。
…でも、本当にそう言い切れるのか?
規制食らったのかな……?
規制喰らった…
続きを修正スレに投下してきたので
誰かお願いします。
E-2/城内ロビー/1日目・夜(18時)】
【ラムザ@FFT】
[状態]: 健康、後頭部にたんこぶ
[装備]: プリニースーツ@ディスガイア
[道具]: 支給品一式(食料1.5食分消費)、ゾディアックストーン・サーペンタリウス@FFT、
サモナイト石詰め合わせセット@サモンナイト3
[思考]1:ヴォルマルフ、ディエルゴの打倒
2:アルフォンス(タルタロス)よりも早くネスティと接触
3:白い帽子の女性(アティ)と接触しディエルゴについての情報を得る
4:ゲームに乗った相手に容赦はしない
5:ラハールの暴走を(今度こそ)抑える
6:アルガスを何処かに閉じ込めないと…
7:アルマが…まさかね
[備考]:現在プリニースーツを身に付けているため外見からではラムザだとわかりません。
ジョブはシーフ、アビリティには現在、話術・格闘・潜伏をセットしています。
ジョブチェンジやアビリティの付け替えは十分ほど集中しなければなりません
自分の魔法に関することに空白のようなものを感じている。(主に白魔術)
一部の参加者が過去から参加している可能性がある事を疑っています。
その為、一時的にルカヴィ化した事のあるアルマに対して一抹の不安を感じています。
【ラハール@ディスガイア】
[状態]: 健康
[装備]: フォイアルディア@サモンナイト3(鞘つき)
[道具]: 支給品一式(食料0.5食分消費)
[思考]: 1:取りあえずは七三を虐めて満足
2:自分を虚仮にした主催者どもを叩き潰す
3:そのためなら手段は選ばない
4:何とかして首輪をはずしたい
5:とりあえず今の状態を打開するまではラムザに同行
【サナキ@FE暁の女神】
[状態]:左腕に打撲痕
[装備]:リブローの杖@FE
[道具]:支給品一式、手編みのマフラー@サモンナイト3
[思考]1:ラムザ達と行動
2:帝国が心配
3:皆で脱出
4:アイクや姉上が心配
【アルガス@FFT】
[状態]:顔面と後頭部に殴打による痛み、(ラハールにより)うつ伏せに踏みつけられている
[装備]:なし
[道具]:支給品×2
[思考]1:ラムザには復讐したいがまずは逃げなくては!
2:戦力、アイテムの確保
3:リュナンとレシィとあの男(ヴァイス)に復讐
4:ラムザとディリータを殺す
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「取りあえず、リュナンがどっちに行ったのか分かるのかい?」
城を出て暫くした頃、マグナがホームズに尋ねた。
彼はその質問に少し困った顔をしている。
「それがな、正直わかんねぇんだよ。 城の中であいつを追っかけてた時に
一室だけ内部からガラスが割られている所があったんだよ。
真っ二つになった兜何かも転がっててな。
注意がその部屋に向いちまってた時に別な部屋から外に飛び出しちまったみてぇなんだよ。
音がした所に着いた時には後の祭りだった」
それだけを最後の方を尻すぼみに言うとホームズは頭を掻いている。
「エェッ!? あんだけ大見得切ってたのに何も分かんないんじゃないか!」
何か当てがあって行動していたのかと思っていただけに、マグナは彼の先程までの短絡的な行動に驚く。
「仕方無いだろ、見失っちまったもんは! 取りあえずはここから北東、
E-4の辺りにあいつが行っちまってないか確認しとく必要がある。
今のあいつだと何も分からずにそのままドカンと逝きかねないからな」
マグナも地図を確認し、彼に頷く。
「そうだね、それにもし怪我して動けない人とかいたら助けないといけないしな」
うんうんと頷いているマグナの様子を見て、ホームズは考える。
(こいつは、本気で参加者全員で生き残るつもりなのか?
さっきまでへこんでたのをそれで無理に誤魔化してる様にしか見えないけどな。
それに未だにあの隻眼のいけすかねぇ奴の事も信じている。
…こいつのこの優しさが命取りにならなきゃいいんだがな)
「ん? 俺の顔になんか付いてる?」
マグナは不思議そうに自分の顔を触っている。
「何でもねぇよ……それより、急ぐぞ!」
全ての不安を払拭するかのように彼らは駆け出した。
【E-3/草原/1日目・夜(18時)】
【ホームズ@TS】
[状態]:上半身に打撲(数箇所:軽度)
[装備]:プリニー@魔界戦記ディスガイア
[道具]:支給品一式(ちょっと潰れている)、不明(未確認)
[思考]1:リュナンをとっ捕まえて正気に戻す
2:取りあえずE-4(禁止区域)から捜索。
3:あのおっさん(ヴォルマルフ)はぶっ飛ばす
4:カトリ、ネスティと合流したい
5:弓か剣が欲しい
【マグナ@サモンナイト2】
[状態]:健康 衣服に赤いワインが付着
[装備]:割れたワインボトル
[道具]:支給品一式(食料を1食分消費しています) 浄化の杖@TO
予備のワインボトル一つ・小麦粉の入った袋一つ・ビン数個(中身はジャムや薬)
[思考]1:これ以上の犠牲者は出さない
2:ホームズと共にE-4の捜索
3:仲間を探す(ネスティと抜剣者達を優先したい)
4:皆とともにゲームを脱出したい
5:…そういや、召喚確かめてなかった
[備考]ユンヌ@暁の女神 が肩に止まっています。
アルフォンス(タルタロス)が黙って消えた事にショックを受けてはいますが、
彼をまだ信用しています。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
暗い。
どこまでも暗い空間を僕は走っている。
さっきまで何処か暖かい感じのする声が聞こえていた気がしたけど、もう聞こえない。
僕は何をしていたんだろう?
僕は何処へ行けばいいんだろう?
何かしなければいけない事があった筈なのに思い出せない。
僕は。
僕は何がしたかったんだろう?
暗い暗い暗い。
助けて助けて助けて。
誰か、僕に教えてくれ!
僕は如何すればいいんだ!
「死ねばいいのよ」
僕の後ろで誰かが囁いた。
振り返るまでも無い。
「私は死にたくなかった、でもあなたが私を殺した。 だから、あなたも死ねばいい」
彼女達が囁いている。
違う。
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う。
僕は間違っただけなんだ、殺したくてやったわけじゃないんだ!
「そう、でもそれは関係無い。 見て、あれがあなたの罪」
彼女達の声に僕は立ち止まる。
背後から伸ばされた腕が指し示す方向に彼女の顔がある。
「ウワァァアアアァァッ!!」
何で?
僕が埋めた筈なのに、嫌だここにはいたくない。
「駄目よ、ほらあそこも見て」
指し示す先に、其処に
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
彼は剣を無言で鞘に収める。
足元には血溜まりに臥した一つの死体。
「錯乱しているとは思っていたが、既に狂気に堕ちたか」
少し前に話は戻る。
タルタロスはマグナからの情報は全て引き出したと判断した。
ならば、するべきことは二つのうちどれか。
用済みであるマグナを始末するか。
殺意を捨ててこの場を去るか。
彼を殺してしまいたいと言う気持ちは強かったが、
あの状況で殺してしまえば疑いを避けることは出来ない。
今はまだその時ではない。
一時の感情で大局を左右してしまうのは愚者のする事。
だから、彼は彼らの元から去ることにした。
これ以上関わればいつかこの殺意を殺しきれなくなる時が来るかもしれないのだから。
それに、彼らには自分を疑っていても危険と判断する決定的な証拠となるものは何一つとしてない。
彼らには見つからぬように踵を返す。
来た道を戻るだけでは簡単に見つかる可能性があった為、近くにあった森にその身を隠した。
そこで彼は興味深いものを見つける。
「墓か? 贖罪のつもりか分からんが、この状況に措いては戯れに過ぎんな」
ただ石を積み上げただけの粗末な墓を彼はあっさりと暴いた。
何か使えるものが手に入ればいい、彼にとってはそれだけの意味しか持っていない。
石を除け、土を少し掘り返し、埋められていた者の顔が見えてきた所で
慌ただしくこちらに向かう者の気配を感じ、近くに隠れる。
気配の主はマグナ達ではなく茶髪の青年、リュナンだった。
リュナンは正気を失くした目で周辺を見回していたが、目線が墓に向いた途端、
彼は大袈裟に取り乱し叫んでいる。
荒い呼吸を整えもせずに不意に動きを止めた彼は、
まるで何かに導かれるかのようにタルタロスが隠れている場所を探し当てた。
「違うんだ、許して、助けて、僕は、誰か…」
ぶつぶつとうわ言を呟きながら救いを求めるかのごとく迫るリュナンを
タルタロスは一刀の下に臥した。
狂人には利用価値が無い。
それだけの事である。
だが、今際の際の筈であるリュナンの表情はまるで罪を許された子供のように安らかなものだった。
「死ぬ事で救われるとでも思ったか…哀れだな、死は終わりに過ぎん。
そこに救いなどありはしない」
【F-2/森/1日目・夜(18時)】
【ランスロット・タルタロス@タクティクスオウガ】
[状態]:健康
[装備]:ロンバルディア@TO
[道具]:支給品一式(食料を1食分消費しています) ドラゴンアイズ@TO外伝
[思考]1:生存を最優先
2:ネスティとの接触を第一目的とする。
3:抜剣者と接触し、ディエルゴの打倒に使えるか判断
4:ラムザに対して強い警戒感
5:『カーチス』という名に興味。ネスティと同じ立場にあるかもしれないと推測。
6:脱出が不可能な場合は優勝を目指す。
[備考]:マグナの話から魔剣が一部の者にしか使えないと判明したため、強奪を一旦、保留しました。
マグナ達への殺意はその場を離れた事でおし留めただけで消えた訳ではありません。
【リュナン@ティアリングサーガ 死亡】
【残り39人】
やっとコピペ投下が終わったと思ったら。
投稿しすぎ。バイバイされたよ…
もう、代理投下できねぇ
>>425 すいません、本当に申し訳ないですorz
ですが助かりました、多謝です。
規制は本当に勘弁したいですね……
ちょっと聞きたいんだけど、IP開示をする場合どうやればいいんだっけ?
気になってるロワの投票がIP開示らしいから、投票する時に自分がなにすればいいのか
気になってしょうがないんだ。
fusianasanでググれ
というかなんでこのスレで聞くんだよw
>>428 サンクス!
いや…あまりに初心者な質問だけど、どこで聞けば思いつかなかったんで、
優しい人がいるロワスレを探したらここに行き着いたというのが本音です。
TSキャラが三人死んでるのに、ホームズはノーコメントだな
(リュナン探し優先してるだけかもしれないが)
ラムザはガフガリオンの事を忘れてないか?
忘れてる訳じゃなく、死んだ筈の人間だから
アルガス辺りと同じデスナイトなのではないかと
思ってるという感じで自分は書いてます。
そもそも死者蘇生が本来あり得ないので。
>>431 すまん…PSP版をやった事がない所為か把握仕切れなかったorz
ホームズは現在目の前のリュナンを追うのに精いっぱいだからね。
ただ落ち着いてきたら流石にオイゲンじーさんやリチャードには
やっぱり言及あると思います。
あとすいません。wikiで若干名前の前回登場話、次回登場話辺り
少し試しています。Neckの作品のfontの使い方と、他作品のfontの使い方、
どっちが見やすいか意見ください。全部どちらかに合わせますので。
>>433 アル魔の第二被害者の事を忘れないでください。
wikiの更新完了。
新しいMAPが欲しいです…。
>>434 そういや顔割られてましたね、彼女…。
致命傷は全て心臓を抉ってる辺りがすこし嫌杉。
人呼んでハートのクイーン、か。
F-4の百合カップルがホームズ達と遭遇しそうだな。
>>436 その前にタルタロスと出会ってアーッ!な展開もありえるし、
ホームズがルヴァイド隊と合流する可能性もありえる。
>>437 アーは断末魔か?
それにしても首輪を外せそうなキャラは
危険と隣り合わせの状態だな
ムスタディオなんかは出落ち同然だよな…
ムスタは今も活躍してるじゃないか!
……クリスタルとして
アーッ!を本編中に言ったのは確か中ボスだけだけどねw
それよりもゴードン、ミカヤ、カーチス、オリビアで
予約します。
>>435 いつも大量更新申し訳ないですorz
MAPを作る技術が無いので今の状況はどうしたものか……
cgiを勉強しようかな?
マップをNo.090までの情報に更新しました。
間違っているところなどがあれば報告をお願いします。
wikiに投下順と時系列順を全作品に追加しました。
これで時間把握であったり、連続して読む際は
かなり見やすくなったはずです。流石に疲れた…。
緊急連絡。
仕事の都合で出張が入った為、作品投下は早くともGW以降になると思います。
あと、予約からヴァイスだけが外れます。
仕事じゃ仕方ない、リアルを大切に焦らず行きましょう。
オリビアの初期Luk値っていくつだっけ?
アライメントはLawだからLuk%の確率で…。
確認したらLUK55だった。
こうしてみるとタルタロスさんのLUK70って鬼だな……。
ふと思ったんだけど。
初対面の女性が薄汚れた姿で虚ろな目でうわ言を呟き、
スカートから太股を伝うように血を滴らせ片足を引き摺るように歩いていたらどう思う?
普通なら接触は避けるな。絡まれたらやばそうだし…。
まあこれはロワだからどう反応するかなんて千差万別だけどさ。
一般人ならともかくロワに参加させられてる人はだいたいが歴戦の強者だから相手が正常かどうかは分かると思う
さて、質問。
Cー3村組メインの漆黒、アティ、ヴァイス、ハーディンの四人には、ある意外な一つの共通点がある。
それはなにか?
ちなみに「得手」が剣っていうのは違いますよ。それは意外でもなんでもないし。
いや、ロワ参加前の経歴上の共通点だから違う。
勘だけど、皆暗い過去持ちかな?それも結構鬱度の高いやつ
鬱度高めの暗い過去引き摺って、今の人格にさえ影響与えているのは四人中三人は確かにそうだな。
両親と他界または絶縁状態で天涯孤独の身というのも三人は共通点。
ハーディンは不明部分もあるので微妙。まああれだ。もっと単純だ。
原作で皆殺しまたはそれに近いことをやった人達とか?
進め方次第でキャラが大きく変わるとか。ヴァイスとアティ先生しかわからんけど。
しっこくとハーディンは主人公達に倒される。
強いて言えば四人とも元から悪者じゃないくらいしか思い付かんな
まぁ…アティとハーディンはいわく付きの代物で暴走してるのと
しっこくとヴァイスは自分の意志でやってるから違うかな。
おお。予想以上の反響で嬉しい。
ジェノサイドは意外な事に漆黒一人が非該当。
民家からの強襲や川辺でぬこの死体の山築きこそしてるものの、
特別な理由もなく、自分から積極的に戦闘力のないものを殺戮したりしない。
意外と騎士道しているのは師の影響か?
あるいは単に「血の滴る極上の獲物をこの俺に喰わせろ!」なグルメなだけかもしれんが。
四人の共通点の解答は「英雄と呼ばれた事が一度でもあること」。
ヴァイスはデニムの陰に埋もれてるが「ゴリアテの“英雄”」の中の一人
(一章のタルタロスとデニム達の会話で、本来彼ら三人の事を指すと判明)。
アティは過去において帝国のプロパガンダで“英雄”に祭り上げられたことがある。
漆黒の騎士の表の顔はベグニオン帝国における“英雄”の異名をもつ。
(デインでもデイン=クリミア戦役時には英雄扱いされている)。
ハーディンは「英雄戦争」においてまさにマルスと同格の悪の“英雄”扱い。
(前ドルーア戦役では紛れもなく真の“英雄”扱いなのでニーナの婚約相手となった。)
一方、やや穿った見方をすれば、皆軍の中にいる間に死刑になっても不思議じゃないほどの犯罪を犯した身というのも共通点。
確証こそないが、可能性が高くアレな言い方をすると“異性経験がゼロ”。皆、異性には純情かもしれん…。
ヴァイスはCルートなせいで英雄って言葉と全然結びつかないなw
Lルートのかっこよさは異常だけど。
やっぱりまだ規制中だったorz
したらばにゴードン組を投下してきました。
矛盾とか、指摘をお願いします。
投下乙ー
自分は大丈夫かと思いますよー
オリビアはゾンビになってる所為か、ミカヤの読心がなかったな。
うむ。投下乙です。
てっきりあっさり倒せるはいいが、ゴードンとの間に誤解フラグ発生で
対立してしまうのかとばかり思ってました。
しかし、カーチスは本来武芸の達人ではないとは言え、あの超人ども相手に意外と善戦できるものだね…。
しかし、流石に今回エンジェルナイトに転生はなかったかw
オウガ世界の魔法がこの会場で使える地である以上、アティやアグリアスも可能性があるのが不安だw
投下乙
時間の短縮放送が流れる前にどうにか首輪が取れたな。
保守
さて…勝手に代理投下するか…
すいません、覗いてませんでした。
>>420の方。
まだ、代理投下をお願いできるでしょうか?
重ねて、返事が遅れて申し訳ありません。
放送は終了した。
無慈悲にそして残酷に流される声をゴードンは唇を噛み締めながら聞く事しか出来なかった。
彼の唇から血が滲み、口腔内に鉄の香りが沁みる。
(すまない、君たちの無念は地球勇者である私がきっと晴らしてみせる!)
それを心の中で誓うことしか、今の自分が極悪非道たるあのヴォルマルフという悪人の為に
死んでいった者達に手向ける事が出来ないのだから。
そんなゴードンの様子をミカヤはその能力ゆえに敏感に察知し、
敢えて言葉は交わさずに静かに放送で告げられた禁止区域と死亡者に印を付けていた。
放送が終わり、ミカヤが印を付け終わるのと同時に
ゴードンはがむしゃらにリュックを漁り、
中から出てきた食料を片っ端から口の中に詰め込んでいく。
空腹では満足に動くことは叶わない、
これからの為にも今は腹を満たすことにする。
無理やり食料を貪るゴードンの傍らで、
ミカヤはリュックの中から出てきた
紙の箱に入っているブロック状の物体を不思議そうに眺めた後、
思い切って口の中に入れてみる。
それがさくさくとしたクッキーのようなものだと認識した後、
それを一箱だけ食べて、あっさりと食事を終わらせた。
横でゴードンが流し込むように水筒の水を飲み込むと、彼は勢いよく立ち上がる。
彼を奮い立たせるものは地球勇者としての誇りとその正義。
そして、死者の無念が彼の背中を後押ししている。
「ミカヤ君。 キミが疲れているのは承知だが、地球勇者である私には
これ以上誰かが犠牲になる事を黙って見過ごすことは出来ない!
負傷している君はここで休んでいて貰っても構わないが、
私は他の者達を悪の手から守るためにも行かなくてはならない!」
勢いよく捲くし立てたゴードンに対してミカヤはまず軽く微笑み、
ゆっくりと返事を返した。
「私ならもう大丈夫です。
回復魔法に関してなら私の方がゴードンさんより得意だと思いますし、
それに私だって黙って見過ごすことは出来ないですから」
出血量は甘くなく、今だって大分無理をしている筈なのに
気丈に振舞う少女の姿にゴードンは胸を打たれる。
「…そうか、すまない。 キミに対して休んでいてくれと言ったのは失礼だったかもしれない。
着いてきてくれると言うのなら、これ以上キミを無理に止めはしない。
だが、地球勇者として、いや、一人の男としてこれだけはさせて貰う!」
つかつかとミカヤに歩み寄ると彼はミカヤの身体を軽く抱き上げた。
…所謂、お姫様抱っこの形である。
「えっ? 何ッ! キャッ!?」
急にゴードンに抱き上げられ、ミカヤはさすがに思わず声を上げてしまう。
「HAHAHAHA!! 何、気にしないでくれたまえ。
キミが疲れているのなら私が支えてあげればいい話じゃないか?
移動は私に任せてキミは眠っていてもらっても構わないさ。
キミみたいなプリティレディなら百人だろうが抱き上げられるさ!」
歯の浮くような台詞を歯を輝かせながら至極真面目に言ってのけるゴードンに
ミカヤは最初こそ驚き、戸惑いこそしたが妙な安心感を最後には抱いてしまう。
それは覗き見た彼の心が実際には深い悲しみに覆われているのに、
ミカヤを安心させる為だけにわざと陽気に振舞っている彼の本心を知ってしまったからなのかもしれないが。
「キミがもう少し大きくなったら、その時にお礼のキッスを頂ければそれでチャラさ!」
最後の台詞に少し苦笑いした後、「すみません」と一言だけ力無く返すと
それまでミカヤの意識を保っていた緊張の糸はぷつりと切れ、深い眠りへと彼女は落ちた。
腕の中で静かに寝息を立てている不思議な少女を起こさないようにゴードンは心の中で礼を言う。
(本当にすまない、事が事だけにキミを臨時地球勇者助手に推薦したいくらいだが、
今はこの程度で許して欲しい。 それにしても不思議な少女だ。
まるで相手の事を見透かすような瞳をしている…)
一度、ちらりと彼女の顔を覗いてみたが腕の中の少女からは先程まで感じていた
奇妙な感覚は見受けられないようにも感じられる。
自分の勘違いなのだろうかとも思いながら、近くにあった毛布で彼女の身体を包みこむと
ゴードンはミカヤを起こさぬように慎重に階段を降り始めた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
時刻は放送前へと遡る。
淡々と階段を降り続けていたカーチスの耳に宣言されていた通りの放送が聞こえてきた。
主催者によって無感情に告げられていく放送の内容を彼は何かに記述しようとはせずに、
次々とその天才的な頭脳に叩き込んでいく。
足を止めている暇は無い。
彼の中にもゴードンと同じように流れる地球勇者としての魂がそうさせていた。
前方からは既に足音は響くことも無くなっている。
あの女性は階段を降りきったのかと考える。
とてもじゃないが信じられない話だ。
だが、先程の部屋であの女性と対面した時にぶつけられた殺気を思い起こすと
それも信じるしかないのかもしれない。
「…あれは、人の持てるもんじゃあない…」
まるで全ての生きとし生ける者を呪うかのような殺気。
そんなモノは人は持つ事は出来ない。
出来るとするならば、それは既に“魔”そのものだ。
(ゴードン。 アンタはアレを多分洗脳か何かだと思ってるんだろうな。
だが、アレはそんな甘っちょろいものじゃなさそうだ)
洗脳技術などに関してはゴードンはカーチスの足元にも及ばないだろう。
彼の機械工学の知識の上で学び、時にその手を汚した知識が可能性を否定している。
洗脳を受けた人間からはあのような意思は消失し、目的に沿って行動するだけだ。
それらを考えながら、自分がゴードンのパートナーでもあったジェニファーに
してしまった事を思い起こし、表情を曇らせる。
「…俺はあんたとは違う。 だからこそ、汚れるのは俺だけでいい」
カーチスは再度、決意を固める。
十を救うために一を犠牲にしなければいけないのなら、
それをするのは云わば“裏”の地球勇者である自分の仕事だ。
第一、“表”の地球勇者であるゴードンはその一を見捨てる事なんて出来やしないのだから。
此処でゴードンに会い、先程の言葉でそれを再確認できた。
階段の先に出口が見えてきた。
扉は逃げ出した女性により、半分開いたままの状態の先から入り込んでくる光は既に無い。
それを確認し、階段に掛けられていたランタンの一つを取ると彼は外へと出た。
外へと出た彼はすぐに自分に向けられている殺意に気が付いた。
その殺意の先には深い森が見えるだけで其処に姿を捕えることはできない。
殺意の主だけはそれでも特定できた。
「…本当に追う気は無かったんだがな」
先程ぶつけられた殺意を忘れる訳も無く、
というより忘れることなど出来ない程の殺意の主はあの女性にまず間違いは無いだろう。
逃げたとはいえ、自分たちの事を諦めたという訳でも無さそうだ。
カーチスがこのまま此処を去れば、その殺意はきっとゴードン達に向けられるだろう。
ゴードンと一緒にいた少女は見るからに疲弊していた。
「悪いな、あんたとの約束を破ることになる」
今からの結果で、
例え、ゴードンに恨まれようと。
例え、殺人者と蔑まわれようと。
その全ての責を自らに負い、咎を受ける覚悟で。
彼は森へと足を踏み入れた。
殺意は自分が追うと同時に森の深部へと離れていく。
日が落ちた森の中は一層に闇を増し、
カーチスが持つランタンの灯りすら心もとなく感じられる。
(どうやら、俺を誘っているようだな。
チッ、暗視機能なんかが残っていれば良かったんだがな)
全身を機械化した彼の能力は本来なら、
このような闇の中でも日中の如く捉える事ができただろう。
だが、その能力は制限され、殆ど生身の人間と変わらない身体能力しか残されてはいない。
ある程度、奥へとカーチスが入り込んだ時、不意に殺意が消えた。
森は静寂を讃え、葉が風に擦れる音が聞こえるだけである。
(…ありえない。 それ程の達人ではないはずだ)
塔で衝突した時に女性の体術は承知している。
あの身のこなしは殆ど素人のものだった、
昔の自分と同じで前線で格闘するよりも後方の支援に周っている者の動き。
それがカーチスの女性に対する認識だった。
殺意を消すなど、それこそゴードン以上の達人か
自分が作った命無きアンドロイド位しか出来るものはいない。
(…命が無い? まさかッ!)
ある可能性に気づいた刹那、背後に微かな気配を感じ、咄嗟に身をかわす。
振り下ろされたナイフは彼の背中を掠め、浅い傷跡を残している。
奇襲が失敗したことを悟るとすぐに女性はまた、闇の中へと身を隠した。
背中の傷から流れる血の温もりを感じながら、
カーチスは此処が完全に相手のテリトリーの中である事を理解する。
「これも、あいつらの仕込みか…俺が言えた義理でもないが、人を何だと思っているッ!」
放送で名前を呼ばれた者なのかは分からない、だが奴らの傀儡とされたこの女性は哀れだ。
ランタンを地面に下ろし、剣を構え、次の襲撃に備える。
既に気配は消えている。
奇襲を繰り返しながら、こちらの消耗を待つつもりなのだろう。
先の無線機の改造で不調を抱えている肉体に不安を感じながらも、
もう一人の地球勇者としてカーチスは退く事ができなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
先程の放送から時刻にして30分ほど経過した所だろうか。
ミカヤを抱き上げたままの移動ではゆっくりとしか動けず、
思いの外、時間がかかってしまった。
やっと見えてきた出口にゴードンは正直安堵する。
ミカヤの前では余裕であると豪語した手前、
途中で休む事無く階段を降りていたゴードンの足が悲鳴を上げている。
ゴードンが思っていたほど、人一人を抱き上げての移動は楽なものではなく。
ミカヤの体重は軽かったから良いものの、それでもこの階段はきつかった。
(た、助かった…これで、やっとこの段差地獄が終わる)
呼吸が乱れてミカヤを起こしてしまわぬように、
息を整えながら扉を身体を使ってゆっくりと押し開ける。
外は既に暗くなっている。
(カーチスは近くにはいないのか?)
自分とカーチスとの距離は既にかなり離れてしまったのだろうか?
そのようなことを考えながら、ゆっくりと辺りを見回す。
辺りには人影は見えないが、前方の森の中でたまに何かの灯りが煌くのが見えた。
(あれはカーチスのものか? …それともあの女性か?)
ミカヤを襲った女性。
ミカヤが持っていた写真付きの名簿から、
あの女性がオリビアという人物である事が分かったが
それでも何が彼女を強硬に走らせているのかまでは判断がつかなかった。
どんな理由にせよ、正気を失っているであろう彼女を元に戻すのも地球勇者である自分の使命である。
それにどちらが待っているにせよ、確認しておかなければいけない事は両者共にある。
問題は、今、自分の腕の中で眠りについているミカヤの存在である。
このままの状態でもし襲われればひとたまりもないし、
かといって、この場に蔑ろにする事は彼女に嘘をついたことになる。
基本的に正直な人間であるゴードンは判断に迷いかね、
いっその事と思い、彼女を地面に下ろし声を掛けた。
「…ッぅん…」
低く喉を鳴らし、瞼が重たげに開く。
はっきりとは意識が覚醒していない彼女がぼんやりとゴードンの方を見つめている。
「すまないが、私はこの先の森の中を見てこようと思う。
キミは後から付いて来てくれたまえ」
それだけを言い残すとすぐにゴードンは森の中へと駆け込んでいく。
背後でミカヤがよろよろと動き出そうとしているのが分かったが足を止めることは出来なかった。
静寂を保つ森の中で微かに弾き合う剣戟の音が響くことがある。
焦燥感を憶えながら灯りの先にゴードンが辿り着いた時、
それは予想していたものとは違う光景であった。
息を切らし、全身に切り傷を負ったカーチスの姿が其処にあった。
「カーチスッ!! その傷は!?」
駆け寄るゴードンを横目で確認すると、
彼は眉を顰めた。
「無様な所を見られたな、あんたとの約束を破った罰がこれらしい。
ゴードン、気をつけろ。 あいつは何処から来るか分からない…」
カーチスは周囲を警戒したまま、ゴードンにそれだけを告げる。
「…約束に…あいつ? カーチス、相手はあの女性かッ!
キミは追わないと言った筈だぞッ!」
「状況が変わったんでね…ゴードンッ!」
カーチスが自分の後方を見て叫んでいる事に気がつき、思わず振り返る。
其処には唐突に現れた女性が居り、眼前に煌く何かが振り落とされようとしていた。
咄嗟に両腕を交差させ、白刃を受け止める。
額に寸でのところで防ぎとめた短剣はすぐに引っ込み、
その所有者である女性が闇へと飛び込んでいった。
「…危なかった。 馬鹿な、私に気配を察知されないとは…」
背後に迫られるまで、その存在に気づくことすら出来なかった。
驚愕しているゴードンにカーチスは状況を簡単に話す。
「まんまとおびき寄せられたんだ、俺達は。
この暗闇と時たま聞こえる森のざわめきに感覚を狂わされちまう」
それに妙な引っ掛かりをゴードンは覚える。
「だが、彼女はまるで気配が感じられないぞ?
それに君の能力なら暗闇は関係の無いはずだ」
死角を失くす為に背中合わせになりながら、疑問をカーチスにぶつける。
「一つ目の答え、それは多分あいつが生きている人間じゃないからだ。
だから、生命反応が無いあいつは俺の作ったアンドロイド達の様に気配を感じにくい。
二つ目、今の俺の機能はあんたたちと同じ程度しか残されてない」
「それは無い、それは無いぞカーチス。
あの女性、オリビアの名前は呼ばれてはいなかった。
彼女は生きている!」
カーチスの考えを聞かされたが、それは先程確認済みである。
ゴードンからそれを聞いたカーチスは表情こそ変えはしなかったが
全身から怒気を漲らせ始める。
「原理は分からんが、生きながらに死人にされたか…」
カーチスの態度から彼が嘘をついている訳ではない事を察する。
「それならば、彼女を戻す方法もきっとある筈だ」
だが、その上でなお、ゴードンは自らを殺そうとしているものを救おうとする。
そんなゴードンの様子にカーチスは変わらぬ彼に安堵を覚えると同時に彼に苦言を呈する。
「悪いが俺の技術でもそれは専門外だ。
一度、人の身を捨てた者を戻す事は出来ない。
俺がその証拠だ」
カーチスは自分の身体を指し示す。
彼の身体を理解しているゴードンは返す言葉が見当たらず、
一度は黙り込んだがそれでも食い下がろうとする。
それをカーチスが制止しようとする、その一瞬の隙に彼の眉間に衝撃が走った。
「…グゥオッ!?」
額を押さえ、思わず屈み込む。
暗闇からの投石が彼の眉間に当たった様だ。
幸い、目には当たらなかったようだが
屈み込んでいるカーチスの姿に
これが全て自分がごねてしまった所為だとゴードンは思い込んでしまう。
そして責任を感じた彼は思い切った行動に出た。
「ウォオオオオォォッ!!」
投石された方角にゴードンは雄叫びを挙げながら突っ込んでいく。
背後でカーチスが制止しているがゴードンの耳には届かない。
ランタンの灯も届かない闇の中にオリビアの姿を探す。
不意に闇の中からオリビアが短剣を構え襲い掛かってくる。
オリビアの短剣から逃れようとはせずに正面からそれを受け止めた。
ゴードンの右腕を切り裂き、めり込んでくる感触と激痛が伝わってくる。
だが、それを物ともせずに筋肉を引き締める。
微動だにしない短剣を引き抜くことも叶わずにオリビアの動きが止まる。
そこへゴードンはオリビアの鳩尾を目掛けて正拳突きを叩き込んだ。
「これぞ! 地球勇者流『肉を切らせて骨を絶つ』だッ!」
常人ならば今の一撃で気絶する。
そう、常人であるならば。
衝撃に一瞬、前のめりにはなったがオリビアはすぐに体勢を戻し、
油断して弛緩したゴードンの右腕をより深く切り裂ながら短剣を引き抜いた。
右腕から流れる血により、ゴードンは初めて自分が甘い考えで
オリビアを止めようとしていたことを思い知らされる。
「キミは…本当にもう人じゃなくなっているのか?」
カーチスに散々言われた事をゴードンは否定したかった。
だが、目の前の女性は流れる血を見て嬉しそうに嗤っている。
それは到底、正気の人間が見せる貌とは思えないものであった。
けらけらけらと嗤いながらオリビアが再度、ゴードンに襲い掛かる。
残された左腕で何とかオリビアの腕を掴み、
短剣を止めるが左腕一本のゴードンに対してオリビアは
その全体重をかけてじりじりとその刃先を詰め寄らせる。
窮地に陥ったゴードンをカーチスは助けに向かおうとするが
その足が上手く動かない。
「クソッ! 駆動系が熱をもったか?」
身体から不協和音が鳴り響く。
オリビアの奇襲を捌いてきた事による無理は確実に彼の身体を蝕んでいた。
既に左足は引きずるようにしてしか動けない。
それでも彼はゴードンを助けに行こうとする、
一人の友として。
そのカーチスの後方から草の根を掻き分ける音が聞こえる。
振り返ったカーチスの瞳に一人の少女の姿が映る。
弱弱しい動作でここまで歩いてきたミカヤはまずカーチスに気がつくと、
次にその奥で追い詰められているゴードンの姿を捉える。
「…頼む」
ミカヤを見つめながら、カーチスが一言だけ告げる。
その言葉に頷くとミカヤはゴードン達の方に向かっていく。
「わ、私は大丈夫だ! それよりもキミはカーチスを連れてここから離れ…ゥウォッ!」
ミカヤの姿に気づいたゴードンが彼女を必死に止めようとするが
力を緩めれば即座に詰め寄られてしまう為にそれ以上動くことが出来ない。
「あなたは私を助けてくれました…今度は私があなたを助けます!」
ある程度の距離まで近づいたミカヤは、目を閉じると魔道書を携えて魔力を集中させる。
(この魔道書から感じる暖かい力。 きっと私にも使える筈…力を、下さい!)
貯えられた魔力が魔道書へと流れていく。
目を見開き、彼女は唱える。
「天駆ける星々の輝きよ、我が下に集いて汚れし大地を浄化せん…!」
放たれた魔力は天へと昇り、弾け飛ぶ。
散り散りになった魔力はその姿を星々へと変えて、辺り一面にその輝きを降り注ぐ。
「これは…流星? いや、光か?」
幻想的ともいえる光景にカーチスも思わず目を奪われる。
降り注ぐ輝きは彼の身体に当たる前に消滅し、
彼には何の影響も与えない。
だが、オリビアへと降り注いだ輝きは
まるで彼女を断罪するかの如く、その身を容赦なく吹き飛ばした。
カーチスと同じように何の影響も受けなかったゴードンが
死の束縛から解放されて膝を着いた。
それだけを確かめると、ミカヤはその場に倒れ臥した。
「ミカヤ君!」
ゴードンはすぐにミカヤへと駆け寄り、その身を起こす。
肌は激しい疲労により蒼白となってはいるが、呼吸はしっかりと続けている。
安堵したゴードンはゆっくりとミカヤを寝かせると
吹き飛ばされたオリビアの姿を探す。
オリビアは先程までゴードンのいた場所の少し奥に仰向けに倒れていたが、
それでもなお起き上がろうとしている。
「本当にもう、唯の人ではないのか…」
痛みを意に介さないその動きにゴードンは
改めて彼女が置かれてしまった運命を嘆く。
物理的に彼女を止める為には間接の
何本かを折らなくてはいけないと覚悟を決める。
だが、オリビアが立ち上がりきる前に異変は起きた。
彼女の指先から徐々に光の粒子へと変じていき、
彼女がはめていた指輪が地に落ちる。
「こ、これは…」
ゴードンが突然起こった異変に困惑していると、
オリビアが彼へと振り向く。
その表情は先程までの無機質なものではなく穏やかなものであり、
申し訳無さそうな表情をしたまま、深々と頭を下げた。
その間も彼女の身体は光へと変わっていく。
「待て、待ってくれ! 私はキミを…」
ゴードンの嘆きを彼女は気にしないでというように頭を振る。
彼女は既に腕は消滅していたが祈るような構えで瞳を閉じて天を仰いだ。
最後に微かに、
「…デニム…」
想い人の名を呟くと、その肉体は光となって闇へと溶けた。
「何て…何て事だッ! 私は地球勇者失格だ…目の前の女性一人も満足に助けられないとは!」
地面を殴りつけるゴードンにカーチスが足を引きずりながら傍に来る。
カーチスは項垂れるゴードンの襟を掴み無理やり立ち上がらせた。
「ふざけるなッ! あんたがそんなんじゃ、あの女が浮かばれねぇだろ!
地球勇者失格だなんて言ってる暇があったら、さっさとその腕でも止血しろ!」
それだけを言うとゴードンを突き放し、彼はオリビアが消滅した辺りに向かう。
彼女の肉体は消滅したが、その場には彼女の衣類等は残されている。
そこからカーチスは残された首輪を拾い上げる。
「カーチス、キミはそれを…」
ゴードンがそれに気づき、彼に問いかけようとしたが。
「今はあんたに言える事は何も無い」
首輪を指でトントンと叩き、カーチスが答える。
その意図を察したゴードンは追求を止め、
代わりに止血の為に腕を縛りながら礼を告げる。
「すまない、カーチス。 確かに私は彼女の為にも地球勇者を辞める訳にはいかなかった。
そうだ! 礼と言っては何だが君の傷を治すことも出来るが?」
ゴードンらしい立ち直りの早さにカーチスは安心しながら、
その申し出は却下する。
「俺のは内部部品の問題なんでね、多分あんたの方法では治せないさ。
それに、俺にもやらなければいけない事がある。
悪いがあんたとはここでまたお別れだ、あの女の荷物はあんたが使いな」
カーチスがその場を去ろうとした時、
一陣の風が吹いた。
はためくオリビアの衣類から一枚の羽が舞い上がり、
思わずカーチスはそれを掴んだが、
握られていた手を開いた時にはそこには何も無かった。
(……幻か?)
フッと鼻で笑いながら、彼は闇夜へと消えた。
カーチスが去った後、残されたゴードンはミカヤの荷物から
回復の杖を取り出すと止血した腕の治療を開始する。
傍ではミカヤが深い眠りについている。
今度は無理に動かす事も出来ないだろう。
この森の中で一夜を過ごすことを決めて
カーチスが残していったランタンの灯りを見つめていた。
またバイバイされたよ…
【B-2/森/1日目・夜】
【ゴードン@魔界戦記ディスガイア】
[状態]:右腕に切傷(重症、止血済み、治療中)
[装備]:ダグザハンマー@TO、回復の杖@TO、バルダーダガー@TO
[道具]:支給品一式×2
参加者詳細名簿(写真付き)@不明、呪いの指輪@FFT
[思考]1:ミカヤを守る
2:休憩と今後の方針決め
3:打倒ヴォルマルフ
【ミカヤ@暁の女神】
[状態]:昏倒
[装備]:スターティアラ@TO
[道具]:支給品一式、
[思考]1:疲労による昏倒により思考不能
【カーチス@魔界戦記ディスガイア】
[状態]:背中及び数箇所に切傷(軽症)、左足に異常(要修理)、若干の性能劣化
[装備]:オウガブレード@タクティクスオウガ
[道具]:支給品一式
鍵@不明、オリビアの首輪
[思考]1:手に入れた首輪を解析して取り外し方法を調べる
2:一旦、アティに連絡するか?
[備考]:ゴードンは何故オリビアがアンデット化したのかは把握していません。
【オリビア@TO 死亡】
【残り38人】
バイバイされながらもやっと投下できた…
また、巻き込んでしまったorz
代理投下、本当にありがとうございます。
そして、巻き込んでしまって申し訳ありません。
投下されていたのを今、確認したので支援も出来ませんでしたorz
そういやふと思ったが、マグナのいる世界にトリスはいないんだよね?
主人公は男女別だから男主が出てきたら、女主は出てこない。
大変長らくお待たせ致しました。
したらばに仮投下完了です。時間はかけまくりましたが、その分の出来にはなっているはずです。
批評、感想等頂けると有難いでしす。
ネスティが色々な意味でひどかったり、まあアレな部分もありますが。
大丈夫でしたら、こちらへの代理投下もどなたかお願いします。
規制がまだとけないので。
489 :
助けて!名無しさん!:2009/05/18(月) 14:56:25 ID:Nsf+RMgC
>>488 まだ見てないが仮投下乙
でもすぐに本スレに組み入れるのは早過ぎるような…
もしかして、誰もいない?
普段からこんな状態だな
それにしてもネスティは沈黙が治るのが以外と早いな。
仮投下のものを代理投下します。
緋と闇は交差する。
死の刃は交差する。
戦鬼達は交差する。
暗黒皇帝と呼ばれた赤い悪魔と、
漆黒の騎士と呼ばれた黒い死神。
ともに住まう大陸全土に巨大な厄災を撒き散らし、
屍山血河を築き上げた事で歴史に名を残した希代の梟雄達は、
何度となく擦れ違い様にその槍と斧を交えた。
両者の一撃が共に必殺の一撃。
一度その刃が身体を捉えれば魂まで吹き飛ばされる、
生命を根こそぎ刈り取る必滅の刃。
その処刑の刃を両者はすんでの所で躱し、
あるいは手にする得物で華麗に受け流す。
幾度もその斧が馬首を掠め、あるいはその豪奢な衣装に裂け目を入れる。
幾度もその槍が漆黒の装甲を掠め、いたる所が切り裂かれ、めくれ上がる。
その鋼と鋼が衝突する事で周囲に響き渡らせる耳障りな騒音は、
互いの得物が限界を訴える生命無き者達の苦痛の訴えのようにも、
眼前の獲物の血を吸える歓喜の咆哮にも聞こえた。
その異常極まる擦過音を聞くだけで、常人なら魂を砕かれてしまう事であろう。
だがしかし、その騒乱の中心人物達はその騒乱の中で心萎えるどころか、
その背に冷汗一つかくことさえなかった。
恐怖を抱かぬ理由には、己の技量における全幅の信頼も確かに存在する。
だが、それ以上に。
両者はともに、戦いに狂う悪鬼であり修羅なのだ。
常人ならぬ、人ならぬ戦鬼が、己が死など恐れようはずがない。
だが、その二人の心を占めるものは大きく違っていた。
心より歓喜し、この相剋を愉しみ抜くは黒い死神。
心より憎悪し、憤怒の形相を浮かべるは赤い悪魔。
互いに心身を極限にまで削り合いながら、
その両者の心の距離は決して縮まることはなく、
むしろ地平線の彼方にまで遠く掛け離れていた。
◇ ◇
――この男、一体何者なのだ?
ハーディンは一命を賭して愛する者を愚弄された憤怒に身を灼きながらも、
目の前の不遜も極まる黒騎士に対して、沸きあがる疑念を抑え切れずにいた。
あの黒騎士は竿の長さを持つ諸刃の大斧を身体の後ろに構える。
マントを翻して背を前に向け、体幹でその得物を隠し歩幅を大きくとる。
そう、この構えなら良く知っている。
正確には、これは斧でなく剣で用いる構えなのだが。
それを無理やり斧でなぞっている感がある。
目の前の黒騎士の得物は剣を超える長さの戦斧だが、
その巨躯とマントは得物を覆い隠すには十分であった。
これはいわゆる“脇構え”に近く、極めて攻撃的かつ防御を考慮に入れぬ構え。
――脇構え。
この構えには大きな利点と欠点がある。
まず利点としては、得物が完全に身体の幹に隠れてしまう為、
「その攻撃が敵手から見て得物の長さが分からなくなり、間合いを読み辛い」
「その攻撃が繰り出す直前まで、いつどこを狙ってやってくるか分かり辛い」
この二点に集約している。
そう。言わば抜刀術と同じなのである。
ただし、抜刀術はその構造上片手で剣を抜き打たねばならないため、
どうしても両手で剣を振るう事と比較すれば威力は目減りしてしまう。
そして片手で扱う以上、厚い装甲に覆われた部分や身体の硬い部位を両断する事は難しい。
さらに一度防がれてしまえば、片手で扱うが故に力負けしてしまう可能性も高い。
対して、脇構えはその身体で得物の長さを隠している点こそ同じだが、
最初から鞘から引き抜かれている分ロスタイムがさらに少なく、
両手で振るえる以上、その威力においても抜刀術を凌駕する。
たとえ防がれようとも、膂力に差があれば逆にそのまま押し切ることも可能。
それを完璧に防ごうとなれば、使い手に拮抗するだけの技量を持ち合わせた上で
最初から防御に身を固め、意識を集中する位しかないのだ。
だが、この構えには大きな欠点も存在する。
まずその構えの性質上、守勢に回れないという点にある。
己の後ろに得物が来る以上、相手と自分の間に遮るものが一切なく、
敵の攻撃をその得物で防ぐ事が困難となるのである。
相手の攻撃をどうしても躱そうとなれば、身を捻って避けるしかない。
先程の漆黒の騎士が回避をし損ねて不様に転がり回ったように、
敵に先手を許せば大きく隙を与え続ける事にもなりかねない。
まず、それが一点目の欠点。
その上、その構えからなる攻撃が全て弧を描かざるをえない以上、
直線的な刺突と比べればどうしても出遅れてしまうという点にある。
これは、構えの構造上避けられようがない。
これが二点目の欠点である。
それらの欠点を克服したいのであれば、相手のいかなる攻撃よりも速く、
己の攻撃をその身体に打ちこめるだけの技量がなければならない。
この構え、元より防御など考慮にないのだから。
つまり、己の攻撃に絶対の自信がある猛者か、自らの破滅さえ顧みぬ
命知らずの愚者でもなければ、この構えは決して取れないのだ。
果たして、漆黒の騎士はその両方の条件を兼ね備えていた。
そしてこの黒騎士は、かつて“草原の狼”とさえ呼ばれた比類なき騎手を
相手に巨大な戦斧を用い、攻撃偏重のこの構えで拮抗しているのである。
その実力は、もはや並大抵のものではない。
しかもこの構え、この局面においてはさらに優位となる点が一つある。
この黒騎士の戦斧による斬撃は必ずハーディンから見て“左側”からやってくるのだ。
右利きの騎兵にとって、“左側”とはすなわち“死角”である。
しかもこの黒騎士、必ず攻撃は“左側”に回り込んでくるのだ。
全ては騎兵の弱点を知った上での行動としか思えない。
大抵の場合、騎兵は右利きなら右で得物を握り、左で手綱か馬首を握る事になる。
その為、その足下から迫り来る攻撃を手に持つ得物にて防ごうとする場合、
前に来る馬首が邪魔となるためさらに見え辛くなる。
また、馬首から回り込んで左側に得物を繰り出すことなど出来ぬため、
どうしても攻撃や防御手段の限定を余儀なくされてしまう。
故に本来は左腕に騎士用の盾を固定して手綱を握り、その死角を補うのだが、
残念ながら今のハーディンはその盾を持ち合わせてはいない。
支援
ならば必要に応じて左腕で得物を持ち変えれば良い、というわけでもない。
逆腕一本で敵の全力にて打ち込まれる高速の斬撃を凌ぎ切れる筈がないのだから。
攻撃を防ぐ盾がない以上、こちらも敵に合わせて両手で得物を持ち凌ぐしかない。
だが、そうなると当然手綱をまともに握れなくなり、落馬の危険性も増す。
無論、騎馬を普通に操るだけならハーディンの技量なら両足だけでも事足りる。
だが、これでは騎兵が持つ最大の強みである突撃蹂躙(ランスチャージ)が行い辛い。
突撃による剛槍を逃れれば蹄鉄でその背を蹂躙する、二段構えからなる騎兵最大の戦法が。
満足に手綱も握れぬ状態で最大速度で疾駆して歩兵相手に突撃しようものなら、
相手を轢き潰したはいいが自分までもがその馬背から投げ飛ばされる恐れが充分にある。
最大加速がそのままに、地面に叩きつけられるのだ。
そうなれば、打ち所と地面の硬度次第では生命にも関わるだろう。
その危険性を承知の上で、あえて距離を開け突撃を試みようと欲すれば、
件の黒騎士は「それを待ちわびていた」と言わんばかりに、
更に重心を低く持ち構え直えてくるのである。
己の死の恐怖も悲壮感も、微塵も感じさせず。
むしろ、そこには必勝の気迫さえ感じられる。
しかも、その殺気は常に軍馬と騎手の“両方”に向けられてくるのだ。
その滲み出る殺気に、怯えこそせぬものの軍馬までもが警戒の念を抱く。
不可解である。実に不可解である。
これは本来、虚勢と見なすべき所である。
だが、決してそうとは言い切れぬ形容し難い禍々しい何かを、
この黒騎士は感じさせるのだ。
軍馬の突撃にひるまず、その両者を斬るほどの刃など通常は存在しえない。
馬を斬るための武器は、首や胴を両断し、即死させるだけの膂力など只人には持ち合わせぬのだ。
そして、馬の突撃時に刃を出せば、手を出した腕が衝撃に耐えきれずもへし折れてしまう。
さらにその一撃で息の根を止めなければ、斬られたままに突撃をする軍馬に蹂躙される恐れもある。
だからこそ、騎兵相手には機動力を奪い、混戦時に馬の脚を斬る事が上策とされるのだ。
一般に斬馬刀と呼ばれる大剣も、馬の脚狙いを前提に作られているがゆえに。
だが、万一。
だが、万一それだけの事が出来る刃を、
あの黒騎士がまだ隠し持っているならば?
動きは明らかにこちらに比肩し、騎兵の弱点を知り抜いた上での行動を取る。
そのような計算高い存在が、ここに来て“露見すればそれで最期”の無意味な虚勢など張るものだろうか?
それもまた考えにくい。何か特別な仕込みがある可能性を警戒した方がいいだろう。
その形容し難い不気味さが、「長柄武器による騎馬突撃」への二の足を踏ませた。
そして、こちらが今出せる半端な速度の疾駆では、容易く躱されてしまうのだ。
あたかも暴走する猛牛(ロデオ)をいなす、闘技場の闘牛士(マタドール)のように。
こちらの強みを、騎兵の強みをほぼ封じられた形となっているのだ。
ここから連想される単語はただ一つ。
――生粋の重装歩兵。
しかも、こちらと実力を等価、あるいはそれ以上とする程の。
だが、そこにまたもう一つの疑念が生じる。
黒騎士カミュはこの私と同じく騎兵だったはず?
それが得意の得物ではなく、なおかつ彼の軍馬がこちらの手の中にある以上、
その真価は発揮しづらく倒すのは実に容易い。そのはずが。
あの小癪な黒騎士は己と相手の装備との差や構えの得失を最大限に活かし、
あるいは殺す最上の手段を取ってこちらに迫り来るのだ。
それは戦術眼とそれを行使し得る実力の二つがあって、初めて為せる技。
生粋の騎兵では不可能とまでは言わぬものの、
極めて厳しいものと言わざるを得ないだろう。
――カミュではない?
疑念は膨れ上がるばかりである。
そう、確かにその実力だけならあの黒騎士カミュと等価…、
あるいはそれ以上の存在かもしれぬだろう。
だが、それ以上に不可解な点がある。
あの黒騎士の振るう刃には、英雄なら必ず持ち得る、
人々を魅せてやまない気品とも華ともいうべき
“雅”というものが皆無なのである。
闇の波動とも、瘴気ともいえぬ全身を覆う
殺気を隠すことなくぶつける黒騎士のそれは、
人を斬ることを最大の目的としながらもその美しさで魅せる
名匠による“騎士剣(ナイトソード)”ではなく、
人をただ殺すことだけを追求し、忌まわしき結果のみを残す
“断頭斧(ギロチンアクス)”を連想させた。
ありていに言えば、それは吟遊詩人が謳いたくなるような“絵にならぬ”のである。
それにはハーディンが激しく嫉妬し、追い求め、そして最後まで得られなかった優雅さは微塵もない。
むしろ、“暗黒皇帝”と呼ばれるこちらが戦慄の感情を抱くほどの禍々しさに満ち溢れていた。
ハーディンは闇のオーブによって増幅された負の感情により正常な思考を失いながらも、
その増幅された嫉妬のために現状を再認識しつつあった。
――確かに、あの男はカミュではないかもしれぬ。
――だが、それが何だと言うのだ?
あの男はニーナを愚弄した。
あの男はニーナをその暴言にて辱めた。
あの男はニーナを得体の知れぬ赤毛の女にも劣ると、
傲然と言い放った。
それは許せぬ。
それは赦せぬ。
それは断じて看過出来ぬ。
あの男がカミュであろうとも、そうでなかろうとも。
たとえ神と世界が許そうとも、この私が許さぬ。
ニーナこそは、我が身命を賭して守り抜いた一輪の華であり、
我がその名の下で戦った主であり、半生の全てでもあったのだから。
更に支援。
その度し難い黒騎士の非礼と不敬に対し、このアカネイア皇帝が自ら処を下す。
判決、串刺しの刑――。
連座するは、赤毛の女。
ニーナがたとえこの私に心を向けなくとも、
ニーナがたとえカミュに心を奪われようとも、
ニーナがたとえ目の前の黒騎士を恋い焦がれていようとも、
それはすべからく極刑に処すべき大罪である。
騎士の風上にも置けぬ下郎を、生かす道理なし。
ハーディンは人ならざる咆哮を上げると、
漆黒の騎士に向けて突撃を再開した。
◇ ◇
――かなり、やる。
漆黒の騎士の思考は常軌を逸するものではあれど、
ハーディンとは対極に静謐であった。
初撃で馬の脚狙いと見せかけて
防ぎに来る武器落としを狙っていたが、
それはしかと両腕で支えた得物で防御された。
両腕で得物を持つ以上足場が不安定となるはずが、
得物を弾き飛ばされることも落馬することもなく、
目の前の騎手は見事に受け切ってみせる。
静止していれば斬撃の威力では得物の差でこちらが上である以上
こちらの弱点となる刺突を用いるのは当然の成り行き。
現に何度も行く手を阻まれ、回避にその身体を横に逸らせて躱せれば、
その回避に崩れた体勢を狙いさらに怒涛の追撃が迫る。
最後までこちらにその手を出させぬが上策とばかりに、
頭上から降り注ぐ槍による刺突と軍馬による踏み付けの嵐は執拗を極めた。
そしてどうにか槍と蹄鉄の豪雨を掻い潜り、隙を見て軍馬を狙えば、
騎手が命じるでもなく危機を察知して前脚で地を蹴り斬撃を躱し、
騎手に意識が集中して不用意に近づけば、
その蹄鉄で蹴り砕かんと前脚を叩きつけに来る。
まさに人馬一体。予想以上の手錬である。
こちら側に少しでも不利な介入があれば、即座に敗れ去るだろう。
それだけの、言わば極上の獲物。
先程の横槍を入れた存在が、極めつけの愚者であった事に心より感謝する。
己の装備の得失さえ弁えず、所構わず殺気をまき散らした存在でなければ、
あるいはその妨害に影響され、既に命を散らしていたのかもしれない。
相手は騎乗。男にダメージを与えるには、
まず馬から引き摺り落とす必要がある。
そして、それ以上に注意すべき点がある。
相手は“二人”、そしてこちらは“一人”なのである。
軍馬と騎兵の連携がうまくいかなければ付け入る隙はあったのだが、
目の前の敵手はまさに人馬一体。
軍馬はただ命令を待つだけの存在ではなかった。
主が獲物を狩るにあたり、絶好の環境を用意する難敵。
長引けば長引くほど、それは体力の差にも繋がるだろう。
たとえこちらが人間とはかけ離れた身体能力を持とうとも。
二対一である以上、最初からこちらが不利なのだ。
このままでは少しずつ嬲られ、いずれは打ち倒されるだろう。
膂力はこちらがやや上、速度は騎兵の向こうが大きく優る。
技量はほぼ等価。機動性は歩兵故こちらが上。
そして体力に付いては、向こうがはるかに凌駕する。
向こうの総合力を数字化すれば11から12、こちらは10。
漆黒の騎士は敵手と相手との実力差を、至極冷静に評価していた。
――このままでは、確かに敗北する。
――だが、勝機はある。苦しい相手ではあるが、戦術次第でこの状況は覆えせる。
そう。その前に戦場の常識すら覆す剣、いわば奥義とも言える術技――。
それさえ使う機会さえあれば、状況を覆し、まとめて一刀のもとに斬り捨てる事は可能だ。
使い方はすでにその心身が覚えており、斧においても試し斬りを済ませてある。
その奥義を振るうにあたり、何の支障もありはしない。
何時如何なる状況においても、腕一本あれば窮する事無く繰り出す事は可能であろう。
ただ、それはこちらが力を溜めるだけの、僅かな時間を手に入れる必要がある。
そして、その機は訪れる事を首長く待つものではなく、上手く引き摺り出す必要がある。
だが、こちらの奥の手は使う前から警戒されている。
それは、戦士としての本能が為せる業だろうか?
素晴らしいまでの勘の良さだといえる。
あの奥義が使えぬとならば、もし警戒されているのならば、
あるいは――。
漆黒の騎士は、もう一つの戦略を練り上げる。
いずれにせよ、相手をこちらが望む環境を作り出す必要がある。
幸いにも、目の前の騎手もまたこちらを攻めあぐね、
眼に見えて苛立ちを充満させている。
相手が完全に平静を失えばこちらの勝利。
相手が完全に平静を取り戻せばこちらの敗北。
布石は最初に打ってある。あとは完全に理性を奪えばいい。
相手の思考を奪い、あるいは誘導させ、
相手にこちらの欲する行動を取らせる必要がある。
こちらが万全の力を発揮できる環境を、
己一つで作り上げねばならない。
――ならば。
勝機を奪い取るは、今ここを置いて他になし。
漆黒の騎士は迎え撃つ。己が勝利する為に。
◇ ◇
さるさん喰らっちゃいました。
続きは更に代理して貰えると助かります。
さらに数合を交え、ハーディンは再び距離を取る。
静止したままで戦い続けては、小回りの利く重装歩兵のほうが有利であるが故に。
その隙に漆黒の騎士は甲冑を着ているとは思えぬほどの軽やかな身のこなしで
後方に跳躍し、大通りの中央を位置取る。
逃げ場はない。遮る存在もない。
民家の陰の路地裏に逃げる事も、一切の遮蔽物を使う事も出来ない。
漆黒の騎士はそこで再び脇構えの姿勢に戻り、目先で挑発する。
さあ、その軍馬による突撃蹂躙(ランスチャージ)を行えとばかりに。
ハーディンは警戒する。
確かに厄介な相手ではあるが、ここままでもこちらの優位は揺るぎ無い。
そして今の局面。相手にはやはり何かがある。
だが、わざわざ相手の手に乗る必要性はない。
あくまでもこの戦闘…。いや、この処刑の主導権はこのハーディンにあり、
あの黒騎士にはないのだ。それを知らしめる必要性がある。
ハーディンは無視を決め込み、これまで通りにもう一度刃を交わさんとする。
だが――。
『――諸君、これから第一回目の放送を始める』
――だが、第三者の、決して無視できぬ存在の割り入る声により、
攻撃の手を一時休めざるをえなくなる。
時刻は、今が逢魔が刻。
神殿騎士ヴォルマルフによる、件の放送の声であるが故に。
こちらがどれほどの力を誇ろうとも、あの声だけは聞き逃してはならない。
件の首輪なる、忌々しい枷がこちに架せられたが故に。
対面する黒騎士も、この時ばかりは静止してただ声を待つ。
無論、戦闘態勢は解かぬままであったが。
そして、放送が始まる。
あくまでも事務的で淡々としたヴォルマルフの口調。
その内容からは、いかなる意志も読み取ることはできない。
だが、次の通達については、抑えきれぬ歓喜の感情が
その声に明らかに含まれていた。
『続いて、ゲーム開始からこれまでの死者の発表をする。
――アメル、オイゲン、シーダ、シノン、ティーエ、ナバール、ビジュ、ベルフラウ、マルス………』
漆黒の騎士はベルフラウの名に「ほぅ。」と短い関心の声を上げ、
ハーディンはその後に続く名に驚愕の声を張り上げる。
「……なん、だと?マルスが、あの小僧が既に殺されたとでも、そう言うのかッ!!」
ハーディンは天を睨み、咆哮する。
―――マルス。マルス、マルス、マルス…。
マルスマルスマルスマルスマルスマルスマルス
マルスマルスマルスマルスマルスマルスマルス
マルスマルスマルスマルスマルスマルスマルス
マルスマルスマルスマルスマルスマルス!!!
たった一つの耳朶を打つその名前が、何度ともなくハーディンの脳裡を反芻する。
後の内容は聞こえなかった。いや、聞く意味さえもそこにはなかった。
ハーディンが嫉妬して、羨望してやまなかった相手が。
その手で直々に、最大の苦痛と絶望を与え処刑する前に…、
早々とどこの馬の骨ともしれぬ輩の手にかかり、
とうの昔に息絶えていたというのだ。
これほどの愚弄が、挫折感があろうものか?
「何故だッ!何故貴様はそんなつまらん所で命を落とすッ!
誰だ!一体誰がマルスを殺したというのだッ!!」
許せん…、断じて許せん!
我が最大の恐怖と苦痛を以て殺す前に、その生命を捨て逃げ去ったマルスが許せん!
我が無力と絶望を思い知らせる前に、そのマルスの生命を奪った何者かが許せん!!
「――殺すッ!全て殺すッ!!このハーディンが殺し尽くすッ!」
全てを殺し尽くせば、いずれはマルスを殺した相手にも辿り着く。
ハーディンは怨敵を殺めた何者かを思い、怨嗟の声を張り上げる。
まだ見ぬ相手への憎悪を、闇のオーブにてさらに増幅された
“それ”はもはや悪鬼と呼ぶに相応しい程の形相を浮かべていた。
だが、その前には目の前の敵が邪魔だ。
あの黒騎士を手早く排除しなければならない。
あの黒騎士を――。
もはや常軌を逸したとしか思えない、どす黒い感情を所構わずまき散らすハーディンと、
静謐にある漆黒の騎士の視線が交差する。やがて、漆黒の騎士が口を開く。
「――ほう。貴殿はマルス殿を倒した相手を早急に探し出し、その手に掛けたいというのか?」
漆黒の騎士は、どこかしら愉しむような、嘲笑うような声色で問いかける。
「ならば、この村に長居は無用。今は早々に退くべきではないのか?」
撤退を提案する黒騎士。態度はあくまでもその不敵さを崩さない。
だが、そこにはこころなしか弱腰さが感じられた。
――臆したか?それとも今までの態度もやはり虚勢によるか?
ハーディンはここに来て消極的な言葉を発する漆黒の騎士に、侮蔑を露骨にする。
「アカネイアの“暗黒皇帝”が、獲物を眼前に退くなど有り得ると思うか?」
――それに貴様は一つ忘れていることがある。
ニーナをその舌で愚弄した貴様ごときに。
ニーナをその口で辱めた貴様ごときに。
「なにより、貴様ごとき卑劣な間男の意見に、
このハーディンが耳を貸すことがあり得ると思うか?
むしろ、ますますその逆がしたくなるというものだ。
貴様は逃さん。今、ここで死ね。
獲物の追跡は、その後にでも行う事にしよう。だが、案ずるな。
貴様と共にいた赤毛の女も、すぐ貴様の元に送ってやる!」
「……フッ。どうやら覚悟は出来ているようだな。
貴殿のこれまでの振る舞いから臆病を心配したが、
その手持ちの槍の使い方程度は弁えていたらしい。」
漆黒の騎士はさらに腰を深く落とす。
これまでのように、擦れ違いざまに左側に回り込り、
斬撃を加えるといった積もりは毛頭にないらしい。
――この一合にて、決着を付けよう。それがこの幕だ。
口には出さずとも、その黒騎士の態度が雄弁に決着を促していた。
「いいだろう。貴様の挑発には乗ってやる。
今となっては、貴様ごときにくれてやる時間さえも惜しい!」
ハーディンはさらに距離を開け、体勢を整える。
左手で手綱を、そして右腕にグラディウスを支え構える。
騎兵が持つ最大の強みである突撃蹂躙の姿勢を取る。
裂帛の気合いを乗馬に乗せて、今ここに怒涛の突撃蹂躙を開始する。
黒騎士カミュの愛馬は、目の前の黒騎士を蹴散らさんがために駆ける。
迫り来る風を掻き分け、あるいは薙ぎ倒し、それは一つの暴走車と化す。
騎兵の突撃による槍の威力は、そのまま乗馬の加速度に比例する。
騎兵自身の力に加えて、乗馬の力がそのまま加算された魔槍。
その速度、その剛力はいかなる反撃を試みようが、押し返すことは不可能であろう。
目の前の存在は、何の脅威にもなりはしない。
そして万一その槍を受け流し、あるいは回避した所で。
そこには軍馬の蹄鉄による蹂躙が待ち受ける。
防御は不可能。そして回避も不可能。
残るは死、あるのみ。
標的まであと30歩、26歩、22歩――。
騎兵は駆ける。歩兵迎え撃つ。
ハーディンは不意に唇を歪める。
そう、このままでも十分に眼前の黒騎士を蹴散らす事は可能だ。
だが、先程の事もある。念には念を入れさせて貰おう。
貴様の挑発には乗ったが、貴様の撃ち合いに応じた覚えなどない。
この処刑、主導権は貴様になどない。このハーディンにあるのだ!
標的まであと18歩、14歩、10歩――。
軍馬は疾走を続ける。ハーディンはグラディウスを持ち替え、頭上に構える。
そう。その槍で突くのではなく、投擲するつもりなのだ。その頭蓋に向けて。
グラディウスは、元より投擲にも適した万能の槍。
その威力は岩をも砕く。それがさらに軍馬による加速の力が上乗せされるのだ。
『その手持ちの槍の使い方程度は弁えていたらしい。』か――。
意図せずとはいえ、敵に塩を送るとはな。愚か者めッ!!
万一、眼前の黒騎士にこちらを斬るほどの“切り札”があった所で。
それを迫り来る槍を防ぐ為にまず使わねばならない。
あえて槍を受け、肉を切らせて骨を断つなど不可能。
この槍は防がねばその肉体を砕き、捻り潰すだけの破壊力を持つのだから。
そして投擲をその“切り札”で防いだ所で、軍馬の蹄鉄による蹂躙の嵐が待ち受ける。
槍を防ぎ体勢が崩れ無防備となった中で、もはや突撃を躱すことなど不可能。
いかなる切り札を持ち得ようとも、攻撃と防御はどちらか一度しか行えない。
そして、攻撃はこちらが先なのである。相討つことも有り得ない。
二段構えの、言わば必勝の戦法。
もし、あの漆黒の甲冑がまだ鎧としての防御力があるなら、
たとえ蹄鉄の蹂躙を受けようとも生き残る可能性だけはある。
だが、先ほどの立ち合いで知ったが、あの鎧は一切の防御力を持ち合わせてはいない。
ならば最大加速の付いた軍馬の蹂躙に生き残る術なし。
なぜそのような張りぼてを身に纏っているのか、
理解には苦しむがこちらには関係はない。
こちらはただ投げ穿ち、あるいは踏み拉けばよい。
それでこの黒騎士は処刑される。そこで終わりだ。
こちらが構えを変えた意図を察し、黒騎士に焦りが出たのか。
それともその怒涛の突撃の前に判断を誤ったのか?
その斧を振るうにはあまりにも早すぎる機で攻撃動作が開始される。
だがその一撃は、軍馬を掠めることはおろか、
これから投擲される槍を撃ち落とすにした所で早すぎる。
それはただの空振りに終わり、全ては無為と帰すだろう。
…フン、つまらぬ。
先程までの態度は、やはり虚勢ではあったか。
それとも、突撃に肝を潰し目測を誤ったか?
いずれにせよ、取るに足らぬ小物だという事か。
――貴様はここで、死ね。貴様が何者であろうとも、ニーナを愚弄した報いを受けるのだ。
――腰を浮かせ、投擲を開始する。
その槍は空気を切り裂く異常な唸り声を挙げ眼前の黒騎士は反応すらも許されず
兜を割り頭蓋から派手に脳漿と鮮血を撒き散らしつつも構わずさらに軍馬による
追い討ちを仕掛けその死体はボロ雑巾のように原型を留めず辺りにかつて黒騎士
だったものの装甲の破片と肉片を血臭を盛大に周囲に撒き散らしその死体から
首を切り離して勝鬨の声を上げることには……、決してならなかった。
おそらくそれはハーディンが想像した未来予想図ではあったが、現実は大きく違っていた。
――暗転、飛翔、驚愕。
だしぬけに視界が回る。身体が浮く。
軍馬から勢い良く、重量あるものが射出される。
ただし、その軍馬から投げ出されたものは、グラディウスだけではなく、
それを握ったままのハーディン本人も含まれていた。
まるでそれは投石機から打ち出されたかのような見事な放物線を描き―。
高速で空中に投げ出されたハーディンの片隅に映ったものは、
得物を持たぬ漆黒の騎士と、その目の前で倒れ伏す軍馬。
――激突、擦過、悶絶。
受け身すら取る事が出来ず、勢いが付いたまま顔面から地面に衝突する。
顔が砂利によって大きく擦り剥かれ、顔面の皮が削り取られる。
全ての衝撃が顔面から首、そして右肩に与えられ、
周囲に生物の本能に訴えかける、実に不快な死の音色を響かせる。
闇のオーブによって高められた精神力によってすら抑えきれない、
悶え苦しまんばかりの激痛。手負いの獣は、おぞましい苦痛の咆哮を上げる。
首から痛覚が、右肩からの違和感が、その肉体的損傷が深刻なものであると訴える。
常人であれば、頚骨が折れ既に死亡していたのは間違いない。
だが、これまでに鍛え抜いた全身の筋肉があればこそ、
落馬の衝撃を致死に至らぬ程度に和らげていた。
顔の皮の右半分が捲れ鮮血を流し、首が曲がりかけ、右肩は下がり、その有様はさながらに敗残兵。
ただし、闘争心は未だ萎えることなく、殺意を更に燃え上がらせたその形相はまごう事無く悪鬼。
だが立ちあがったその頃には、得物を回収した漆黒の騎士は悶え苦しむ軍馬の首を刎ねていた。
漆黒の騎士は、立ちあがる手負いの獣の瞳からの揺ぎ無い闘志を確認し、今一度構え直す。
構えはやはり脇構えの姿勢。
そう。あの時、漆黒の騎士もまたハーディンの意を察し、
自らの唯一の得物を軍馬の脚元に投擲していたのであった。
地を這うほどの低さで、両脚をその竿で絡めるように。
その結果、軍馬の両脚は見事に絡まって全速力が付いたまま前転する形となり、
その事によりバランスを崩したハーディンは軍馬より最大加速のついた時期に、
投擲直前の不安定な状態から勢い良く投げ出される事となった。
脇構えにおける長所は、実はもう一つ存在していたのだ。
その構えから得物を投擲する場合、その構造上必ずアンダースローとなる形になり、
その攻撃が斬撃のものと初動が酷似する為敵が意図を察するのが遅れる点にある。
ただし、これは躱されれば一巻の終わりの、いわば捨て身の攻撃にも等しいのだが。
これが大上段からの構えからの大斧の投擲であれば、
ハーディンは即応して得物をはじき返せたであろう。
だが、地面擦れ擦れからの低姿勢から投げ出される得物は
乗騎の高い視界からは完全に死角となり、見事欺かれる形となった。
そのまま突撃するなら軍馬ごと奥義にて斬り捨てる。
こちらがさりげなく出した『忠告』に気付き、
その槍を投擲せんと欲すれば無防備となった
軍馬の脚に大斧を投げ騎乗から引きずり降ろす。
兎に角、騎兵に突撃をさせればこちらの勝利。
漆黒の騎士はハーディンの得物が投擲にも適したものであると見抜き、
彼もまたハーディンと同じく二段構えの戦術を用意していたのだ。
あの最初の撃ち合いの頃から。
漆黒の騎士は、ただ己の望む環境にハーディンを
引き込みさえすればそれで良かったのだ。
…戦況は覆る。ハーディンに優位だった戦闘の趨勢は、天秤は漆黒の騎士に大きく傾く。
軍馬を失い、視界の右半分を血で塞がれ、右肩が外れ、首が曲がりかけた瀕死の槍兵。
そして、その甲冑こそ用を足さぬものの、無傷のままの重装歩兵。
このまま戦えば、勝敗はもはや明らかである。
――だが。
ハーディンに、暗黒皇帝に撤退の二文字は存在しない。
己を愚弄するものに、そして己が身命を賭して愛したものを
侮辱した存在相手に背を見せるなど、あってはならない。
それは騎士として、最後の矜持さえも投げ捨てる事を意味する。
たとえ人の心を闇に売り渡そうとも。憎悪に我を忘れようとも。
臆病は断じて許されぬ。逃亡は断じてあってはならぬ。
たとえ刺し違えてでも、あの黒騎士を殺す。
――殺す!!
ハーディンは槍を中段に構える。
身体はもはや満身創痍。額から顎にかけて鮮血が滴る事により
右半分の視界は塞がれ、右肩には力が入らず、少し見じろきするだけで
形容し難い激痛が身体中を駆け巡る。だがしかし、なんの遜色もない。
これからの槍兵が行う渾身の刺突に対して、何の支障もありはしない。
この身はすでに死を覚悟した身だから。
後少しの間だけ、その身体が動きさえすればそれで良い。
双方が構えてから、時が流れる。
双方は、ただその攻撃の機を窺う。
必殺の機を。ただ確実に敵手の生命を奪える瞬間を。
視界の右半分が流れる血糊により完全にふさがれる。
これでは遠近感が掴めぬ。間合いが読めぬ。
あの猛攻を凌ぐ事はもはや不可能となった。
状況はより絶望的である。
だが、そんな事はどうでもいい。
こちらはただ一度だけ、敵より速くその槍を抉る事が出来ればそれでいい。
こちらの刺突は直線を描き、黒騎士の斬撃は弧を描く。
敵の身体への到達距離においてはこちらが圧倒的に短く、より迅い。
狙うべきは、黒騎士の心臓。
的の小さな喉では躱される。何より今は狙いが付けられぬ。
一撃にて仕留める。仕留めねばならぬ。
この満身創痍の身体、元より二撃目を打ち出す力など残されてはおらぬのだ。
だが、それでも目の前の黒騎士を斃す事だけは叶う。
それで黒騎士が止まらず、相討つなら望むところ。
暗黒皇帝は、鮮血に染まった傷顔の悪鬼は、ここに覚悟を決める。
この黒騎士を侮り、前座と見なし、勝負を急いた事は誤りであった。
先の事など考えぬ。仇敵を奪った馬の骨の事も、今はもはやどうでもいい。
今はただ、その一命を賭しこの目の前の黒騎士を斃す事に専心するのみ。
――斃す!!
これまでに磨き抜いた術技の全てを、これまでに残した全生命を、一本の槍に託す。
血泥にまみれ、顔面からは鮮血を流し、全身からは瘴気を垂れ流し、
その姿は周囲から見れば恐怖と威圧感しか与えぬものであるが。
だがしかし、それはまごう事無く誇り高き戦士のそれであった。
赤き悪魔は突撃を開始する。
それは紅蓮の流星と化し、一条の光となり、
顔面から鮮血を撒き散らしながら黒い死神に迫る。
黒い死神はそれに呼応して、全身の力を溜めた一撃を、
死神の大鎌ならぬ大斧を振りかぶる。
赤き悪魔は突撃を開始する。
それは紅蓮の流星と化し、
顔面から鮮血を撒き散らしながら黒い死神に迫る。
黒い死神はそれに呼応して、全身の力を溜めた一撃を、
死神の大鎌ならぬ大斧を振りかぶる。
黒い死神は力を溜める。
その両脚で踏みしめた大地が抉られる。
腰が回転し、背は捩れ、肩は捻られ、肘はたわむ。
足から膝へ。
膝から腰へ。
腰から肩へ。
肩から腕へ。
全身の力は相乗され、余す事なくその凶器へと伝達される。
集積された力により、大斧は唸りを上げ赤い悪魔へと迫る。
刺突が空気を切り裂いて黒い死神へと突き進む。
斬撃が砂塵を巻き上げて赤い悪魔へと突き進む。
二つの高速の軌跡は、高速の残像を生み、今奇跡を呼ぶ。
一閃。
赤き悪魔の槍は、確かに黒い死神の胸部装甲の中央を確かに捉えた。
そして黒い死神の大斧は鮮血に濡れる事無く、振り抜いた姿勢のまま静止する。
――殺った。と確信する。
――殺られた。と理解する。
赤い悪魔はその顔を鮮血に塗れながら薄笑いを浮かべる。
黒い死神は信じられぬものを見た驚愕の表情を兜越しに浮かべる。
まごう事無き致死量の、噴水の如き血飛沫が上がった。
そして、その鮮血は対面する敵の全身を、熱く濡らす。
ただし、それは黒い死神の胸板からでなく、赤い悪魔の両腕から噴き出したもの。
ずるり、とその両腕はその付いていた両肘から滑るように、槍を握ったままその地に墜ちる。
両肘からは剃刀で切断されたかのような鋭利な断面を見せ、赤い悪魔は両膝を突き遂に倒れる。
目標を粉砕し、叩き潰す事しか出来ぬはずの斧が、本来このような切れ味を見せるはずがない。
「――今の…、技は?」
両腕を失い、通常ならそれだけで悶絶死してもおかしくはないほどの苦痛の総量を
その身体に蝕まれながらも、ハーディンは眼前の、己を凌駕する黒騎士に穏やかに問いかけた。
「“月光”。左腕での、しかも得手でない武器での実践での使用など初めてだが。」
漆黒の騎士はまさに煌めく満月の光を背に、ハーディンに答える。
漆黒の騎士は、あの時これまで両腕で行っていた斬撃を左腕一本で行い、
石突(長柄武器の柄頭)を握り、大きく間合いを伸ばし突き出された両腕を斬り裂いた。
それは両腕での間合いを大きく逸脱し、より速く、より遠くへの斬撃の到達を可能とする。
言わば間合い騙し。漆黒の騎士は大斧を左腕で繰り、そこからさらに奥義「月光」を放つ。
ただでさえ片目の視界が塞がり、遠近感を失くしたハーディンに気づく余地はなかった。
本来、斧は切れ味より砕き折ることを重視する、斬るよりは破壊する為にある武器。
それが通常あり得ぬ剃刀の切れ味を生み出していた。
それはまごうことなく、人の限界を極め抜いたものしか生み出せぬもの。
「それなのに…、そこまでのことが…、できるのか?」
ハーディンは感嘆とも付かぬ驚愕の声を上げる。
そこに怨嗟の声はない。憎悪の感情も、一切の負の感情というものがない。
武人として、ただ武人としてハーディンは賞賛の念を抱いた。
今度こそ致命傷を受け、生命の喪失が避けられぬ事態となったが故か?
闇のオーブの呪縛から解放され、そこには安らかな人間の表情を取り戻していた。
「我が奥義に、断ち切れぬものなし。」
――百戦錬磨の剣士も、百獣の化身も、世界を創造した女神も、師弟の絆も。人の希望も。
自負とも自嘲ともつかぬ口調で答え、黒い死神は心の中でそう付け加える。
漆黒の騎士は、逆にハーディンに感嘆の声を上げる。
「だが、貴殿の刺突こそ見事。この胸にメダリオンなくば、敗れたは私であろう。」
漆黒の騎士は相手を侮ることなく、術技の限りを尽くしていた。
だが、それでいてなおハーディンの術技はその目測を凌駕し、
その槍は正確に心臓の位置を捕えていた。だが、だからこそハーディンは敗北した。
その位置には、青銅の、エルランのメダリオンが仕舞われていたが故に。
胸部の装甲からは袋が裂け、メダリオンがその姿を覗かせる。
その噴き上がる蒼炎は一人の負の気の持ち主を失い、収束しつつあった。
女神の加護は、いかなる攻撃も遮断する。かつて、漆黒の騎士の甲冑がそうであったように。
そしてその女神ユンヌが封じられたメダリオンに、同等の加護がないはずがなかった。
それは価値を等しくする神の加護無き攻撃以外ではかすり傷一つ付けられぬ、絶対の防壁。
ハーディンの狙いが逸れていれば、その刺突は見事身体を抉り抜き、致命傷を与えていたであろう。
「…最期に教えよう。」
漆黒の騎士は兜を脱ぎ、その素顔を月光の下に晒す。
ハーディンの疑念通り、そこから現れたものはやはり金髪の美丈夫ではなく、
短い黒髪に碧の眼光を宿す見知らぬ青年であった。
「見ての通り、私はカミュなどではない。そして、ニーナ殿など知らぬ。
そして策とはいえ、貴殿とその愛する者を辱めた事には謝罪する。」
ハーディンは苦笑する。やはりそうか、と同時に自らの愚かさを恥じる。
相手の平静を乱し、行動を限定させ、こちらの意のままに操る事は
もはや戦場では基礎中の基礎と言っても良い策。
つまりは、初めて出会った時からこの私は目の前の騎士の挑発に乗り、
敗北は確定していたということなのだ。
「いや…、謝罪には…及ばぬ。それは……、戦場では…、当然……。
そして…、私を…止めた事…、ニーナへの…謝罪……感謝する…。」
どの道、私はここで殺されるべき人間だったのだ。
闇のオーブに再び支配された上での行動とはいえ、
橋の下で騎士を一人死に至らしめ、そして数多くの人間を殺めようとしていたのだ。
そして誰も私を止められず優勝した場合は、英雄マルス亡き今、
さらに元の世界で殺戮の嵐を撒き散らしていたであろう。
ハーディンは、己の所業を振り返り、そして付け加える。
「だが、あの赤毛の女性は……泣かせ……ならぬ。
もし…彼女を……りたいなら…、素直に…その気持を…伝え…事だ。
そして…、先程の暴言も……り消すが…いい…。」
「…一体、何を言っている?私は…。」
ハーディンの忠告に、理解できぬと返す漆黒の騎士。
その端正な顔立ちには一切の表情というものがなく、
その被る兜の温度と同じく、鋼の冷たさしか感じさせない。
だが、その声色には、僅かながらも動揺の色があった。
「ふふ…。騎士とは…、…るべき者…あって……もの。
そうでな…れば、騎士は………人殺し…。
私は嫉妬に……ニーナを手放…、…士道を見失…、
…黒皇帝……堕……、…え切れぬ…………を犯し…。
だがな。君までも、私となってはならぬのだ。」
「君が…何者かは……知らぬ。だが、後ろ暗い……である………はわかる。
だが、まだ…るべき……がある……、まだ……直しは、効く…ずだ。」
すでにその身は瀕死、途切れ途切れとなるハーディンの言葉に、
一つだけ、何故か嫌に明瞭に聞こえる言葉がある。
漆黒の騎士はその問いに答えない。あるいは答えられぬのか?
そこには只沈黙が広がるばかりである。
その静寂に堪えかねたのか、やがて漆黒の騎士が口を開く。
「…言いたい事は、それだけか?」
「ああ。もう…限界だ。後は君…次第…。どうか、考え……欲しい…。
それと、もし、オグマ……出会ったなら…、これを…伝えてくれ。」
「私は…ニーナを…、最期まで…愛していた…。どうか…ニーナに…許して…欲しいと…。」
「機会あらば、必ず伝えよう。では、安らかに逝け。」
ハーディンは穏やかな笑みを浮かべて目を瞑り、漆黒の騎士は兜を被り、処刑の斧を振りかぶる。
そして――。
鈍い衝突音。大きく火花が散り、大斧は弾き返される。
振りかぶり直し、もう一撃。
ごろり、と首が転げ落ち、首から噴水のように血をほどばしらせる。
かつて暗黒皇帝とよばれたそれは、最期にはその闇のオーブによる呪縛を解かれ、
死者の仲間入りをした。
◇ ◇
漆黒の騎士は無言で死体の傍らに屈み込み、ハーディンに付いてあった首輪を拾い上げる。
先程、首に振り落とした大斧の一撃は僅かにそれ、偶然にして首輪そのものに命中した。
だが、弾かれた。振り下ろした速度と同じ凄まじい速さで、大斧は巻き上がる。
分厚い軍馬の首を一撃で刎ね人間の両腕を一度に切断できる大斧が、
たとえ鋼鉄で作られていようと、薄い首輪一つ断つ事が出来ぬなど本来ありえぬ事である。
そして、この不条理なまでの絶対的な防御力は、漆黒の騎士にも心当たりがあった。
―女神の祝福―
その漆黒の騎士の甲冑にかつて込められたものであり、
また先程幸運にして漆黒の騎士の生命を救ったメダリオンに
込められていたものとまったく同一のものである。
それは同じく女神の祝福を施された武器によってしか傷付けることは出来ない、
神ならぬ人に理不尽と絶望を与える絶対の加護。
漆黒の騎士は首輪を拾い上げる。
この首輪、その他にも気になる点はあった。
先程のハーディンとの闘争の最中にあった際、そしてアティと会話をしていた際、
首輪の裏側に確かな微熱と、心に僅かながらに燻ぶる灯火のようなものを感じていた。
そして、戦闘時は軽い高揚感と興奮があり、身体の切れもわずかだが確実に増していた。
試し斬りを含めて“月光”を用いた時は通常を遥かに超える倦怠感と疲労感があり、
その時にも首輪に熱を感じていた。
首輪を通して、この宴の参加者に何らかの枷が嵌められている。
これは月光を試し斬りを行った際に気づいていたが、どうもそれだけではないらしい。
メダリオンに女神の加護があり、そしてまた、首輪にも女神の加護らしきものが込められている。
ならば、その他の効果もメダリオンと同等の効果が首輪に込めらているのではないか?
漆黒の騎士はそう推論する。
メダリオンは負の気を爆発的に増幅させ、直接握りしめた者を狂戦士と化させる、心身を冒す猛毒である。
ならば、首輪もまた元から抱く感情を増幅させ、身体能力を増加させる効果があるのではないか?
それも劇的に変えるのではなく、徐々にそして緩やかに、本人も気づかぬ内に変貌させていくのではないか?
ほのかな好意を身を焦がす程の恋情に。
軽い憤慨を臓腑が煮え滾る程の殺意に。
少々の不安を背筋も凍り付く程の恐怖に。
小さな悲しみを身が張り裂ける程の魂の慟哭に。
生前に置いて、ほぼ平静を崩す事のなかった漆黒の騎士が、
今にきて何度も感情に揺らぎを感じる事にとまどいは感じていた。
思えば、ハーディンももとより正気を失っていたようだが、
その首輪にも影響された部分もあったのかもしれない。
それが、死によって呪縛より解放されたとなれば、辻褄はあう。
ならば、この首輪は『小さなメダリオン』と呼ぶべきものなのかもしれぬ。
メダリオンが即効性の猛毒なら、今架せられた首輪は遅効性の猛毒と言えよう。
効果は比べるべくもなく、首輪が遥かに弱い。
だが、それは自覚がないが故にある意味メダリオンよりも危険な代物であろう。
この首輪、殺し合いを見世物として娯楽とするには、
この催しを加速させるには、極めて有効な機能である。
これなら、素人であろうとも運次第で熟練の戦士を「喰う」可能性も生じ得る。
メダリオンの如くその負の気の昂ぶりに比例して、身体能力が強化されるのであれば。
そしてその狂態は、なによりもこの主催者への捧げものになろうものだ。
負の感情を喜びとするなど、まるで負の女神ユンヌのようではないか?
漆黒の騎士は皮肉に口を僅かに歪める。そして、そこで思い至る。
――ならば、今私があの女に抱いている感情も、ある意味紛いものではないか?
ああ、そういう事か。そういう事だったか。
漆黒の騎士は、己が抱いた戸惑いの原因に気づく。
ならば、この感情は無視してしまっても良い。
今抱く感情が、他者により押しつけられた類のものであれば。
今、胸にあるものは、若干の寂寥感。
そして次なる闘争への軽い期待と興奮。
それだけあれば、あとは不要か。
この二つだけは、決して嘘偽りはない。
たとえ操作されようとも、これらだけは生前から常に抱き続けた、
紛れもない本物の感情であるとの確信があるが故に。
漆黒の騎士は、そこで背後から近づく気配を感じる。
それが何者か、そこまではまだわからない。
あの身の程知らずの興ざめな愚者かもしれぬし、
私と実力を等価とするかもしれぬ女かもしれぬ。
あるいはそれ以外の第三者かもしれぬ。
だが、それが誰であろうとも私には関係がない。
私を存分に楽しませ、私に生きる実感を、
そして再び生を得た意味を与えてくれる存在でありさえすればよい。
そして、その相克の中で私を終わらせてくれるなら、なお素晴らしい。
漆黒の騎士は次なる相手に心を躍らせる。
たとえ操作されようとも、これらだけは生前から常に抱き続けた、
紛れもない本物の感情であるとの確信があるが故に。
さるさです……。
漆黒の騎士はただ立ち尽くしてその場に待つ。
己に迫り来る、そして己を終わらせるかも知れぬ、次の戦いの為に。
【ハーディン@紋章の謎 死亡】
【残り 37名】
【漆黒の騎士@暁の女神】
[状態]:健康、若干の魔法防御力向上(ウルヴァンの効果)、全身の装甲に裂傷、鳩尾に打撃痕(所持スキルにより治癒中)、肉体的疲労(小)
[装備]:ウルヴァン@暁の女神
[道具]:支給品一式、エルランのメダリオン@暁の女神、ハーディンの首輪
[思考] 1:……………さらばだ。残り一人。いや、二人か。
2:オグマに出会ったら、ハーディンの事を必ず伝える。
3:アティに対して抱いている自分の感情に戸惑い。ミカヤには出会いたくない。
4:催されたこの戦い自体を存分に楽しむ。勝敗には意味がない。
5:優勝してしまった場合、自分を蘇らせた意趣返しとして進行役と主催者を殺害する。
[備考]:ディエルゴ、アティの仲間(およびカーチスとその仲間)、サモンナイト世界とディスガイア世界の情報を得ました。
漆黒の騎士の足元にハーディンの両腕が付いたままのグラディウスと、ハーディンの生首が落ちています。
村の西側の大通りに、両前脚が折れ、首が切断された軍馬の死体と、ハーディンのデイバッグが放置されています。
鳩尾の打撃痕と肉体的疲労に「治癒」スキルが働いていますが、ロワの制限により緩やかになってます。
制限の程度は後の書き手様にお任せします。
漆黒の騎士はこれまでの戦闘から、首輪には単なる能力制限機能のみならず、遅効性の微弱な感情増幅機能と、
それに伴う身体能力強化機能が付与されたいわば「小さなメダリオン」ではないかと推測しています。
月光:漆黒の騎士専用奥義。北米版暁の女神では「日蝕(Eclipse)」と呼ばれている。
本来は通常の将帥が持つ「月光(Moonlight)」とも完全に異なり、
相手の防御力を完全に無視した斬撃を連続五度加える事が可能。
ただし、首輪による制限により現在は一度しか攻撃出来ません。
さらに、使用する毎に若干の体力消耗が生じる模様です。
荒々しい呼吸が不規則な拍子を作る。
脈打つ心臓が、破裂せんほどの暴走を始める。
酷似された全身の筋肉が、心肺が、
これ以上の疾走は無理だと身体の総司令部――「脳」に訴え駆ける。
だが、その訴えを延々と黙殺し続ける。
このツケは、いずれ大きく返ってくることだろう。
逃げ場のない大橋は少しでも速く通過しようと
僕は体力の限界も無視して全力で駆け抜けたが、
その先で遭遇したものは新たなる生命の危機であった。
大橋の袂から少し離れた通りで、
沈む夕日をその背に豪奢な衣装を纏った男…。
それも、おそらくは王侯貴族に類する出で立ちの男が軍馬に跨り、
周囲の空気が歪む程の殺気を漲らせつつ怒声を張り上げていた。
それはもはや通常の人間が出せる声量を遥かに凌駕し、
その響き渡る禍々しい声は、もはや肉食獣の咆哮にも等しい。
気配も、その行動も、まるで人間じゃあない…。あれは、人の形をした獣だ。
考えるまでもない。あの男はこの殺し合いに乗っている。
いや、殺し合いに“乗っている”というのは正確な表現じゃない。
あれはそのような理性的判断が出来るようには見えない。
本能の赴くままに狩りを行い、そして欲しいままに殺戮を行う捕食者なのだろう。
あのヴォルマルフという男が言った“ゲーム”など、最初から関係がないかのように。
男の怒声は、まだ遠くに離れているため、その内容までは良く聞こえない。
ただし、ただ一つだけ確実に言える事がある。
――もし見つかれば、逃げ場もなく、為す術もなく僕はあの男によって殺される。
あの男にとっては、殺戮の対象に区別などないが故に。
元より相次ぐ全力疾走で、ただでさえ少ない体力は既に限界を迎えている。
その上軍馬で追いかけられれば、どこをどう逃げようとも瞬く間に追いつかれる。
橋から落ちれば、この高さだとおそらく死ぬ。無論、隠れる事も出来ない。
気付くな。
気付くな。
こちらを振り向くな。
このままでは、突き進む事は出来ない。
ここままでは、引き返す事も出来ない。
前方にも、背後にも、まごう事無き「死」が待ち受けているが故に。
進退はここに窮まる。
気付かれぬ幸運に縋り、運がなければ死を待つしかない。
やがて赤い騎手の肩がぴくりと震え、何かに反応する。
――まさか、勘付かれたのか?
来るな。
来るな。
来るんじゃあない。
来ないでくれ。頼む。
そして幸運にも、赤い騎手…。
いや、“赤い悪魔”とでも形容すべき瘴気を漂わせた男は、
遠くにいる黒い何かに向かって全速力で疾駆し、
その黒い何かは得物を振り回しそれに応じていた。
やがて、その二人は先程の怒声に劣らぬ程の、
甲高い生命なき者どものによる悲鳴の調べを奏で始める。
それは二人が織り成す命懸けの競演、いや、狂演。
それはただおぞましく、只でさえ冷汗の張り付いた背筋に
さらに氷柱を差し込まれたかのような怖気さえ与える。
あの赤い悪魔も凄まじいが、あれと渡り合えるような猛者までいるのか。
いや、見とれている場合ではない。奴らに勘付かれてはならない。
――あの争いに巻き込まれれば、間違いなく死ぬ。
二人は幸いにも壮絶な殺し合いに夢中であり、今はこの場を大きく離れている。
そして、奥の方にもあと二人ほど人がいたようだったが、
少なくとも今はこちらから見える場所にはいない。
だったら、この橋を渡り切り村に避難する絶好の機会だ。
どうせ、もう後ろには引き返せないのだ。今、ここを通り抜けるしかない。
僕はなけなしの体力を振り絞り、橋の袂を抜け、
四人の集団を避けながら手近にある民家に滑り込んだ。
◇ ◇
一息つける場に来て、緊張の糸が切れ安心してしまったせいだろう。
膝が大きく笑い始める。腕も上がらず、そしてただ息苦しい。
身体以外で、脳以外にまともに従ってくれる箇所はもはやない。
脳以外の全ての器官がそう強訴し、それ以外の命令を一切拒絶する。
体力は既に限界を越えてしまっていた。
もとより、マグナと違って、それほど体力がある訳じゃない。
それに無理をし過ぎたせいだろう。一歩たりとも動けないようだ。
僕はよたよたと、歩くというよりは突き飛ばされるように
寝室に転がり込り、そこで大の字になる。
自分の荒い呼吸音だけが大きく民家の寝室に響く。いやに耳障りだ。
運動と冷汗による濡れた汗が服にじっとりと染み込んで、
濡れ雑巾を身体中にべっとりと張り付けたような不快感が襲う。
兎に角、休養が欲しい。そして着替えも欲しい。
着替えた後は、この村から誰にも見つからず逃げ出したい。
あの先程の騒乱の中に、マグナらしき人影はなかった。
ならば、先程見かけた争いに加わる気は毛頭ない。
マグナやアメル、そしてギブソン先輩等の掛け替えのない仲間達なら兎も角、
見知らぬ人間が何人、何万人殺し合おうが僕には一切関係がない事だ。
誰かを助けようとも、誰かに協力しようとも僕は思わない。
むしろ、こちらとマグナ達の目の届かない所であれば、
好きなだけ勝手に殺し合えばいいとさえ思っている。
元より、僕は人間というものがあまり好きではない。
どちらかといえば、憎悪の念さえ抱いている。
僕が融機人であり、人間ではないが故に。
僕が融機人であり、祖先から受け続けた迫害の歴史と記憶を継承しているが故に。
認めたくはないが、確かにあの男が言うとおり、僕は人間の振りをしているに過ぎないのだ。
僕が融機人である以上、人間への憎しみは和らぐことはあっても、生涯消えることはないだろう。
僕が受けた、僕達融機人が受けた扱いは、比喩抜きでその血が永久に忘れる事を拒絶する。
いや、そうでなくとも。僕が融機人である以上、
その無念は決して忘れてはならないものなのだ。
僕の祖先が犯した、取り返しのつかない過ちや罪と同じく。
かつてレイム=メルギトスを倒そうとした時も、人類の為とか、
平和の為だとか、そういった正義のようなものは一切なかった。
もしあいつらが傍にいなければ、レイムにはそもそも関わろうとすら考えなかった。
最も、マグナ達は間違いなくそういった人達の為にも、戦っていたのだろうが。
だが、僕はあいつじゃない。僕はあいつのように、決して優しくも綺麗にもなれない。
それは僕の中にある、そして僕が融機人である以上決して切り離せない醜い部分であり、
どす黒いしこり…。
――やれやれ。『融機人は本当に血も涙もない』って言われているが、
融機人の血は本当にオイルのようにどす黒いものなのかもしれないな。
それなら、確かに過去を“水に流す”というのも出来ないだろう…。
自虐的な妄想を、一旦切り離す。
呼吸が整いだした所で、民家の手近にある衣装棚から、衣装を引き出す。
僕が最初に見つけ出したのは、見たこともない、黒い光沢のある革製の衣装だった。
成人女性の体格に合わせてある…。体に密着し、その全身の曲線を大きく誇張する
それはさらに胸元が大きく開いていた。傍には黒く長い手袋とブーツが並んであり、
それで合わせて一対の衣装となっているようだ。
なんとまあ、いかがわしいものだ。
もし、これをパッフェルさんやミモザ先輩なんかが身に付けたら、一体どうなる事だろう…。
この場には相応しくない、邪な、全くもってふしだらな妄想をしてしまったせいだろうか?
不謹慎にも自分の顔が赤く染まり、余計な場所に熱が帯びるのを感じる。
この時ばかりは、自分自身の若さが少々恨めしい。
融機人だろうが、堅物メガネと言われようが、僕にだって性欲位はある。
でもこれは、流石に男性の僕が着れる代物じゃあない。
だからといって、この場にいるアメルやパッフェルに勧めれば良いのかのかといえば、
決してそういうわけでもないのだが。いや、アメルにはそもそもサイズが合わないな…。
深呼吸をして妄想を切り離し、平静を取り戻す
件の黒い革製の衣装一式は、とりあえずデイバッグにしまうことにした。
一民家に置いてあるには余りにも不自然な、奇抜な衣装である以上、
もしかすれば、主催者側が特別に用意した支給品の類かもしれない。
そうであれば、何かこのゲームに優位に立てる効果があるかもしれない。
いや、これは自分が誰かに着せたいからというわけじゃないんだ。
そこの君、胡散臭そうな目でこの僕を見ないでほしい。
念のため言っておく。それは誤解というものだからな。
別の衣装棚には平凡な成人男性向けの普段着もあったらしい。
その中でも最も露出度の低いものを探し出し、それを拝借する事にする。
それでも、顔以外は全て覆った今の学生服に比べれば露出度は若干高くなるのだが。
調べて見ればその衣装も新品同然で、何故か使い込まれた跡が全く見当たらい。
いや、衣装だけに限らない。この民家にある食器や家財一式、その他全てが綺麗なままなのだ。
…一体、どうしたことなのだ?
だが、今はそんなささいな事に疑問を抱いている時ではない。
呼吸も整ったことだし、早急にこの村から離脱することを優先したい。
自分の生命すら危うい状況なのだ。疑問はゆっくり出来る時に考えればいい。
…だが、これからどこに避難する?
この村を離れて向かうとすれば、西にある塔か、それとも南にある城か…。
僕はその民家から調達した救急箱から包帯を取り出し、
手足と首筋に念入りに巻きつけ、その上から調達した普段着を着る事にする。
これで、傍目からは融機人の外見的特徴は隠れるはずだ。
服は乾いたらまた着直すのでデイバッグに詰め込み、
その際に少しだけ透明の水筒から水分を補給する。
生き返る。ひんやりとした感覚が喉から胃を伝い、身体が悦びの声を上げる。
わずかにだが、今、僕はここに生きているという実感を感じる。
本当は出来ればもう少し休憩が欲しい所なのだが、
今まさに殺し合いが始まっている村なんかに長居なんて出来ないし、したくもない。
なにより、いつ先程のあの場にいた四人の内誰かがこちらを訪れに来るとも限らない。
無論、その四人の内誰が来ようとも、内容は決して平和的なものではありえないだろう。
◇ ◇
呼吸が整ったので、音をたてず、ゆっくりと引き戸を閉め民家を後にする。
地表を赤く染めていた夕日は落ち、すでに周囲は薄暗くなり始めていた。
立ち並ぶ民家の陰に隠れて、斬撃が聞こえない、人の声がしない場所を選び少しずつ南下する。
早く、この死の村を脱出したい…。
早く、あのマグナ達と出会いたい…。
ここにきて、緊張と疲労が再び頂点に達したせいだろうか?
僕には正面の広場で二人の男女が殺し合いを行っている事にすら、
遭遇する直前まで気が付いてはいなかった。
振り向けば、近くで打撃音と何かが倒れる音。そして、刀剣の鍔が鳴る音。
幸い、向こう側がこちらに気づいた様子はない。その前にこの場を離れよう。
だが、うかつに動き、音を立てるのは危険だ。
それに、危険人物の顔立ちだけは確認しておいたほうがいい。
僕は立ち並ぶ民家の物陰から、その様子を窺う。
その様子を眺めて見れば、そこは顔色の悪い悪鬼の形相を浮かべた少年が
赤毛の女性の首筋に剣を突き付け、今まさに刃を引こうとしていた。
――おそらく、瞬く間にあの女性は致命傷を受け息絶える。
どちらが悪で、どちらが助けるべき存在なのか、
それはもう誰に問うまでもないだろう。
もしマグナなら考える前に身体が動き、
あの少年を止めに入っていくことだろうが。
だが、僕は彼女を助けない。
いや、彼女を助けられない。
残念だが、どうあってもこの状況からでは僕は彼女を救う事は不可能だ。
手に入れた召喚魔法を今から詠唱した所で、到底援護にも間に合わないだろう。
それに、今疲労困憊の僕があいつを相手にしようとした所で、
その場に余計な死体をもう一つ増えるだけにしかならない。
そして、僕はまだマグナやアメルと出会うまで死ぬわけにはいかないんだ。
一瞬、そんな冷たい僕を非難するマグナの姿が脳裡に浮かんだが、僕はそれを黙殺する。
残念だが、僕は見知らぬ人間を生命を賭してまで助けようとする程のお人よしじゃない。
悪いが、君を見捨てざるをえない。
だが、どうか悪く思わないでほしい。
見知らぬ赤毛の方。
僕は目の前の女性に、無言で謝罪する。
「終わりだ、死ね」
少年の静かな死刑宣告が周囲に響く。
僕は惨劇の瞬間に、僅かに目を伏せる。
いや、それは僕自身の醜さに目を逸らしたのかもしれない。
だが、女性の喉から血潮が噴き出す、奇妙な笛の鳴る死の音色が
響く瞬間は、いつまでたっても来る事はなかった。
彼女には、まだ幸運というものが残っていたらしい。
薄情者の僕にとっては災難…。いや、天罰だったのかもしれないが。
僕は、二人が殺し合いをしている中で、さらに遠くで緑髪の少女が
こちらを注意深く眺めている事にすら気がついてはいなかったのだ。
その緑髪の少女は、発見した僕を指差し、何を思ったか息を大きく吸い込む。
……マズいッ!!
「ああーーーーーっ!」
指さされた瞬間に、僕は物陰の奥に隠れる。
理由は言うまでもない。僕に大声を掛けようとしている。
このような場所に留まれば、確実に巻き込まれる!
「ね、ねえ! あそこ――――人がぃ、ふが……っ!」
「バカチンがぁぁ! あんなやつらに存在を教えたら…………。」
何か騒ぎ出す声が聞こえる。さっきの緑髪の少女のすぐ傍に、
悪趣味かつ奇抜な衣装をした銀髪の青年がすぐそばにいたが、
その者が口を塞いだ。あとはただもがもがと言う声が聞こえるのみである。
先程の少年は、おそらくこちらの存在に気づいたであろう。
そして、大声を出した緑髪の少女ともう一人の銀髪の青年の存在にも。
だが、それから直ぐに先ほどの少年らしき男の苦痛の絶叫が周囲に響き渡り、
僕は全速で後退しようとしたその脚を一旦止める。
――まさか?!あの状況から、あの人は生き残ったのか?
驚く僕を尻目に、よたよたと何かが近くを通る足音がする。
距離はかなり近い。
足音からして、先程の女性のものであることは間違いがない。
そうか。あの赤毛の女性は、助かったのか…。
それは、よかった…。
それは喜ばしい事だが、僕には関係のない事だ。
そして、僕がそれを祝福する資格もない。
悪いが、僕も先を急がせてもらう。
貴女に関わり合っている暇は惜しいからな。
僕はあいつらを守らなきゃならないんだ。
余計な事に首を突っ込んではいられない。
あいつの為に。
僕自身の為に。
僕は考え直し、再び逃走を開始しようとする。
だが、あいつの事を再び考えた時。
僕はふと、あいつが今の僕の行動を知った時の事を考えてしまった…。
なぜか、心臓がちくりと痛む。
その棘は、確かに錯覚に過ぎないのだが、奥にずぶずぶとめりこんでいく。
人を見殺しにする事自体に、僕は別段心は痛まない。だが、しかし。
人を見殺しにした薄情な親友の事で悲しむマグナの姿を想像する事が、
僕にとってはどんな事よりも、何よりも、辛い。
気がつけば、僕は足音のする方角に駆けだしていた。
考えるよりも先に身体が動く。僕が一番嫌いな、軽率な行動だ。
それをマグナに叱りつけた事が何度あるか。
だが、僕はその愚かな行動をマグナのように率先していた。
僕の中にある計算高い、そしてどす黒い部分が今の僕に囁く。
――あんな女、放っておけ。関わって、何の得がある?
ああ、たしかにその通りさ。関わり合うことで、なんのメリットもありはしない。
むしろあれは厄病神の類だろう。たとえ本人に罪は無くとも、関わってはならない。
――お前は自分死ぬ危険に巻き込まれてもいいというのか?
ああ、それは物凄く嫌だ。マグナなら兎も角、見知らぬ人間にそこまで世話を焼く必要性はない。
自分の身の安泰を考えるなら、この場を逃げ出すべきだろう。彼女に巻き込まれてはならない。
――なら、どうしてお前は彼女を助けようとする?あいつは人間だろう?
僕は確かに人間は嫌いだ。むしろ憎悪さえ抱いている。僕は融機人だからな。
でも、そんな事は今関係がない。あの女性を助けるのは、彼女のためなんかじゃ決してない。
僕はあいつの為に、いつまでもあいつに顔向けできる人間でいなければならないんだ。
僕自身の為に、そして僕を信頼するマグナのために。
だからこそ窮地の彼女を助けるんだ。たとえ、何があってもな。
「……ったく、僕は馬鹿か?!」
理性はこれ以上なく明確に、にあの女性と関わり合うことを拒否している。
にも関わらず。僕はあの赤毛の女性を助けるべく、行動を開始していた。
あいつのように、感情の赴くままに。
どうやら、あいつの馬鹿が移ってしまったらしい。
僕は自嘲の笑みを浮かべる。
やがて、片足を引き摺るように歩く彼女の後姿を捉える。
その全身は土埃にまみれ、太腿からは血を垂れ流している。
今はさほど血は吹き出ていないが、すぐにでも応急手当が必要だろう。
もしかすると、殺される直前にあの少年から凌辱を受けていたのかもしれない。
そんな事を考えながら彼女に声を掛けようとした時――。
『――諸君、これから第一回目の放送を始める』
――あのヴォルマルフという男の、声が村中に響き渡った。
時刻は、今が逢魔が刻。
【ネスティ@サモンナイト2】
[状態]:全身に火傷(軽症)、身体的疲労(中度)、精神的疲労(中度)
[装備]:ダークロア@TO 、村人の服(その下に、襟元と手足に包帯を巻き付けて肌の露出を無くしてます。)
[道具]:支給品一式(食料1/2食分消費) 、蒼の派閥の学生服(ネスティ用)、女性用の黒い革製の衣装一式(詳細不明)、包帯。
[思考]1:協力者を探す
2:仲間たちとの接触も早めにしたい
3:自分と仲間の身の安全を優先
4:自分がマグナに信頼される人間である為に、目の前の赤毛の女性(アティ)を助ける。
5:赤毛の女性に、ほんの僅かな罪悪感。
6:“赤い悪魔(ハーディン)”と黒い何か(漆黒の騎士)、そして顔色の悪い少年(ヴァイス)を警戒。
[備考]:沈黙状態は時間の経過により解除されました。
:チキが指差したものは物陰に隠れていたネスティでした。
:なお、ヴァイスやレンツェンは振り向いた時には既に奥に隠れた為、
存在は認識してますが顔までははっきりと見ておりません。
:女性用の黒い革製の衣装一式(詳細不明)はネスティは深読みをしておりますが、
残念ながら別段なんの特別な効果もありません。衣装の詳細は次の書き手様にお任せします。
:ネスティは赤毛の女性(アティ)が少年(ヴァイス)に性的暴行を受けたかもしれないと勘違いしています。
代理投下完了。
さるさん喰らった後に繋いでくれた方に感謝します。
お疲れ様です。
にしても、紋章勢の死にまくりっぷりが凄いw
さるさるを何度も食らう中での、多くの人に渡る代理投下有り難うございました。
流石に長かったな…。
なんかGCとFC世代のキャラ性能が感じるな
ステは一緒ぐらいな筈だが
ウィーグラフ、エトナ、ガフガリオン、
中ボス、レシィを予約します。
予約キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
書ききるの頑張れ、超頑張れ!
臭いメンバーの予約きた!これで大勢チーム全員放送後突入か。
ここって確か、「暁の女神」以外は皆二度以上出場してるんだよなあ。
作品としての出場は殆ど2回以上いってるけど、キャラは今回初参加のが結構いる。
マグナやゴードンは他ロワの参加経験はないんじゃないかな?
ドブ川の臭いを漂わせた二人と加齢臭漂わせた老人、
その性格が臭い美少年にゲロ以下の臭いがプンプンさせる女、
一番臭いのは誰?
そろそろ次辺りで臨時放送に合わせギミックを一つ仕込むけどいいかな?
よっぽど無理があったり、
他の書き手さんが書きづらくならなければいいと思われ
このロワだけの特色ってのもそろそろ出していい頃だと思うし
凌辱ゲーム規制か。
デニムやヴァイスがショボーンしそうな話だなぁ。
スレには関係ない話だな
それにやる余裕ないと思うな
したらばに投下してました。
ちょっと読みづらいでしょうが矛盾などの指摘あればお願いします。
最近、短いのしか書けないorz
激しく乙。短くはないと思いますよ。
ディスガイア未プレイだけど矛盾はないように思う
何を書いてもだらだらとした長文になるよりはいいと思いますよorz
エトナのツンデレぶり、そしてガフじいさんの裏目ぶりにニヤニヤしてしまいました。
規制解除されてたら投下します。
「………なぁ?」
「………聞きたい事は大体察しがついてますが、何ですか?」
「…何故、俺たちはこんな事になってるんだ?」
「…私も逆にお伺いしたい所です」
………。
日も暮れかけた小山の麓で相応の年齢の男性二人が
全身に異臭を放つ汁を顔面に浴びて途方にくれている。
傍から観ればこの二人の関係を疑いたくなるような光景である。
ほんの少し前、ウィーグラフと中ボスは休憩の為に互いの支給された食料を確かめていた。
ウィーグラフが取り出した弁当箱に中ボスは見覚えがあったのか、
「ま、まさか、男二人の華の無い寂しい食事に色を添える物がこれほどの物とは!
喜んでくださいウィーグラフさん! この弁当の素晴らしさは私が保証します」
などとのたまいながら狂喜乱舞し、自らも続かんと取り出したのは小さな缶詰。
あまりのギャップの差に一瞬にして、意気消沈する中ボスに缶詰に見覚えの無いウィーグラフは説明を求めた。
「…アンマリダ、ナマエトイイコレトイイコノシウチハナンナンデスカ…ヘっ? あぁ、すいません。
ちょっと違う世界を覗いてました。
コレは所謂保存食の一つでして、中身は…はて?
シュールストレミング? 流石の私も聞いた事もありませんね」
缶詰を手に取りながら中ボスはラベルを興味深そうに繁々と眺める。
「私もその鉄の箱自体始めてみたが、そのような料理は聞いたことも無い。
…毒の可能性もあるな。
このような事をする奴だ、可能性は否定できん」
ウィーグラフも怪訝そうに中ボスが持っている缶詰を眺める。
「毒か如何かは開けてみれば分かりますよ。
ただ、缶切りは持ってませんし…
そうだ! ウィーグラフさん、あなたの剣で此処の所をがっちりやってください」
缶詰を地面に降ろし、隅の方を指差して中ボスはウィーグラフに指示を出す。
「ずいぶんと面倒な代物なんだな…此処で良いのか?」
ウィーグラフは半ば呆れながらも律儀に剣を取り出し、逆手に持つと剣先を缶詰に当てる。
「エェ、その辺で結構です。 割と堅いものなので勢いよくやっちゃってください」
「了解だ」
腕に力を込め、全力で剣を缶詰に押しつける。
缶詰の蓋が圧力に負け、穴を開けようとした瞬間、
湿り気を帯びた破裂音と共に
覗き込んでいた中ボスの顔面と缶詰の真上にいたウィーグラフの顔面に
その絶望的な異臭を放つ汁を撒き散らした。
………ちなみに、中ボスのバックにはこの缶詰に関しての注意文が収められていたのだが、
彼はその存在に全く持って気がついていなかった。
一時はただ呆然としていた二人だが鼻をつく、というより無理やりにねじ込んで来る
強烈な異臭に取り乱し始める。
「ギャァー、何ですかこの臭いは!? 臭ッ!! 半端じゃなく臭ッ!!」
「おい、止めろ! 暴れるな…って、グワッ!?」
「あぁ、すいません。 つい肘が…って、ヒギャァアアッ!! お弁当がぁぁぁッ!」
「ん? 今ので撒けてしまったか。 …コレは臭いな」
「撒けてしまったかって、これは無いですよウィーグラフさん!
既に香りもへったくれもあったものじゃありませんよ!」
「元はといえば貴様が無様に取り乱したからいけないんだろうが!
それにコレは俺に支給されたものだ!」
「やるんですか?」
「やる気か? 望む所だ!」
食い物の怨みは恐ろしいという事か。
大の大人二人がたった一つの缶詰が原因で睨み合う状況が、
今まさにこうして生まれたのである。
だが、すぐに二人は同時に溜息をつき、冒頭の会話に到る。
あまりの無意味さに脱力するしか他に為せる事は残されてはいなかった。
「おや? 俺の節介は要らなかったみたいだな」
お互いに何を如何切り出していいのかも分からなくなっていた状況を
変えたのは第三者の介入。
咄嗟に身構えた二人の視界に移るのは馴れ馴れしい態度で構えもせずに
ゆっくりと此方に歩いてくる初老の傭兵。
「おいおい、これが見えないンかね?
こっちは構えてもいないんだ、物騒なもンは引っ込めろよ」
両手を軽く挙げて、何も持ってはいない事をアピールする。
そこまでされて中ボスは構えを解くが、
ウィーグラフは警戒の糸を緩めずに初老の傭兵を睨みつけている。
「騙まし討ちは貴様らの得意とする所だろう。
直接な面識は無かったが噂くらいは聞いてるぞ、ガフガリオン。
それに…ラムザにライオネル城で討たれたともな」
ウィーグラフの言葉に驚いたようにガフガリオンを見つめる中ボスに対し、
当の本人であるガフガリオンは少し眉を吊り上げただけで大して動揺もしていない。
「俺よりラムザの奴に戦場の運は向いていたってだけだ、別にあいつを恨んじゃいねぇさ。
あの時、俺が死んだのは事実だ。 だが、あんたに今の俺は如何映る?
少なくとも亡霊って奴じゃねーぜ?」
ガフガリオンは足を軽く叩いておどけてみせる。
「…それについては私も貴様に聞きたい所がある。
戦う気が無いというのなら、少なくとも腰の剣は地面に降ろして貰おうか?」
おどけてみせる相手に対しても、気迫でそれ以上の接近は許さぬままに
ウィーグラフはガフガリオンに武器を捨てるように要求する。
それに対してガフガリオンは意外にもあっさりと応じてみせた。
がしゃりと剣が地面に落ち、更にガフガリオンはそれをウィーグラフ達の方に向けて蹴って寄越す。
「…いいだろう」
ウィーグラフが構えを解く。
それに対して表向きは表情は変えぬまま、内心でガフガリオンはほくそ笑む。
(如何やら上手い事入り込めそうだな。
悪いが、やっぱりあんたには俺みたいな芸当は向いてないぜ)
自分の胸元に収められたゲルゲの吹き矢をそっと隠しながらウィーグラフ達に歩み寄っていく。
必要なのは彼らの情報だけである。
その後は不意打ちなり、協力する振りでもして利用するなりすればいい。
特に重要なのはヴォルマルフと同じ神殿騎士であるウィーグラフの情報。
だが、用心深そうなこの男から情報を引き出すのは難しいだろう上に
この神殿騎士の奴らは大陸全土の情報に精通しているという厄介ぶりだ。
案の定、この男は俺がラムザに殺されているという事を知っていた。
だが、その俺がこうして今この場に生きて参加しているという事自体は
奴も預かり知らない事だったのだろう。
俺が引けるカードは実際の所はこの一枚のみ。
それをどうやって相手に上手く見せるかだけが、取り入るチャンスだった。
その為ならば、友好的な振りも無抵抗を装うことも厭わない。
結局の所、最後に生き残りさえすれば過程など如何でもいい事なのだから。
そして、自分の演技は相手を上手く出し抜いたという事だ。
こいつらは俺が素手だと思い込んでいる。
いざって時にはそれが事を上手く運ぶ最良の手段にもなる。
(悪いな、あんたのお陰でこっちは手持ちが増えたぜ?)
狡猾な蛇が一匹、巣穴の中へと潜り込もうとしていた時、
それを妨げるのは理屈の通じぬ理不尽である。
「くっっさぁ〜〜ッ!! 何これ、おっさんだらけの加齢臭が原因?
まぁいいや、おっさん共! 私に良鋼を黙って寄越すか、家来にならないとぶち殺すわよ!!」
際どい格好の少女が盛大に物騒なことを叫び、
その後方で少年が鼻を抑えながら少女の行動におろおろとしている。
「……エトナ!」
「レシィ! 生きてたのか!?」
少女たちに対しての大人の反応はほぼ同時に起こった。
「ゲッ! 魔王…様」
「ガフおじいさん!!」
名前を呼ばれた双方が一方は嬉しそうに、一方は複雑な表情で返す。
そして、それらについていけない男がただ一人残される。
「…説明を、願おうか?」
嬉しそうにガフガリオンに近寄っていき、
途中で地面に落ちていた剣に気づいてそれを大事そうに抱え込むレシィに
それに対して本当に予想外であったと言う様な表情のガフガリオン。
お互いに妙に気まずそうな雰囲気の中ボスとエトナ。
その二組に対してウィーグラフは眉間を押さえながら説明を求めた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
まいったなぁ〜。
何でよりにもよってこの人に会っちゃうかな私。
何か妙に腹立つから後でレシィの奴か
このおっさんのどっちかで憂さ晴らししよっと♪
おっさん共が何か話し込んでるけど、
私にはあんまり興味が無い話だから如何でもいい。
今、私が見てるのは目の前で困った顔をしているこの人。
正直、こいつが未だにあの魔王様だったなんて信じられないけど
実際にこの目で見ちゃったんだから信じるしかないでしょ?
「…お久しぶりですね、エトナ」
困った顔をしたまま中ボスの奴…うぅん、魔王クリチェフスコイ様が私に話しかけてくる。
あっちも周りのことはあんまり目に入ってないみたい。
「お久しぶりって、その姿のあなたにならちょっと前に会ってますし…」
なんて返したらいいのかなんて分からない。
私は絶対に裏切っちゃいけないこの人の期待を裏切っちゃった訳だし…。
「エ、エェ…そうでしたね、ハハッ」
ぶっきら棒に返した私の反応にこの人は馬鹿正直に答えちゃうし。
この人はいつだってそうだ、悪魔の癖して妙に正々堂々に拘るし
私らの千分の一も生きられないような人間の女なんかと結婚するし…
ッ!
又だ、あの女のことを思い出すと胸の奥がイラっとする。
この感情が何なのか、多分私には一生分からない。
「…それで」
イライラする。
「えっ?」
この人の笑顔を見てると、
この人が魔王様なんだと思うと何故かホッとする自分にも。
「ここでやるんですか?
あんたはもう私の主人でも何でもないんだから私とは関係ないでしょ?
あんたは中ボス。 中ボスなら中ボスらしく私に倒されちゃいなさいよ!」
そうだ、あいつはもう魔王様なんかじゃない。
あいつは所詮、中ボスなんだからぶっ殺しちゃえば良いだけだ。
…本当に?
「出来ませんね」
きっぱりと言ってのけられちゃった。
「私はあなた達を守りたくて此処にいるのです。
知っての通り、既に私は死んだ身。
例え此処で死んだとしても、結果には何も変わりはありません。
私の目的は唯一つ。
あなたの前にこうして生き恥を晒してでも、
あなた達を無事に送り返す事だけです」
固まっちゃってる私を無視して一人で熱血しちゃってるし、
何なのよ本当にこの人は?
「それにエトナ。
私にしてみればラハールと同じようにあなたを娘のように思ってるんです。
どうして娘と本気で拳を交えることなんて出来ましょうか」
娘と言われて胸の奥がチクッとする。
あの女の顔が妙にチラついて頭の中もモヤモヤ。
「…このッ!―――」
何を言おうとしたのかなんて分からない。
ただ、このモヤモヤを如何にかしてさっさと晴らしてしまいたかっただけ。
それなのに。
『――諸君、これから第一回目の放送を始める』
何で邪魔するかな、本当に。
「あぁ〜、止め止め!
あんたよりこっちの方が大事だから一旦お預けね?」
そうだ、取りあえずはこっち優先で良いでしょ。
この人は多分、逃げない。
この後、如何するかなんてこれを聞きながらゆっくり決めればいいや。
「…エトナ」
聞かない。
というか、聞きたくない。
そっぽを向いた私にあの人はまだ何か言おうとしてたけど無視でいい。
あの人の声を聞くだけで私の胸がチクチクと痛むから。
【C-3・小山の麓/1日目・夕方(放送後)】
【エトナ@魔界戦記ディスガイア】
[状態]:健康 、歩き続けによる疲労(極小)
[装備]:手斧@暁の女神、クレシェンテ@タクティクスオウガ、エクスカリバー@紋章の謎
[道具]:支給品一式(1/2食消費)(道具・確認済み)
[思考]1:あぁ〜、何かイライラする!
2:魔剣良鋼が欲しい。
3:適当に弱そうな奴から装備を奪う。出来れば槍か斧が良いが贅沢は敵だ
4:優勝でも主催者打倒でも人助けでも、面白そうなこと優先 (とりあえず暫くは主催打倒でいいかも…)
5:レシィを家来にする。家来を増やすのもいいかもしれない。
6:それにしてもくっさいんだけど!
【中ボス】
[状態]:軽症(顔面の腫れと痛みは引きました)
[装備]:にぎりがくさい剣@タクティクスオウガ
[道具]:支給品一式 、ウィーグラフのクリスタル
[思考]:1:ゲームの打破
2:自分が犠牲になってでもラハール達の帰還
3:…困りましたね、反抗期?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
誤算だった。
死ンだとばかり思ってたが生きてたとは。
可能性が無かった訳じゃないが、
まさか律儀に追いかけてまで来るとはな。
しかも、何とまぁ間の悪い事か。
俺があいつらを油断させる為に降ろした剣をレシィの奴に抱え込まれちまった。
不意打ちに使える道具はこの吹き矢だけと来たか。
更に拙いのはレシィの奴が俺がこいつを見捨てた事をウィーグラフ達に伝える事だ。
折角、油断してたのに一気に警戒されちまうな。
さて、如何したもンかね?
「良かった、ガフお爺さんも無事だったんですね。
あの時、僕が転びさえしなかったら心配もかけなかったのに…」
策もへったくれも無いな、あっさりばらしやがった。
案の定、ウィーグラフの目の色が変わってやがる。
「少年、転びさえしなければとは如何いう事だ?
言葉だけで察すれば、この男は少年を見捨てたと受け取れるが」
流石に馬鹿じゃないな。
さて、こうなれば仕方ない。
「違うんです! ガフお爺さんは僕に逃げるぞって呼びかけてくれたのに
僕が転んで台無しにしちゃったんです。
あの時はエトナさんが如何いう人かも分からなかったから仕方なかったんです!」
俺が吹き矢を取り出そうしていた所でレシィの奴が必死に食い下がる。
ウィーグラフの奴がちらりと俺とレシィの奴を見比べると。
「信頼はされている…か。
まぁ、いいだろう。
少年、君に免じてこの場はこれ以上追求はしないと誓おう」
上出来だ。
馬鹿正直な奴らはお互いに通じるものがあるらしい。
俺も吹き矢を取り出そうと思っていた手を下げる。
さて、次は何とかしてレシィから剣を奪い返さんとな。
まぁ、その前に、こいつらの情報が先だが。
『――諸君、これから第一回目の放送を始める』
不意に声が響きやがった。
ウィーグラフやレシィの奴も周囲を見回している。
少し離れた場所にいるあの二人の様子は分からんが似たようなもンだろう。
これが例の『放送』ってやつか。
まずはゆっくりとこいつを聞く事から始めるとするか。
【C-3・小山の麓/1日目・夕方(放送後)】
【ガフ・ガフガリオン@FFT】
[状態]:健康
[装備]:(血塗れの)マダレムジエン@FFT、ゲルゲの吹き矢@TO、天使の鎧@TO
[道具]:支給品一式×2(1/2食消費) 生肉少量 アルコール度の高い酒のボトル一本
[思考]:1:どんな事をしてでも生き延びる。
2:まずはラムザと赤毛の女(アティ)を探して情報収集。邪魔者は人知れず間引く。
3:アグリアスには会いたくない。
4:…それにしても、この臭いはなんとかならンのか?
【レシィ@サモンナイト2】
[状態]:健康 、歩き続けによる疲労(小)、刺激臭で鼻が痛い
[装備]:絶対勇者剣@SN2 サモナイト石[無](誓約済・何と誓約したものかなど詳細は不明)@SN2or3
[道具]:支給品一式(1/2食消費) 碧の賢帝(シャルトス)@SN3 死者の指輪@TO 生肉少量
[思考]1:良かった、ご主人様の剣!!
2:殺し合いには参加せず、極力争いごとは避ける。
3:どうしよう? 臭いって正直に言った方がいいのかな?
【ウィーグラフ@FFT】
[状態]:健康
[装備]:キルソード@紋章の謎
[道具]:いただきハンド@魔界戦記ディスガイア、
ゾディアックストーン・アリエス、支給品一式
[思考]:1:ゲームの打破(ヴォルマルフを倒す)
2:仲間を集める
3:ラムザの捜索
4:ガフガリオンをあくまで警戒(不審な行動を見せれば斬る)
投下完了と修正を一つ。
ウィーグラフと中ボスの食料(1/3消費)
を追加で。
投下乙と言いたい所ですが、中ボスの状態表がないです…。
あと、ウィーグラフの状態表に「顔面から腐乱臭」は…、いるのかな?
あ、中ボス見落としてました。すいません。
一通り、放送後までいったんで(アイクとデニム組、ルヴァイド組除く)
そろそろ臨時放送もやってしまおうと思うんですけど、
まだ早いですかね?
時系列的には放送の1時間後なので残ってる組は
他との接触も無いだろうし。
待ってました。
では臨時放送お願いいたします。
それではヴォルマルフで予約します。
主催の暗躍、頑張ってくださいな。
では、こちらもヴォルマルフ、タルタロス、アグリアス、フロンの四名で予約いたします。
ヴォルマルフは回想だけになるますから被らないのでご安心を。
うーむ。
いまマーダーは何人いたっけ?
このロワは単純マーダーが少ないからな。グレーやら危険対主催ばっかw
オリビアとハーディンも死んだし。
アルマ
ヴァイス
カチュア
ガフガリオン
しっこく
タルタロス
デニム
ニバス(あいうえお順)
以上の八人かと
微妙なのが居るし自信ないけど
しっこくは四・五割り方対主催側になる可能性があるし
マーダーと呼ぶのも微妙
闇のオーブが目の前に転がっているので、マーダーに突き抜ける可能性もあるがな。
したらばにヴォルマルフを投下しました。
そこでちょっと問題と言うか…
読めば分かりますが、実は放送の内容にはあまりというか全く触れていません。
肝心の放送内容の方は既にj893氏に書いて頂く事で勝手ながら進めておりました。
他のこちらで書いていただいた書き手の方には無断で行っていたことをお詫びします。
それ以外で問題などが無いか、指摘等をお願いします。
では、臨時放送の依頼、正式に承りました。少し時間は頂くかと思いますが、宜しくお願いします。
臨時放送の件について、勝手に話しを進めていた事に対してはお詫び申し上げます。
内容は問題ないかと。
臨時放送がメルギトス側とか声で確実にサモン2キャラは感付くな
wikiに書き手ごとの執筆SS詳細を追加中。
トリップをクリックすればそのページに飛ぶ仕組みになってます。
一度に全部の更新は無理なので日数はかかると思いますが。
というか、手伝って…。
これが某ロワWikiのパクリ…。もとい、見易さに感銘を受けたオマージュであるのは秘密だ。
ヴォルマルフ投下します。
暗く、巨大なモニターだけが目立つ部屋で対峙する二つの影。
向かい合うのは二人の悪魔、「ルカヴィ」と「メルギトス」。
正確にはメルギトスは実体ではなく機械が作り出した幻影なのだが。
「…それでは今回はお引き受けして頂けませんと?」
メルギトス ―今は壮麗な青年の姿『レイム』の状態で― は表面上は
にこやかに対応しているが、何の感情も見せぬままに目の前の騎士と向き合っている。
「そういう事だ、次の放送は貴様の子飼いの連中にでもやらせろ」
一方、一応は穏やかに対応しているメルギトスに対して
ルカヴィ、『神殿騎士ヴォルマルフ』は椅子に腰掛けたまま嫌悪感を隠さずに言い放つ。
向かい合う二人の悪魔は片方は静かに、もう片方は激情のままに
今にも互いの喉笛を食いちぎらんといった様な殺気を放っている。
事はとある少女が発端だった。
メルギトスより自分に課せられた放送を終えた直後のヴォルマルフに対して、
少女『アルマ』が意外にも接触を試みてきたのである。
少女はヴォルマルフを挑発し、裏にいるであろう
ディエルゴ ―今のメルギトスのもう一つの側面― との接触を図ろうとしていた。
ヴォルマルフはそれに対して馬鹿正直に答える義理も無ければ
自分を挑発する少女を生かしておく道理も無く、
その手は少女の首輪の起爆装置へと伸びていた。
それを制止したのが当のメルギトス本人であり、
あろう事か少女の提案を受け入れ、ゲームの設定変更まで行うとヴォルマルフに申し出てきた。
それがヴォルマルフの癪に障った。
それはルカヴィがたった一人の少女に対して手玉に取られたという事実に他ならず、
例えメルギトス側にどのような意図があったとしても許容できる事ではなかった。
かといって、今この場で自分達の協力関係を破棄してまで主催者側で殺し合いを始めるほど、
ヴォルマルフも愚かではない。
それをして喜ぶのはゲームの参加者達のみである。
が、ただメルギトスの提案を受け入れるのもヴォルマルフの面子を潰す事になる。
それゆえヴォルマルフはメルギトスに対して進行役の一時辞退という手段をとった。
進行の担い手が突然変わればゲームの参加者達にも疑惑が広がるだろうが、
そもそも意図的に参加者達の情報制限を行ったりとメルギトスはヴォルマルフを軽んじている節が合った。
それを理解していた上での謂わばヴォルマルフの『嫌がらせ』である。
メルギトス側もその点では非が在る為、ヴォルマルフの一時辞退を受け入れざるを得なかった。
「…分かりました、では次の放送はキュラー達に任せるとします。
私は少し休まなければいけませんので」
メルギトス、『レイム』が困ったような顔をしたままぷつりとその虚像を消した。
モニターの灯りだけが照らす部屋の中で一人残されたヴォルマルフが無言で立ち上がり、
手元で何かを操作して突如として空間を切り取ったかの様に現れた出口へと歩いていく。
「ドチラニ?」
出口に番兵として立っていた機械魔がヴォルマルフに尋ねる。
「居室に戻る、メルギトスにも伝えておけ。
『あまり余計な事はするな』ともついでにな』
背後で「承リマシタ」という機械魔には目もくれず、
要件だけを告げて悠然と歩いていく。
辺りは一見すれば機械を中心とした近代的な造形だが、
一部には蔦が絡まる超自然的な場所もあり、
また一方では札を中心とした様々な呪法すら見受けられる。
その中の一つの扉の前にヴォルマルフが立つと、
僅かな開閉音と共に扉が開かれた。
ヴォルマルフ達の居た世界を再現された西洋風の部屋の中で
既に中に居た3人の人影が立ち上がり、ヴォルマルフを迎える。
部屋の中に入り、近くにあった椅子に腰掛けてヴォルマルフが口を開く。
「バルク」
名前を呼ばれた厳つい騎士が一歩進み出ると
その鎧に似つかわしくない腰のホルスターから拳銃を抜き放ち、
先程ヴォルマルフが入ってきた入り口の天上を打ち抜く。
「…ギ…ギギ…」
発砲音と共に天上から虫の様な小さな機械魔が一体墜ち、
それをフードを被った騎士が拾い上げ、ヴォルマルフに差し出した。
「先程言った筈だ、『余計な真似はするな』とな。
お互いに余計な干渉はしない筈だぞ?」
手渡された小さな機械魔に向けてそれだけを言うと、力を込めて握り潰した。
手の中からパラパラと落ちる様々な部品と共に、血とオイルが混じった液体が手を汚す。
それを茶髪の涼しげな表情をした騎士から渡されたハンカチで拭き取りながら
ヴォルマルフは三人の騎士に向き直る。
「ローファル、クレティアン、バルク。 報告を始めろ」
短く告げたヴォルマルフに対して、フードを被った騎士『ローファル』が先に口を開いた。
「ハッ! 現在、聖石は全て此処から持ち運ばれています。
恐らくは既にあの会場となっている島に渡ったものと思われます。
如何致しますか?」
ローファルの報告をある程度、予測済みだったのかヴォルマルフの表情は変わらない。
「放っておけ、アレは人を選ぶ。
奴の事だ、アレを何かの付属の如くぞんざいに扱うだろうが必ず誰かの手には渡る。
今はそれだけで良い」
自分達の目的を叶える為の手段である聖石を持ち去られたにしては、
余裕は崩さずにヴォルマルフは手を拭ったハンカチを投げ捨ててあっさりと言い捨てた。
ヴォルマルフの指示を受け、ローファルはそれ以上は何も言わずに引き下がった。
それを確かめると次に厳つい騎士『バルク』が口を開く。
「報告します。 この遺跡は現状では稼働状況は本来の7割に満たない程度だと思われ、
有事の際の最攻略候補である『喚起の門』も現状での稼動は難しいものと思われます」
バルクからの報告に対しては思うところがあったのか、ヴォルマルフは目を細めて含み笑いを漏らす。
「ククク…そういう事か。
奴が何故このゲームの設定を変えてまで拘るのかと思えばそういう事だったとはな。
私にとっての戯れは奴にしてみれば死活問題か」
実に楽しそうな表情のヴォルマルフに対して、バルクは報告を続ける。
「又、メルギトスの核があると思われる間は中心に向かう程、警備が厳しく特定は出来ていません。
ですが、やはり中心部に奴の核があると思って間違いは無いものと思われます」
其処までを受けて、ヴォルマルフの笑いが止まる。
「…分かった。 奴も此方の動きには気づいているだろう。
これからはより慎重に動け」
厳かに告げたヴォルマルフに敬礼を返し、バルクがさがる。
最後に茶髪の騎士『クレティアン』が進み出て報告を始めた。
「現在、我々以外の外部からの干渉は見受けられません。
ですが、今後は有り得ないとも名言は出来ませんね…それと、ですが」
言葉尻を濁すクレティアンにヴォルマルフが続けるように手で促す。
「“奴”の姿が見受けられません」
クレティアンの報告の他の二者は驚いてクレティアンに向き直るが、
ヴォルマルフは「そうか」と一言返しただけだった。
「宜しいのですか? “奴”は我々と違い唯の人間です。
いつ我々を裏切るとも限りません。
探し出して始末するべきでは?」
一向に焦る様子の無いヴォルマルフに対して逆に焦りを覚えたのかクレティアンが
焦燥感のままに続ける。
「口を慎め、クレティアン!」
ローファルが取り乱し始めたクレティアンを咎めるが、それをヴォルマルフが制止する。
「構わん。 “奴”は敢えて見逃している。
何、あそこにはラムザが居る。
“奴”はあの小僧を見捨てて動くことは出来ない。
だから今は“奴”は我々を裏切れん」
ヴォルマルフに其処まで言われ、返す事も出来ずに黙ってクレティアンは引き下がる。
「それに時に人間は我々の予想を超えた動きを見せる事がある。
“奴”はこちらのメルギトス達への切り札でもあるのだからな」
椅子に腰掛けたまま、ヴォルマルフは含み笑いを再度浮かべ、
三騎士は彼に跪き、頭を下げる。
悪魔はその思惑を秘めたまま、静かに蠢いて行く。
【不明/1日目・夕方(放送後)】
【ヴォルマルフ・ティンジェル@FFT】
【ローファル・ウォドリング@FFT】
【クレティアン・ドロワ@FFT】
【バルク・フェンゾル@FFT】
投下乙です。
聖石を指示で投下したのじゃなく、無断で持ち出して会場に投げたなら、
たとえ痛くも痒くもなくとも明確な反逆行為と見なさざるを得ないけどいいのかな?
そこだけ気になりましたが。
ともあれ乙です。
パロロワ毒吐き別館に本日のみロワ語りがあるから皆さん興味があったら見て下さい。
凄く詰まらない質問だが。
食事や休息一切とってないキャラは何人いる?
現時点で描写が無いのはカトリ組にアグリアス組、
それとデニム組ぐらいかな?
アイクとカーチスも微妙だけど、それ以外は何かしら休憩取ってる。
ここのロワってどっちつが多いが、逆に対主催以外あり得ないキャラはいるのか?
アイクとイスラ姉弟、カーチスとゴードンぐらいか?
ルヴァイド(カトリとハミルトンは微妙)とミカヤとか。
サモン勢は最初はほぼ全員対主催だけど、人が死ぬにつれて
マーダー(主に奉仕か優勝による全員蘇生目的)に裏返るイメージ。
ディスガイア勢は気分屋だし、TOは一度マーダーになったら戻らなそう。
暁は最後までどっちつかずのままで、TSははっきりしないまま全滅しそうな感じがするのが…。
そういやTSもさりげなく死亡者かなり多いな。
wikiの編集をしていて、
ヴォルマルフのは時間が夕方では矛盾がでるので
夜に変更したいと思います。
アイク以外の参加者にはマーダー化への案は考えています。
Wiki編集お疲れ様でございます。
予約内容が(マグナ)、タルタロス、アグリアス、フロンに変わりましたが、一応完成したのでしたらばに投下。
まだ規制中です。
プロバイダ変えた方がいいかな?
投下乙です。
アグ姐がやられちゃったか…
まぁ、あの状態からじゃ、その後どうなってても助からんか。
タルタロスの歪みっぷりが凄く良かったです。
あいつも上手く行ってりゃ(別ルートのED)だったら、
マグナみたいになってたのかもねぇ…
激しく乙です。
とりあえず、トリス派だけど
マグナ逃げてーって気持ちになったw
問題ないようなので、代理投下依頼いたします。
次は臨時放送か。
リュナンの荷物が消滅してるのだか大丈夫なのか?
>>593 90話の補足でちょこっとしか書いてないけど、
城のロビーに放置されてる。
代理投下行きますが猿さんを防ぐため、
大体8〜9レス位で何回か1時間ほど止まると思います。
その間を誰かが繋いでいただくとありがたいです。
なあ、アルフォンス。聞こえているのか?
なら、なんでいつも返事を…って、そんな睨むなよ。お前ってさぁ、友達っているのか?
そりゃまあ、無理に答える必要はないけどな。でもやっぱ、お互いの事知っとかないと、やり辛いだろ。
でも、俺の事だけは話しておくよ。飯食いながらでいいからさ。
俺には心を許せる『親友』ってのが二人ほどいる。『仲間』だったら、もっといるけどな。
ああ、さっきも少し言ってたけど、ネスティは俺自慢の兄弟子っていうか、兄代わりなんだ。
いっつも口煩くて理屈屋で、お前みたいにツンケンしてるんだど、根は真面目でいい奴なんだ。
それに、あとここにはアメルって女の子も来ている。多分信じちゃくれないと思うけど…。
アメルはサプレスの豊穣の天使、アルミネの生まれ変わりなんだ。
癒しの奇跡が使えるってことで特別扱いされて、以前はその事ですごく悩んでたみたいだけど、
やっぱりあいつも一人の女の子なんだし、大事な仲間なんだ。
…お、おい。もしかして、お前にも天使に知り合いでもいるのか?こっちまでびっくりするじゃないか。
俺はあいつらがいるからこそ、どんな困難だって切り抜けられるって、そう思っている。
これまでも、これからも。勿論、今回の事についてもだ。一人じゃ絶対無理な事でも、
親友や仲間がいるからこそ「あいつらのために頑張らなきゃ」って、思えるんだ。
だあぁぁぁぁ。だぁーかぁーらぁー。義務とか、責任とか、使命とか、そういう堅苦しいのと違うんだってば!
『生き甲斐』って、言ったらいいのかな?あいつらがいるからこそ、自分の人生も頑張れるんだって感じだ。
俺もずいぶん昔は腐ってたけど、あいつらがいたから俺も変われたんだ。
名簿のこのルヴァイドだって昔は凄い悪い奴で、最初は俺と敵同士だったしな。
仲間がいれば、誰だって人は変われるんだ。
だから、俺はアルフォンスだってもっと変われるって思ってる。
今は難しいかもしれないけど、そういうのって絶対いいもんだぜ?
…アルフォンスだって、昔はそういうのいたんだろ?顔に出ているしさ。
だったら、たまにはそういう奴らの事を思い出してやればいい。
そうすりゃ、今の顔の強張りみたいなのも取れると思うぜ?
だから、まあ、なんだ。折角出会えたんだし、仲良くやっていこう。な、アルフォンス?
――ほう。これは驚いた。貴公と、かつての私がよく似た境遇にあるとはな。
だがな。私は元“仲間”で屍山血河を築き、その“親友”とやらを死に追いやり、
そして初恋かもしれぬ少女も、私を置いて去ったのだよ…。
◇ ◇
私はリュナンの首を刎ね、その頚部に付いていた首輪を奪う事にした。
首輪なら、眼の前の少女にも付いているものがある。
死後半日は経過しているらしく、そちらなら血が飛沫くこともないだろう。
ただし、そこから首輪を戴くためには、身体をある程度土中より堀し出す必要性がある。
だが、今はあまり時間をかけられる状況ではない。、
見失った私やリュナンを探しに、マグナ達が血眼になって近辺をうろついていないとも限らない。
ここで時間をかけてしまったが為に「殺害現場を押さえられる」といった失態は冒したくない。
そのため、飛沫いた血が服を濡らすリスクは伴うが、
早急にリュナンの首を刎ね首輪を奪うことにした。
頭部は埋めるような事はせず、そのままに捨て置いておく。
死者に感傷など元より持ち合わせはいないが故に。
人は“死者”という存在ではなく、“死体”という物体になるのだ。
故に意味がない。戦場でそれを履き違える人間の、実に多い事か。
首から噴き出した鮮血が勢いを失くすのを見計らってから近づき、
血溜まりを踏まぬよう慎重に足を運び、首輪のみを回収する。
ロンバルディアの血振るいを行い、首輪についた血糊とともに、
リュナンのマントで入念に、だが迅速に拭いておいた。
念のため、眼の前の少女の首輪も回収しておくことも最初は考えた。
だが、ネスティに首輪の解析を依頼する際に、最初から複数個も持っていれば
要らぬ誤解を与えてしまうことにもなりかねないと判断したため、
ここは信頼を重視してリュナンの首輪は保留することにした。
もし足りなくなれば、またこちらに赴いて首輪を回収すればいい。
その場合少し遠回りになるが、急いて事を仕損じるよりはマシだ。
ただ、それだけの事である。
回収した首輪には、ご丁寧にも“リュナン”と
その持ち主の名が銘打たれていた。
――異世界人の、“銘”?
先程のマグナの話しから、少々の違和感を感じ
その文字の字体を、今度は食い入るように眺める。
…明らかに未知の言語である。
古代神聖語でもゼテギネアで使われる言語ですらもない。
それは名簿や支給品説明書に使われてある文字も同様だ。
だがしかし、その内容を何故か
私は完璧に“理解できる”のだ。
これは明らかに、異常である。
これは、マグナから召喚術の話を聞くまでは、
全く気にも止めなかった事だったのだが。
あまりにも自然過ぎるが故に、強く意識しなければそうと気が付かない程に、
出会った者達との意思疎通は至極当然の事であると先程までは認識していたのだ。
例えるなら、蜂があの複雑も極まる蜂の巣の作り方を知っているように。
あるいは、蜘蛛が誰に教わるでもなく精緻な糸の張り方を心得ているように。
その“未知なる言語”による会話と読解能力は
息を吸うほどに自然に、私の頭蓋に余さず刻み込まれていた。
だが、それは一体“いつ”、“何者達の手によって”付与されたものなのか?
…考えるまでもない。
このゲームの“主催者達によって”“この舞台に召喚された時”以外にありえないだろう。
それはあたかも武器に炎神ゾショネルの加護を与え、魔法を付与するかのように。
ごく当然のように人にその知識を刻みつけたのだろう。
――やはり、そうなのか?
私はあの場を立ち去る前、マグナが話していた内容を思い出す。
それは別世界の住人をリィンバウムに呼び出し、
現地の言語を理解する力を与える『召喚術』なるものの存在だ。
カオスゲートも何もなく、異世界の存在を大規模に召喚し、支配する魔法か。
無論、無条件でなんの代償も必要としない力などどの世界にも存在しないだろう。
こちらの力にも、勿論何かしらの制限や条件はあると見るべきだろうが…。
だが、特別な“門”も“鍵”も必要がなく。
一切の時と場所を選びさえもせず。
無数にある異世界の存在を欲しいままに呼び出し、
言語を理解する力を与え、
文書を読解する力を与え、
支配し得るほどの手段を、
もし“こちら側が”手に入れることが出来たなら?
その“大いなる力”を持ち帰れば、この上ない功績となる。
それは部下の造反に合い、暗黒騎士団壊滅の憂き目にあった
その失態を帳消しにして余りあるものといっていい。
もし、この召喚術がリィンバウムでしか使えないものであっても。
それが長年の知識の蓄積により立脚された“技術”である以上、
時を掛けその技術を解析し、応用をすればいずれゼテギネアでも
使用できるものに改良出来るであろう。
そうなれば、もはやカオスゲートの解放どころの話しではない。
危険を冒して“門”を探し、こじ開ける必要性は全くなくなる。
この召喚術を応用すれば、オウガはおろか異界の神々でさえも
必要な数だけ呼び出し、あるいは不必要な存在のみを送還し、
思いのままに従わせることさえも可能であろう。
天界や魔界の存在との接触が容易になるということは、
向こう側にある“究極の力”さえも容易く手に入る。
そして、ともすれば…。
いや、これは私のつまらぬ感傷の、いわば残り滓か。
今更、天界の“彼女”と出会った所で、どうなるものでもあるまい?
長年の歳月で、私はあまりにも変わり過ぎた。
万一の再会がもたらすものは、彼女の絶望と慟哭のみであろう。
ならば、甘い夢は壊さぬままがいい。
ならば、永久に出会わぬ方がいい。
それが、双方の為だ。
雑念が混じり過ぎた。感傷は封殺する。
リィンバウムの召喚術を手に入れて生還すれば、ローディスにも申し訳が立つ。
そして、この絶大なる力はローディスを、さらには己を大きく利するものとなる。
――禍転じて、といったところか。
だが、それは己の才覚次第となる。
“召喚術”なる未知なる技術をいかに首尾よく手に入れた所で、
まずは生還の目途を立てないことにはどうにもならない。
この世界から脱出を図るにしろ、優勝を狙うにしろ。
その二つの選択肢の見極めの為にも、ネスティとの接触と
“抜剣者達”との接触はいち早く行わねばならない。
そして、彼らに利用価値があるかどうか、早急に見極めねばならない。
利用価値があれば良し。もし、そうでなければ――――。
首輪の事については“カーチス”と呼ばれた存在も気にはなるのだが、
それはネスティとの交渉後でも構わないだろう。
ならば、このような場でぐずぐずとしている暇はない。
なにより、この場を発見されれば厄介な事になる。
私はそう判断すると、いち早く森を西側へと駆け抜けた。
◇ ◇
西に駆け抜け街道に入った私が遭遇したものは、
憔悴の極みにあるその身体を小柄な背に預けている女騎士と、
それを満面の笑顔で背負う、エンジェルナイトの
出来損ないのような幼女であった。
街道を通るのは余りにも目立ち過ぎるが故に、
なるべく通らずに南方の町を目指したかったが、
相手側もどうも同じ事を考えて、西の城へと向かっていたらしい。
夕暮れ過ぎの街道は想像よりも視界が悪く、
故にお互い接近に気が付かなかったのだろう。
相手側に装備は一切なく、周囲を警戒した様子もない。
おまけに重装の女騎士を背負うような姿勢では、
あの幼女に機敏な動作は至難の業であろう。
余りにも、不用心に過ぎる。
故に、こちらが先に二人に気付く形となった。
そして、距離は二十歩前後とやや近いい。
――さて、どうすべきか?
私は気付かぬ振りをする事も選択肢の中に入れていた。
だが、こちらが身を隠す前にエンジェルナイトも私に気づいてしまい、
小さな白い手を激しく左右に振ってこちらの存在をアピールする。
――気付かれたか。
現時点での二人との接触によるこちらの害は少なく、
逆に逃亡する事によって発生するデメリットは大きい。
私は即座にそう判断し接触を決意したが、私の行動より早く、
エンジェルナイトは軽やかにステップを踏み近づいてきた。
私はそのあまりの不用心さにも呆れたが、それ以上に。
重装の女騎士を背負って息一つ切らさず、
全く重量を感じさせない滑らかな動きで
こちらに疾走したその体力に驚愕した。
一方、女騎士はその振動で初めて目を覚ましたらしく、
自分が今置かれた状態に呆然自失とする。
それまで意識が酷く朦朧としていたせいなのか、
この私に気づくのが大幅に遅れてしまい、
苦渋に満ちた顔を隠そうともせずこちらに向ける。
それは己がした油断と、幼女への注意が致命的に
遅れてしまった自責の念もあるのだろう。
だが、それ以上に。
その血色の悪い青白い顔が心なしか紅に染まっていた事から、
そこには己の恥ずかしい光景を見られた羞恥の感情も含まれていた。
◇ ◇
「――それで、今ここに到るというわけですね。ランスロットさん。」
「ああ。そして貴公らはこの森から出て間もないということか。」
フロンと名乗るエンジェルナイトの出来そこないは、
アグリアスと名乗る女騎士を肩から降ろし、お互いの情報を交換する事になった。
女騎士は重度の疲労(顔色から察するに生命に関わる程の貧血)を伴っての強行軍の上、
ヴォルマルフの放送とやらによって知らされた、仲間の死亡による心労が重なった事により
ついに倒れてしまったので、それをフロンが責任を“取る(?)”形で肩車をしていたのだという。
女騎士はこちらを最初から警戒していたようだが、気づくのがフロンよりも遅れてしまい、
なおかつフロンがこちらとの会話を始めてしまったため、口を利く機会を逸したようだった。
規制避けの為、一旦休止します。
私はこれまでのあらましを二人に説明する。
ただし、内容は少し伝え方を変えているが。
「同行するには危険性が高いと判断したため、ラムザ達と袂を分かった」とは言わず、
「同行中に不審者を発見したため、それを追う内にはぐれてしまった」と伝えておく。
不審者(リュナン)を追跡していた事に関して、別段私は嘘はついていない。
ただし、利用価値の無い不審者を始末した事については何も言わなかったが。
女騎士はラムザと別行動を取った事に不信感を抱いたようだが、
その理由を深く追及しようとまではしなかったらしい。
失態を犯した私を気遣っての事か?いや、それは違う。
おそらくはこの場でこの私の不興を買ってしまえば、
身に危険が迫る可能性程度は計算しているのだろう。
――賢明な判断だ。
無防備で愚かな幼女と違い、ある程度の判断力は付いているらしい。
フロンは私の言い分を鵜呑みにしてあるので、もはや論外なのだが。
二人には名前を“ランスロット”と名乗ることにした。
これまで通り“アルフォンス”と名乗ってもよかったのだが、
先程の件のように余計な誤解を与え事態をややこしくするよりは、
最初から名を名乗った方が良いと判断したからだ。
私は会話中に鞄に入っていた透明の水筒を一本取り出すと、
貧血で意識を保つのが億劫になっている女騎士に差し出す。
女騎士は一瞬物欲しそうな顔を浮かべるものの、
「それは受け取れぬ」と謝罪し、丁重にこちらに返した。
私はその拒絶の真意をよく理解していたので、
「警戒するのも無理はない」と謝罪の言葉を添え、深く頭を下げる。
そして自分から一口だけ水筒に口を付け「毒味」を行った後、
ハンケチを添えて改めてもう一度差し出す。
…これは、別段親切で行ったわけではない。
警戒心を解かせる為であるのも勿論だが、それ以上に。
女騎士が会話の中でこの私をどう判断しているか?
女騎士がどのような人間性を持つ人物であるか?
それを値踏みしておきたかったのである。
すぐに水筒を口にするなら油断しきっている証であり、
一切水筒を口にしないなら警戒が残っている証である。
こちらが相手の気を遣い、「毒味」までして安全を保証した際に、
それでなお口にしないなら敵意まで持たれていると考えればよい。
女騎士は、こちらの反応に対して申し訳なさそうな顔を浮かべてから
しばらく悩み続け、そして思い切ったように私のハンケチを使い、
飲み口を拭いてから水筒を口にした。
――しかし、まだ甘いな。そのハンケチに万一毒でも塗り込めてあれば、一体どうするつもりなのだ?
私は騎士の不用心さに心中で溜息を付く。
今回は別段毒は用意できなかったし、またあったとしても塗るつもりもなかったのだが。
だが、私のハンケチをあえて使ったのは、
「私はお前を信頼する。一切、疑ってなどはいない。」
という感情をその行為に表わしたものなのかもしれない。
つまり、警戒する心は忘れぬものの「相手の誠意には出来るだけ答えたがる」
感情が何よりも優先される、極めて実直な性格の騎士なのだろう。
これは好都合である。扱いさえ間違えなければ、何よりも御しやすいといえよう。
そして、もう一方のエンジェルナイトの出来損ないだが、
これは極めて掴み所のない妙な変人であった。
救いようのない愚者の類であるのは間違いがない。
この殺し合いの場において、他の競争者を背負うなどもはや狂気の沙汰としか思えない。
そして、もしその対象に全く敵意が無かった場合としても。
二人揃って機動性を失うような行為を他の敵意もつ存在に発見された場合、
飛び道具を持っていれば二人もろとも蜂の巣にされる危険性がある。
半回転して女騎士を盾にすること位は出来るだろうが、背負う危険性がはるかに勝る。
どうやら女騎士は私の接近でようやく意識が戻った風であったが、
彼女自身が進んでその幼女の背に乗ったというわけではないようだ。
それは女騎士の先ほどの態度から見ても明らかである。
ただし、重装の女騎士を背負う幼女に息一つ切らせた様子はなく、
むしろ体力が有り余っている様子であることから、
人間の常識を超えた体力の持ち主であるのは間違いない。
その貧相な体格で、それだけの筋力や持久力を
只の人間は出せるはずがないのだから。
恐れるには足りぬが、その桁外れの身体能力だけは注意すべきであろう。
私は出来るだけ聞き手に徹し、目の前の幼女から情報を引き出す事に集中する。
話しの脱線(特に神の愛について)には軽くいなし、
フロン自身やこの場にいる仲間の話題、あるいはこれまでの遭遇者の話しへと
流れを変えて情報を引き出すには、格別の苦労を必要とした。
幼女が何一つ包み隠さず流暢に話す様子は、心中で失笑を禁じえなかったが、
その甲斐あってか、情報には大いに役立つ事も含まれていた。
曰く、自らは愛の天使であり、この戦いを終わり主催者に神の愛を説くのだと。
(呆然を通り越して軽い偏頭痛さえ覚えたが、主催に最後まで反抗する立場である事だけは理解した。)
曰く、自らは大天使に罰として花へと姿を変えられたはずが、ラハールの力によって再び天使見習として生を得たという事。
(この天使は大罪を犯し完全なる堕天前に別の姿に転じされていた、聖魔シャヘルのような危険な力を持つ存在だと認識する。)
曰く、自らとラハールとはただならぬ関係であり、今度は自分がラハールの為に命を賭す覚悟でいる事。
(外見年齢も近いことから、ようはこの幼女はラハールの寵愛を受けた愛人関係にあると解釈する。)
曰く、こちらに呼び出されてから“乱暴なお兄さん”からの襲撃を受け、
デニム、カチュア、ランスロット・タルタロスの三人の事を聞かれた事。
(さらに詳しく尋ねた人相から、記憶にある“身の程知らず”の人相とが一致した。)
曰く、さらに支給された紫の宝石の力によって、同行する女騎士と深い愛によって結ばれたということ。
(この発言に眼の前の女騎士は渋面を浮かべ、私は軽い眩暈さえ覚えた。
支給された紫の宝石(サモナイト石?)に封じられた魔物にこの天使が憑依されてしまい、
目の前の女騎士に欲望の限りを尽くしたものだと推測する。)
最後に、ラハールが口にしたカーチスという男を知っているかどうか尋ねてみたが、
やはりこの女もその存在は知っていたらしい。首輪についてさりげなく聞いてみたものの、
「首輪に使われるようなカラクリについて、カーチスに勝るカガクシャはない」らしい。
これには、隣で話しを聞いていたアグリアスも目を剥いていた。
やはり、これは大きな収穫である。
無論、首輪を解除できる可能性のある人物をあえてこの舞台に参加させる以上、
主催側もなんらかの保険は打ってあると考えるべきだが、これで一歩前進したのは間違いない。
…私の世界での、ガンナーのさらに先を行くような存在なのだろうか?
ともあれ、ネスティと同様に極めて重要な存在であることだけは理解した。
さて。二人から聞き出すべき事は、全て聞き出した。
あとは二人の処遇について、最善の対策を考察してみる。
聞けばアグリアスという女騎士も、ラムザとは深い関係にあるらしい。
それが恋愛関係なのか、それとも単に信頼の置ける戦友止まりなのか、
そこまでは判断が付かなかったが、あの人の良さそうな少年の事。
いずれの場合も苦境にある女騎士を見捨てる事は決してないだろう。
(私に言わせれば、あの青年はいざという時に斬り捨てる決断力のない愚者なのだが)
――つまり、これから考えだされる、二人に対して私が取るべき行動は“二つ”。
一つの案は、二人の護衛を申し出て、ラハール達の元に届けるということ。
ただでさえ両者ともに今の状態では戦闘力はなく、護衛は欲する筈である。
そして、二人が実直にすぎる騎士と純粋無垢かつ愚かな天使ときている。
こちらから護衛を申し出て、断られる道理は何一つない。
だが、問題は護衛が終了し、ラハール達と合流してからの事である。
たとえ一時であれ、彼らを捨て置き単独行動を取ったことについては、
当然非難の視線や詳しい追及もあることだろう。
だが、それについてはなんら心配はしていない。
「不審者を発見したので追っていた内にはぐれてしまった、
急を要しており、残念ながら声をとかける暇さえなかった。」
とでも言えば言い訳は立つ。
現に、先程まではマグナと一緒に不審者を追跡していたのだから。
あの人を疑う事を知らぬ御人好しなら、勝手に助け舟を出すだろうし
護衛されている二人も“善良な”(失笑すべき)人間ばかりと来ている。
それが経緯はどうあれ助けられた中で、こちらを悪く言うことはまずありえない。
この二人の愛人かもしれぬ者達を無事保護して連れて来たとなれば、
これまでのラハール達の不信感を払拭して余りある功績となるだろう。
情けは人の為ならず、とも言う。
それにラハール達の信頼を得ておけば、今後のカーチスとの接触も有利に働く。
その上、二人の護衛するにあたり、城までの距離はそう遠くない。
二人を無事届けてから、「思い当たることがある」とでも言って、
しばらくの単独行動を改めて申し入れてもいいだろう。
マグナの始末も、その後でゆっくりと考えればよい。
そう、悪くはない話なのだ。
だが、二人の処遇については、もう一つ案がある――――。
こちらは、ともすれば下策とも言えるものだろう。
本来、あまり私らしくもない案だと言える。
だが、上手く私の狙い通りにいくならば、
それは労せずして別方面の絶大な効果を得る事ができるだろう。
それに、私は――――。
なにより、私は――――。
自らのその行為がもたらす未来を、心より望んでいるという事なのだ。
腹は決まった。
私は二つの選択肢のうち、その一つを決断する。
これからの行為に、何の躊躇いもありはしない。
私はその覚悟を丹田に据え、感情を制御すると
女騎士に話しをもちかけた。
◇ ◇
「アグリアス殿。貴公の今の状態では、いかに騎士とは言えまともに立つことも辛かろう。
故に貴公はそのままフロン殿に背負われ続けてるといい。今の貴殿に、護衛は荷が重い。
あとは私一人が責任を持って護衛を行い、ラムザ達の元へ送り届けよう。…それで構わぬな?」
私はあえて気の毒そうな視線を送り、女騎士を知らずして誇りを傷付ける振りを装う。
私の厚意に甘えるならよし、拒絶するなら、それもまたよし。
そして、女騎士の取った行動は、やはり激昂による拒絶であった。
「…ふざけるなッ!たとえ疲労困憊にあろうが、私とて騎士のはしくれッ!
ラムザ達を見失いなお平然としている貴様と違い、矜持もあれば恥を知る心もあるッ!
確かに出会った時は不様を見せたとはいえ、この私をか弱い女扱いされては困るッ!
それに、十分に疲れも癒えたッ!これより先は、私が先導するッ!!
…貴様こそ、指を銜えて後ろに下がっていると良いッ!!」
想像通り、女騎士は完全に被保護者扱いされた事に完全に激昂し、私に詰め寄る。
「…うむ。実に良い返事だ。だが、これで気力は蘇ったか?
それでこそ騎士というべきものだ。私とは違ってな。
ならば、貴公にも警戒を任せたいのだが、武器はどうしたものか。」
女騎士は私の発言に何かを気付かされたように衝撃を受け、
そして恥じ入るように私を見つめ、そして口ごもる。
女騎士には、腰に下げる武器が一切ない。
これもまた、計算通りといった所だ。
「…すまない。貴殿はあえて私の為に憎まれ口を叩き…。いや、今は感傷に浸る場合ではないなッ。
武器は…、なくとも素手での格闘なら心得ている。それなら任せておくがいいッ。」
女騎士は私の騎士剣を一瞬だけ物欲しそうに眺めると露骨に目を伏せ、
そして空元気とも虚勢とも言えぬ覚悟を見せ、自らの胸を拳で叩く。
…やはり、そうなるだろうな。肉体の衰弱は精神を弱らせ、気力を萎えさせる。
それが徒手空拳ではいかにも辛かろう。すがるべき剣でもあれば、話しは別なのだが。
私はロンバルディアを鞘からゆっくりと引き抜き、
柄の方を女騎士に向け、丁重に渡そうとする。
「だが、このロンバルディアがあれば、なお仲間の護衛は果たせるであろう。
それに、先程の非礼の詫びの意味もある。これを一時の間、貴公に預けよう。
何、私とて鞘さえあれば護身程度はこなせるし、素手の格闘は私も心得ているからな。」
そういって、微笑を浮かべる。
今度は慇懃無礼なものでなく柔らかく。あくまでも柔らかく。
同じ騎士としての厚意をその行動と態度で示す。
「…ッ!そのようなもの、軽々しく受け取れるものかッ!!」
女騎士は息を呑む。私が剣を預けることに。
騎士がその生命線とも言える剣を預けるといった行為が、一体何を指すか?
住む世界は違えどもやはりそれが意味する事を察し、女騎士は目を剥き、驚きの声を上げる。
それでもやはり、そこまでの施しは受けられないという事だ。
「この行為は、貴公のみならず全ての者達に対する謝罪と、
この私の顔を立てるものと考えて借り受けて頂ければいい。
アグリアス殿。これが、私なりの謝罪の仕方なのだ。」
だが、私の提案と目の前のすがるべきものに目がくらみ、
心身の衰弱した状態でのその言葉が後押しとなったのか、
悩みに悩んだ後、女騎士は丁重にそれを受け取る。
ロンバルディアという名の銘剣が持つ独自の鋼の輝きを女騎士が察し、
僅かな感嘆の声を上げたのを、私は聞き逃さなかった。
「…ならば、この剣は貴殿から確かに借り受けよう。
だが、貴殿の剣とその思いもまた、必ず返す事を約束しよう。
何事も借りっぱなしというのは、私の性に合わん。それに…。」
「…それに?」
「私はどうも貴殿のことを誤解していたようだ。
ラムザ達の事から、最初は信用ならぬものとばかり考えていた。
だが、これまでの立ち振る舞いから、貴殿は信頼に足ると見た。
ならば、私もまた貴殿の思いに答えたいッ。」
「そうか。そう言っていただけるとは私も光栄だ。
では、時間が惜しい。直ぐにでもラムザ達の元に向かうとしよう。」
私はそう言ってロンバルディアの鞘を腰から外す。
その行為を、二人は当然の行為と考えて見逃す。
――そう。見逃したのだ。
「ああ。言われなくともッ!では、私が前方を警備しよう。貴殿は最後部を警戒してくれ。
私がこのような銘剣を預かる以上、これは当然の事だ。フロンは、安全な中央にいるといい。」
「…心得た。」
「…さあ、行くぞ!!」
自らを奮い立たせるような気合の声を上げ、女騎士は私に背を向ける。
天使の出来損ないは、女騎士に近づき早足で歩く。三人の距離は近い。
そして双方ともに油断しきっている。
――待っていた。待ちわびていた。この瞬間を。
私は三人の位置関係とその占める空間をその呼吸から、
足音から、風を遮る感覚から、その匂いから、
視覚以外の五感を総動員して正確に把握する。
アグリアスは前に、フロンは左側に。歩速も計算済。
そう。これまでの二人に対する演技も、女騎士に剣をあえて与えたことも。
すべてはこの瞬間を生み出す為にこそあった。
話しの展開から、偶然に抜き身の剣をその厚意により
与えられたと考えれば、油断するのは必然である。
万一警戒心が残っていた所で、相手は徒手空拳となる以上、
生殺与奪の権利は自分こそが握ったと思い込む。
だが、それこそが罠なのだ。
それは、最初から全て計算された行為。
会話の流れも。剣を差し出すといった行為も。
今あるこの決定的油断を生みだすための伏線。
そして、木製の鞘であっても。
本来武器でないようなものでも。
護身はおろか、しかるべき部位に充分な力を乗せれば、
一撃でその生命を奪うには十分なのである。
それを、女騎士は失念してはならなかったのだ。
私は、最初から正面を斬って襲いかかるような事は考えなかった。
二人がいかに丸腰とはいえ、一人は正規の訓練を受けた練達の騎士。
そして、一人は人間の常識を遥かに凌駕する、身体能力を持つ天使。
万が一ということも十分にありえるし、一人を始末している間に、
もう片方に逃げられる可能性もある。
そうなれば、己の命運は尽きてしまうのだ。
ならばこそ、一度殺すと決断したからには目撃者を残さず、
確実を期した上で対象を皆殺しにせねばならない。
――私が手繰り寄せた、完全なる“勝機”は、今、ここにあり。――
感情は最初から制御してある。その気配は消したまま。
左足は前に、右足は後ろに、鞘は右肩に担ぐように構える。
右足を高速で前方へと蹴り出す。その勢いを余さず乗せ、
鞘を袈裟に、女の首筋に向けて全力で振り落す。
風が唸る。悲鳴を上げる。その斬り裂き音が女騎士に警告する。
危険だと。早く気づけと。速く逃げろと。
だが、その悲鳴がその耳に届く前に。私は事を為し遂げる。
――――ごきり。
鞘の打ち込まれた速度と角度、そして手に伝わる鈍い衝撃。
長年に渡り、飽きるほど体験し続けたその確かな手応えから、
おそらく女騎士は何が起きたかさえ理解できず、即死したものと確信する。
だが。
だが、まだ終わりではない。
危機はまだ脱してはいない。
肝心は、ここからだ。
「――え?!」
天使の目が見開く。
眼前の不測の事態に、脳が処理を行いきれていない。
これもまた、私が生み出した隙。計算の内。
だが隙は数秒。僅かに数秒。
完全なる無防備を晒すのは数秒。そう想定する。
それを逃せば、憎悪に燃える天使は私を狩り殺そうとするだろう。
それも、恐らくは聖魔シャヘルにも匹敵する存在。そう想定する。
底が知れぬ存在を、勝算のない正面戦闘で仕留めるのは愚の骨頂。
身体能力は、おそらくこちらを凌駕しているものと計算する。
まともに戦って、勝ち目は薄いと推測する。
だからこそ、天使がその真価を発揮する前に斃さねばならぬ。
この数秒の隙で仕留める。仕留め切る。
唐突の凶行に、左側の天使の理性が現実に追いつかぬ時の間に。
そうでなければ、敗北と死は私に訪れる。そう覚悟する。
私は鞘を手離し、前方に踏み込み、女騎士の死体の背後を取る。
私は女騎士が力を失い崩れる前にその背中越しに、
その左手で左手首を握り、その右手で右掌を握る。
ロンバルディアは、“女騎士だった”死体に握られたまま。
私は女騎士の死体とタンゴを踊るかのように、弧を描き高速で旋回する。
その付いた勢いは殺さぬままに。むしろ次なる刺突に活かすように。
私は前方となった天使に向けて強く、大きくその脚を踏み込む。
私はアグリアスだった死体を通じて、目の前の天使の心臓を、完全に刺し穿つ。
――――――ずぶり。
奥へと。
奥の奥へと。
そして最奥まで。
私は柄までめり込んだ剣をその感触で確認すると、
それを一度捻じってから引き抜く。
同時に左足で女騎士の背を前方へ蹴り、
崩れ落ちようとする天使の上に被せる。
遅れて噴き出す鮮血は全て、女騎士の死体が受け止めた。
紫の宝石が、女騎士の懐からこぼれ落ちる。
刀身についた鮮血は血振るいで残さず落す。
この間、わずか三秒。
――全ては、計算通りといったところか。
己を信頼した人間を背後から殺すことに対する良心の呵責もなければ、
不意打ちに成功した勝利に感慨することも、死体を嘲ることもない。
ただひたすらに目的の為には一切の手段を選ばず、
念入りに人を欺き、絶好の隙を生む機会を手繰り寄せ、
そして確実に、殺すべくして、完殺する。
その三秒はプロフェッショナルだけが可能とする、純然たる技術。
もはやそれは芸術的ですらあった。
そう、完全なる殺人の為だけの技術。
それはひたすらに卑しく浅ましき技術。
戦闘技術ではない。純然たる殺人技術。
その暗殺の玄人ならではの卑しく鍛え磨き抜かれた、
悪意の結晶たる技術の粋を、純粋無垢たる天使が理解できようはずがなかった。
人間と善意を信じる、実直なる女騎士にも想定しようがなかった。
人の理を超越した天使は、
人の誠意と善意を信じる女騎士は、
人の悪意の結晶であるその卑劣を極めた技術の前に、
あえなくその生命を儚く散らした。
私は二つの死体を製造した、その現実のみを認識する。
そして、これがもたらすであろう影響のみを認識する。
私は二人の双眸から完全に光が失われた事を確認する。
そして女騎士の懐から転がり落ちた紫の水晶を懐に入れ、
ロンバルディアの鞘を回収するといち早くこの場を離れる事にした。
◇ ◇
二人の処遇については、もう一つ案があった。
それはフロンを殺すことによりラハールの不安定化を誘い、
女騎士を殺すことによってラムザの動揺を誘い、
一行の結束を完全に破壊してしまうことであった。
ラハールとラムザはこちらを最初から警戒している節があった。
ラムザは私に何か本能的に察する所でもあったのか、
こちらの言動を見落とすまいと目を離す事はなかったし、
何よりラハールは誰でも良いから暴れる相手と理由が欲しく、
それが何者相手であろうが一向に構わないといった風情であった。
何時暴れ狂うかもしれぬ狂犬と、こちらを警戒するその飼い主。
そして、何よりも空気を察する事が出来ぬ、愚かも極まる青年。
こちらが手駒とする相手としては、相応しくない者達であることは間違いない。
マグナへの殺意も勿論あるが、彼らは利用価値に乏しくこちらの背負う危険は高い。
そういった理由も複合していたからこそ、私は彼らの元を離れたのだ。
だが、このまま離反したまま彼らを放置しておけば、
彼らに悪評を流されぬとも限らない。だからこそ、先手を打つことにした。
確かに、彼ら二人をエスコートしてラムザ達に引き渡したなら、
彼らから好感を得る事は可能であっただろう。
だが、そこまで媚入ってまで彼らに固執する必要性を、この私は感じなかった。
そして、到底味方として利用できぬ以上は、敵であるものと認識する。
たとえ私が主催に敵対する立場を取るにした所で。
こちらに敵意を持つ存在を、生かしておく道理はない。
「敵の敵は味方」という言葉もあるが、この状況下での制御不可能な味方という存在は、
「戦場での無能な味方」以上に極めて厄介な存在となる。
愚者が勝手に主催に何の計画性もなく暴れ、その結果として「こちらまで」警戒される、
あるいはそのとばっちりで「まとめて」首輪を爆破されてしまえば、全ては水泡に期す。
ならば、「厄介な存在」は大きくなる前に、その芽を積んでおくに限る。
それは例えこちらと利害が一致した所で、私の計画を乱し、
足を引っ張りかねぬ不確定要素となりかねないのだから。
故に、ラハールという名の狂犬の理性の拠り所を奪い、
その飼い主の心に揺さぶりをかけ、結束を破壊する。
そうすれば、こちらへの警戒どころの話ではなくなるだろう。
あとはゆっくりと自滅を待てばよい。
それに、なにより。
安易に仲間とやらを信じ、手前勝手な理想を押し付け、
一人勝手に悦に浸る夢想家への最高の意趣返しにもなる。
――あの青年に、現実というものを教えてやれる。
そう考えると、自然と笑みが噴きこぼれた。
可笑しく。可笑しく。ただ可笑しく。
だがその込み上げるものは鋼の理性を以てしても抑えきれず。
私は声もなく、疾走しながら嗤い続けた。
それは、これまでの私には全く相応しくない。
むしろ、自分さえも驚くような浅ましい、人がましい笑み。
大志を持ち、理想を持ち、前を向くものが浮かべる笑みではない。
この昏い喜びの正体を、粘着性を帯びた浅ましい感情の名を、私はよく知っている。
――ようやく理解できたよ。私が貴公に殺意まで抱く真の理由が、一体何であるかを…。
人間は人間に対して殺意の感情を抱く。
人間は野良犬に対して殺意の感情を抱くこともあるが、むしろ稀である。だが。
人間は肥溜に群がる蛆虫に対して、殺意の感情は抱かない。抱く訳がない。
人間は比較に値するものにしか、特別な感情を抱かないものである。
私はマグナに対して殺意まで抱く理由に不可解さを感じており、
そしてまた戸惑いを感じてもいた。
本来、私にとって綺麗事ばかり口にし、不用心に過ぎるマグナなどは、
この殺し合いの場においてはいの一番に始末される救いようのない
愚物に過ぎず、取り立てて憎むような存在ではないはずなのだ。
その軽蔑にすら値しない存在に対して殺意まで抱くというのは、
私が心のどこかで対等かそれ以上に見做している事を意味する。
その悪意の源泉が、私には理解できなかった。今までは。
昼食を取りながらの、マグナの一方的な話しの際、明らかな苛立ちを私は感じていた。
それは人の心に土足で侵入しようとしう、彼の配慮のなさから感じたものだと解釈していた。
確かに、それもあったのだろう。
だが、それ以外の。
だが、それ以上の。
心の奥底に沈澱する、度し難い悪意の源泉を、私は理解した。
マグナには兄とも呼べる存在がおり、そして恋人かも知れぬ少女が存在する。
そして何一つ挫折を覚える事無く。そして何一つ別離を知る事無く。
裏切りを知らず。欲望を知らず。悪意を知らず。人の醜さを知らず。
のうのうと、純粋なまま笑顔のまま生き続けている。
現実というものを、まるで理解しようともせず。
だがそれは、この私にもありえたかも知れない未来をも連想させた。
レクトールがいれば。エレノアがいれば。
私は、今の私ではなかったのかもしれない。
私は、目の前の青年のようになりえたのかもしれない。
あの青年と私は境遇が似ているが故に、それは否応なく連想させるものがあった。
それは今となってはもはや思い出す事もない、心の古傷。
今の私にとっては、失笑すべき、恥ずべき、青臭い過去。
この青年に出会わなければ、それはそのまま風化した事だろう。
それをあの青年はあざとく見つけ出し、その傷口を抉り出し、
ご丁寧に劇薬まで塗りこんでくれるのだ。それも満面の笑顔で。
それに憎悪を抱かぬはずがあろうか?
それに悪意を抱かぬはずがあろうか?
それに害意を抱かぬはずがあろうか?
マグナに対する殺意の源泉は、そこにあった。
先程の放送でアメルという名が呼ばれた時も、私は知らず笑みが噴き零れていたのだ。
彼女が主催者を始末する為の有力な駒となりうるかどうか、まだ確認すらしていないというのに。
マグナのが抱いたであろう慟哭を想像するだけで、首が熱を帯び、どす黒いの歓喜の感情が沸き上がった。
――私は貴様が、マグナが、妬ましかったのだな?
私は本来、人の死に対して、一々喜びもしなければ、悲しみもしない。
一切の感情を、私は抱かない。そういった鋼の意思を、私は鍛え上げた。
そして、それは敵であろうが味方であろうが同様であった。
そうでなければ、暗殺と破壊工作のプロフェッショナルは務まらない。
感情に溺れれば、技は乱れ計画は霧消し、獣と変わらなくなるが故に。
だが。
だが、今の私は。
まるで愚痴ばかり零す愚かな民のように、
人の不幸を純粋に喜んでいる。
本来は関わりのない人間の絶望を、
極上の甘露とし蜜の味としている。
――近親憎悪。
それが、マグナに対して抱いた私の感情の正体である。
過去の自分と似た、だがしかし自分とは真逆の未来を持ち、
人生を謳歌する存在を許容できる者は、おそらくいないであろう。
だが、憎悪に身を委ねるというというのも、
そう悪くはない心地であった。
そして、これからマグナに襲いかかるであろう不幸を想像するだけで、
どす黒い歓喜が込み上げる。上手くいけば、激怒したラハールは
誰これ構わず、それこそラムザやマグナであっても襲いかかることであろう。
だが、願わくば。
マグナにはまだまだ生き永らえてほしい。
仲間が死に絶え、悲嘆と絶望を繰り返してほしい。
人間の悪意というものを、骨の髄まで理解してほしい。
そしてその心が完全に折れ、擦り切れてしまった所を。
私はこの手で、最大の絶望と慟哭の中で殺害したい。
そう心より、願った。
そう心より、願った所で。
――先程の放送より一時間後。
本来はあり得ざる、臨時の放送がもう一度訪れた。
【フロン@魔界戦記ディスガイア 死亡】
【アグリアス@ファイナルファンタジータクティクス 死亡】
【残り35名】
【F-3/街道/一日目・夜(19時)臨時放送直前】
【ランスロット・タルタロス@タクティクスオウガ】
[状態]:健康、マグナに対する底無しの悪意。
[装備]:ロンバルディア@TO
[道具]:支給品一式(食料を1食分消費しています) ドラゴンアイズ@TO外伝、サモナイト石(ダークレギオンと誓約済)
[思考]1:生存を最優先
2:ネスティ、またはカーチスとの接触を第一目的とする。
3:抜剣者と接触し、ディエルゴの打倒に使えるか判断。
抜剣者もまた利用できないと判断した場合は、優勝を目指す。
4:ラムザに対して強い警戒感。
5:いかなる立場を取る場合においても、マグナだけは必ず殺害する。
[備考]:マイク型ハンディカラオケ(スピーカー付き) は、F-3/街道にそのまま放置されています。
アグリアスの首にかけてあるクリスタルが発光しています。タルタロスはそうなる前に
その場を立ち去ったので、当然その事に気づいていません。
タルタロスもまた、首輪の影響により悪意が増幅されてますが、その事実にまでは気づいていません。
今回も代理投下&支援有り難うございました。
しかし、一人で作品投下できない環境はなんとかならんものか…。
タイトル元ネタは、某人気ライトノベルの題名からです。
しかもその登場人物である「隻眼の悪魔」もまた、“アル坊や”と呼ばれてます。
アルフォンスとアル坊や、素敵な偶然の一致ですね。
さて、これでフリーザ軍団も含めて全作品に死亡者が出たと言うことか。
最初の全滅作品はどこだろう?
ところで、ゲサロワは何話まで続いていたっけ?
臨時放送裏側、ディエルゴサイドをしたらばに投下。
今回も、少しゲームに関わるギミックを用意したので、是非意見下さい。
敢えて、臨時放送内容自体には未だ手をつけてません。
また第一回放送のように、各自でネタを出しあった方が面白いだろうから。
でも、今自分入れて二人以外に書き手さんいるのかな?不安だ…。
トリップ忘れてたOrz
投下乙です。
他の方の意見を聞いて、考えたいので
放送の事は今回は自重させて頂きますが
この主催者側は仲悪過ぎだw
その癖、お互いにある程度、
抑える所はしっかりしてるから
そう簡単には自滅しそうにないしw
レイム側が自滅しそうもないのが嘘っぽく聞こえる
なんにせよ、互いの利害関係が消滅すれば危ういのは間違いないなw
なんて大人の付き合い…。
ところで、意見待つばっかりでもあれなので、並行して
パッフェル予約します。久々に軽いものになりそう…。
予約wktk
ところで気が付いたのだが、ベルフラウの死体って、海が見える距離だから平原じゃなくて海岸でいいんだよね?
自分は崖近くの平原(高原?)だと思ってた。
でも橋から落ちたハミルトンはどっかに流れ着いてたし、崖とは限らないのかも。
ところで皆、第一回放送までの作品で特にこれは気に入っているのはあるか?
過去の作品って、聞かない限りあんまり話題にならんからなあ…。
あー、ごめん。
重要な事だから一度確認したいが。
ベルフラウの死体側の爆弾って、具体的にはどこに敷設してあったっけ?
描写がないのだが。
空の支給品袋でいいのか、それとも側に埋設してあるのか。書き手さんがいれば確実なんだが…。
いるのかな?
返事なかったら適当に決めちゃっていいかな?
まあ平原だと埋設は道具がないので無理だし、
草むらに隠すことになるが、海沿いに爆弾隠せる程の茂みってそもそも生えないんじゃ?
>633
描写がないなら勝手に決めていいと思われ、
設置者が爆弾に詳しそうもないアル魔だし、
上手く隠せていなかったとしても矛盾はないと思う
仮投下完了。
結局、考察をやると容量は倍になる。
ところで、臨時放送は意見そのものが一週間たってなお、
意見そのものが書き手読み手共に沈黙状態だけど…。
このまま通してもいいのか?
投下乙です。
いくら元暗殺者でも、知らない物は
簡単には解除出来なくてもしょうがない。
ベルフラウ南無w
……反応が見たかったけど、無いものは仕方がない…のか?
このまま反応が無さ過ぎるなら、気にせず行くしかないのかな?
何もしないのは何なのでデニム、カチュア予約します。
臨時放送に対してのコメントがない>単に読んでる人間があまりいないような
>>637 うむ。それが真実ならばロワももはや停滞寸前だね。
って、今の有り様じゃ冗談にも洒落にもならないな…。
「一々意見するのマンドクセ」状態なら、まだ救いもあるが。
それはそれで別の意味で問題か。
まあ、駄目なら駄目で早目に言ってくれる方が今ならすぐにこちらも修正は出来るし、
通すなら通すで必要なデータは既に揃えてるのだが、どうしたものか…。
キュラー臨時放送の自体も書き手がいないからすぐこちらで書くのだが。
チキ・レンツェン・ヘタレ忍者で予約。
サモナイ2の主要キャラは結構3番外編とかで覚えてるけど、
敵キャラだからあんまり覚えてないんで、コメントできない俺がいる
敵キャラの夜会話とか無いし
敵キャラと夜会話があるのは二周目で
3のイスラと4のエニシアぐらい
後は会話イベントで2のレイムさんが多めにある
ロワ内のサモンキャラを把握する場合、
2:マグナ&レシィで通常ルートパートナーED(もしくはパッフェルED)
3:アティ&ベルフラウで通常ルート生徒or護人EDと二週目イスラルート。そして番外編
をやればほぼ把握できる。
特に現生存者と主催者の関係上3のイスラルートと番外編は見ておきたいところ。
イスラの本心と数少ない源罪のディエルゴの登場があるしね。
2は護衛獣ごとに3悪魔の絡んだイベントがあるけど、本編把握ついででもいいと思う。
上に挙げたのを実際にプレイするとしたら、大体70時間弱でなんとかなるか?
弓か銃が使える奴にBPをATにすべて振れば時間の短縮になる
言えないッ!実は1〜2周しかクリアしておらず、番外編やイスラエンドは
ニコニコ動画や攻略サイトの内容で済ませているだなんて、言えないッ!!
もし内容的に大丈夫なら、先にパッフェルおばさんの分を代理投下してもらっていいですか?
多分、今日の深夜か明日中にはチキ・レンツェン・ヴァイスの方も仮投下出来ると思いますので。
パッフェルさんの分のタイトルは「そして輝きは続く」になります。
題名が一番苦しかったな…。
ああ、それにしてもプロバイダがダメダメだ…。
3のストーリーで1・2周できたら上出来な方だと思うぞ。
チキ・レンツェン・ヴァイス投下。
怪電波注意。悪ふざけ具合はアルガスの比ではないので、
今度は通らないかも。
では臨時放送2含めて3作品まとめて代理投下依頼します。
何か問題あればその時指摘があるからその時でいいでしょ。
ああ、プロバイダが…。
激しく乙。
ギャグだから悪ふざけは無問題だとおもうw
そろそろ次スレを立てなければいけないな
臨時放送の裏側は投下されてるのに、肝心の放送そのものが投下されない件について。
>>648 >>624 まあ誰かが書くまで待ってはいたのですが。
誰も書かないなら手始めに自分が書くが構わないですか?
というか、そもそもリミットと違ってまだ裏側が通しなのかNGなのか決まってないのに、
ホントにやっちゃっていいのか?それを今まで待ってたから、臨時放送内容自体には手を着けなかったんだが。
今ならNGでも修正も効くがいいのか?返事がないのが一番分からないのだが。
矛盾はないと思うから通しでいいと思われ
批判がない=通しって意味だと思うよ
明らかにヤバかったら絶対に批判でるし
おk。
ルールそのものと違い、使っても使わなくていい他ロワでもある施設だが(そっちは無条件)、
影響はかなり大きいので気にはしてた。
では改めて臨時放送と執筆はいりますが、他に書きたい人がいれば、書いてもらっても構いません。
第一回みたいに出し合って良い方を選ぶ法が楽しいし。
あと、Wikiを大幅更新している最中なので、良かったら感想等下さい。
改装乙。色々見やすくなってキャラを追いやすくなったな。
それにしても、現時点生存者の中で一番登場回数少ないのがルヴァイド組とは…
TO最後の良心、SNでの常識人にして人間最強クラス、TSの貴重な生存者
と書けそうで書きづらい面々のせいだろうか…?
そろそろしたらばの仮投稿作品をコピペ投下しておk
>>655 むしろこちらから代理投下お願いします。
規制は数ヵ月続いているみたいだし、携帯からでは流石に無理な分量だし。
あとWiki改装一段落終了。
細かい所はまだまだなので手が空いたらどなたでも良いですから手伝って下さい。
「――――そういう事で、臨時放送については貴方がたにお任せして構いませんか?」
どこまでも薄暗く、そして広い空間の中。
壁面に存在するディスプレイが放つ緑光だけが周囲を照らし、
その場に居る者達の顔を照らしだす。
そのどこまでも無機質な空間には機器類に満ち溢れ、
ヴォルマルフがいた管制室とその構造は瓜二つであった。
ただし、照明代わりともなるディスプレイの光源は半分程であり、
その液晶にに移し出されている内容もまた、
ヴォルマルフのいた管制室とはまた別物であった。
そこにはヴォルマルフのいた部屋をも含めて、
この施設内で現在“稼働している全ての部屋”の光景を映し出している。
それが今現在は半分しか稼働していないため、光源もまた半分となっているのだ。
『中央管制室』
その部屋の扉のプレートには、短くそう銘打たれている。
その言葉はロレイラルなる地で扱われるもので書かれている。
そう。こちらこそが真の管制室であり、ヴォルマルフ達が与えられた
空間はあくまでも数ある補助的な管制室の内一つに過ぎないのだ。
ヴォルマルフ達は、当然ロレイラルの言葉など知らない。
そしてまた、この場に近づくことすらも許されてはいない為、
このような空間があることなど知る由もない。
だが、そのプレートを発見し、その言葉が持つ意味を知れば
ヴォルマルフも認識をより険悪なものにする事は間違いない。
つまりは、彼らにとってヴォルマルフ達の存在とは“協力者”などでは決してなく、
あくまでも“使い走り”であり、取り替えの効く“捨て駒”に過ぎないのだ。
「なるほど。あちら側はあくまでもディエルゴ様とは
“協力者”の関係であり、決してそちらの下僕ではない。
故にそちらの独断によるルール改変なら承諾はするが、
事後処理はあくまで自己責任で行うように、との事ですか?」
首までを覆ったゆったりとしたローブに包んだ召喚師らしき男が
その成り行きを聞き、静かに苦笑する。いや、冷笑する。
「ねぇーねぇー。それってさあ?あのヴォルマルフちゃんが刃向かった事になるのよね?
じゃあさあ。今からちょっとアタシがオシオキしに行ってもいいんだよね?」
傍で聞いていた少女が、それを聞きニンマリと笑う。
だが、その笑顔は無邪気な子供というよりは、
むしろ獲物の匂いを嗅ぎ分けた猟犬のごとき獰猛な笑みであった。
勿論オシオキが意味する事は、穏やかなものでは決してありえない。
「――お止めなさい、ビーニャ。これは命令です。」
レイムは、その無邪気そうに朗らかに笑う少女に、
静かにおだかやかに、だがはっきりとした口調で釘を刺す。
「今はまだそのような時期ではございません。
それに、もしそのような事態が発生した場合は、
必ず貴方がた全員で当たってもらいます。独走はくれぐれも控えて下さい。
貴方がたもこのゲーム開催前に異世界の血識を浴びるほど得た以上、
ヴォルマルフ達に万一もの勝ち目はないでしょうが…。
それでも、念には念を入れておかなければなりません。
…なんといっても、この私が選び抜いた進行役ですからね。」
「ハーイ。じゃあ、今回は我慢するね?」
あまりにも気儘すぎ、レイムの三人の配下の中では
一番暴走が過ぎるこの少女の外見を取る悪魔でも、
レイムの命令にだけは素直に従うのだ。
「“成り上がり”故に、何を仕出かすか知れたものではありませんからなァ?
カーッカッカッカッ!!!」
阿諛追従とも世辞とも付かぬ口調で、釣られてガレアノと呼ばれる召喚師も
下卑た笑いを浮かべる。それは、ヴォルマルフ達に対する嘲りに溢れていた。
だが、その軽口とは裏腹にその眼は完全に据わり、憎悪に満ちている。
彼もまた、ヴォルマルフという成り上がり者風情が取った不服従の姿勢に、
憤りの感情を抱いていたが故に。彼ら三人はレイムに心より忠誠を誓う。
故に主に対するささやかな反抗でさえも、本来許容しえるものではないのだ。
「ええ。それに今はまだ、つまらない足の引っ張り合いをする時期ではありませんからね。
それに今回の臨時放送、決して面倒な事ばかりではありませんよ。」
けだるげに。物憂げに。
だが、レイムと呼ばれる銀髪の男は三人と顔を見合わせ、
性差を超越した妖艶なる微笑みを浮かべる。
その本性を知らぬ人間なら、男女を問わず腰砕けになりそうな、
まさに魔性の笑みを浮かべて。
「クックックックッ…。ええ。察しておりますとも。」
「我々がどれだけ“奴ら”から手法を学べているか、その手際をお確かめになりたいのですね?」
「ま、やり方さえ有る程度分かってくれば、あいつらだって用無しだからね。キャハハハハハ!!」
レイムと呼ばれる男の発言に、三人は返すように笑みを浮かべる。
元より、彼らにとってヴォルマルフ達は使い捨ての駒に過ぎない存在である。
だが、彼らをあえてこのゲームの進行役に据えた理由は
元人間であるからこそ参加者の人心掌握にも長けることを見越しての事は勿論だが、
それ以上に、「彼等を手本に、ゲーム運営のノウハウを知っておきたい」との理由が大半であった。
このゲームの開催における労力で力の大半を使ったレイムとしては、
当然このゲームの失敗は許容できるものではない。
三人の腹心は信頼には足るものの、残念ながら目的に見合う人材というわけではない。
それをレイムは勿論の事、腹心達三人も十分に心得ていた。
だが、ヴォルマルフが信頼に足る存在ではない以上、最後まで頼れるものではないのも確か。
だからこそ、彼らの手際からそのノウハウを少しずつ盗んでいかねばならぬのである。
こればかりは、血識で以てしても補いきれるものではないのだから。
血識と体験は、必ずしも一致するものではないのだ。
「…そういう事です。さて、今回は誰が臨時放送を執り行いますか?」
「では、私めにお任せいただけますかな?」
レイムの問いに、キュラーは即答でもって応対する。
三人は競って自らが行う旨をその主に伝えようとしたが、キュラーが最も速かった。
「キュラーですか。では、一番乗りの貴方にお任せいたしましょう。
そういえば、確か貴方は…。」
660 :
ではない:2009/07/09(木) 22:04:17 ID:2n/MLJIu
自作支援
「ええ。以前よりヴォルマルフ殿には…、
いえ、“あの者ども”にはいささか興味がございました。
私は人間の心の隙に付け入り“鬼”を取り憑かせますが、
“あの者ども”の在り方は、憑依と言うよりはまさに融合と呼ぶべきもの。
統制者ハシュマリムと…、神殿騎士ヴォルマルフ…。
どちらでもあり…、どちらでもない…。
あれは魂同士が強く結び付き、まるで異なる鋼を溶かし合わせて出来た、
言わばシルターンの大業物とも称すべき名刀。
“あの者ども”を理解出来れば、私の鬼道もさらなる飛躍を遂げると思いましたので。
おかげさまで、我ら三人の中では最もあの男については知悉しているおつもりです。」
キュラーは珍しく興奮気味に、そして饒舌にルカヴィという種の“鬼”を語る。
キュラーの返答の速さの差は、実を言えば三人の中で僅かなものに過ぎなかった。
だがその差は、彼自身が三人で「もっとも人間の心の闇を知る」という自負が生み出したもの。
彼は元より、人間の心に鬼を取り憑かせる術に長けているが故に。
鬼を生み育ませるよう、人の心を操作する術に長けているが故に。
レイムへの忠誠を示せず不服の表情を浮かべる二人に、キュラーは優越の視線で以て見返す。
「故に、この度は試してみたくもあるのです。
『臨時放送』にて、この私めがどれほど“人間について”、
“あの者どもについて”理解が進んでいるのかを。」
「ええ、存じています。貴方のその勤勉さは私の最も評価する所です。
期待していますよ。キュラー。」
「…はっ。身に余るお言葉、ありがたき幸せ。」
主の労いの言葉に対し、キュラーもまたその敬虔なる態度によって忠誠を示す。
虚言と姦計を司る大悪魔とその配下のやり取りにしては似合わぬほどの、
それはそれは誠意に満ちた理想的主従の在り方であった。
「えーっ?!アタシも臨時放送、したかったのにーぃ?」
「…申し訳ありませんが、私の次の機会にお願いできませんかな?」
「カーッカッカッカッ!まあ、機会はまだまだいくらでもあろう。
まあ、人間どもが張り切り過ぎれば話は別だろうがなァ!」
ビーニャは我儘な年頃の少女のように。
キュラーは常に理知的な紳士のように。
ガレアノは陰険で下卑た青年のように。
それぞれの外見に相応しい態度を取る。
だが、態度と心性は全くもって一致しない。
その本性は、あくまでも悪魔そのものなのだ。
「ぶーぶー!ま、いいわよ。でも次は絶対アタシだからねッ!!」
「…そればかりは、ガレアノと相談して頂きたいのですが…。
では、それ以外仰る事がなければただちに放送に向かいますが?」
「うむ。せいぜい、ディエルゴ様の期待を裏切らんようになァ?カカカカカッ!!!」
不満と厭味で迎える二人に、眉一つ動かすことなくキュラーは管制室のマイクの前に向かう。
彼らの憎まれ口や我儘も、彼らなりの親愛の表現である事は云わずとも理解しているが故に。
「ええ。そうですね。具体的裁量は、貴方に全てお任せいたします。
第一回放送までの死亡時間通達の有無や、アドラメレクさんへの接触の有無も。
“内通者”への連絡は…。あれはヴォルマルフの存在しか知らないはずですからね。
“内通者”に個人的に接触を図るか否かは、よく考えてから行動して下さい。
あれはヴォルマルフさんが参加者の内から選り抜いた“鬼札(ジョーカー)”です。
扱いにはくれぐれも注意してください。場合によっては、あえて触れぬ事も重要です。」
レイムは事細かに、実に丁寧にその詳細を告げる。
ヴォルマルフに対してと違い、底冷えのする様子は一切ない。
ヴォルマルフと違い、彼らは信頼を置く腹心であるが故に。
ヴォルマルフと違い、卑しい成り上がり者風情ではないが故に。
「それと…。あとはそうですね。各施設に備えてあった
“武器庫”の開放を、全参加者に必ず通達してください。
超魔王バールの支給品は、彼に任せたままでよいでしょう。」
少し考えてから、レイムは目の前にあった液晶を触れて“会場”の全体図をその画面に表示させる。
B−2の塔、E-2の城、H-7の城、C-6の城が赤く明滅を始め、画面中央に小窓が開かれる。
「各施設の“武器庫”の施錠を解いてよろしいですか?」と、無機質な問いが現れる。
あとはレイムのボタン一つで、それはいとも簡単に解除されることであろう。
「……よろしいのですか?」
この武器庫の施錠が解除されるいくつもの意味を理解しているキュラーは、
レイムの決断に間違いはないと信じつつも、
これから後に予想される一つの弊害を考え、
レイムに問いただした。そう。あの用意された武器庫は、本来…。
「ええ。勿論です。あれはヴォルマルフが最適の時節を
見計らって全参加者に通達する予定でしたが、
元々武器も絶対にただでは手に入らない仕組みですからね。
それに、あれは“こちら側”が彼の注文に合わせて用意したものです。
私達自身が用意したものを好きに使おうが、何も問題ありません。
むしろこの“武器庫”の存在は今この時期に併せて暴露する方が
このゲームもさらに盛りあがることでしょうから。」
そう。本来あれらの“武器庫”は、ヴォルマルフが会場
制作の段階でこちらに依頼した上で用意させたものである。
意図的に全参加者の支給品を少なめにしたのも、全てはこの存在があるが故。
だが、ヴォルマルフの意向を無視してこちらが独断で伝えるという事は、
それはとりもなおさず彼の面子をさらに傷つけることになる。
ただでさえ先程のやりとりで、一度レイムはヴォルマルフの面子を傷つけているのだ。
これを実行すれば、さらにヴォルマルフとの関係は拗れる事であろう。
それを分かった上で、レイムはあえて「開放してよし」と判断したのである。
これが、ヴォルマルフの“嫌がらせ”に対する報復である事は間違いないだろう。
ビーニャを抑えたように、今進行役と殺し合いをする程レイムは愚かではない。
だが、おそらく将来的にレイムは「そうする」のであろう。
彼らとの関係を軽んじてる事からも、それは明らかである。
「…御意。」
レイムの決断を理解し、キュラーはそう短く受け答える。
ゲームが無事終了した後に、久々に修羅場が味わる事にも期待は膨らむ。
“あの者ども”との対峙は、それはそれは素晴らしいものとなるだろう。
…だが、今はまだ協力するべき時だ。短慮は慎むべきである。
「どのみち、我々に刃向かおうなどという甘い考えを持つニンゲンどもが
“武器庫”を使用する事は、まず考えられないでしょうからな。」
「ホント、すっごくしみったれてるからねヴォルマルフちゃんはー。」
「とはいえ、一々首を刎ねられては屍人も作れなくなるのですがな。
優秀な素体が多い故、実に惜しい。カーッカッカッカッ!!!!」
664 :
ではない:2009/07/09(木) 22:08:51 ID:2n/MLJIu
さらに自作支援
――武器庫。
それは、本来はヴォルマルフが“内通者”や“帰還した同胞”達の為に、
このゲームに優位に立てるようにとレイムに依頼した上で用意した施設である。
名前の通り、こちらにはあらゆる装備や所持品が用意されており、
建前上は全ての参加者が自由に使用できるものではあるのだが…。
ヴォルマルフはこのゲームの参加者全てが、
進行役に心からの誠意と貢献を示させる為に。
武器庫からの物資の調達に、ヴォルマルフは一つのある条件を付けた。
――首輪との交換、である。
参加者全員をこの会場に呼び出した際、
参加者が身に付けていた装備や所持品の類は全て没収してある。
それら全てを分散して件の武器庫に保管してあるのだが、
そのアイテム本来の持ち主の“首輪”を差し出し、
それと交換に持ち主の装備や所持品を提供する仕組みを取ってあるのだ。
当然、爆破せずに首輪をもぎ取ろうとすれば持ち主の首を刎ねなければならないのだから、
その首輪の持ち主は確実に死亡する。結果としてこのゲームに貢献する事になるのだ。
それに、このゲームに反抗する、“道徳的な”参加者はたとえ死体であろうと
“首を刎ねる”事に嫌悪感を抱き、優位が分かった所で誰もそうしようとはしないだろう。
必然的に、このゲームに乗った側が優位となる訳である。
何より、そうすれば首輪は次々と回収される事にもなるのだから、
首輪の解析の為に死体からの回収を行う者への嫌がらせにもなる。
ヴォルマルフはそう判断して、この施設の設置を依頼した。
その施設を、ディエルゴは今この時期に開放するのだ。
一度はその開放時期を一任してあるはずの、進行役のヴォルマルフを差し置いて。
「なにより、これはヴォルマルフさん達への意趣返しにもなるものです。
我々に放送を任せるというのは、こういう事になるのですと、是非教えて上げてください。
では、お任せいたしますよ?キュラーさん。」
そう言ってレイムは静かに期待しながら笑う。哂う。嗤う――。
これより加速する、己の保身目的の卑しい殺し合いに。
これより加速する、苦渋の選択による仲間同士の殺し合いに。
これより加速する、全ての参加者達の絶望と慟哭に。
それはどれも血識に劣らず、極上の美酒足りえることだろう。
レイムはそう言って、期待に胸を躍らせながら、かき消えるように
この場を去った。おそらくは、また眠りに付いたのであろう。
「…畏まりました。では、あちらに集う全ての者どもの
心の“鬼”を、見事生み育んで参りましょう。いざ!」
キュラーは虚空に一礼をしてその身を翻すと、
脳内にすでに纏めてある臨時放送の内容に、
レイムの発言による修正を加えて通達を始めた――――。
【不明/1日目・夜(19時)】
【レイム・メルギトス@サモンナイト2】(【源罪のディエルゴ@サモンナイト3】)
【ガレアノ@サモンナイト2】
【ビーニャ@サモンナイト2】
【キュラー@サモンナイト2】
【備考】:武器庫(首輪交換所)
B−2の塔、E-2の城、H-7の城、C-6の城の閉ざされた一室に存在します。
武器庫の扉には「女神の加護」が施されているため、支給品の鍵を用いるか、
特別な支給品の一撃で破壊するか、主催側の指図がなければ開放できません。
武器庫には、博物館のように台座付きで透明のガラスの箱の中にアイテムが収められてあり、
台座に首輪を入れる輪形の窪みがあるので、そこに押し込むとガラスの箱が外れ、
アイテムが取れる仕組みになっています。ガラスには扉と同じく「女神の加護」が
施されていますが、無理矢理破壊しようとすると中のアイテム毎爆発してしまいます。
通常の不明支給品とは違い、完全に“参加者がロワ参加前に所持していた可能性の高い”
アイテムしか武器庫には存在しないので注意。
:ガレアノ、キュラー、ビーニャは異世界の血識により、原作終了時よりさらに強化されています。
:“内通者”は、レイム達の存在を把握しておりません。
さるさんくらったよ…
代理レス投下を依頼したがいけるか?
後は容量がいっぱいになりそうだが次スレは
創作発表板に移したらいいような…
(他のスレと比べたらレスが少ない気が…)
代理投下有り難うございます。
キュラーの臨時放送については、もうしばらくお待ちの程を。
板の移動については、個人的にはどちらでも良いと思っているので、
多数決で決めてもらっていいと思います。
未投下作品が二つ、予約が二つの状況なので、移設するタイミング的には悪くないとは思いますが。
数日間誰も返事ないので自分で決めちゃっていいかな。
では、新スレ創作発表板にお願いしてもいいですか?
そちらのほうが目に触れる機会も多いだろうし。
しかし、定期的に書かないと乱立だと叩かれるなw
SRPG板と創作発表板の
自治スレに書き込んで決めた方がいい
SRPG板に一票入れたい
こっちの方がよく開くからってだけだけど
◆j893VYBPfU氏は既に両方の
自治スレに書き込みしてるから
書き込むといいよ
臨時放送投下したよー。
しかし、移転の話しだが意見そのものが自分含めて二票しかないと言うのがアレだよな…。
しかし、最初に言い出した
>>668さんは今どちらなんだろ?
彼も今返答なかったら、あとは管理人氏の判断に委ねようかな?
ちょうど今賛成と反対が1対1だし。
>>674 管理人って居たの?
多数決の答えは創作発表板で
つかマジで投票が少ないな。
嫌がる人がいないならどちらでも良いんですけど…
j893氏が動いてくれている事に敬意を表して創発に一票。
>>675 Wiki管理人=◆imaTwclStk氏の事なんですが…。
では創作板に移転しましょう。数日待ったし、元々住民が少ないから
移転を考えたわけだし。では、創作板にも答えを伝えに行きます。
スレ立てだけどなたかお願いします。規制があるのでこちらからは無理です。
タルタロス、ヴォルマルフで予約。
予約キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
wktk
予約が来たところ悪いけど臨時放送について指摘を。
確かレイムさんとヴォルマルフとの会話で最後に死亡した参加者の
死亡時間も放送で伝えることになっていた筈なのに、放送の内容に入っていません。
最後に死亡したのは臨時放送直前のフロン&アグリアスだと思うので、
そこを入れれば問題ないと思います。
あ、死亡時間をぼかすか具体的に伝えるかについては裁量にヴォルマルフに任せると言った内容ですね?
その後の顛末については、レイムとしてはどちらでも良かったので、キュラーには
>>662 に挙げた内容に変わってます。
それでキュラーはあえて混乱を拡大させるために敢えて口をつぐむ事を選んだ事になってます。
でもまあ、あえて大サービスで死亡者名も一緒に放送してしまうのも悪くないかも。
修正案として、したらばに追加分を投下。
ただし、問題点もあるので、修正前と後どちらが良いかは一度見て判断して下さい。
それ以前に誤字脱字まだあるよママン…。
しかし、日蝕か。
太陽を蝕む月か。
ふふふ。良いねえ。
長らくお待たせしましたが、次スレは創作発表板に建てる事に正式決定しました。
代理のスレ立ては既に依頼いたしましたので、よろしくお願いします。
しばらくはこのスレ自体は移転に伴う連絡用として使いたいと思ってます。
追加分+スレ立ての方お疲れ様です。これでこのロワが少しで盛り上がればいいのですが…。
「もう立てたのか!はやい!来た!新スレ来た!代理投下も来た!これで勝つる!」
したらばに作品投下後確認いたしましたが、感謝感激の嵐です。
申し訳ないどころか、こちらがどれだけ感謝してもし足りないほどです。
新スレ立て&代理投下誠にありがとうございます。
このお礼は今後の作品で返したいと思います。
何と言う事だ。今日になってから規制が解けるとは。
もう少し早く気づいていればorz
>>687 家ゲーSRPG板から移転したことを知らない人も多いので、
その連絡用にしばらく置いといた方がいいと思います。
あと、作品投下は厳しいので、雑談等に使ってもいいかと。
◆imaTwclStk氏は一体どうしたんだろうか?
>>689 心配かけてすいません、リアルで色々ありPCから離れていましたorz
更新作業も全くしてなくて申し訳ないです(元々してないと突っ込まれても困るけどw)
何とか落ち着いたので今更ですがデニム組をしたらばに仮投下します。
移転など色々と動いていただき、本当にありがとうございます。
とりあえず記念カキコ。
次スレの脳が8ビット化したケンプフじゃなくてレンツェンワロタ。
バトロワの原作読んでるときは全然気がつかなかったけど
◆j893VYBPfUさんの作品を読んでいると
首輪=調教用アイテムってことを痛感します。恐ろしい人。
おお久し振りの感想ありがとうございます。
首輪は、まあロワの核であり、象徴みたいなものですから、
まあいろいろと拘ってはいます。しかし、解除方法どうしようかなw
現在のホームズ組とルヴァイド組の予約はもう少し待ってね。
>>692 某スレで「あなたの二次創作はどこで読めますか?」と質問した者です。
あちらには書きませんでしたが、一昨日の夜にこのスレを見つけました。
期待以上で驚きました。もっと早く質問していれば良かった…
しばらくネット環境を離れますが、このスレの現行&過去ログを
PDAに突っ込んでいくので、退屈せずに済みそうです。
今後の展開も楽しみです。おとなしくロムってます。