【アトリエ】ガスト総合141【アルトネリコ】

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647ガスト伝説 ◆P3mkcgF2L6
外伝:1
さて、大昔のことです。
この帝国を巨大で、邪悪な竜の驚異がおそったことがありました。
それはまだ、この国が帝国ではなく、王国と呼ばれていた時代のことでした。
人々は悪竜の横暴と暴虐ぶりにおそれおののき、多くの罪のない民の命と、そして戦士の命が奪われました。
その竜に立ち向かったのが、帝国の皇祖となった若い二人の王子でした。
彼らはともに宝物庫に忍び入り、国のふたつの宝を持ちだして、竜の住処へと向かいました。
上の兄は、何ものをも貫く槍を。
下の弟は、何ものをも防ぐ盾を。
それぞれ手にしていました。
さて、坊ちゃんは、どちらの兄弟が竜を退治できたと思いますか?

#知るか、ボケ!

おお、こわ。
坊ちゃんは早く続きが聞きたい様子。
結論からいいますと、竜を倒したのは下の弟でした。方法は、少し忘れてしまいました。
ですが、どうやって買ったかは問題ではありません。戦いに望む、気構えが勝敗を分けたのです。
二人は双子でしたので、王太子の座は弟のものとなりました。
人々は彼をほめたたえ、彼にいままで誰も想像もしなかったような権力を与えたのです。
そうやって、彼はこの国で一番最初の皇帝になったのです。
坊ちゃんの、とおいとおいご先祖さまですよ。

#サンキュー、ご先祖さま!

さて、ここからがもう一つの物語のはじまりです。
戦いにあと一歩というところで敗れた兄は、自らの意志で国を去りました。
弟は、すでに追っ手をさしむけていましたが、彼らがみたのは空っぽのベッドだけでした。
彼は誰も行こうともしない、荒れ果てた北の大地へと、一歩ずつ足を進めていました。
季節は冬でしたが、彼は凍てつくことはありませんでした。
煮えたぎる野心が、心の中で燃え上がっていたからです。

そうして、彼は何日、何ヶ月も旅をして、やがて世界の果てにたどり着きました。
648ガスト伝説 ◆P3mkcgF2L6 :2010/02/27(土) 16:05:57 ID:hqY1SrUd0
外伝:2
それは今では大洋河と呼ばれる大きな河でした。
ですが、当時はそこが世界の果てだと思われていました。
その河の向こうは、天使たちのすむ国だと、みな信じていました。あの世なのだと。
男は悲嘆にくれました。 ここまで多くの旅をしてきて、いろいろな地をみてきた。
だが、自分が求める場所は、そのどこにもなかった。ここで自分の旅は終わるのかと。
河は果てしなく雄大で、どんなに目を凝らしてみても、対岸の影すら見えません。
彼は精根尽き果て、大地に倒れ伏しました。

#望遠鏡つかえよ!父上が誕生日にくれたやつ、めちゃ遠くまで見えるんだぜ!

気がつくと、男は生暖かい人の息吹を感じました。
彼は、乙女のひざまくらの上に、抱かれていたのです。
大きくて、心配そうな目が、涙の雫をためながら彼を見下ろしていました。
ここはどこでしょう? 男は訪ねました。
しっ、しゃべっちゃダメと、乙女はくちびるに指をあてて注意しました。
そして、自分の口に何かの液体をふくませると、それを口移しで男ののどに流し込みました。
彼は身動きすることもできないほど衰弱していたので、あらがうことなく、それを受け入れました。
苦い薬が、少女の甘い唾液といっしょに、舌を潤わせなんともいえない気分になりました。
男は、すぐに目をつむり、深い眠りの中に落ちていきました。
これで、すぐに元気になるわ。男の寝顔をみながら、嬉しそうに乙女はいいました。
・・・でも、そうなると・・・
乙女は急に不安そうな顔をすると、両手で自分の胸をだいてじっと動かなくなりました。