>>479 476は予選のほぼ全試合で得点をあげており、紛れも無く代表の主力だったからだ。
監督はこう続けた。
「既に報道のあった通り、476はナショナルチームの代表選手として不適切な行動をとった。私はこのチームへの裏切りとも取れる行動を許すことは出来ない。」
「予選を勝ち抜くことが出来たのは彼の力があったからでは?」
報道陣も熱っぽく質問を浴びせる。
「確かに、彼の力があったことは事実だ。彼は国内でも最高の選手のひとりだし、(予選を勝ち抜いたことに)感謝している。」
「だが、チームの規律を守るためには彼が誰であろうと特別扱いすることは出来ない。」
「本大会では追加召集のメンバーも加え、最高のチーム状態で闘う。彼なしでも我々は最高のチームなのだから。」
会見はここで打ち切られた。
報道陣はもちろん、国民の不安は拭えないだろう。
476を欠いたチームで本大会を勝ち抜くことの難しさをだれもが知っている。
しかし最も苦しい決断をしたのは監督だっただろう。476を実の息子のように気にかけ、信頼してきた。
会見後、彼はひとり寂しそうに呟いた。
「何故なんだ476…」
後に精神的にもプレー面でもナショナルチームの柱となる476の、最初の挫折だった―――
つづく