>>141 リバプールの三年間が俺を変えた。年俸は跳ね上がり、沢山のファンがついた。金も女も思いのまま、そんな環境にいつしか傲慢になっていったんだと思う。
ファンの声が欝陶しく感じるようになった。チームメートのミスが許せなくなった。フロントの判断に逆らうようになった。…そんなときにマンチェスターユナイテッドからの移籍話が舞い込んだ。
更に年俸が上がればまた充たされるだろう――そう思うとサインまでさほどの時間はいらなかった。赤いユニフォームに袖を通し、更なるスターダムを登ったはずだった。
リバプールとの試合、かつて声援をくれたファンからのブーイング。目も合わせてくれないかつての仲間。その試合中だった。誰よりもリバプール入団を喜んでくれた母が亡くなった。ハットトリックで勝利に貢献したのに、それがかえって失ったものの大きさを気付かせた。
スランプはすぐにやってきた。ベンチにも入れなかった。年俸の跳ね上がった無能な選手なんて必要ない。単年での契約だったこともあり、シーズンが終わると契約が延長されることはなかった。
つづく
飽きたから誰か続きよろ